中韓両政府のいじめっ子外交(歴史に学ぶ3)

日本政府・企業トップ等と接する中国の学者や政府要人(企業首脳)は、実際には自己分析が良く出来ている(遅れていることを良く知っているからこそ政府が率先して泥棒行為をしているのです)ことから低姿勢で礼を失するようなことは滅多にありません。
ただ国内的あるいは対外的には大きなことを言わないとどうにもならないと言う立場で接してくる(沽券やメンツにこだわる文化とはそう言うものです)ので、つい日本人は「交渉相手が可哀想だ・・相手の顔を立ててやるしかない・・」となって、譲ってしまう傾向があります。
韓国関係者も対日交渉では、ほぼ100%中国同様のスタンスで現在に至っています。
この結果「日本は譲り過ぎ」というフラストレーションが国民にたまりこれを背景に右翼から嫌韓嫌中批判や行動が起きるのですが、悪く言えば中韓要人の二枚舌外交に我が国は翻弄されて来たとも言えます。
中韓両政府にとって対日関連では内外使い分けが必要になったのは、歴代政権が政治能力の拙劣さを覆い隠すために国内で反日教育・・自国の歴史を直視しない・・虚偽歴史教育をして来たからであって、それをやめれば済むことです。
反日教育や虚偽歴史教育を前提に「国内向けに持たないから協力してくれ・・」という二枚舌外交は元々普段からの嘘つき教育を前提にしたものですから発想が狡いのです。
中韓両政府による内外使い分け外交(虚偽教育・・これが中韓両国人民の道義心を麻痺させて全ての分野で嘘が多くて世界的に信用されなくなっている根源です)に限度が来たのが、最近の日中韓関係です。
トラの威を借りれば何をしても良い・・一種のいじめっ子の論理ですが、専制君主制・・正義かどうかの基準よりも強い者に従う原理に古代からずっと馴染んで来た中韓両政府とその人民の行動原理としてもピッタリだったのでしょう。
アメリカは自分の方こそ道義に反した戦争をした負い目から、極東軍事裁判というでっち上げ裁判を敢行し、その後も日本は道義的に許せない戦争をしたというでっち上げ宣伝をして来たことから、中韓両政府は自国の無茶な要求を通したくなるとその都度アメリカの姿勢に便乗して言いたい放題のでっち上げの日本攻撃をしてきました。
日本は敗戦国の弱みで、隠忍自重していることを良いことにして、中韓両政府はトラの威を借りていじめっ子に徹して来たのです。
今でも何かあるとすぐに「日本は極東軍事裁判を否定するようなことを言っていいのか」とアメリカに盛んに訴える政治姿勢からも中韓両政府のトラの威を借る姿勢は明らかです。
昨夏の竹島上陸・天皇謝罪要求発言当時の韓国大統領の
 「日本の国力が落ちたから・・」
と言う言い訳発言が、余計日本国民を怒らせましたが、その本音は嘆き節だったのでしょう。
日本には相手の大統領が困っているなら何でも聞いてやる・・二枚舌外交につき合う大国の余裕がなくなった・討論会等で議論に負けそうになると、「日本人には愛がない」と絶叫するので、日本人学者が苦笑して黙ってしまうと議論に勝ったような気持ちになる韓国学者(こう言うのを学者と言うかな?)と同じです。
第二次世界大戦後70年近くも経って、アメリカ自身も自己保身のために台頭して来た対中国を気にするようになって来たの中韓の言う都度一緒になって日本叩きばかりしていられなくなったし、周囲(東南アジア等第三者も力を持ってきました・・極東軍事裁判では正論を言えたのはインド人判事一人でしたが・・それもまだイギリス植民地だったかな?)の目もあって、日本叩きなら何でも(どんな理不尽な虚偽でっち上げでも)応援するという時代ではなくなっています。
今や日本企業の世界進出によって、(企業人こそが最も優れた外交官と言うべきです)日本民族の誠実さ・正義感の強さ・心底からの優しさが世界的に草の根で承認されて来たので、むやみに日本叩きに賛同する雰囲気ではなくなって来た面も大きいでしょう。
戦後約70年かかって漸く日本の正義・動植物まで慈しむ価値観・道徳観が草の根で認められ始めたのは、正義は歴史が証明してくれると信じて黙々と刻苦勉励して来た成果です。
日本民族は正しいことは100〜500年後になっても分れば良い、そのときまで隠忍自重するという精神構造ですし、中韓はその場その場で嘘でも何でも言いツノル・・声が大きければ勝ちだという精神構造で来きました。
この違いは日本列島始まって以来の歴史・万年単位で一カ所に住み続ける信頼関係を基礎に、後世の子孫に恥を残さないという精神構造を育んで来た・・中韓はこう言う信頼関係の歴史がないことを「信義を守る世界8(名誉の重要性2)」Published December 10, 2012前後で連載したことがあります。
中韓両政府は戦後直後のアメリカによる不当な誹謗に乗っかって行けば良いと言う意識のママで日本批判さえでっち上げれば、アメリカが文句なしに味方し、ひいては世界中がこれに追随すると思って浅はかな行動に出たのが昨年来の失敗の元です。
今後日本は虚偽でっち上げばかり主張する中韓両国とは疎遠にして行く・・子どもっぽっく反論して罵りあう必要はないですが・・・態度を改めない限り頼まれても応援しないと言う姿勢に徹するべきです。

密室外交と情報開示2

アメリカのような強い国・・まして中国に圧力を掛けさせて日本が困るのを待って始まった同盟強化交渉では、安倍政権がアメリカに表向き譲る方が多くなるのは当然であって、これといった土産なしに赫々たる成果を期待するのは無理です。
(日本はかなり不利な条件をのんだようでも、1月5日に書いたように愛国心が強いのと適応力が高いのでその内何とか出来るのでそんなに心配要りませんから、一見不利なようでも譲るべきは譲っても良いのですからこれを交渉担当者が隠す必要がありません)
むしろ、密室取引で外見上の大成果を上げたことにして、裏で国益上のマイナスを約束している方法だと国民が知らないために対応するチャンスを失うので、国益上大きなマイナスです。
何を(どの分野で)どの程度譲るべきかを国民が知った上で、どうしたら良いかを冷静に判断する必要があります。
不利・不当な要求だから日本はイヤだと言っても、アメリカと仲違いすればこれをチャンスと見る中国からもっと不当な要求をされる可能性が高いのですから、どちらかの不当要求を受入れるしかないという冷徹な判断が必要です。
第二次大戦後に勝者のアメリカにいろいろ不当(極東軍事裁判を筆頭に・・)な要求をされたことがあったとしても、ソ連に支配されていたのとどちらが良かったかというような議論が必要です。
同じ民族資質を持っていても東ドイツと西ドイツとではまるで国民の生活水準が違っていたことをちょっと考えれば分ります。
国際政治の現実を国民に開示してその上で国民が仕方ないと判断したことに従うことこそ、民主主義の価値観を共有する国家間の交渉です。
もしも交渉経過を公開しないで右翼の納得するような成果があったとすれば、その裏で何倍もの国益を国民の了解なしに売り渡していると推測した方が良いでしょう。
何倍もの国益を売り渡しても尖閣諸島を守ってもらう必要があるかどうかこそ・・放棄すればいよいよ中国が図に乗って来るかどうかを含めて、国民が冷静に判断すべきことですし、中国に良いようにされるくらいならここまでアメリカに譲った方が良いと言うのも国民の判断です。
要は中国の圧力に屈して中国に何を譲歩するか、中国からの圧力を跳ね返すためにアメリカに何を譲歩するかの比較考量の問題です。
情報開示によってこそ、比較考量すべき対象を国民が合理的に判断出来ます。
秘密裏に何をいくら譲っても良いから領土だけ守れというのが右翼とすれば、右翼とはそもそもなんでしょうか?
長期的な国益はどうでも良い・・愛国心などかけらもなく、子供じみた陣取り合戦にうつつを抜かすグループ・・ゲーム機愛好者のことでしょうか?
疑念を招かないために対米交渉は密室で行うのではなく、何を譲るように要求されているのかあるいは自主的に何を譲る予定なのかを明らかにして国民の判断権を尊重してこそ、民主主義国家です。
交渉内容を公開するのは国益に反するという言い訳が一般的ですが、コチラの今後の戦術を公開するのは問題ですが、相手が何を要求して来ているか、この時点でこちらがどこまで妥協の提案をしたかの開示は、既に過去にあったことですから、これを国民に知らせて何が悪いのでしょう?
既に提案したことは相手も知っていることですから、これを国民に秘密にする必要はありません。
にも拘らず担当者・政権が秘密にしたがるのは、自分のした提案が国民利益に反している・・国民の支持を得られないことの自覚があるから隠したい・不正な動機があるとしか考えられません。
「国民は馬鹿だから知らせない方が良いのだ」という旧来のやり方は民主制度を根底から否定する思想です。
良く知られる例で、独仏露の三国干渉に対する国民の不満・あるいは日露戦争後の講話交渉に対する不満・デモを歴史で習います。
だから国民には交渉に関与させないのが良いかのように・・教育されます。
しかし、これはその前提となる国際情勢・・正確な国力比較を国民に隠していたから国民が誤って不満を持ったに過ぎず、結局は情報開示不足が原因でした。
中国国民や韓国国民の非常識な反日行動は中国政府が日本からの円借款等の援助による恩恵を隠して自力で産業を興したかのように宣伝していることから起きていることです。
政権担当者が実際以上に自己の成果を強調すると、後で咎めが出て来て却って相手国との友好阻害要因になります。
我々弁護士で言えば、交渉内容や裁判の見通しを依頼者に説明しないでやっているようなもので背任行為を前提にしているのです。
100円の物を100円で買って来るのは当たり前で、100億円の商品・権益を手に入れたという自慢は良いのですが、その対価としていくら払ったのか・何を対価に提供したのかこそが、その人の交渉力を知るのに重要です。
安倍政権が対米交渉を秘密裏に行い成功したと宣伝している場合、提供した対価を公開出来ない以上は、マトモな交渉が出来なかったことを自分で証明していることになります。
会社に内緒で大幅値引きやサービスを顧客に約束して営業成績を上げていて、後に発覚して会社を困らせる営業マンがいます。
密室交渉にこだわる政治家はこうした営業マン同様で国・国民にとっては困った政治家です。

密室外交と情報開示1

手みやげなしに「軍事同盟だけ強化しましょう」と言っても、メリットがなければアメリカが乗って来ないとすれば、安倍政権は尖閣諸島防衛協力の見返りに何を、どの程度アメリカに売り渡すつもりで言っているのでしょうか。
安保条約を片務関係から相互条約に変える・・米軍防衛もする方向に変える必要があるのは当然と思われます。
これ以上に日米相互防衛の範囲を台湾、フィリッピン〜東南アジア全域(シーレーン防衛)に広げる・・この当たりでも日本が米軍に協力・補完するのは、対中国関係でも戦力強化訓練になるし、将来アメリカの防衛がそれほど当てにならなくなった場合、ある程度自力防衛出来る準備になるので日本にもメリットです。
(ただし憲法9条との関係では別の検討課題であることは当然です)
重要なのはTPP(具体的内容が何故か賛否双方からあまり開示されません)その他経済支配関係の受入れですが、安倍政権は密室取引で受入れるのではなく、これをきっちり国民に開示する必要があります。
ただし、元旦から書き始めていて横に行っていますので後に書きますが、かなりの部分で解放に同意しても日本は最先端の国ですから、欧米勢に席巻されることは滅多にありません。
誰でも知っている例で言えば、仏の世界大手カルフールが日本上陸しても日本市場ではまるで歯が立たなかった例で直ぐに分るでしょう。
(牛肉でもサクランボでもアメリカからのものは最低品としてしか扱われていません)
韓国が外資の支配を受けているのは資本蓄積がマイナスだったから起きたことですが、日本の場合世界一の純債権国・資本蓄積が厚いので心配がありません。
いつも書きますが、日本社会は何周回も世界の先を行っているのですから相互解放は日本に有利です。
ですから相互市場開放で日本が少し多めに譲っても日本植民地化の始まりではなく、実は日本に有利です。
何を譲って何を守るかを国民が知ってこそ、そのどちら(同盟強化か否か)をとるかの判断を国民が出来ます。
この取引を密室で行う・・国民判断を仰ぐのを回避する(参院選挙後に行う)のは、国民の意思によらない取引をしたいからでしょうから、結果的に国民利益に反することになります。
(国民の利益になる自信があれば、選挙前に国民に手土産・取引内容を開示すれば良いでしょう)
アメリカの要求が日本の弱みに付けこんだ不当なものかどうかではなく、不当であってもそれ以上の国益を守れれば良いし、「そこまで要求されるなら尖閣諸島防衛してくれなくて結構」と突き放す判断の前提を国民に明らかにすべきです。
不当な要求でもトヨタはアメリカで商売するために、解決金を支払っていることを3日のコラムで紹介しました。
対中国関係のために同盟を強化するならば、アメリカの要求を飲む場合の日本の不利益と尖閣諸島を死守する国益とどちらが大きいかの判断は国民がするべきであって密室取引にする必要はありません。
右翼のようにナショナリズムだけ煽って、「どんな不利な取引でも(これ闇に隠して)尖閣諸島さえ守れれば良い」という雰囲気を作り出すのではアメリカの思う壷にはまります。
湾岸戦争時の約1兆円だったかの冥加金の支払や・・トヨタのようにインチキな不具合と判明しているのに解決金を払わざるを得ない・・不当賠償金支払決断ならば1回切りのお金の損害で済みます。
国債をドンドン外国に買って貰い、企業支配まで受入れるお土産では、韓国のように半永久的に経済植民地支配を受けるようになります。
企業のみ栄えて(その利益は外国資本家・・外国流出)国民は貧民化する・・このようなことと引き換えに尖閣諸島防衛を口先だけ言ってもらうのでは、日本にとってどう言う価値があるのか分らない尖閣諸島を死守する必要があるのか?となります。
離島1つの防衛よりは、(年末に書いたようにイザ戦時になると尖閣諸島防衛は放棄することさえあり得ます)民族全体で植民地支配を受けるかどうかの方が重要でしょう。
辺境の防衛は本土防衛のために意味があるのであって、本土国民が離島防衛約束と引き換えにアメリカに隷属するしかないのでは本末転倒です。
口先表明してもらっても・・数年〜10数年先に危機が具体化したときに本当に防衛してくれるかは、そのときの世界情勢次第ですから、今からの口約束は大した約束にはなりません・・・。
(これまで60年以上も広大な基地を提供し、巨額防衛分担金を払って来ていても、今回具体的な危機が起きると口先だけでも言ってもらうのに何か手みやげがいるのが現実です)
尖閣諸島防衛の口約束と引き換えに何をアメリカに提供(先履行)するのかを明確に国民に提示すべきです。
湾岸戦争協力金のように現金支払だけならば、緊急時に本当に戦争に参加してもらうための追加支払もまた出来ますが、企業支配を許した後では、もう追加提供するものがないので、もっと酷い追加要求・・非正規雇用の比率増加・環境規制の緩和など医薬品であれ食品であれ、「全てアメリカ基準どおりであれば何でも国内パスするようにしろ」(全ての分野で国内検査禁止)と言う内政干渉そのものが待っているでしょう。
言い換えれば企業支配を受入れない・・民族資本である限り古くは東芝、最近ではトヨタのように時々不当な巨額資金の支出を求められる危険がありますが、その程度で口先防衛してくれるかどうかです。
韓国のように植民地支配を受け入れてしまえば、アメリカ内国企業並み恩恵・・時々巨額資金の支払を求められることは今後なくなるでしょう。
アメリカは中国の圧力を利用して(日本が弱ったこのチャンスに)今回は一時金ではなく国債を含めた金融支配・恒久的企業支配を求めて来ると思われます。
安倍政権が、外見上の日米蜜月を作り出す自己の得点稼ぎのためにこっそりと日本の一番守らねばならない部分をアメリカに売り渡してしまわないかと心配しています。
歴史上対外的に勇ましいことを言ったりやったりしている政治家ほど、これを実現するために裏で国の大事な部分を売ってきたのではないでしょうか?
一方的な戦勝による軍事占領であれ、何であれ一見大きな成果獲得には、必ずそれに伴うマイナス(戦費負担・傷病兵の増加・相手国に恨まれるなど後世へのマイナスははかりしれません)がつきものです。
民事交渉でも同様で、ヤクザのようにやらずぶったくりなどあり得ないのですから、交渉妥結には必ず正当な対価(以上)が必要です。
多めに譲ったように見えても上記のとおり日本社会は進んでいるので実際に(何周回遅れの後進国)アメリカが日本の懐に手を突っ込めることは殆どありませんから、右翼・言論人が大げさに騒ぐほどのことは有りません。
右翼・言論人の主張の多くは日本が大幅に遅れを取っていること・劣等意識を前提にした意見が多いことになります。
(この辺は中韓の愛国的発言も潜在意識として自国の遅れ・・劣等意識の裏返しになっているのと同じです)

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