外貨交換=政府不信→(流民化の現在表現)2

国外脱出熱・・これは歴史の似ている韓国でも同じですが、昔は前もって域外の貨幣を入手することは不可能・・金や宝石類しか持ち出せませんでしたが、今は裸官で知られるように人だけがむやみに逃げるのではなく、先ずは(子供を留学させて域外生活力を準備しておいて)資金から先に逃がして行くのが中国・韓国人民のやり方です。
我が国では、国外脱出するよりは国内改革に努力する人がまだ多いと思いますが、地方の郷里を棄てて都市へ移動する点では似たような状況になっています。
その代わり、その分小さなコミュニテイ・ムラ単位〜県単位よりは、日本列島全体への一体感が強まっているとも言えます。
自分の属する共同体意識がムラから出身県〜列島一体感へ変わって来たものの、日本を棄てて外国へ移住したいか?となると古代から違っています。
民族一体教育が明治政府によって始まったと言う印象付け教育がされていますが、これは結果であり原因ではありません。
663年の白村江の敗戦以来列島一体となった防衛意識・民族意識が高まったことは周知のとおりですが、その後民族の危機が来るごとに一体感を自然発生的に強固に発揮して来ました。
蒙古襲来のときがそうですし、幕末異国船〜黒船来航時もそうです。
幕末騒乱はこの民族危機感から生じたものであり、その集大成で成立した明治政府は、民族教育と富国強兵に邁進したのは当然のことです。
我が国では、古代から集落を基本として列島全体の「民族意識」が形成されていたのであり、明治になって急に出来たものではありません。
中韓では日本より早く異国船の到来に遭遇していたのに、危機に際して民族一体で当たると言う意識がなく・せいぜい強い方に着こうと言う程度の選択しかなかった・・これが植民地化を防げなかった原因です。
留学・脱出に戻りますと、我が国では遣唐使の昔から先進国への移住を目的とするものではなく、先進文化を学んで文物を同胞(出身郷里のためではなく列島全体)のために命がけで持ち帰るものでした。
日曜日の日経新聞22pに出ていた世界で活躍しているバイオリン演奏家の記事を読むと・・諏訪内氏の日本民族還元の気持ち・・遣唐使と変わらない意気込みが伝わって来ます。
ソムリエであれ調理師であれ、他国の粋を学んで日本に持ち帰る目的の人が多いのを感じるのは私だけでしょうか?
遣唐使廃止後も文物の流入が途絶えたのではなく官費によらない個人の努力でこの種の貢献者が引きも切らない・・その結果、日本列島にはその時代時代の世界最先端、世界中の最高の「粋」が集まりこれを和魂で吸収して(和製英語を含め?)高度な社会を築いて来たのです。
戦後貧しくとも世界トップクラスのブランドは日本で良く売れたこと分るように、遣唐使廃止以降でも優れたモノがあると、直ぐ日本に導入して来ました。
西洋の文物も良いとなれば「種子島」〜蘭学をはじめドンドン入れることを厭いませんでした。
明治維新の留学生は、日本に西洋の文物を紹介することが目的であって、自分が西洋人のマネをして西洋で生活をすることではありませんでした。
遣唐使は阿倍仲麻呂や鑑真和上の例を見るまでもなく、当時の航海は難破率の高い危険なものでしたが、それでもみんな命がけで帰ろうとしていたのです。
民族のために文物を持ち帰るのが留学が目的だったので、遣唐使派遣のメリットが薄らぐと直ちに廃止になった理由です。
現在の日本若者の留学熱が冷めて来たのはこれと軌を一にしています・・。
今は企業の海外進出のために相手国を知る必要と言う功利目的でインドね示唆後を学ぶなどでであって、先進文化を学ぶための留学が減って来たのは当然でしょう。
国を良くするために努力するよりは、世のよりよい環境にただ乗りしたい・・これが中韓人民の流が苦熱の招待ですが、中韓的信条に共感している文化人は、日本の若者は元気がないと心配しますが・・逃げたい人が増えている国とは基本が違っています。
自分の属する共同体を大切にする気持ち・・これが政府不信任・・政権交代や政治改革にエネルギーが向かうのですが、人民の弱い中国や韓国では、これに向かわないで、先ずは裸官・留学等で国外脱出を目指すし、「命の次に大切な貨幣」交換要求になって出て来たことになります。
金融のプロの行動ならば分りますが、かりに円安が見込まれるからと言って日本人がドル買いに殺到するでしょうか?
日本人は対米戦争で敗色濃厚となっても最後の最後まで、お国のためにお寺の鐘まで供出していた国民です。
敗戦のどん底に喘いでいるときに国を棄てるどころかいそいでみんな国に帰って来た民族です。
中国の場合、一般人民が自国政府発行貨幣よりも外貨の方が良い・信用出来ると言う意思表示・・ドル交換を求めて銀行窓口に殺到?すると言うことは、政府不信の意思表示そのものです。
韓国でも移民願望が半端でないことを以前紹介したことがありますが最近の動向は以下のとおりです。
http://news.livedoor.com/article/detail/11999108
2016年9月9日 22時0分
日刊サイゾー
「20~30代の「国外脱出願望」は80%超! 韓国の若者たちが海外を目指すワケ」
詳細を省略しますが、今も変わらないと言うことです。
自分の国や社会意識・・共同体を大事にしようとする意識が育っていない憐れな民族です。
この基礎意識がない分、自衛のために反日とか、愛国ぶる行動が逆に高まっていると見るべきでしょう。
日本人は愛国心を聞かれても「?」となるし、宗教を聞かれても無神論者かな?と迷う人の方が多いのですが、心底は日本教になり切っているので、普段意識する必要すらなくなっている状態です。
外国へ行って何かを学んで国に持ち帰ろうと言う人はいても、国から逃げるために留学する人は滅多にいないでしょう。
人民の国外脱出の動きに政府がどうするかですが、人民が古代からの伝統的な政権抵抗手段・・流民化に先立つ外貨資金の準備を始めると政府も負けてられない・・外貨交換枠の締め付けに走ります。
いわば歴代王朝が農民の流民化を防ぐために農民移動を厳しく制限していたことを今風に資金の流出防止に切り変えただけ・・紙幣の外貨との交換禁止で再開したことになります。
人が出て行くのは自由だが、お金を持って出る自由を制限すると言うことでしょう。
持ち出す外貨をお金を制限されれば、事実上移民が出来なくなります。
今の中国政府は人民がお金を置いて出て行ってくれるならば、国外逃亡・・移民を奨励している国ですが、政府権力者もお金第一ですから、お金を持って出て行くのは許せないと言うことでしょう。
人民の方もお金を逃がすのが大事であって、命よりも?お金が大事の民族性です。
そこで人民元が国外でどの程度流通で来ているか・・ているか・人民元が簡単にドルや円に替えられない点がネックになります。
その内外貨規制が厳しくなる一方となれば、人民はその前に駆け込みで少しでも早くドルに替えておこうとなります。
これが昨年1年間で中国の外貨準備が1兆ドルも減少した背景です。

外貨交換=政府不信→(流民化の現在表現)1

中国地域人民の場合、元々異民族支配が原則・・支配・被支配・・2項対立を絵に描いたような社会構造で数千年以上もやって来ましたから、政府・民族に対する忠誠心がありません・・。
制度がおかしければ・あるいは不正を正す・・など地域・社会を良くするために努力するよりは自衛が先・・遠くにいる一族を頼って流民化によって王朝が滅亡を繰り返して来た歴史です。
ソモソモ社会と言う概念が育っていないかも知れません。
中朝では、宗族の紐帯が強い・・宗族間の助け合い中心と言われていますが、言わば古代の氏族共同体意識・血族だけが頼り・助け合いの必要性がそのまま残っている・・地域共同体・一体感・絆が育たないまま現在に至っているように見えます。
日本では「遠くの親戚より近くの他人」と言うように地域での助け合いが基本になっています。
日本人が大事にしている信用とは、他人間で共通価値観を保有することですが、血族以外には信用出来ない民族では、一般的な信用概念が育ちません。
http://nezu621.blog7.fc2.com/blog-entry-3381.html
「人を信用しないことで成り立つ文化」によれば以下のとおりです。
「そのような社会で生き残るためには、兎にも角にも、自分だけが生き残るために、生き馬の目を抜く強欲さが必要となります。
そしてそのためには、決して人を信用しないという文化が育ちます。
私たち日本人にとって、商業も工業も、およそビジネスは信用がなければ成り立たないものですが、支那においては違います。
信用しないことがビジネスの最大の要件です。
従って誰かに何かを任せるときには、相手に余程の弱味があるか、完全に自己の支配下に在る者でなければならず、このことは、周辺国への統治にも現れます。」
中国人は命よりも金が大事と言うほど「カネカネ」重視の世界ですが、まさに人間同士の信頼がないことが(金は裏切らない)そう言う行動様式にさせるのでしょう。
血族よりも裏切らない・信用していた金の値打ちが下がるとなれば、天地がひっくり返るような驚きでしょう。
人民元が下がりそうとなれば、金こそが信用の源泉である以上・・より信用のある紙幣に変えたいのは当然で我勝ちに人民元をドルに替えようと殺到するのは当然です。
社会・「公」意識に戻りますと、地域一体感がないと環境保全の意識が育たないのは当然・・近代以降の社会人として必須の「公」を重視する精神段階に至らないまま近代社会に突入してしまったことになります。
自分自身の次に漸く一族の助け合い程度しかないのですから、その外周に位置する地域貢献・・もっと遠くの環境維持などに思いが及ばないのは当然です。
日本人が中国まで出掛けて行って自己資金を投じて折角植樹しても来ても、漸く育ちかけると伐採して薪にしてしまう例が後をたたない・・砂漠化の進行を気にしないのは、仕方がないことでしょう。
現在呼吸すらマトモに出来ないほど空気が汚くなって、漸く環境保護の必要性に気が付いた程度です。
日本のように一族〜集落〜地域共同体〜民族一体感へと広がりがあって最後の到達点である「公」の精神が身に付いた結果、町や村、里山を綺麗にするようになったのとは違い、中国の人民に取っては、飽くまで呼吸が出来ないと言う結果・功利主義によります。
空気や水の汚染は「損」だと気が付いたでしょうが、砂漠化の進行についてはまだ「損得」が分らないからか、個々人はその防止のために出費する必要性を認めていません。
・砂漠が迫って来れば首都北京を事実上移転すれば良いという発想になっているようです。
人民は中国の大地を綺麗にするために税を徴収され・・費用を負担するならば既に空気や水の綺麗な日本等へ移住した方が「得」だと言う功利的意識が基本です。
北京は既に人が住み続けるには適していない・改善するには巨大な資金・高度技術が必要・・そんな苦労するよりは、新首都建設の方向へ舵を切り始めました。
千年の都を周近平が作ったとなれば、歴史に残る偉業ですし、景気対策にもなると言う中国人の大好きな例の一石二鳥3鳥の政策です。
https://mainichi.jp/articles/20170404/k00/00m/030/088000c
河北省に巨大新都市 習氏ゆかりの地
雄安新区は、北京から南西へ100キロ、天津から西へ100キロに位置し、人口38万人の雄県、40万人の安新県、26万人の容城県の一帯を開発する。北京市の過密緩和のために天津、河北省を一体化させる構想の一環だ。・・・この時期に大規模な都市建設を発表したのは、習氏の訪米を前に、内需拡大につながる野心的な政策を打ち出し、トランプ米大統領との貿易交渉に役立てる思惑もあるとみられる。
投機マネー殺到で騒ぎ
 だが、現場では「習近平ブランド」の都市開発に投機マネーが殺到。3日付の北京地元紙の新京報の現地ルポによると、発表直後から不動産を購入しようと北京や天津の富裕層が殺到し、2日午前には混乱を恐れた地元当局が不動産売買を一時停止し、不動産会社の出入り口が封鎖される騒ぎになっている。」
マンションバブルの限界が見えて来て種切れになりそうと見れば、次から次へとバブルを煽る逞しさには驚きます。
歴代王朝末期に大量発生した流民化は居住地を離れて足手まといの幼児や高齢者を連れての移動では、1〜2週間歩いても大した距離を進めない・・食糧が尽きれば・・途中野盗の襲撃を受ける危険を冒して漸くたどり着いた先の一族も同じ王朝内である限り治安が乱れて困窮化している点は同じ・・頼った先も流民化してすでにいなくなっている確率が高くなります。
海上交通の発達した明末の混乱以降は、王朝外の別の社会に住む宗族を頼るようになれば、行った先も動乱下とは限りません。
先に東南アジア諸国で住み着いて成功している同郷・同族出身者を頼って行けば、助かる確率が上がり簡単に逃げられる時代が始まりました。
これが華僑が世界に広がった基礎構造です。
人民が簡単逃げられるようになった結果、不満分子は出て行ってくれた方が政権に取っても楽・・ガス抜きになり・・支配者にとっても流民化による政権崩壊現象を免れるようになった(元、明、清といずれも異民族侵入を契機とする王朝崩壊です)メリットもあります。
異民族支配の香港へドンドン人が集まったことなどからも分るように、中国地域の人民にとっては異民族支配かどうかよりは、自分にとって良い政府・環境かどうかが基準です。
海上交通の発達によって、沿海部住民に取って域外への脱出が可能になって以降は、王朝域内で命がけの流民化するよりは、いわゆる華僑として中国地域生活圏外への脱出に変わって行きますが、支配体制から逃れることによる解決を求める本質は変わりません。
住む地域を良くする意欲がない・・そんな命がけの苦労をするよりも別世界に逃げた方が良いと言う気質です。
この辺はアメリカ人がその街や地域にしがみついてその街や地域をより良くしようとして努力するよりは、ゴーストタウンにして、逃げて行くのと気質が似ています。
アメリカ人と中国人は発展段階的親和性が高い・気が合うので直ぐに裏で手を組む傾向があるから警戒すべきと繰り返し書く所以です。

中国外貨準備の急減3

March 22, 2017に出血輸出でも(輸入原材料以下で輸出するのではなく労賃の圧縮や赤字補填資金供給)貿易黒字になる仕組みを書きましたが、このやり方では資本・体力が続かなくなるのが普通です。
・・外貨準備を取り崩し・・ゾンビ企業への追い貸し・・出血輸出による中国の黒字もピークを過ぎつつあるのではないでしょうか?
国内完結であれば、国内でマネタリーベース拡大・・じゃぶじゃぶと資金供給すれば際限なく追い貸しが可能ですが・・実際に生産者・卸売り価格の急上昇が取りざたされています。
マンション投機だけではなく・・あるいはマンション相場が天井を打ちそうと思ったからか、幅広い商品取引にも余った金が流れ込んでいるらしいのです。
国内では花見酒経済同様で紙幣を印刷さえすればいくらでも回転出来ますし、国民には危機感が伝わらないでしょうが、対外取引には外貨が必要です。
3月18日の日経新聞朝刊7pには、「海外送金ストップ」の黒抜き見出しで中国による資本流出規制が最終段階に来ている・・日本企業・・あさひホールデイングスが中国子会社を現地民族資本に16年末に売却した代金が、政府の送金規制によって送金されないままになっている事例が紹介されています。
これでは追い出し攻勢に留まらず、嫌がらせで(あさひに対してあったと言う意味ではありません)二足三文で買い叩いた代金さえ払わせないでただ・裸で追い出す事態です。
中国の外貨持ち出し制限が今年に入って厳しくなっていることは報道されていましたが、現地企業売却金・・損切り・撤退金の支払をさせなくなったとなれば部分的デフォルトあり、大ごとです。
17年3月7日には、外貨準備3兆ドル回復の発表が出ています。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM07H9Z_X00C17A3FF2000
中国外貨準備3兆ドル回復 2月末、資本規制強化で2カ月ぶり 2017/3/7 20:16
「金融当局は16年以降、銀行への窓口指導を通じ海外送金に対する規制を繰り返し強化してきた。17年に入ってからは個人の外貨両替に申請書の提出も義務づけた。送金や両替を先送りする企業や個人が増えており、元売りの動きがいったんは収まった。人民銀は元買い・ドル売り介入を抑制でき、外貨準備の増加につながった。」https://zuuonline.com/archives/135606
中国のなりふり構わぬ「資本流出規制」17年震源地の恐れあり
記事内容を省略しますが、上記のとおり年末から厳しい資本流出規制が始まっています。
上記各記事と日経新聞18日掲載の不払い記事を総合して簡単に言い換えれば、「中国に進出した企業が採算割れで撤退するときに当初投資資金の何十分の一で売却し撤退しようとしているときにその売却金さえ払わせない」「中国人の売った代金は回収するが中国企業の買った代金は払わせなかった」結果とすれば、外貨が入るだけで資金が出て行かないのでは外貨準備が増えるのは当たり前でしょう。
自由な取引で外貨がたまっているのか減って行くのか・・これが実力であり、経済活動する人にとっては実際を知りたいのです。
不払い基準は何か?どんどん拡大されるリスクがあるならば、対象になっていない今の内に売り抜けようとする動きが出て来ます。
以下によると米国債を若干買い戻し出来たようです。
 https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-15/OLFQBN6KLVR5米財務省が15日発表した昨年12月の対米証券投資動向によれば、中国の米国債保有残高は1兆600億ドル(約121兆円)と、前年比で1880億ドルの減少となった。前月比では91億ドル増加し、昨年5月以来のプラス。
日本の米国債保有は5カ月連続で減少し、前月比178億ドル減の1兆900億ドル。前年比で316億ドルの減少だった。」
民間の資本流出を厳しく規制しているものの政府が米国債を買う方向への流出・・外貨準備だけ増えた状況を無理して演出している様子です。
日経新聞3月18日の記事を紹介したように、企業で言えば外注支払を先送りさせて手元預金を増やしたと言うことでしょう。
当初GDPアップ率と電力消費が整合しないことが問題になり、その次はトラック輸送実績とGDPが合わない・・等々次々の関係ですが、これもそういった小手先細工の一環でしょう。
この数ヶ月米国債保有残高減少が焦点になって来たのですが、保有額発表は米国政府ですから電力統計のように発表を操作出来ませんので、資本流出規制の強化・・外資への支払を止めてその分米国債を買い増したと言うことでしょうか?
米国債保有額の数字自体の操作はないとしても、経済の自然の流れを権力で歪めている点は同じですから、今後は米国債保有額の動きを見ても経済活動に応じた自然な資本の動きを計れなくなったと言うことです。
今後は・・外国企業へ不払いの動きがどの程度起きているか等の現場情報で中国の危険度を憶測するしかありません。
権力の脅しで未払いを公表出来ない企業には、支払を先送りするなどのいろんな仕組みがあるのでしょうが、不透明基準で払ってくれたり払ってくれなかったりするのでは進出企業にとってはリスクが高過ぎます。
中国に法の支配がない・・民主国家ではないとしても、国家が約束を守るべきかどうかは民主制と本来関係がありません。
国家の国民に対する約束を法とすれば、法の成立手続きが選挙の洗礼を受けているか否かで民主国家かどうかを区別しているだけで、国家の約束を自ら明らかにして国家が率先して守るべきは民主国家か否かに関係がありません。
諸葛孔明が泣いて馬謖を斬った故事はこの原理を表しています。
約束・契約を守らない個人がいる場合に(代金を払えと言う制度を設けて・・社会あるところ秩序維持に一定の裁定制度があるのはそのためです)これを守らせる(犯罪を取り締る)のが政府の役割・猿社会もボスがこの役割を果たしてこそボスです。
中国政府のやり方は政府自体が約束を守る意識がない・高官が賄賂次第で動く・・賄賂がないと動かないのは有名ですが、政府が民間の約束を守らせるように努力するどころか積極的に介入して約束どおりの支払をさせないとなれば文字どおり世も末・・社会組織崩壊です。
共産党政権は民主的洗礼を受けていないので正当性が弱いと一般的に言われていますが、国家の約束=広義の社会秩序維持義務を果たせているかどうかこそが政権の中核的存立基盤です。
これある限り強権支配かどうかで政権の存立が左右されることはありません。
しかも支払を止める基準がない・・破産等は完全ストップで画一的で公平ですが、政府の決めた相手だけ払わせないとなれば社会秩序が成り立つかの疑問です。
公になれば政府が公式にそんな命令していないからタマタマ何かの間違いだろうと言い張る・・政府はきちんと秩序維持の役目を果たしていると言うのでしょうが、(日経に報道されたあさひホールデングスへの不払い問題は購入企業が「政府の所為にして噓を言ってただけ」と言う決着をするのでしょうか?
結果的にこう言うことがどれだけ増えて行くかでしょう。

中国外貨準備急減2

外貨準備とは国際取引決済に必要な資金準備であり、長期貯蓄目的資金ではありません。
企業で言えば手元資金として一定額保有している流動資金と同じ原理です。
中国の外貨準備発表の内訳不明ですが理論的には米ドルだけではなく、円やユーロなどの外アフリカ諸国の国債に分散保有していること自体は虚偽発表ではないとしても、本来の即時決裁資金目的用途としてはドル・円・ユーロ・ポンド等の国際通貨以外の外貨を保有していても意味のない数字です。
だから昨日紹介した記事では、中国の外貨準備額発表が当てにならないとは公式には言いませんが、「米国債の保有額は中国の為替介入の本当の余力を示す・・」と言うのが大方の見方です。
ちなみに日本円保有・・日本国債金利が世界最底辺ですので、保有するメリットが低いので日本との直接決済用に最低必要な程度の資金にとどめているのは世界中の国の保有態度として共通でしょう。
中国がドル以外ユーロなど一杯保有しているとしても多くは最低限資金保有ですから、人民元買い支え用に使うわけには行きません。
本当にドル以外の外貨を2兆ドル近くも保有しているならば、公表すれば良いでしょうがそれが出来ない様子です。
アメリカ金利上げが日程に上っていることによる損失発生(金利が上がると低金利で買った債券価値が下落します)を緩和するために政策的に米国債を減らしていると言う見方もあります。
ところで、アメリカ国内だけで見れば金利が上がって債権評価が下がるのは損失ですが、金利が上がれば既存債権評価が下がると言うのは金利以外の与件が一定を前提にしている議論とすれば、金利が上がればドルも比例して上がる理屈・・金利の低くなった国の通貨は下落しますから、ドル評価で債権評価1割下がっても自国通貨が1割下がっていれば、自国通貨換算では評価減・損失はありません。
日本等米国債大量保有国にとってはドル下落・・円上昇の方が評価減損失の方が大きい筈です。
中国が日本の金融資産保有額を増やしている様子は以下のとおりです。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20161222-00010000-moneypost-bus_all
「中国は外貨準備におけるドルの比率を下げ、通貨の分散化を図ろうとしている。2016年第2四半期における日本の国際収支状況で中国との金融収支を見ると、5兆8989億円の流入で、前年同期と比べると4.1倍に増えている(データは日本財務省)。中国からの資金流出入は2015年第1四半期から流入に転換、金額は四半期ごとに増えている。」
ドル換算では約500億ドル分の日本流入が原因となりますが、昨日紹介したとおり、中国の米国債減少額は通年では3200億ドルの減少ですから、日本円保有増は年間減少額の6分の1強の寄与です。
ユーロへの分散はどうでしょうか?
ネットで見る限り中国は25%をユーロに振り向けていることを前提とする記事はありますが、データとして引用している記事は見当たりません。
ただ中国の貿易収支の黒字は続いているのですから、本来資本収支はその分マイナスにる筈・外貨準備が増える筈です。
これが増えないで外貨準備が底をつく心配が何故あるかの疑問です。
(貿易収支ばかり報道されているものの資本収支その他詳細が出て来ないので本当は不明です)
経験のない成金が高層ビルを買うようなもので対外投資で損ばかりしている場合もあるでしょうし、中国ダメ論の期待先行論・・貿易黒字は噓だと言うのかどちらかでしょう。
http://mainichi.jp/articles/20170114/k00/00m/020/050000c
中国貿易額2年連続前年割れ 対米摩擦でさらに悪化も
【北京・赤間清広】中国税関総署が13日発表した2016年の貿易統計によると、輸出と輸入を合わせた貿易総額は前年比6.8%減の3兆6849億ドル(約423兆円)だった。輸出入がともに落ち込み、2年連続で前年割れした。
輸出は7.7%減の2兆974億ドル。東南アジア諸国連合(ASEAN)向けが7.8%減と大きく落ち込んだ。日本と欧州連合(EU)はともに4.7%減、米国は5.9%減と先進国向けも低調だった。一方、輸入も中国経済の持ち直しの鈍さを反映し、5.5%減の1兆5874億ドルにとどまった。」
上記のとおり、輸出が減る以上に輸入が減っている・・世界中の国際取引が減少している中で、(中国の爆買い・輸入減少が原油を始めとする資源価格下落の始まりでした)中国の黒字が増えている・・アメリカを初め多くの国が赤字を押し付けられている状況が見えます。
トランプ氏の対中不満は世界の不満の代弁でもあるので支持が高いのでしょう。
https://www.hoxsin.co.jp/hadoutenbou/data/x/jp/tradechi.pdfからの引用です。
対中貿易収支 財務省
単位 億円
 1月    2月    3月   4月     5月    6月     7月    8月   9月   10 11月   12月
2014年 
-10,470  -1,14 -5,545  -4,615  -3,710   -3,721  -3,237  -2,362  -6,729  -5,901 -5,986   -4,460
2015年
-7,381  -7,727  -1,788  -4,779 -3,843  -4,137  -4,747   -4,881  -7,356 -5,414  -5,941 -4,042
2016年
-8,149  -3,833  -3,526  -2,963  -4,017   -3,358   -2,671   -3,445  -5,477 -3,426   -3,852 -1,827
2017年
-9,093
前年比
-944
上記のとおり今年1月までは日本の対中貿易では赤字が続いていましたが、17年2月には黒字転換しました。
http://www.asahi.com/articles/ASK3Q2JM8K3QUTFK001.html
財務省が22日発表した2月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた「貿易収支」は8134億円の黒字だった。黒字は2カ月ぶり。中国の大型連休が明け、輸出が大きく伸びたため。対中貿易収支は5年ぶりに黒字に転じた。」 対中貿易収支は1118億円の黒字だった。財務省関税局は「春節の日程は毎年変わる。今回の黒字は一過性のものだろう」としている。一方、対米貿易収支は6113億円の黒字だった。自動車部品の輸出が好調で、2カ月ぶりに黒字に転じた。(鬼原民幸)」
上記の解説によれば対中黒字は一過性のものかも知れませんが、15〜16年の推移を見ると徐々に対中赤字が減って来た(素人判断ですが)趨勢が見えます。
ちょっとした商品をネット注文するとベトナム製が多くなったのに驚きますが、輸入先が変わりつつある・・一過性ではない印象を受けます。

中国外貨準備急減1

昨日まで見て来たように、外資導入に頼って来た中国経済は投資継続が命綱・・これをやめるべきですがやめることが出来ない・・麻薬みたいになっていて縮小を始めると経済がガタガタになり中国政府・国有企業と国民双方が借金返済の苦しみが始まろうとしています。
外資導入は借金ではないと思うでしょうが、実体経済に及ぼす影響で見れば、ほぼ同じです。
債務でないから法的には返済義務がありませんが、土地を外資に100億で売っていた場合、外資が半値の50億で売って撤退すると50億円分の資金流出が起きます。
土地を買い工場設備を投入した外資が、採算割れで二束三文で売って引き上げるとなれば、その土地や工場設備は二束三文・・周辺相場の下落を呼びます。
ミクロ・個別で見れば、10〜20年前に高く売った土地や数百億の設備投資させてから嫌がらせして追い出せば二束三文で安く買えて民族資本が大もうけと言えますが、100の成功のうち1〜2社だけの経営失敗の例外現象であればそのとおりですが、大方の外資が商売にならないと引き上げる事態になれば、地域経済へのマイナス効果の大きさは計り知れません。
外資が次々撤退・・これを見た新規投資が手控えられるとなれば、これを補う民族資本・技術が育っていないと経済が麻痺するので損して引き上げるのだから放っておけば良いとは言い切れません。
中国は日系企業との合弁生産で技術を修得したから最早用がないとばかりに反日追い出し活動に踏み切りましたが、技術は日々進化する特質・・これがないとすぐに陳腐化して行く・進歩の概念がなかったので失敗しました。
レアアースで言えば、既存技術のママならば中国から95%の輸入が必要としても日本はイザとなればレアアース不要化〜比率を減じる技術開発力がある点を見逃していた失敗です。
各種生産工場も日進月歩の開発で成り立っていますから、当時の世界最先端工場を造らせたから反日運動で操業出来なくしてこれを買いたたけば世界支配出来るものではありません。
反日暴動が失敗したことが分ってレアアース禁輸後僅か1年経過で対中投資を求める訪問団が来日したことを3月16日に紹介しましたが、この暴動の結果次世代型工場誘致向けに余程うまい優遇策を提示されても警戒心が先立つので反日暴動前のようにはうまく行かなくなりました。
反日暴動にも拘らず新たに進出を決める企業は親中企業として目立ちますが、マスコミが世論誘導的に取り上げる一部現象ではなく、経済現象はトータル収支で見るべきでしょう。
この総合成績が現れるのが資本市場であり完全自由市場であれば為替相場に出るのですが、この後で紹介するように外貨準備急減に慌てて資本流出を急規制する例からも分るように、中国の場合不完全市場ですから為替相場では実態が分りません。
各種統計・・企業で言えば会計帳簿が実態を示さないのと同じ・・財務諸表が信用出来ない場合、銀行預金残高で本当の資金繰りを見るしかない状態が中国の統計です。
企業の銀行預金残高証明に匹敵するのが、外貨準備残高中の米国財務省証券保有・・米政府による発表数字です。
財務諸表中の債権などは相手企業とのなれ合いでいくらでも粉飾可能で・回収不能債権も紛れ込むので実は当てにならない・・中国外貨準備発表数字中「コア」になるのは米国財務省証券保有額のみと言う状況です。
損切りシテでも出て行く企業が多くなるのを見れば、余程見通しが良くなければ新規投資が減る・・あんちょこなムード便乗的投資激減ですから、差引き資本流出が始まっていれば外貨準備が減る・・その増減で見れば結果が明らかです。
中国自身の海外企業買収による流出・・これを頻りに宣伝していますが、これが含まれるとしても中国国内投資がトータルで減っていることは変わらないでしょう。
この大きな流れを隠し切れなくなった・・表面化して来たのが、ここ数年の資本市場の動き・・中国の誇る?外貨準備急減の基礎です。
中国外為市場が不完全市場とは言え長期的トレンドを防げませんので為替相場のグラフを見るとじり安が続いていますが、中国政府が買い支えているので実態が不透明です。
トレンドにどこまで逆らえるかは人民元の買い支えにつぎ込む外貨準備がどれだけ保つかでしょうが、外貨準備残高は中国政府発表によるので実は検証不能?不透明です。
p.reuters.com/article/china-foreign-reserve-idJPKBN15M0OEによると17年1月末に外貨準備が3兆ドルを割ったことが出ています。
[北京 7日 ロイター] – 1月末の中国外貨準備高は2兆9980億ドルとなり、12月末から123億ドル減少し、2011年2月以降初めて3兆ドルを割り込んだ。
ロイターがまとめたエコノミスト予想は105億ドルの減少だった。
2016年通年では、外貨準備は3200億ドル近く減少。2015年も5130億ドル減と過去最大の落ち込みを記録しており、資本流出懸念が高まっている。」
国際通貨基金(IMF)の指針では中国に求められる外貨準備高の最低水準は2兆6000億ドルとされ・・」
と紹介し、決済資金準備としてはまだ余裕があると言うのですが・・。
紹介の主眼は中国にはまだ余裕があると言うよりは、2兆6000億ドルが限界・・これを割ったら大変・デフォルトリスク野良員を公式宣言している点にあるでしょう・・。
これが正しいとすれば、もしも中国の外貨準備が(俗にいわれているように)実際以上に蒸かしたものとすれば、既に「限界ラインギリギリかそれ以下になっている」かも?と言う含みのある記事です。
中国政府発表のGDPや貿易黒字など経済統計の信用性が低いので、外貨準備額に関しても確かなところではアメリカ財務省証券保有額を外貨準備の指標としてみるしかありません
米政府発表なので正確な米国財務省証券保有額こそは、中国の正真正銘の外貨準備額・・しかも直ぐ換金出来るコア資金です。
本来外貨準備とは直ぐ使える資金・・米ドル・円・ユーロ・ポンドに限るべきそれ以外を含めること自体ルール違反っぽいのです。
例えば最貧国への援助の見返りにそのクニの国債を持っていてもドル換金出来ず貿易決済資金には使えず直ぐにはドルに換金出来ません。
米穀国財務省証券保有額の推移は以下のとおりです。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM16H6D_W6A211C1FF1000/
2016/12/16 20:54【北京=原田逸策】
中国の米国債保有額(10月末時点)が大幅に減り、国別の順位で日本に抜かれて2位になった。中国が対ドルで人民元の急落を防ぐため、ドル売り・元買いの為替介入を繰り返したのが理由。米国債の保有額は中国の為替介入の本当の余力を示すともいえ、減り続ければ元売り圧力がさらに高まる悪循環になりかねない。」
「米財務省によると10月末の中国の保有額は9月末より413億ドル少ない1兆1157億ドル(約132兆円)。日本も45億ドル減の1兆1319億ドルだったが、中国の減少幅が大きく、逆転した。」
11月末残高は以下のとおりで減少幅が半端でありません。
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/170120/mcb1701200500026-n1.htm
2017.1.20 05:00
「米財務省が18日発表した11月の対米証券投資動向によれば、中国の米国債保有残高は1兆500億ドル(約120兆5925億円)と、前月から664億ドル減った。減少幅は2011年12月以来で最大。日本は233億ドル減の1兆1100億ドルと4カ月連続で減少した。」

©2002-2016 稲垣法律事務所 All Right Reserved. ©Designed By Pear Computing LLC