フェイクニュース6(拡散の原動力4)

日本のネット記事も、真面目に読めば根拠薄弱であることが分かるような「おもしろ」「誇大表示」記事らしいものが溢れていますが、政治記事では、面白いギャグだと笑ってばかりいられないとんでもない結果も引き起こします。
中にはクリントン批判のフェイクニュースに反応して店舗襲撃事件まで現実に起きたのが恐ろしいところです。
https://mainichi.jp/premier/business/articles/20170901/biz/00m/010

偽ニュースが起こした米国「ピザゲート事件」の“狂気”
2017年9月2日 清水憲司 / 毎日新聞北米総局特派員(ワシントン)
「私たちには自分を守れない人々を守る責務がある。いつの日か理解してほしい」。娘2人に宛てたビデオメッセージを撮影した後、男はワシントン市内のピザ店「コメット・ピンポン」に押し入り、ライフル銃を発砲した。
・・・幸いけが人はなかったが、フェイクニュースの拡散を象徴する「ピザゲート事件」として全米を驚かせた。
男は「ヒラリー・クリントン陣営が児童の人身売買に関わっている」というフェイクニュースを信じ込み、子供たちを助けるつもりだった。
・・・ピザゲート事件の発端は、暴露サイト「ウィキリークス」が流出させたクリントン陣営幹部のメールにあった「ピザ」の言葉だった。米メディアの分析によると、ネット掲示板では「チーズ・ピザ」が児童ポルノの隠語として使われており、匿名投稿者たちの妄想をかき立てた。オバマ前大統領の支持者が経営するピザ店「コメット・ピンポン」が次第にクローズアップされた。
無責任な連想ゲームは、繰り返されるうちに「ニュース」としてネット空間に拡散し、エドガー被告が聞いていたラジオ番組でも取り上げられた。3日間悩んだ末に、エドガー被告は自ら事実を突き止めようとピザ店に向かった。

伝言ゲームで知られるように、多くの人を介すれば内容が大幅に変わって行くことが多いのですが、この種冗談や過激な表現はこれに「尾ひれ」をつけた拡散流布自体でこれを見る人は「フェイクかな?」と思いながらも信じないまでも相応のマイナスイメージ刷り込みが出来上がることが多いのです。
デマでもそれを大手メデイアが大規模な話題にすること自体で洗脳効果があります。
トランプ氏は話題性のおかげでの選挙費用が少なく済んだと豪語していることとも符合しています。
https://wired.jp/2017/06/22/journalism-post-truth-era/

TEXT BY JASON TANZ
TRANSLATION BY TOMOAKI KANNO
WIRED(US)
この数年の間にソーシャルメディア、特にFacebookが主要なニュースソースとして出現したことで急加速した。
プロのメディアが世論を方向付ける力は衰え続け、いまではほとんど失われている。ソーシャルメディア以前は、新聞の編集者が、どのネタを発表するか、それをどこに載せるかの最終決定権をもっていた。
今日、その役割を手にしているのは読者である。編集者は記事を発表できるが、それが誰にもシェアされなければ、書かれなかったも同然となる。
読者が新たなパブリッシャーだとしたら、彼らにニュースをシェアさせる最善の方法は感情に訴えることだ。主によくない感情に。
『Human Communication Research』誌に最近掲載された論文によれば、Facebookで情報をシェアするかを決める「重要な媒介メカニズム」は怒りだという。特定の主義に偏り、強い怒りを感じている人ほど、政治のニュースをネット上でシェアする傾向にある。そして、そうやってシェアされる記事は、それを読む人にさらなる怒りを抱かせることになる。「マーケットシェアを獲得するにはラディカルになる必要がある」と、フェイスブックの元プロダクトマネジメント部長サム・レッシンは言う。「穏当では何も得られない」

政治でのフェイクが騒がれていますが、発信者がもともと特定思想に凝り固まっていない純粋儲け主義・遊び感覚でやっていることが、却って拡散効果を発揮しているように見えます。
多くの読者を呼び込めば 多くのスポンサーがついて儲けられるのが基本ですから、彼らは内容の善悪など気にしない・絵空事でも、やらせ、奇抜・過激であればある程効果がある・・何でも良いのが基本です。
フェイクのレッテルを貼られるリスクを恐れない・・単に金儲けになるかどうか・・如何にして注目を惹きつけるかだけに特化する人には伝播性の競争では叶いません。
https://mainichi.jp/articles/20171114/k00/00m/040/021000c

フェイクニュース
作られ方 ブログ管理人が内幕語る
神奈川県座間市で9人の遺体が見つかった事件で、話題性の高い情報を載せているトレンドブログに「父親も共犯?」など事実無根の見出しや投稿を載せた管理人が、匿名を条件に毎日新聞の取材に応じた。
動機を「収益目的と世間のニュースやその裏を追いたい気持ち」と説明。ブログは個人で運営し、収入は多い月で10万円台後半になるという。
閲覧増やすため見出し過激に
トレンドブログは、事件や芸能人のスキャンダルなど注目の話題を取り上げ、クリック数などに応じて報酬が支払われるネット広告(アフィリエイト広告)を収益源とすることが多い。個人運営だけでなく記者を集めて組織的に運営するものもある。

いわゆる大災害時などに起き易い流言蜚語は出所不明の庶民の憶測発信が元ですが、今は日常的なネット発信が容易になった上に金儲けの手段になったこともあって、伝播力が半端でなくなったので量から質に変わったとみるべきべきか?の問題です。
許可制にしてルール整備するようにしているビットコインや民泊同様にして行く必要があるかの問題です。
フェイクの直接取り締まりは、事実認定の難しさの他に憲法の表現の自由の保護があって難しいですが、思いつき的でちょっと乱暴な意見ですが、(その道の専門家による緻密な論議が必要ですが)業法化してしまえれば、違反行為に対する何段階かの行政処分があって最終的には許可取り消し→無許可営業の場合は業法違反による刑事処罰法制化が可能になるので、大規模なフェイク発信だけでも防げるでしょう。
許可業種になり且つ全国展開的大手になると一定期間の(刑事処分まで行かなくくとも)業務停止処分だけでも業績に大規模な影響が出るので、内部チェック規制が厳しくなりフェイクの暴走を防げます。
例えば個人が空き家を利用している民泊の場合、なんらかの違反をしていて1〜2周間業務停止しても大した影響がありませんが、全国展開している仲介サイトが業務停止処分を受けるとその間従業員等の固定コスト負担があり、且つ信用毀損による大規模ダメージを受けます。
農産物の産地偽装や無農薬表示違反があった場合、その農家だけの問題ではなく、これを取り扱っている大手スーパーの方が、その何千倍もの損害を受けます。
農産物の産地偽装や無農薬表示違反があった場合、その農家だけの問題ではなく、これを取り扱っている大手スーパーの方が、その何千倍?もの損害を受けます。
この場合、大手スーパーが「当社は騙された被害者です」と言い張って済ませられないので必死になって再発防止に務めるが普通です。

フェイクニュース5(拡散の原動力3)

クリントン批判を煽るフェイクニュースを次々と量産していたのは東欧の若者たちであったと言うネット報道が出ています。
(他にも政治目的で怪文書拡散作業していたグループが一杯いるでしょうが・・私の稚拙な検索能力で、ちょっと検索した程度では当面彼らが有名らしいと言う程度しか私には分かりませんが、たまたま出て来たので紹介することにします。)
以下のレポート記事によれば、彼らはクリントン対トランプのどちらの支持というのではなく(これも本当かどうか不明ですが)嘘八百を発信したところトランプ側の反応が良かったにすぎないかのように紹介されています。
ただし、レポーターの取材程度で「〇〇から資金をもらってやった」などと答えるものがいるとは思えませんので、この紹介記事自体が眉唾?フェイクの可能性があります。
台湾訴訟の高裁認定を読むと予め想定したシナリオがあってこれに従った筋書きで誘導して質問していくのが取材方法のようですし、テレビ等の街頭録音に応じてもテレビ会社のシナリオ通りの回答をしないとボツ記事になってテレビ等で放送されないと言われていることもあります。
新聞の文化欄かな?俳句や短歌の撰者によって毎週優れた佳作?秀作が紹介されていますが、それらを読んでいると撰者によって好む傾向が見られます。
およそ全て、「選り好み」というかバイアスがかかっているのを防げないのではないでしょうか?
ロシアゲート問題沈静化目的のシナリオに合わせて質問して聞き取りしてきた可能性なきにしもあらずですし、現地?レポーターがこの通り聞いてきたとしても彼ら若者が本当のことを言っているのかについての信憑性は不明です・念のため。
ついでにレポーターとフェイクに関連してちょっと触れておきます。
NHKラジオ深夜便その他の番組で各地現地生活者によるレポート・・現地生活者からみた現地雰囲気について、生の息遣いを伝えていることが多く、私も10数年ほど前まで気に入って聞いていたことがあります。
いわば大手メデイアの「官制?」格式張った(いろんな意見をミックスした毒にも薬にもならない?ニュースより、個人的(根拠のない)感想がそのまま出てくる点が人間的で?良かった印象です。
その人が見聞きした狭い範囲の印象報告ですから、その地域全般の傾向かどうかすら分からない・・その分事実かどうかを問わないし、実際に経験したことであってもその地域多数の平均的意見ではない・レポーターの個人主観によるバイアスがかかっているのは承知の上という設定でしょう。
日本のニュースで「〇〇と報道されて驚いていますが、ここでの近所の人は」「こういう状態ですよ!」という根拠のない?紹介をされるとレポーターの生の声の方を何となく信じてしまう趣向です。
ただ習慣的に入眠直前にうつらうつらで聴いたり、朝妻が皆川達夫氏の「音楽の泉」などの放送を流し始めるとこれを聴きながら薄っすらと目が覚めて起き上がる習慣でしたが、眠る前や起きる前の数十分ベッドでぼんやり聴いているとバイアスのかかった主観的印象が国民に与える影響力は半端ではありません。
十数年以上前からベッドに入るとその後は何も記憶がないので、多分数分以内でぐっすり眠り込んでしまうようになったらしく、何故か朝も目がさめるとすぐに起き上がならないと気が済まなくなって(庭木が育ったせいか、朝仕事に出る前の自宅周辺の落ち葉掃除に時間がかかるようになったこともあるのかな?)朝のラジオ番組をひとしきり聴く習慣がなくなり今はどうなっているか知りません。
現在でいえば、ネット系では「メデイアはこう言っているがアメリカを回ってくると、トランプ氏支持者が「実はバカばかりではない」「草の根の支持が高い」などのレポートなどもレポーターがそう言っているだけで我々読者には実は根拠不明のママ聞いた入り読んだりしているのです。
どちらのレポートが正しかったかは選挙の結果や、その後の社会変化・結果で証明されるしかありません。
レポーターや評論家の信用は、(どこでどういう人の意見を聞いた回ったかなど)事前判定不能ですから、過去のレポートがその後の経過とどの程度合致するかで決めて行くしかないのが現実です。
レポーターが近所の人から聞いたとおり・・真実を報告していても、(群盲象を撫でる類で)それが現地住民多数意見か少数意見かもわかりません。
近所に住む日本人であるレポーターに相応の気を使っている面もあるでしょう。
これをフェイクというのかどうか知りませんが、事前判定するのは無理があります。
現地の動きとしてのレポートが、現地の雰囲気の一部しか表現していない・・まちがっているかもしれませんが、「いろんな見方があるんだなあ!」と知ることができるのは楽しいことです。
例えば中国反日暴動報道一色の中で、現地居住中の主婦が「皆普通ですよ、特に反日感情が盛り上がっているような印象を受けませんが・・・」というようなレポートを仮にした場合、それが事実であろうとなかろうと、日本人がホッとし、「政府が扇動しているだけか?」と反中感情が緩む効果があります。
散々脚色報道してきた大手メデイアがそもそも今更になって、なぜフェイクニュースと騒ぐようになったかの視点が重要でしょう。
以下はマケドニアの若者の無軌道なフェイクニュース発信の実態らしいです。
https://www.buzzfeed.com/jp/sakimizoroki/fake-news-on-sns-and-democracy?utm_term=.de5NzDrYd#.op7oA36WL

フェイクニュースが民主主義を壊す Facebookが助長したその実態とは?
マケドニアの青年らが金目的に立ち上げたフェイク(偽)ニュースサイト。
米大統領選でトランプ支持者に向けて扇動的なニュースを書き続けた。内容が真実である必要はない。Facebookでより多くシェアされさえすればいいという。その驚くべき実態とは。
2016/11/23 06:01
投稿者 Saki Mizoroki (溝呂木佐季 BuzzFeed News Reporter, Japan) Craig Silverman (BuzzFeed News Media Editor) Sheera Frenkel (BuzzFeed News Reporter)
旧ユーゴスラビアを構成していたマケドニア。ギリシャと国境を接する人口200万人余りの小国だ。その中部の町ヴェレスは「デジタル・ゴールドラッシュ」にわいていた。
約7千キロ離れたアメリカ、大統領選のおかげだ。
この町の若者らは140以上のアメリカ政治サイトを立ち上げた。こんなもっともらしいドメインを持つ。
以下ドメイン名省略(稲垣)
例えば、WorldPoliticus.comの記事「あなたの祈りは聞き届けられた」。匿名のFBI捜査官を情報源に「ヒラリー・クリントンは電子メール問題に絡み、2017年に起訴される」と伝える。(現在は削除)
Facebookで14万エンゲージメントを獲得した。(エンゲージメントとは、シェア、いいね!などのリアクション、コメントの合計数)
もちろん、でっち上げ記事だ。
「稼げるなら、やっちまえ」
「投稿の情報は悪いものだし、虚偽だし、ミスリーデイングだよ。でも『それで、人々がクリックし、エンゲージメントを稼げるなら、やっちまえ』だね」。こうしたサイトの一つを立ち上げたヴェレスの男子大学生はBuzzFeed Newsに話す。
「簡単に金が稼げるからサイトを立ち上げたんだよ」。仲間数人でサイトを運営する17歳の男性はBuzzFeed Newsに打ち明ける。
「マケドニア経済はとても弱く、ティーンエージャーは働くことを許されていない。だから、金を稼ぐためにクリエイティブな方法を探さなきゃならないんだ。ミュージシャンなんだけど、必要な道具を買えない。ここマケドニアでは、小さなサイトからの収入でも、いろんなものを買うのに十分なんだ」

以下有名なローマ法王のトランプ支持記事など含みますが長くなるので省略します。
道義よりも「稼げればいい」と言う姿勢とクリントン政権側に有利のフェイクよりも、トランプ政権寄りのフェイクの方が食いつきが良かったので(稼げるので)ドンドン拡散していった様子が書かれています。

フェイクニュース4(拡散の原動力2)

昨日紹介した高裁判決では、名誉毀損等の具体的被害がない限り表現の自由は(最大限)尊重されるべき」という思想も出ています。
表現についての批判は、思想の市場淘汰に委ねるべきと言い続けてきた憲法学者らの意見が背景にあるのでしょう。
支配思想に押しつぶされていた少数意見もネットの発達で声を上げられるようになっただけでも良いことですが、特定政治思想・正義感に偏らない・どちらのグループでも良い・小遣い稼ぎになる程度で満足するもっとフリーな人が参加し始めたのが、SNS以降の世界です。
情報発信参加が容易・大衆参加型になった結果、初めて発信手段を入手した大衆は、特定立場攻撃の悪意がない分警戒心が低く気楽に・野放図に?・注意を引くために過激な創作をする傾向があります。
少年が面白半分に調子に乗ってやりすぎて大事件が起きることがあります。
発信自由・大衆化すると玉石混交状態になりますが、これに便乗・紛れて敵対国が相手国世論誘導に利用することが容易になって来ます・これがロシアによる選挙介入疑惑です。
いわば戦国時代の足軽が日当次第でどちらの武将の下でも働くし、現在世界の傭兵集団もそのような特性がありますが、普通の市民が小遣い銭欲しさだけで、リベラルだろうと極右だろうとどうでもいい・このような動きに気楽に参加するようになった社会になったということでしょう。
何でも気楽に批判できるようになると今までは大手メデイアから不公平な報道をされてきたと不満を持っている反リベラリスト、反グローバル系の方が、SNS利用による自前の発信力を身につけた勢いで、既成勢力に反対する過激な反感フェイクに乗り安い面があるでしょう。
この結果(どちらの陣営でも構わない)目を引くような過激発信したら、トランプ系の方が反応が良くてこれの転送が拡散した原因です。
以下の記事自体がフェイクかどうかどうか不明ですが、以下の通り無責任な情報拡散が続いているようです。
https://www.nhk.or.jp/kokusaihoudou/archive/2017/11/1127.html

2017年11月27日(月)
アジアで広がるフェイクニュース
インドネシア・北スマトラ島にある人口15万人の街、タンジュンバライ。
人口の8割はイスラム教徒です。
モスクから流れるのは、イスラム教の礼拝の呼びかけを知らせる「アザーン」。
去年(2016年)7月、モスクの前に住む仏教徒の女性が、この音が大きいとして、音量を下げるようモスクに要求しました。
ところがSNS上には、「仏教徒がイスラム教徒の祈る権利自体を奪おうとしている」といった、女性の要求の内容をねじ曲げた投稿が広がったのです。
投稿を目にした男性です。
SNSの投稿を見た人
「仏教徒がアザーン(礼拝の呼びかけ)を禁じた。
(仏教徒を)あざける言葉とともに、“火をつけろ”と書いてありました。」
拡散する投稿に扇動された群衆は、ついには仏教寺院を襲い始めました。
その結果、合わせて10の寺が全焼。
この事件は、同じ街に住む人たちの心に今も影を落としています。
タイ SNSで拡散 深刻な経済被害も
リポート:藤下超総局長(アジア総局)
これは、今年(2017年)5月から6月にかけて、タイで出回った動画です。
「サンドイッチの具に、豚肉の代わりに綿が使われている」という内容ですが、全くの作り話です。
以下省略

フェイスブックがファクトチェックをやめて読者の判定に任せる方向に方向転換したことを2月4日に紹介しました。
2月4日には(過激なフェイクであればあるほど、「共感」が増えるので)共感の数量で決めるのでは意味がないのではないか?との私の意見を書きましたが、表現の自由を守るためには思想の自由市場で競争させろという古典的論理から言えば、フェイスブックが上から目線でチェックするよりは、自由競争に委ねる一見識と言うかそれしかないでしょう。
そもそも事実・ファクトとは何かですが、明日以降に書きますが、現地レポーターが現地で一部経験した地元意見を紹介する場合を見れば、レポーターが経験したのは事実としても、その地元の傾向のように言う点で誤解を招く行為です。
政治問題に関してはその上に(数十年後に判明してもすぐに明らかでない)機密事項が多くて憶測が中心になっている面もあり政治意見との区別をつけにくい・それ自体よくわかっていない上に、脚色していれば創作・表現の自由と言うのですから基準がはっきりしないと思うのは無理もないでしょう。
素人的には、メデイアの好む方向へ脚色する方がごまかしが巧妙・・「世論誘導の弊害があるので許されない」と思うのが普通ではないでしょうか・・?
品格を重んじる大手メデイアの場合、少なくとも「取材相手の言った事実」とこれをどのように解釈するかの自社意見とをはっきり区別して表示することから率先して欲しいと思います。
あるいは発言部分をカットした部分・マイナス情報も明らかにすべきでしょう。
国会中継や政治家発言の切り取り、つぎはぎ編集の問題が指摘されていますが、メデイアに政治家の発言に対する解釈・思想表現の自由があるとしても、事実報道と自社解釈を区別すべきです。
大手メデイアは報道手段独占を良いことにして、これまで編集権があるということで事実上自社意見に沿う方向に脚色して世論を誘導していた点を改める必要があります。
フェイクが社会問題になっているのは多くの人が、自分の好む傾向の記事のみを見たいし、信じたい傾向があるという大前提があります。
上記紹介したインドネシアの仏教寺院事件を見ると元々の相互不信が下地となって、フェイクニュースが簡単に受け入れられる下地になっていたように見えます。
情報がいっぱいあるように見えて、大手メデイアの一定立場に偏った?情報垂れ流しに対する不満等が強いと自分好みの情報しか目に入らないので、一定方向の情報のみ見るようになり、さらにどぎつい?過激表現に注目が行きやすくなる傾向・・結果的にそれぞれの傾向別に狭い情報の深堀り?と言う名の過激化に進展して行きます。
結果的に中庸のバランス感覚がなくなり、社会分断を煽る情報が氾濫し結果的に社会分断の危機感が生じてきます。
熱烈共感者が(フェイクっぽいと知りながら)情報拡散するとそれを別の共感者がさらに拡散することの繰り返しであたかも多数が支持しているかのような現象を生じさせてしまう・これを大手メデイアがニュースとして大々的に取り上げる結果、ネットを見ない一般人もそれを信じてしまう傾向が論じられています。
トランプ氏のツイッター発信が知られていますが、多くの人は(ローマ法王の支持が)メデイアで取り上げられたことによって、情報を入手していたとする調査結果が報告されています。
大手メデイアのニュースで「根拠のないデマ情報が話題になっている」と大々的報道があると「根拠がない」という注意の方を忘れてしまい、そういうニュースがあったな・・というおぼろげな記憶が残る・・印象効果が残っていきます。

フェイクニュース3(拡散の原動力1)

善意で見れば、大手企業のように何段階もの社内第三者チェックを受けない分、発信チェックが甘くなります。
私のように仕事の合間に思いつきを書いている素人からすれば、どこかのネット記事に出ているとそれが事実かどうか確認する方法(時間・取材陣を雇うコスト?)もないのでそのまま引用しがちです。
私自身(嘘かほんとか不明であるが)「こういう記事が出ています」という書き方を普通にしています。
引用のたびに上記括弧書きをつけるのも煩雑だし、信用性の判断は引用先を書いているので、その引用先を信用するかどうかの判断を読者がして下さいという書き方になっています。
読者の方で、引用先が大手メデイアか個人か匿名記事かなどで過去の実績で自己判断するしかないのではないでしょうか?
大手でもA社ならこの分野の記事の信用性が高いがB社ならこの部分の信用性が低いとか、それぞれの政治的立場によって、割引方が違うでしょう。
大方の人は、自分の気に入った情報を信じやすい(ファクトチェックが甘くなる)と言われますが、この応用例・・トランプ支持者が反クリントンのデマ情報に一も二もなく飛びついたと言われる現象に現れています。
逆からいえば、信じたい人しか信じないとすれば、(元々の支持者が舞い上がっているだけで)フェイクニュースの影響力はそれほど強くないのかも知れません。
沖縄の報道でも、モリカケでも、先に自分の立場があってこれに反対の報道があっても「また大げさに言ってる」という反感を持つだけです。
私のように突然気が変わり別の意見を書く・・一貫性を気にしないこのコラムでも、「この人はこういう傾向の意見だから・」という先入観で読んでいる人が多いでしょう。
こうしてみると元々ほとんど関心のなかった浮動層に対する影響力の問題です。
浮動層に対する影響力は従来通り、メデイアの一方的報道の影響力が甚大です。
トランプ政権有利のフェイクニュースの影響力に関する調査では、圧倒的多数が大手メデイアの報道で知ったというものだったらしいです。
(私自身その調査が本当にあったのか、どういう調査方法だったのか正確なのかについてファクトを知る手立てがありませんので、もしかしたらフェイクニュースに加担していることにもなり兼ねません)
トランプ氏の選挙費用はこのおかげで少なく済んだと豪語していると言われることとも符合しています。
冒頭に書いたように「真偽不明」ですが・」という「断り書き」があるかないかではなく視聴者は、(多くの人は仕事の合間にチラッとしか見ないこともあって)ニュース内容だけを直感的にインプットされてしまう傾向があるからです。
今後安易な拡散防止のためには、我々素人も引用するときにどうやるべきかの工夫が進むのでしょうか?
他方で、チェック能力の甘さが原因というよりは、あんちょこに発信できることから、「いいね」をふやすことに満足するだけのための意図的フェイクニュースがいっぱい出てきたようです。
政治的には右でも左でも反ユダヤでも民族派でも何でもいいが、とも角「いいね」視聴者を増やして稼ぎたい一心で過激さを競うような見出しで商売にする人も出現します。
http://www.huffingtonpost.jp/kazuhiro-taira/fakenews-maker-was-dead_a_23229251

平 和博 朝日新聞記者(デジタルウオッチャー)
2017年10月04日 11時29分 JST | 更新 2017年10月04日 11時29分 JST
フェイクニュースで”トランプ氏を大統領にした男”として知られ、米大統領選をめぐるフェイクニュース騒動を象徴する人物、ポール・ホーナー氏が死亡した、と欧米のメディアなどがこぞって伝えている。
・・・・・
「トランプ氏のフォロワーは何であれ、ファクトチェックというものをしない。何でも投稿し、すべてを信じる。トランプ選対の本部長は、反トランプのデモ参加者が(手間賃として)3500ドルを受け取っていた、という私の記事を、事実のように投稿していた。結構、あれは私のでっち上げだ。」
ホーナー氏のフェイクニュースは、なぜ拡散するのか――ワシントン・ポストのインタビュー記事で、こう答えている。
「正直に言うと、みんな本当に、思った以上にバカだ。ただ次から次へと転送するだけ。もう、誰も何のファクトチェックもしない――つまり、こんな風にトランプ氏は当選したんだ。彼は何でも言いたいことを言う。みんなそれを全部信じる。彼が言ったことが事実でないとわかっても、誰も気にしない。みんなそれを受け入れてしまっているんだから。これは本当に恐ろしい。こんなの見たことがない。」
フェイクニュースを拡散させる動機を聞かれると、ホーナー氏はこう答えている。
「バカげたことを信じる奴らを、笑いものにしてやろうと思っていたんだ。ところがそれが拡散してしまった。彼らはそれを、本当に信じてしまったんだ。」
トランプ氏の当選はあり得ないと思っていたし、トランプ氏のことは嫌いだ、とホーナー氏は言う。
・・ただ、自身のサイトはあくまで風刺とパロディーのサイトであって、他のフェイクニュースサイトと一緒にされたくはない、とホーナー氏は述べていた。

アメリカのプロ的フェイクニュース発信者の上記意見の通り、自分の信じたいものに飛びつく傾向が強いのです。
そして熱烈共感者が拡散するとそれを別の共感者がさらに拡散することの繰り返しで、あたかも多数が支持しているかのような現象を生じさせてしまう・・・これを大手メデイアがニュースで大々的に取り上げる結果、ネットを見ない一般人もそれを信じてしまう傾向が論じられています。
猫の動画などのお遊びや家庭内の揉め事なども実話ではなくフォロワー獲得のために誇張されていても社会問題になりませんが、これが政治分野に利用され、それが本当らしく政治に利用され一昔前の「怪文書」化されるようになった・・・大手メデイアの支持しない対極にあるトランプ陣営がこれを最大活用したので、大騒ぎになって来たと思われます。
クリントン支持層は日頃から大手メデイアの報道に不満を抱いていない・・不満度が低いのでフェイクにそれほど飛びつなかった原因のように見えます。
従来文化人や憲法学者はメデイア界がグローバリストやリベラリストに牛耳られている現実(勿論この論証はないでしょうからこの主張自体フェイクかな?・・)を無視して「思想の自由市場論」を展開してきました。
市場が一定傾向の思想グループが支配されている結果、そのグループに反する思想は市場から締め出され「自由な市場競争」が本当は成立していなかった疑いを持たれるようになってきました。
(占領支配下で肝腎の日本国国益擁護勢力皆無・一掃され?その空洞下で米ソ思想支配の草刈り場となり、その後中韓による日本メデイア界への侵蝕競争が行われ、肝腎の地元日本人がその(植民地被支配民族のように)下風に立たされていると思い込んでいる人が増えてきました。)
この結果、日本ではリベラル系(最近では中韓二大勢力)に有利な際どい「編集」記事が多すぎるという不満が表面化してきて、2月5日紹介した台湾原住民報道に対する大規模訴訟になったのでしょう。

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