国際運動の功罪2

アメリカ人としては内情がよく分らないので、アジア事情は日本の代表的新聞である朝日の派遣した人材に委ねていただけでしょうが、トンだところで知らぬ間に日本の怒りを買っていることになっています。
中国その他の国で自国派遣者が国際機関で要職を占めれば、陰に陽に自国有利に計らうのが普通ですから、国際機関での要職獲得競争が行なわれています。
日本のNHKや朝日その他マスコミ界に中国韓国系の人材が深く食い込んでいると言われるのはこの目的によるものです。
本来ならば世界のオピニオンリーダー的なニューヨークタイムズのアジア問題主幹・主筆の地位を日本人が獲得すれば出身国にとって有利なことですが、日本の場合コレが逆に作用している感じです。
国際組織が特定の国に関して批判的意見を書くには、余程の裏付け資料を用意する外に政治的配慮・勇気がいりますが、対象国の利益代表の派遣官僚・派遣社員が自国や自社に不利なことに承諾してくれれば同意のもとに書くので気が楽ですし、まして自分で「自国批判ならおスキなようにどうぞ」とフリーパスなるのが普通です。
国連やニューヨークタイムズに限らず、どんな組織でも、自国や出身会社・派閥に不利な意見を言わない前提ですから、(官僚機構も出向制度があるのは出身省の省益を守るためにあると言えますし、企業が買収先に役員派遣するのは自社の意向反映のためです)日本関係は日本からの出向者の意見で書いておけば問題が起きないと思ってフリーパスになっているのが普通です。
これを良いことにして国内世論誘導のために、国際機関でこう言う批判がある・国際孤立すると派遣している企業や機関・組織が、自作自演をして来たのが、ここ数十年の官庁やマスコミ界でした。
日本の国力を背景に折角国際進出できるようになった各種人材が、(日本に善かれと思ってやっているのでしょうが、外見上)反日言動?精出しているように見えます。
彼らの行動は、・・我田引水しない公平な人材として日本人に対する長期的評価に繋がる良い面もありますが・・結果的に自国批判に精出す不思議な国の印象を与えているでしょう。
とは言え、彼らが長期的評価信頼を得ることを目的にして日本批判に精出していると言うよりは、自説補強のためならば、日本に対する信用毀損など一切気にしないでように見えます。
日弁連の委員会ニュース(12月1日号)を見ていると、国連人権委員会に出張して在特会の朝鮮人学校に対する街宣活動のビデオを持参して上映するなど生々しい報告をしてヘイトスピーチ問題を精力的に訴えた結果、国連人権委員の強い関心を呼び大成功?したかのような報告が掲載されています。
その他いろんな面で自国のマイナス点を強調して国際機関から勧告や厳しい質問を受けるように努力したことが手柄?として報告されるようです。
このように我が国の弱点・マイナス点を海外発信して日本批判の運動に精出す事例は枚挙に遑がないほどですが、ここ数十年来どころか戦後ずっと、特定立場の主張を国内で有利にするために国際機関を利用する方法がはやっていました。
我々素人は、国際機関でこう言う批判を受けていると言われると「そうか・・国際的にも批判されているのか・・。」と素朴に思ってしまうところがあります。
しかし、自説の正当性をきちんと国内で主張せずに、国際機関の威を借りる・・・トラの威を借るような意見は、それ自体が眉唾・おかしいと思うべきです。
正しいことは諄々と説けば黙って聞いてもらえる社会ですし、大声で泣き叫ぶ人は、自分に理がないこと知っている場合が殆どです。
財務省で言えば、増税路線の自説の正しくないことを自覚しているからこそ、箔付けが必要になって内外の経済学者に自説にあう意見をマスコミ寄稿させたり、IMFに派遣した官僚にIMFの名で対日意見を言わせて世論操作し、増税延期が決まると格付け会社に格下げさせたりしたくなるのでしょう。
しかしマスコミに登場する識者の意見は、権力のある裸の王様に従っているだけであることが、財務省の威力の及ばない市場が増税延期→格下げに対して全く反応しないどころか、逆反応していることからその虚構性が明らかになっています。
社会的意見は経済のようにはっきりした市場競争がないので、増税の可否のように直ぐに結果が出ないので、国際ブランドを利用すると大きな効き目があります。
国連その他外国で積極的に自説を展開した自作自演の結果を持って、国際機関でこのような厳しい意見があると言ってこれを錦の御旗にして主張する論者は、自分の意見が正しくない・・日本で受入れられていない意見だと自覚していることになるのでしょうか?
日本のマスコミは自国批判を海外で積極的に行なう希有な存在ですから、このマスコミさえ抱き込めば日本が悪逆非道の国と言う国際世論造りが簡単になります。
中韓にとっては自国が直接日本批判を発信しても信用され難いでしょうが、日本のマスコミや日本の人権団体に如何に日本が酷い国かを発信してもらった方が簡単に信用される利点があるので、対日非難を展開するには、日本マスコミ界や言論界への浸透にお金を使うのが効率的です。
実際に我が国政治家が外国で慰安婦問題等に反論しても「でも、お国の新聞やマスコミも認めているのではないですか?」と反論されてしまう例が多いと言います。

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