韓国と中進国の罠(半導体産業の内実)2

韓国を追いかける中国現地企業も製造装置や部材が韓国系同様に手に入れば地元の強みで韓国系は押されていく流れでしたが、米中対決激化で思わぬ応援というか、ファーウエイ・騰訊をはじめとする中国民族企業への高度部材や技術移転がストップになりましたので、競合する韓国系はチャンスと見ていたでしょう。
ところが韓国内の反日運動煽りすぎで、日本のホワイト国除外決定となり韓国の出方によってサムスンやSKハイニクスに対する高度部材供給がストップする可能性が出てきました。
韓国勢に漁夫の利を得られたくない中国は日本の対韓輸出規制強化は大喜びでしょう。
半導体設備業界のランキング見ておきます。
https://news.mynavi.jp/article/20190319-791516/

2018年の半導体製造装置メーカーランキング – 日本企業はトップ15社中7社
地域別では、米国メーカーが4社、欧州メーカーが2社、韓国、中国が各1社ずつという構成になっていることから、半導体製造装置業界における日本企業の健闘が目立つ結果となったといえる。

世界半導体製造装置産業に中韓が15社中各1社入ってるのには驚きましたが、統計だけ見れば中韓が自分で製造装置も作れるようになったということでしょうが、その実態を見ると中国で言えば、現地進出条件が合弁形態になっている関係で現地工場使用向けの低レベル品から現地化・技術移転が進むのが普通です。
・・中韓にとっては中高度技術をできるだけ現地化したいのですが、先進国が簡単に移転しないので中国が強制移転に乗り出したことが米中摩擦の究極の原因です。
売上高で見ると下流製品ほど量が出るので、売上高ランキングで見ていると実際の国際競争力がわかりません。
メデイアは売り上げで比較して中韓はすごい!と賞賛していますが、最終製品汎用品を大量生産を担当すれば売り上げ高では裾野に行けば行くほど大きくなるのは当然です。
半導体分野も製造装置では概ね日本からの製造装を輸入して部品組み立て・最下流で量産を担当している状態を脱却しきれていないようです。
https://japanese.joins.com/JArticle/255209?servcode=300§code=300

半導体素材の国産化率50%…その裏には韓日ノーベル化学賞0:8
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2019.07.05 08:20

半導体の製造は300余りの工程があり、工程別に専用の素材と装備が必要となる。サムスン電子やSKハイニックスはその全体工程の製造競争力が世界最高水準だ。
しかし300の工程に必須の素材と装備はそれぞれ日本と米国が世界最高の技術力を持つ。
国際半導体製造装置材料協会(SEMI)によると、2017年基準の韓国の半導体素材国産化率は50.3%。国内の分析もほぼ同じだ。韓国半導体協会は「国産化率が素材は48%、装備は18%程度」と分析している。
国産化率50%は集積回路(IC)など低価格製品を含む半導体全般の国産化率であり、サムスン電子やSKハイニックスのDRAMやNAND型フラッシュメモリー超微細工程に必要な素材の国産化率はさらに落ちるということだ。
IBK経済研究所のチャン・ウエ研究委員は「サムスン電子やSKハイニックスの高仕様半導体に必要な素材と装備の国産化率はさらに低く、日本や米国に大きく依存している」と説明した。

しかも組み立て工程を中韓に移転しても、そこで使う高度薬品・フッ化水素などは世界生産の90何%を握る日本からの供給に頼っているのが、今年夏のホワイト国除外騒動で(部外者にも)白日のもとに晒されたばかりです。
製造装置を日本から購入して設置し(設置作業も日本のプラント業者が担当するのかな?)運転が始まれば必須部材を日本や米国から買う・・鵜飼の鵜みたいな役割です。
必須の高度製品の場合、末端商品価格から見れば大したことがないので、内実を知らない一般国民はサムスンや中国は生産量で日本を追い越したと増長していたようです。
産業構造とすれば、中核部品に特化してきた日本の構図と汎用品で数量を稼いできた中韓等の違いが今年夏のホワイト国除外騒動で一般の目にもはっきりしたばかりです。
ローエンド製品ばかりでは後を追う次順位国にすぐ追いつかれます。
自動車業界は以下の通りです。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50477070R01C19A0FFJ000/

韓国車生産400万台割れも ルノー・GM系が減産
産業維持の限界ライン ストや内需低迷 現代自も
2019/10/1 23:00 日本経済新聞 電子版

韓国自動車産業の地盤沈下が鮮明になってきた。国内生産台数は5年で1割以上減って部品産業などの維持に必要な400万台割れが目前に迫り、世界順位は5位から7位に転落した。内需の伸び悩みに加え、外資系が世界戦略の見直しに伴って生産を減らしたためだ。
「部品産業などの維持に必要な400万台割れが」目前という日経新聞記事がそのころにありました。
400万台が部品産業の生存ラインか不明ですが?
素人考えでは国内300万で国外進出自国企業への部品供給100万台分で合計400台分の需要があればいいように思いますが?
素人には理解不能な複雑な理屈があるのでしょうか?
国内関連業維持できなくなるとどうなるかが迫っているらしいのに!局面打開のためにインドに進出すると言うのですが・・本国を見捨てて国外逃亡100年の計ということでしょうか?
https://www.marklines.com/ja/statistics/flash_prod/productionfig_japan_2018

日本の乗用車メーカー 生産台数 (2018年1-12月累計)

合計 9,236,859 100.0% 0.5%

出典: 各社ニュースリリース

17日紹介したようにサムスンも需要地中国での半導体工場投資を増やすしかない状態です。

韓国と中進国の罠1(半導体産業の内実)

新興国市場の定義を14日紹介しましたが、振幅の激しいのが特徴・・人間で言えば若者の心や挙動・国で言えば新興市場の特徴です。
国民感情も若者気質丸出し・感情の起伏の激しさ・それをそのまま実行してしまう民族性は文字通り新興国の気風です。
韓国民の誇りとするサムスン電子は国民性そのまま体現して商品相場の中でも起伏の激しい半導体生産で、不況時の沈んだ時に次の好況期を睨む積極投資の賭けを繰り返して頭角をを現してきたものです。
サムスンの場合・・市況型産業の申し子なので、当面半導体不況で落ち込んで56%減益でも、今後の市況回復期待感で株は上がっているようです・・。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50727750Y9A001C1FFE000/

サムスン、減益でも半導体先手投資 底入れ感で攻め
中国工場スマホ向け増強 2019/10/8 12:06
2019年7~9月期連結決算の速報値は営業利益が前年同期比で56%減ったものの、4~6月期と比べると17%増え、急速に悪化した業績に底入れ感が出てきたためだ。
2019年7~9月期連結決算の速報値は営業利益が前年同期比で56%減ったものの、4~6月期と比べると17%増え、急速に悪化した業績に底入れ感が出てきたためだ。
サムスンは市況の反転を見越して、中国西安市の既存工場向けにスマートフォンなどに搭載する最先端NAND型フラッシュメモリーの生産設備を導入する。新生産ラインは20年春にも稼働し、主に華為技術(ファーウェイ)など現地のスマホ工場に出荷する見通しだ。装置発注の金額は数千億円規模とみられる。
ソウル近郊の平沢(ピョンテク)工場でも増設を続ける。18年に着工した第2製造棟を建設中で、来春以降に製造装置を発注する見通しだ。

とはいえ、ヒタヒタと追いついてくる中国という相手がいるので、従来のような市況の波の見通しによる増産一本やりでは躓きかねない状態です。
先手投資といっても中国での新工場投資中心のようですから、中国による技術移転の標的になっているでしょうから将来的には骨抜きにされるリスクが高まります。
サムスンが中国におけるスマートフォンの生産を停止

サムスンが中国におけるスマートフォンの生産を停止
2019年10月03日 by Brian Heater
ロイターが確認しているところによると、Samsung(サムスン)は米国時間10月2日、中国におけるハンドセットの生産を停止したという。このところ、世界最大のスマートフォン市場で同社の苦戦が続いたことの結果だ。
・・・最近のサムスンはインドやベトナムなど、ほかの国に目を向けて、生産コストを中国におけるよりも下げようとしている。スマートフォンの販売は中国でも続けているが、製造はもっと安い場所に移したいのだ。

日本の部品業界から見たサムスンの実力https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/special/00055/

サムスンのマーケティングを支援したことがあるコンサル会社、コムセルの飯塚幹雄社長は「家電で中国勢にシェアを奪われ、日本メーカーが韓国勢に駆逐されたのと同じ道をたどっている」とみる。サムスンを知る関係者が向ける視線はかつてないほど厳しい。
けん引役はファーウェイ
国内の部品・素材大手にとってサムスン、アップルの「2強」は、最優先顧客と呼べる存在だった。端末の競争力を引き上げるため、最先端の日本製部材を「誰よりも早く採用してきた」(前出の国内メーカー幹部)からだ。
しかし現在、国内部品・素材大手がサムスンに代わる大口顧客として見据えるのがファーウェイだ。スマホ開発では心臓部であるCPU(中央演算処理装置)の設計を自ら手掛け、5Gでは基地局を含めて他社の追随を許さない。

サムスンやSKなど韓国系がこの先半導体専業でしか生き残れないとした場合、10年先にも10年先にもトップグループでいられるか?
中国の製造強国25とかの実現性は低いようですが、それでも自国生産比率アップが急激です。
韓国の産業業界は韓国より20年遅れで近代工業設備導入が始まった中国に各種業態で追い上げられ、石化事業の場合湾岸産油国やサウジ等原油生産国が自国にプラント設置して自国生産を始めると追い上げられている構図に韓国は対応できない状態が見えます。
サウジ等産油国自身の石化事業育成が続いている結果、ケミカル業界が石化事業に頼ったままでは、生産地との競争に負けていく構造不況業種化しているのではないでしょうか?
半導体産業は、中進国の罠を掻い潜れた例外ですが、(これは日米半導体協定によって日本が輸出規制を受けた結果です)化学業界の動きを見ると日本の先端技術工場を国内導入して、低賃金で日本を追い上げた成功物語・・・プラントさえできればどこの国でも生産できる環境に韓国が頼っていたような印象です。
中国の低賃金・人海戦術に頼る縫製工場等が早期にバングラデシュに移転し、さらに近代的生産工場もベトナム等に転出する状態に入っていますが、中国の競争力が行き詰まってさらなる高度化の必要に迫られているのと同じ状況になっているようです。
日本が汎用品から撤退していく過程で、比喩的に言えば日本が最新設備として100億円かけた設備を廃棄するときに5〜10億円で中古設備を購入するなどして設備投資コストを超安値に抑えて韓国や中国がその穴埋め生産してきたので、見かけ上急速にGDP大躍進しますが、この方法だと次の新興国の台頭に負けていきます。
大躍進による資金をバックに最先端設備導入→2〜3流品から1流品生産へとなりますが例えば日米から設備や素材の大部分を仕入れる場合、設備コストが先進国とほぼ同じになります。
競争条件としては、人件費と消費地に近いかどうかが重要となり、韓国勢の中国民族企業との競争では自国内消費が弱く中国市場に頼る分と人件費の違いから中国現地生産を増やしていくしかなくなっていくでしょう。
同じように製造装置や部材が手に入れば地元の強みで韓国系は押されていく流れでしたが、米中対決激化で思わぬ応援というか、ファーウエイをはじめととする中国民族企業への高度部材や技術移転がストップになりましたので、競合する韓国系はチャンスと見ていたでしょう。
ところが韓国内の反日運動煽りすぎで、日本のホワイト国除外決定となりサムスンやSKに対する高度部材供給がストップする可能性が出てきました。
中国は日本の対韓輸出規制強化は大喜びでしょうから、日韓紛争激化・韓国の肩を持つことはあり得ません。

韓国・中進国の罠3(企業と国民の出国熱1)

外資を含めた韓国内自動車工場全体の今年9ヶ月の販売数の動きです。
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20191001005100882

韓国完成車5社の9月販売 2.2%減少=1~9月も4%減
1月から9月までの累計では5社の世界販売台数が581万623台で前年同期比4.0%減少した。メーカー別でも5社全てが減少し、現代は3.9%減、起亜は1.5%減、韓国GMは9.5%減、ルノーサムスンは24.4%減、双竜2.4%減となった。代表的業種である自動車の韓国国内生産が減ってきました。
中国経済縮小の影響による減少か?というと以下の通り表題だけ見ておきますと、日本のメーカーの場合そうでもありません。
https://www.marklines.com/ja/statistics/flash_prod/productionfig_japan_2019
日本の乗用車メーカー8社、9月の自動車生産は3.1%増、輸出は2.6%増

韓国では企業の国外脱出が続いていますが、これは11月6日まで見てきたように米国や日本の大企業も早くから同様の動きでしたが、どう違うのでしょうか?
https://diamond.jp/articles/-/206617

韓国企業が自国から相次いで「海外脱出」している理由
真壁昭夫:法政大学大学院教授 2019.6.25 5:00
韓国企業の海外脱出が加速化
ここへきて、韓国企業の海外脱出が加速化している。
それを如実に示すデータが韓国政府から発表された。企画財政部の発表によると、今年1~3月期、韓国の企業は141億ドルの海外直接投資を行った。これは過去最高だ。産業別にみると製造業の割合が高い。
「国内脱出」を図る韓国企業
1~3月期、韓国経済の“成長のエンジン”というべき製造業の海外直接投資は、前年同期比で140%も増加した。
それは、輸出主導型の韓国経済が、大きな変化に直面していることを意味する。
韓国は資材などを海外から調達(輸入)し、それを国内で加工・生産し、完成品を輸出することで成長してきた。
こうした経済の運営は徐々に難しくなってきた。
その要因の1つには、中国が国家主導で半導体産業の育成などを進めたことがある。中国企業などの技術面でのキャッチアップに直面し、韓国企業は徐々に海外に進出した。その主な目的は、国内生産を海外に移管し、コストを低減することにある。
韓国経済の“地盤沈下”
韓国経済は、サムスン電子を筆頭とする財閥企業の業績に大きく依存している。財閥企業が海外進出を強化するのに従い、韓国の中小企業も生産拠点をベトナムなどに移している。
これまで国内経済を支えてきた産業の基盤が、そのまま海外に移管されているといえる。その分、国内の雇用機会は減少してしまう。
より高い付加価値を生み出す産業を育成できなければ、韓国国内における投資(民間企業による設備投資)も減少するはずだ。
韓国は目立ったイノベーションを発揮することができていない。韓国企業は、半導体市場では存在感を示してきた。ただ、それは完成品の需要に左右される。
自動車の分野で韓国企業は世界的なSUVブームに乗り遅れた。米国によるファーウェイへの制裁はサムスン電子にとってはチャンスだが、開発を急ぎすぎたこともあり折り畳み型スマホの発売が遅れている。加えて、海外進出を進めたにもかかわらず、同社の売り上げは減少している。
自動車や造船業界では、文政権の支持基盤である労働組合がストライキを起こし経営再建がままならない。韓国では財閥企業創業家や労組といった一握りの既得権益層に富が集中してしまっている。この中で、より効率的な資源の再配分を目指すことは難しい。韓国経済は長期低迷に向かっているように見える。

国内高度化脱皮努力するより低賃金国へ生産移管しか打開策がないのでは将来性がないという点は、韓国ケミカル業界が大量生産方式から脱皮できていないと10月16日末尾に書いた私の思いつき意見と同じです。
https://japanese.joins.com/JArticle/254844?servcode=300§code=300

海外に「逃避」する企業…「脱韓国」投資が増加
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2019.06.26 0
「メード・イン・コリア」が魅力を失っている。企業の脱韓国ペースも加速している。
慢性的な韓国の高コスト構造、週52時間勤務制度、最低賃金引き上げなどコスト競争力の低下と革新成長を妨げる規制も企業の背中を海外に強く押す原因だ。
今年1-3月期の韓国大企業の海外直接投資(ODI)規模は102億ドルと過去最高となった。製造業の海外直接投資(57億9000万ドル)は前年同期比140.2%も増えた。一方、今年1-3月期の外国人直接投資(FDI)は前年同期比35.7%(申告基準)も減少した。

サムスンなど大手が国外移転あるいは進出すると関連業界もベトナム等へついていきますが、雇用はそのままついていけないので、人の方は国内に居残って失業に苦しむか、個々人の能力に応じて国外脱出を図るしかないのでしょう。
この先駆現象が雁パパの出現だったでしょう。

中韓・・中進国の罠9(マンション価格高止まり)

大分横道にズレましたが、中韓のバブル・・マンション高値相場に戻ります。
17日頃から連載して来たように、賃金相場が韓国では日本の7割程度・・実質では5割以下しかないのに、日本の平均的サラリーマンですら買えない価格である6000万円のマンションが韓国では平均価格になっていることの不思議さです。
元々中国人と違って、韓国人は投機性が低い国民性です。
中国人のように転売目的で2戸め3戸めを買い進めて価格高騰したのではありません。
実質日本の何分の1の賃金で平均価格6000万平均まで買えたかですが、これはローンの仕組みによるようです。
12日に紹介したとおり、韓国のローンでは金利だけ払えば良いと言う不思議な制度らしい点が、(上記記事では「満期が集中している2019年には元金をも払わないといけないので・・」と書いていることから見ると当初の一定期間・5~6年間だけ元金を払わないで良い据え置き型か?)日本よりも巨額ローン設定を可能にしている原因かも知れません。
元金を払わないで金利だけ払えば済むのと元利均等払いとを比較すれば、金利だけ払えば良いならば日本の何倍もの高額物件でも、毎月の支払いが日本より少なくて済む可能性があります。
まして低金利化が進むとなおさらです。
5%の金利のときと1%の金利とでは、物件価格5倍まで買っても毎月の支払額は同じです。
金利が下がった分だけ物件価格が高くても買える=売れるし、高価格を維持出来る仕組みです。
これが元金も平行して払う仕組みですと金利が半分になっても(元金部分の支払が同じですから)支払額が半分になりません
金利がマンション相場の底値維持に大きな役割を果たしていることが分ります。
逆に言えば金利が1%から2%になると毎月のローン支払が2倍になり、支払い能力ギリギリで買った人は支払不能になってしまいます。
中国のマンションバブルに関して米国金利アップに合わせて中国も金利を上げるしかなくなったのですが、金利アップと同時にマネーサプライを潤沢にして景気の下支えを図っても金利動向がマンション相場にモロに影響すると書いた所以です。
韓国のマンション相場を見ると日本の価値観では危機ライン突破状態ですが、金利だけ支払えば良いのであれば、金利さえ上がらなければ何とか維持していけます。
米国金利上げによって中国だけではなく韓国も上げざるを得ない状態ですから、それで困る人が増えて来たところです。
ただ、永久に金利だけ払えば良いのではなく、一定期間据え置きと言うだけらしいですから、この据え置き期間満了と今回の金利上げと同時になって来たようです。
この間にかなりの給与アップしていないと据え置き期間満了が来ると大変になります。
ところが韓国ではこの数年成長率が2〜3%前後で低迷している・リーマンショック前の5%前後の成長ではなくなってしまっているのです。
世界ネタ帳からの引用です。
10   11 12  13   14  15  16  17
6.50   3.68  2.29  2.90   3.34   2.79  2.83    2.68
単位: %(17年は予測)
個々の事情による凸凹があるとしても成長率に比例して収入が増えるものですから、5年前後の据え置き期間中に大幅に賃金が上がる前提でいたのに成長率が鈍化したところで金利が上がり元金部分の支払が増えると困ってしまいます。
ただ、直ぐに損切り→売却に動かない=暴落しないのが投機慣れした中国との違い・・その前に高利貸しが繁盛する社会特性があります。
中国では古代から投機が好きですし、韓国では、高利貸しが得意、借りるのも好きと言う民族性の違いがあります。
そこで無理して買ったもののローンを払えない人が増えて来た・・高利金融依存・海外売春攻勢(→慰安婦攻勢もこの一種?)となって来たのですが、これでは庶民の不満が発火点になるのは当然です。
韓国では、これまで何回も借金棒引き政策・・一種の徳政令・・幸福基金と称するものが行われて来ましたが、文新大統領も選挙公約にこれを掲げていたので、この発令を検討しているようなニュースが出ていました。
http://www.sankei.com/west/news/170528/wst1705280029-n1.html
2017.5.28 15:00
「韓国でまもなく“徳政令”…借金帳消しは経済崩壊の序曲か
韓国で新大統領・文在寅(ムン・ジェイン)氏の選挙公約が実現に向け動き出した。そのひとつが借金棒引きの“徳政令” だ。100万円以下の借金を10年以上借り続ける人々を対象に、その借金と利息の全額を帳消しにするというもの。対象は43万7000人とされ、実現は簡単ではないが、実現した後にもいばらの道が待っていそうだ。(岡田敏彦)」
「李明博(イ・ミョンバク)元大統領と朴槿恵(パク・クネ)前大統領の政権下で計画、実施されたもので、国民約280万人の債権を買い入れ、うち57万人の約6兆3000億ウォン(約6300億円)の元金と利子を減免するなど債務を調整する役割を担ってきた。」
「・・文氏は、この救済策を上回る「全額帳消し」を公約として大統領選に当選した。10年以上にわたって1000万ウォン(100万円)以下の借金を抱え、返済のままならない人々の借金を全額、国が肩代わりするというプランだ。」
借金帳消し政策が慣例化している結果、大統領就任ごとにこれを期待する国民が多く・・就任後これを無視出来ない・・仕方なしに繰り返されて来た(幸福基金と言う名称は李明博大統領のトキからです)様子です。
元々約束を守る気持ちの乏しい国民性・・騒げば何となると言う前近代的精神状態で来たのですが、だからこそヤクザによる厳しい取り立てしかない風土→国外売春出稼ぎに走るしかない土壌ですが、この繰り返しでは、自発的に約束を守る気持ちがいつまでたっても育たないでしょう。
ここまで中韓の行き詰まりを書いて来ましたが、だからと言ってこう言う状態をバカにしているのは危険です。
・・この危機感が反日行動に向かう原動力になったように、今度こそ新機軸を打ち出すバネになることもあり得るので日本は要警戒です。
抜本的構造改革を怠って不満のはけ口・反日運動されるのは日本人にとって腹が立つかも知れませんが、本筋を外している限り日本に追いつくのがその分遅くなるので、長期的には日本にとって逆に有利です。
さすがの韓国も反日感情を煽っているだけではどうにもならないので、韓進海運破綻以来国費を投じて応援に動き出したようです。
国費投入をバックに価格攻勢などに動き出したといわれていますので、バカに出来ません・・中国が国有企業に追い貸しを続けては鉄鋼ダンピング輸出をさせているのと同じような・中国のマネでしょうか?波乱要因になって来ました。
北朝鮮崩壊など近隣で大混乱が起きると難民が押し寄せる損害が懸念されますが、経済分野も苦し紛れに何をするか分らない・・国が近くにあると混乱の元ですから要注意です。
ダンピングだけなら(技術アップに結びつかないので)大したことはないでしょうが、国を挙げて技術アップに正面から取り組むようになると本当の競争相手になるリスクが出て来ます。
慰安婦や根拠のない陰口を言う程度では、韓国の国力アップにはなりませんが、マトモに技術アップに取り組むようになる方が日本にとっては手強いことになります。

韓国マンション相場(最低賃金比較)

韓国の場合、周知のとおり財閥とその他との格差が圧倒的ですから、金融資産を単純に人口で割る平均値では、一般大衆の平均値を表していません。
このようにしてみると、韓国マンション平均価格が6000万円になったと言うニュースの重み・・平均値と言うことは普通の人が買える価格であるべきですが、日本的感覚・・金融慣行を前提にすれば、普通の人が買える訳がない価格になっている状態です。
この機会に日韓の最低賃金も比較しておきましょう。
日本の平成28年の最低賃金はhttp://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/
によると東京圏で約900円台近辺で全国平均823円です。http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2015/0723/shiryo_03.pdf
内閣府によれば、
○ 最低賃金程度の時給で働く労働者は300~500万人程度(*)
。最低賃金を引き上げる場合、最低賃金程度の時給で働く労働者の所得を引き上げるとともに、働者全体の賃金の底上げにも効果 。
(*)最低賃金+20円以下の時給で働く労働者は340万人程度、最低賃金+40円以下の時給で働く労働者は510万人程度(2014年度推計)
他方、韓国では、http://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2016/11/korea_01.htm独立行政法人労働政策研究・研修機構l2015年のデータによれば、
「最低賃金(時間当たり5580ウォン)未満で働く労働者は222万人に上り、全労働者の11.5%を占める」
公式最低賃金比で言えば日本900弱対558です。
最低賃金未満で働く人が11、5%もあると言うのでは、最低賃金比で最底辺労働者の平均水準の比較をすることが出来ませんが、最低賃金比で見ても900対558の比率になります。
違法行為の摘発は難しいにも関わらず11、5%も違法賃金があると言うことは、実際にはその何倍もあると見て良いでしょう・・。
韓国では実際には最低賃金を守っていないし、日本の300〜500マンの数字は、最低賃金+40円以下で働く人の数字ですから、日韓の実質的最底辺労働者の収入格差はもっとあると見るべきです。
咲いて賃金以下で働いている数字が11、5%もあると言うことは、外資や大手は最低賃金を守るしかないが、中小はお目こぼしの社会・・中国が汚職処罰や環境規制は先進国並みと威張っても厳しく取り締まって外資を不利にしているだけですから、北京の空を見れば結果が違うのと同じです。
どこの国でも現場裁量による幅があるのですが・明白な2重3重基準になる社会は法治国家とは言えない・・後進国と言うことでしょうか?
あるいは後進国は、民度レベル上無理な基準なのに形だけ先進国基準を導入するものの、現場では民度レベルで無理があるので、先ずは大手や外資だけ厳しくして中小零細はついて行けない実態に合わせてお目こぼしするしかないと言うことでしょう。
日本は古代に中国の都城概念を導入しながら、(商業都市国家が起源の中国と日本社会の成り立ちと違う面もあって)羅城「門」だけ作って城壁を作らずお茶を濁したのと同じです。
韓国では、最低賃金未満の雇用が11、5%もあると言うことは、同国の最低賃金制度は(日本との比較のために?)対外的格好付けのために、経済実態に合わない程高くした結果、経済実態がついて行けていないことを表しています。
法で決めた最低賃金以下でも働くしかない・・要は職場がないこと・・就職難に原因があります。
市場原理で決まって行くしかない賃金相場を法で決めるのは無理がある・・当たり前の結果です。
最低賃金以下ならば職場があると言うことは、市場原理をいじるのではなく、経済システムに問題があることを表しています。
安倍政権のように雇用を増やして需給バランスを改善して行き、結果的に賃金水準を上げて行くのが王道でしょう。
市場原理無視で大統領の命令一下「非正規を減らし賃金格差を縮小しろ」と言っても出来る訳がありません。
韓国の場合、大手財閥が利益を全部取ってしまい、下請けが食うや食わずの経済構造とすれば・・構造を改造をしないで末端の値決めだけ強制しても無理があるでしょう。
韓国経済が対外的に貿易収支黒字で成り立っているのに、国民には最低賃金を払えない・払うと中小企業が成り立たないと言うことは、いわゆる出血輸出の構造です。
サムスンや現代自動車等の財閥系大手も利益がなくて、下請けにこれ以上高い代金を払うと赤字になると言うならば分りますが・・。
下請け従業員が生活出来るようなマトモな賃金を払えないような原価割れ発注を繰り返しているのは、大手自身が下請けにきちんと生活出来るようにすると国際競争に負けると言うならば、国を挙げての出血輸出・ダンピング輸出の問題ですし、大手の利益取り分が大き過ぎて下請けに払う分が減っているならば、優越的地位利用の不公正取引の問題です。
日本と韓国では法制度が違うでしょうが、独禁政策は先進国では概ね共通・・似たような条文がある筈ですが、この活用がされていない・・回避されていることになります。
日本の独禁法を見ておきましょう。
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)(定義)第二条
(1)〜(8)省略
(9)この法律において「不公正な取引方法」とは、次の各号のいずれかに該当する行為をいう。
一〜四省略
五 自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して、正常な商慣習に照らして不当に、次のいずれかに該当する行為をすること。
イ 省略
ロ 不当な対価をもつて取引すること。
韓国歴代政権が財閥の横暴に切り込めない・・独禁法適用を回避して政府がやっているフリ・・パフォーマンスをするために?最低賃金だけ上げても末端では守る体力がない・・これが韓国民の悲惨な状況を拡大させている原因です。
今回当選した文大統領は下請けイジメをやめさせないで(そのままで)、非正規雇用をなくすと言う末端から強制して行く構えのようです。
しかし今でも中小零細企業は大企業による不採算発注の圧力で息も絶え絶えで経営者や家族労働の手取りを削り人件費を削るしかないのに、この構造を無視して「非正規を正規にしろ」と強制して解決出来るのでしょうか?
ある新機軸の商売が始まる多くの場合、既存規制が邪魔していることが多いので、政府がこの解禁で後押しする場合には、やりたい人が一杯いる場合に(民泊のように)その分野の新産業の活気が出ますが、産業界がやる気がないのに政府が特定新産業を推進しようとしてもうまく行きません。
「馬を水飲み場に連れて行けるが水をのませることは出来ない」と言われる所以です。

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