原発事故6

原発問題は、 March 21, 2011「原発事故と今後の見通し1」に書いたように膨大な海水使用の咎めが今頃明るみに出てきました。
素人目に見てもあれだけ毎日膨大な海水の注入を続ければ,その水はどこに行ったのだろうと疑問に思うのは当たり前でしょう。
この水かどうか知りませんが、(使用済み燃料棒のプールからではないようですが)地下に高濃度汚染された水が何千トンと溜まっていて、その排水に難儀していて作業が前に進めないようです。
今も緊急事態中であることは同じであるとしても、一種のこう着状態になっているこの段階で、March 23, 2011「原発事故と今後の見通し3」で少し書いた、今回の対処方法の是非をこの段階で検証し、今後の対処法の選択に生かしてくべきです。
どうせ廃炉にするしかないならば,始めっからコンクリで固めた方が簡単でしかも放射能がこれほどまで漏れなかったのではないかの疑問が尽きませんが、何故政府は安易な先送り方法を選んでしまったのでしょうか?
きちんとしたシュミレーションをしてどちらがリスクが少ないかの検討をしたのでしょうか?
この種の検討は事故が起きてから行う暇がないのは当然としても、事故前に冷却装置が壊れた場合にどうなるか・・これは簡単に分っていた筈です。
冷却しないと大変なことになるから厳重な冷却装置がついている以上は、冷却装置が壊れたままで放置すれば重大事故発生になることは誰でも知っていた筈です。
そうとすれば、(津波によるかどうかは想定外としても結果として)冷却装置が止まって短期に回復不能の場合・・・何時間何分で燃料棒の露出が始まり、その何分後に溶融が起きるか、どの段階でどうなるなどの順次のシュミレーションも当然出来ていた筈です。
冷却装置停止後危機状態がどの段階に至るまでに外部から持ち込んだ水の注入を始められるか、注入でどの程度まで冷やせるか、その外部注水は何時まで続けられるか、その間冷却装置の復旧が可能かの見通し・・多段階のシュミレーションがあってのことになります。
この見通し・・・過去に何種類か想定されていた危機管理方法を無視して地震直後の思い付きで無謀な竹槍戦法に走ったとすれば問題です。
事前に何万時間も掛けて研究し尽くしてしかも世界中の英知を結集しても、外から水を掛けたり圧力装置に直接水を注入するような方法では冷却装置に代わる能力を発揮出来ない・・無理だと分っていて、即時廃炉すれば間に合うとするシュミレーションしかなかったとすればどうでしょう。
これを日本の学者や東電関係者だけで、災害発生直後の緊急事態下(超短時間)で世界中のプロが誰も思いつかなかったような新たな超優れた対処方法を考案出来た筈がないのです。
せいぜい、事故直後に、その抜本的対処方法を取るまでのつなぎとして現場で「何とかします」と言ったかもしれませんが、「当面水をかける方法」で始めたことをいつまでも何故続けたかの疑問です。
(家庭の火事で言えば消防車が来るまで自力で消火に努める程度のことです)
その間にアメリカ式の即時ホーサン投入による急速冷却→コンクリ固め→事故処理完了の方法を取るべきだったのに、いつの間にか応急処置のままでずるずると今日まで何故やって来たのかの疑問です。
事前にシュミレーションされていた正攻法でやっていれば、放射能漏れの被害がなくてすんだ筈です。
この正攻法の手順自体実際にはどのくらい難しいのか、どういうリスクがあるのかの報道すらないので比較が出来ない・・結局情報開示が不十分が原因なために国内で公正な議論が出来ていません。
政府や東電がしないのは当然としても、マスコミがアメリカの提案していたやり方と比較する報道を何故しないか、あるいは原発関係者が個人のブログにでも何故比較検証する意見を書かないのか不思議です。
勿論今政府のやり方を批判して議論している暇がないのは分りますが、それにしても言論統制でもあるのかのごとく、個人的意見すら一つも出ないのが不思議です。
この議論があれば、今からでも現在のやり方ではこの先どの段階で問題が起きる可能性がある・・その時の対処法をどうするか、この段階からアメリカやフランスの知恵を借りるしかないのではないかなど多様な議論が可能になって、方針変更の可能性についてもオープンな議論の対象になる筈です。
現在はどういうやり方で、この先どうしたいのかまるで方向性スラ一般には見えない状態で(議論を封殺している独裁国家のような状態ですが、)これでは困ります。
国家存亡の危機とも言える状況に追い込まれているのに、東電の密室で決める方法論だけに委ねておいて良いのか・・もっと多くの英知を集めるべきではないでしょうか?
東電もそれなりに外部の学者の協力を得ているのでしょうが、東電好みの学者ばかりではほんとの知恵が出ないのではないでしょうか。
事故発生当初科学的思考を拒絶して、「ともかく頑張ります」と言う無責任な一言を信用して、一旦竹槍戦法を選んだ以上は後は広範な科学的議論を排除して(内部の学者と)根性でやるしかないと言う方針では国民が迷惑です。

原発事故5と放射能1

昨日土曜日で少し時間がありましたので,原発問題を少し書いておきます。
昨日のニュースでは、同日2号機の電気がついてこれで1、2、3号機全部の制御室に電気・照明がつき、3、4号機を除いて真水注入に切り替わったとのことです。
今後は計器類の確認が出来るようになって行き暗闇の作業ではなくなるので大分作業がスムースになります。
明るいニュースの一方で、地下にたまった水の放射性物質で作業員が1昨日被曝した事故がありました。
この中に8日で半減する筈のヨウ素131があったことから、使用すみ燃料貯蔵プールの水ではなく原子炉自体から、放射性物質が流れ出ている・・格納容器自体かその付け根あるいは配管の破損等が心配されるようになりました。
配管破損よりは,格納容器自体・・付け根の破損の場合,高濃度汚染のために容易に近づく方法がなくて,この改修作業が可能かどうかの問題になりそうです。
(機器が作動し中が見えてくると,次々と壊れた部位が明らかになって行くでしょうが・・・)
この先一つ乗り超えれば次の難問出現繰り返しでしょうが、我が国危急存亡の危機ですので,関係者各位の死力を尽くしての努力が最後まで貫徹出来ることを祈っているしかありません。
自主退去の勧告がついに30キロ圏内の居住者にも出ました。
福島県の数値が何故か公表されなかったので事実としての確認は出来ませんが,(ぱらぱらと出る報道によれば)この圏内に居住を続けるのは危険な数値のようですから,退避するのは当然のことですがまだ自主的と言う曖昧な表現です。
ただし,福島県内の各地の放射能数値が官邸のホームページで27日10時に公表されましたのでこの点についてはこの続き・・明日に書きます。
ところで、どのくらいの放射能まで浴びても危険がないかの基準が曖昧な感じで,その都度恣意的に変更される印象ですので,国民は混乱し、不安感を抱いているのではないでしょうか。
分らないから,僅か1日だけ放射性ヨウ素が出たり,野菜に付着しているだけで出荷資制限したりミネラルウオーターを買いに走ったりして慌てふためくのです。
そもそも原爆投下まで知らなかった・・核分裂による自然界にない質量(放射性同位元素)の原子登場で恐怖心ばかりが強くて、具体的な効果が分っていないことが基準を曖昧にし,恐怖心を煽っている根源でしょう。
広島原爆投下直後には,広島には草も生えないとか今後何十年も人も動物も住めないと言われていましたが、実際にはその後何十万の人が住み,爆心地の平和公園には普通に樹木が生長しています。
他の土地に比べて特に平均寿命が低いとも聞きません。
そこでネットで平均寿命を調べてみると広島市は女性が全国1位の長寿市であることが分りました。
(平成23年3月27日広島市ホームページ・平成17年都道府県別生命表による)
原爆による放射能の影響を研究する放影研が広島にあって,ここで色々研究しているようですが,その基本は(科学的因果関係不明なために)疫学調査中心の印象です。
江戸末期に写真機が持ち込まれた時には写真を撮られると魂が抜かれると言うデマが流行していたようですし、電子レンジが出た時にはレンジの前に行くと危険と言われ、パソコンが出た時にも,妊婦には危険と言われていましたが,実際にこれでどうなったと言う具体的な被害事実を聞いたことがありません。
人類はいつも新しい製品や科学に・あるいは思想に対して盲目的反発心を抱いていて、先ずは危険(思想)と言うレッテルを貼りたがるものです。
作業員等の一時的大量被曝を例外として,長期的放射能被曝による効果としてははっきりしているのはヨウ素131の害・・甲状腺がんだけです。
それ以外のセシューム等は「分らないから大変だ」と言う変な論法が中心で、放射能が原因かどうかは具体的に分らないと言いながら、科学的基準を作っているのですから背理です。
妊婦が被曝すると奇形児が生まれる宣伝すると如何にも恐ろしい感じで迫力がありますが,具体的にどうなってるのかの研究発表を聞きません。
有名なチェルノブイリでも小児・甲状腺がんが喧伝されているばかりですが,奇形児に関してもしも疫学調査上顕著な差があればもっとマスコミが報道している筈です。
奇形児だけ調査しないことはあり得ませんから・・・。
結局脅し文句に使っているだけで、そんなことは全くないと言うことでしょう。
むしろ、各種公害病となる多種多様な原因物質の方がずっと因果関係がはっきりしていますが,硫黄酸化物その他がほんの少し空気中にあるくらい誰も問題にしません。
奇形児が生まれると言う宣伝は、相手を悪く言うために子供まで食っているとか極端な表現と同じ種類のデマの一種でしょう。
奇形児が生まれると言えば誰もが恐ろしがる・・しかも証明不能なのを逆手に取った脅迫方法に過ぎないことになります。
多くの新しい機器類に関しては,女性に危機感(感性に訴えるだけであって根拠不要です)を植え付ければ、反対派が勝つので、殆どの場合奇形児に言及するパターンです。
多くの女性はそういわれれば,根拠があろうとなかろうと触らぬ神に祟りなしの行動様式になりますので,それだけで抑制効果としては甚大な社会的威力を発揮します。
短期一時的な高濃度放射能汚染の場合はやけどしますが、これは普通の焚き火でも同じで緩く長くあたれば暖かいだけですが、近づきすぎればやけどするのとそんなに違いはありません。
塩砂糖、チョコレート)でも一度に1〜2kgも胃袋に入れば大変ですが、微量あるいは適度な量ずつ摂取すれば栄養補給等のメリットがあります。
勿論水だって一度に一定量以上摂取すれば危険です。
長期的緩やかな被曝によって,具体的にどのような病気になるのか長期微量摂取の害は,理論としてはまるで分っていないし、疫学的にすら分っているのはヨウ素が幼児の甲状腺がんを誘発確率が高いと言うくらいでしありません。
暴飲暴食しても,数日節制したり徹夜しても翌日よく寝れば回復するように人間には回復力もありますが,これを越えて連日深夜まで働くとか連日の暴飲暴食を続けると回復力を越えて病気になるのが普通です。
自然治癒力を超える高濃度汚染の害は明らかですから、一時的高濃度汚染の害がないとは思ってないのですが、ヨウ素以外の放射性物質を少量ずつ摂取し続けた場合、どういう病気を誘発するのかが実際にはまるで分っていません。
分っていないのにどこまであびると危険かの規準を作る事自体が非論理的ですから、基準があってないようなものになって、風評被害の元になるのです。
怖いものだから大事を取って厳しく制限しておこうと言うだけのことですから、科学ではなく政治的判断で決めるしかなくなって,結果的に不信感を助長します。
絶壁の近くは危険だからと10メートルまで禁止したり,大事を取って100m先まで駄目だと言うような違いです。
これを今後は50メートル付近まで、さらには30mまで許可したら危険かの議論に似ていますが,元々崖崩れの危険がどのくらいかの基準がないとすれば、意味のない議論です。
科学的効果不明にも拘らず,恐怖心を煽った結果非合理な恐怖心に基づいて「触らぬ神に祟りなし」と言うだけですから,その基準は当該国民の非合理な恐怖感の強さにに比例して政治的に決めるべき基準です。
これを科学者と言うものが出て来て,審議会などで如何にも科学的であるかのように装って議論して決めて来たので、今になって政治的にいくらでも好きなように基準を緩める方向へ変更するとおかしな感じがするのです。

原発事故と今後の見通し4(情報開示1)

原発事故が起きてしまった以上は当面挙国一致で頑張るしかないとは言え、小出しの希望的な政府発表ばかりが続いているのに反して実態は悪化の一途です。
既に農産物に高濃度の放射能汚染が次々と明るみに出,しかも原発から40キロ圏の大槌町では自然界の1630倍ものセシュームが土壌から検出され,東京では水道水からヨウ素が出たと言います。
土壌汚染が長引き、広がれば半永久的に農作物は作れなくなる土地になってしまうリスクがあります。
一時的な汚染なのか,これからも継続的に汚染が広がり続けるのかが分らず不気味な状態です。
この先、最悪の事態になってもっと広範囲に土壌汚染が広がり,しかも継続的になると栃木、群馬方面の土壌・・水源地から出てくる利根川水系の水道水は,半永久的に飲めなくなった場合,東京圏は壊滅です。
膨大な海水の連日放水_・・垂れ流しが続いている海域の汚染は当然の筈ですから,既に周辺海域の水産物は測定さえすればほぼ壊滅ではないでしょうか?
国内データを秘匿していても海外では日本海域の魚介類の輸入禁止に動いています。
消防等による大規模な放水体制の続行にも拘らず毎日のようなあちこちの原発何号機から黒煙あるいは焦げで茶色の煙が立ち上ったりしています。
この煙が自然に収まったりしているのも不思議ですが,さしあたり順次電源復興が緒につき始めている面もあり,他方で上記のような悪い結果がいろいろで出て来てるので,今の状態が良い方に向かっているのか悪い方に向かっているかすら分りません。
国民が安心出来るようにするには,「冷静な対応」を呼び掛けるだけではなく,きめ細かな情報公開が必要ですが,ことが重大すぎたからか、当初から政府の歯切れが悪い・・あえて小出しにしている傾向があって、全体像が見えにくいことが残念です。
アメリカの提案がどのようなものであったのか・・これが外交機密とは思えませんが,どうして公開しないのでしょうか?
全体像をどうしようとしているのか明らかではなく,何の見通しもなく出たとこ勝負で最善を尽くしているような印象ですから、海外の立場では危険きわまりないと言う印象になっているのでしょう。
ドイツその他の西洋諸国では大使館さえ大阪へ避難したりしています。
これを過剰避難と言うべきか否かですが、日本政府の情報公開不足が国際的な不信感を助長していることは確かでしょう。
情報公開とは政府の都合の良い説明のことではなく,原発周辺に多数設置した機器のデータそのものの具体的な数値を淡々とネットで手軽に(自動的に)入手出来るように公開するべきです。
更に政府が採用している手順を説明し、これを実行すればどうなる予定か,その予定が不確定で5種類あったとしたらそれぞれの結果予測としてAの場合にはこう対応するBの場合にはこう対応するCの場合には・・・と説明して、専門家の批判を仰ぐべきです。
公開されたきめ細かな数値や、していることの正確な説明さえあれば,それを基に専門家による多様な解説や予測が可能です。
政府の予測・説明は、そのデータ解析による解説の一つでしかない立場に戻すべきです。
何kmまでの退避命令を出すべきかは政治判断ですが、その他の客観的事実については官房長官が連日数回も記者会見する必要がない筈です。
日本中が政府発表に一喜一憂する現状自体が、(しかも不都合なことが起きた結果の釈明中心ではげんなりします)客観的数値の未公表・秘匿体質・・政府によるデータ独占の弊害を証明しています。
官房長官が頑張っていることは評価しますが、現状公開は事務的に先ずやるべきことであって,事務発表すべきことを政治家に委ねているのは,政治判断でゆがめる・潤色を意味していますから,本来筋違いの感じです。
データ公開が不十分な結果,当事者の国民が正確な実情を知ることが出来ず,実害を大して受けない海外の人の方が正確な情報が入手出来て詳しいのでは、自由な世論を形成出来ない後進国・独裁国家並みです。
これでは実態の分らない海外の人が日本から逃げ出し,日本製品の輸入制限に動くのは当然です。

原発事故と今後の見通し3

日本の場合は、地球の自転の関係で大陸からの西風(冬は北西、夏は南西)が中心で、たまに台風が発生すると例外的に南から吹き付けるくらいが基本的な風向きですから、(真西風の場合100%太平洋に流れます)真北や北東の風は滅多にないので、(あっても1日中強い風が吹く訳でもありません)福島県の西や南方面は基本的には被害があまりない印象ですし、関東方面に来る確率が低いことが分ります。
北風が年に10数回あるいは北東の風が年に10数回あったくらいでは、(寒い北風の強い日には風にさらされて長い時間外で立っている人は少ないでしょう)「3レム」単位の差では何の問題もないことが明らかです。
ところでいつか頑張りきれない時・・破綻が来るとしても無駄な抵抗だからと言って即時廃炉した場合と日本政府判断のように出来るだけ引き延ばすことの是非をここで考えてみます。
何時の時点で破綻がきても結果としての被害総額が同じ場合を想定すると,地震直後の大混乱中にイキナリ80kmまで避難を命じると市民生活に及ぼす影響が甚大でしかも大混乱するでしょうから、先ずは3km〜10kmから初めて徐々に拡大して30kmまでの屋内退避・避難命令にして様子を見たのは妥当な政治判断のような気がします。
ましてアメリカ大使館の勧告でも,これが仮に1年間の総量であるとするならば,Ⅰ〜2ヶ月後にゆっくり避難しても間に合います。
そもそも長引いて結局駄目になった場合と即時廃炉の場合との被害差がもしも同じならば国民が徐々に覚悟をして行くべき時間があった方が良いに決まっています。
地震発生直後でインフラの復旧出来ない即時(たとえば3日以内に)に80kmまでの緊急避難命令を出した場合と、3km単位から徐々に拡大して行った政府判断は・・仮に今後最悪に近づいた時点で今の30kmから80kmに追加命令を出すのと比較すれば、国民の混乱・被害が最小限に出来た功績が大きいと思われます。
12日経過した今でさえアメリカ大使館の想定しているような大規模な放射能汚染が始まっていないのですが、今になるとかなり時間が経過しているので周辺のインフラも復旧していて避難するにも(道路が使えるし)即時避難に比べれば比較にならないほど楽です。
そのうえ、震災時の第一次避難者がイキナリ遠くへ避難するのは大変ですので、普通は徒歩圏内プラスアルファが・・地元小学校の体育館等が原則です。
時間の経過で車移動が可能になって新潟や埼玉等関東等への遠距離再避難が続いていますので、域内人口が徐々に減少していることと、30km超付近の人も怖いので徐々に自主的避難をし始めているので、時間稼ぎをしているうちに心その他の準備が整いしかも緊急避難対象者が減ってくるメリットが大きいと思われます。
日米の見解に差があって事態が複雑になっているのですが、アメリカの姿勢は、電力系統が駄目になった時点で、一定時間内に廃炉処分をして行くべきだと言う割り切った考えだったのでしょうし、日本は出来るだけ頑張ってみたいと言う違いのようです。
アメリカに言わせれば、同型の機種が世界にゴマンとあって、・・シュミレーションがゴマンと出来上がっているので、こうなったら一刻も早く手仕舞いすれば被害が少なくて済むと言うことでしょうし、日本の場合、対アメリカ戦で負けるのが分っていても原爆が落ちるまで竹槍戦法で最後まで戦ってきたことからも分るように最後まで死力を尽くしたい国民性です。
初期段階でアメリカが即時廃炉を前提に協力申し出があったことに対し、(詳しい内容は分りません)管政権がこれを断ったようですが、上記の政治判断の妥当性と最後まで頑張り抜きたいメンタリティから日本人としては管政権の判断を理解出来る人が多いでしょう。
メンタリテイは別として、この判断の妥当性の有無は、長引かせて廃炉するのと即時廃炉とで被害(放射能関連)の出方にどういう違いがあるか、あったかにかかってきます。
独裁国家でもないのに、報道管制でもあるかのように国内マスコミ報道では、アメリカの提案内容がまるで紹介されていないのが気がかりです。
どう言う提案があって、どういう理由で管政権が断ったと言う報道・・議論が普通あるべきですが、今回まるでないのが不自然と言えば不自然です。
よほど政権に不都合な真実があって公開討論されたくないからでしょうか?
ここ数日来、CNNやBBCのライヴ報道をネットで見ようとしたらいきなりノンエリアとなって繋がらなくなったとも言います。
これが長期化すると多くの人が気づき始めて問題になってくるでしょう。
まさか中国のように通信妨害を政府がしているとは思えませんが・・しているとしたら、この非常時が終わった時点で大変な議論になるべきでしょう・。
永久に通信妨害し続けられないので直ぐに露見する筈です。
どうしてマスコミがまるで報道しないのか、質問すらしないのかが疑問ですが、アメリカの提案では、急速冷却が出来る資材(ホーサン)と装置があって、それを利用すれば直ぐ冷却出来て、そこにチェルノブイリのようにコンクリ固めの作業にはいれたと言うものらしいです。
アメリカ方式の場合は建屋の爆発も起きないで終わったので、今のような放射能漏れ事態は起きようがなかったと言うことらしいのです。
もしもそうだとすれば、これをどういう根拠で管政権が即座に断って、海水で冷やす方針を取ったのか不明ですが、公開の議論が封じられているので、素人には不明です。
どうせ廃棄するしかないものなら簡略な方法の方がリスクが少ないのですが、管政権では廃棄しないで延命出来ると事態を誤って読んだから断ったとすれば、その根拠の合理性がこの後で問われるでしょう。
あるいはアメリカ方式の方が、被害が大きいと読んだのでしょうか?
仮に同じ被害と推定した場合、(アメリカ式の場合も同じく即時に大きな被害を出すとした場合、)避難を長引かせて各種準備した方が良いことになります。
ともかく結果が同じなら頑張れるところまでは頑張ってみようとする姿勢は、蒙古襲来当時に彼我の戦力差で勝ち目がないと分っていても頑張り、第二次世界大戦末期に最後まで竹槍戦法や特攻隊が頑張ったのと同じです。
先の大戦でも日本はもう駄目だと言って海外へ逃げた人がいなかったし、今回も日本を逃げ出す人はいないでしょう。
仮に最悪事態が起きた時の放射の被害が,アメリカ方式でも同じだったとしても、直ぐにコンクリで固めるのに比べて海水をじゃぶじゃぶと放水すると同じ量だけ海に流れていることになって、その海域の海が汚染される問題だけ被害が大きくなるとも言えますが、放水した海水の行方を詳しくは知りません
・・燃料プールに入った水は蒸発して行くだけで海に放流することがないのかもしれませんし・・。
今後周辺海水汚染が大問題になって来たときに,誰がこんな無茶な対応を決めたのだと言う議論が起きてくるでしょう。
もしも最初から急速冷却していれば大爆発が起きなかったとすれば,管政権の判断誤りが今回の大事故を引き起こしたことになる・・人災であったとしても、ここまで来た以上はともかく死力を尽くして頑張るしかないのは確かです。
責任問題はその後のこととして、当面はマスコミも黙っているのでしょうか?

原発事故と今後の見通し2

アメリカのニュースと言っても、結局は大変なことになると言うだけで、私の知りたい・・どうなればどの放射性物質がどれだけ出るなどの何種類かのシュミレーション・・具体性・データ化したシュミレーションがありません。(私が知らないだけです)
日本の学者は(直ぐには問題がないとか冷静にと言うだけで)一切発表しませんので,国民は,今後政府が何をしたら原子炉が今後どうなる(何が改善出来て何が改善出来ないのか失敗したらどうなるなど)のか,どうなったらどういう結果になるのかの何種類ものシュミレーションが知らされていないで,大変なことになるかも知れないと言うばかりなので、不安を抱いているのです。
在日アメリカ大使館の発表した避難ゾーンの同心円の図解を見ますと、現在出ている放射能ではなく、最悪の事態が生じたとした場合の避難命令のようです。
その想定でも半径20(32km)マイルで13レム、30マイルで11レム、40マイルで10レム、50マイルでも同じ10レムとなっていて、50マイルと20マイルの差が3レムです。
これをみると、半径80km(50マイル)まで避難を命じない日本政府の決断自体は裁量の範囲内のイメージです。
外国人滞在者・旅行者は身が軽いので、大事を取って80kmまで近づかないのが合理的ですが、居住している人にとっては生活・仕事を捨てての緊急避難は大変なことですから、その発令基準が違うのは当然です。
ちなみにレムを日本で使っているシーベルトの単位に置き換えると1レムは10ミリシーベルトですから、10レムは100ミリシーベルトのことになります。
3レムの差は30ミリシーベルト分、多く放射能を浴びると言うことです。
1時間当たり自然界に存在する放射能の数値が2.4マイクロシーベルト毎時(これを年間に直すと21024マイクロ)21ミリシーベルトになります。
これが健康に害のない範囲とすれば,3レム=30ミリシーベルトですから,これがもしも1時間当たりの数値とすれば,3レムだけで自然界の1、5倍の放射能を意味することになります。
自然界の何倍までが害のない範囲かがよく分りません。
ネットで見ると50ミリシーベルト毎時が一般人の退避基準として,日本の原子力委員会で定めているようです。
ただし、最近数値が出るたびに政府が基準を緩めて改定しているので,現在ネットで見られる基準自体、何時定めたものかによって信頼性が変わってきます。
この50ミリシーベルトの基準でも5レム=50ミリシーベルトの範囲以上は退避基準に該当します。
アメリカ大使館の図解では半径80kmで10レム=100ミリシーベルトと予想しているのですから、この基準で言えばもっと広範囲に避難する必要があることになります。
何故アメリカの方が緩い基準を利用してるのかが分りません。
同盟国日本への配慮と言うことで,公式には避難命令を出さないが,自分でこれを見て逃げなさいと言うことでしょうか?
結局はこの真偽はアメリカの予想数値通りに放射能が広がるのか、この予想数値が過大かの問題に行き着きます。
諸外国やアメリカ人の方ではアメリカの予想数値図の方が信用されているので,諸外国人の日本離れが進んで、成田空港へのり着陸させ嫌がる人が増えているのでしょう。
結局は近隣数値の正確且つ迅速な開示こそが不安心理を和らげることになると思いますが,政府の情報開示はむしろ疑心暗鬼を誘うような方向になっているのが問題です。
アメリカ大使館の発表図形とその影響の相関表を見ると・40レムから10レムまで同じ括りで血液(ブラッド)への影響(エフエクト)があるとなっていて、40レムと10レムの影響差がどのくらいあるのかさえ(少ない方が良いと言う直感的なイメージに留まり)具体的に分りません。
まして、その間の3レム差になると、どのような差が生じるのかがまるで分らない感じです。
元々基準値は・・例えば残留農薬や放射性物質の数値は一回でも取り込んだらそのような障害が起きる危険と言うのではなく、1年間取り続ける場合の数値ではないでしょうか。
正確な知識がなく恐縮ですが、現場で短時間に放射能を浴びる場合には最大限としてこれ以上は危険と言う基準が必要でしょうが、一般生活者相手の基準の考え方としては一定期間取り続ける場合か、一定期間内の累積総量のどちらかになっているはずです。
この基準がはっきりしないのです。
食品の場合1年間食べ続けた場合のことでしょうが、ホーレンソーだって,年間とは言うものの毎日ホーレンソーを1kグラム食べる人はいないので,4〜5日又は1週間に一回食べる計算で年間摂取量と言うのかもしれません。
(平均消費量を基準にしているので,そこに裁量の幅があり間接的です)
同じくシーベルトの場合、1年間浴び続けると言う意味か、例えば一日に5分間づつ毎日と言う意味か、あるいは10分ずつ1年間と言う意味かその基準(平均的行動基準をどこに取っているのか)が私には分っていません。
世界の自然界にある放射線量平均が2、4マイクロシーベルト毎時とすれば,毎時2、4前後であれば良いことになります。
(ただし、この基準も24時間被爆し続けていた場合だけなのか、家の中にいた場合や、車の中などはその何割に計算するのかなど詳しいことが分りません)
千葉の1時間ごとの放射線量が毎日ネットで公開されていますが、3月20日あたりまでは、0、033マイクロ前後で安定していましたが、21日から2倍くらいになり22日夕方にはついに単位が一つ上がって0、10〜0、11まで上がってきました。
これが毎日続いて行くのかと言うところですが,タマタマ北東の風の日だったことによるのか、あるいは報道されていないものの昨日特別な事態が原発で起きていたことによるのかが不明です。
ただ周辺のシーベルト数を見ると22日には、宮城等北側の県では,昨日までと違って、これまでの千葉などのように事故前の通常値に戻っているので,風向き次第であることが分ります。
日本では,年間を通じて原則として西風を基本として冬は北西夏は南西の風が普通ですので北東の風はむしろ例外です。
また一定量超えれば、短時間で危険ですがその二重の基準の使い分けがよく分っていません。
私自身消化不良ですが、その内こうした情報も具体的に出てくるようになるでしょう。
仮に24時間×365日の基準であるとすれば、半径30kmと80kmの差である3レムの差と言っても風向きが一定ではなくその日によって方向性がいろいろですし、一日中外にいる人は稀ですから、この「レム」で一日中・あるいは1年間浴び続ける人はいないことなります。
アメリカ大使館が在日米人に避難勧告している13レムとか10レムの基準自体が,1時間、一日、一ヶ月あるいは年間累積数値を言うのかさえ分りません。
よく見直してみたのですが時間当たりかどうかのその単位を書いていないので,一見大変な数値のようですが(センセーショナルです)これが1年間の累積数値の予測とすれば大したことではありません。
(もしも僅か1時間,1日や2日で浴びる数値であるとすれば、予め危険を避けるための避難基準としては危険すぎますから,多分1年間の累積数値でしょう。
仮に年間累積数とすれば、1時間当たりに直すと13レム=130ミリシーベルト÷365÷24=0、014840・・ミリシーベルト=14、84マイクロシーベルト毎時になります。
退避基準の50ミリシーベルトに達するには,140日かかります。
もしもアメリカ政府の意見通りの放射能汚染が即日生じているとしても,これだけの余裕があるのなら,前もってある程度心構えをさせておいてから、Ⅰ〜2ヶ月経過後の避難命令で十分な気がします。
安全だと嘘を言うのはルール違反ですが,客観的危険を公開して,ある程度危険が迫るまでは自主判断に委ね一定期間経過後に退避行動を勧告,更には命令と順を追って行っても(徒歩の退避者は滅多にないので)退避に要する数日くらいの被爆ではそれほどの危険はないことになります。

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