交付金の性質?

いわゆる電源3法(電源開発促進税法・特別会計に関する法律(旧 電源開発促進対策特別会計法)・発電用施設周辺地域整備法)の交付金の性質については、www.nuketext.org/yasui_koufukin.html「よくわかる原子力 – 電源三法交付金 地元への懐柔策」の記事によれば、以下の通りらしいです。

「交付金制度の制定は1974年。そのころ通産省(当時)資源エネルギー庁の委託で作られた立地促進のパンフレットには、次のように書かれていました。
 「原子力発電所のできる地元の人たちにとっては、他の工場立地などと比べると、地元に対する雇用効果が少ない等あまり直接的にメリットをもたらすものではありません。そこで電源立地によって得られた国民経済的利益を地元に還元しなければなりません。この趣旨でいわゆる電源三法が作られました(日本立地センター「原子力みんなの質問箱�)。」

経済的利益の還元・・即ち補償金のことでしょうが、何に対する補償金かと言うことです。
補償とは、何かの不利益に対する補填・補償ですが、原発が立地するだけでどのような不利益があるのかと言うことです。
第一原発に関しては敷地だけで90万坪もの買収ですから、巨額資金が地元に落ちていますし、その他漁業補償あるいは取り付け道路用地買収・港湾整備等による地元への資金投下はマイナス要素ではありません。
福島第一原発だけで常時6000人の従事者がいるとも言います。
科学者比率が高いとは言え、彼ら自身の食料や宿泊施設需要、彼らの仕事ができるように補助的事務員の雇用・清掃その他現場作業用労務の需要、関連企業の出張者(も頻繁です)に対する宿泊需要や食料供給関係者等々地元に及ぼす経済効果は計り知れないものがあります。
私の経験で言っても、平成の初め頃に茨城の東海村原子力研究所には千葉県弁護士会の司法修習担当副会長の時に修習生を引率して見学に行っています。
こうした需要もあります。
これらの需要に応じて各種建物ができれば地元には、固定資産税も潤沢に入ります。
双葉町の例ですが、http://www.freeml.com/ep.umzx/grid/Blog/node/BlogEntryFront/user_id/8444456/blog_id/13876の
「増設容認、金の魅力 神話の陰に—福島原発の推進側を見る」からの引用です。

「原発立地を促すための国の電源3法交付金、東電からは巨額の固定資産税などの税収……。原発関連の固定資産税収だけでもピークの83年度は約18億円。当時の歳入総額33億円の54%に達した。」

勿論6000人に及ぶ従業員の給与等に対する税金も住民税等として入ってきます。
大熊町の人口動態ですが、以下は上記同所からの引用です。
「徐々ににぎやかになった。出稼ぎもなくなったしな」。志賀の言葉を裏づけるように、原発での雇用が生まれ、町の人口は増加の一途をたどった。1965年に7629人だったが、国勢調査のたびに増え、2005年には1・5倍近い1万992人となった。」
とあります。
本当に生活にマイナスであれば・・大気汚染や臭気・煤煙・・振動等で苦しめられている場合、そんな場所で人口は増えない筈です。
原発施設の老朽化に連れて固定資産税も減少して行き、町の財政が苦しくなります。
これに連れて人口も減り始めた双葉町では、ついに新設を求めて誘致決議までしていたことを6月9日に紹介しましたが、原発による具体的被害がない・・不安感と言うことだけで巨額補償金を貰っていたことの証左でしょう。
上記のとおりで、立地することによる何の迷惑があるのか不明ですから、補償対象は具体的な損害に対するものではなく、原子力・・放射能漏れに対する強度の不安感(を言い立てているだけ・・本気で怖くはないから誘致決議をするのです)に対するものに過ぎないと言えます。

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