米国のコロナ禍対応能力5

米国のコロナ禍対応に戻ります。
気候風土の違いや遺伝子的特性や伝播経路の違い等複雑ですから一概に比較しきれないのですが、現実に置かれた似た環境下・クルーズ船対応は一種の実験装置のような環境状況下でしたので、置かれた環境条件(船内構造や人数が米国3500人対日本3711人で、豪華クルーズ船の場合、裕福度と年齢構成健康度がほぼ同じでしょう。
高齢者でもクルーズ船参加するだけの積極性のある一定の健康人である点も同じです。
こういう場合、双方条件差がほぼないので比較検討するには好事例が続いたものです。
政府や受け入れ地域、国の対応の巧拙,総合判断が適切か否かですので、具体的やり方のケチを付けあっても仕方ないので、本来は結果を見るべきでしょう。
5頃から日本政府批判したい勢力から、致死率は日本がアジアでものすごく高いという変な主張が出始めました。
致死率と陽性反応者中の死亡率ですので、検査数を増やせば症状の軽い人を大量検査する→致死率が下がるのは当然です。
体制相違を前提にするより10万人あたりの死亡者数を見るのが検査体制の相違に関係せずに誤差の少ない方法です。
あるいは、コロナで死亡したかどうか微妙な事例の見分け方にもよるので・・健康体でコロナにかかって入院死亡の場合はっきりしますが、もともと糖尿病等の重病患者でいつ死んでもおかしくない人が、最後にコロナにかかって抵抗力なく数日で死亡した場合コロナで死んだのかどうかの意見が分かれるでしょう。
医療インフラの乏しい国では、コロナか普通の肺炎か不明のまま死んでいく人もいるでしょうし、コロナで病院満杯のために一般の病気の治療が遅れてその社会の死亡数全体が上がることもあります。
こういう誤差を無くすには、その国や地域の過去4〜5年の平均死亡数と今年の同月間の死亡数が有意に上がっているかの差=超過死亡数で見るのが、最も正確という意見もあります。
情報統制している国でも、死亡を隠すのは難しいので、その意味でも死亡数統計の比較が分かり良いということです。
そこで「グランドプリンセス号の感染者死者数」が日本寄港のダイヤモンドプリンセスに比べてどうであったかを知りたくて「グランドプリンセス号の感染者死者数」検索しても7月3日現在では当初の報道ばかりで結果・感染数や死者の数字がどうなったかの資料はでません。
米国政府の統計の中には細かい分類が出ているのでしょうが、(日本も厚労省統計の中に、クルーズ船乗客の感染者と死亡者数が出ている)グランドプリンセスに限定せずに米国クルーズ船客・感染・死者数のキーワードで総合的牽策をしてみましたが結果は同じです。
米国公式統計中には、グランドプリンセス関連の感染者,死者数が出ているのでしょうが、(日本を批判してきた手前多分都合が悪いので)米メデイアが報じなくなったし、日本の米国特派員も米国基準を振りかざして、本国日本で散々日本の対応批判していたことから、お粗末な米国対応はバツが悪いから現地で独自の調査していない・現地報道がなければそのままになっているのでしょうか?
米国内統計に入ってクルーズ船・グランドプリンセス号のデータだけ抽出して比較するのがプロの仕事であり日本政府批判者のすることでしょう。
クルーズ船同士の個別データ紹介が全くない以上・国別トータルで見るしかないでしょう。
米国のトータル成績は目を覆うばかりの惨状で連日報道されているので今更紹介するまでもないでしょうが、いまでは常識ですが数年以上経つとどういう状態だったか忘れてしまいますので、念のため現時点での国際比較を記しておきます。
死者数で見れば日本の120倍超の結果です。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html

新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について(令和2年9月18日版)
9月18日現在の新型コロナウイルス感染症に関する状況及び厚生労働省の対応についてお知らせします。
国内での新型コロナウイルス感染症の感染者は77,494例、死亡者は1,482名となりました。
また、入院治療等を要する者は6,115名、退院又は療養解除となった者は69,899名となりました。
4.国外の発生状況について
・9月18日15:00現在、日本国外で新型コロナウイルス関連の肺炎と診断されている症例及び死亡例の数は以下のとおり
(表の一部のみコピー)

国・地域 感染者 死亡者
中国 85,255 4,634
香港 4,994 102
マカオ 46 0
日本 77,494 1,482
米国 6,674,411 197,633
カナダ 142,879 9,249
フランス 406,049 31,047
ドイツ 269,048 9,376

以上の通り米国の被害・悪い結果は他国をはるかに超えている・・・こういう適応能力の低い民族の対応ルールを基準に日本の対応を何故メデイアが批判できるのか?
日本企業発展の原動力は現場力にあると言われますが、米国その他リーダーシップ重視社会では現場力が低い感じです。
その分強力な司令塔が必要で、規制が及ばなくなると隙を突いて略奪が始まる社会です。
米国ミネソタ州での黒人殺害に抗議するデモが激しくなり警察力が引くとすぐに各地で略奪が行われたように、少数者・弱者被害に対する抗議行動で、多数の力を頼んで抵抗できないその場の商店に押し入る矛盾行為・・要は日頃の鬱憤晴らしの爆発でしかない現実を現しています。
米国流を称賛する立場では自粛を求めるのではなく政府が必要だと判断するなら責任を持って明確な規制をすべきだ・自粛や忖度に任せるのは、ずるいという主張が圧倒的です。
そうでしょうか?
何事でも権力による規制や命令がない限り、何をしても良いし、しなくても良いという無責任な諸外国とは違います。
自発的健康を管理能力の高い民族の場合、強制するよりは自発的行動を援助する政策の方がスムースです。
強制がない→補償不要はおかしいと言うのですが、損得にはいろんな態様があるので、画一的補償になじまない自粛効果に合わせて、補償する柔軟対応の方が現実的でしょう。
戦国時代の報酬も合戦後の論功行賞やっていたし、今の終身雇用制もそのやり方です。
先に何をくれるかはっきりさせるのが合理的なようですが、今回のコロナのように相手が見えない・対応策すら決まらない段階では無理があります。
自粛は各人の能力環境に応じた柔軟対応ですので、「努力は報われる」とお上を信用して行動する日本人気質に合っています。

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