司法権の限界12(合法テロ2)

テロ・・違法行為抑止力に戻ります。
テロ行為に失敗しても何の処罰・リスクもないのでは、野球の打撃練習のように成功するまで何回でも違法攻撃を繰り返せます。
旧来型犯罪は未遂・・予備段階、もっと先の準備段階でも物色中に近所の人の目につことが多いのに対して、サイバーテロは当たりを付けている程度では何にも関係ないし、成功するまで隠密裏に何百回でも攻撃を繰り返せることと、一旦侵入成功すると千両箱を担ぐ必要がない・一挙に無限大の巨大情報を窃取出来る・・被害甚大=成功利益が巨大なことが特徴です。
一人で孤独に頑張れば良いので協力者を募る必要がないことも事前発覚リスクを小さくしています。
事後にも一見しただけでは情報がコピーされたか分らないので発覚がもの凄く遅れます。
どんな厳重なカギでも道具や時間をかければ壊せないものはないのですが、その前に発覚するリスクがある(明るいところと暗闇の違い)からこれが抑止力になって実行され難いようにしているだけです。
仮処分による国策妨害運動・・外れて元々の気持ちで原発立地全事件で操業停止の仮処分を仕掛けて行く運動・・「裁判闘争」の場合、失敗リスクがない点が問題です。
裁判官採用では思想差別していませんから国論が3対1あるいは6対4で割れている場合、大方この比率で裁判官の思想信条が分布している筈ですから「裁判官の良心」による判断ではなく、個人の政治信条どおりの裁判をしても良いとすれば、国論に関する民意分布どおりの裁判結果になります。
夫婦別姓・相続のあり方、朝鮮人学校へ学校への補助金、各種儀式での国旗掲揚の可否、ソーラ発電補助金等特定産業に対する補助金の可否、マンション建て替え決議制度導入・飲酒運転処罰加重の是非その他いくらでも賛否の分かれるテーマがあります。
全て憲法違反と言えば言えます。
政治にはいろんな意見があるのが民主主義社会の基本ですが、いろんな意見を戦わせながらその主張を支持する多数を得た方の意見で決着・・国会で議決して国家の意思としては1つにする仕組みです。
折角政治の場で国家意思を1つに集約して一定方向へ動き出しているのに、(飲酒運転過重処罰改正法で言えば)納得しない勢力が司法を利用してあちこちで(仮に3分の1比率の場合3分の1の地域で)効力停止させてしまうと、上級審で統一されるまで,ある裁判所では執行停止、ある裁判所では執行して良いとなって、国家秩序が無茶苦茶になります。
個人だけ関係する事件・・例えば個人間で金を払えと言う裁判では場所ごとに判決がちがってもそんなに影響がないのですが、同じ安全基準で操業している原発に対して,この基準の合理性・危険性を争う裁判をあちこちで起こして、それを直ぐに効力の出る仮処分で決めて行くと、裁判所ごとに内容が矛盾する・あるところでは基準が不合理だから、操業停止しろと言い、ある裁判所では合理的だから守れと言うと、国民(企業)はどちらに従って良いか迷ってしまい国内産業が混乱します。
国民・市民一般に効力が及ぶ対世的効のある事件では、仮処分ではなく高裁→最高裁で統一見解が出るまで効力の出ない本訴で決着つけるべきです。
福岡高裁宮崎支部では今朝、川内原発では基準が合理的であるとして差し止め命令申し立てを棄却しています。
新基準に関しては福井地裁の操業停止命令が異議審で覆り(この間裁判長転勤)川内原発では地裁で却下されて異議も却下されて、今朝高裁で棄却されているのが現状です。
鹿児島地裁決定が昨年4月らしいですから、今朝の高裁決定まで約1年もかかっています。
鹿児島の決定は差し止めを認めなかったのですが、大津地裁は操業禁止してしまっているので高裁で決まるまで1年もかかって仮に高裁で操業を認められても、その間の停止は国家的大損害です。
自分の考えが異端で上級審で破棄されることを仮に知りながら、その間だけでも(数ヶ月でも1年でも意図的に引き延ばす場合?)国家意思を麻痺させる目的で仮処分制度を悪用しているとすれば一種の合法的テロです。
一般的不良品率・・何百人に5%程度は、司法界の正統派意見ではなく、どちらかと言えば誰も相手にしないような変わった意見・・はぐれた?人格破綻的裁判官もいるでしょう。
昔から人材に関してはどんな厳密なテストをしても5%前後の想定外人材が入るのを防げないと言われます。
部品等の場合歩留まり利率が何万分の1に高まっているかも知れませんが、人間の場合複雑なので(日航パイロットの逆噴射事件・・精神異常?がありましたが、採用時点で)数十年先の人格を予め判定しきれません。

裁判闘争と合法的テロ?1

もしもある地裁・・40分の1の確率でも操業停止仮処分が出れば、判決と違ってすぐに操業が停止してしまいその効果が大きい割に、攻撃側には何のリスクもありません。
侵入テロの場合手引きしてくれる協力予定者が協力しないで失敗すれば、自分が検挙されるリスクがありますが、「裁判闘争」の場合仕掛けて失敗して却下されても罪に問われるリスクない・・合法的攻撃行為になります。
およそ全ての違法行為の防止には攻撃側の失敗リスクを大きくすることが一番の防御です。
何事も(絵画や音楽スポーツでもなんでも)1回で成功することはないので、チャレンジ精神を奪うには、1回でも失敗すれば致命的損害を受けるようにすれば挑戦意欲を阻害・抑止力になります。
自衛力を高めると戦争を誘発するか、自衛力が弱いから戦争を誘発するかは人によってちがいますが、核抑止力政策が採用されている現実を見れば、どちらが正しいかは明白です。
正業の場合には失敗してもやり直しの出来る社会が社会活性化のためには必要ですが、違法行為の場合に成功するまで何回でも挑戦出来るように活性化するのは困ります。
話題が飛びますが、刑余者の社会復帰を助ける運動が盛んですが、何をしてもすぐに社会復帰出来るのでは犯罪に走るものに対するマイナス効果によるブレーキをなくしてしまう運動にもなるので、この辺も「可哀相」の側面ばかりではなく慎重なバランスが重要です。
服役制度=社会からの隔離制度ですから、病気退院後直ぐに職場復帰しないで退院後一定期間自宅療養やリハビリが必要なように、刑務所から出所さえすれば直ぐに社会が許容するに足るのか?社会が許容するに足る相当な慣らし期間が必要と言うことではないでしょうか?
刑法では、刑期終了後5年間内の再犯の場合、再犯加重=刑期を2倍にする仕組みですし、各種公的資格・許可基準も刑期終了後3〜5年間は再取得出来ない仕組みを参考にすべきでしょう。
刑法
(再犯)
第56条 懲役に処せられた者がその執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から5年以内に更に罪を犯した場合において、その者を有期懲役に処するときは、再犯とする。
2 懲役に当たる罪と同質の罪により死刑に処せられた者がその執行の免除を得た日又は減刑により懲役に減軽されてその執行を終わった日若しくはその執行の免除を得た日から5年以内に更に罪を犯した場合において、その者を有期懲役に処するときも、前項と同様とする。
3 併合罪について処断された者が、その併合罪のうちに懲役に処すべき罪があったのに、その罪が最も重い罪でなかったため懲役に処せられなかったものであるときは、再犯に関する規定の適用については、懲役に処せられたものとみなす。
(再犯加重)
第57条 再犯の刑は、その罪について定めた懲役の長期の2倍以下とする。

許可基準には、各種業界ごとに一杯ありますが、さしあたり以下の2法を紹介しておきます。
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律
(昭和二十三年七月十日法律第百二十二号)

許可の基準)
第四条  公安委員会は、前条第一項の許可を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当するときは、許可をしてはならない。
一  成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの
二  一年以上の懲役若しくは禁錮の刑に処せられ、又は次に掲げる罪を犯して一年未満の懲役若しくは罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して五年を経過しない者

公認会計士法
(昭和二十三年七月六日法律第百三号)

(欠格条項)
第四条  次の各号のいずれかに該当する者は、公認会計士となることができない。
一  未成年者、成年被後見人又は被保佐人
二  この法律若しくは金融商品取引法 (昭和二十三年法律第二十五号)第百九十七条 から第百九十八条 までの規定に違反し、又は投資信託及び投資法人に関する法律 (昭和二十六年法律第百九十八号)第二百三十三条第一項 (第三号に係る部分に限る。)の罪、保険業法 (平成七年法律第百五号)第三百二十八条第一項 (第三号に係る部分に限る。)の罪、資産の流動化に関する法律 (平成十年法律第百五号)第三百八条第一項 (第三号に係る部分に限る。)の罪若しくは会社法 (平成十七年法律第八十六号)第九百六十七条第一項 (第三号に係る部分に限る。)の罪を犯し、禁錮以上の刑に処せられた者であつて、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつてから五年を経過しないもの
三  禁錮以上の刑に処せられた者であつて、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつてから三年を経過しないもの

精神障害者と宗教1

精神障害者がある日突然暴れるのは、特定の制度に不備があるからではなく、兎も角社会不適合による全般的な不満・・ムシャクシャの発散でしかないのですから、どんな制度にしても、何回破壊しても満足することはなく、破壊意欲がなくなることはありません。
ISはバラバラに孤立していた精神障碍者を世界的にブラックホールのように吸い込んでイライラを煽って破壊行動に誘導し、使い捨て戦士化して、緩いグループ化して・末端で勝手にテロをやるように煽動して通常人の住む世界を攻撃しようとする組織のように見えます。
(元々ドロップアウトしたグループに対する武器使用に方法の再教育ですから、きっちりした組織に組み込むのは無理があるので使い捨てが合理的なようです)
精神的に鬱屈して社会で孤立している人間を利用して、社会そのものを敵視する方向へ不満を振り向け破壊行動に駆り立てれば、自爆テロの供給源はいくらでもあるし便利です。
彼らを利用する限りにおいては、破壊のための破壊にしかなりませんし、利用している方は政権を痛めつける目的を達したので「もうこれで打ち止め」と思ってもそうは行きません。
彼ら精神病者は本来孤立して社会のお荷物意識で自己を卑下し、小さくなっていたのですが、ネットによる勧誘が容易なのと爆発物等の入手容易化によって、(その内簡易携帯型原爆を使える時代が来るかも?)少人数でも大きな効果を出せる時代が来たので、テロ活動情報交換を通じて一定の連帯が生まれ自信を持って一人歩きし始めます。
これの原始形態が、アフガンでアメリカが養成したゲリラ組織の現在の姿であり、ISはその進化した姿です。
したがって、こう言う方面に精神病質者らのフラストレーションのはけ口として誘導するのは、邪道ですし悪魔の手法です。
ISが、精神障害者を社会に対する破壊活動に煽動するやり方は世界を破滅に向かわせることになり兼ねません・・この動きが、がん細胞のように世界に広がれば、正に悪魔の宗教になります。
宗教に悪い宗教と良い宗教があるとしたら、精神不安者を破壊活動に向かわせない方法は、やはり良い宗教に頼るしかないのでしょうか?
私は、アメリカ式精神科医を増やし薬漬けにする方法は無理があると思っています。
戦後の混乱期には創価学会・立正佼成会その他新興宗教が伸張した結果、・・ヒロポンが蔓延しかけたこともありましたが、結局麻薬系に頼る人も減るなど・・日本社会の大混乱期の精神安定化に大きく寄与して来たと思われます。
戦後の新興宗教の新規吸収力が衰えて来たときに、オーム真理教と言う一種の宗教組織による吸収が始まっており、ISは、イスラム原理主義によっているのは、一応本籍として宗教が必要な点を暗示しています。
いつの時代にもいろいろな精神不安が起きてきますが、敗戦ショックのように一斉大量の画一原因で起きた不安発生とは違い、個別事情によるので、大量吸収方式は無理がでます。
戦後の新興宗教は大量吸収方式で勢力を伸ばしましたが、高度成長期以降、一定の高学歴高収入がありながら精神的に不安を抱える人が出て来ると、彼らの吸収装置としては個別対応が必要ですので、大規模組織で対応出来なくなりました。
この隙間・ニッチをついて、いろんな変わった事件も起きてきましたが、(オーム真理教事件以降では酒気薔薇事件など)全て単なる猟奇事件としてマスコミを賑わす程度でした。
オーム真理教はこの隙間産業的に受け皿として登場したものです。
マスコミや、文化人は馬鹿の一つ覚えのように格差拡大リスクを煽りますが、(伝統的に貧富格差の大きかったインドやその他後進国で反乱が起きなかったし、現在でも、格差の大きい中国や北朝鮮で反乱が起きていません)オーム真理教的顧客・・お金持ちの息子・高学歴層だってこの顧客になり得るのですから、格差問題を唱えるだけでは解決出来ません。
世間でまだ知られていなくとも、オーム真理教的受け皿がドンドン生まれている可能性があります。
人間の身体では、日々無数のがん細胞が生まれては死滅しているのに似ていますが、いつか大きなガンに成長することがあります。
精神病質者は、具体的に社会制度をどうすれば良いと言う合理的目的がない・・人間社会との付き合い方が分らないのですから、社会そのものが敵です。
労働条件を改善すればいい運動などとは、本質が違いますから、政治運動するのでは解決になりませんが、上記のとおり組織・制度変革で解決出来ない病者を集めているのに、社会組織破壊を目指していた点では、オーム真理教は悪魔の宗教になります。
どう言う宗教が吸収すれば社会が安定するかと言えば、我が国中世のように念仏を朝晩何百回も唱えたり踊って歩くような宗教・・陶酔系が合理的です。
お祭りをしょっ中やってダンジリを引き回したり、マラソン大会もその時点の陶酔感を満足させるだけではなく、次に備えた準備などで継続的受け皿になっているでしょう。
先進国で何万人を集めたショーやサッカー(フーリガンの破壊活動はその現れです)音楽のイベントなどで、興奮・陶酔させているのもその一種ですが、受け身である点では、ショーと次のショーの谷間の受け皿になりません。
ISテロ拡大の原因論はこの程度にするとしても、彼らを勧誘している組織構成員そのものは一定組織マネジメント能力の高い人材です。
彼ら幹部は、昔は海賊や流刑者や無頼漢を利用してトキの強者に挑戦していたのを、ネットの発達を利用して精神病質のグループに供給源を見いだした点に新規性があるだけです。
明日から新たなテロ組織に対応する法制度のあり方について話題を戻して行きます。

テロの供給源2(精神障害者利用とその結果)

自分の住む社会秩序を破壊し尽くそうとするテロは、一種のアナーキズムですから、権力奪取のための反政府運動等とは性質を異にしています。
権力闘争の場合は、自分が権力をとった場合既存秩序をそのまま利用出来る方が合理的ですから、社会の基本を破壊し尽くすと却って自分が権力を得たときにこまります。
橋や道路等は再工事すれば良いことですが、社会心理=道義を破壊し尽くすと一旦荒廃し尽くした心・・秩序を守る意識の復興は簡単ではありません。
権力を握ったときに今度は自分の握った権力に対する抵抗勢力になってしまいます。
従って反政府勢力がこれを利用すると、今度は自分に対する犯行勢力・鬼っ子を育てる結果になるので、権力奪取目的の政治運動としては言わば禁じ手です。
ISはどのような展望で、テロリストを養成し、煽っているのでしょうか?
マスコミは頻りに移民2世等が社会的に恵まれないから、誘惑に唆されると言う解説が普通ですが、私はそんな簡単なこととは思いません。
アメリカで頻発している銃乱射事件は、経済的に困窮している階層に限りません・・12月2日の銃乱射も公務員が行なったものです。
社会制度に対する不満ならば改革運動になりますが、彼らは改革運動を一切しないでイキナリテロに走っています。
中国のチベットやウイグル族弾圧のような生命の危険がある場合でも内部の地位向上を目指す活動や焼身自殺が先ず先行していますが、アメリカやパリのような自由な政治活動を出来る場所で何ら政治活動も先行しないで、イキナリ銃乱射やテロに走るのは、自分達の社会的地位改善を求める行動とは思えません。
銃乱射事件等では自ら必ず死ぬ覚悟で、(11月のフランス・パリの事件はそうでした)自爆装置をからだに巻き付けて犯行に及ぶようになっています。
ISの支配地域では、残虐行為による恐怖心で支配していると言われていますが、単に野蛮なことをしているのではなく、・・自分を含めた全人類に対する報復感情に凝り固まっている彼らの核心的思考によると思われます。
ISのテロの場合、自爆が必須的アイテムになっているのは、検挙を恐れてと言うよりは自暴自棄・自殺念慮の一態様の発露・・個人の精神的葛藤に対して、ISの宣伝が切っ掛けになっているに過ぎないのではないかと思われるし、同種の連鎖検挙・・拷問等を免れるための組織維持戦術をついでに兼ねたに過ぎないでしょう。
精神病で行き詰まって自暴自棄で銃を発砲したと思われるよりは、ISに共鳴したと言う方がマスコミの取り上げ方が違うし、何となく、格好いいと言うだけの人が増えるのではないでしょうか?
従来から大きな事件があると模倣犯が増えていますので、マスコミが英雄のように取り上げるのは問題です。
IS参加者には、心理学的には自殺念慮と社会に対する報復感情の拡大・・従来個人が内心で鬱々としていたに過ぎない社会脱落者に対するテロ組織による炊き付け・煽動・・精神的応援が成功していると見るべき面があると私は思います。
中央の具体的指令によらずに末端の小グループでテロを起こせば良いと言う原始細胞的活動方式は、自殺願望で周辺を巻き込む銃乱射事件の犯人を誘い込んで単なる自殺行為をテロに格上げする方式としては、合理的です。
精神障害など自殺願望者がある日突然これと言った準備もなくイキナリ個人で暴れるよりは、予め銃器等の操作訓練を請け負い、(「そうだ、そうだ社会・周囲が悪い・・やれやれ」と煽って)精神的応援をしてやる・・後はISに迷惑がかからないように勝手なときに(同病相憐む)「小グル−プで標的を定めてやりなさい」とやっているとすれば実態にもあっています。
12月2日にアメリカの勤務先のパーテイでの乱射事件を見れば、(まだ背景事情がはっきりしませんが・・)個人的不満を吐き出す従来型銃乱射事件をISなどのテロ組織に伝授されてもっと大掛かりに・自信を持って実行したに過ぎないように見えます。
・・ISは精神障害等で、鬱屈した個人が従来一人の思いつきで刃物を振り回したり、銃乱射していたに過ぎなかったのを、プロが手助けしてやることによって世界中の精神障碍者・・自分の住んでいる社会に敵意を持っている人を取り込んでいると位置づけることも可能です。
ISによるテロの広がりは、組織運営者にとっては政治運動でもあると同時に世界中どこにもいる精神障害者・周辺予備軍を巻き込んでいるところに、従来型法制度では対応出来なくなっている側面があると思われます。
社会に対する不満は、アラブ系出身者の生活苦にもあると思いますが、そればかりではありません。
日本人で札幌から出国しようとして制止された人がいましたが、イスラム教徒でなくとも世界に内心鬱屈している人・・けしかけられればすぐに火がつくような人はいくらでもいます。
昇進途上のエリートでも、うつ病等で長期休暇→解雇になってしまう人が一杯いるように、こう言う人は基礎的にもやもやした社会に対する不満を抱えています。
ISがこう言う人をうまく取り込んで行くと、民族融和や経済側面だけの対応では無理があるし、どこにどう言う予備軍がいるのか分らなくなって行きます。
我が国では、オーム真理教がこうした不満分子を吸収して、事件を起こした経験があります。
古来からこう言う人は一定割合でいますが、個々人ではイキナリ刃物を振り回す・・「気違いに刃物」・・時々「通り魔事件」を起こす程度で、どうってことがありませんでした。
アメリカでは元々日本のカッターでの切り付けなどと違い刃物の代わりに銃乱射事件になって影響が大きくなっていたのですが、あくまで個人的思いつき事件だったのを、背後応援する集団が生まれ、背後で爆発物の供給・組織化が進んで来たとすれば、大変なことになりました。
あるいは模倣犯に近い・・感化を受け易い人はいくらもいます。

2015-12-9
   
   テロの供給源2(精神障害者利用とその結果)

政治運動家は、自分が政権を取って人民の支持を受ける目的で政権や社会批判をしますが、社会(秩序を守る意識)そのものの解体を目指してはいません。
支配者になったときにそのまま官僚機構や交通システムを利用出来た方が便利からです。
漢の劉邦が権力を把握すると、儒教が統治に便利だからとイキナリ保護し、以来王朝が何回変わろうとも統治に便利な儒教を事実上の国教(基本法)扱いして来ました。
これが、漢承秦制の思想の基礎になったのです。
漢承秦制の思想については、04/10/05「明治維新の開国と中国の開放経済1・・・「脱亜入欧・和魂洋才」と清朝の「中学為体、西学為用」1〜04/11/05「中国の開放経済3・・・「漢承秦制の思想と共産主義の堅持」前後で紹介しました。
権力者にとっては鉄道や道路などの復興は簡単で、しかも復興契景気になって良いことですが、権力に従わない気風が長期にわたるとその改善は至難です。
アフガンのテロ組織はアメリカがソ連のアフガン侵攻を失敗させるために養成したものがソ連撤退後これが自然消滅せずに、アルカイダなどのテロ組織としてアメリカで9・11のテロを起こすようながん細胞に育ったものです。
ISも、社会破壊目的のテロを利用して勢力を伸ばしていると権力を獲得したときに自分自身がうまく統治出来ません。
IS・・自暴自棄者の背後組織・たき付け組織の場合、その社会を良くしたいのではなく、うまく行っている社会を恐怖に陥いれ、混乱させることだけを目的にするのであれば、行動は一貫します。
身体で言えばがん細胞のような関係ですから、栄養さえ付けてからだを大きくして行けばがん細胞が成長しない訳ではありません。
精神障害者の不満は、社会福祉政策や最低賃金を引き上げるような、即物的側面の充実ではどうにもならない分野です。
精神障害者の増加は、いわゆる近代合理主義の貫徹や経済成長の結果によるものですから、成長やバラマキ・福祉政策の充実で解決出来る分野ではありません。
ですから彼らを煽って社会を攻撃させても何の解決にならない・・社会秩序が乱れるだけです。
宗教は精神の安定を図れば良い・衆生済度が極意であって社会に対する不満を煽るのは邪道です。
アメリカの例によると、上記成長政策等成功の拡大と精神病者の増加が比例関係にあると思われていますので、近代合理主義の貫徹がひずみを生じさせているのですから、この面の対応が必要です。
高層ビルを造ればこれに応じた消防設備がいるようなものです。
いつの時代にも一定比率で精神的不安定な人がいて、これを精神病院等に隔離するなどで社会防衛機能を果たしてきました。
近年精神不安等を訴える人が増えて来たので、全員隔離する訳に行かずむしろ長期入院を抑制し、解放処遇する方向に進んでいます。
経済政策の成功や福祉政策の充実・・精神科医を増やす・・薬付けで却って悪くしているような印象です・・だけではこうした人の社会に対する鬱屈した気持ちを吸収出来ません。
アメリカ型精神科医(薬品メーカーが儲かるような)増加政策では、根本的解決出来ないことがはっきりして来たと言えるでしょう。
日本では、中世以来「南無妙法蓮華経」「南無摩阿弥陀仏」などと毎日頭がぼうっとするほど唱えたり踊っていれば救済されるとする念仏系宗教がこれらを吸収して来た結果、社会の安定性が高かったのだと思われます。
一向宗など政治に走る宗教もありましたが、中世に発生した多くの宗派が精神面の救済に留まっていたのは救済を求めて来る人の目的に合致していました。
精神病質・・障碍者の場合、社会に適合出来ないことによる漠然とした社会に対する不満・・破壊意欲はあるだけであって、特定の制度を変えれば鬱屈した気持ちがどうなるものでもありません。
消費税の税率をどうするか道路交通法の規制をどうするか・・労働法規をどうする・・療養休暇期間を半年延ばしてもどうなるものではありません・・多くのうつ病等の人は休暇期間を使い切って最後は退職になっていますが、・退職後年数経過するに連れて悪化して行くような人が最後に大事件を起こす傾向がありますので、企業の休暇期間を2倍にしても良くなるような人は滅多にいません・・精神病者の不満はなくならないでしょう。

テロの供給源(精神障害者)1

自分の住む社会秩序を破壊し尽くそうとするテロは、一種のアナーキズムですから、権力奪取のための反政府運動等とは性質を異にしています。
権力闘争の場合は、自分が権力をとった場合既存秩序をそのまま利用出来る方が合理的ですから、社会の基本を破壊し尽くすと却って自分が権力を得たときにこまります。
橋や道路等は再工事すれば良いことですが、社会心理=道義を破壊し尽くすと一旦荒廃し尽くした心・・秩序を守る意識の復興は簡単ではありません。
権力を握ったときに今度は自分の握った権力に対する抵抗勢力になってしまいます。
従って反政府勢力がこれを利用すると、今度は自分に対する犯行勢力・鬼っ子を育てる結果になるので、権力奪取目的の政治運動としては言わば禁じ手です。
ISはどのような展望で、テロリストを養成し、煽っているのでしょうか?
マスコミは頻りに移民2世等が社会的に恵まれないから、誘惑に唆されると言う解説が普通ですが、私はそんな簡単なこととは思いません。
アメリカで頻発している銃乱射事件は、経済的に困窮している階層に限りません・・12月2日の銃乱射も公務員が行なったものです。
社会制度に対する不満ならば改革運動になりますが、彼らは改革運動を一切しないでイキナリテロに走っています。
中国のチベットやウイグル族弾圧のような生命の危険がある場合でも内部の地位向上を目指す活動や焼身自殺が先ず先行していますが、アメリカやパリのような自由な政治活動を出来る場所で何ら政治活動も先行しないで、イキナリ銃乱射やテロに走るのは、自分達の社会的地位改善を求める行動とは思えません。
銃乱射事件等では自ら必ず死ぬ覚悟で、(11月のフランス・パリの事件はそうでした)自爆装置をからだに巻き付けて犯行に及ぶようになっています。
ISの支配地域では、残虐行為による恐怖心で支配していると言われていますが、単に野蛮なことをしているのではなく、・・自分を含めた全人類に対する報復感情に凝り固まっている彼らの核心的思考によると思われます。
ISのテロの場合、自爆が必須的アイテムになっているのは、検挙を恐れてと言うよりは自暴自棄・自殺念慮の一態様の発露・・個人の精神的葛藤に対して、ISの宣伝が切っ掛けになっているに過ぎないのではないかと思われるし、同種の連鎖検挙・・拷問等を免れるための組織維持戦術をついでに兼ねたに過ぎないでしょう。
精神病で行き詰まって自暴自棄で銃を発砲したと思われるよりは、ISに共鳴したと言う方がマスコミの取り上げ方が違うし、何となく、格好いいと言うだけの人が増えるのではないでしょうか?
従来から大きな事件があると模倣犯が増えていますので、マスコミが英雄のように取り上げるのは問題です。
IS参加者には、心理学的には自殺念慮と社会に対する報復感情の拡大・・従来個人が内心で鬱々としていたに過ぎない社会脱落者に対するテロ組織による炊き付け・煽動・・精神的応援が成功していると見るべき面があると私は思います。
中央の具体的指令によらずに末端の小グループでテロを起こせば良いと言う原始細胞的活動方式は、自殺願望で周辺を巻き込む銃乱射事件の犯人を誘い込んで単なる自殺行為をテロに格上げする方式としては、合理的です。
精神障害など自殺願望者がある日突然これと言った準備もなくイキナリ個人で暴れるよりは、予め銃器等の操作訓練を請け負い、(「そうだ、そうだ社会・周囲が悪い・・やれやれ」と煽って)精神的応援をしてやる・・後はISに迷惑がかからないように勝手なときに(同病相憐む)「小グル−プで標的を定めてやりなさい」とやっているとすれば実態にもあっています。
12月2日にアメリカの勤務先のパーテイでの乱射事件を見れば、(まだ背景事情がはっきりしませんが・・)個人的不満を吐き出す従来型銃乱射事件をISなどのテロ組織に伝授されてもっと大掛かりに・自信を持って実行したに過ぎないように見えます。
・・ISは精神障害等で、鬱屈した個人が従来一人の思いつきで刃物を振り回したり、銃乱射していたに過ぎなかったのを、プロが手助けしてやることによって世界中の精神障碍者・・自分の住んでいる社会に敵意を持っている人を取り込んでいると位置づけることも可能です。
ISによるテロの広がりは、組織運営者にとっては政治運動でもあると同時に世界中どこにもいる精神障害者・周辺予備軍を巻き込んでいるところに、従来型法制度では対応出来なくなっている側面があると思われます。
社会に対する不満は、アラブ系出身者の生活苦にもあると思いますが、そればかりではありません。
日本人で札幌から出国しようとして制止された人がいましたが、イスラム教徒でなくとも世界に内心鬱屈している人・・けしかけられればすぐに火がつくような人はいくらでもいます。
昇進途上のエリートでも、うつ病等で長期休暇→解雇になってしまう人が一杯いるように、こう言う人は基礎的にもやもやした社会に対する不満を抱えています。
ISがこう言う人をうまく取り込んで行くと、民族融和や経済側面だけの対応では無理があるし、どこにどう言う予備軍がいるのか分らなくなって行きます。
我が国では、オーム真理教がこうした不満分子を吸収して、事件を起こした経験があります。
古来からこう言う人は一定割合でいますが、個々人ではイキナリ刃物を振り回す・・「気違いに刃物」・・時々「通り魔事件」を起こす程度で、どうってことがありませんでした。
アメリカでは元々日本のカッターでの切り付けなどと違い刃物の代わりに銃乱射事件になって影響が大きくなっていたのですが、あくまで個人的思いつき事件だったのを、背後応援する集団が生まれ、背後で爆発物の供給・組織化が進んで来たとすれば、大変なことになりました。
あるいは模倣犯に近い・・感化を受け易い人はいくらもいます。

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