労働分配率の指標性低下2(省力化投資と海外収益増加)

6月24日の日経新聞「大機小機」の主張を引用しておきましょう。
「・・・第二次安倍政権誕生と同時に始まった今回の景気は拡大56ヶ月を迎え、経常利益は史上最高を更新し、産業界は好況を享受している。雇用報酬は横ばいで民の暮らしは豊かになっていない。今回の景気は[産高民低]だ。・・「消費低迷の背景として人口減少や社会保障の将来の不安、デフレマインドの定着などが上げられている。だが、注目すべきは労働分配率が今回の景気回復局面で急低下し・・・たことだ」「労働分配率の低下は先進国共通の傾向の現象だ」「・・労働分配率が変わらなければ・・消費も多いに盛り上がっていた筈だ・・昨今の先進国の消費低迷と低成長の背景ではないか」
と書いています。
労働分配率は国内総生産に寄与した関係者間の分配の問題であり、企業の好況は海外収益を含めた概念ですから、この比較するのはすり替え的で論法です。
労働分配率については、以下に簡潔に解説されています。
http://www.shimoyama-office.jp/zeimukaikei/keieisihyou/keiei7.htm
労働分配率とは、付加価値のうち人件費の占める割合をいいます。
労働分配率=人件費÷付加価値
付加価値とは、企業が生産、販売等の活動により、新らしく生み出した価値をいいます。 簡単にいえば、材料を1,000万円購入し、工場で製品を製造し、その製品を5,000万円で販売した場合、付加価値は5,000万円-1,000万円=4,000万円となります。
付加価値の計算方法は、主に次の2つがあります。


このように、付加価値とは言わば粗利であって加工するための間接・直接のコストが入っています。
中国がGDPアップのために需要無視でドンドン公共工事していてもGDPだけは増える関係です。
上記の通り控除方式では、製品にするための工場設備等の経費が控除されていませんから、付加価値には昨日書いたように機械設備の費用が含まれている・・設備費用が多くなればなる程付加価値に占める労働分配率が下がる関係です。
加算方式の場合にも、機械設備等のコスト等は金融費用や減価償却費等として加算されますから同じです。
先進国であれば機械設備投入比率が上がり労働力投入量を減らすのが普通→付加価値に占める労働寄与率が下がる→労働分配率が下がります。
また豊かな先進国では企業の海外展開に比例して個々人も金融資産が増えているので、消費力は個々人の金融資産や知財収入等を含めて総合的に考えるべきです。
労働分配率は国内で付加価値を創造した分・・GDPの分配率の問題であって、海外収益どころか国内収益・企業収益とすら直截リンクしていません。
GDPは利益と関係がない・・中国で言えば需要無視の鉄道や道路マンションをいくら造ってもGDPそのものは増えます。
GDPが重視されたのは、無駄な投資をする企業や国はないと言う暗黙の前提があったからです。
自由市場で競争する企業でも見通しを誤って無駄な投資になる場合がありますが、その代わり市場から手痛い報復を受けます。
中国の場合市場競争がないので政権が続く限りソ連と同じで無駄ワオ強制できますが、長期的に見れば、「無駄なものは無駄」・・国民の損失になるでしょう。
国際比較の知能テストや学力テストでも、予め生徒に問題を練習させておくような不正をする国がない信頼で成り立っていますが、これをやる国が増えると国際比較が成り立ちません。
労働分配率に戻しますと利益ではなく設備等のコストを含めた概念ですから、喩えば、IT化やロボットや機械設備投資の結果生産量が5倍になっても労働者の寄与率は下がることはあっても上がることは滅多にありません。
設備の合理化で生産量が5倍になった結果支払う相手の大方はロボットや設備投資代金であって、労賃をこれに比例して増やすのは無理があります。
「労働分配率低下が先進国共通の現象」と言うのは当たっているでしょうが、設備投資等が増えれば付加価値に人件費率が下がるのは当たり前・・それと消費停滞とは直截関連しません。
コストが人件費だけの労賃がほぼ100%の社会(極端な場合、いくら働いても海外から収奪される植民地社会)と国内生産は機械化が進み、国内生産が減ってもその代わり海外収益に頼る割合が高くなる・個人金融資産の蓄積の大きい先進国社会との違いを無視しています。
共産党系のスキな搾取論を言うならば、国際的比較では今でも成り立つ議論のような気がします。
先進国が自国内労働・国内生産以上の生活を出来ているのは、その差額分を(知財・金融その他の名目で)「後進国から搾取している」からと言う論拠の1つとしては意味があるでしょうが・先進国内の所得分配論としては、時代錯誤論です。
先進国では、産業間(業種内の業態) 格差こそが問題でしょう。
古くは1次産業〜2次産業〜3次産業への移行(場所的には都市から農村への所得移転策がその1形態です)が重視されましたが、今は同じ2次産業でも重厚長大から軽薄短小へ程度の大まかな振り分けから、部品系の消長に移っていますし電子機器からIT関連へともっと細かな分類が必要な時代です。
ロボット産業と言っても分野別にいろいろです。
部品と言ってもどんどん進化して行くので電池のように元は機械等の構成品に過ぎなかったものが、今や電池の中の細かな部品を作る企業が部品業界であって、電池は完成品扱いではないでしょうか。

労働分配率の指標性低下1(省力化投資と海外収益増加)

働き以上の高給取りが100人減れば、その分製品コストが下がり国民全般が物価下落の形で受益し、業種的には利益率が改善される資本家やIT関連やロボットその他の製造装置販売関連が受益していることになります。
資本家や金融のプロ、IT技術者の高額受益は税として還元する・インフラ整備や図書館や文化施設・社会福祉資金になっているのが先進国ですが、生活保護やフードスタンプなど恩恵の配給のレベルアップよりは自分で稼ぎたい人が多いでしょう。
以前から書いていますが、同じく月30万円で生活する場合に、福祉支給によるのではなく、自分の働きで生活したいのは正しい欲求です。
従来同一企業内だけで労働分配率を議論して来たのですが、新たなパラダイム発生により今やサービス業と製造業・IT、ロボット産業・製造装置製造業界・配送関係などの異業種・社会内で調整が行なわれる必要が生じて来たと思われます。
6月24日日経新聞朝刊17p「大機小機」では、従来型分析・・労働分配率低下を重要指標として先進国共通のマイナス動向であるかのように論じています。
これまで書いて来たように、世界の工業基地として国内需要を満たすだけではなく世界への輸出分を含めた生産基地であった先進国では、プラザ合意以降日本を先頭にに東南アジアその他で生産しての迂回輸出が始まり、次いで2000年代にはいると消費現地生産が主流となって来た結果、輸出向け分の生産が縮小して行きその内逆輸入が始まれば、国内生産がジリジリと縮小傾向をたどるようになったのは当然です。
ただし、日本の場合最終品組み立て工程を新興国へ移したのみで部品等を輸出する産業構造に変化した結果、製造業はアメリカほど大きく衰退しませんでした。
それでも、濃く汗院のジリ貧が避けられないのでリーマンショック直前頃・・05/26/07「キャピタルゲインの時代17(国際収支表2)」のコラムで約10年間の国際収支表を紹介したことがありますが、今後キャピタルゲインの時代が来る//当時で年間約18〜19兆円の国際収支黒字の約半分が貿易黒字で残りが所得収支黒字でした。
そして現在では、昨年も約20兆円の黒字でしたが、その殆どが所得収支の黒字であって貿易黒字はあったりなかったりの繰り返しでほぼゼロ→17年5月の発表では貿易赤字でした。
このように国内生産による稼ぎはジリジリと減っている状態です。
2007年5月のコラムで儲けの半分が所得収支(海外からの利子配当所得)になっている以上、プラザ合意以前の輸出(国内生産)だけで稼いでいた時代に比べて、国内生産による儲けが減っているのだから、企業利益に対する国内労働に対する労働分配率が減るのが当たり前・・資本収入が多くを占める時代が来ると言う意見を書いたことがあります。
今年の5月13日にも書いています。
企業も儲けの海外比率が上がれば上がるほど、国内労働の寄与率が減っているのだから、国内労働者に対する企業収益との比較では労働分配率が下がるのは当然です。
比喩的に言えば、海外生産による儲けが1000億円で国内生産の儲けが100万円しかない・・収支トントン・あるいは100億の赤字であるが、過去の蓄積による配当や知財等の収益(営業外利益)及び海外収益の送金で何とかなっている場合、国内労働者に海外儲けの6〜7割も配れないでしょう。
トヨタなど海外収益の大きい企業の場合国内製造業の単体では、仮に90単位しか賃金を払えないのに海外収益や知財・金融利益などによる穴埋めによって100の賃金を払っているパターンが考えられます。
アメリカではその地域がダメになればゴーストタウンにして移転して行き、職人の技能が引くkレバベルトコンベアー方式で対応する何ごともアンチョクです、新興国の方が人件費が安いとなれば、国内に踏みとどまって何とか生き延びようとするよりは研究開発部門を残すとしても労働現場は人件費の安いところへ移転してしまうドライ・安易な生き方ですから、日本のように部品輸出で生き残るという工夫が乏しかった印象です。
この4〜5日の動きでは、トランプ氏の迫力に脅されて今年1月頃にメキシコへ工場新設中止発表したフォードが小型車フォーカスの生産を今になって中国生産に移管し、より大きな工場新設を発表したことが話題になっています。
今朝の日経新聞1面の春秋欄では、トレンプ氏の威光のかげりを反映しているとも言われていますが・・。
トヨタに代表されるように日本では、国民・同胞の生活維持が第一目標ですから、何が何でも国内工場を温存しながら海外展開する工夫・・これが部品輸出に転機を見いだしたのですが、アメリカでは丸ごと出て行くので、製造業従事者が極端に減ってしまい低賃金のサービス業従事者が増えてしまいました。
企業が(社内失業を)抱え込まない社会・・アメリカでは給与としては生産性以上を払えないが、国全体で見れば放置出来ませんので、後進国から大手企業や金融等の分野で配当金が入って来るのでこれを税金で取って分配する・社会保障資金になっている面があります。
例えばGMが中国で儲けたと言っても国内GM工場労働者に国内生産性以上の給与を払ったり余計な人員を抱え込まない・・失業者がいくら増えても企業利益は税で政府に収めればそれで責任を果たしていると言う考え方でしょう。
こうなると本当に海外収益を国内還流しているか・・法人税の実効性が重要になって来るので、税逃れ・タクスヘイブンが大きなテーマになって来たと見るべきでしょう。
先進国では多かれ少なかれこう言うパターンになっていますから、企業利益増大に比して労働分配率が下がる一方に決まっている・・労働分配率低下を社会正義に反するかのように主張する論法は経済実態にあっていません。
そもそも、労働分配率の議論は従来の定義では企業の儲けを基準にするのでははなく、国内付加価値.総生産・GDPに対する労賃分配率を言うものですから、海外での儲けが増えていることとは関係がない議論です。
24日日経の「大機小機」は、全体の基調としてアベノミクス以来企業の好況(海外収益を含めた概念)が続いているのに労働分配率が下がっているから消費が盛り上がらないと言う紛らわしい論旨を展開しています。
海外収益増加による好況の場合には国内労働者はその収益に関係していないのですから、企業全体の収益増に対する国内労働者の配分比率が下がるのは当然です。
国内収益100%の企業が10%売り上げ増になれば、その増収増益に寄与する労働者がほぼ10%増えるとすれば比例関係です。
しかしこの後で書くように国内完結企業でも、増収に寄与する労働力量が変わらず最新機械設備やロボット導入あるいは画期的新製品開発による場合もあります。
これらの場合、増収増益による収入の大半は機械設備・発明対価等の代金に消えて行くのであって、機械化等によって現場労働者が逆に2〜3割減ることが多く労働寄与率・分配率は逆に下がります。
消費力のテーマであれば、高齢化が進むと高齢者の労働収入は減っているが、現役時代に蓄えた金融資産による収入・・海外債券を含めた金融収入その他と年金等が収入の大部分を占めているのですから、年金生活者が好景気で月に10万円でも働くようになると、消費力は働く前に比べると大幅増になります・・労働分配率と何の関係があるでしょうか?
企業の好況と個人の消費力を比較するには労賃の増減だけはなく個人金融資産の増加率を含めて比較しないと意味がないでしょう。
多くの若者が少額でも株式等への投資できる制度が出来ていて若者ですら、証券投資している時代です・・そして日本全体では世界中から利子配当等の所得が年間20兆円近くあるのですから、金融資産・知財収入その他を見ないで労賃だけ見ても実態が分りません。

韓国バブルの行方1(消費信用の増加)

日本のバブルでは、最後の高値づかみした業者の評価損ともっと上がるから今のうちに買っておかねば・・とけしかけられて早めに買わされてしまった人が多かった・需要先食いの結果その後新規購入者が減って、商売にならなくなったいわゆる不況でした。
エコカー補助金期限やタバコ値上げや消費税アップなど駆け込み需要による先食いをすると、その後の不景気を招くのと同じです。
先食いの結果業界にとって次年度の売上が減少しても、期限前に駆け込み購入した消費者・国民が損をするわけではありません。
正規社員の場合給与も下がらないし・毎月支払額が変わらない・・結局人生最後まで住み続ける予定の人には評価が上がろうが下がろうが、関係のない(自分が数十年以上先に死亡したときに相続財産の評価があがるかどうかだけです)ことでした。
転売目的で損をしたのは業者中心で転売目的の国民は滅多にいなかったでしょう。
中韓の不動産バブルの場合は、国民も企業も投機目的購入ですから評価が下がり高値転売に失敗するとローンを払えません・・これが暗転すると大変です。
政府の誘導によって庶民に転売目的の無理な?借金させてマンション熱を煽っての国有企業救済ですから、(赤字国有企業への追い貸しが100必要とした場合、政府が外貨準備を取り崩してX%を負担し、残りをマンションバブルを煽って建設資材等の需要喚起で国有企業を救済し、国民の借金に付け替えさせた)いつかは、転売目的で庶民に負担させたローンをどうするかの問題が起きる点は国有企業はの追い貸しがいつか清算しなくてはならなくなるのと同じです。
無理な誘導とは、政府系メデイアで株が上がるとはやし立てて国民を株式投資に誘導していた結果、1昨年夏頃に大幅下落になった後に、今度はマンション投機を煽って来たことと内需盛り上げのために金融緩和をを断行したことです。
中国人は投機が三度の食事よりもスキと言われる民族性ですから次々と投機に参入するし、韓国では何回も一種の徳政令を繰り返して来たことからモラルハザードが進んでいますから、金融緩和で借り易くなったことで支払い能力を無視してこの機会に・・・と大勢が飛びついた印象です。
(ソモソモ、韓国では借りたら返す・約束を守ると言う近代合理主義精神・モラルがまだ根付いていない印象で、これを前提にワザワザ「不可逆的合意」と銘打った日韓合意をしても守らないで良いと言う国民意見がまた噴出しているのがこの象徴です。)
折角の金融緩和政策効果が企業投資に回らず・・企業人は合理的訓練を受けていますので、先の見通しが悪いと金利下や融資枠が広がったくらいでは儲かる見込みのない投資しません・・この辺の意見もAugust 9, 2016「金融政策限界9」まで連載したことがあります。
この結果、非合理精神行動100%(勝又氏に言わせれば感情8割)の韓国人の個人負債が急膨張してしまい危機的様相を呈して来ました。
生活苦による消費信用増についてはこの後で書きますが・・住宅投資に集中した債務超過・一面から言えば負債増加に見合って資産が増えているから大丈夫と言う強弁に使われていますが・・大局から見れば不動産バブルそのものです。
この辺は政府としても景気対策として有効なので、中国政府同様に見て見ぬ振りをして来たように見えます。
August 12, 2014「個人金融資産の重要性2(韓国個人負債増加)」で紹介したことがありますが、その後更に負債増加・・ゾンビ企業温存ならぬ個人債務の借り換え増?が続いています。
中国のマンション投機熱の激しさについては周知のとおりですが、韓国も負けていない・・韓国の個人金融負債の内先ず住宅投資に関する負債増加についてhttp://japanese.joins.com/article/485/212485.htmlからの引用します。
「韓国銀行が24日に発表した「2015年10~12月期の家計信用」によると、昨年12月末基準で家計負債は1207兆ウォンとなり1年間に122兆ウォン急増した。前四半期比では41兆1000億ウォン増えた。
年間・四半期とも増加幅は家計信用統計を出し始めた2002年10~12月期以降最大だ。2015年の韓国の推計総人口が5061万7000人である点を考慮すると、国民1人当たり約2400万ウォンの借金がある格好だ。」
家計負債の主犯は住宅担保貸付だ。市中銀行の住宅担保貸付は10~12月期だけで18兆ウォン増え昨年末には残高が400兆ウォンを超えた。相互貯蓄銀行、信用協同組合、相互金融など第2金融圏から借り入れた住宅担保貸付も3カ月間で3兆1000億ウォン増え残高は99兆5000億ウォンに達した。 」
15年の統計ですが、単なる消費信用増加だけではなく、景気対策としての金融緩和による不動産バブルが起きている状況が推測されます。
次は不動産バブルが終末に来て(日本でも住宅ローンが払えなくなるとサラ金系融資が増えます)非銀行系融資が増えている現状です。
http://japanese.joins.com/article/052/226052.html?servcode=100&sectcode=110からの引用です。
【社説】韓国経済の信管、家計負債管理に総力傾ける時 2017年02月22日09時42分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
韓国の家計負債が「過去最大値」を塗り替えたというニュースに私たちはいつの間にか鈍感になっているようだ。だがその数値がどのように構成されているのか開けてみれば憂鬱になる。家計負債の量的・質的な面、そしてその増加速度の面ですべて赤信号であるためだ。所得が足踏みなのに家計負債は2015年と昨年の連続で2桁の急増となった。
韓国銀行の21日の資料を見れば昨年末の韓国の家計負債は1344兆ウォンで再び最大値を記録した。昨年の年間と四半期別の増加額とも2002年に関連統計を出し始めてから最大値だった。10~12月期の場合、住宅担保ローンを含めた家計負債が48兆ウォン近く増えた。これは2012年の年間増加額に相当する。
何より貸し出し需要が銀行圏から非銀行圏に大挙移動した点が尋常でない。与信審査強化で銀行の敷居が高くなった隙に相互金融、セマウル金庫、保険会社、消費者金融のような高金利のノンバンクが活発な営業を通じて貸し出しを増やす「風船効果」を生んだ。ノンバンクは所得と信用が低い社会的弱者・多重債務者の割合が大きい。これらの貸し出しが不健全化する場合、金融不安はもちろん低所得限界階層の生計圧迫→消費萎縮→社会不安が加重されかねない。」
上記のとおり、債務額増加した上に借入先が銀行系から消費者信用系に移っていることが国の支払い能力に危機が迫っていることを表しています。
サラ金金利は、韓国は日本と違って34、9%と言うのですから日本で言えばヤミ金並みです。
こう言う状態が長続きするわけがない・・このひずみが大統領弾劾などのヒステリー現象を招いていると見るべきでしょう。
韓国人にとっては、民意が勝ったと高揚しているようですが・・。
韓国の場合アジア危機以降中進国の罠を逃れるため非正規化を猛烈に押し進めて人件費を抑制して成功したつもりですが、その陰の部分・個人債務ばかり膨張して行き国民消費・内需が盛り上がらなかったのは当たり前です。
内需盛り上げ→アジア通貨危機のトラウマがあって貿易赤字が怖いから・・人件費を抑えて競争力を維持するしかない・中国のように外貨準備取り崩しで国民に配ることも出来ない状態だったと言えばそのとおりですが・・。

フラストレーション→英雄待望=弱い者苛め

新興国指導者の人気取り政策の共通項は、既成秩序を代表するアメリカに派手に楯突いて英雄っぽく演出するものの、具体面ではクルド族攻撃強化やテロを叩くと称して少数民族圧迫などしているのが共通項です。
ソモソモ古来からの英雄豪傑とは、圧倒的な力の差がある相手に豪快に勝ち進む・・それだけのことです。
ほんとの強い者とは、勝てる相手に無茶な勝ち方をしない・負ける相手の立場を考慮することではないでしょうか?
「武断派」とは自分より弱い者を容赦なく叩く・・「弱気をくじき強きにおもねるモノ」と言う意味かも知れません。
これが英雄っぽく振る舞うものの正体です。
日頃からフラストレーションの大きい国では、スター渇望・・弱者の見果てぬ夢を実現するかのような・・弱者をこてんぱんにやっつける大スターを求める矛盾願望があります。
マトモニ弱い庶民を虐げるだけでは庶民が喝采しないので、この矛盾を修正するために悪代官などスケープゴート役を作り上げるのが水戸黄門であり、いつもより大きな権力・あるいは剣(鞍馬天狗)や柔術の達人(姿三四郎)が痛快にやっつける仕組みです。
フィリッピンのドウテルテ大統領は、抵抗力の弱い犯罪者(水戸黄門でういえば悪代官)相手では、躊躇ない射殺を命じていますが、強い中国に対しては領海を侵害されていても一切の実力行使していません。
インドネシアは何も言いませんが、違法操業する中国漁船を爆破するなど黙ってきちんと対応していルト頃を見ると、内政がうまく行ってるからパフォーマンス不要なのでしょう。
トランプ氏も庶民受けするために支配階層を激しく攻撃しているように見えるもののイメ−ジ(自分は資金援助を受けていないと言うだけで)どまりで具体性がなく、他方で弱い移民批判ではバンバン実力行使する主張・・英雄っぽくパフォーマンスしている点では、同根です。
新興国がアメリカに対する言いたい放題をしても、本当の大国は余裕があるので、アメリカからはロシアやトルコや中国のように瞬間的報復をされる心配がありません。
大国はすぐに反撃しませんが、長期的にじんわりと仕返しをされるので長期的に国益を損なうようになるのが普通です。
中国に目の前で非礼なことをされてもその場で怒ったりしないのが大人の対応ですが、非礼行為をすれば相応の仕返し・マイナス効果を受けるから、世の中には礼儀と言うモノがあるのです。
この点では中国は日米に対して精一杯の非礼行為をして見せて、自分は相手よりどんなに偉くなったかを国民や世界に示しているつもりでしょうが、国益を考えない行動である点ではドウテルテその他と同じです。
主席になる前の習近平が日本訪問をしたときに天皇陛下面会を強硬実現してかれは「どうだ!」と言うつもりだったでしょうが、却って日本国民に大きなマイナス印象を残したし、昨年の英国訪問時のゴリ押しに英王室が公然と不快感を示したニュースが世界を駆け巡りました。
非礼ほど高くつくものはありませんから、古来からみんな礼儀作法に気をつけるのです。
常識に挑戦している点でその先の国益の喪失を知らない弱者から喝采を受けていますが、別の価値観・・ルールを提示出来る訳ではなく単に秩序破壊を主張しているだけです。
秩序破壊が進んで来て欧米の非道徳性の暴露が行われる面で日本非難に特化している戦後秩序破壊になり、将来的には日本的価値観による国際秩序が優勢になる切っ掛けになる点では、日本に好都合な面があります。
このことと、彼らの主張が正義であると言うコトとは関係がありません。
かれらは、自分の(正しいかどうかは別として)意見を言い出せる・・「何言ってるんだ!お前の方こそもっと悪いことをしているだろう」式に自己主張時代出来る時代がきた・・アメリカの作った戦後秩序が崩壊に向かっていると言うことだけを書いています。
フィリッピン大統領の主張は、自分が正しいと言う主張でなく、「お前の方がもっと悪いだろう」と言うだけです。
そこには正義の基準がありません。
しかも価値観は時代と共に変わるものですから、過去の制度を持ち出して「お前の国も元は王制だったろう」とか軍政・植民地支配だったろうといっても始まらない・・民族感情に訴える効果が大きいでしょうが、本来は今の価値観でどうかの議論をすべきです。
この辺は捕鯨問題も同じで、日本は個人的にはアメリカの身勝手な言い分と思う人がいても、これをそのまま言わずに今の基準「種の保存」の価値観で本当に禁止する必要があるかどうかの議論をしています。
公害問題も同じで元はどこでも公害を気にせずに煙を出し,川に流していましたが、今は許されないと言うだけです。
売春婦も当時の基準で議論しなければならないと言うことは、慰安婦騒動で日本人が良く知っているとおりです。
豊臣秀吉が天下人になった後に私戦禁止したのを伊達政宗が「お前だって今までやって来たじゃないか」と言いたかったでしょうが、それを言っても始まらなかったのと同じです。
いわゆる遅れて来た戦国大名の悲哀です。
  馬上少年過 世平白髪多
  残躯天所赦  不楽是如何

韓国のミニバブル4(家計負債の増加2)

消費のための借金に走る人が多いのは、成長の果実が公平に分配されていないことや、近代的モラルが定着していないだけではなくサムスンなど大手では大多数が新卒就職後3年前後で約25%離職する・・せざるを得ない?と言われている現実・・構造的要因があるようです。
就職浪人が当たり前と言う社会でやっと大手に就職出来ても僅か3年で25%が離職せざるを得ない厳しい選別が待っている悲惨・・(3年の壁を乗り越えても30〜40歳になっても日々厳しい選別・離職が待っています)超一流企業に就職出来たと自慢して来た手前,格好つけるために見込みもないのに、何か商売を始めるしかないようです。
ソモソモ大手企業への就職は非常に難しいと言われています。
サムスンなど財閥系に就職出来るエリートは一握りですが財閥系と一般企業との格差が大き過ぎることから、中小企業へ就職するよりは浪人する人が増えると言ういびつな意識構造になっていると紹介されています。
李強固氏朝鮮以来の長期のヤンパン支配による階級意識の残滓の結果、社会需要を無視した突出した進学率になっていると言われていますし、折角無理(借金)して大学まで出た以上はエリートであるべきであって、中小零細企業で「額に汗して働くことは沽券に拘る」という意識が強いために就職出来ないで浪人している(海外に売春に出たり日本でコンビニで働いても分らないから良いのかな?)と言われています。
無理して進学させる→過大家計債務の原因・・就職出来ずにオヤが返せない場合、取り立てに耐えられず海外売春婦に出ていると言うのがもっぱらの噂です。
こうした意見は当然のことながら統計等の客観資料がないので、韓国社会を見た人の主観によりますが、海外で売春婦と言えば韓国人と言う定説が広がっていること自体・就職難・・韓国の経済困窮を表しています。
韓国では、公式求職活動をしない大卒は失業者にカウントされていないとので、実質的若年失業率が半端ではないようですが真実は不明です。
(日本でも職安に登録しない人はカウントされていませんから内実が重要です・・韓国大卒は階級意識が災いして中小企業への就職を始めっから希望しないのに対して日本学生は零細企業でも何でも就職する違いが大きいようです)
国際比較するには年代別就労率の推移を見るのが結果的公平ですが、この場合にも日本のように専業主婦率の高い国では専業主婦をそのまま失業者にカウント出来ないように、民族意識の差も重要です。
国際的な差の低い男性の就労率の推移で見るのがその国の活力として分りよいと思われますが、就労率のデータがすぐに見つかりませんので以下大卒就職率で見ましょう。
以下http://www.excite.co.jp/News/chn_soc/20160126/Recordchina_20160126012.htmlからの引用です。
2016年1月21日、韓国経済新聞は、日本の文部科学省・厚生労働省の発表を参照し、今年3月卒業予定の日本の大学生の就職内定率が昨年12月1日の時点で80.4%となり、前年同期比で0.1%上昇したと伝えた。
日本の大学生の就職内定率は5年連続で上昇しており、世界金融危機の影響が本格化する前の2008年12月1日(80.5%)に迫る勢いだ。韓国経済新聞 は、日本の大企業が今春卒業予定者を対象に、昨年8月から採用活動に入っており、昨年12月には多くの企業が採用を確定していることなど、日本の好調な労 働市場の現状を伝えた。一方、若年(15~29歳)失業率(9.2%)が史上最高を記録した韓国では、大卒の就職率が56%(2015年基準)に留まって おり、若年層の厳しい就職状況を表している。」

上記記事は年末段階ですから3月卒業時には日本の大卒は95%前後の就職率と言われています。
ちなみに韓国の大卒就職率と言うのは実質はまやかしで、就職浪人・・卒業しないでいる人や給食を諦めた人を含んでいません(日本でも病気等で出席日数が足りないで卒業出来なかった人をカウントしない点同じですが・要は実質です)ので実際に就職したいのに就職出来ているのは3割程度ではないかと言われています。
社会的に見るべきは(病人や突発的故障者の数は毎年大きな変化がない筈ですから)総卒業予定者の何%が就職出来ているかでしょう。
日本で言えば、「年金未納者が減ったと言う政府発表の内実は、未納者の多くを免除したからに過ぎない」と言う報道があるように統計だけは実態が分りません。
(余談ですが、未納者には生活困窮等が多いのですが安易に免除すると払わなくなる人が増えるので、粘り強く集金して行く方法・・年に2〜3回でも払ってもらった方が良いとする運用でしたが、未納率が高いとマスコミが批判するので回収率を高める努力よりはこれらを免除に切り替えた・却って年金財政悪化しますが、批判の矛先が狂うと本末転倒になります・・公営住宅の家賃未納についても同じようなことが起きています。
ただし以下に書くように韓国政府発表の卒業者数自体にも数字の操作があるようです。
以下はhttp://blog.livedoor.jp/kanedashoji70/archives/39170025.htmlからの引用です。
「南朝鮮の場合、36%、およそ3人に1人が卒業浪人をします。この卒業浪人者は単位取得は終えているという事で在学証明書は発行されない、学籍だけがある人たちなんですね。で、当然ながら初年度に就職に失敗した人だから次年度も失敗する。そういった事もあり、大卒就職率から外される事になる。
南朝鮮の就職率56.2%(2014年度)といいますが、卒業浪人はどこにいったんでしょうかね。信用されていない統計庁の「学校・産業別卒業者現況」によると、2014年に大学を卒業した人数が26万758人(!)。ついでに無職は8万6333人。
2014年大学を卒業というの多くは1990年前後に生まれた事を意味します。そして、この年に生まれた人はおよそ65万人。2008年の大学進学率は83.8%でしたから、約54万5000人が大学に入学したはずです。それなのに卒業者が半分以下っていう事は、就職浪人以外に中退が多いという事ですね。」

上記意見は以下の通り論理が荒過ぎて必ずしも同調来ませんが、こう言う意見が普通に出ていると言う程度の紹介です。
すなわち、細かく言えば、生まれた人が21歳ころまで100%生きている筈がないのに21年間もの期間を利用する上記比率計算はおかしいし、日本だって学費が続かなかったり病気休学など一定数いるでしょうが、韓国の中退者を何故大卒の就職浪人と同視するのかの説明がありません。
比率で意見を書くならば、・・もっと近い期間比率・・・入学者数と卒業者の比率を出せば4年間の生存率の差は微々たるものですし、その間に経済・気候情勢も大きな変化がありませんので同時期の減少率を国際比較した上での意見にするのが合理的です。
諸外国と比べて入学者数に比べて卒業者数が極端に少ない場合に、諸外国平均比率で計算する実質就職浪人が何%いると言う意見が合理化されます。
上記記事は、主観的過ぎて客観性がないとしても、韓国政府発表でも学卒の5割程度しか就職出来ない実体はまぎれもない事実と言えます。

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