価値観外交に頼る危険性2(アメリカの対日意識2)

日本の頭越しに行なわれた米中国交樹立によって、冷戦時代にアメリカに協力して来た周辺国を裏切れないので、今も元西側諸国と価値観が共通していると表向き言い訳して、米中軍事対立しているような格好をしているだけではないでしょうか。
だから中国との対決が激化して日本に肩入れすると実利が大きく損なわれる立場があって、(防空識別権設定のように)口先介入まではするもののそれ以上はしない・・のが基本姿勢と見て良いでしょう。
折角口先警告して大人しくさせてやっているのに、それ以上やるのは行き過ぎだ、「中国のどんな理不尽な挑発にも日本は譲るべきだ」日本が譲らないと「失望した」という本音が出て来ます。
この繰り返しで日本が何をされても言われても反論出来ず、譲って認める結果になって来たので中韓は言いたい放題でっち上げて来たことになります。
アメリカの衰退に伴い徐々にアメリカの果たしていた役割を日本が補充して行く・・逆から見ればアメリカの指導力を徐々に奪って行き、次第に日本の軍事力が強大化して行くのは、アメリカにとって悪夢と考える人が多いかも知れません。
どうせ取って代わられるならば優秀な日本の方が怖いので、中国の方が良いかと言う意見が大勢を占める可能性を検討しておく必要があります。
中国は人口が多いだけでまだローエンド生産国ですから、消費量でアメリカを凌いでも先進国として本当のアメリカの脅威になるのはまだずっと先・・、もしかしたら永久に先進国に追いつけない可能性が高い・・西太平洋を譲ってもどうってことはないと言う判断があり得ます。
(ロケットその他先端軍事技術は殆ど全部アメリカ兵器のパクリと言われていますので、後100年経っても自前では何も作れないでしょう・・サムスンが日本からパクれなくなったら最先端品を作れなくなって行くと予想されているのと同じです)
米軍の撤退が進み日本がアメリカの占領国でなくなり、徐々に真の独立国に近づけば、アメリカにとって中国と日本はどちらの方が親密になり易いかの対等の関係・・正3角形の関係に戻ります。
ココで日米関係の歴史を見ますと、アメリカは早くも第一次世界大戦終了直後の1919年から(オレンジ計画だったか?正確名称を忘れました)日米戦争のシュミレーションをしていて、日本は最大の敵国扱いでした。
日本を攻撃する国家計画をする事自体一定期間内部調整が要りますし、この完成の数年前から研究が進んでいたことになります。
中国での機会均等要求や満州進出などは言いがかりであって、そのずっと以前から日本叩き潰しを計画していたことが重要です。
戦後占領政治によって歴史教育が歪められていますが、元々アメリカは有色人種の日本が台頭したこと自体が許せないという基本思想の国でした。
タマタマ対ロシアのために役に立つから日露戦争で日本を応援してやっただけでそれ以上の台頭は許せなかったので,いつか叩き潰して他のアジア植民地以下の生活水準にすべきだという考え方は日本占領政治の初期の文章に明らかです。
このことは「アメリカの神道敵視政策6(日本人奴隷化2)」 October 28, 2013以前後で紹介しましたが,重要なところですのでもう一度紹介しておきましょう。
「1946年11月、ポーレーは最終報告として

「我々は日本の真珠湾攻撃を決して忘れない」と報復的性格を前文で明言し、「日本に対する許容工業力は、日本による被侵略国の生活水準以下を維持するに足るものとする。
右水準以上の施設は撤去して有権国側に移す」とした。軍需産業と指定されたすべてと平和産業の約 30%が賠償施設に指定され、戦災をかろうじて免れた工業設備をも、中間賠償としてアジアへ次々と強制移転させた。」

爆撃から逃れて漸く残っていた機械設備まで全て中国等へ搬出されたのですから、酷いものです。
命がけで生産設備を戦火から守っていた工場労働者・技術者に海外搬出用の梱包・搬出作業をさせたのですから、彼らは断腸の思いで梱包作業に従事したと言います。
中国歴史で出て来る敗軍の将に母親の肉を食べさせるようなやり方です。
以上の政策発表・・・・実際の行動に、アメリカの対日戦争開始の目的が有色人種に欧米と対等の生活をさせない・・アジアの欧米植民地以上のあらゆる工業生産をさせないという占領目的・アメリカの戦争目的が現れています。

価値観外交に頼る危険性1(アメリカの対日意識1)

衰え始めたとは言え、アジアだけではなく外側にアメリカやロシアという大国がまだ控えているし、欧州もあれば興隆しつつある中南米やトルコを中心とする中央アジア諸国〜中東〜アフリカもあります。
世界から閉鎖された古代中国社会の合従連衡論は結局最強国秦を中心とする連衡策に負けてしまいましたが、古代とは違い、これら外部の牽制があるので、中国が正義に反して秦のような恫喝外交を貫徹出来る訳がありません。
現在の日本・安倍外交は、古代に当てはめればいわゆる合従策ですが、アメリカが裏で中国とがっちり強者同盟を組まない限りかなり優勢です。
アメリカがアジア連合から次第に離れて中国と等距離になった場合どうなるでしょうか。
アメリカと中国と日本を中心としたアジア連合の三つどもえの競争関係が生まれるとアメリカが中国とくっついて2対1の関係になりそうで危険です。
アメリカをおだててアジア連合の盟主に据えておく智恵が日本には必要です。
ココでアメリカが基本的に中国寄りの体質か否か・・基礎的体質を見ておく必要があります。
元々(長期的視点では)アメリカは長期的トレンドとして親中国で反日国で中国との関係の方が本質的価値観が共通している国であることを注意しておく必要があります。
最大の敵国日本が戦争で負けてアメリカの占領下に入ったので、アメリカにとって自分の支配領域の一部としてソ連や中国に容喙させないように戦後中国と対峙していたに過ぎません。
アメリカ軍は日本領土を守るために駐留していたのではなく、支配継続のための駐留でした。
この端的な例が、竹島問題です。
竹島問題は日韓共に当時アメリカの事実上占領下にあって、アメリカの戦力範囲・・防衛上どちらに帰属しても良いことなのでアメリカは、李承晩の暴挙を黙認していたのです。
昨年秋に突如中国が尖閣諸島海域を含めて設定した防空識別圏は戦後直後の李承晩ラインの現在版です。
アメリカがまたもや本気でこれを守る気がないならば、何のための駐留経費分担かとなります。
朝鮮戦争以後アメリカは日本占領支配目的を背後に退かせて、中ソとの対決の前線基地としての役割に表向き変えてきました。
いずれにせよ、日本を守るために駐留占領しているのではなく、自国防衛に必要な前線基地だし、占領地だからソ連や中国に手を触れさせないし口出しさせないというだけのことでしょう。
尖閣諸島問題はアメリカが自分の支配地域としてはそこまであった方が有利だから占領地域に含めていただけであって、中国と仲良くなれば米大陸防衛のために尖閣諸島や沖縄が必須ではなくなることもあり得ます。
最先端防衛ラインを遠くに維持するのは金がかかり過ぎるということで、ハワイの線に後退させれば、日本列島やフィリッピンはアメリカにとって守るべき場所ではなくなります。
今のところ中国海軍が自由に太平洋を遊弋させないための封じ込めに便利だから一応日本の味方をしていますが、西太平洋を中国支配に譲ってしまうと決断すれば、日本のために守る気持ちがなくなるでしょう。
今では、尖閣諸島はアメリカの占領地ではなくなっているので、日本が守りたいなら応援しましょうという程度・しかし実際に戦争になったら本当に応援して巻き込まれる気持ちまではない・・腰の引けた基本姿勢はそこにあります。
アメリカの政策基準は米ソ冷戦時のように何が何でも共産主義から守ると言う時代ではなくなり、実利がどちらにあるかと言うことに変わっているのではないでしょうか?
冷戦の延長で中国敵視政策を基本にしているかのような姿勢・価値観共通主張していますので、本音は元々人道主義や民主主義の価値観を持っていません。
1980年代に漸く黒人に公民権を与えたこと(法律が出来ても実際の差別がなくなるのは100年以上先でしょう)からも分るように、元々野蛮で人道主義・民主主義などの価値観などないのに格好つけていただけですから、中国との方が共通性が高いのです。

遺産の重要性2(相続税重課の危険性)

もしも遺産収入が9割の社会の場合、その殆どを相続税で取り上げるとすれば、国民は等しく貧しくなるしかありません。
2年ほど前から相続税の重課改正案が出ていて、タマタマ民主党の総理交代や原発事故が続いた結果国会を通過しなかっただけで大した議論がないままですから、今年の国会にかかっていましたが、今年は通過したのかさえ大きな報道がないままです。
しかし、これまでの基礎控除5000万円が3000万円までの大幅減になり一人当たり控除も1000万円から600万円までになるなど大幅減=大幅増税です。
一人っ子で親が死亡して遺産総額が3600万円を超えると課税されるということです。
税率も金額帯によって違いますが、約5%前後アップになっています
何回も書いているように、バブル崩壊後の物価下落が作用しているので必ずしも大幅増税とは言えませんが、取り易いところから少しでも徴収したいとなれば、今後は目立ち難い相続税の小刻み増税がこれから続く可能性があります。
こうした傾向が続いて(何しろ格差是正と言えば「錦の御旗」・・・相続税率引き上げは反対し難いテーマです・・)その内に、広大な邸宅どころか普通の一戸建ての住居がすべて課税対象になり、極論すれば(後記のとおり杞憂に類する遊びですが・・)相続人の殆どが親と同居していた自宅を売却しなければならない時代が来るかも知れません。
ただしここで書いているのは親子相続の場合であって、さすがに配偶者基礎控除は1億600万円のままですので夫が死んでも妻が自宅を売る必要のある場合は滅多にありません。
最初は基礎控除として遺産100坪超の土地相続が基礎控除外の課税対象となり、・・次の改正では90坪超の人が、その次には80坪超・・最後に30坪超までとなって来ると、庶民まで家を失うようになりかねません。
遺産の比重の少ない成長期の社会では、相続税を重くしてもその影響を受けるのはごく少数ですが、こういう時代には所得税も多く入るので政府は相続税に重きを置いていません。
生活苦の人まで相続財産に頼る低成長時代になってくると、不公平だからと言って相続税を重くして行くと傾向があるので、殆どの国民が相続税を払わざるを得なくなり、かなりの人が相続になると親の家(自宅)を手放さざるを得なくなくなります。
遺産のない人と比較すればそれでも公平かも知れませんが、国・社会のあり方としてどうかと言う疑問です。
親と同居していた自宅を売却しても、納税後一定のお金が手に残ることは相違ない・・それだけでも何もない人よりは有利じゃないかと言えますが、税を払うために売るしかないということは最早自分で同等の家を買えないということでしょう。
大きな屋敷を処分した場合普通の家を買い替えれば良いのですが、普通の家を相続税を払うために売らざるを得ない場合、納税後のお金では最早普通の家を買えません。
成長期には親の遺産などあってもなくても自分で儲けて新規に資産形成すれば良い時代でしたが、低成長どころか下降気味の社会では、非正規雇用が普通の社会になれば例外的成功者以外は日常生活費の外に新たに土地購入プラス新築をして新たな資産形成するのは不可能です。
もしも一般労働者の月給が中国並みの2〜3万円になれば、一般労働者にとっては一旦自宅を手放せば再度マイホーム取得の夢を実現するのは到底無理でしょう。
格差是正のためにと称して取り易い相続税の増税を繰り返して行って、もしも親譲りの家の殆どを相続税で召し上げる時代が来たら、持ち家が殆どなくなってしまい・公営住宅ばかりになるのでしょうか?
増税してもその分公営住宅を税で建てなければならないとすれば、それほど経済効率が良いとは思えません。
(実際には親と同居していた家の場合、基礎控除額とは別に一定面積までの控除制度などがその都度設けられて修正されるでしょうから、ここは、杞憂に類する遊びの議論です)
歴史を振り返ると、我が国が相続税を日露戦戦争の戦費調達のために課税したの世界最初であることを11/20/03「相続税法10(相続税の歴史)」のコラムで紹介したことがありますが、世界中で相続課税がそれまでなかったのはそれなりに理由があると思います。
成長のない静的社会(西洋中世や江戸時代を想定して下さい)でも、毎年の収穫(穀物その他の収穫)に対する課税ならば持続可能ですが、土地や領土の相続自体にあるいは保有自体に課税して行くと、私的所有・領地はは縮小して行くばかりで何代か繰り返すと私的所有がなくなってしまいます。
格差が遺産の有無・大小による影響の大きな静的社会になればなるほど、格差是正のために相続税を重くしたくなるでしょうが、そうすると逆に弊害が大きくなるパラドックスです。

我が国では古代の律令制、最近ではソ連や中国、北朝鮮の国有化の結果、国公有化政策はすべてうまく行かなかったことから分るように、農地あるいは生産材を国・公有化してうまく行く訳がありません。
個々人の住む家まで全部取り上げて、原則個性のない公営住宅ばかりの社会で人が生まれて育つ時代を想像すれば、個性の発揮される創造的能力が育ち難く、国勢がいよいよ衰退してしまいます。

スケープゴート探しの危険性2

橋下氏の主張では、大阪の地盤沈下をどうするというビジョンも日本経済をどうするかのビジョンもなくせいぜい、二重行政を排するとか教師の国歌斉唱を義務づける、労組を標的にしたり市職員を締め付けるという程度しか伝わってきません。
もっと高邁な主義主張をしているのかも知れませんが、新聞やネットにはそれが出て来ていない以上は、多くの国民や府民は、マスコミに出た程度の情報で判断して彼を支持していることになるので、結果は同じです。
弱いものいじめをしても、大阪の地盤沈下や生活保護受給者を減らせる訳でもないし、まだ市長になったばかりで、何もしていないこの段階で、市政をどうするかのビジョンも明らかにしないで、今から国政への野心を明らかにしています。
知事→市長→国政へという野心があるらしいのは個人的動機としては,理解可能ですが、知事として大阪のために何をしたのか、就任したばかりで市長としてこれから大阪のために何をするのかさえ分らないうちに、更に国政へと言う動きは異常です。
大阪市あるいは府民のストレスの根本は大阪の経済沈滞にあることが明らかですが、市の経済浮揚に何の解決にもならないまま、労組その他特定のグループを標的にしているだけでは戦前のナチスやファシストと同じです。
今度は国政になっても同じくスケープゴート探しをするのでしょうが、こういうことを全国規模で繰り返して行くと国民意識が分裂してしまい、日本民族にとって取り返しがつかないことになりかねません。
(政治家が国民の職場縮小・産業停滞の責任を取らずに、自己保身のために国内でスケープゴートを造るやり方がはびこると、日本の誇る同胞意識・・絆の強さを彼がぶちこわしてしまう可能性があります)
国内でスケープゴートを次々と造って血祭りに上げても、国内経済の停滞・失業率の増加に対して何の解決にもならないのは理の当然ですから、攻撃対象も次第に小粒になるしかなくなります。
こうなると、庶民に至るまで国内はあら探し・・昔で言えば秘密警察に睨まれたらおしまいのような戦々恐々の状態に陥ります。
いじめっ子に睨まられないようにこそこそ生きて行くしかない、もの言えば唇寒しの再来で窮屈な生活です。
弱いものいじめばかりでは政権がもたなくなるので、今度は(今の韓国や中国では何か国内的に不都合があると対日非難を繰り返すように)隣国を非難して行くしかなくなります。
ナチスドイツがユダヤ人を排斥しても何の解決にもならなかったので、生産増を図るためには戦時経済化しかなかったので侵略に進みましたし、アメリカでさえ(公式・教科書的にはTVA計画による需要喚起と教えられましたが・・・)今になるとその効果ではなく、大恐慌後の不況から抜け出したのは対日戦争の開始による軍需景気によるものだったと明らかにされています。
日本が国内対策として韓国や中国の非難を始めると中国も黙ってはいないので、もしかすると第三次世界大戦になりそうでとても危険です。
経済政策が行き詰まるとフラストレーション解消のために左右両翼の極端な主張が出易いのは歴史の証明するところです。
仕事に疲れてイライライラすると関係のない家族に当たり散らすお父さんのようなもので、最も下手なストレス発散方法ではないでしょうか?
関西の政治指導者(であるとすれば・・)がやるべきことは、福祉の充実で(左翼系の主張)もなければ、この反動としての右翼的言動で弱いものいじめをして喝采を浴びることでもありません。
危急存亡のとき・・力を合わせるべきときに、こんなことで国民同士いがみ合っている暇はないのです。
大阪の場合関西経済圏復興・・国政レベルでは、日本経済振興・産業空洞化阻止のビジョン造りとその実行あるのみではないでしょうか?
国政を目指す前に大阪市の地盤沈下を止める政治をまじめにやって、実績を上げてからにして欲しいものです。
そう言う人が国政に挑戦するのならば賛成です。

大阪の地盤沈下3とスケープゴート探しの危険性1

こうした場合、国民のストレスに便乗して如何にも一部医師の不正あるいは詐欺受給が多いかのようなマスコミ報道とそれに便乗する摘発が繰り返されるのですが、生活保護受給者の増加や医療費の増加自体は医師の責任でも申請を応援する弁護士の責任でもありません。
昨年5月に住吉大社の参詣を終えて門前から天王寺まで路面電車に乗ったことがありますが、天王寺の裏口という点を割り引く必要があるとしても、その庶民的雰囲気・・東京で言えば新宿西口や池袋西口が開発される前の印象・・今から40〜50年近く前の粗雑な印象の社会が残っているのに驚いたものです。
(私は昭和41年3月まで池袋に住んでいましたので、池袋や新宿西口の怪しげな路地の雰囲気を今でも思い出します)
困窮者が福祉重視の政党に投票しても事態は良くならないので、大阪府民はイライラしていると思いますが、生活困窮者をなくすための職場確保・・産業を興す人を当選させない府民の選択が間違っているのです。
生活が困窮するとそのセーフティネットの充実を主張する民主党や社会党・公明党系の当選を最初は促しますが、彼らは職場を造るよりは分配論理・バラマキ論しか関心がないと言うか能力がないので、結果的に職場が減る一方で却って困窮者が増え続けることになります。
「角を矯めて牛を殺す」ようなもので、非正規雇用の禁止や賃上げ要求・福祉の充実ばかりでは却って海外進出を加速させてしまい職場が減る一方です。
アメリカの民主党も分配論の政党ですから、格差税など主眼を置きがちです。
こうしたストレス・民主党政治(福祉重視)に対する不満が高まって来ると、左翼の次には右翼が勢いを増して行きます。
第2次世界大戦前を振り返ると、ドイツが敗戦後の困窮状態でワイマール憲法という理想的な憲法をもちますが、分配論では国民が食べて行けませんので結局はその対極の超右翼のナチスが政権を取りますし、スペインも不況の困窮に対して分配福祉論の左翼が政権を取りますが、経済音痴ですからこれを不満とする対極の右翼が政権を取ります(スペイン内戦)し、イタリヤも同じで左翼の台頭に対極のファシスト・ムッソリーニが政権を取っています。
右翼も極論を主張して分りよくしているだけで、左翼同様に経済音痴ですから、そのやり方は、国民・府民のストレスを強調して、スケープゴートを作り出しては(何でもユダヤ人が悪いような主張をしたナチスを想起して下さい・・)責め立て喝采を浴びる方法が普通です。
前大阪府知事橋下氏の政治手法はこれに似ているのが怖いところです。
大阪府経済圏の低迷・・これに基づく府民のストレスは大阪経済圏における産業の構造的要因によるのですから、医療機関や市職員・教育関係者のつるし上げでどうなるものではありません。
まして行政の仕組みをいじってみてもどうなるものでもありません。
府と市が一体になれば、関西の産業構造がどうなるという展望が全くなく、(府と市の二重構造は戦前からでしたが、昭和50年代までは大阪は元気でした)さしあたりスケープゴート探しの材料にしている・・自分が府知事になっても何も出来ないことの言い訳にして結局何もしないまま中途退任してしまったのです。
そもそも彼は現行の制度を前提に立候補したのですから、現行制度の中で府知事になれば何をするかを主張していた筈ではないでしょか?
(大阪の選挙ですのでで当時の立候補での主張の具体的内容は知りませんが、普通はそうあるべきです)
政権を取って総理になってから「大統領制ではないので、あれが出来ないこれが出来ない」と言っても、世間の笑いものでしょう。
ところで、大阪に限らず全国どこでも府縣と政令市の二重構造ですから、二重構造を大阪が特に地盤沈下している理由に持ち出すのは非論理的です。
橋下氏はボロが出ないうちにこれと言った政治成果もないうちに任期途中で辞任して県から市長に移り、今度も労働組合などを批判しているだけで、前向き施策としては何の提案も見受けられません。
結局何もしない内にさらに国政に転出しようとしている様子が見えます。
教師に対する君が代斉唱(起立)の強制や市労組に対する締め付けをしたからと言って大阪府の地盤沈下の歯止めにはどう言う関係もないのは誰の目にも明らかでしょう。
次から次へとスケープゴートを作り出す手法は、経済停滞下にあってストレスの多い国民や府民には受けが良い・・喝采を浴び易いでしょうが、この方法では事態打開のための前向きな提案がまるでないまま、いじめられっ子探しをしているようなものです。

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