都民ファースト・希望の党の実態2(内容空疎)

独裁・恐怖政治の場合、議員は国会で多数を握るための将棋の駒でしかない・・議員レベル無視で数さえ揃えばいいことになりますが、そこまで力を蓄えるにはまずは政治力・・幹部〜中堅〜末端支持者の養成が必要です。
民進党の場合には、蓮舫代表が原発方針を発表したものの党内の反発で機関決定に持ち込めなかったように党の機関がそれなりの役割を果たしていましたが、希望の党の場合、文字どおり個人商店の域を出ないまま国政担当になろうとするのですから無茶すぎました。
民主党の場合機関決定・相応の衆議をあつめていても政策そのものが現実離れしていた点が命とりになりましたが、小池氏の場合、党内議論をするほどの人材が揃わない点もあるでしょうが・個人の思いつき(学者・ブレーンの意見を参考にしていても現場に基礎のある政治家の意見集約とは現実性が違います)政見ですから民主党政権成立時の公約よりもさらに幼稚すぎる印象でした。
小池氏は投開票日にパリの国際会議に出ましたが、そこでも発言は抽象論ばかりだったと言う・・最初に登壇したパリ女性市長の発言との対比が11月8日のmsnに出ています。
https://www.msn.com/ja-jp/news/national/

パリで見た「首相になりたい女」小池百合子氏の「限界」
文春オンライン 広岡 裕児7 時間前
・・・聞き手のケネディ前駐日大使は、前夜の選挙で野党第2党になったなど小池氏の「ナショナル・ポリティシャン」の役割も紹介しつつ「今日は時間もないのでメイヤー(市長)としての共通の問題にフォーカスしたい」と小池氏を紹介する。そして小池氏の登場である。
「東京は世界の中の大都市の1つです。2020年にはオリンピック・パラリンピックを開催し、2024年にはパリへバトンタッチします。(中略)東京がリーダーシップをとり、これからも世界中の方々に色々な知恵、テクノロジー、マインドセットの3つを提供したいと思っています」。出だしは快調だ。
だが、「あなたはC40ミーティングに来ていますが、東京は新しいテロリズムやパンデミックという問題にどう取り組むのでしょうか」という質問に対し「日本は島国なので……」といった建前論ばかり。
小池氏は、日本人記者向けに日本語で話すので、だんだん小池氏の遊説を聞いているような気分になってくる。ケネディ氏が「女性がもっとリーダーシップをとれるポジションに就かなければならない」と述べたときには、待ってましたとばかり、「日本の女性の活躍ランキングは、世界経済フォーラムで、144か国中何位だと思いますか?」とケネディ氏に逆質問。ケネディ氏がモゴモゴと答えた後、すかざず「111位です!」と言い放ったときには、まさに選挙カーから聴衆に向かって話す姿そのものだった。
この流れの中で、「都知事に当選してガラスの天井を1つ破った。都議選でもパーフェクトな戦いをしてガラスの天井を破ったかなと思ったけど、今回の総選挙で鉄の天井があるということを改めて知った」という「鉄の天井」発言が飛び出したのだった。
対照的に具体的な発言をしていたのは、その直前に登場したパリのアンヌ・イダルゴ市長(現・C40議長)。市長たるもの「『複雑な問題だ』『明日はよくなる』で終わってはならない。すぐ市民から要求が出ます。それに答えなければならない」と語り、小池氏がまさに悪い見本のようだった。イダルゴ市長はこの場でも、また記者会見でも2024年の五輪にこだわらず、インフラ整備まで含めた総合的で持続的な具体策・ビジョンを語っていた。」

物分かりの悪い私には見出し通りの結論.評価になるのか上記記事だけではただちにはピンときませんので、こんな記事評価が出るようになっていると言う程度の紹介ですが、ムードだけを日本メデイアが煽ってきた問題点がここに出ていますし、私が思っていたよりフランス国民の政治家選択眼が高いことがわかりました。
この裏返しで、日本に対する評価・・こんなムードレベルの意見しか国際会議で言えない人が都知事になれる程度の国か?と言う大恥をかくために行ったような印象でしたが、一方で会議直前に選挙結果が出ていたので、この国際会議参加者も日本民度を単純評価するにはためらったでしょう。
日本国民が「メデイアの作り出す風」に惑わされなかった10月22日の選挙結果によって、徳俵で踏みとどまった・国際的マイナス評価を若干修正させた面があります。
このほかに、以下は10月18日の記事ですから投票日前ですが、風だけ頼りに組織・人材充実をおろそかにしている小池氏と地道に自分の組織を作り上げてきた仏マクロン大統領との比較記事が出ていますのでこれを紹介します。
http://bunshun.jp/articles/-/4554?utm_source=msn.com&utm_medium=referral&utm_campaign=relatedLink

小池百合子が仏マリーヌ・ル・ペンとそっくりな理由とは?
genre : ニュース, 政治, 国際広岡 裕児2017/10/18
小池都知事とマクロン大統領は正反対
・・・・小池氏は、単に「風」が吹いて勝ってきただけだ。そして、東京都議会選挙では公明党に乗っかり、今回の総選挙では民進党を乗っ取った。思わせぶりと権謀術数で政界を揺さぶっている。マクロン氏は、たしかに既成政党には頼らなかったが、自分の支持母体「前進!」をしっかり作っていた。美辞麗句に踊らされるのではなく熟慮して彼の思想・政策に共鳴した支持者の地道な草の根運動が花開き、さまざまな幸運が積み重なったため道が開けた。けっして「風」が吹いたわけではない。ちなみに、マクロン氏はわずか半年で、20万人の組織を作りあげたが、マスコミを利用したわけではない。ITと現実をうまく組み合わせ、人々の自主性を尊重した成果だ。マクロン氏は我が道をゆく。左の社会党に所属する政治家も右の共和党の政治家も彼らの方から進んでマクロン氏の運動に参加してきた。マクロン氏は労働法改革などの長年温めていた政策を行なうために大統領選に出馬した。そして、支持率の低下など気にせずに、それこそ、大統領就任の当日から実行に移している。
むしろ、小池氏に「そっくり」な政治家は別にいる。
ル・ペン氏は「国政に右派も左派もない、フランス国民を結集する」というスローガンを打ち立てて大統領選に臨んでいたが、彼女の軸足ははっきりと右、「国家主義」である。小池氏も、社会民主主義を「排除」したがっている「右」の女性政治家だ。
まず、この点で小池百合子はマリーヌ・ル・ペンに「そっくり」である。
2人が「そっくり」な理由はそれ以外の部分にある。
第一には、民衆の不満をうまくくみ取り、聴衆を魅了する話術で、人々に熟考させることなく、「理解と納得」を得て「風」をつくる術に長けているという点だ。
・・私は「文藝春秋」(2017年5月号)で、ル・ペン氏へのインタビューを行った。奇しくも同号に、小池百合子都知事が「石原慎太郎の嘘、豊洲移転の判断」という手記を寄せている。これを読んで、「2人は似ている」と思っていた。小池氏の手記は、「文藝春秋」(2017年4月号)に掲載された石原元都知事の手記への反論である。じつに、歯切れがよく、気持ちいい。言っていることはいかにもまっとうである。
小池氏とル・ペン氏はともに、女性が立ち向かっていくというモチーフを活用していた。小池氏が衆議院解散前に立ち上げた「希望の党」は、小池氏を彷彿とさせるミント・グリーンのツーピースを着た後ろ姿の女性が、ベテラン議員らしき男性たちからの罵声をはねのけ、「さらば、しがらみ政治」と声高にマウンドへ上がっていくようなイメージの動画を公開中だ。ル・ペン氏は、「私は女だ」「母親だ」と強調したうえで、行動し、ヨットを操縦して海の上に出て行く姿を、プロモーションビデオのように仕上げていた。
「フランスを立て直す」と「日本をリセット」が重なって見える
こうして2人とも、あっという間に「風」を巻き起こしていった。
ところが、政策を「実行する」ことについては、2人ともに、疑問符を付けざるを得ない。
第二のポイントはここだ。
小池氏は、豊洲移転でもオリンピック会場でも一旦ストップはするものの、その後がなかった。べつに「安心」についても「安全」についてもさしたる変化があったわけではないのに豊洲移転を認め、さらに財政的な裏付けも曖昧なままそのあと築地に戻るという奇妙な案を出した。オリンピック会場も結局、元の木阿弥になった。 また、小池氏は、「希望の党」の結党会見の冒頭あいさつで「日本をリセットするためにこの『希望の党』を立ち上げる。しがらみがないからリセットできる。今、この時期に日本をリセットしなければ、国際間競争、日本の安全保障を十分に守りきれない」などと語っていたが、衆院選がはじまっても、小池氏は漠然とした「希望」を謳い、政権批判を繰り返すだけで具体的な政策は一向に見えてこない。「ワイズスペンディング」で1兆円はすぐ出てくる、などとも言っているが、民主党が政権を取った時の「埋蔵金」とどう違うのか、よくわからない。」

今朝の日経新聞39pには、豊洲移転を昨年6月に延期決定した損失補償額として知事が議会に42億円を予算要求したことが出ていてこの結果延期による合計損失が約90億円になると書いています。
これは都の支出増だけのことですから、関連道路整備・・各種関連工事の遅れによる社会活動の停滞を総合すると莫大な(都民だけでなく)国民の損害です。
本来ならば、知事のチェック機関たると議会がこの損失に見合う延期メリットが何であったのか?など厳しい質問をすべきでしょうが、知事与党多数を頼りに議論なしに乗り切るつもりでしょうか?
「都民ファースト」で当選したので「国全体の迷惑など一切御構い無し」という意味かもしれませんが、僻地離島の港湾や道路整備など地元でもめた結果遅れても地元島民(不利益は自分にくる)への影響だけでしょうが、首都の場合、5輪会場問題一つ取っても多くの県を巻き込んだ騒ぎになったように国家全体への影響の大きい(彼女が都知事としてパリで恥をかくのは日本人の恥です)政策が多いので「よそへの影響は気にしません」というのでは首都の知事として失格ではないでしょうか?

©2002-2016 稲垣法律事務所 All Right Reserved. ©Designed By Pear Computing LLC