デフレの効用1

我が国のデフレは経常収支黒字蓄積・・国力充実の結果ですから(給与所得が同じで物価が下がって何が悪い?)国民にとっては目出たいことです。
この20年で物品・サービスの価格が約半分になっていることを多くの人が実感しているところですが、個人の生活水準が2倍に引き上げられたのは目出たいことです。
中高年以上のサラリーマンは給与や年金が変わらず物価だけ半額で良い思いをしていますが、その代わり若年層は就職難・・非正規雇用化で苦しんでいるのでその点は別に書いていますが、大方のサラリーマンにとっては恵まれた状況です。
この逆に韓国の場合、ウオン安・・暴落で企業輸出は伸びますが(利益配当・アジア危機以降は株主は外国人中心なので国民に恩恵が少ししか及びません)国民個々人の生活水準は逆に半分になって苦しんでいて、その不満のはけ口に何を言っても安心な日本向けの大統領の暴言(8月15日の天皇謝罪要求)に繋がっているのです。
何回も書いていますが、どんな統計操作をしてもマスコミが虚偽宣伝しようとも、国力はその国の通貨価値に凝縮して表れますので(一時的には為替介入等で操作可能ですが長期的には)誤摩化しようがない指標です。
韓国の嚇々たる成果の大宣伝(このところ韓流その他宣伝攻勢が激しい)にもかかわらず、ここ何年も続くウオン大幅下落トレンドの結果から見れば、国民個々人だけではなく企業を含めた全体の収支実態も芳しくないのでしょう。
韓国の場合日本からの部品輸入がないと輸出も出来ないので、ウオン安になっても円高の日本からの輸入物価上昇に悩まされます。
国民は苦しくとも企業は輸出で大もうけしているならば、ウオンが上がる筈ですが逆に長期的に下がり続けているのはどうしてでしょうか?

2年間のチャート

チャート

 

輸出競争を有利に展開するために巧妙にウオン安を演出しているとも言いますが、それならば昨年秋のウオン大暴落気配に際し日本に泣きついてスワップ枠拡大、今年5月の国債購入約束を頼み込む必要がなかった筈です。
上記グラフでは出ていませんが、アジア危機、リーマンショック、グラフでは昨年秋、今年の5月と危機が来る度にその都度日本は下支えをしてやって来たのです。

日本の巨額保障でウオンの信用が戻ってウオンの下落が止まり、最近では少し相場が上向き加減になって来たので韓国大統領が強気発言をするようになって来た下地になっている様子です。
(短期間にぺこぺこしたり居丈高になったり単純な国柄です・・これが後述の占領軍の手先として利用されるようになった原因でしょう)
欧州危機が最近収まっているのも、日本が10兆円の資金拠出約束をしたことで、デフォルトの危機が遠のいて一旦相場が納まったに過ぎず、欧州のファンダメンタルズが良くなった訳ではありません。
中国は大きな顔をしていても(自己資金がなくて欧州から資金引き上げを恐れている状態ですから)結局一銭も出せませんでしたし、世界中で最後にお金を出せるのは日本しかない状態です。
中国共産政権下での開放前に行われた大躍進政策大成功(実態は5000万人とも言われる餓死者続出だったのに)の宣伝と最近韓国の輸出大躍進の報道が似ています。
(統計はいくらでも操作出来ますので当てになりませんが、何をどう言おうとも韓国女性の売春婦が世界中に進出横行して世界中が困っている実態・・一般国民の国外脱出希望者の多さが国民の苦しみを証明しているでしょう)
ところで韓国李明博大統領による天皇謝罪要求発言ですが、テロリストによるサラエボの銃声一発から第一次世界大戦が始まったことを想起してもいいでしょうが、「天皇を後ろ手に縛り上げた状態で土下座して謝れ」というどぎつい発言だったようです(ネット情報に過ぎずマスコミが報じていないので正確性には疑問がありますが・・)が、これを正当化するための発言が「今の日本の国力は落ちている」というものらしい(これは大手も報道しています)ですから驚きです。
(東北大震災のときにも大喜びした様子が(個人のネット書き込みでは大喜びしている様子が一杯出ていました)事実上一杯伝わってきましたが、相手が弱れば何をしても良いという国民性でしょうか?)
今回は庶民が怒声を浴びせたのと違い一国を代表する大統領の公式行事での発言ですから、昔なら日本が事実上宣戦布告されたと受け取ってもおかしくないレベルの発言です。
(韓国はアメリカに対して日本を仮想敵国としての軍事協力・演習?を求めていたことも大分前からネットで問題になっていましたが、マスコミはこれを全く問題にしていませんでした・・・)
戦後長い間韓国が何をしても、言っても「まあ良いか」で済まして来たことが、こうした度を過ぎた結果になったのでしょうから、日本歴代政権の対応のまずさが積み上がった結果であって、民主党政権だけの責任ではありません。
原発事故は民主党だから起きたのではなく、歴代政権がマトモなチェックをしないで来た結果であるのと同じです。
国際スポーツ大会での韓国選手による度重なる日本侮辱行動などを総合して国際礼儀無視もここまで来たか!と言う印象ですが、礼儀違反もここまで来ると左右どちらの立場であろうとも、如何に韓国びいきのマスコミでも「韓国の言い分は尤もだ、日本は謝るべきだ」という意見を出せなくなったようですし、何らかのけじめを付けないと収まらない事態となってしまいました。
韓国/中国は共通して歴史をねつ造して日本の悪口ばかり言いふらして子供にも教え込む教育を続けて来たのですが、こんな失礼な交際の仕方はありません。
(最近ねつ造者同士の中韓でも、利害の対立が生じて言い合っているようですが、浅ましい限りです)
個人で言えば他人の陰口ばかりで、しかも自分の子にまでも悪口を吹き込みながら近所付き合いをているような恥ずかしい人間です。
日本は今後こう言う国々とのつき合い方を変えて行くべきです。
歴史を歪曲した反日教育(相手の悪口の吹聴)ばかりに熱を上げるような国(陰口は陰で言うものですが韓国と中国は公然と行っているのです)と友好関係を保てる訳がないのですから、反日教育をやめない限り経済協力を出来ないというくらいの毅然とした態度が必要です。
偏頗な教育をしているから、国民の妄想が逞しくなってこういう結果になって来たのです。
戦後アメリカによる日本統治政策によって(戦後直ぐには占領軍が日本支配を朝鮮人を通じて実施しようとする時期があってたと言われています・・これもどこで読んだか今になると記憶がありませんので出典不明情報です)朝鮮人がすごく威張っていたことが(平家のカムロ見たいな役割です)ありました。
いわゆる第三国人の表現はこのときに定着したものです。戦勝国でもないのに戦勝国の威を借りて威張り散らすので、日本人はこのように朝鮮人を呼ぶようになったので、朝鮮人の自己の振る舞いによるものです。
あちこちの公有地・ガード下などを不法占領しても警察が手を出せない時期がありました・・最近減りましたが、韓国系の駅前の露店や道路土手など公有地不法占有の立ち退き交渉は私が弁護士になってからでもいくらもありました。
私は・・ホンの数年〜5年ほど前に大阪の江之子島にある大規模公有地(大阪府庁舎建設予定地になる・あるいは大規模複合施設になるという大型開発案件・・橋下知事になって府庁舎移転案は沙汰ヤミになったのかな?)の最終明け渡しに絡む事件を担当していたことがありますが、その場所も、元はと言えば、戦後混乱期に多くの朝鮮人が不法に住み着いて、その後ヤクザ(これも朝鮮系)の手に渡って占有者が転々として最後の明け渡し段階に至ったものでした。
竹島不法占領はこれを国家規模で行った大型判だったと言えます。
占領下で米軍の後ろ盾・手先になりかけた歴史の有る無しが、親日的な台湾人との大きな違いです。
(元々強い者の手先になり易い人品骨柄であるとアメリカ軍は見たから、占領直後利用しようとしたのでしょうが・・・)
台湾人が日本が戦争に負けたからと言って占領下で傍若無人に不法なことをせず、現在でも台湾人のヤミ金融とかヤクザ関係は余り見かけないし(私個人に限れば弁護士としての経験では皆無です)、不法占拠事件も見たことがありません。
これに対して、我が国では、ヤクザやヤミ・裏社会関係では韓国系が多くを占めていることの大きな違いです。
現在、傍若無人に騒ぎ回る右翼の殆どが、実は在日韓国人が多いことも良く知られているとおりです。
右翼は対中国や北方領土では騒ぎますが、対韓関係で騒ぐのを見たことがありません。
上記のように、占領軍の手先として使うための朝鮮人優遇政策が問答無用(軍政として)で始まった歴史がありました。
(竹島の武力占領もアメリカによる黙認・・日韓にいがみ合いの種を残しておこうとする英米流反目助長政策の1つでしょう)
米軍の占領政策の遂行に迎合する形で、いまだにいろんな分野で在日朝鮮人優遇政策が踏襲されていますが、これらもこの機会に見直して行くことになるでしょう。
一々感情的対応していたら相手のレベルにこちらも落ちてしまうので冷静対応が必要ですが、これからは60年以上も前の占領軍(アメリカ)の占領政策遂行の意向にいつまでも縛られる(びくびくする)のではなく、(アメリカはまだ日本占領中程度の気持ちでしょうが、サンフランシスコ講和条約・1951年で日本の占領は60年以上も昔に終わっている筈です)普通の国と国の付き合い方に変質して行くべきです。
アメリカにとっては日本と韓国がいがみ合うのは、60年も前に仕掛けておいた火種が燻り始めた・・思う壷と思ってほくそ笑んでいるでしょうが・・・。
アメリカは「いつも自分の言うとおりにしないと、どちらの味方につくか分らないぞ」という形で支配を維持して行こうとしているのでしょう。
尖閣諸島であれ、何であれ最近の紛争の陰にアメリカの影(使嗾)があると思うのは私だけでしょうか?
尖閣諸島問題などは尖閣諸島に基地を作るのでアメリカに駐屯してくれと申し入れれば済むことです。
もしかしたら竹島にも日本の自衛隊と一緒に駐留を依頼すれば良いかも知れません。
アメリカは日本の防衛のために駐屯しているのであって占領軍ではないと言うならば、島の防衛を断る理由はないでしょう。
日本はアメリカに守ってもらうためという名目で裏表(直接間接)合わせて年間数兆円も支出しているらしい(今のところ数字の根拠がはっきりしない)のですが、そんな小さな島1つすら守ってくれない(しかも現実の戦闘行為をしなくとも、駐留してくれるだけで良いのです)のでは、核を利用する本格戦争なれば、日本のどこも守ってくれる気持ちはないと断言しているのと同じです。
尖閣の小さな島1つ守ってくれないのなら、役に立たない軍ですから、世界で孤立しない方法を慎重に選びながら(アメリカを敵に回すと怖いですよ・)全面的に出て行ってもらう交渉・・当面駐留費の分担を断る・縮小することから入って行くべきです。
これと平行して自主軍備増強が当然必要になります。

円高とデフレ(円高メリットの享受)

 逆から見れば国民個々人が頑張ったからこそ、貿易黒字を稼げた結果の円高でもあるのですから、円高の効果(メリット)を国民個々人が享受するのは当然の権利となります。
スポーツでも何でも優秀な成績をおさめて何日も勝利の美酒に酔いしれていたら次の試合で負けてしまうので、トップの座を維持するために勝利の美酒は1晩だけにして直ぐにも次ぎに向けたトレーニングに精出すのが普通です。
円高は国民の努力の賜物とは言え、給与アップの恩恵を受けて海外旅行や安楽を決め込んでいれば、その内貿易赤字→インフレになって、国民の方が今度は逆襲されます。
政府や経済界・エコノミストはインフレ待望論一色ですが、経常収支黒字を維持しながら円安=輸入物価上昇を求めるのは虫のよい矛盾した願望です。
バブル崩壊後我が国だけの超低金利政策によって、円キャリー取引による(円の流出)円安の演出が出来て、貿易・経常収支黒字の連続にも拘らず円安を維持出来ていたことがありました。
リーマンショック以降世界中が低金利競争に入って来たので、このトリックが通用しなくなり、長期の経済原理に反した円安維持の咎めが出て急激な円高になりました。
(アメリカと日本がほぼ同率の低金利になれば、金利差による為替相場形成がなくなり貿易収支・経常収支の黒字・赤字関係が為替相場にモロに反映されるしかありません。)
キャリー取引のようなイレギュラーなトリックを前提にしない場合、整合性のある議論としては、貿易赤字に陥らない限り円安になりません。
円安待望論者は、国内的にはインフレ・・債務の目減り期待と対外的には円高だと貿易が苦しい・・貿易黒字を維持するために訴えているのですから、貿易黒字を続けながらの円安期待ですから、矛盾した論法です。
赤字→円安→輸入物価上昇ひいてはインフレになり・・結果的に賃金の実質引き下げになり(国民は困りますが)国債など各種借金の実質返済負担が下がります。
インフレ待望論とは、5月12〜16日に掛けて書いて来た世界的な借金棒引き論の広がりと根は同じです。
我が国は世界一の純債権国であって、借金棒引きまたはインフレによる減価で損をする立場にも拘らず、殆どのマスコミや経済学者がインフレ待望・借金棒引き・・一種のモラルハザードの広がりに熱心とは驚きです。
ところで、国債発行残高がいくらになろうとも国民が保有者の殆どである限り問題がないという意見を2012/03/19/「税収2と国債1」〜2012/04/08「財政収支と国際収支3(純債権国)」〜2012/04/19「国債残高の危機水準3(個人金融資産1)あたりまで連載してきました。
政府・マスコミや経済学者はこれを理解せずに、国債残高増加=借金大国になってしまうかの如く心配しているから、棒引き論・・インフレ期待=支払負担を軽くするモラル普及を広げる方が国益になると誤解しているのでしょう。
再論しませんが、世上誤った意見が流布しているので1つだけ付け加えてておきます。
「税で負担せずに国債で政府支出をすると次世代に巨額借金を残す」とマスコミや経済学者が不安を煽っています。
(私が/2012/05/05「海外収益還流持続性1(労働収入の減少1)」以下で批判して来た世代間対立を煽る論の1つです)
あるいは1000兆円の国債残高は一人当たり何万円の負債だと騒ぎます。
しかし、国債保有者の95%が国民であるとすれば、その債券の95%を次世代が相続するので次世代に残す借金は5%に過ぎません。(子供でも分る理屈でしょう)
1億円の定期預金を有する人が負債4000万円で死亡しても次世代に負債を残すことにはなりません。
不安を煽っている論者は定期預金部分をことさら隠蔽して銀行借金だけを強調している不公正な議論です。
5%前後は国際取引決済上必要な(普通の人は貯蓄以外に全資産の5%くらいは毎月の口座引き落とし用に普通預金を持つように)ゆるみに過ぎませんから、日本も外貨準備としてその何十倍も持っているので、心配がありません。
結局、次世代への引き継ぎは、わが国が対外的に純債権国の地位を維持出来るかどうかだけが要点であって、純債権国である限り国内の帳簿の付け替え・・定期預金を残してしその範囲で借金するかどうか・・国債残高の多寡・財政赤字の程度に関係なく、次世代はプラス財産を相続することになります。
インフレ・・例えば物価(給与や収入が)が2倍になれば、借金の額面が同じですから返済負担が半分に減りますので債務者にとってはメリットが大きいのは当然です。
日本は今世界最大の債権国・・すなわち政府債務は別として国民の金融資産が最大にも拘らず、インフレ期待論は政府債務を縮小すべく「国民資産を毀損すべき」という誤った期待です。
ただし給与負担としてはインフレになると、賃金アップは後追いのために、企業負担が減ります。
総じてインフレは個人が損をして組織が得をする状態と言えるでしょうか?

デフレと不人気政治

いろんな分野での高度化・高収益化が進めば、同じ生産額・輸出額でも必要労働力数が限定されるので他所の国よりも高度化・生産性の向上で差を付ければつけるほど、労働力過剰にならざるを得ません。
元々、近隣国と同じレベルの産業構造であっても貿易収支の均衡=自国の需要以上に製造出来ない時代が来れば、それまでの黒字分だけ過剰労働力になるのですが、高度化で均衡すればその分だけなお過剰になります。
将来的に貿易収支の均衡は避けられないとすれば、(日本だけが永久に黒字を続けることは不可能でしょう)明治以降人口を増やし過ぎた結果今の人口は多すぎるので、一刻も早く人口減少策を採用するしか解決の道はあり得ません。
(人口増政策に関しては第二次世界大戦の遠因に関連して11/05/06「人口政策と第2次大戦1(ねずみ講の元祖)」以下で連載しましたし、その他のテーマでも繰り返し書いていますので人口政策で検索して下さい)
この段階でも、なお安値な外国人労働力導入を唱えて国際競争力維持を主張するマスコミ人が多いのは狂気の沙汰と言うべきでしょう。
過剰人口・労働力減小策をとらない限り、輸出入が均衡すると失業者が増えてしまう関係ですが、失業増を防ぐために技術高度化に頑張る限り黒字が集積してしまうので一定周期ごとに来る円高=デフレの進行は、経済策の成功の結果として有り難く受入れるべきです。
デフレは円高によるばかりではなくその他の理由(低賃金国からの廉価製品の輸入圧力)によっても生じますが、デフレ経済の進行が止まらない限り国民に抵抗の多い政策を受入れさせるしかありません。
インフレならば、放っておいても実質賃金が下がり他方で累進税率下では実質増税が進むし、年金のその他の社会保障給付も実質的に下がるので政治・企業経営者は気楽なものです。
(タマタマここ1週間〜10日ほど円安に振れ始めて今では80円で安定していますので、輸入物価が少し上がり一息付けることになりそうですが・・・)
円高・デフレ(物価下落)の場合この逆ですから、政治や経営者が無理にして何かしない限り、円高になった分だけ人件費や社会保障給付が実質上昇しますので、政府や企業の経営が成り立ちません。
この結果を防ぐには、名目上増税して行かないと政府・公共関連のコストが不足する一方になります。
企業や組織経営者も同じですが、一定規模以上の経営者の場合従業員に痛みを強いなくとも、低賃金国への移転・逃げる方法があります。
今朝の日経朝刊の「蘇るメードインUSA」を見ていると、アメリカの人件費が時給20ドルに下落したことによる中西部での工場進出ラッシュが書かれていましたが、アセンズに進出したキャタピラーはカナダの工場閉鎖による移転でした。
その記事によるとカナダの工場では賃下げ要求に応じないので、閉鎖してアメリカに移転立地したということです。
(話題はそれますが、先日アメリカの人件費がリーマンショック前の4分の1に下がっていると報じられていてこのコラムでも紹介しましたが、今朝の記事によると時給20ドル=円換算で1600円ですから、日給1万2000円前後で、わが国の底辺・現場労働者の日給とほぼ同じです・・これで何故4分の1か不明ですが・・・GMの場合、高額保障の年金負担などの過去の債務の切り捨てが出来たことを加味した比率でしょうか?
今日の記事では、それでも中国で作ってアメリカに輸送するコストなど考えるとペイする(カントリーリスクもありますし)ということで中国からアメリカ国内生産回帰が進んでいるらしいです。
このように企業経営者の場合人件費その他コストの安い方へ移転出来るのである程度気楽ですが、政治の方はそこにいる住民を相手にしているので大変です。
政治家が引っ越しする訳には行かないので、デフレ下の政府財政収支の赤字解消に取り組まねばなりません。
平成24年2月19日記載の比喩で言えば、デフレの場合、政治や経営者は生身の人間が吐き気に襲われて吐き続けているようなもので、これに対応するのがやっとでマトモなことが何も出来ません。
これだけの危機に見舞われているギリシャでは、なお賃下げあるいは公共サービス低下に対する反対デモが続いているので民意に縛られる政治家が政権を手放して、経済実務家による実務家政権になっている状態です。
我が国戦前の経験によれば政治家は駄目だ・・と言うことで軍部政権になったのと根底は似ています。
こういう時代には、政治権力を握った方は(「気持ち悪いなら早く吐いてしまいな・・」と言うはやさしいですが、実際吐く・・逆流の実践・・増税や賃下げの実施は辛いものです・・)嫌われる政策・・企業はリストラの継続、政治は消費税増・医療や保険等の各種負担増政策など・・を続けるしかないので、どんな政党が政権を取っても誰が党首になっても何かやろうとすれば不人気になります。
(今の政治を見ていると何もしないで、成り行き任せをしている無責任政治家・政党が一番長持ち出来そうです。)
最近不人気政策の採用に努力した結果、党内分裂気味に推移する政党が多いのは、トップに立った以上は身を捨てても国のために頑張ろうとする国士が多い・・政治家も捨てたものではないと評価出来ます。
しかし、今回の消費税その他国民に苦い政策決定が失敗に終われば今後もう一度挑戦する政治家が現れなく危険があります。
そうなると後は無責任に流れて行くばかりなので、今のギリシャ危機問題同様に行き着くところまで行くしかないでしょう。

構造変化と格差24(インフレの効果1)

低賃金国で生産出来る産業・業種のままで(高度化しないで)企業が国内に留まることは不可能ですから、(国内で倒産または海外脱出にせよ)その分国内雇用が減少して高失業社会に突入するのは仕方のないことです。
(農漁業だけが例外的に厚い保護を受けて来ました)
汎用技術のままで国内産業空洞化を防ぎ、失業率上昇を防ぐには後進国に負けない低賃金の実現しかないでしょうが、自信満々の中国でさえ、今でもまだ我が国の約10分の一の賃金に過ぎませんから、イキナリこれに合わせて賃下げすることが不可能に近いことは明らかです。
そのうえ、現役労働者の賃下げが簡単に出来ない仕組みを温存する以上は、さしあたり新規参入者を絞り、かれら(中途採用が例外で新卒中心の就職市場ですから原則として就職戦線に参加する中心は若者です)の労働条件を下げるしかありません。
この結果若者の就職難・非正規雇用が増加して、他方で賃金水準が高止まりしている既得権益者・中高年労働者との格差が開く結果になります。
比喩的に言えば、日本全体でイキナリ中国に対抗するために10分の一に賃下げ出来ないまでも1〜2割程度でも賃下げをして急激な国際競争力低下に対応しようとする場合、一律に1〜2割賃下げすれば公平ですが、日本では賃金の下方硬直性に手を付けない前提で処理してきたので一部にしわ寄せが行き格差拡大した面があります。
すなわち全く賃下げのないまま残存する者(既得権者)とその他に分けて、その他にしわ寄せが行く仕組みが、グローバル化以降の我が国の処方箋でした。
その他に対してはリストラにより失業者にし、新卒採用を減らして未就職者を増やし他方で一部非正規雇用化をすることによって、日本全体の人件費率を下げようとして来た場合、一律1〜2割引き下げに比べ社外に出された者や新規参入者の賃金下落率はもっと大きくなるのは当然です。
このような不公平・賃金下方硬直性を死守しようとしているのは、まさに格差拡大を大きな声で主張している労働側勢力ですから、矛盾した関係です。
ここで賃金の下方硬直性に関連した限度でインフレとデフレのもたらす効果について書いておきましょう。
新興国に対抗するために公平に同率生活水準引き下げを図ろうとした場合、例えば10%物価上昇すれば、国民等しく10%生活水準が下がり・・ひいては購買力平価で言えば実質賃金が10%同率で下がったことになるので、あえて賃下げやリストラをする必要がなくてスムースです。
この逆に10%のデフレの場合、等しく10%生活水準が上昇し、ひいては等しく賃金水準が10%上がってしまうので、海外からの低賃金圧力に対して逆効果になってしまいます。
デフレが続くと上記のようにリストラ・解雇等神経を逆撫でするような経済行動や政治が必要になりますが、無理なことは無理なのでうまく行かず、日本経済は苦しくなり、政治も混乱します。
身体で言えば、飲み込む(インフレ)のは簡単ですが、吐き出すの(デフレ化でのリストラや賃下げ)が苦しいのと同じ状態が続いています。

デフレ2(階層固定化)

 前回書いたように技術革新の結果、絶えざる価格破壊が進む社会では、名目成長が止まっているように見えても実質的には成長が進んでいるのであってそれなりの効用がありますが、技術革新による価格破壊もなく単に他につられて物価が下がるだけのデフレの場合・・あるいは成長の止まった社会では、既得権益・既得資産の価値比重が増すので、格差固定しやすい点が問題です。
労働者の立場で喩えて言えば、1時間に作れる数が2倍に増えているのに労賃がⅠ、5倍にしかかならないとすれば、労働者の品質・・労働効率が良くなって労賃が割りに安くなっている場合は前向きですが、就労機会が減ったためにダンピングによって労賃が下がっているだけとしたら、言わば悪いデフレです。
商品で言えば、何の改善・効率化もないのに競合他社に負けないためにただ、赤字値下げしているようなもので、不健全そのものです。
このような値下げ競争は業者の場合採算割れで淘汰されて行き、その内需給が均衡する経済原理が働きますが、労働者過剰の場合、いくら下げても(失業者が海外に出稼ぎに行かない限り、人間の淘汰はあり得ないので・)供給過剰が収束しないので放置すれば賃金の下降現象は新興国並みの水準に下がるまで自動的に収まりません。
国際水準以下に賃金水準が下がれば、汎用品等の国内生産増が始まり、その方面の需要が増えて、労働需給が締まってくることになりますが、そこまで行くには何十年〜100年も先のことでしょう。
実際そこまで労賃水準が下がる=新興国と同じ生活水準に落ちることを楽しみにしている訳には行きません。
労働者人口をそのまま維持して労賃の下がるのを待つよりは労働者供給をしぼって行き、(結局は少子化による人口減を図って行き)労賃がそこまで下がる前に需給を均衡させるのが筋です。
この均衡に至るまで放置していると失業が増大して社会不安になり易いので、政府は必死になるのが普通ですが、政府には新たな産業を興す能力がないので、税を使った社会福祉系産業への補助金増・・介護現場労働者を増やすなど従来水準よりも低賃金職場の拡大による吸収しかありません。
国の総生産が一定である時に、これに必要な労働人口以上の人口をそのままにして大勢で分かち合おうとすれば、ワークシェアー・所得シェアー策(低賃金化)しかないのですが、これが同時に中間層以下の没落・・階層固定化を進めることになります。
何故デフレが階層固定化に結びつきやすいかについては、この後インフレとの比較を書いた後に都市住民内格差のテーマで書いて行きます。

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