交付金の使途1

迷惑料とは言え、これほどの巨額資金が何の被害補償も予定・含まれていないとは考え難い・・実際の被害を想定考慮せずに不安感に対するだけの補償金に過ぎない・・貰った迷惑料では何の被害対策もしないで海外旅行や温泉物見遊山で使ってしまい、被害が出たら、国民全部の負担で更に100%被害補償してもらおうと言うのは虫がよすぎる感じではないでしょうか?
原発は金になるし普段何の実害もないのですから、(その点日々騒音被害や米兵の犯罪に悩まされている沖縄の基地とは違います)6月9日に書いたように自治体が新設誘致決議をしているのが実態です。
実害を受ける時にはお金をもらっていないかなり遠くの住民にまで迷惑をかける放射能被害は、前回比喩的に書いた地主がお金欲しさに暴力団や産廃業者に土地を貸してゴミの山にしたり暴力団員がしょっ中出入りして近隣住民に迷惑をかけているのとあまり違わない構図です。
近隣住民にとっては、放射能が飛んでくると避難しなけばならないのは5km以内も10〜20km以内も同じなのに、産廃投棄地や危険物扱いの土地を貸して近所に迷惑をかけて自分だけ大金をもらっている地主と似ていませんか?
依頼主が暴力団とは違い国策に副っていると言うお上の威光が背景にあるだけの違いでしょう。
こんなことを書くと被害者に対して気の毒に思わないかと言う非難を受けそうですが、気の毒な現状の事態の多くは地元市町村を含めて地元住民に至るまで、危険だ不安だ不安だと反対して巨額補償金を貰いながら、上から下まで誰もが危機管理・事前準備に気を配らずにいた結果に起因していることをこの際明らかにしておくべきです。
今後準備不足による被害拡大の繰り返しを防ぐためにも、「これまで貰っていた巨額資金を何に使ったのか?」過ぎたことは仕方がないとしても・・私は過去の政治家の責任を追及しましょうと言うのではなく、今後も迷惑料として巨額資金を貰う以上はその資金を活きた使途・・活用して欲しいと言う意味で書いています。
ちなみに福島第一原発が直接立地している双葉町(ウイキペデイアによる2月1日現在推計・6,884人)と大熊町(11,574人・推計人口、2011年2月1日)住民は合計しても2万人に足りません。
両町だけで20年間5400億円(ただし標準計算によります・以下同じです)を独り占めしないで周辺にも少しは行き渡っているのでしょうが、今回の30キロ圏避難対象地域住民全部で14万人前後らしいです。
住民登録数の合計を出せば、後は小さな誤差の問題ですから、先ずコンピューターで即時(2〜30分もあれば4〜5町村の合計は集計して発表出来る筈ですが、政府は何故かこれを秘密にして発表しないので不明です)彼ら全員に5400億円弱(過去約40年のうち20年分だけです)でも分配すれば一人当たり(赤ちゃんや病人高齢者を含めて)約385万円あまり・・3人家族で1157万円配れることなります。
上記計算は、1989年までの20年間に貰ったであろう補助金の元金だけを配る計算ですから、資金運用益を加えれば膨大な資金準備ができていたことになります。
(補助金だけではなく、用地買収費・・原発敷地(90万坪)や道路拡幅用地買収・港湾改修費による漁業補償金等が個人に入ったお金だけではなく、建設後の固定資産税その他市町村への税の入金も莫大でしょう・・・6月9日に紹介した通り一基当たり建設コストが4500億円×6=2兆700億円?とされていますが、GEその他大手企業への支払が多く地元に落ちる資金は少ないかも知れませんので計算は出来ません・・・ここでは無償で支払われた交付金だけで書いています)
この交付金は20年経過したらゼロになるのではなく、その後も交付されていますので貰った資金はもっと多いのです。。
20年(運転開始後10年)経過後も立地市町村は補助金を貰い続けているのですが、そのモデル計算例が出ていないのでこの辺は後に別の角度から一応推計して見ることにして、ここでは運用益計算に入れませんから、実はもっと元手があるのです。
実際には資金運用のために交付金(迷惑料)を貰った訳ではないので、運用益を計算するのは机上の空論かも知れませんが、イザと言うときのために前金で貰っていたとすれば、マンションなどの修繕積立金などと同じで、ある程度積み立てておくべきだった・あるいは(個人が火災被害に備えて積み立てるのは現実的ではない代わりに火災保険に加入するように)保険加入しておくべきだったのではないかと言う前提で次回コラムで一応の推計をしておきましょう。

巨額交付金と事前準備3

放射能漏れ事故が起きれば、それによる損害賠償は東電が発生源として全部負担すべきは当然としても、これまで書いて来た原発立地に対する巨額補償金支払根拠は、何らかの被害があり得ることを前提とした迷惑料がその本質ですから、実質的には損害賠償金の事前支払(の内金か全額前払いかは別として)と解釈することも可能です。
迷惑料として貰った市町村では、迷惑料を要求して来た以上は、ある程度の危機管理を準備するための費用に支出したり、放射能汚染によってどのような被害が出るか予め研究したり出荷停止や風評被害や避難費用等(その間の収入減も含めて)に充てるために予めプールしておくべき性質の資金です。
比喩的に言えば危険施設だからと言って地主が高額の地代・権利金を貰って特定施設に貸していたところ、爆発などで隣接する地主の家だけではなく近隣住民の家が壊れ、有害ガスの拡散等で避難等の被害が起きれば、地主が近隣の人々に謝って歩くだけではなく、(高額地代を貰っていたうちの何割かを道義的には還元)するのが常識です。
地主の家が壊れたからと言って泣き言を言われても白けてしまい、誰も同情する気にならないでしょう。
迷惑料を貰った代わりに毎日イヤなにおいを嗅がされて来たり、空気の汚れあるいは騒音に悩まされていたと言うならば、日々発生している継続的被害に対してその迷惑料を逐次充当し,避難費用までは用意しなくともいいでしょう。
原発立地の場合には、日々具体的な被害がなく、(むしろ雇用創出・道路港湾整備など日常生活で言えば有益な面が多いでしょう)将来大事故があったら大損害になるかも知れない・・心配に対する迷惑料・前払い費用に過ぎません。
そうとすれば、巨額資金をもらっていた自治体では貰った迷惑料全部とは言わないまでもその一部でも使ってイザと言うときの避難先の検討・準備や避難候補地の土地取得や施設整備・相手方・・近隣市町村や県との協定整備や関連業界等への補助金などに当てて、イザとなったときに住民が混乱しないように予め避難先やその手順を周知したり、万全の準備をすることによって住民の不安を薄める努力をすべきだったことになります。
避難先もバカの一つ覚えのように体育館の床にゴロ寝ではなく、もっと長期避難に備えて避難施設を工夫することだってある筈です。
今の避難先としての体育館は集中豪雨などの一過性の避難・・一夜明ければ家に帰れる事態を前提としているのですが、放射能漏れの場合には年単位になる事態は容易に想定されるのに体育館に行かせる今の行政は、事前検討をまるでしていなかったことを証明しています。
啓蒙活動があれば、住民自身が事前に心の準備ができますので、公的避難先に(工夫があったとしても公的なものは概ね味気ないものです・・)頼らなくとも、もうちょっと潤いのあるプラスアルファの避難先を個人的に用意しておく心構えの出来る人も増えていたでしょう。
公的老人ホームが発達するともっとランク上の有料老人ホームが出来るのと同じです。
きめ細かい準備や指導・啓蒙活動があれば、最愛のペットと生き別れになるような悲惨な事態は防げたことになります。
ペット同伴可の避難先を準備・・予約しておくとか、仮に預けるにしても公的機関では檻の中ですが、(自分が何ケ月も檻に入れられた場合を想定すれば分りますが、)自分で事前にペット仲間に頼んでおけば行く先で(少しのお礼で小さ檻などに入れられず)預け先の子(犬)と同じように大事にして貰えます。
(保健所などに頼ると公的費用がかさむのですが、この無駄な出費を防げます)
ところが、貰っていた交付金の殆どを(原発関連の被害対策や準備費用に使わずに)無駄(文化ホールなど)に使ってしまい、事故のあるたびに政府に災害補償金を求めたり借金の棒引きなどを求めるのは、迷惑料の二重取りの疑いがあります。
迷惑料とは被害が具体体に生じない前段階の解決金であって、具体的な被害が出れば話は別だと言うのが正しい法律論かも知れませんが・・・。
一基当たり着工後20年間だけで約900億円弱の迷惑料ですから今回の福島第一原発は1号機から6号機まであるので、立地周辺自治体には、電源3法による補助金だけで5400億円前後(年平均270億円)も出ている計算です。
(ただし出力135万キロワットを基準とする計算式・・福島は初期なので出力がもっと低い点は考慮する必要がありますが、標準的交付基準しか今のところ私には分りませんので、標準形で交付された場合として6月9日以来書いていますので、正確ではないことに注意して下さい)
40年間以上貰い続けていれば・・・もっと多いのですが20年分しか交付金の例が出ていないので、運転開始後10経過後にどの程度の額が出ているのか分りません・・加えて電源三法による交付金の外に6月9に紹介したように特別措置法による数字の見え難い追加補助が2003年以降始まっています。
原発に金がかかるのを隠すためにここ20年以上前から分り難くくしているのかも知れません。

巨額交付金と事前準備2

ペットの受け入れ先を用意していない緊急避難命令のためにペットや牛・家畜と生き別れになった悲しい風景を多く報道されていますが、これなどは事前準備・・想定があればある程度解決出来た筈です
この種の事前準備や計画立案と住民への周知には、何千億と言う巨額資金は要りません。
前回紹介したように巨額資金を受け取っている以上は、イザとなった時に一定期間避難をしてお世話になる近隣市町村・・あるいは近隣の県に対して、それなりのお礼をするために一定の資金を予備費としてとっておくくらいの準備をしておくべきだったのではないでしょうか?
あるいは一定距離にあるところの病院や体育館建設費や老人ホーム建設費の何割かを負担しておいて、イザとなれば、一定期間無償で避難先・臨時役場などとしてとして使えるような協定をしておくのも一方法です。
何しろ放射能飛散事故の場合は、一過性の集中豪雨と違って避難期間が長期化し、町村住民全員一斉避難が予想されるのですから、この受け入れ先くらいはいくつか候補地を決めておいて、それなりの投資をしておくべきです。
各個々人・・個人的には自分が病気入院したら娘夫婦にペットの世話を頼むなどの心づもりはあったでしょうが、今回のように半径20〜30km一律避難となれば、近くに住む身内に頼んだのでは間に合いません。
10キロ圏内避難のときは何km先の(牛や豚鶏その他種類ごとの)同業者と提携しておく、20k圏のときはどこそこ、30キロ圏の時にはどこと順次行政主導で予約しておけば良いことです。
見知らぬ遠隔地との組み合わせに対して個人的に決めて行くのは困難であるとすれば県市町村がその枠組み造りに協力するなど長い時間を掛けて準備・協力して行くべきです。
家畜に限らず、病院や老人ホーム・介護施設その他いろんな設備・業界・業種・業界団体ごとに、何十km先の受け入れ先など決めておけば今回のような混乱は起きなかった筈です。
引受先に対する受け入れ費用については業界ごとに一頭当たり、一日いくらと決めておいて、そのための資金は業界ごとにプールして行く・・保険制度も発達するなど事前にやる気があればいくらでもすることがあった筈です。
この避難受け入れに対する費用は今の世論を前提にすれば、被害発生源である東電が負担することになりますが、「あってはならない」ことでも予測して準備しておく必要があるとすれば、東電も予め受け入れ先との具体的価格交渉をしておけるので、費用予測が簡単となります。
保険制度が発達すれば、事故車の修理前に保険屋の査定が介在するように、避難先の設備や費用も保険会社が介在して合理的に決めて行く時代が来ていたかも知れません。
これを損害予定準備金として計上し、保険を利用すれば、大方の被害弁償に間に合うので、株価大暴落も避けられます。
(この準備金の積み立ては決算上は毎年計上することになりますが、事故は何十年に一回しか起きないので、前年度分をそのまま繰り越して行けるので、一度だけ計上すればその後の資金は不要になります。
(あるいは予想外の大事故によって準備金で不足する場合に備えて毎年1割ずつ積み増して行くのも一方法ですが・・・いずれにせよ予測可能性の範囲内・・・少しくらいずれても株価大暴落を防げるでしょう)
現在では「あってはならないこと」だからと言って、一銭の準備金さえ用意していないので東電に払わせる訳に行かないので、税負担や電力料金値上げで決着する方向性です。
無理にも東電に払わせようとすると倒産・・社員全員にこれまでの怠慢の責任をとってもらうことになりますが、これ以上電力事情を逼迫させることも出来ません。
そこで東電社長が如何に役立たずか保安院の役人の態度や総理等責任者の非難に明け暮れて、そのクビを取るくらいで溜飲を下げようとするのが、マスコミ主導の国民世論と言うところです。
(これが管政権に対する不信任決議案の事前準備・・国民心理誘導の底流にあるでしょう)
その場限りの溜飲を下げることに感情論にエネルギーを使うよりは、被害発生に備えて賠償準備金の積み立てを法的に強制すれば、その前提としての避難方法その他の事前検討を進めておく方にエネルギーを注いで行くことになるでしょう。
感情的なクビ取りに熱を上げるよりはこうしたことに議論を進める方が建設的ですし、イザとなっても混乱せずに済むのでコストパフォーマンスも良い筈です。

巨額交付金と事前準備1

放射能漏れはあってはならないことかも知れませんが、逆に言えばその被害が甚大だからこそ、もしも実際に事故が起きたらどうすると言う手順くらいは決めておくべきだったのです。
何の関連もない海外の都市といくつも姉妹都市を結んで市長や議員が友好訪問と称して出張旅費を使っていますが、そんなことよりも原発周辺市町村では、もしも原発に関する何らかの事故で放射能が何ミリシーベルトまで漏れたら原発から周辺何kまでの人はどこまで避難するなど、何段階か決めておいてイザとなれば避難先となる周辺自治体との連絡調整をも密にしておく方が優先順位だった筈です。
避難予定先と仲良くしておいてイザとなれば役場の移転先も決めておき、(住民登録などのバックアップも頼むなど)備蓄倉庫もそこに設けるなどの準備をしておくべきだったでしょう。
・・・周辺自治体には、電源3法による天文学的巨額交付金が何十年にもわたって中央・政府から垂れ流し的に出ていて、たとえば2003年の予算実績では、年間4500億円前後も支出されています。
「原子力教育を考える会の記事によれば、出力135万kwの原発が建設される場合を例として、交付される補助金が資源エネルギー庁のホームページに紹介されているらしいです。
これによると
   ◎建設費用は約4500億円。建設期間7年間、という前提
   ◎運転開始10年前から、10年間で391億円。
   ◎運転開始後10年間で固定資産税も入れて計502億円。
の交付金となっている・・前後20年間で一基当たり合計約900億円になるようです。
福島県第一原子力発電所は、双葉町と大熊町にまたがって立地しているのですが、双葉町で人口5〜6千人、大熊町でその2倍程度らしいです。
これらの過疎地の村や町を中心として(その村や町だけでなく一定距離の範囲の市町村も相応の補助金をもらっているのでしょうが・・)(一基当たりですから福島第1原発の場合、6号機まであります)こんなに巨額資金をもらっていたのです。
この交付金を利用して楢葉町(今の双葉町?)その他原子力発電所の立地市町村では、超豪華な文化施設・ホールなどを次々と造って来たので、今ではその維持費が年間何千万円とかかりその負担などで、財政赤字団体に転落寸前だったらしいのです。
(これは御前崎の浜岡原発その他原発のあるところ全国ほぼ似たような構図らしいです)
そこで次々と新規原発設置が必要な状況となり、2010年(平成22年)2月16日 :福島県知事は2月定例県議会で、東京電力が福島県に申し入れていた福島第1原発3号機でのプルサーマル計画実施について、条件付で受け入れることを表明したとも報道されています。
双葉町では、新たな原発の設置に向けて誘致決議までしていて、7〜8号機の新設工事に向けて進行中であったのがこの事故を受けて5月20日に漸く中止決定になったばかりです。
電源立地費はその性質上立地の初期に巨額資金が出るので、その使い道に困って超豪華役場その他を造るのですが、20年以上経過してくると毎年巨額が出る訳ではないので、その後箱ものの(文化ホールなど)維持費に困るのが一般的自治体の姿です。
そこで運転開始後約20年経過した2000年頃から原発関係市町村(県)の協議会と言う組織(圧力団体)が出来て2003年頃から、原発関係市町村に限定した別途の交付金補助金が出るようになっています。
電源3法による巨額交付金だけでは、建設後年数が経つと先細りになって来たので、(無駄遣いで破産寸前になっているのかな?)ので、更に補助金を求めた結果です。
この特別措置法による年間の数字が今のところ分り難いのですが、これまたかなりの巨額になっている筈です。
(原発立地市町村には地方交付金の割り増しや公債の金利補助・福祉・道路その他分散して割り増しして出ているなど複雑化していて、外部にトータルでどれだけの金額が出ているのか見え難くしていますので・・保険介護・福祉予算や教育予算、過疎地対策、農業振興その他分野別統計手法ではまるで見えません)
巧妙なからくりを暴くには、専門的な調査・・その報告書が必要です。
この原発立地特別措置法による指定を受けると交付金はこれまた巨額になりつつあるので、隣の町まで指定されてウチの町は指定漏れするのかなどが地方自治体の関心の的・・政治家の暗躍の舞台になっていると言われます。
現在はこの圧力団体が威力を持つようになっていて、現在点検中止中原発の再稼働問題について昨日のニュースでは、この協議会会長の青森県知事の発言が流れていました。
(勘ぐればもっと補助金を積みましてくれないと再開に賛成出来ないとも聴こえますが・・・)
原発一基当たり(ただし出力135万キロワットを基準・・福島は初期なので出力がもっと低い点は考慮する必要があります・・標準的交付基準しか今のところ私には分りませんのと計算を簡単にするために標準形で交付された場合として以下書いて行きますので、正確ではないことを注意して下さい)上記のとおりの巨額交付金を受けるだけではなく、地元向けのいろんな優遇策を受けている原発周辺に位置しておきながら、地元市町村では当初の巨額資金を箱もの整備等に使ってしまい、自前の放射能計測装置すら用意していない様子です。
(正確には分りませんが、これまでの初期段階の報道では地元が独自に計ったデータ報道は一切なく東電や、保安院の発表以外に出ていませんでした・・ですから、細かい計測地点の発表がなくみんながイライラしていたのです。
最近は地元自治体も重い腰を上げて自分で計測するようになって来たようですが、裏返せばこんな程度の準備もしていなかったことが分ります。
一個当たり1〜2万円するかしないかの簡単な計測器(6月7日現在でネットではガイガー計測器13800円で即納品の広告が出ています。)とその維持費も殆どかからない・・倉庫代や管理費も不要な小さな機器ですが、こんな僅かな費用支出すら惜しんで来て、補助金獲得運動に血道を上げていたのですから不思議です。
簡単な計測器すら準備しないで、巨額補助金を豪華施設建設等に使って来た地元自治体が、予め風向きその他の季節的変化による放射能の飛散状況の予測研究や、どうした場合どう言う方向へ避難をさせるかなど独自で研究(と言うほど大げさなものではなく検討さえすれば済む話です)準備などしている筈もありません。
その結果、地元住民に対して何のアナウンスも出来ず、すべて政府頼み・・自分の非(怠慢)を棚に上げて政府の対応が悪いとか原発に対する恨み節ばかり聞こえてきますが、地元自治体としては(巨額資金を何に使って来たのか?)情けない・恥ずかしい次第ではないでしょうか。
無駄遣いをする自治体首長や議員を選んで来たのはその地元住民ですから、その住民が無駄遣いの責任を負うべき立場です。

事前準備と危機管理能力

原発事故も同じで、予想がつかないような事故は当然あり得る・・人智の及ぶことの方が少ないのが普通ですから、予想外のこともあると言う謙虚な気持ちでこれに対する予めの備えが必要だったと言うのが私の後講釈です。
交通事故や火災はない方が良いのですが、ともかく火事や交通事故があった場合に備えて消防車や救急車・救急患者受け入れ病院があるように、「あってはならない」かどうかではなく、実際にあったらどうするのかの準備が求められる筈です。
この備えをおろそかにして国民を危機に陥れて・・事故が起きてから、政府トップや東電社長に現場指導力を期待しても意味がありません。
長かった自民党政権時代を通じて予めの構想力・備えのなかったことが今回の震災被害(原発事故)を大きくしてしまったのですから、就任して1年前後の総理一人あるいは民主党だけの問題ではなく、原子力発電を主要な発電主体にすると決めた頃・・約4〜50年前から現在に至る関連政治家や原発関連事業者や学者総体の能力不足による積み上げ不足・責任です。
東電社長が、海外展開のためのスペシャリストとして外部から招聘されたのなら別ですが、もしも内部生え抜きであるとしたら、当然長年にわたる危機管理の準備不足は彼が内部昇格して行く過程で関わって来た・・東電の秘密体質・危機管理に関する意識の低さに関わって来た一員としての責任があります。
どんな立派な機械でも思いがけない・・想定外の故障があり得るのですが、義経と梶原との逆櫓論争でも知られているように、想定外の故障・事故があったときの備えに対する議論を封殺する国民性に原因があるのでしょう。
原発に限らず企業の巨大システムに故障があったときにどうするかの手順が多くの企業で決まっていないことが多いようです。
「失敗・・そんなことを想定すること自体が許されない・・あってはならないことだ」と言う議論が幅を利かしてしまい、そうした想定の議論を許さない社会です。
「あってはならない」かどうかは別として、「結果として起きたらそのカバーをどうするか」と言う研究や議論をしては何故いけないか疑問です。
安全神話・・人智を越える災害はいつかは起きるものですから、絶対安全などあるべくもないのですが、そのための備えを研究したり議論すると「そんな危険なものは要らない」となるのが怖いので根拠もなく「絶対安全です」となって、その先の被害想定研究が進まないのです。
大きな故障が起きるといつも泥縄式で現場が徹夜で頑張っている風景が報道されますが、(例えばみずほ銀行のシステム障害・・これも事前にこういう障害が起きたらどうするの手順がまるでなく泥縄式です)原発のような被害の拡大が巨大な場合、「あってはならないことだ」と言うことで思考停止してしまっているのでは困ります。
もしも被害が起きたらどの範囲の人たちにどう言う手順でどうするかの段階を踏んだ被害想定をある程度しておかないと、何十万人単位の国民が避難するのかしないのかの何の準備もないのでは、泥縄式で大混乱に陥るのは当然です。
仮定の話ですが、国際的に見て仮に日本平均の故障・事故率が1%で、外国平均が2%・・日本製品品質の信頼性が2倍としても、外国の場合、故障は多いもののそのカバー体制が充実していて事故発生後10分で故障を直せる、あるいは代替設備の準備があるので比較的短時間で回復出来るのに対して、日本の場合滅多に故障はないが故障や事故があった場合、これに対する備えがなくオロオロするばかりで代替設備をゼロから製造するので、生産回復に一ヶ月〜6ヶ月かかるとした場合、信頼性としてどちらが高いかの問題です。

免責事項:

私は弁護士ですが、このコラムは帰宅後ちょっとした時間にニュース等に触発されて思いつくまま随想的に書いているだけで、「弁護士としての専門的見地からの意見」ではありません。

私がその時に知っている曖昧な知識を下に書いているだけで、それぞれのテーマについて裏付け的調査・判例や政省令〜規則ガイドライン等を調べる時間もないので、うろ覚えのまま書いていることがほとんどです。

引用データ等もネット検索で出たものを安易に引用することが多く、吟味検証されたものでないために一方の立場に偏っている場合もあり、記憶だけで書いたものはデータや指導的判例学説等と違っている場合もあります。

一言でいえば、ここで書いた意見は「仕事」として書いているのではありませんので、『責任』を持てません。

また、個別の法律相談の回答ではありませんので、具体的事件処理にあたってはこのコラムの意見がそのまま通用しませんので、必ず別の弁護士等に依頼してその弁護士の意見に従って処理されるようにしてください。

このコラムは法律家ではあるが私の主観的関心・印象をそのまま書いている程度・客観的裏付けに基づかない雑感に過ぎないレベルと理解してお読みください。