「報道と人権委員会」(朝日新聞吉田調書1)

吉田氏生前に密着取材していたノンフィクション作家門田氏から、内容が違うのではないかの批判を受けて、逆に「・・楯突くとジャーナリストの世界から抹殺するぞ!」と言わんかのような威圧をしていたことも知られています。
これも世論を刺激した要点でした。
あまりにも酷い態度に非公開文書の内容を知っている政府が動いて、公開を決めた途端に、公開日に間に合うように急いで謝罪会見するようになった顛末自体が、如何にイカサマ承知で報道していたかと推測されていました。
原発吉田調書関係についての「報道と人権委員会」結論が11月12日に、慰安婦でっち上げ?報道関係については第三者委員会の結論が12月22日に出ました。
以下「報道と人権委員会」見解の一部引用です。
(1)抗議書
6月上旬、週刊誌から相次いで取材申し込みがあった。担当次長、広報部長、編集部門で危機管理を担当するゼネラルマネジャー(以下「GM」)の部下であるゼネラルマネジャー補佐(以下「GM補佐」)らの集まる会議が開かれ、対策を協議した。担当次長は「少なくとも外形的には命令違反の行為があったことは間違いない」と主張し、この論理で対処していくこととなった。
朝日新聞社は、前記週刊誌2誌に対し、広報部長名で訂正と謝罪記事の掲載を求め、「誠実な対応をとらない場合は、法的措置をとることも検討します」とする「抗議書」を送り、10日付と11日付朝刊にそのことを伝える記事を掲載した。
また、8月、産経新聞と同紙に寄稿した門田氏に対しても、同趣旨の抗議書を送った。
(4)9月紙面計画
 朝日新聞は8月5、6日と、いわゆる慰安婦問題の特集記事を掲載した。7月はその準備に追われたが、掲載後も他メディアからの批判も含めて反響は多く、編集担当も含めた危機管理担当の役員たちと編集幹部はその対応にも追われた。
8月18日、前記のとおり産経新聞が吉田調書を入手したと報道したことを重く受け止め、編集担当やGEの指示で8月21日、GM補佐が初めて、吉田調書の開示を受け、読み込んだ。また、事態は深刻であると考え、編成局長補佐の1人を吉田調書報道の担当補佐(以下「担当補佐」)とした。」

上記によれば、産経が調書全文を取得したと報道したのであわてて読んだ・・関係者が調書自体を全く読まないで「法的手続をする」と脅かしていたことが分りました。
誰も調書を入出来ないから・・と(噓でも何でも)強き一方で推して行くこうと、高をくくっていたことがこれで分ります。
積極的な法的文書を出す場合には、法的判断・吟味をしてから文書化するものですが、(大企業が法的手続きをすると言う文書を出す以上は、弁護団の意見を求めている筈ですし、弁護士は肝腎の文書すら見ないで、朝日の解釈が正当だと言う意見を書く筈もないのですが、(書いていれば大弁護過誤事件です)が「見解」には委員会がこの調査をしたのかしないのかすら記載されていません)それすらしていないのは、非公開だから相手が証拠を出せる訳がないと言う判断が先行していた・・庶民の推測が正しかったことが証明されました。
記事内容の決定は、相手が反論資料を入手出来るかどうかを基準にしてどこまで噓を書いて良いかではなく、自社の報道が事実に合っているか否かこそ大前提・・事実報道こそが使命ですが、資料も読まないで反論するなどと言う荒唐無稽な行動をしていたと主張するのを見れば、朝日新聞社全体で事実を無視していたことが明らかになりました。
(ただし、「記者2名だけ責任をかぶれば良いので、上司や広報部等は誰も読んでいなかったことにしよう」と言う申し合わせによる調査結果であるかまでは分りません。)
データ改ざんまでしない・・正しい事実を紹介しながらでも、巧妙に偏ったイメージ報道するやり方を1月2日以来、批判して来ましたが、これを一歩踏み越えた事件です。
従来から頻発しているやらせ記事を(プライバシー保護と称して、実名を出さないので実在するかどうかの証明すらありません)一歩踏み越えた領域と言えないこともありません。
東電職員には、やらせに協力する人が一人も出なかった点が朝日新聞の誤算だったでしょう。
一般やらせ事件は、(巷間言われている慰安婦事件を含めて)何億人のうち、誰でも買収や日当を支払ってやらせ演技者に仕立て上げることが可能ですが、今回は非正規を含めた東電職員に限定されていたので「命令無視して逃げた」とか「指示を聞いた」と言う職員取材に)失敗したのではないでしょうか?
当然「見解」は「取材に協力得られなかった」と書いているだけで、やらせに協力する人はいなかったと書いていませんので、以上は小人による根拠のない憶測です。

マスコミの情報操作5

輸入が徐々に減って国内雇用が増える恩恵(菱木雇用が増え失業率低下)が始まっており、これが自国通貨安の狙いですから、日本のために良いことがあると(中韓は損する関係?)いつも都合の悪いところばかりマスコミがとりだして 強調するのはおかしな姿勢です。
ただし、どんな政策でも恩恵を受けない少数者が必ず発生するものですから、その方への目配り・指摘することも必要です。
消費税に対して生活必需品を除く・・車が出来れば事故が起きますので、安全対策や事故被害者救済政策の必要など、負の側面解消の指摘までは合理的ですが、さらに車や工業生産拡大そのものに反対するのは論理飛躍です。
同じく円安の負の側面も指摘する必要は分りますが、トータルとしての経済政策の是非・・円安批判・・マイナスイメージ刷り込みまでをメデイアの役割として必要か、妥当かとは別問題です。
(後記のとおり、論理的意見の開陳は許されるがイメージ宣伝する不当性をここでは書いています)
円安の恩恵にこぼれる階層があるとしても、(車に乗らないで被害に遭うだけの人、道路を造れば立ち退く人もいるし、自宅改築すれば、その間生活が不便(時間軸の誤差)でしょう)恩恵の及ばないひとが皆無・万人に好都合な政治はあり得ません。
恩恵の及ばない人や被害を最小限にとどめながら最大多数の幸福を狙うのが政治ですから、個別の弱者救済論に留まらず、政策批判する場合には、受益者数と、恩恵の及ばないグループとの公平な比較・・相対的優劣を論じるべきでしょう。
公平な意見を述べた上で恩恵の及ばない少数者に光を当てるのも必要ですが、論理を書かないでムード的にマイナスばかり強調する・・イメージ刷り込みを続けるのでは、政策全般に対する批判・・政策が悪いかのようなミスリード記事になります。
(論理建てしない・イメージ報道を繰り返すのは、反論を許さないやり方・広告宣伝のたぐいであって、そもそも言論と言えるか疑問があります。)
マスコミは高齢者就労率増加や女性新規就労記事もぽつぽつと書いているから偏向していない・・違法ではないと言う価値観を持っているようです。
12月30日に名誉毀損記事の裁判例で紹介したように、大見出しでは「格差拡大」や恩恵を受けていない人の特集記事が氾濫している一方で、あちこちの別の見出し記事の中に「モノゴトは順を追って進む」意味の記事を目立たないように書いているので結果として偏っていないことになるのでしょうか。
マスコミは、「違法で」なければ良いのではなく、自社の期待する政治立場へ(論理を明らかにしないムードの刷り込みで)情報操作してよいとは思われません。
マスコミは中立である可シと言うコンセンサスがあるすれば、見出しも公平に作るべきでしょう。
円安関連報道を見ると景気拡大の恩恵を受けている人の方が少ない・少数派を多数派であるかのようなイメージ造りに励んでいる印象です。
真逆の報道をそのまま信じている頭でっかちの政党が、これが多数だと誤解して?公約に掲げて頑張るからわずかしか当選出来なくなったように見えます。
韓国政府が自分の意のままに報道してくれる朝日の慰安婦報道を利用して暴走してしまい、今や困っているのと同じです。
左翼系も中韓政府も日本マスコミ支配しているつもりで、(真逆の報道を長年続けて来た張本人が、この効果を過信し、自分タチの作ってきた虚偽記事が日本世論実態であると過信して)失敗している構図です。
比喩的に言えば、裸の王様がこれを賞讃する国民全部に(本心と誤解して)これを着せてやろうとして、寒さに震える国民に抵抗されたような状態です。
以下、事実報道よりもマスコミ各社の政治方針・色づけが先行している事例として、昨年発覚した朝日新聞の連続誤報・虚報事件を参考事例にして行きます。
朝日新聞による原発吉田所長の調書の曲解記事報道は、職員が命令に反して逃走・職場放棄したとは読めない資料なのに、これをそのように発表してしまったと言われています。
余程偏った読み方をしても客観状況とあわせてそのように読めない資料だったらしいですから、(事前手配したバスに乗って整然と移動して、次の指示で整然と戻っている・・指示系統が乱れていないこと)朝日新聞では事実報道よりも先に「こう言う報道したい」と言う結論(偏った立場?第三者委員個人意見によれば「角度」)が先にあったことが原因と見るの普通でしょう。
朝日新聞の悪質性批判の中心は、吉田調書が非公開と決まっていたこと・・誰もねつ造虚偽報道の批判が出来ないことを良いことにして、逆の意味にすり替えて公表したのではないかと言う疑問です。 
そうとすれば確信的虚偽報道行為です。
こうした国民世論沸騰によって謝罪に追い込まれ、第三者委員会の出番となったのです。

マスコミの情報操作4

非正規雇用増と同時に平均賃金低下・または増加率が低いことを主張・紹介すれば、景気が良くなれば平均賃金が下がるのだなとすぐに気が付きます。
そこで別々の(数週間)離れた記事にするところが、一定方向へ誘導しようとしているマスコミの智恵・ミソです。
統計による客観報道であるかのような?マスコミの見出し記事は、格差拡大を宣伝したいことが先にあって、好景気の負の側面を無理に別々に切り離して書いているので数字の魔術師みたいです。
データを部分的に引用して事実報道らしく見せかけながらも、全体データと結論が結びつかない論理ですから、録音テープの切り貼りしたものを裁判の証拠に出しているような状態で、実質的には朝日新聞のねつ造傾向(これは巷間の噂・印象であって事実かどうかは分りません)に限りなく近い報道の仕方がマスコミ界全般で普通に行なわれている印象です。
朝日新聞による原発吉田所長の調書報道が問題になったのも(調書が公開されないことを前提に)調書の中から自社主張に都合の良いところだけ抜き取って「編集」プラス「脚色(1時避難を国内向けに撤退とし海外向けには逃亡と表現)」報道した事件でした。
朝日の「編集」態度が突出し過ぎて攻撃対象になっているだけ・・慰安婦報道について朝日新聞は8月初旬の謝罪記事では「他社もやっていた」と抗弁していたのは、その点ではあたっているでしょう。
自社の誘導したい方向への編集が過ぎると、ノンフィクションみたいになって最早報道とは言えなくなって行きます。
この後で円安と国内生産回帰の関係も書いて行きますが、円安によって輸出が増えるには、半年以上かかりますが、仮に少し輸出が増えても、どの程度円安が続くか見極めない内はすぐに国内投資せずに、様子見をしながら少しずつ国内既存設備で間に合う程度の増産を始めるのが普通で、(求人で言えば、当初は既存人員の残業増で対処するのと同じです)これ自体不思議でも何でもありません。
輸出用に国内新規工場立ち上げまでには、実態を見極め・計画を練り上げる時間等を考えると数年以上遅れるのが普通でしょう。
モノゴトには時間差があるので、今はまだ臨時増産=臨時職員増での対応段階ですから、円安になって一年以上経っても国内新規投資が増えていない・・何の効果もないどころか格差拡大しているかのような批判論は論理的ではありません。
だからこそ、明白な主張をしないで、負のイメージ浸透に努力しているのでしょうが・・・。
臨時雇用・・非正規雇用が増えていること自体が、景気拡大が論証されていると言うべきですが、これを逆にイメージするように誘導報道しているように見えます。
正規社員を日常的に常時採用している企業は滅多にないので、景気が良くなっても長期的持続性を勘案して来年の年一回の採用枠を広げるのがやっとで、正規雇用が急激に増えることは、元々あり得ませんから、雇用面では非正規から先に増えるのは当然であって、今から、非正規雇用拡大批判するのは時期尚早です。
(正規職員・新卒採用が増えるとその企業の平均賃金が逆に下がります)
企業が増産投資に踏み切れない限り臨時雇用増で対処するしかないので、経営者を安心させて増産投資まで踏み切れる程の長期間円安を続けられるかどうかが重要であって、今から円安効果がないと批判するのは間違っています。
裏から見れば、アベノミクスと言っても円安次第です。
円安で困っているのは中韓両国でしょうが・・・日本には今のところ近い将来に向けて大きな恩恵ですが、これを何故非難したくなるのか理解不能です。
正論であるとの自信があるならば、姑息なマイナスイメージバラマキではなく正々堂々と論じるべきです。
円安を続けるには貿易赤字の定着が必要ですから、原発停止による原燃料大量輸入による赤字がこの下支えになっていることになります。
「原発事故と円安(天佑)2」Published February 26, 2013前後で原発停止は赤字拡大による円安を導くので、日本経済に対するプラス効果があると言うコラムを連載したことがあります。
資源輸入で赤字になってその分だけ多く工業製品輸出出来る方が国民にとってあり難いことも書きました。
逆に資源輸出で通貨高になっていると国内産業が育たない・・国民は遊んで暮らせる=遊んでいるしかなくなって(「鉱物資源で生活する社会3(ナウル共和国)」November 9, 2011で例を例を挙げて書いたこともあります。)悲惨な状態になります。
長期的には収支均衡するしかないとすれば、内需以上に物を作って輸出継続出来るようにするには、資源輸入で穴埋めするしかありません。
円安に対しても輸入物価上昇→庶民は困っている・値上げ出来ないのに仕入れ価格だけ上がって困る業者などを繰り返しマスコミは紹介していますが、輸入物価が上がるからこそ、国内生産に切り替えようとする動きが始まるのであって当たり前の順序です。
国内生産に切り換えて輸入削減に動くのには、輸入物価が上がる競争条件変化が先行する時間差がありますし、すぐに国内商品値上げに動けないので、自国通貨安は初期には輸入関係者には、マイナス効果の方が大きいのは覚悟の上ではないでしょうか?
どんな商売でも軌道に乗る前には初期投資支出の方が多く、苦しいのと同様です。

マスコミの情報操作3(非正規雇用の増加と格差拡大論2)

株式相場と実体経済の関係について考えてみますと、ある事業についての新製品開発成功・・数年先の展望が明るいとなれば、まだ儲かっていなくとも、将来を見越して、その段階で株価が上がります。
株価は言わば景気・企業業績の先行指標ですから、円安や新製品発表と同時に株は上がっても、企業はその時点で即時に残業や雇用を増やすところまで行きません。
円相場の高下によって即時に株価が上下するのは、半年〜一年先の売上が伸びたり減ったりする期待からであって、その日のうちに輸出品の現地売上が増えたり減ったりするものではありません。
(輸入ブランド品の店頭価格等が、その日の円相場で上下しないのを見ても分るでしょう・・ブランド品の輸入業者の事件では、・・春夏もの仕入れ交渉は前年度中に手当てしていると言うことですから、春先に円が上がってもそのトシの輸入品は安くなりません。)
実体経済に影響を与えるのは、新製品開発発表してもそれが顧客に浸透して売れるようになってからですし、円相場で言えば現地販売相場に影響するのは、半年〜1年単位先の平均値でしかありませんから、時間差があるのは当然です。
円安や画期的新製品発表がその日の国民経済に直接影響がなくとも先に明るい見通しがあることによって、納入関連企業も明るい見通しを持てるし、そのまた先の企業〜そのまた先の企業へと次々と連鎖して行き、最後は雇用増(非正規増の後で新卒採用増)に結びつくことが重要です。
ですから、株式相場が上がることが前向きの始まりであって、国民には影響がないかのようなイメージを振りまき、非正規雇用→格差拡大が進んでいると言うイメージを振りまくのはまちがいです。
景気上昇期には、年収1000万〜600万円前後の正規雇用者の給与はすぐにアップしませんし、このクラスの新規雇用は増えません。
(新卒雇用を増やしても新卒の給与は、中堅社員よりも低いのが普通です)
さしあたり一日数時間や週2〜3日勤務だった人の勤務時間・日数増加や残業が始まり、それでも不足すると無職だった主婦や若者が求人増によって15〜20万円前後の仕事に就けるようになります。
平成27年1月2日に書いたように、庶民の家計収入アップ率でみれば、一日数時間勤務が5〜6時間勤務になり、週に数日勤務が毎日勤務になる方がアップ率では大幅な恩恵があることが明らかです。
それでも人手不足気味になると、時間給が上がりますので庶民にはダブルの恩恵があります。(正規雇用の賃金単価は年一回しか変わりません)
まして新規就業者の増加まで行けば、庶民層の家計収入アップ率は半端ではありません。
(ただし夫婦2人で既に働いている人にとっては労働時間増と単価アップになるまで恩恵がありません・・このように経済はマダラに変化して行くものですから、恩恵の届かない人ばかり特集しても社会全体の動向が見えません。)
1月2日紹介した平成26年12月27日付け日経記事によれば46万人増加=新たに職についていることになりますから、46万所帯の家計収入が大幅増になったことになります・・収入ゼロだった場合、生活保護から脱却出来た人もいるでしょう。
・・この面でも増税よりは景気上昇政策の方が税収が上がり社会保障費も少なくて済むと言う意見が正しいことになります。
非正規雇用が増えて「格差拡大」と約半年くらい前から頻りにイメージ宣伝されていましたが、家計収入単位では急激に格差が収縮していることになります。
年収1000万単位の階層では景気が良くなっても主婦がパート等で働きに出ることが少ないので、庶民層と家計収入格差が縮まったことになります。
景気が良くなると臨時雇用関係から時給単価が上がるのが経済の原理であって、正規雇用の給与は日々変動していません。
ですから正規給与の上昇率が低いと言う批判も、現実的ではありません。
(管理職の勤務時間が増えても残業手当はありません)
上記のとおり景気上昇初期には、底辺層ほど恩恵が先に行き渡るし恩恵比率も高くなるのが普通ですが、非正規雇用が増えたと言う大見出しで・・格差拡大が進んでいるかのような印象を振りまき、大分前の別の記事では非正規雇用が増えたことを言わないで、平均給与を出して景気がいいと言うけれども「平均給与が上がっていない」と主張するなど、マスコミは恣意的なデータのキリ貼り報道している疑いがあります。
(年収1000万円単位の人材の新規採用は滅多にないでしょうが、新卒給与はその何分の一でしかも数量が多い・・当面非正規・アルバイターから増えれば、一人当たり平均給与が下がるのは当然です・・重要なのは就労率の変動です)

マスコミの情報操作1(羊頭狗肉)

ここで、Dec 19, 2014「国際運動の功罪3」前後で連載していたマスコミの信用性に戻します。
投票直後の報道を見ると、争点がないので投票しても仕方がないかのように煽っていたことに触れないで、投票率が下がったと強調している一方で、(与党圧勝と言っても)自民党の絶対的得票数が何万人減ったと大きな見出しの記事があります。
投票率減=投票総数が減れば得票絶対数が減るのは当たり前ですから、得票率で比べるべきものを得票数で書いているのです。
投票率を下げれば、組織票の占める比率の大きい公明・共産党の得票率が伸びるのは当然予想出来ますし、そのとおりの結果になりました。
見出しだけではなく、内容を見ると議席をある程度増やしている民主党の方が大きく得票総数を減らしているのに、それは記事の中の小さなデータ的記載でしかありません。
週刊誌の名誉毀損記事に関する裁判を見ると、見出しが過激だが内容を見ると客観的な記事になっているので、普通の読者が読めば合理的理解可能であると言うような評価がされていることがあります。
言わば過激な表現で読者を引きつけても内容さえ表題と矛盾したことを書いていれば良いと言わんばかりですから、これが大手マスコミのインチキっぽい報道を誘発して来たのかも知れません。
判例は表現の自由との兼ね合いもあって、慰藉料を払うほどの違法性がない・・刑事処罰するほどの違法性がないと言うだけであって、好ましい報道の仕方であるとお墨付きを与えたのではありません。
NHKも台湾現住民が日本統治に対する好意の念で取材に応じたのに、放送の方は如何に日本統治が酷かったかのテーマにされてしまっていたことが政治問題になったものですが、「画像編集の裁量性や取材者に対する損害賠償義務があるか否か」しか裁判のテーマにならなかったと思われます。
取材対対象者が番組内容に口出しする権利がないと言うことで(・・放送内容はフィクションがあっても放送者の自由?)NHK勝訴に終わったらしいですが、(その内判例時報等に乗るでしょうが・・まだ判決書きを見ていません)国民の正当な疑問は国営?のNHKが何のために巨額予算を使って、台湾統治が酷かったと言う報道番組を作る必要があるかだったのです。
そもそも、政治問題を裁判で決着しようとするのは筋違いです。
この辺は在特会の朝鮮人学校・(公園不法使用)問題では、ヘイトスピーチが強調されたマスコミ報道とは違い、裁判ではヘイトスピーチか否かについては直接問題にされなかったと言われているのも同様です。
日弁連の政治運動に対する高裁判決も白紙のお墨付きを得たのではなく、高度な自治権を有していることを勘案して違法とまでは言えないと言う判断であったと思われます。
刑事罰や損害賠償さえ命じられなければ、道で痰を吐いても良いし、出会った知人に挨拶しなくても良い国民レベルでないのと同じで、大手マスコミには求められる品格がある筈です。
国民レベルが高いので、姑息な宣伝・やり方でも、国民が騙されないから違法ではないと満足していいのはなく、国民の品格意識として「こんなことばかりしていて良いの!」と言う時代が来ているのですが、マスコミは市場選別を受けない限り好き勝手をやっていいいのでしょうか?
国民レベルを問題にしなくとも、名誉毀損・・違法性・刑事罰を求める判断とは違い「誇大広告・・羊頭狗肉・・内容と包装紙や宣伝とが違うじゃないか」と言う商道徳の観点から見ても、問題性が明らかではないでしょうか?
マスコミ報道を商品供給者としてチェックする視点・・・商人道・適正業務違反と言う視点からの裁判がなかったから、マスコミ報道に対する裁判が甘い結果になっているだけではないでしょうか?
吉田調書虚偽報道や慰安婦騒動を見ても分るように、民族全体が被害を受けていて個々人の被害がはっきりしない場合、個々人が被害者として訴訟が出来なかっただけで、個々人の総和としての民族の損害は計り知れません。
誇大広告その他被害者が社会全体=広範になって個々人の被害としては薄まっている場合、個々人が自分の被害だけしか賠償を求められない仕組みでは、コスト的に訴訟出来ないので、市場淘汰に任せると言って放置出来ません。
一般商品の場合にはレッセフェール・市場万能主義とは言いながらも薬品・食品・車・飛行機、原発その他あらゆる製品分野では製造過程の品質確保の規制を厳重にしている外、製造後リコールその他広告販売方法等に関しても不正競争防止法や独禁法・クラスアクション・懲罰的賠償等が発達しています。
マスコミ報道についても「商品供給」者としてみれば、一旦報道されてしまうと取り返しのつかない効果が発生してしまうものですから、何らかの現在法的規制があっても良い・・必要な分野ですが、思想表現関係は言論の自由との兼ね合いが難しいことを理由に手つかず・時代の進展に適合出来てない状態になっているに過ぎません。
言わば、近代法で確立された・思想表現の自由・言論の自由を悪用・濫用している状態です。
文化人の好きな「近代法の法理を守れ」と言う主張自体が、この面でも現在的修正を迫られているのに対応が遅れている実態を無視した意見であることが分ります。
自由主義経済・市場主義が、思想表現の自由と表裏一体で発達して来たことを思えば、商品供給や広告に関して事前事後の規制が許されるようになっているのに、マスメデイアの商品供給である思想表現についてだけ、(個人意見は商品供給にはならないでしょうが)何をしても自由・・名誉毀損や業務妨害でさえなければ放任と言うのでは片手落ちです。
マスコミは事実報道することに重要な使命があるのであって、一定方向に向けて情報操作して良い社会合意があるのではなく、規制が追いついていないに過ぎません。

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