政党と内閣支持率推移3(劇場型政治から安倍政権へ)

3月2日に紹介したグラフを見るとバブル崩壊後小泉政権を除けば政権獲得後すぐに幻滅に見舞われ短命内閣が続いたのを見ると、新時代に応じた人材養成期間が必要であったことがわかります。
キャッチアップ・調整型政治に慣れ親しんできた社会でいきなり構想力・実現力を求められても、そういう人材が産業界を含めた各種分野で中堅幹部等にしか昇進していなかった・・そう言う人材は海外子会社に飛ばされているなどすから、創意工夫・企画力のある人材が中枢に抜擢され昇進してくるまでの期間が必要です。
その間目くらまし的に劇場型・イメージ・パフォーマンス戦略に走るしかなかったのは・・・政治の足腰・前提たる実業界自全体が従来型キャッチアップ商法からどうやって脱皮・転換するかに苦しんでいたのですから、政治分野だけ成果をあげるようなアイデアがある訳が無い・堅実な裏付けのないパフォーマンスに終始したのは当然です。
パフォーマンス政治=実現性のない格好付け政治スローガンの意味とすれば、バブル崩壊後安倍政権に至るまでの各内閣を見ると、小泉氏以外のパフォーマンスが全て失敗した原因と小泉政権との相違点を見ると小泉氏以外は、鳩山氏の「少なくとも県外へ」同様にすべて前向き政策の提示でした。
バブル崩壊後政治家だけではなく、超円高と中国の開放による超低価格攻勢に実業界もどのように対応するか模索中でしたので、どう言う構造改革が必要か不明のまま「蛮勇を振るって改革する」という期待感を煽るだけでは(裏付がなく実行力を伴わなかった結果)政権発足直後失速した点では鳩山氏に限らず結果からみると保革を問いません。
鳩山氏は何をするか不明の構造改革論と違って「少なくとも県外へ」と焦点を絞った点で小泉劇場同様にインパクトがあったのですが、郵政民営化は国民がそのスローガンに熱狂さえすれば一定の法改正自体可能ですが、基地移転は相手が米国ですし、国内的に見ても移転先の同意・用地獲得などの手当てが必要ですから、熱狂・国内をいくら煽ってもどうにもならない・・スローガンの実現不可能性は素人にもすぐに判明した点で目立ったにすぎません。
小泉劇場の成功の秘訣は、野党の「〇〇反対」と同じ「ぶっ潰す」というだけで新たに何かする提案をしていない、出来もしない前向き政策を提案していません。
現行政策をストップするだけで具体的政治に対する期待感を煽らなかったので、既存政治家にいじめられているイメージだけ膨らませて、いじめられている人に対する同情心・判官贔屓で成功したものです。
「ぶっ壊す」のは、新たな制度構築に比べて権力者にとっては楽なことです。
たとえば道路をつくるといえば道路用地買収から予算までいろんな手順・実務能力が必要ですが、(「少なくとも県外へ」が失敗したのは受け入れ先の同意その他の実務がいるからです)中止ならば実行中の工事の次の工事の発注さえしなければ済みます。
小池氏はその真似をすればいいと思った・・まず最初の大政党を敵に回しての孤軍奮闘のイメージ戦略で有権者の同情心を掴み、都知事になって実際に何かする必要が出てくると築地市場の移転では、豊洲の粗探しで工事中断に持ち込みました。
オリンピックのエンブレムに始まる騒動も全て粗探しに始まって手続き中断を狙ったものでした。
築地移転もオリンピックも目先の注目期間が終わり、何のための中断だったか(停滞の損失)に関心が移る頃に総選挙になったので失速してしましたが、ともかく工事中断効果があったことは間違いがありません。
このように「やめる」だけならば、トップの権限で公約通りに実行可能な点が前向き政策との違いです。
民主党政権での「事業仕分け」が華々しかったのは、事業廃止だけだったので強引無茶な仕分けが可能だったにすぎません。
(馬に水を飲ませないことはできるが)「飲ませることはできない」という箴言の応用です。
革新系のように反対・粗探しによる議事・進行妨害だけならば国民の納得不要で簡単ですが、前向きの政策の場合には国民が自発的に動いてくれないと進まないので難しいので自己満足ではどうにもなりません。
小池氏のオリンピック問題のカラ騒ぎや築地移転のいちゃもん騒動では、以下の通りの大損失ですが関係者の協力不要で先送り可能でした。
オリンピックでは東京都以外の競技場検討というだけ言って大騒ぎした結果、競技場が元の予定に戻るなど関係者は不満だらけですが、国益のためになんとか間に合わすしかない・仕方なしの協力関係になっています。
築地移転に至っては具体的損害が出ています。、
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201707/CK2017073102000110.html

2017年7月31日 朝刊
東京都の築地市場(中央区)から豊洲市場(江東区)への移転延期が長引き、築地市場の建物解体工事を都から受注した業者が困惑している。移転時期が不明なため、都が契約解除を求めているためだ。業者にとっては大きな仕事を成し遂げて実績にしたいとの思いがあり、「落札した契約を都の都合で破棄されるなんて聞いたことがない」と反発している。 (唐沢裕亮)

http://ytanaka.g.dgdg.jp/toyosubook/ebook-8.pdf

大騒ぎをし、数百億円の損失を残した、豊洲移転延期騒動は何だったのか

上記では各分野の中断による損害を弾いていますが、省略します。
小池氏は、次の予定された次の工事着工OKの印鑑を押さないだけでは格好がつかないので、過去の決定手続き過程調査が必要と言って時間稼ぎをしていたように見られてしまいました。
パフォーマンス政治脱却に成功した安倍政権(BtoCからBtoBへの実業界の対応が進んできたことが背景)時代になっても、まだパフォーマンス劇場型の小型版・・二番煎じで支持率を維持できると誤解していたのでしょうか。
バブル崩壊後次から次へと政権が交代してもその都度支持率急落の連続でしたが、3月2日紹介のグラフで第二次安倍政権の支持率を見ると、派手なパフォーマンス不要で内閣支持率が党支持率を長期安定的に上回っている初の本格政権になっていることが分かります。
安倍政権が次々次繰り出す政策が良いから経済順調・支持率維持なのか、経済が息を吹き返した時に政権獲得したから支持率が安定しているのかの関係は不明ですが・・。
内閣支持率の安定こそ政敵・野党に限らず中韓等敵対国は、政権党を攻撃するよりは先ずは安倍政権打倒に必死になっているのでしょう。
60年安保以降〜高度成長期以降の野党の動きを見ると体制(政策)選択の主張で競争するのは無理が出てきたので、各種反対運動や国会議事妨害目的になって行き、清水幾太郎がそのように変化していった丸山真男ら主流的文化人らと反目するようになっていったことをFebruary 23, 2018,に紹介しました。
「何でも反対」論は、四日市の公害や熊本の水俣病などによる公害反対激化したころまでは社会的意義のあるものもありましたが、駅前商店街(零細商店)を守れなどの反対になってくると市中心部の空洞化の原因となり、空港立地や高速道路反対・工場立地反対など地域経済に対するマイナスが目に見えてきました。

政党と内閣支持率推移3(小泉〜小池劇場)

バブル崩壊以降は長期低迷打破・・局面打開期待に応じて、就任当初の期待感人気で内閣支持率が高くなるものの実際にはどうして良いか不明時代ですから、就任直後から内閣支持率が急減し政党支持率以下に下がる短命内閣が続いたことが3月2日に紹介したグラフでわかります。
小泉内閣になって初めて恒常的に党支持率を逆転するようになったのは、社会構造の何を大胆に構造改革できたのか、単なるパフォーマンスの連続・目眩し「劇場型政治」が成功したに過ぎなかったかは、(小池劇場はこの模倣と言われましたが失敗しました)私にはわかっていません。
「1内閣1テーマ=郵政改革の成果」だけで「よし」とするかの評価の問題です。
ゆうちょ民営化の原型はすでに中曽根内閣の民営化路線でレールが敷かれていたのですから、無数にある公的事業民営化流れの一つに挑戦しただけです。
小池新党の選挙公約のお粗末さについてその頃に連載しました。
中曽根内閣の民営化は、国鉄民営化等いわゆる3公社5現業に限らず、その後各種広範な国営事業民営化改革に連なり、今や国立大学や国立病院も博物館も今は「国直営の国立」」ではありません。
この動きは国関連の道路公団その他各種公団の民営化につらなり、地方自治体の公益事業や公民館等の民営化や民間委託部門の拡大など今なお裾野を広げつつあります。
上記に比べて郵政民営化騒動は何であったか?日本社会に何を残したのかどのような波及効果があったのかまるで見えません。
金融部門に限定しても、郵貯が民営化されたことによって、日本の金融業務慣行がどのように変わってどのような利便性を持つようになったのか、国際競争力強化にどういう効果があったのか?他の金融機関の進化にどんな影響を与えたのでしょうか?
金融部門の中の1業態・たとえば信用金庫制度をなくす程度?の部分改革・・改革と言えるのか不明ですが、ともかく世の中の不満・閉塞感に訴えるために既存権力システムに挑戦しているパフォーマンスを示しただけではなかったでしょうか?
小泉改革は社会の構造変革ではなく、その後に野党の主張・流行となった隠れ資金・特別会計などの埋蔵金がある筈!運動の先駆け・・財投資金を明朗化する程度で終わったのではないでしょうか?
財務省は豊富な郵貯資金の取り入れによる財投政資金なくなり、その分赤字国債に頼るようになります。
ただその頃に書いた記憶ですが、郵貯資金でも国民に返すべき貯金ですから、いつか返さねばならない国債と実は同じです。
郵貯の場合満期が来てもそのまま更新する人が多いので事実上返さなくて良いのですが、国債だって企業の社債だって借換債を前提にしている点は同じです。
国債や社債の場合、満期時の市場の信認に頼る点が大きな違いのように見えますが・・.郵貯だって高金利時代になれば、相場に金利を合わせないと更新してくれない点は同じです。
小泉政権は自己を目立たせるため自民党の支持基盤解体に挑戦し、支持基盤の弱体化に成功した結果、その後遺症・・支持基盤の再構築に自民党が苦しむようになって短命政権が連続し、ついには野党に転落した原因です。
小泉氏が今でもメデイアや野党系に人気のある所以です。
「自民党をぶっ潰す」というスローガンを掲げて党首になった小泉氏が、自民党の強固な支持基盤であった各地の特定郵便局の解体に向けた郵政民営化攻撃・・・周囲から冷ややかに見られている中でドンキホーテばりの突撃は反自民のメデイアの賞賛・脚光を浴びる文字通りのパフォーマンスで人気取り・メデイアの支援を受ける相乗効果を狙ったものでした。
この辺は「小池劇場」と言われた一連の騒動も如何にも強いものに挑戦するかのような方向性は小泉氏と同じですが、実は相手は本当に強い安倍政権に正面から挑戦せずにすでに15年以上前に退陣した元総理と、猪瀬舛添2人の後任都知事の前に退陣している80代の高齢元都知事をやり玉にあげる点で異常でした。
すでに小泉政権の前の2000年ジャスト頃に退陣した森元総理の主催するオリンピック委員会の既存路線のひっくり返しによりそのボスである森元総理に恥をかかせることから始まり、この決着がつかないうちに築地市場移転問題もひっくり返し、何期(猪瀬〜舛添)も前に高齢化を理由に現役を退いた老人・・社会弱者になっている石原元都知事を公開の場に引き出して(100条委は強制力があります)何年も前の細かな決定経緯を問い詰めるなどでした。
ウイキペデイアの記事です。

百条調査権の発動に際しては、証言・若しくは資料提出拒否に対し禁錮刑を含む罰則(同条第3項)が定められており、国会の国政調査権(日本国憲法第62条)に相当するものである。議会の議決にあたっての補助的権限、執行機関に対する監視機能、世論を喚起する作用等を有している。

不正行為の有無等であれば事実経過確認が重要ですが、政治決定の妥当性については結果に対する政治責任で評価するしかないのが原則です。
結果の妥当性に文句をつけられないから、手続き関与者に質問してイヤがらせしようとしたのでしょうが、パフォーマンスとは言え・・私なども数年前の言葉のやり取りを聞かれても書類記録に残っている以上の個人的記憶はほぼ100%ありません・・・ちょっと筋悪すぎた印象です。
個人が都知事に会った場合には滅多にないことなのでその時の記憶が強いでしょうが、都知事は超多忙で膨大な書類決済しているのですから、何年も前の決済事項を議会証言をさせるために呼びだすこと自体が異常です。
国民や(このままではオリンピックがどうなるのか)都民(市場関係者にとっては移転時期変更のために事業計画が止まったママになっている)ので早くきめてほしいのですから、必要なことは決定手続きが杜撰であったか否の確定(司法手続き)ではありません。
一見して都知事選挙に勝った勢いで弱った相手を吊るし上げようとした「弱いものいじめ」で決定でき兄弱さを隠すための時間稼ぎをしている印象を受けました。
退陣したパク大統領をすぐに逮捕拘留した韓国現在政治の印象を受けます。
議会で老人を吊るし上げても結局何も出ないで、築地移転がどうなるかについては約1年間工事が遅れたただけで終わり、オリンピック計画も見直しすると騒ぎを大きくしただけでほとんど変わりなく終わった印象です。
(地下水問題を解決した功績を言うでしょうが、こう言う不具合は工事進行過程でその程度出るのが普通ですから、その都度修正して行けばいい程度の問題であり選挙の争点だったか?という疑問です)
小池氏の選挙戦略はマスメデイア出身者らしくいかにもイメージ戦略過剰で裏づけになる政策が皆無であったように見えます。
(小池新党の公約は内容空疎であったことを連載しました)
何をするという責任ある政策提言ができないことから、60年安保以降革新系野党の国会戦術・資料が足りないとか審議時間が少ないなど手続き問題ばかり主張するようになった戦術と同じです。
都知事選自体が大政党のバックがないまま健気に闘うイメージで票を集めたものでしたし、その後は勢いに乗って個別に敵役を作りターゲットにする戦略で注目を浴びただけでその先何の展望・どうするかの政策が一切なかったのですぐに失速しましたが、国民はすでに内容のない小泉劇場を経験していたこと・個人攻撃に特化した点を嫌った・・見る目が肥えていたことが大きかったでしょう。

政党支持率と内閣支持率推移2

福田内閣で安定成長軌道に乗ると再び党高政底(リーダシップ政治不要?)に戻ります。
あ〜とかう〜とか何を言っているのか、まるで不明な発音が普通であった大平氏を筆頭に鈴木善幸〜最後は(大平氏に比べて発音ははっきりしているが)「言語明瞭意味不明」と言われた竹下など基本的に「寝業師」中心で何をどうするのか不明の時代が続きました。
この間、政治目標をはっきり主張していたのは「青年将校」と言われていた中曽根氏だけです。
若い頃から総理公選制を唱えるなど主張のはっきりしていた彼が遂に政権を入手すると長期政権になったのは、三角大福中の政権争奪者の中で年齢が一人大幅に開いていた(若かった)からと言われていますが、日本の経済力が警戒されて国際包囲網が形成されていく中で、相応のビジョンを持って国際的人脈形成をして世界に飛び込んで適応できたことがわかります。
人脈的にはいわゆるロン・ヤス関係を構築し、貿易面では国営企業を減らして国内経済では国鉄その他の民営化実現などの自由経済化を進める改革を行うなど国内で痛みを受け入れるべきは受け入れ流などの成果をあげました。
国鉄とJRとのサービス精神の違い超赤い自他室が黒自体室に変わっただけではなく・・その頃を期して公務員の姿勢が民間並みに変わったのを見れば結果的に大きな改革でした。
国際政治的には不沈空母発言等で西側諸国になくてはならない存在を強調するなど第二次世界大戦前夜のような孤立の再現を防ぐのに成功していたことがわかります。
プラザ合意でひどい目にあったという意見が主流ですが、一定の痛みの受け入れによって円高でも稼げる筋肉質の企業に変身させ、他方黒字を稼ぐばかりではなく、儲けを国内還元する・・内需拡大→生活充実・文化度アップに切り替えた功績は偉大です。
このコラムで「失われた20年というが、日本の身近な生活水準が目に見えてよくなっている」ことを繰り返し書いてきました。
内需無視で輸出で儲けるばかりでは国民も不幸ですし、商人や製造業者は一定の儲けがあったらその段階で家族・従業員国民にその利益を還元し国民の消費・文化度アップできてこそ、儲ける意味があります。
韓国の苦しみを見るとここ1〜2年貿易統計上空前の黒字を稼いでいる筈なのに、国民に還元せず国民の多くが低賃金や失業や負債増加に苦しんでいるアンバランスがあり、そのはけ口として文大統領が率先して自分が不法占領している竹島問題を持ちだして日本を刺激し、あるいは解決済みの慰安婦騒動の蒸し返しを図っています。
中国も実は貿易黒字が大きいのですが、国威発揚のために戦略的に無駄な海外投資(軍港確保目的にインフラ融資をして返済できないと港湾を取り上げる高利貸し商法)をしたり、内需(無駄なインフラ投資ばかりで国民を豊かにする消費支出)に回せないために、国民の生活レベルが低いままです。
この不満のはけ口にするために対外強硬主義に走るしかなく、何でも「死活的国益だから譲れない」と息巻いて相手国を恫喝する傾向です。
いくら威張っても、日常レベルの低さを知っている日本人の多くが気にしない・中国人民自身が日本の豊かな生活が憧れの対象になっている要因です。
何かあると譲るのを拒み「国難」だといきり立ってその都度仕返しだと騒いで対外的強硬策で孤立するのが良いものではありません。
中国は国内改革・痛みを拒んで・・開き直って、逆にこの1〜2年で見ると成長が止まった生産過剰分を民間に圧力をかけてどんどん潰して国有企業温存策に転じた上で、国内不満対策で対外強硬策になっているのを見ると、日本が戦前に突き進んだ轍を踏んでいるように見えます。
日本の対米戦は、短期的に見ればアメリカに戦争に追い込まれた面がありますが、その前に「満州死守が我が国の生命線」というような頑なな対応が遠因になっているという反省が必要です。
今になっての後講釈ですが、そのとき少し譲っておいても生命線でも何でもなかったことがわかります。
中曽根氏は小派閥の長でしかなかったために、時の主流派に正面から抵抗できないために妥協を重ねて政界風見鶏と言われ続けましたが、ともかく潰されないで生き残ったことで国鉄その他民営化の大業を歴史に残せました。
この時期には、もはや共産主義か自由主義の選択の時代が終わり(勝敗がついていたので)自由主義陣営内の競争選択の時代が来ていたのです。
内閣支持率が下がっても日本経済が上昇基調にある限り、党の支持率(体制選択不要・社会党/革新系支持率が上がらない)変更にはならなかったことがわかります。
一方で日本の国力増大(1968年西ドイツを抜いてGNP世界2位)→国際的地位・関係が微妙になり始めた時期でもありました。
ニクソンが電撃的に中国訪問(1972年)し、自陣営に引き入れて共産主義陣営の中ソ分断に成功し、一方で西側陣営内で頭角を現わしてきた日本外し(中国による日本批判を裏で承認する方向性)に動いていたのですから、複雑な国際政治経済が始まっていました。
国内政治が複雑になっただけではなく、自由主義陣営参加で占領軍支配以来のやり方・・・アメリカのいうとおりしていれば済む時代でなくなってきたのです。
一方で欧米諸国は、第二次世界大戦の教訓もあって日本を重視する方法も用意していました。
世界の重要事項を決める大国の首脳会議の場・サミットが結成され日本が創立メンバーに入ったのもこのころですがいわば、欧米多数の中に一人アジア人が入っても何も言えない・・「一緒に決めましたよネ!という約束させれる場を作られたようなものです。
その意味はいわゆるプラザ合意も同じです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/
第1回先進国首脳会議は、1975年11月15日から17日までフランスのイヴリーヌ県ランブイエで開催された先進国首脳会議。通称ランブイエ・サミット。
参加者 ヴァレリー・ジスカール・デスタン
ヘルムート・シュミット
アルド・モロ
三木武夫
ハロルド・ウィルソン
ジェラルド・フォード
ニクソンショック〜プラザ合意以降自由陣営内で日本包囲網が形成される時代ですが、日本の選択として中ソ陣営に鞍替えする余地のない時代でした。
キャッチアップ時代が終わって以降現状維持・調整型政治では困る・・構想力・現状打破力プラス国際政治の荒波をくぐり抜ける能力が問われる時代が到来していることになります。
戦前独ソ不可侵条約締結に際して「時の平沼騏一郎内閣は、『欧州の天地に複雑怪奇なる新情勢が生じた』という声明を出し、総辞職してしまった。」http://www.y-history.net/appendix/wh1505-010.html)ようなことの繰り返しでは困ります。
プラザ合意により、超円高〜バブル崩壊後「失われた20年」が始まりました。
「失われた20年」(ただし私は成長の足踏みが続いた結果、より良き日本文化が成熟できた良き時代であったと考えていることを繰り返し書いてきました)の始まりの閉塞感打破を期待されるようになって、トップ交代に対する期待感が再び強まったものの誰がやってもうまくいかない時代が続きました。

内閣支持率と政党支持率の推移1

昨日紹介した希望の党に関する支持率変化を見ると合理的議論に応じるまともな野党を標榜して票を集めながら、選挙が終わると先祖帰りしてしまって国民を欺いたことに対する国民の冷めた気持ちが伝わります。
メデイアがこぞって小池新党を煽っていた手前、この惨めな状態を毎日新聞は表面に出せなかったから半端な表現になったのでしょうか?
昨年総選挙直前頃から「安倍政権だけは許せない」という変な宣伝がメデイアで浸透していたし、現在の憲法改正論についても、内容に対する議論(「軍靴の音が聞こえてくる」「戦争に巻き込まれる」式の説得力がないのを自覚しているからでしょうが)よりは「安倍政権での改憲を許すな!」「安倍1強のマイナス」面の強調など自民内の分断を煽る傾向がつよくなっています。
では安倍氏が自民党の足を引張っているのかと言うとそうではなく、自民党支持率よりも内閣支持率の方が高い・・自民党議員の多くが安倍人気で支えられているのが実態です。
昨年の総選挙ではこの候補者は人物的にどうかな?と言う人でも、安倍人気のおかげで底上げされて漸く当選できた人がいます・・、
小泉政権以来「〇〇チルドレン」という議員が増えているのは、党首人気に左右される選挙になってきたことによることがわかります。
だからこそ、投票の数ヶ月前頃から自民党対野党の政策を競うよりは、ともかく「安倍内閣が許せないのだ!」と言う意味不明の感情批判に訴える内閣批判が強まったのでしょう。
そこで内閣支持率と政党支持率の関係を以下の表で見ると、メデイアの宣伝が功を奏したのか?昨年選挙時数ヶ月間だけ内閣支持率が急減しています。
内閣批判すれば自民党支持率に直結すると言う選挙戦略だったのです。
内閣支持率と自民党支持率の関係について歴代の表が出ていましたので紹介しておきます。
https://www.nhk.or.jp/bunken/research/yoron/political/2018.html

グラフ:2017年内閣支持率

内閣:安倍内閣(%)
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月
(衆)※1
11月 12月
支持する 55 58 51 53 51 48 35 39 44 37 46 49
支持しない 29 23 31 27 30 36 48 43 36 43 35 35

 

グラフ:2018年内閣支持率

内閣:安倍内閣(%)
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
支持する 46 46
支持しない 37 34

 

 

http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/5236a.html

いわゆる55年体制以降で見ると、当初自民党支持率の方が内閣支持率より高く安定していた時代が続いたのは一つには、左右政党の大同団結直後で左右対立のどちらが良いかの選択を求める全面競争・・体制選択時代であったのでトップの個性による政策の細かな幅のウエートが低かった時代です。
どちらが地上の楽園であるかの争いは、現実の経済状態・時間経過で証明されていくものですから、池田政権の高度成長政策は、自由主義経済の優位性を事実で国民に示したものでした。
高度成長時代はキャッチアップ型経済成長が続いていたので、(社会/共産主義を取るか自由主義を取るかの大きな違いだけで、自由主義陣営を選択する限り誰がなっても政策の幅に変化が少なかったからでしょう。
60年安保後も、政党選択の延長時代であったようです。
高度成長終末期の軌道修正時期に入った田中〜三木内閣が党より個人の能力による政策期待・・脚光を浴びる時代になって、内閣支持率の上下が激しくなりいわゆる三角大福戦争に突入し政治論議が身近になった時代でした。

総選挙と民度7(マスメデイアの威力低下1・・内閣支持率)

国民の方はガチガチの左翼系さえ切り捨てれば良いというのではなく、中道左派であろうと民進党系による小池新党乗っ取り自体を嫌っていた可能性・民進党支持率6〜7%に低迷=「民進党がそのまま乗っ取るだけならばその党に投票したい人は6〜7%しかいない」という意味ですし、そもそも国民の多くは安倍政権を倒す必要を感じていないどころか続投してほしいのが大多数の意見だったのではないでしょうか?
もっと言えば、小池氏が自民党員として都知事戦に出るのは応援した(自民党都連の対応にふまんがあった)が、安倍政権と対立してほしいとまでは期待していなかったというのが都民や国民の素直な政治観であったでしょう。
小池氏が都知事選大勝後も簡単に自民党を離党できずグズグズしていた原因はこの空気にあります。
メデイアではしきりに自民党支持率は高いが安倍内閣は不支持率の方が高いという不思議な報道がおこなわれ、この傾向は選挙後も続いていました。
http://www.tv-asahi.co.jp/hst/poll/201710/index.html

【調査日】2017年9月30・10月1日(土・日曜日)【調査方法】電話調査(RDD方式)
【対象】全国18歳以上の男女1735人【有効回答率】64.5%

内閣支持率

あなたは、安倍晋三連立内閣を支持しますか、支持しませんか?

 支持する       36.9% (前回比-4.4)

 支持しない      46.3% (前回比+6.7)

 わからない、答えない 16.8% (前回比

一方で自民党議席が大幅に減ると安倍政権に対する不信任だから総理が退陣に追い込まれるべきと言う数学の原理・自明のように言うのですが・・。
選挙の大勝も大敗もすべて党の顔次第というのが一般的理解ですから、どこの党でも党の顔にこだわるし、負けると責任問題になるのです。
希望の党の大敗は党員の責任ではなく、党代表の責任問題であることは違いがないでしょう。
希望の党では小池氏の責任問題がくすぶっていますが、当選者50人中45人が民進党出身者という構成で多数決解任になれば、予定通りに乗っ取られたことになるので、多数決で解任しにくい点で小池氏が助かっています。
メデイアは選挙結果が出た直後も自民党大勝は安倍政権支持ではない・森加計問題について説明責任を果たすべきと言い張っています。
選挙中の各党に対するNHKだったかの記者取材でも安倍総理の意見を遮ってまで、「森友・加計学園の説明責任をどうするのか?」という傲慢な質問がありましたし、希望の党に始まりその他野党の主張は(公約は色々あるでしょうが大きな主張は総じて)「安倍政権打倒」、「安倍政権さえ打倒すればいい」、「アベのミ久スは失敗だ」というばかりです。
なぜ安倍政権を打倒する必要があるのか、安倍政権のどこが悪いのかも言わない、アベノミクスは失敗だというものの、では希望の党や野党がどうするべきというのか自分の政策を一切いわない・安倍政権さえ倒せればあとはどうなっても良いかのような主張でした。
選挙で野党の戦う相手は自民党議員との議席の取り合いであって、内閣を倒しても自民党の議席が増えて自分の党の議席が減るのでは意味がありません。
どこの党でも政党の選挙活動は自分の党の候補者を一人でも多く当選させる目的で行うものですから、限られた大事な選挙期間での運動・演説の中心主張が安倍政権批判に集中している以上は、自分の党の議員当選数=自民党の獲得議席数の減少になる主張が、安倍政権支持率で決まるから安倍政権批判をしているという意思表示です。
内閣支持率と自民党支持率が連動しないのならば、野党各党が内閣打倒や内閣批判に熱をあげる必要はありません。
にもかかわらず、自民党支持率は上向いているが、内閣支持率より不支持率の方が多いというメデイアの発表自体一般的理解困難です。
党の支持率(獲得票率)は選挙結果がすぐに出るので、あまり違いがあると調査に関する信用を失うので虚偽発表ができないので自民党支持率が約何%かは、調査結果通りに発表するしかないものの、内閣支持率に関する投票がないので、いくらでも虚偽発表できる・・データ操作の疑いがあります。
以下はメデイア発表の一例です。
http://www.sankei.com/politics/news/171016/plt1710160082-n1.html

「安倍内閣支持率が下落しているのに自民党は堅調… 希望や維新の失速に野党共闘の崩壊」

希望の党の構成員も公約も何もわからない段階での希望の党に対するフィーバーは、小池氏の個人人気によるものですし、どこの党でも負けそうな時には〇〇では選挙を戦えないと党首・看板のすげ替えにこだわるのはそのためです。
ところで、ニコニコ動画の調査発表だけは選挙結果とほぼ同様の動きをしているらしいです。
http://news.nicovideo.jp/watch/nw2886556の引用です。

「安倍内閣の支持率が時事通信などの世論調査で20%台まで下落し、「危険水域」に入った。しかしニコニコユーザーだけに限れば、安倍内閣を「支持する」と答えた人は51.7%に上り、「支持しない」の24.1%を大きく上回っている。ドワンゴが7月21日に発表した「月例ネット世論調査」によって明らかになった。
https://enquete.nicovideo.jp/result/96
月例ネット世論調査2017年8月
内閣支持率 「支持する」54.0% 「支持しない」20.4%
9月10月の結果が見つかりませんが、10月22日の第47回総選挙結果は以下の通りで ほぼあっています。
https://ja.wikipedia.org/wiki
小選挙区
v             総得票数      得票率   議席    議席率
自民党 25,461,448.922   48.10%     223[注 1]   75.59%

こんな具合でニコ動ではピッタリ連動してるのに、なぜ既存メデイアでは変な動きになるのでしょうか?
いかにも「安倍政権はもう終わりだ・勝つ方に つくほうがいいよ!」というメデイアのイメージ戦略が見え見えです。
選挙の結果自民党の圧勝でしたが、メデイアはあくまで「内閣の支持率が低いのだから、安倍政権は国民の信任を受けていない」という変な論法です。
内閣支持率が本当に低くてこんなに自民党得票率が上がるのか?の疑念をメデイアが晴らすためにはデータをブラックボックス化しないで合理的説明をしないと既存メデイアの信用性が落ちる一方です。
うがった見方をすると・・・すなわち以下は、私の憶測です。
メデイア界では小池新党の組織立ち上げ準備期間を与えることと、民進党の混乱収束を待つための時間稼ぎのために、森友加計問題で騒ぐだけ騒いで、(国民は逆に政策そっちのけの民進党の評価を下げているにも関わらず)世論調査では安倍政権批判が高まっている・支持率20%という虚偽発表を繰り返して安倍総理が解散できない様に誘導していた疑いがあります。
メデイアの誘導効果にニンマリしていた小池氏も民進党も「これで安倍総理は解散をできまい」・「来年になれば、任期満了の追い込まれ解散になる」と油断していたのを突いたのが今回の不意打ち解散でした。
自民党は、自己調査でメデイア界揃っての発表が実態にあっていないのを知っていて騙されているフリをして安心させておいてこれを利用したことになります。
1昨日あたりの報道では内閣支持率50何%と出てましたが、10月22日投票後まだ何もしていないこの段階で30%も支持率が上がるはずがないので、あまりにも実態無視の発表を維持できなくなったので実態に合わせる修正を始めたように見えます。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6259743

新内閣の支持率52% 読売調査
11/2(木) 22:58 掲載
内閣支持52%、不支持40%…読売世論調査
読売新聞社は、第4次安倍内閣の発足を受け、1日夕から2日にかけて緊急全国世論調査を実施した。(読売新聞)
安倍内閣の支持率は52%で、衆院選直後の前回調査(10月23~24日)の52%から横ばいだった。不支持率は40%(前回37%)。
政党支持率は自民党42%(前回43%)、立憲民主党14%(同14%)、希望の党5%(同5%)などの順で、無党派層は25%(同24%)だった。

上記を見ると立憲民主党や希望の党では事前予想も選挙直後も全く変わっていない・・調査の正確性が証明されていますが、なぜか内閣支持率だけ選挙時の実際の支持率が、事前調査と何十%も違っていた摩訶不思議さが結果から証明されています。
選挙直後に一般的であった「党は選挙で勝ったが内閣は支持されていない」というひねくれた解釈・・訳知り顔の政治評論家の解説は事実に反していたことがこれで証明されたことになります。
自民党員でも誰か忘れましたが、安倍内閣の支持で大勝したのではなく、個々の議員が頑張ったに過ぎないから森・加計問題をさらに謙虚に説明を尽くすべきだと、メデイアの振り付け通りの発言していたという報道がありました。

©2002-2016 稲垣法律事務所 All Right Reserved. ©Designed By Pear Computing LLC