韓国と中進国の罠(半導体産業の内実)2

韓国を追いかける中国現地企業も製造装置や部材が韓国系同様に手に入れば地元の強みで韓国系は押されていく流れでしたが、米中対決激化で思わぬ応援というか、ファーウエイ・騰訊をはじめとする中国民族企業への高度部材や技術移転がストップになりましたので、競合する韓国系はチャンスと見ていたでしょう。
ところが韓国内の反日運動煽りすぎで、日本のホワイト国除外決定となり韓国の出方によってサムスンやSKハイニクスに対する高度部材供給がストップする可能性が出てきました。
韓国勢に漁夫の利を得られたくない中国は日本の対韓輸出規制強化は大喜びでしょう。
半導体設備業界のランキング見ておきます。
https://news.mynavi.jp/article/20190319-791516/

2018年の半導体製造装置メーカーランキング – 日本企業はトップ15社中7社
地域別では、米国メーカーが4社、欧州メーカーが2社、韓国、中国が各1社ずつという構成になっていることから、半導体製造装置業界における日本企業の健闘が目立つ結果となったといえる。

世界半導体製造装置産業に中韓が15社中各1社入ってるのには驚きましたが、統計だけ見れば中韓が自分で製造装置も作れるようになったということでしょうが、その実態を見ると中国で言えば、現地進出条件が合弁形態になっている関係で現地工場使用向けの低レベル品から現地化・技術移転が進むのが普通です。
・・中韓にとっては中高度技術をできるだけ現地化したいのですが、先進国が簡単に移転しないので中国が強制移転に乗り出したことが米中摩擦の究極の原因です。
売上高で見ると下流製品ほど量が出るので、売上高ランキングで見ていると実際の国際競争力がわかりません。
メデイアは売り上げで比較して中韓はすごい!と賞賛していますが、最終製品汎用品を大量生産を担当すれば売り上げ高では裾野に行けば行くほど大きくなるのは当然です。
半導体分野も製造装置では概ね日本からの製造装を輸入して部品組み立て・最下流で量産を担当している状態を脱却しきれていないようです。
https://japanese.joins.com/JArticle/255209?servcode=300§code=300

半導体素材の国産化率50%…その裏には韓日ノーベル化学賞0:8
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2019.07.05 08:20

半導体の製造は300余りの工程があり、工程別に専用の素材と装備が必要となる。サムスン電子やSKハイニックスはその全体工程の製造競争力が世界最高水準だ。
しかし300の工程に必須の素材と装備はそれぞれ日本と米国が世界最高の技術力を持つ。
国際半導体製造装置材料協会(SEMI)によると、2017年基準の韓国の半導体素材国産化率は50.3%。国内の分析もほぼ同じだ。韓国半導体協会は「国産化率が素材は48%、装備は18%程度」と分析している。
国産化率50%は集積回路(IC)など低価格製品を含む半導体全般の国産化率であり、サムスン電子やSKハイニックスのDRAMやNAND型フラッシュメモリー超微細工程に必要な素材の国産化率はさらに落ちるということだ。
IBK経済研究所のチャン・ウエ研究委員は「サムスン電子やSKハイニックスの高仕様半導体に必要な素材と装備の国産化率はさらに低く、日本や米国に大きく依存している」と説明した。

しかも組み立て工程を中韓に移転しても、そこで使う高度薬品・フッ化水素などは世界生産の90何%を握る日本からの供給に頼っているのが、今年夏のホワイト国除外騒動で(部外者にも)白日のもとに晒されたばかりです。
製造装置を日本から購入して設置し(設置作業も日本のプラント業者が担当するのかな?)運転が始まれば必須部材を日本や米国から買う・・鵜飼の鵜みたいな役割です。
必須の高度製品の場合、末端商品価格から見れば大したことがないので、内実を知らない一般国民はサムスンや中国は生産量で日本を追い越したと増長していたようです。
産業構造とすれば、中核部品に特化してきた日本の構図と汎用品で数量を稼いできた中韓等の違いが今年夏のホワイト国除外騒動で一般の目にもはっきりしたばかりです。
ローエンド製品ばかりでは後を追う次順位国にすぐ追いつかれます。
自動車業界は以下の通りです。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50477070R01C19A0FFJ000/

韓国車生産400万台割れも ルノー・GM系が減産
産業維持の限界ライン ストや内需低迷 現代自も
2019/10/1 23:00 日本経済新聞 電子版

韓国自動車産業の地盤沈下が鮮明になってきた。国内生産台数は5年で1割以上減って部品産業などの維持に必要な400万台割れが目前に迫り、世界順位は5位から7位に転落した。内需の伸び悩みに加え、外資系が世界戦略の見直しに伴って生産を減らしたためだ。
「部品産業などの維持に必要な400万台割れが」目前という日経新聞記事がそのころにありました。
400万台が部品産業の生存ラインか不明ですが?
素人考えでは国内300万で国外進出自国企業への部品供給100万台分で合計400台分の需要があればいいように思いますが?
素人には理解不能な複雑な理屈があるのでしょうか?
国内関連業維持できなくなるとどうなるかが迫っているらしいのに!局面打開のためにインドに進出すると言うのですが・・本国を見捨てて国外逃亡100年の計ということでしょうか?
https://www.marklines.com/ja/statistics/flash_prod/productionfig_japan_2018

日本の乗用車メーカー 生産台数 (2018年1-12月累計)

合計 9,236,859 100.0% 0.5%

出典: 各社ニュースリリース

17日紹介したようにサムスンも需要地中国での半導体工場投資を増やすしかない状態です。

韓国と中進国の罠1(半導体産業の内実)

新興国市場の定義を14日紹介しましたが、振幅の激しいのが特徴・・人間で言えば若者の心や挙動・国で言えば新興市場の特徴です。
国民感情も若者気質丸出し・感情の起伏の激しさ・それをそのまま実行してしまう民族性は文字通り新興国の気風です。
韓国民の誇りとするサムスン電子は国民性そのまま体現して商品相場の中でも起伏の激しい半導体生産で、不況時の沈んだ時に次の好況期を睨む積極投資の賭けを繰り返して頭角をを現してきたものです。
サムスンの場合・・市況型産業の申し子なので、当面半導体不況で落ち込んで56%減益でも、今後の市況回復期待感で株は上がっているようです・・。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50727750Y9A001C1FFE000/

サムスン、減益でも半導体先手投資 底入れ感で攻め
中国工場スマホ向け増強 2019/10/8 12:06
2019年7~9月期連結決算の速報値は営業利益が前年同期比で56%減ったものの、4~6月期と比べると17%増え、急速に悪化した業績に底入れ感が出てきたためだ。
2019年7~9月期連結決算の速報値は営業利益が前年同期比で56%減ったものの、4~6月期と比べると17%増え、急速に悪化した業績に底入れ感が出てきたためだ。
サムスンは市況の反転を見越して、中国西安市の既存工場向けにスマートフォンなどに搭載する最先端NAND型フラッシュメモリーの生産設備を導入する。新生産ラインは20年春にも稼働し、主に華為技術(ファーウェイ)など現地のスマホ工場に出荷する見通しだ。装置発注の金額は数千億円規模とみられる。
ソウル近郊の平沢(ピョンテク)工場でも増設を続ける。18年に着工した第2製造棟を建設中で、来春以降に製造装置を発注する見通しだ。

とはいえ、ヒタヒタと追いついてくる中国という相手がいるので、従来のような市況の波の見通しによる増産一本やりでは躓きかねない状態です。
先手投資といっても中国での新工場投資中心のようですから、中国による技術移転の標的になっているでしょうから将来的には骨抜きにされるリスクが高まります。
サムスンが中国におけるスマートフォンの生産を停止

サムスンが中国におけるスマートフォンの生産を停止
2019年10月03日 by Brian Heater
ロイターが確認しているところによると、Samsung(サムスン)は米国時間10月2日、中国におけるハンドセットの生産を停止したという。このところ、世界最大のスマートフォン市場で同社の苦戦が続いたことの結果だ。
・・・最近のサムスンはインドやベトナムなど、ほかの国に目を向けて、生産コストを中国におけるよりも下げようとしている。スマートフォンの販売は中国でも続けているが、製造はもっと安い場所に移したいのだ。

日本の部品業界から見たサムスンの実力https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/special/00055/

サムスンのマーケティングを支援したことがあるコンサル会社、コムセルの飯塚幹雄社長は「家電で中国勢にシェアを奪われ、日本メーカーが韓国勢に駆逐されたのと同じ道をたどっている」とみる。サムスンを知る関係者が向ける視線はかつてないほど厳しい。
けん引役はファーウェイ
国内の部品・素材大手にとってサムスン、アップルの「2強」は、最優先顧客と呼べる存在だった。端末の競争力を引き上げるため、最先端の日本製部材を「誰よりも早く採用してきた」(前出の国内メーカー幹部)からだ。
しかし現在、国内部品・素材大手がサムスンに代わる大口顧客として見据えるのがファーウェイだ。スマホ開発では心臓部であるCPU(中央演算処理装置)の設計を自ら手掛け、5Gでは基地局を含めて他社の追随を許さない。

サムスンやSKなど韓国系がこの先半導体専業でしか生き残れないとした場合、10年先にも10年先にもトップグループでいられるか?
中国の製造強国25とかの実現性は低いようですが、それでも自国生産比率アップが急激です。
韓国の産業業界は韓国より20年遅れで近代工業設備導入が始まった中国に各種業態で追い上げられ、石化事業の場合湾岸産油国やサウジ等原油生産国が自国にプラント設置して自国生産を始めると追い上げられている構図に韓国は対応できない状態が見えます。
サウジ等産油国自身の石化事業育成が続いている結果、ケミカル業界が石化事業に頼ったままでは、生産地との競争に負けていく構造不況業種化しているのではないでしょうか?
半導体産業は、中進国の罠を掻い潜れた例外ですが、(これは日米半導体協定によって日本が輸出規制を受けた結果です)化学業界の動きを見ると日本の先端技術工場を国内導入して、低賃金で日本を追い上げた成功物語・・・プラントさえできればどこの国でも生産できる環境に韓国が頼っていたような印象です。
中国の低賃金・人海戦術に頼る縫製工場等が早期にバングラデシュに移転し、さらに近代的生産工場もベトナム等に転出する状態に入っていますが、中国の競争力が行き詰まってさらなる高度化の必要に迫られているのと同じ状況になっているようです。
日本が汎用品から撤退していく過程で、比喩的に言えば日本が最新設備として100億円かけた設備を廃棄するときに5〜10億円で中古設備を購入するなどして設備投資コストを超安値に抑えて韓国や中国がその穴埋め生産してきたので、見かけ上急速にGDP大躍進しますが、この方法だと次の新興国の台頭に負けていきます。
大躍進による資金をバックに最先端設備導入→2〜3流品から1流品生産へとなりますが例えば日米から設備や素材の大部分を仕入れる場合、設備コストが先進国とほぼ同じになります。
競争条件としては、人件費と消費地に近いかどうかが重要となり、韓国勢の中国民族企業との競争では自国内消費が弱く中国市場に頼る分と人件費の違いから中国現地生産を増やしていくしかなくなっていくでしょう。
同じように製造装置や部材が手に入れば地元の強みで韓国系は押されていく流れでしたが、米中対決激化で思わぬ応援というか、ファーウエイをはじめととする中国民族企業への高度部材や技術移転がストップになりましたので、競合する韓国系はチャンスと見ていたでしょう。
ところが韓国内の反日運動煽りすぎで、日本のホワイト国除外決定となりサムスンやSKに対する高度部材供給がストップする可能性が出てきました。
中国は日本の対韓輸出規制強化は大喜びでしょうから、日韓紛争激化・韓国の肩を持つことはあり得ません。

建前と内実

商売で言えば、創業当初立ち上がりの成功のためには寝食を惜しんで=豊かな生活を犠牲にしていても良いのですが、立ち上がりに成功すれば、工場建家や職場を綺麗にするなど社員の福利厚生や自宅新築や家族の生活水準引き上げ等に目がいくのが普通の流れ・・バランスの取れた行動様式です。
国家も一定の黒字を稼げるようになって新興国の段階を過ぎれば、次には国民の生活水準向上・・内需率アップに向かうべきですが、韓国は財閥とその取り巻きだけが豊かになって庶民は極貧のママですし、中国の場合世界一の外貨準備を蓄積してもなお貿易黒字を続けることをやめられない状態です。
そもそも、中韓両国では成長で得た富みを国民に還元する気持ちがないからではないでしょうか?
中国による内外使い分けは貿易黒字に見合った内容が伴っていない実態を表している点では、ある意味正直なところがあって、立ち回りが狡いばかりとは言えないようです。
中国人のネット投稿を見ても、中国社会の遅れた状況把握している冷静な意見が多く見られる点が韓国人の希望や夢想と現実を合体させている意見一色とは大きな違いです。
政治制度的にも、中国は共産党独裁制度である・・国民重視政治ではない点を隠す必要もなくむしろ開き直って・・言論弾圧や少数民族弾圧を臆面もなく実行しています。
対外的にも自分は紳士的ではない・・ヤクザ国家そのものだと言う態度を隠しません。
表向き民主国家・・国際ルールを守る国であると言う建前に縛られている韓国よりは、行動様式がすっきりしています。
韓国では、軍事政権から民主政権になった→OECD加入で先進国の仲間入りしたと鬼のクビでも取ったように大げさに宣伝をするものの、実際にはこれまで何回も(最近では8月16日)書いているように、大統領制度の本質は任期限定の独裁制です。
この任期中国民の意見など聞かなくとも強権的政治出来る仕組みですから、言わば半民主国家状態です。
(利害調整を怠って強行採決ばかりしていれば、国会は強行採決するための装置でしかなく存在意義がありませんが、これが独裁制しか知らない国の結末です。そこで1昨年・李政権末期に強行採決を事実上できなくする国会先進化法が漸く通りましたが、この法律が必要になるほど、強行採決ばかりして来たのです)
韓国では国会があっても妥協する能力がないので、強行採決ばかりして来たことについては「韓国民の行動様式13(話し合い社会へ1)September 1, 2013のコラムで書いています
民主政権になって先進国の仲間入りしたと大宣伝するし、ちょっと景気がいいと日本を追い越したなどと、宣伝が激し過ぎるので実際には騙されたようなもの(羊頭狗肉)ですが、国民は期待してしまう結果、却って強権政治に不満を持つようになります。
任期中の強権政治に対する不満が大きいことが、任期満了すると大統領周辺が検挙される繰り返しの原因でした。
戦果?を宣伝し過ぎると却って政権が苦しくなる点は中国も同様です。
日本を今にも追い越すことが中韓の国是と言うか、夢想の第1に仕立てて上げて毎年のようにもう少しで追いつき追い越すとやって来ました。
この結果いつも日本を追い上げていると言う虚偽データしか発表できなくなってしまい、その挙げ句には、数年前には遂に日本を追い越してしまったと発表せざるを得なくなってしまいました。
次は追い越したならば、何故日本侵略の仕返しをしないのかとなって来て実体のない軍部は困っている状態です。
それで中国に比べて掛け値なしに弱いフィリッピンやベトナム方面へ繰り出してお茶を濁しているのが現状でしょう。
韓国も負けていられないのですが、さすがに軍を出すには国力が不足し過ぎているので、元々不法支配している竹島に大統領アが上陸するパフォーマンスをした上で、天皇が土下座して謝りに来いなどと、威勢のいいことを言うしか出来なかったのですが、遂に日本を怒らせてしまい、大変なことになってしまいました。
次の朴大統領も更に一歩踏み出さないと国内的に持たないので、国内政治を放りっぱなしで世界中に反日宣伝行脚をするようになっています。
このように実態直視を避けて誹謗中傷を際限なくエスカレートするしかない政治では、いつか行き詰まって破綻するしかありません。
韓国社会レベルから見て、まだまだ民主制の建前通りの社会になり切れないならば、この実態を認めて「自分たちは、この程度のレベルだからみんな頑張りましょう」と謙虚にやれば健全な発達が出来るでしょう。
建前や幻想にあわせて虚偽宣伝にこだわる結果、「実際は違うじゃない!」と言う国民の不満が嵩じて行きますので、これをそらすために苦し紛れに反日に走るしかなくなっているのが不幸です。
無理して日米に歩調を合わせて文化国家・先進国になったと宣伝するよりは、中国に接近するついでに独裁制・・ミャンマーやベトナムよりちょっと進んだ程度の制度に戻った方が無理がないと思われます。
(レベルの高過ぎる高校に入って苦労しているようなものですから、自分のレベルにあわせて中国とつき合う方が楽でしょう)
要するに我が国とは価値観共有する国ではないのです。

中韓外貨準備の内実2(中韓接近1)

現在北朝鮮情勢緊迫も加わって、韓国ウオンが下落基調になっていますが、韓国にとってはウオン下落は交易上有利だと喜んでばかりいられないのが、基礎体力のない韓国経済の弱みです。
最近のウオン下落は売り注文・・半島危機の加速と対日貿易競争上の不利の現実化進行によって、投資家による資金引き揚げ増加に直面していることによるのですから,売りが売りを呼ぶ暴落状況へ発展しないかの緊張・危機直前の様相を呈しています。
円安になった日本との貿易競争に大負けして輸出産業が痛手を受けるならば、ウオンが安くなれば良いようなものの、一方で暴落は困るという難しい立場です。
竹島・天皇謝罪発言事件で日本との巨額スワップ協定(イザというときの日本からの巨額ドル融通)の更新が昨年秋に出来なくなり、さらに基本協定の期限も今年7月あたりに来そうですから、保険・後ろ盾が完全になくなった場合にどうなるか緊張している状態です。
日中韓のスワップ協定でしたから中韓関係はまだ残っていますが、仮にも通貨危機発生目前になった場合、中国から資金援助を受ける・その保障で生き残るとなれば大変な展開になります。
・・日本と違って金を出すとなれば中国は露骨ですから、将来的にはチベットのように属国化への道筋を付けられるかの緊張状態にあります。
中国は欧州危機に際してもお金を出すようなそぶりだけしていて、(本当は自己資金がないのでしょう・・)結局出しませんでした。
今回は韓国経済が窮迫化しているだけではなく、中国自身反日暴動以降実体経済がかなり傷ついています。
(表向きはなお7、5%成長に減速などと発表していますが、世界中でこの誇大発表を信じている人は滅多にいないでしょう・・本当は大分前からマイナス成長に陥っている可能性があります。
公式発表どおり7、5%成長だとしても、従来基準から言えばかなりのスピード鈍化です。
政策金利が5%あまりで貸し出し金利が7〜8%前後ですから7、5%成長では金利支払にも追いつきません。
まして正規金融機関融資先は国有企業関連が殆どで民間企業の殆どがヤミ金融業者に頼っている現状ですから、なおさら(もっと高利で)大変な事態です。
今では、韓国の面倒を見るどころか、中国自身が海外資金の取り込みに必死の状態に陥っています。
世界一の外貨準備がある筈の中国ですが、24日にグラフで見たとおり、リーマンショック後始まった世界中の低金利競争下で5%台の高利回りを維持していなければならない=資金不足状態にあること自体が、実際の資金繰り状態を表しています。
中国の外貨準備高自体は公表どおりか否か真偽不明ですが、そのとおりあるとしてもその殆どが海外からの投資で成り立っているとしたら,外資の引き揚げに直面するとアジア通貨危機時の韓国経済破綻同様の大事件に発展します。
ただし、中国では為替自体が規制されているので人民元の実力どおり相場が移動する訳であはありません。
ヤミ(これが実勢です)為替相場は知る由もないのですが、これが裁定取引に反映されるのには、数年〜5〜10年前後遅れて移動する傾向があると見て良いかも知れません。
すなわち・・現在の人民元高傾向は数年〜5〜10年前の遅行指数と言えます・・。
我が国でも固定資産評価額や公示価格は、政府の思惑で発表する結果実際のバブル高騰時にはその数分の1程度しか反映されなかったし急激な下落時にも同じです。
(公示価格の問題点については、03/31/03「地価公示制度(公示価格と実勢価格)5」前後で連載したことがありますので参照して下さい)
このために地価が相場下落開始後になっても遅れて公式評価が上がる結果、国民から何をしてるんだという不満が出たことがあります。
(正確には政治的思惑で鑑定評価を低く抑える傾向があるだけではなく、鑑定が出ても激変緩和措置として税額等を数年に分散して上げて行く制度設計にも関係します。)

 

 

 

 

 

 

 

日韓スワップ協定と韓国経済1

4月24日に見たように、中国や韓国は自国金利が高いのでウオンや人民元を安く保つためにドル買い介入を繰り返して得たドル資金の持って行き場に困っています。
日本のようにアメリカ政府財務省証券で運用すると低金利のために逆ざやで毎年巨額の損失を出していることも「通貨安政策3」Published September 17, 2012その他に書いたことがあります。
(アメリカの金利は日本以下ですから、日本はアメリカで運用してもドルの値下がり損を除外すれば金利分だけ得します)
このために韓国や中国では信用のある国債等の商品中心に購入出来ずに、いかがわしい高金利商品・・サブプライムローンのようなものに手を出すしかなくて、何かあると大損する仕組みです。
韓国の外貨準備はアジア危機のときに比べて巨額になったから心配が要らないと豪語していたのですが,リーマンショック直後に韓国ウオンが暴落寸前まで進んだのは怪しげな債権投資が中心のために国際経済に変調が起きると直ぐに保有債権の評価損が生じる・・実質価値が低いことによります。
中国のように虚偽統計とまでは言われていませんが、公式発表がある程度正確としても「くず債権」を額面で表示していると経済界から見れば、中国の虚偽統計と大差ないことになります。
中国、あるいは新興国など資金不足国では、我が国に負けずに低金利に出来ないので資金が国内滞留し易い結果国内バブルやインフレになり易くなっています。
韓国では反日騒動で昨年から経済失調に陥り苦しんでいますが,23日紹介したように4月の月例会議で金利下げが予測されていたものの、資金流出を恐れて現状維持・・景気対策としての金利下げを出来ませんでした。
金利を下げられない結果、大手財閥系企業を中心にその何割もの多くで営業利益が毎月の利払い費にも足りない状態になっていると報じられています。
国内企業も国民も借金まみれで困りきっているので金利を下げるしかないのが経済原理ですが、資金流出を恐れて金利を下げるどころか逆に上げなければならない状態に追い込まれているのですから、・・どうして良いか分らない状態に陥っていると見て良いでしょう。
スワップ協定によって日本の保障・後ろ盾があったればこそ、景気が悪くなれば安心して金利下げも出来たのです。
24日紹介したグラフを見れば分るとおり、韓国はリーマンショック直後超不景気で金利を下げるべきところでしたが、第二次通貨危機直前に追い込まれていたので,逆に金利を上げるしかなくて金利上げを断行していたことが分ります。
その直後にイキナリ2%台に急激に下げられたのは日本によるスワップ協定・・ドル融通協定が成立したことによります。
日本の巨額スワップ保障によって韓国は始めて5%台から2%台に急激に金利を下げることが出来たし,底なしの暴落不安がなくなって安心してウオン安誘導も出来ました。
この結果が、日本企業との競争上二重に有利に働いてシャープやパナソニックを苦しめて来たのです。
(競争相手の韓国企業に低金利資金が欧米から安心して入ったので、ウオン安だけが日本企業を苦しめたのではありません)
日本の御陰で破綻のどん底から救われた恩義も忘れて、景気が良くなったことに意を強くして、わざわざ竹島上陸した挙げ句に天皇に謝罪を求めるまでの過激な発言をして反日運動を起こすなど、経済に限らず支離滅裂な状態が続くのが韓国の政治経済のレベルです。
(頼るべき日本を自分から進んで敵に回してどうするつもりか理解不能な選択ですし,不景気下で金利上げするしかない矛盾した経済と国民性が整合していますが・・・。)
ここまで仁義を無視するならば、日本は韓国の後ろ盾・・ドル資金融通の保障などする必要がないとなって昨年秋にスアップ協定の更新を拒否したのは当然です。

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