大義(共同体)を滅ぼす小義の強調4

ctober 7, 2016以来書いてきた「大義(共同体)を滅ぼす小義の強調」シリーズから、October 9, 2016「小義強調3・・悪しき個人主義1」へさらに国防政策に関する自治体の拒否権などへと横に入っていましたが、その続きです。
社会混乱を招く目的集団・グループが、戦後米軍やその支配下にあるマスコミの応援を受けて大きな顔をして来たのですが、マスコミがいくら煽っても縄文の昔から共同体を大切にして来たDNAを変えるところまで浸透出来ませんでした。
さすがに戦後70年以上も経過すると逆に???と言う人が増えて来ました。
何やかやと言っても、「共同体があってこその自分があるのじゃないか」と言う人が発言出来る時代が来たのです。
ネット発達が、マスコミ支配・・共同体利益を守れと言う意見をタブー視する雰囲気を崩したことが大きな原因です。
南シナ海紛争に戻りますと、米軍は年に1〜2回しか現場に出向いてくれない・そのとき補給などを応援する程度の集団自衛権論では、日本へ向けて日々切れ目なしの航行している大量の船舶の安全を守れません。
南シナ海航路封鎖またはこれに準ずる事態発生の場合における自衛隊の独自出動・・米軍をどう言う場合に応援するかのテーマではなく、ニッポンが独自に自衛権発動時に米軍がどの程度応援してくれるかの議論や事前協議で詰めておくことこそが安保同盟有用性論の基本でしょう。
アメリカは元々大した協力をする気持ちがないことを(予算を含めた)態度で示しているのですから、アメリカがどうしてくれるかの議論をするよりは日本人自身が自分の国をどうやって守るのかを国内で決めておくべき問題です。
イキナリの南シナ海の航路封鎖はインパクトが大きいので中国はそこまですぐに踏み切らないで多分数十年かけて既成事実を積み上げて行く戦略をとると思われますが、やられる方としては、危機管理として段階的対応を予め研究・議論しておく必要があります。
当然極秘研究をしているでしょうが・・何をするにも民主国家に於いては法整備が必要・・ひいては国民の理解が必要ですから、極秘研究さえしていれば良いものではありません。
予め国民に問題点を公開して日頃から充分な議論をしておき、国民に心の備えをさせておく必要があります。
地震の避難訓練に1回も参加したことのない国民でも、地震の怖さを百回も聞いて知っているのとまるで聞いたこともないのとでは対応が違って来ます。
コトが起きてから、議論を始めたのでは遅過ぎます。
国民世論の動向を見極め・・法整備や予算付け・・それから艦艇建造や訓練開始ではとても間に合いません。
日本のマスコミや思想界は、アメリカの置き土産・・「人命尊重」と言う小義にこだわり大義に関する思考停止状態にどっぷり浸かっていますので、予め準備しておくべきマトモな議論が進みません。
反安保論者は国民支持獲得は二の次・・16年10月9日に書いたとおり反安保論が最大2割しか支持されていないのを知っていますので、今はイザと言うときにどうするかの議論・シュミレーションが進むのを一刻も先延ばししたいと言う戦略で動いているように見えます。
事前準備がなければイザと言うときに、ニッポンが準備手足で中国に後れを取るようにするのが狙いでしょうか?
米軍占領の後遺症に悩まされている我が国では、個々の人権は祖国の安全があってコソ守られるという「大義」の自覚覚醒から進める一定の時間が必要です。
ところで南シナ海での紛争激化はアメリカ海運業界や石油産業等(中東からの運輸激減→アメリカ産原油への需要が高まる)には利益ですが、中国にとって何か利益があるでしょうか?
イキナリ南シナ海封鎖と違って、「許可申請せよ」の要求から入れば、中国には(国際的非難を受けるのは別として)大したリスクがなく日本への嫌がらせになるだけです。
許可申請要求や将来の封鎖可能性による脅しをテコにして対日交渉を有利にしていろんな技術移転を要求し、南京大虐殺を認めさせて巨額賠償金をとることでしょうか?
こうした実利目的も当然あるでしょうが、慰安婦騒動で分るようにごねて不当な金をとると長期的損得勘定では、却ってマイナスになるのが普通です。
対日本で何か派手なことを仕掛けて来るのは国内的に切羽詰まった時期・内政混乱回避が最大目的・・経済のハードランニングが迫った時期が最も危険なときと見ておくべきでしょう。
嫌中派にとっては、中国がいつ大破綻するかを楽しみしている人が多いと思いますが、大破綻は目前には対日挑発が起きるリスクの外に、難民の殺到その他日本にとってリスクが大きいことであって、歓迎すべきことではありません。
(シリア難民と同じではない・・中国の場合観光や留学名目で来て日本にそのまま居着く・・20年ほど前に多くいた中国から来た窃盗集団その他犯罪集団化の繰り返し・・韓国の場合・・売春婦の流入など灰色難民が増えると思われます)
16年10月9日日経新聞には同年8ヶ月間の外国人犯罪が出ていますが、これによると2004年が犯罪ピークとなっていてその後大幅減で16年は昨年比微増とのことです。
14〜5年頃からの中国経済失調が始まるとすぐにこのように犯罪者数が増える・・今後中国の不況が進む・今のところ国内投資等で先送りに成功していますが、先送りした場合には先送りした分だけ破綻の規模が大きくなってくるはずですので、その時には大変です。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG07HDT_Y6A001C1CR8000/

訪日外国人犯罪3%増 1~6月6776件、中国籍最多 2016/10/8 21:11
「警察庁が統計を始めた1980年以降、半期ベースの摘発件数のピークは2004年の2万4487件で、10年からは横ばい傾向となっている。摘発人数は05年の1万800人が最高で、11年から横ばいの状態が続く。
今年上半期の摘発件数を国籍別で見ると、最多は中国の2126件、次いでベトナムの1515件。摘発人数も中国が1553人、ベトナムが1020人で、いずれも両国で半数以上を占めた。」
「窃盗の手口別では、万引き(1497件)はベトナムが53.0%に当たる793件を占め、侵入窃盗(533件)は中国が全体の半数近くの257件。」

万引きは怖くないですが、侵入盗中心の中国人犯罪は怖いですね!
ただし上記外国人とは「来日」者だけで永住者等を除くらしいので、日本人の多くが関心を持つ実態が分りません。
外国人と普通に聞けば、ニッポン国籍を持たないか又は外国籍を有するものですから、永住資格者等を除くのでは客観的統計としては不自然です。
この種の統計の取り方は永住者等の犯罪数を国民に知らせたくない政治的意図があるのでしょうか?

大義を滅ぼす小義の強調2

マスコミの宣伝に合わせている政治家の方が本来無責任・オポチュニストと言うべきですが、マスコミ支配の世界の言論では、マスコミに迎合せずに大義を主張する方がオプチュニストにされています。
中韓の主張を見ると、自分が日常やっている卑劣なことを全て日本がやっているかのようにすり替え主張するのに驚きますが、マスコミによるオポチュニスト論のレッテル貼りもその一例です。
我が国もいろんな分野で小義がはびこっていて実は大変です。
死刑廃止論や平和運動のような政治分野だけはなく、経済分野でも同様です。
喩えば、一人1年間に何千万とかかる薬を保険適用するとその人には朗報・・小義でしょうが、可哀相論だけで保険適用を拡大して行くと社会全体が成り立つのかの議論・・大義の議論が抜けています。
この辺は保険赤字の原因として・・マスコミが頻りに行なっている高齢化による保険赤字のイメージ宣伝とは違っていないか?保険適用拡大が大きな原因になっているのではないかと言う趣旨で、February 13, 2016「ダイジェスト報道4と正確(中立)性担保3」で書いたことがあります。
たまたま10月6日の日経新聞朝刊では、高額薬「オプジーボ」(一人年間約3500万円)の薬価基準をようやく25%下げる合意が出来たと報道されています。
収入にもよりますが、原則月額医療費が6〜7万円以上は無料(還付)ですから、使えば使うほど薬品業界が儲けるだけで患者の負担はそれほど大きくありません。
医師の勧めで我も我もと服用すれば、仮に1万人の患者がいると1つの薬だけで年間3500億円です。
透析等の高額治療方法や高価薬品がドンドン出て来ると高価過ぎる薬や治療法は保険適用除外すべきか?と言う議論をタブー視している余裕がなくなって来ました。
「貧乏人は死ねと言うのか!」と言う決まり文句で言論封殺していたのでは済まない事態・・「薬が効けば良い」というものではない・・社会的上限・大義が議論の対象にならざるを得ない状態になって来たものと思われます。
6日の報道はこの大義を正面から議論するのではなく値下げして何とかする弥縫策ですが、利用者がドンドン増えることを前提にすれば25%や30%下げれば済むものではありません。
生活保護受給者の乱診濫用・・これを目的に生活保護受給者ばかり集めて儲けている特定医療機関の存在・・マスコミに出るのは暴力団と提携している特殊な事例だけですが本当はもっとある筈で・・以前から問題になっていますが、これも検討課題の一種です。
我々弁護士業務で散見する例では、アパート経営者にとっては生活保護受給者の方が家賃延滞リスクがなくて最良顧客になっている実態があります。
ヘイトスピート(移民導入論)か人命軽視を許さない・平和を守れと言うスローガンで全ての合理的チェック・議論自体を許さない運動の背後で儲けたり世界秩序を特定方向へ誘導したい集団が背後にうごめいているのです。
ガン特効薬の記事です。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49379?page=3からの引用です。
週刊現代
「オプジーボが保険適用されている非小細胞肺がんによる死者は年間約6万人。彼らの全員にオプジーボを投与すれば年間約2兆円もの保険負担が増える。」
肺がんだけではなく今後「他の病気の人も使いたい」となって来ると莫大な保険負担になります。
上記引用記事の一部です。
「免疫治療薬は適用外の様々ながんへの効果も期待できるので、保険が利かない自由診療でもオプジーボを使用した治療を望む患者が増えている。星野氏のクリニックでも、適用外の処方が進む。
「末期の歯肉上皮がんの患者さんに使用したところ3ヵ月で完治したのです。こんなに早く治るとは驚きでした。他にも膵臓がん、大腸がん、胃がんなど多様ながんの患者さんが当院にいらっしゃいます。」
上記は噓か本当かわかりませんが、いろんながん患者が自費で使い始めると、その内に何故肺がんだけ保険が利くのだと言う議論が起きて来て、その圧力で保険適用が広がって行くのでしょうが、そうなると何兆円では済まなくなって来ます。
個人が可哀相と言う思いやり?=小義をのさばらせて行くと、全体・大義が維持出来なくなる分野が、社会の隅々に広がっています。
当たり前ですが、小義と大義のバランスをどうするかの議論が必要な時代が来ています。
今まで当然あるべき議論がタブー視されて遮断されて来たのが不思議です。
私は、「高額治療や高額薬品全て保険適用に反対とか、死刑制度を何が何でも維持しろ」と言うのではなく、この種の冷静な議論の結果適正な保険適用・・刑罰のあり方を決めて行くべきだと言うだけのことです。
保険で言えば国家・社会として負担出来る限度があるのですから、その枠内で割り振って行くべきでしょう。
死刑廃止論も秩序を重視する人や被害者側の立場・・死刑がなくなれば欧米のように検挙現場で射殺して行く弊害・・双方凶暴化して行き却って社会が荒れて行きます・・。
ニッポンでは大したことをされないと知っているから暴力団員でも大人しく逮捕されているのです・・。
http://blogos.com/article/183840記事
THE PAGE
2016年07月18日 11:21
「年間1000人が警官に殺される米国 「銃を持つ権利」と市民と警察の間の溝」
自国で年間1000人も射殺している米国がフィリッピンを批判出来るか疑問に思う人が多いでしょう。
ちなみにニッポンでは死刑執行されているのは概ね年間10人以内です。
https://www.amnesty.or.jp/human-rights/topic/death_penalty/statistics.htmlアムネステイのデータでは以下の通りです。

日本の死刑執行数推移

死刑廃止論に戻りますと、多様な意見を前提にして解決して行くべき職業団体の弁護士会が、何故犯罪者の人権ばかり一方的に主張するのか不思議に思う人がいるでしょう。
弁護士会の総意をどうやって反映するか?のテーマで以前から以下のとおり書いてきました。
ここ数年で言えば、October 19, 2014,「弁護士会の政治活動2(弁護士自治破壊リスク1)」以来弁護士会自治のあり方を連載し、民主的手続さえあれば、弁護士の総意と言えるのか?と言う趣旨でサイレンとマジョリテイーの重要性をOctober 19, 2015,「サイレントマジョリティ10(会内合意のあり方3)」あたりまで書いている途中でテーマが横に逸れていますが、その内再開するべき原稿はその当時に書いています。
要は「全学連が、民主的手続で執行部を選出しているから革マルや中核派が早稲田などのマンモス大の学生総意を代表していると言えるか?」と類似した問題です。
中韓等が国策として国際機関事務局浸透作戦を継続し事実上いろんな事務局が中韓人脈ばかりになり、ここぞと言うときに賄賂攻勢で牛耳るようになった場合、その内国際機関の権威がなくなって行きます。
この辺は専制支配社会と権謀術数→人脈造りの重要性・・共産主義者との親和性で書いて来ましたし、国際機関の信頼性欠如については「国連報告のいかがわしさ」と言うテーマで書き掛けの続きを再開する予定です。
現在EU不信の高まりも官僚機構がグローバリストに牛耳られている弊害に我慢出来なくなって来た声なき声の噴出によります。
昨日のニュースを見るまで日弁連大会が開催されていることを忘れていましたが、タマタマ昨日のニュースで死刑廃止論が大会宣言になっていることを知りました。
ま、こんな程度の認識・・全学連同様と言うと大分違いがありますが、「活動家に任せておけば良いか」と言うのが一般認識ですから、総意の代表を目指すならば、大会宣言するほどの重大事ならば投票で総意を聞くべきです。
上記連載で「アンケーとくらいとるべきではないか」と書いたことがありますが、この意見に触発されたのか独自の意見か分りませんが、今年の5〜6月ころ千葉県弁護士会の会員が政治的意見の分かれる問題では「アンケートで会員意思の把握をして欲しい」と執行部に申し入れたところ、執行部は適正手続を経て意見表明しているので必要ないと言う趣旨の回答をして応じていません。
本当の会員意思が分るのが怖いのでしょうか?
10月7日のニュースでは、日弁連が死刑廃止論を強調するために瀬戸内寂聴氏の過激な表現を引用したことについて、犯罪被害者団体に謝罪したとのニュースが出ています・・。
http://news.yahoo.co.jp/pickup/6216935
「作家で僧侶の瀬戸内寂聴さん(94)が、日本弁護士連合会のシンポジウムに寄せたビデオメッセージで死刑制度を批判し、「殺したがるばかどもと戦ってください」と発言したことについて、日弁連は7日、福井市内で開いた人権擁護大会の中で「犯罪被害者への配慮がなかったことは、おわび申し上げる」と謝罪した。(産経新聞)」
瀬戸内さんの発言について、あすの会顧問の岡村勲弁護士は「被害者はみんな加害者に命をもって償ってもらいたいと思っている。そのどこが悪いのか。ばか呼ばわりされるいわれはない」と話した。」
世の中は多様な利害で成り立っているのに、これらの利害を慮る能力もなく、マスコミ受けする・マスコミの意向を代弁する軽薄な人物が派手に言えば有名人になれていた人たちが、ネット批判によってこれから淘汰されて行くと思われます。
ミノモンタ氏が熊本の地震に関するツイッタ−で如何にもマスコミの期待する方向に迎合して?上から目線で根拠ない決めつけ発言をして大失敗したばかりです。
http://www.rbbtoday.com/article/2016/04/23/141646.htmlみのもんた、熊本地震のツイートを謝罪
「支援のやり方も甘い。自衛隊きちんとして欲しいね。」
何の実態調査もなしに「自衛隊を邪魔扱いさえすれば良い」と言う安易な主張でした。
これまで歯切れの良い左翼的主張(根拠ないスローガン)がマスコミ受けしていたのでしょうが、今はネットが発達しているので何を前提にしているのだと言う批判が渦巻いてしまったのです。

大義を滅ぼす小義の強調1

10月5日「小義」と「大義」の違いを書きましたが、マスコミ論調ではイラク特措法派兵に関して「自衛隊員に犠牲が出たらどうするのだ」と言う変な議論がまことしやかにされていましたが声明の危険があるから軍が派遣されるのであって、生命の危険を理由とする反対論は自己矛盾です。
そんなことを言い出したら国防のための応戦も出来ませんし、強盗が民家を占拠しているときに警察官に犠牲が出たらどうする!などと言っていると強盗排除の大義を実現出来ません。
犯罪者や警官個人の人権も重要ですが、安全社会を守る大義ためには場合によっては警察官等に一定の犠牲が出るのはヤムを得ない・・その代わりその職種の人は地域社会を守るために命をかけてやってくれていると尊敬され死後は石碑を建てて讃えるなどの敬意を払われて来たのです。
この辺日弁連の推進する「死刑廃止論」のおかしさも同様で、個人の生命や人権が大切なことと、秩序維持のためにどの程度までの刑罰(犯罪者にとってはどんな刑罰も人権制約になります)が必要かは別に議論すべきことです。
人命・人権尊重からただちに死刑廃止論を導くのは、平和を希求する心から軍備不要・・戸締まり不要論を導くのと共通で短絡的過ぎます。
この種の主張論者の組織が共通集団化している点から見ると、推論・思考レベルが共通だから疑問に思わないのでしょう。
個人の生命は大切と言う小義を重視し過ぎて死刑がよくないとか、警察官も人命尊重の対象だから危険を避けるために強盗がいなくなってから・・騒乱が鎮静化してから出動すべきだと言い出したら、現行犯罪の摘発がないのですから、犯罪や騒乱を誘発し却って多くの人命・人権が失われる(大義を滅する)元になります。
オバマのフィリッピン大統領非難の問題点は犯罪容疑者の人権ともっと大きな公けの秩序維持=大義と犯罪者の人権・小義のどちらを重視すべきかの判断(主権行為)に余計な介入をしていることにあります。
フィリッピンの犯人検挙方法がどこまでどの方法が許されるかは優れて内政問題・・その国民が被っている被害状況・・犯罪集団の凶暴性等々の状況との兼ね合いで決めるべきこと・主権行為なのに、オバマはいわゆる人権屋の重視する小義を重視して他国の内政批判・・干渉しすぎて主権尊重の大義を考慮していない印象を受けます。
中東ではリビヤやイラクやシリアの政権を倒しあるいは倒そうとして大混乱を招くなど近代社会秩序維持に最優先であるべき主権尊重の大義を破るものである上に、結果ら見ても欧米の介入が原因でシリア難民の悲惨さを見ても・・大規模な人権侵害が起きています。
独裁が良いか民主政治が良いかについても、社会状況に応じた政体があるのですから腕力に任せた余計な介入によって生じたリビアやイラクの混乱を見れば、フセインやカダフィの独裁政権の方が国民にとってはずっとマシだった筈です。
小義のために独裁制を倒すのと秩序崩壊による大混乱で失う大義(大量の人権侵害発生)との比較衡量の必要性すら分っていない・・狂信的煽動集団がマスコミであり、これに政治家が迎合した結果です。
マスコミがこぞって何故大義(秩序維持・大量の人権保護)を無視し、大義を言うと偏狭な民族主義とか、オポチュニストとして貶めるのか・・大義を無視し尽くして結果的に世界混乱を引き起こそうとするメリットは何か?どう言う勢力がこういうことを煽るのか?の関心に移って行きます。
アメリカが世界の警察官をやれないと言い出したのは、独裁政権でも折角まとまっているイラクやリビアの秩序破壊を遣り尽くした結果、大混乱が始まって手に負えなくなって無責任に投げ出しただけの話しです。
ここで何のためにこんなバカなことをやったのか?マスコミを牛耳るユダヤの陰謀論が出て来ますが、ここではそれがテーマではないのでこれ以上書きません。
小義と大義の違い・・小義を強調して行くと、大義(社会秩序)が緩み破壊される関係の分らない人が大統領や世界の指導者になったことが、アラブの春に始まる大混乱の原因です。
メルケルに代表されるEU指導層は、小義と大義の区別がつかないように訓練を受けた文化人的判断・・マスコミ受けする人道主義と言う「小義」を重視し過ぎて、シリアの混乱拡大を応援し、結果的に難民の大量流入と言う仕返しを招きました。
この頭でっかちな文化人の個々の人権尊重・これが行き渡って来ると難民大量流入の奔流となり今になって慌てていますが・・個別処遇が全体に及ぶとどうなるかの思考力が欠如しているコトが分ります。
(大量移民歓迎論→民族国家否定論者には予定どおりの流れだったので、メルケルは当初これを歓迎するかのような発言して国民の総スカンを食って慌てて軌道修正に大わらわですが・・)
この行き過ぎ政策に抗議を始めたのが、イギリスのEU離脱決定ですし、アメリカやEU内のグローバリズム反対論の表面化です。
目先困っている人を拡大・センセーショナル報道する・・難民・乳幼児の報道写真が実はヤラセだったと言う事実が、最近ネットに出るようになって来ました。
マスコミ迎合のインテリがみんな人権主義者・・小義を重視して大義をバカにするばかりで、全体のあり方を議論しない・・全体のこと心配している真っ当な庶民の不満を代弁してくれないので、已むなくありきたりのグローバリズム・格差反対と言うスローガンになっていますが、本音は行き過ぎた「小義」重視の人権論に対する反対であり、大義を重視せよと言うことです。
正義には善悪の単純区別ばかりではなく、双方共に実現出来れば善であるが実際には政策優先順位をつけるべき微妙な色合いの差があります。
左翼系文化人やマスコミの議論は「生命を最大限尊重し平和を守るべき」と言う段階で止まっていて、あまりに単純過ぎて具体的な政策優先順位をつける段になると思考停止しているように見えます。
これが戦後の社会党政権や4〜5年前の民主党政権が実務能力がないと批判された最大の欠点です。
世界中の政治指導層が、マスコミに煽られて?マスコミを敵に回せないので?大義を棄てて小義に着く・・逆転させていることが昨今の庶民大衆不満・世界大混乱の大もとです。
小義の主張・・個々人の人権を言うだけならば、難民も高額医療の保険適用推進運動も「可哀相だ・」と言うだけで済み、(「(沖縄基地の)少なくとも県外へ」のスローガンが象徴的ですが)全体の利害調整無視の主張ですから気楽です。
外国人も日本にいる限り日本人と同様の待遇をすべきだと言うのは個々の判断では人道的に正しいですが、(不法滞在かどうかに関わらず)これをやって行くと高度な生活水準を求めて際限なく移民が入って来るのをどうするかの議論がありません。
警察官や自衛官の人権尊重と強盗を実力で検挙しなくて良いのか?犯罪者の人権=死刑廃止論では被害者の人権や全体の秩序がどうあるべきかの議論が見えない・・大義・・全体の視点が無視され過ぎています。
えん罪リスクを理由に死刑廃止を言う意見もありますが、その他の刑罰だってえん罪リスクの可能性は同じですから、全ての刑罰を科すことが出来なくなる・・刑事手続をなくせと言うのと同じです。

マスコミによる世論誘導の害2(不毛な財政赤字論1)

「1000兆円の国債・債務を次世代に残すな!」「年金不安で次世代は損ばかり」とマスコミは宣伝し、国民の多くがその宣伝を真に受けてその気になっています。
しかしその内95%・950兆円は国内保有=債権者は国民ですし、その保有債券を相続するのも次世代ですから、差引僅かに50兆円しか次世代に残す負債はありません。
個人金融資産が1500兆円と言われていますので(上記国内保有比率が今後下がってもその分海外債券を持っていれば結局は同じです)差し引き500兆円のプラス財産を次世代に相続させることになります。
相続財産としては金融資産に限らず自宅やアパート保有など親世代の保有不動産も今では莫大で・一般的にはこちらの方が大きいのが普通です。
この辺は都市住民2世と地方出身者との格差として、今後相続財産のウエートが上がるというテーマでFebruary 5, 2011都市住民内格差7(相続税重課)」まで連載しました。
例えば数億円の自宅やアパートがあって数千万円の負債があった場合、マスコミのように金融資産だけで見れば次世代は数千万円の負債相続ですが、不動産価値と総合すれば数億円の黒字相続です。
個人の場合住宅ローン債務が3000万円あってプラス金融資産が数十万円しかないときに、金融資産だけで見れば約3000万円の赤字ですがマンション価値が8000万円であれば、誰も騒がないでしょうし、子供も金融負債の相続をイヤだとはいいません。
住宅ローン支払中世代は金融資産だけで見れば、(自己資金で間に合えば借りないのが普通でしょうから)一般的に金銭債務だけ見れば債務超過・赤字家計ですが、総資産としては黒字の人が多いでしょう。
相続開始前(65歳以上)の人は住宅ローンも終わっているのが普通で、定年直後は退職金等による金融資産と不動産価値はほぼ均衡しているでしょうが、高齢化に連れて金融資産を食いつぶして行くので、主たる資産は不動産中心となり、プラスそこそこの金融資産を有している人が平均的なところです。
富豪は別として平均的サラリーマンで言えば自分の寿命プラスα程度の金融資産があれば良いという人生設計が普通ですから、80〜90歳前後の人の資産としては不動産が中心で金融資産はホンの一部である人の方が多いでしょう。
お金があまりなくともお祖父さんお祖母さんの保有資産の相続は、大きな価値があるのが普通です。
マスコミで問題にしている資産は、総資産のホンの一部に過ぎない金融資産だけですが、それでさえ1500兆円もあります。
仮に金融資産がゼロに近づいても、実は保有不動産その他の資産価値が大きい時代ですから、これを無視して次世代が負債を相続すると騒ぐのは国民に余計な不安を煽っていることになります。
国有資産も同様で1000兆円の国債=負債があっても、それ以上の国内投資をして対応する資産があれば(個人金融資産が仮に1500兆円もなくてゼロだとしても)黒字の政府です。
政府の財政赤字を騒いでいるマスコミ論調は、個人で言えば住宅や保有アパート価値・保有金融資産などプラス資産をあえて全部無視して、住宅ローン債務だけを針小棒大に論じているようなものです。
こんな議論の方法は子供騙しそのものですから、明らかに誤誘導・一定方向(増税)への意図的な世論操作をしていることになります。
将来大変なことになるかどうかはトータル資産・・バランスシートで見なければ、金融資産のマイナス分だけ見ても話にならないことは誰にでも分る道理です。
企業規模/経済規模が大きくなれば負債も大きくなりますから、大変な負債かどうかは企業全体の規模で比較しないと何とも言えません。
マスコミは比較すべきプラス財産総額を全く論じないで負債の絶対的な大きさだけで、「大変だ」と論じている不合理な論法で、これで日本中が黙っているのですから不思議です。
こんな報道に対して、(日本国民は賢明だから黙っていても内心)みんな馬鹿にしているのだろうと思っていたのですが、6月14日書いたように学者が大まじめにこれを信用しているのにも驚きました。
学者と言えばいろんな専門家のブログを読むと、専門外のことを例として言及する場合マスコミが報じているステレオタイプの誤った知識・歴史認識を前提に書いている人が多いのにも驚きます。
学者の立論の前提が誤ったステレオタイプの知識に基づいているのでは恐ろしいことですが、そう言う意味でもマスコミの学者に与える誤った前提知識の弊害も大きいのです。
次世代に対する負債の先送りとして議論するならば、上記の通り対応する自宅等の不動産車機械などがあれば健全なことになるので総資産とのバランスが重要です。
マスコミの論法は住宅ローンで自宅購入し、あるいは企業が借入金で設備投資した場合に、購入し入手したプラス資産を全く評価しないのですから、銀行制度や社債発行自体を悪だと言っているようなものです。
経済の世界では基本常識になっているバランスシートで健全性を見る方式を、マスコミも知っている筈なのに財政赤字論に関しては全く無視していることになります。
この辺のことは以前から連載しましたが、逆から言えば赤字解消のために国有資産を売却して財政赤字を減らしても、(同額の資産が減っているので)国民にとってマイナスを減らしたことにはなりません。
NTTや専売公社・郵政民営化や国有地である公務員宿舎用地売却で大金が転がり込んでも、その分国有資産が減っているので、総合的な財務(バランスシート)としては変化なし・意味がありません。
(マスコミでは財政赤字だから宿舎用地など売却すべきだという論調がおおいのですが、国家財政全体から見れば意味のない主張で、経済政策として民営が良いか公務員に宿舎が必要かどうかの視点だけであるべきです)
民主党による埋蔵金を吐き出せば良い式の議論も同じで、その分国家資産が減るので差引経済(バランスシート)的には同じです。
マスコミだけではなく政党も経済学者も金融資産・・それもマイナス部分だけをテーマにしている結果、意味のない議論に日本中が時間を掛けていることになります。
年金未納率を減らすために社保庁がドンドン免除者を増やしていた(納付義務者を減らせば滞納率は下がりますが、払う人が実際に増えた訳ではないので年金赤字問題には何の解決にもなりません)のと同じで、問題の解決に関係ないことに時間を費やしているのです。

マスコミによる世論誘導の害1(世代対立を煽る愚1)

国が良くなるもならないも、政治的意見もマスコミのレベルに大きく影響されます。
先日ある役所の会合に出ていて、テーマ外のことで財界系の委員と学者委員とで大激論になったことがあります。
あるテーマについて議論している際に、若手学者が未成年者の入場料を無償にすべきだという発言をしたまでは良かったのですが、更に
「若者は年金や税その他で損ばかりしているのだからそのくらいサービスすべきだ」
と言ったことに対して、県財界の長老でもある委員が、これに対して
「教育者がそんな間違った考えでは困る」
と猛烈に噛み付いて、議題とは関係のない世代論に発展してしまいました。
居並ぶ行政庁の役人(局長以下)は委員からの質問に答えることは出来るものの、質問もないのに会議に口を挟むことも出来ないので、唖然として見守るしかなかったのが何となく滑稽でした。
公開の会議でしたので、傍聴人も笑って・・まじめな(決まり切った?)会議よりもよっぽど面白かった?・・聞いていました。
(公開会議なのでその内議事録がネットで公開される筈ですが、逐語訳ではなく概要になるので多分テーマ外の議論は掲載されないでしょう)
そこではしなくも分ったことは、学者も専門外のことについてはマスコミ報道・・「次世代が損だ」という偏った報道の鵜呑み程度の意見しか持っていないことです。
今日のコラムに限らずこのコラムでのマスコミ批判は、マスコミが直接社説等で主張していると言うのではなく、たまには違う意見も乗せますが・圧倒的多数意見として繰り返し掲載されている意見(多くの国民は鵜呑みにしますので影響が大きい)・・主流的意見批判として書いていますので、そのつもりでお読み下さい。
彼は若いので子育ての経験もないからでしょうが、子供が親に世話になることはあっても親に育ててもらったことを越える面倒を見る子供は数えるほどしかない現実に思いが至らなかったようです。
鳩山元総理のように(総理までなったのですから毀誉褒貶があるとしても一般的に言えば成功した人でしょう)成功した人でも親から受け継ぐ以上のことを、(ここは経済的な損得のレベルで書いていますが、親が子供を思う心以上に子が親を思う心の比較としても同じです)親にしたとはとても思えません。
鳩山氏のように成功した訳ではありませんが、私の場合を振り返っても親が遊びに来たときにホンのちょっとしたプレゼントしたくらいで、親が命がけで戦火の中を逃げ回り私達子供を育て上げてくれたことに比較して何ほどの恩返しもしてません。
東京の家は空襲で燃えてしまい、何の遺産も貰えなくて自分でゼロから資産を築いた私の兄の場合、100歳まで親の面倒を見たので、親にしてもらった以上のことをしていると思いますが、こう言う例は稀だと思います。
(こう言う例は戦後を生き抜いた70代以上の世代に比較的多いだけで、今の若者世代にとっては親にしてもらった以上のことをしている人の比率はもの凄く下がっている筈です)
ここ数十年前から子供一人を普通に大学卒までに育て上げるだけで何千万もかかる時代ですが、かなり成功した息子でも親に何千万円も出す子供は1万人に一人もいないと言っていいでしょう。

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