不祥事発覚と企業体質2(マック異物混入事件1)

汚職がはびこる・多めにみる社会でこれを拒むと何も進まない商慣習のある国で、昨日紹介したタイでの贈賄事件・・司法取引事件の様に、現地公務員から贈賄要求されても拒めるかの難問があります。
新興国や後進国では国内レベル無視で環境や労働規制も先進国基準を制定だけしておいてあとはお目こぼし社会では、ほとんどの企業が守っていないときに先進国基準の国内法令を自分だけ真面目に守れば倒産してしまう社会があります。
賄賂によるお目こぼしが常態化している時に、政敵相手に贈収賄罪でどしどし摘発を始めると政権中枢への擦り寄りしか身の安全を保てない・・それ以外の基準がない状態が出来上がり、習近平の専制支配体制がすぐに確立しました。
この流れは、外資も例外でないどころか以前よりも政府の標的にされないように神経を使わざるを得なくなってきました。
マクドナルド事件はこうした状況下で、次第に米中対決が険しくなってきた矢先に先制攻撃的にアメリカの代表的商品であるマクドナルドに照準が合わされたような印象を受けていました。
もちろん私の根拠なき一方的憶測です。
以下検索してみると、中国人の方が言われなき誹謗を受けた被害者のような受け止め方をしているようです。
26日に書いたように中国人にとっても自国文化度が先進国基準に遠く及ばないのを知っているから、已む無く低賃金や売春婦等で稼いでいるのですから、こんなことで世界の話題になるのは恥ずべき宣伝をされたと思っている人もいるようです。
NGOが中国政府筋の意向を受けて?(証拠があって言うのではなく、そう言う憶測をする人が多いと言う程度の人の意見によればの話です)日本や米国企業を痛めているつもりでも、実は自国の恥を世界に宣伝しているようなものです。
日本マクドナルドに供給する中国内の工場摘発が最初の打撃で、すぐに日本国内でも製品異物混入事件が連続発表され、その直後1〜2年は経営上どん底に陥ったのは記憶にあたらしいところです。
どのような展開であったかネット検索してみました。
https://matome.naver.jp/odai/2142059939551602301によると以下の通りです。

次々に発覚するマクドナルドの商品への遺物混入事件をまとめました。
更新日: 2015年02月07日
中国で期限切れの肉混入
マック 期限切れ肉混入の恐れ(2014年7月22日(火)掲載) – Yahoo!ニュース
マクドナルドが国内で販売しているナゲットのうち、使用期限が切れた鶏肉混入の恐れ。中国の会社が供給。
◼️ナゲットに異物混入◼️
Yahoo!ニュース – 青森のマックでナゲットに異物 (SankeiBiz)
Yahoo!ニュース(SankeiBiz) – 日本マクドナルドは5日、青森県の店舗で販売した「チキンマックナゲット」に異物が
Yahoo!ニュース – マックナゲット異物問題 東京・江東区の店舗でも「5ミリ」ビニール片混入 (産経新聞)
Yahoo!ニュース(産経新聞) – 青森県の1店でチキンマックナゲットにビニール片のような異物の混入が確認された問
チキンナゲットにゴム手袋片 マクドナルド、岡山の店舗  :日本経済新聞
岡山県津山市の日本マクドナルドの店舗で、昨年10月に女性客が食べたチキンマックナゲットに、約3~5ミリの青いゴム片が混入していたことが10日、同社への取材で分かった。タイの製造工場の従業員が肉の裁断
◼️ポテトに異物混入の恐れ◼️
フライドポテトに「歯混入」苦情 日本マクドナルド – スマホ版 – 47NEWS(よんななニュース)
日本マクドナルドは6日、昨年8月に大阪府の店舗で販売したフライドポテトに、人の歯が混入していたとの苦情が客から寄せられていたことを明らかにした。「製造工場、店舗での混
容器の中に虫 保健所がマクドナルド指導 NHKニュース
去年9月、群馬県吉岡町のマクドナルドで、ポテトフライの容器の中に大きさが1センチ程度の虫が入っていたとして、保健所が立ち入り検査をして防虫対…
◼️デザートメニューに異物混入◼️
長野のマクドナルド ソフトクリームに異物 NHKニュース
日本マクドナルドの商品への異物混入が相次いで明らかになっていますが、長野県松本市にある店舗でも、7日販売されたソフトクリームにビニール状のも…
◼️ホットケーキに異物混入◼️
マクドナルド異物混入 京都の店舗でホットケーキに金具が混入:日本マクドナルドの商品に、異物の混入が確認された問題で、2014年9月、京都府の店でも、ホットケーキにアクセサリーの金具が入っていたことがわかった。…
◼️朝マックメニュー◼️
マクドナルド 沖縄でもプラスチック片 NHKニュース
沖縄県北谷町にある日本マクドナルドの店舗で、去年11月、客の4歳の男の子が、食べた商品にプラスチック片が混入していたという報告が寄せられてい…
川越のマクドナルドで針?混入、男性がケガ : 社会 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
◼️ハンバーガーメニュー◼️
沖縄のマクドナルド チーズバーガーに異物 NHKニュース
日本マクドナルドの商品への異物混入が相次いで明らかになるなか、那覇市にある店舗でも先月、客が購入したダブルチーズバーガーに、発泡スチロールの…
ハンバーガーに虫、金属片…新たに混入発覚 | 日テレNEWS24
日本マクドナルドの異物混入問題で、埼玉県川口市の店舗でも先月5日、ハンバーガーに約1.5センチの金属片3本が、千葉県船橋市の店舗でも去年9月、ハンバーガーに虫が混入していたことが発覚した。
仙台のマクドナルド “チーズバーガーに紙片” NHKニュース
日本マクドナルドの商品への異物混入が相次いで明らかになるなか、仙台市の店でも、去年11月、チーズバーガーを購入した客から中に紙片が混入してい…
マクドナルド 大分の店でもビニール状異物 NHKニュース
釧路のマクドナルド “ハンバーガーに異物” NHKニュース
日本マクドナルドの商品への異物の混入の報告が全国で相次いでいるなか、北海道釧路市の店舗にも、去年9月に販売されたハンバーガーに差し歯のような…
マクドナルドのハンバーガーに毛が混入 : 社会 : スポーツ報知
福島県郡山市のマクドナルド郡山並木店で昨年12月25日に販売されたハンバーガーの中に、長さ3センチ程度の毛が混入していたことが13日、郡山市保健所などへの取材で分かった。
マックでネジ混入 誤飲の苦情(2015年2月7日(土)掲載)
てりやきマックバーガーにネジが混入していたとの苦情。客は誤ってのみ込んだという。

こんなに次々と異物混入が起きるのって、常識的に見て企業テロの疑い濃厚と思いたくなりますが、警察が動かなかったようです。
海外工場なので日本の警察が捜査できなかったのでしょうか?

不祥事発覚と企業体質1

フェイスブックの情報漏洩の例を見ると「一事が万事」というか、最末端不祥事発生は単なる例外的不祥事に過ぎないか、企業方針として元々個人情報を軽視してきた・倫理軽視の基本的体質が露呈したにすぎないかの見極めが大切です。
検査マニュアル無視や品質偽装問題その他これまで露呈した多くの問題は業界標準的運用・「(この程度は大目に見るというか?・必要以上に短すぎる賞味期限表示同様に「少しくらい問題がない」というような)意識が蔓延している・・自社だけではなく業界で皆がやってるから・・」という意識・不正をしている意識鈍麻から起きていることが耐震強度表示その他各分野で露呈していて次々と同業種間で同種偽装が発覚しています。
日本の誇る高品質の信用はどうしたという批判が聞かれますが、法規制や社外向け品質基準の提示は掛け声だけで実態が追いついていないことを皆が大目に見ていたのを、(実態能力より厳しめの規格にしてそれを目標に進化するという暗黙の合意成立する場合もあります・法的にこれを明確化しているのが公布後施行日まで数年置いて現場が追いつくのを待つとか、当初基準が緩めにして数年ごとに基準数値を徐々に引き上げるなどが合理的ですが、消費税の思考当初のように、年商一定額以下(これも次第に下がっています)は大ざっぱな納税で良い・消費税納付義務を緩める・いわゆる「益税」などの緩和措置もありました)
政治資金規正法などでは急な意識変化についていけない分野ですので、当面多めに見るという暗黙の合意があったように思われます。
当面の暗黙合意に過ぎないのに政治家が「多めに見ることになっている」という意識のまま、法制定あるいは規則強化後10数年も安住しているとある日突然パッシングを受けてうろたえることになります。
辻元清美氏が新人議員の時に土井たか子衆院元議長から伝授された方式でやっていたら、政治資金規制法違反だったかの詐欺罪だったかで実刑判決を受けて服役した事例がこれに当てはまるでしょうか?
我々弁護士会でも、意外に高齢会員が懲戒される事例が増えていますが、法令の変更だけではなく、どの程度まで弁護士がやるべきかの境界が動いています。
弁護士大量供給時代に入って約15年以上経過すると当時若手のサービス過剰?が「可哀想」の対象であったのですが、今や大量合格以降に弁護士になった会員の半数以上になってくると、彼ら若手の弁護サービスが標準的サービスと思われるようになる・・逆に若手同様のサービスをしないと義務違反の不満が出てくるようになってきました。
耐震偽装や、車部品の品質偽装などでは
「法規格以上のスペック提示だから法規違反ではない」と言う声も聞かれましたが、そうは言っても「約束通り」にしろという期待・法意識の合理化が背景にある・民度が上がってきた結果ともいえるでしょう。
不祥事発覚当初は現場個人責任か企業体質によるのか見極められないから、ほんの一例でも不祥事が出れば、日頃の体質・企業倫理姿勢が出たのではないか?との疑いを持ち厳しく批判をするのは合理性があります。
フェイスブックのザックバーガー氏の基本体質、個人情報などに関心を持たない点を昨日紹介した Financial Taimesの意見が厳しく批判しています。
ただし、中国や新興国への生産移管は、元々日本や先進国よりも、衛生基準が低いことや労働条件劣悪・賃金水準が日本より安いこと・品質も日本より数段落ちる前提での生産移管です。を常識的前提でコスト減を目的に国外進出するものです。
それなのに、低賃金〜非衛生環境でこき使っていると批判されるのは企業にとっては・消費者は「中国製であれば品質基準はこの程度」という納得で買っているのではないか?という立場とすれば心外でしょう。
仕入れ業者は、少しでも安いものを仕入れたいから、「安かろう悪かろう」を承知で仕入れているのですが、末端消費者はそれを知らされていません。
私の家でも生協の配達を頼んでいますが、毒餃子事件が起きて生協が中国の工場で作った餃子を仕入れていたことを報道で初めて知ったものです。
最近では生産地表示義務が徹底されていますが、表示さえ正確であれば国民は納得で買う以上、一定の諦めがあります。
「ある程度汚いのは知っているけど半値以下だし安いから良いか」と買った人は少しくらい衛生基準が悪くても中毒事故にさえならなければ「そんなもの」という諦めがあり、怒りません。
(とはいうものの「毒餃子」となれば驚くでしょうが)
現地国にとっても先進国基準で賃金を払って欲しいし、冷暖房完備・衛生的に行き届いた環境で働かせたいが、それでは工場誘致できないので、「先進国に追いつくまでは低賃金でも我慢するので工場進出して欲しい」という妥協でなりたっているものです。
これを中国は汚いと世界中で宣伝されるのは、恥ずかしいし嫌なものでしょう。
不正競争防止法で、どの程度まで国外違反を許さないかは民意をバックにした国会で決めるべきことであって、なんの民主的裏付もない(もしかしたら中国から資金を得ているかすら不明の)NGOが国連にも持ち出して日本批判する資格があるか不明です。
ただし、賄賂を要求に応じないという評判自体良いことですが、それをしないと受け入れう現地企業より不利に扱われれるという意味では内外不平等の原則を受け入れたという中国の国際約束に反します。
衛生・品質基準が日本企業は特に厳しいというブランドイメージが中国国内で定着すれば、日本への輸出基地機能としては利用できなくとも、逆輸入や第三国への輸出基地としての工場進出が終わって中国国内市場での販売目的の進出の時代になると品質ブランド定着が有利に働く面もあります。
MGOによる日本企業批判(反日目的?)運動が、今の訪日中国人観光客の爆買いに繋がっているとすれば、何が幸いするかはわかりません。
先進国では日本だけエネルギーの国外依存度が高かったせい石油ショックで大変ではあったものの、その結果省エネ対策が最先端になって今国際競争j城有利になっているし、左翼による公害反対運動が厳しかったおかげで環境規制対応力で世界に先駆けることができたこともあります。
汚職関連も同様で、中国人上司の指示や部下の進言で賄賂提供に日本人が関与すれば日本人だけ日本の警察に検挙され処罰される仕組みだとかわいそうです。
特に後進国では国際標準な合わせるために、先進国なみの厳しい法令を施行して先進国の体裁を整えるものの実際には摘発しない・・運用が緩やかという例が多いのですが、(中国の知財関連法はその最たる例です)誰も守れないし、守らなくて良い法令でも後進国では作っておけば、政府が処罰したい人物や企業に対しては(習近平が政権を握ると汚職で検挙粛清した)規制違反で処罰できる仕組みです。

企業買収→自国企業に技術移転出来るか?

日本企業を買収しても高度製品は日本でつくるしかないとした場合、折角日本に資本進出・企業買収しても中国人労働者がローエンド製品しか関与出来ない・・アメリカがアップルの生産を中国工場にほぼ100%取られているのと同じで・・国家的には資本所得しか増えません。
中国の資本進出パターンが成功した場合中国社会・労働の質がどうなるかの疑問です。
資本参加すれば高度企業秘密を取り込めるかも知れませんが、文字化出来ない現場のスキルを取り込めるかは別問題です。
日本の場合、高度技術を前提に後進国への合弁進出・指導ですから、後進国に日本が技術移転しても現地生産分だけ国内生産が減る程度に過ぎないうえに、なお(15日紹介した中国人のように日本本国生産品にこだわる高レベル消費者が一定量いる結果)一定のメイドインジャパンの輸出が残る・・貿易黒字が残ります。
アメリカでの日系自動車の現地生産車が400万台に迫ると報道されていることを紹介しましたが、それでもメイドインジャパンにこだわるユーザーがいるので対米輸出が残っています。
これが11日紹介した16年度の国際収支で(巨大な資源輸入した結果でも)なお2兆円に上るサービス・貿易黒字が残っている原因です。
中国の場合国内では、ローエンド〜セカンド製品しか作れないままで、買収によって資本所得だけ増やして行くとまさにアメリカのアップル現象に似て来ます。
アップルのように独自開発でさえ組み立て生産の99%をローエンド国にたよるしかない・・多数労働者を養えない結果、格差拡大でアメリカが困っているのに、独自開発したわけでもなく資金力に任せて買収しただけの中国資本が、どうやって本国の労働レベルの底上げに結びつけることが出来るかです。
アメリカよりも比較にならないほどの巨大人口を抱えている中国が、折角買収した日本企業自身が普及品生産をもっと人件費の安いチャイナプラスワンに工場を移して行くとどうにもなりません。
せいぜい資本所得で儲けられた人だけが、高所得を満喫出来るだけ・・アメリカ以上の格差拡大になるだけでしょう。
これが民間企業家ならばアメリカ同様の能力差によるものですが、国営企業関連の日本投資となれば、結局は共産党幹部の不当・・不明朗収入源にしかなりません。
人民の職場創出のために折角日本企業を買収した以上は・・と、経済原理に合わない割高な中国現地生産を続けると、中長期的には中国資本の入っていない競合他社に負けてしまいます。
日本の民族企業が、已むなく現地生産・後進国に進出しているのと同じで日本資本か外資によるかの違いは、進んで海外進出するか仕方なしにやるかの違いでしかありません。
国際競争に生き残るには工場労働者のレベルをローエンドからセコンド〜ハイエンドレベルに高めて行き、買収企業製品の中の高級品生産を中国へ少しでも移管して行くしかありません。
日本企業を買収した方が中国人を日本本社に送り込んで訓練させるチャンスがあるのでレベル引き上げに資するとは思いますが、全国民をハイエンド向けに引き上げるのは無理なので、どの比率まで引き上げられるかに掛かります。
中国資本が買収したボルボ自動車が中国向け現地生産だけでなく、輸出用高級品生産を始めると出ています・このためスエーデンから技術者を中国勤務を命じて?中国人指導に精出させているとも言われます。
高級路線化に成功すれば、中国にとって画期的なことになりそうです。
シャープ・東芝であれ、その他企業であれ、チャンスさえあれば買収して10に1でも技術移転に成功すれば儲けものでしょうが、(日本人の場合そうなれば、やめる人の方が多いでしょうが・・それでも10人に一人協力する人が出るでしょう)これがうまく行かない場合のこです。
技術導入するにしても高度技術者はそんなに多くいりません・・人口数が多いことは消費大国としての発言力があるとは言え、生産国としてはメリットではない・・人材レベルが重要な時代になって来ましたので、19世紀の延長でヤミクモに人口を増やして来た米中が困っている筈ですが、その原因に気が付いていないようです。
米中共に5月13日に書いたようにシンガポールのように社会組織を適正規模に作り直して独立させて、それぞれのレベルにあった生き方にすれば良いのですがそこが分らない・・分りたくない。
大きな田舎の屋敷よりは、都会のマンションの方が機能的で住み易いのですが、過去の栄光にこだわって大きな屋敷を棄てられない状態・・・「中華の栄光の回復」も同じ発想です。
アメリカは、January 22, 2017「新興国台頭と日本の進むべき道2」前後で書いたように流れ作業の発明で熟練工を不要化する方向へ舵を切るなど食品であれ衣料品であれ、質より量・・粗放・大量生産に特化して来た・・人材も質よりも量・・移民流入奨励が国是でした。
西欧のEUの拡大政策も戦争をなくすなどのきれいごとを言うものの、その本音は米中同様に規模の利益を追うものであって、時代錯誤だと言う批判意見をJuly 3, 2016,「欧米と日本の対応2(EU→一体化・対外障壁) 前後で書いて来ました。
質より量の19〜20世紀型に特化し過ぎた点で、アメリカも中国も困っている点は同じです。
アメリカの場合、資本進出(海外進出・・例えばGMは中国での製造販売が利益の殆どと言われています・・)による国外からの利子配当収益が大きいメリットがありますが、中国の場合まだ所得収支は(クルマその他まだ多くは外資中心社会ですから)大赤字のママとの違いがあります。
アメリカの場合国外からの資本収益だけでは飽き足らず・・と言うより、13日に書いたように資本収益に頼ると国内で資本収益に関係しない階層との格差拡大するので)国内生産回帰を言い出したのですが、中国の場合はまだそこまでも行っていません。
中国の格差発生の主な原因は、海外収益に関与出来るかどうかではなく、共産党幹部・高官による天文学的な賄賂収益によるものでしょう。
国内生産が細って行くと巨大人口を抱える米中両国が困り・・そのストレスを諸外国にぶつけているのが中国の近隣国威嚇であり、トランプのアメリカ中心主義宣言でしょう。
時代遅れの国家形態・・巨大人口を抱えた米中両国が、「大き過ぎて潰せない」を絵に描いたような世界の波乱要因になって来たことになります。
アメリカ中心主義・・国内生産に合理性があればアメリカ企業がトランプに言われるまでもなくそうしています。
どこの企業も自国から出て行って、制度習慣の違う国外でそこの権力に気兼ねしながら生産したい企業はありません。
ローエンド品を作るにはアメリカでは人件費が高過ぎるからローエンド生産をアジアに移転し・直接投資による資本収益構造に切り替えて来たのはアメリカ企業自身の選択でした。
誰でも本質は自己中心主義ですが、相手のある相互関係ですから身勝手なことは出来ないと悟るのが、社会性の問題です。
「アメリカ中心主義」と怒鳴られ・高関税をかけると言われるとさらにどんな嫌がらせがあるかもしれないので経営者は一応恭順の意を示しますが、経済合理性に反した保護主義・自分勝手主義は中期的には無理があります。
保護主義が仮に成功すると国際競争力のない企業温存に繋がり、(国民は世界先端ではない劣化版の商品サービスを買わされるので)結果的にアメリカの消費水準を落とします。
巨額貿易赤字(資本収益等による還流による穴埋めで)・・消費水準の高さがアップルのような新しい産業創出の原動力ですから、消費レベルが下がると開発力も下がり、単に消費するだけの国になります。
トランプ政権の保護主義政策が成功すると国際競争力の低下を招く一方になり、輸入が減れば国際的発言力が下がります。
それが我慢出来なくなると、時々ヒステリー的武力に訴える威嚇外交に戻るのでしょうか?

コーポレートガバナンス1(成長企業と安定企業の違い)

セブンイレブンの騒動は任期満了を待ったと言うのですから、皇帝などを途中廃帝にするのとはちょっとちがいます。
不正や大失敗がない限り任期満了→再任拒否出来ないのでは、前例のない分野にリスクをとって踏み出すべきトップの選任・解任方法としては逆に非合理・・と言う余地もあります。
これまでトヨタの奥田氏抜擢やフロントで奥田氏の弟を海外子会社から抜擢して本社社長にした例・・あるいは日航再建での京セラ社長の抜擢、徳川将軍家での吉宗の抜擢などを見れば、総べて本体危機時の緊急登板です。
セブンイレブンの場合、最高益更新中の社長再任拒否らしいですから・・緊急性がない点が支持を集められなかったことになります。
鈴木氏とすれば経営者は4〜5年先どころか10年先を見なければならない・・今のうちに手を打つべきと言う危機感でしょうが、(昨日書いたように会長の影響力を保持したいために漸く慣れて来た現社長をコケにしているのではないかと言う疑念もあるし)実績主義に慣れた普通の人の理解を得るのは困難だったでしょう。
会長制の是非・・どちらが正しいかの実質論を離れて再任拒否の手続論に戻ります。
いわゆるカリスマが10人も集まった場合、4〜5先あるいは10年先のために手を打つべきテーマを多数決で決めるのも良いでしょうが、1つの組織にはカリスマは一人しか要りません。
トヨタの奥田氏など例を書きましたが個性のある人は子会社に飛ばされるのが普通です・・「船頭多くして船山に上る」と言うように、本部で角付き合っていると企業が前に進みませんから本部運営から外しておくのは良いことです。
イザというときのピンチヒッター要員としてあまり本部の目の届かない自由度の高い海外子会社などで温存し、その人がのびのびと個性発揮させておくのが合理的です。
上記によれば、本部・・側近として残っている取締役は必然的にカリスマの言うとおりに実行する能力が高いが、それしか出来ない取締役が一般的になっています。
日本電産の永守重信氏やソフトバンクの孫正義氏、鈴木自動車の鈴木治氏などなどを見ればすぐに分りますが、彼らは取締役多数の決めたことを実行しているだけとは到底思えません。。
ユニクロでも次期社長にバトンタッチましたがうまく行かずに柳内氏が復帰しましたが、トップ次第で業績が大きく変わる事実はトップが取締役会の合議の結果・・ありふれた意見を集約して企業運営しているのではなく、取締役会は逆にトップの指示を受けて前向き検討機関になっていることを如実に表しています。昨日あたりにユニクロの柳内氏が昨年からの値上げ方針が間違っていたことを率直に認めていますが、トップ主導で決めて行くからこそ、自己責任を率直に言えるのです。
実績主義で上がって来たあるいは本部に生き残って来た実質的部下が、カリスマ経営者の提案を多数決で否決するのは背理です。
すなわち、トップが方針を決めて役員会はその遂行機関(追認)であることが実態であり,この方が実際に合理的であることを示しています。
ところで法的には社長は取締役会の選任→意見で動くモノであって社長の方が下位機関ですが、実際には上記のとおり指示待ち・・イエスマンのそろった取締役多数の言うとおりにしていたら何も進みませんので、トップ人事が株相場の上下に影響を与えているのです。
自治会などの団体のトップは、構成員の意向や世の中の流れにあまり遅れずに従っていれば良いのですが、(いつお花見会を開くか敬老会でどう言う引き出物を用意するかなど・・大方の意向に従った決議が妥当です)企業は先ずトップのリーダーシップで前に進まない限りジリ貧です。
企業は世間のトレンドがマスコミで報道されてからそんなに遅れずに設備投資したり社員訓練をしていたのでは、ドンドンジリ貧になって行きます。
鈴木自動車の鈴木治氏や孫正義氏,日本電産の永守氏,シャープ買収を決めた台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業の郭台銘(テリー・ゴウ)董事長らのカリスマ的経営者にそれぞれの取締役会の多数意見が、彼らに値上げ方針などを指示命令する姿を誰が想像出来るでしょうか?
大方の・・無難な意見を代弁する取締役会決議に従って社長が動くのは停滞・老舗企業に任せて、新興成長企業は、社長・トップの指導力に従うしかない・・コーポレートガバナンスも老舗・ジリ貧企業と新興・個人企業とでは違ったルールであるべきです。
国家的にみても、新興国では開発独裁政治が能率がいいことが知られています。
国家の場合には国民の人権的側面が重要ですが、企業の場合、取締役の人権?とは何でしょうか?
マスコミや学者がみているのは、創業期から続く成長企業から停滞企業に脱皮?した大手企業の方が多いでしょうから、安定成長型企業を前提とするコーポレートガバナンスをマスコミが「唯一正しい道」と宣伝しているように見えますが、社会には一定の躍進企業・・高成長企業が生まれて来ないとその社会の活力がなくなって行きます。
無謀とも言えるニトリ創業者の例やアイリスオーヤマの大躍進の例などみても、(大方の常識的意見に従っていたのでは出来なかった)創業者の創意工夫で躍進を続けて来たことが明らかです。
現在唱えられているコーポレートガバナンスは、(マスコミはセブンイレブン騒動をガバナンスが機能した事例と応援するニュアンスですが・・)誰も気が付かないような新たな投資をして成功すれば成果は大きいものの失敗すれば大変なことになる・・失敗して大きな損失を出すリスクよりは,儲けが少ないが確かな効果のある他社追随型投資・世間のトレンドに少しでも早く乗る程度の投資しかしない現状維持で大過なく役職定年まで勤める人たちのために安住の地を作る政策です。
「養子」(サラリーマン社長)が家を守る経営的発想・・先走って失敗しない・早耳で先行企業について行く・・後追い政策で行って年数%ずつ縮小の方が企業が長持ちするものですが、これでは社会の活力が奪われてしまいます。
マスコミ(多くはサラリーマン)はこのような自己保身的サラリーマン社長の立場を代弁していると思われますが、もっと成長したい企業にとってはマスコミ・(せいぜい早耳程度)識者の言うコーポレートガバナンスは、成長阻害のためにあるようなものです。

虚偽報道とマスコミ倫理2

民主国家では誰でも、特定立場の報道・主張をしても良いことですが、ないことをあったかのように虚偽報道して、虚偽事実を前提に特定政治目的実現を目的にするようになって行くのは行き過ぎでしょう。
報道機関と名乗る以上は、先ずは客観的事実報道をすることが先決的職務であって、その上でその事実に即して社説や意見を書くのは良いですが、(意見相違は民主国家においては当然許されることです)事実報道を歪めてしまうと報道機関ではなくなってしまいます。
マスコミに限らず、事実報道を正確にしてくれれば多くの国民もその事実を前提にいろんな意見が形成されます。
健全な思想の発展・意見の育成が民族の発展に益することから、前提事実を国民に知らせるインフラとして報道の自由が重視されているのです。
前提事実をねじ曲げて虚偽報道するようになると民主国家に必須の自由な言論を歪めてしまうので、有用な存在ではなくむしろ悪い存在になってきます。
主治医が治療会議で検査結果を偽って報告して、自分の考える治療方法へ誘導しているようなものです。
医師の場合、開腹等手術してしてみれば、主治医の報告する検査結果と違っていることがすぐにバレますが、政治問題では虚偽性が発覚するまで長期間かかる結果、発覚したときには選挙が終わってしまうなど虚偽報道の損失については、取り返しのつかない損失に繋がります。
薬は毒にも薬もなると言う諺のとおりですから、故意に事実を歪めて毒を盛ったような場合、(医道審議会等の制度があって)医師資格を取り消すべきことが予定されています。
マスコミ業界にはこの種の倫理に関する審議会制度がないとすれば、ブレーキのない車のような制度設計・・しかも事故を起こしても処罰する法がない状態と言うべきでしょう。
(大手マスコミ/朝日新聞に限らず週刊誌系も含めて)これを良いことにやりたい報道の虚偽報道競争になっているのかも知れまぜん。
文句あるならば名誉毀損で訴えればいいだろうと言う制度では、政治的な虚偽・偏向報道を誰も名誉毀損で訴えようがないので、やりたい放題となってきました。
民族に対する誹謗に対しては、名誉毀損の裁判が出来ないことを9月1日の「朝日新聞の大誤報(名誉毀損1)」で紹介しました。
個人政治家の場合、裁判出来ますが、虚偽報道で評判を落とされると数年がかりの裁判で勝っても裁判しているうちに選挙が終わってしまい意味がなくなります。
裁判の結果、慰藉料を少しくらい取っても落選すれば、政治生命が終わりです。
民族に対する虚偽事実に基づく誹謗の場合、政治効果を狙っている点では、内容によっては取り返しがつかない点では数〜10人に対する殺人罪よりも結果が重いと言うべきです・・。
民族の名誉のために戦争が起きることが結構ありますが、その結果数百人の命を落としてもやる価値があると言う判断基準があることになります。
この重大「犯罪」(法に規定がないので法律上の犯罪ではありません)に対して、処罰方法もなければ、自主的倫理基準すらありません。
規制法や業会基準もがないことを良いことにした開き直りを放置すれば、義憤にかられた直接行動が避けられなくなるように思われます。
テロが世界中で起きるのは正義の観念に反している事態が起きているのに、これを救済する方法がない社会システム下(一般的に公平な法整備の進んでいない社会)で起きるものです。
今のところ国民が理性でこれを抑制していますが、この危機感から虚偽報道に関係した人物らしい人には警察の方で、常時警備を強化しているようです。
今のところまだ暴発がありませんが、これを防ぐには規制法がないことを良いことにして開き直りするのではなく、自主的贖罪が早く行なわれることが重要ではないでしょうか?
テロが起きるのはテロ行為をする人のレベルが低いばかりではなく、実質的な被害を受ける場合の救済の仕組みや処罰制度・自主規制整備が進んでいない社会との相乗効果です。
とは言え、テロ行為が起きると世界の批判が日本にまた集中するので、朝日新聞の思うつぼになりかねませんから、国益を守るためにも暴発にならないように右翼は抑制して欲しいし、虚偽報道するマスコミに対しては自主規制する業界基準のようなものを早く制定して欲しいものです。

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