原発事故と今後の見通し2

アメリカのニュースと言っても、結局は大変なことになると言うだけで、私の知りたい・・どうなればどの放射性物質がどれだけ出るなどの何種類かのシュミレーション・・具体性・データ化したシュミレーションがありません。(私が知らないだけです)
日本の学者は(直ぐには問題がないとか冷静にと言うだけで)一切発表しませんので,国民は,今後政府が何をしたら原子炉が今後どうなる(何が改善出来て何が改善出来ないのか失敗したらどうなるなど)のか,どうなったらどういう結果になるのかの何種類ものシュミレーションが知らされていないで,大変なことになるかも知れないと言うばかりなので、不安を抱いているのです。
在日アメリカ大使館の発表した避難ゾーンの同心円の図解を見ますと、現在出ている放射能ではなく、最悪の事態が生じたとした場合の避難命令のようです。
その想定でも半径20(32km)マイルで13レム、30マイルで11レム、40マイルで10レム、50マイルでも同じ10レムとなっていて、50マイルと20マイルの差が3レムです。
これをみると、半径80km(50マイル)まで避難を命じない日本政府の決断自体は裁量の範囲内のイメージです。
外国人滞在者・旅行者は身が軽いので、大事を取って80kmまで近づかないのが合理的ですが、居住している人にとっては生活・仕事を捨てての緊急避難は大変なことですから、その発令基準が違うのは当然です。
ちなみにレムを日本で使っているシーベルトの単位に置き換えると1レムは10ミリシーベルトですから、10レムは100ミリシーベルトのことになります。
3レムの差は30ミリシーベルト分、多く放射能を浴びると言うことです。
1時間当たり自然界に存在する放射能の数値が2.4マイクロシーベルト毎時(これを年間に直すと21024マイクロ)21ミリシーベルトになります。
これが健康に害のない範囲とすれば,3レム=30ミリシーベルトですから,これがもしも1時間当たりの数値とすれば,3レムだけで自然界の1、5倍の放射能を意味することになります。
自然界の何倍までが害のない範囲かがよく分りません。
ネットで見ると50ミリシーベルト毎時が一般人の退避基準として,日本の原子力委員会で定めているようです。
ただし、最近数値が出るたびに政府が基準を緩めて改定しているので,現在ネットで見られる基準自体、何時定めたものかによって信頼性が変わってきます。
この50ミリシーベルトの基準でも5レム=50ミリシーベルトの範囲以上は退避基準に該当します。
アメリカ大使館の図解では半径80kmで10レム=100ミリシーベルトと予想しているのですから、この基準で言えばもっと広範囲に避難する必要があることになります。
何故アメリカの方が緩い基準を利用してるのかが分りません。
同盟国日本への配慮と言うことで,公式には避難命令を出さないが,自分でこれを見て逃げなさいと言うことでしょうか?
結局はこの真偽はアメリカの予想数値通りに放射能が広がるのか、この予想数値が過大かの問題に行き着きます。
諸外国やアメリカ人の方ではアメリカの予想数値図の方が信用されているので,諸外国人の日本離れが進んで、成田空港へのり着陸させ嫌がる人が増えているのでしょう。
結局は近隣数値の正確且つ迅速な開示こそが不安心理を和らげることになると思いますが,政府の情報開示はむしろ疑心暗鬼を誘うような方向になっているのが問題です。
アメリカ大使館の発表図形とその影響の相関表を見ると・40レムから10レムまで同じ括りで血液(ブラッド)への影響(エフエクト)があるとなっていて、40レムと10レムの影響差がどのくらいあるのかさえ(少ない方が良いと言う直感的なイメージに留まり)具体的に分りません。
まして、その間の3レム差になると、どのような差が生じるのかがまるで分らない感じです。
元々基準値は・・例えば残留農薬や放射性物質の数値は一回でも取り込んだらそのような障害が起きる危険と言うのではなく、1年間取り続ける場合の数値ではないでしょうか。
正確な知識がなく恐縮ですが、現場で短時間に放射能を浴びる場合には最大限としてこれ以上は危険と言う基準が必要でしょうが、一般生活者相手の基準の考え方としては一定期間取り続ける場合か、一定期間内の累積総量のどちらかになっているはずです。
この基準がはっきりしないのです。
食品の場合1年間食べ続けた場合のことでしょうが、ホーレンソーだって,年間とは言うものの毎日ホーレンソーを1kグラム食べる人はいないので,4〜5日又は1週間に一回食べる計算で年間摂取量と言うのかもしれません。
(平均消費量を基準にしているので,そこに裁量の幅があり間接的です)
同じくシーベルトの場合、1年間浴び続けると言う意味か、例えば一日に5分間づつ毎日と言う意味か、あるいは10分ずつ1年間と言う意味かその基準(平均的行動基準をどこに取っているのか)が私には分っていません。
世界の自然界にある放射線量平均が2、4マイクロシーベルト毎時とすれば,毎時2、4前後であれば良いことになります。
(ただし、この基準も24時間被爆し続けていた場合だけなのか、家の中にいた場合や、車の中などはその何割に計算するのかなど詳しいことが分りません)
千葉の1時間ごとの放射線量が毎日ネットで公開されていますが、3月20日あたりまでは、0、033マイクロ前後で安定していましたが、21日から2倍くらいになり22日夕方にはついに単位が一つ上がって0、10〜0、11まで上がってきました。
これが毎日続いて行くのかと言うところですが,タマタマ北東の風の日だったことによるのか、あるいは報道されていないものの昨日特別な事態が原発で起きていたことによるのかが不明です。
ただ周辺のシーベルト数を見ると22日には、宮城等北側の県では,昨日までと違って、これまでの千葉などのように事故前の通常値に戻っているので,風向き次第であることが分ります。
日本では,年間を通じて原則として西風を基本として冬は北西夏は南西の風が普通ですので北東の風はむしろ例外です。
また一定量超えれば、短時間で危険ですがその二重の基準の使い分けがよく分っていません。
私自身消化不良ですが、その内こうした情報も具体的に出てくるようになるでしょう。
仮に24時間×365日の基準であるとすれば、半径30kmと80kmの差である3レムの差と言っても風向きが一定ではなくその日によって方向性がいろいろですし、一日中外にいる人は稀ですから、この「レム」で一日中・あるいは1年間浴び続ける人はいないことなります。
アメリカ大使館が在日米人に避難勧告している13レムとか10レムの基準自体が,1時間、一日、一ヶ月あるいは年間累積数値を言うのかさえ分りません。
よく見直してみたのですが時間当たりかどうかのその単位を書いていないので,一見大変な数値のようですが(センセーショナルです)これが1年間の累積数値の予測とすれば大したことではありません。
(もしも僅か1時間,1日や2日で浴びる数値であるとすれば、予め危険を避けるための避難基準としては危険すぎますから,多分1年間の累積数値でしょう。
仮に年間累積数とすれば、1時間当たりに直すと13レム=130ミリシーベルト÷365÷24=0、014840・・ミリシーベルト=14、84マイクロシーベルト毎時になります。
退避基準の50ミリシーベルトに達するには,140日かかります。
もしもアメリカ政府の意見通りの放射能汚染が即日生じているとしても,これだけの余裕があるのなら,前もってある程度心構えをさせておいてから、Ⅰ〜2ヶ月経過後の避難命令で十分な気がします。
安全だと嘘を言うのはルール違反ですが,客観的危険を公開して,ある程度危険が迫るまでは自主判断に委ね一定期間経過後に退避行動を勧告,更には命令と順を追って行っても(徒歩の退避者は滅多にないので)退避に要する数日くらいの被爆ではそれほどの危険はないことになります。

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