ロシアの脅威9(幕府の認知と海国兵談)

林子平の海国兵談がいつ書かれたかに関するウイキペデイアの記事です。 
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%B7%E5%9B%BD%E5%85%B5%E8%AB%87
1738年に生まれた林は洋学者との交流を通じて海外事情について研究を行い、ロシアの南下政策に危機感を抱き、海防の充実を唱えるために本書を記した。江戸幕府の軍事体制の不備を批判する内容であったために出版に応じる書店がなかった。このため、天明7年(1787年)に自ら版木を作成して第1巻を刊行し、寛政3年(1791年)に全巻刊行を終えた。直後の寛政の改革によって版木を没収されてしまったものの、自写による副本を秘かに所持していたため、後世に伝わることとなった。」
林子平の海国兵談は1787年の自費出版ですから、思いついていきなり高度な本を書けませんし、先ずそのような関心・意欲を抱くには、そのだいぶ前からロシアに対する危機感を抱いていた人がかなりいてその影響を受けていた(洋学を通じて西欧系のロシアに対する危機意識の影響を受けていた可能性もあります)・・本を書かないまでも、相応の先達がいた可能性があります。
北海道網走根室宗谷方面は、当時の徳川政権にとって滅多に情報のない遠方ですから(林子平は仙台藩藩医であった兄の居候でした)本土にいる学者(当時学者という職業がありません)が危機感を抱くには、その前に相当の情報が広がっていたことになります。
ウィキペデイアの松前藩によれば以下の通りです。
「当時の北海道では稲作が不可能だったため、松前藩は無高の大名であり、1万石とは後に定められた格に過ぎなかった。慶長9年(1604年)に家康から松前慶広に発給された黒印状は、松前藩に蝦夷(アイヌ)に対する交易独占権を認めていた。蝦夷地には藩主自ら交易船を送り、家臣に対する知行も、蝦夷地に商場(あきないば)を割り当てて、そこに交易船を送る権利を認めるという形でなされた。松前藩は、渡島半島の南部を和人地、それ以外を蝦夷地として、蝦夷地と和人地の間の通交を制限する政策をとった。江戸時代のはじめまでは、アイヌが和人地や本州に出かけて交易することが普通に行なわれていたが、次第に取り締まりが厳しくなった。」
「18世紀半ばには、ロシア人が千島を南下してアイヌと接触し、日本との通交を求めた。松前藩はロシア人の存在を秘密にしたものの、ロシアの南下を知った幕府は、天明5年(1785年)から調査の人員をしばしば派遣し、寛政11年(1799年)に藩主松前章広から蝦夷地の大半を取り上げた。すなわち1月16日に東蝦夷地の浦川(現在の浦河町)から知床半島までを7年間上知することを決め、8月12日には箱館から浦川までを取り上げて、これらの上知の代わりとして武蔵国埼玉郡に5千石を与え、各年に若干の金を給付することとした。」
文政4年(1821年)12月7日に、幕府の政策転換により蝦夷地一円の支配を戻され、松前に復帰した。これと同時に松前藩は北方警備の役割を担わされることにもなった。嘉永2年(1849年)に幕府の命令で松前福山城の築城に着手し、安政元年(1854年)10月に完成させた。日米和親条約によって箱館が開港されると、安政2年(1855年)2月22日に乙部村以北、木古内村以東の蝦夷地をふたたび召し上げられ、渡島半島南西部だけを領地とするようになった。代わりに陸奥国梁川と出羽国村山郡東根に合わせて3万石が与えられ、出羽国村山郡尾花沢1万4千石を込高として預かり地になった。
松前藩がアイヌからのロシア情報を幕府に報告しなかったものの、幕府の知るところとなって調査団が派遣されたのは1785年からであり、上知を命じられたのは1799年のことですから、海国兵談発行(1785)は幕府の調査開始とほぼ同時です。
彼の著書発行計画が契機となって幕府の調査が遅れて(慌てて)始まった可能性もあります。
松前藩が隠していても幕府にバレたのは、北前船または東廻船の普及・・松前藩を窓口とする交易の活発化にあると思われます。
ウィキペデイア記載の北前船の始まりと寄港地は北海道に限定すると以下の通りです。
「例年70,000石以上の米を大阪で換金していた加賀藩が、寛永16年(1639年)に兵庫の北風家の助けを得て、西廻り航路で100石の米を大坂へ送ることに成功した」
これが北前船の走りだそうです。
その後んどんどん発達して一大動脈になります。
北海道では箱館、松前、江差、熊石、上ノ国(以上渡島国)、紗那、泊(以上千島国)、根室(以上根室国)、厚岸、釧路(以上釧路国)、様似、門別(以上日高国)、苫小牧、室蘭(以上胆振国)、小樽、余市、寿都(以上後志国)、久春古丹(以上樺太)
ただし、上記は明治30年頃まで盛んであったころの完成形の寄港地であって、いつ頃から千島や根室,樺太まで行くようになっていたのか私にはわかりません。
各地の郷土史関係のホームページに入れば分かるのかもしれませんが今日はこのくらいにしておきます。
冒頭に紹介したように松前藩は本州の大名のように農業収入によらずに蝦夷地と和人との交易仲介で藩財政が成り立っていたのですから、上記のような本格的航路開設の前から通商窓口になっていたので、おのずから各種情報が内地に漏れ出る関係にあったでしょう。
「ロシア人が根室にきて暴れた」などの新聞や文献情報があったとは思えない・・林子平の著書が最初とすれば・知識階層では新たに出現して粗暴な行動に走る傾向のあるロシアに対する口コミ?情報が集積され関心が高まっていたのでしょう。
彼が仙台にいて北海道更にその先の千島列島との境付近の情報を得てから、危機感を持ち、さらにそれを著作にするまでには、10〜20年単位の時間差があったように思われます。
(松前に行ったのは、物見遊山に行って偶然知ったのではなく、危機情報に触発されて現地を実地に見るべく行ったと見るべき・・危機情報の具体的収集目的で行ったものと思われます)
林子平の人となリは以下の通りです。
https://docs.google.com/document/d/1B_k-2lcstvNhZWWRqkWpEo0Evf1mJlU7NLjlDEZOEak/edit
子平はみずからの教育政策や経済政策を進言するが聞き入れられず、禄を返上して藩医であった兄友諒の部屋住みとなり、北は松前から南は長崎まで全国を行脚する。長崎や江戸で学び、大槻玄沢、宇田川玄随、桂川甫周、工藤平助らと交友する。ロシアの脅威を説き、『三国通覧図説』『海国兵談』などの著作を著し「およそ日本橋よりして欧羅巴に至る、その間一水路のみ」と喝破して当時の人びとを驚かせた。」
上記の通り1787年出版の仮に10〜20年以上も前から現地人が怖がっている情報を得た可能性があります。
1738年生まれの林子平が成人した頃の1760〜70年ころには、以下のピョートル大帝の時代から約7〜80年も経過していることを見れば、すでにロシア人が武力を背景に樺太〜北海道付近に頻繁に出没してアイヌの人がかなり困っていたから松前藩に通報があったのでしょう。
アイヌ人はもともと日本列島を根拠地としながら北方系・・千島列島やシベリア〜満州北部〜今の沿海州方面との交易を行なってきた平和的種族です。
・・・この辺の事情は15年ほど前に函館市内の美術館を見学して知った知識をこのコラムで書いたことがあります。
アイヌはシベリア方面の異民族との接触に慣れているはずですが、そこに従来型暗黙のルールでの交易無視の暴力主体のロシア系集団が現われたので松前藩に相談するようになったのでしょう。
ロシア史から見れば以下の通りです。
http://www.y-history.net/appendix/wh1303-004.html
「ロシアはシベリアを東進、17世紀中ごろピョートル大帝の時、黒竜江(アムール川)を下って沿岸に城塞を築いた。その頃、康煕帝のもとで全盛期を迎えていた清王朝は、ロシアの南下に反撃し、1689年両国はネルチンスク条約を締結した。清がヨーロッパの諸国と結んだ最初の条約である。この条約で清は外興安嶺までの黒竜江左岸を確保した。
 ついで雍正帝の時、1727年のキャフタ条約で、中央アジア方面のロシアと清の国境を確定した。 → ロシアの南下」
ピョートル大帝については以下の通りです。
http://www.y-history.net/appendix/wh1001-148.html
「また東方ではシベリア進出を推し進め、清の康煕帝との間で1689年にネルチンスク条約を締結し、国境を確定した。また1697~99年、コサックの隊長ウラジーミル=アトラーソフにカムチャツカ探検を命じ、日本との通商路を探った。晩年にはベーリングを派遣してカムチャツカ、アラスカ方面を探検させ、ベーリングはアラスカに到達した。」
以上によると、1600年代末から、太平洋に到達していたこと・進出を果たしていたことが分かります。

中韓・・中進国の罠9(マンション価格高止まり)

大分横道にズレましたが、中韓のバブル・・マンション高値相場に戻ります。
17日頃から連載して来たように、賃金相場が韓国では日本の7割程度・・実質では5割以下しかないのに、日本の平均的サラリーマンですら買えない価格である6000万円のマンションが韓国では平均価格になっていることの不思議さです。
元々中国人と違って、韓国人は投機性が低い国民性です。
中国人のように転売目的で2戸め3戸めを買い進めて価格高騰したのではありません。
実質日本の何分の1の賃金で平均価格6000万平均まで買えたかですが、これはローンの仕組みによるようです。
12日に紹介したとおり、韓国のローンでは金利だけ払えば良いと言う不思議な制度らしい点が、(上記記事では「満期が集中している2019年には元金をも払わないといけないので・・」と書いていることから見ると当初の一定期間・5~6年間だけ元金を払わないで良い据え置き型か?)日本よりも巨額ローン設定を可能にしている原因かも知れません。
元金を払わないで金利だけ払えば済むのと元利均等払いとを比較すれば、金利だけ払えば良いならば日本の何倍もの高額物件でも、毎月の支払いが日本より少なくて済む可能性があります。
まして低金利化が進むとなおさらです。
5%の金利のときと1%の金利とでは、物件価格5倍まで買っても毎月の支払額は同じです。
金利が下がった分だけ物件価格が高くても買える=売れるし、高価格を維持出来る仕組みです。
これが元金も平行して払う仕組みですと金利が半分になっても(元金部分の支払が同じですから)支払額が半分になりません
金利がマンション相場の底値維持に大きな役割を果たしていることが分ります。
逆に言えば金利が1%から2%になると毎月のローン支払が2倍になり、支払い能力ギリギリで買った人は支払不能になってしまいます。
中国のマンションバブルに関して米国金利アップに合わせて中国も金利を上げるしかなくなったのですが、金利アップと同時にマネーサプライを潤沢にして景気の下支えを図っても金利動向がマンション相場にモロに影響すると書いた所以です。
韓国のマンション相場を見ると日本の価値観では危機ライン突破状態ですが、金利だけ支払えば良いのであれば、金利さえ上がらなければ何とか維持していけます。
米国金利上げによって中国だけではなく韓国も上げざるを得ない状態ですから、それで困る人が増えて来たところです。
ただ、永久に金利だけ払えば良いのではなく、一定期間据え置きと言うだけらしいですから、この据え置き期間満了と今回の金利上げと同時になって来たようです。
この間にかなりの給与アップしていないと据え置き期間満了が来ると大変になります。
ところが韓国ではこの数年成長率が2〜3%前後で低迷している・リーマンショック前の5%前後の成長ではなくなってしまっているのです。
世界ネタ帳からの引用です。
10   11 12  13   14  15  16  17
6.50   3.68  2.29  2.90   3.34   2.79  2.83    2.68
単位: %(17年は予測)
個々の事情による凸凹があるとしても成長率に比例して収入が増えるものですから、5年前後の据え置き期間中に大幅に賃金が上がる前提でいたのに成長率が鈍化したところで金利が上がり元金部分の支払が増えると困ってしまいます。
ただ、直ぐに損切り→売却に動かない=暴落しないのが投機慣れした中国との違い・・その前に高利貸しが繁盛する社会特性があります。
中国では古代から投機が好きですし、韓国では、高利貸しが得意、借りるのも好きと言う民族性の違いがあります。
そこで無理して買ったもののローンを払えない人が増えて来た・・高利金融依存・海外売春攻勢(→慰安婦攻勢もこの一種?)となって来たのですが、これでは庶民の不満が発火点になるのは当然です。
韓国では、これまで何回も借金棒引き政策・・一種の徳政令・・幸福基金と称するものが行われて来ましたが、文新大統領も選挙公約にこれを掲げていたので、この発令を検討しているようなニュースが出ていました。
http://www.sankei.com/west/news/170528/wst1705280029-n1.html
2017.5.28 15:00
「韓国でまもなく“徳政令”…借金帳消しは経済崩壊の序曲か
韓国で新大統領・文在寅(ムン・ジェイン)氏の選挙公約が実現に向け動き出した。そのひとつが借金棒引きの“徳政令” だ。100万円以下の借金を10年以上借り続ける人々を対象に、その借金と利息の全額を帳消しにするというもの。対象は43万7000人とされ、実現は簡単ではないが、実現した後にもいばらの道が待っていそうだ。(岡田敏彦)」
「李明博(イ・ミョンバク)元大統領と朴槿恵(パク・クネ)前大統領の政権下で計画、実施されたもので、国民約280万人の債権を買い入れ、うち57万人の約6兆3000億ウォン(約6300億円)の元金と利子を減免するなど債務を調整する役割を担ってきた。」
「・・文氏は、この救済策を上回る「全額帳消し」を公約として大統領選に当選した。10年以上にわたって1000万ウォン(100万円)以下の借金を抱え、返済のままならない人々の借金を全額、国が肩代わりするというプランだ。」
借金帳消し政策が慣例化している結果、大統領就任ごとにこれを期待する国民が多く・・就任後これを無視出来ない・・仕方なしに繰り返されて来た(幸福基金と言う名称は李明博大統領のトキからです)様子です。
元々約束を守る気持ちの乏しい国民性・・騒げば何となると言う前近代的精神状態で来たのですが、だからこそヤクザによる厳しい取り立てしかない風土→国外売春出稼ぎに走るしかない土壌ですが、この繰り返しでは、自発的に約束を守る気持ちがいつまでたっても育たないでしょう。
ここまで中韓の行き詰まりを書いて来ましたが、だからと言ってこう言う状態をバカにしているのは危険です。
・・この危機感が反日行動に向かう原動力になったように、今度こそ新機軸を打ち出すバネになることもあり得るので日本は要警戒です。
抜本的構造改革を怠って不満のはけ口・反日運動されるのは日本人にとって腹が立つかも知れませんが、本筋を外している限り日本に追いつくのがその分遅くなるので、長期的には日本にとって逆に有利です。
さすがの韓国も反日感情を煽っているだけではどうにもならないので、韓進海運破綻以来国費を投じて応援に動き出したようです。
国費投入をバックに価格攻勢などに動き出したといわれていますので、バカに出来ません・・中国が国有企業に追い貸しを続けては鉄鋼ダンピング輸出をさせているのと同じような・中国のマネでしょうか?波乱要因になって来ました。
北朝鮮崩壊など近隣で大混乱が起きると難民が押し寄せる損害が懸念されますが、経済分野も苦し紛れに何をするか分らない・・国が近くにあると混乱の元ですから要注意です。
ダンピングだけなら(技術アップに結びつかないので)大したことはないでしょうが、国を挙げて技術アップに正面から取り組むようになると本当の競争相手になるリスクが出て来ます。
慰安婦や根拠のない陰口を言う程度では、韓国の国力アップにはなりませんが、マトモに技術アップに取り組むようになる方が日本にとっては手強いことになります。

韓国マンション相場(最低賃金比較)

韓国の場合、周知のとおり財閥とその他との格差が圧倒的ですから、金融資産を単純に人口で割る平均値では、一般大衆の平均値を表していません。
このようにしてみると、韓国マンション平均価格が6000万円になったと言うニュースの重み・・平均値と言うことは普通の人が買える価格であるべきですが、日本的感覚・・金融慣行を前提にすれば、普通の人が買える訳がない価格になっている状態です。
この機会に日韓の最低賃金も比較しておきましょう。
日本の平成28年の最低賃金はhttp://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/
によると東京圏で約900円台近辺で全国平均823円です。http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2015/0723/shiryo_03.pdf
内閣府によれば、
○ 最低賃金程度の時給で働く労働者は300~500万人程度(*)
。最低賃金を引き上げる場合、最低賃金程度の時給で働く労働者の所得を引き上げるとともに、働者全体の賃金の底上げにも効果 。
(*)最低賃金+20円以下の時給で働く労働者は340万人程度、最低賃金+40円以下の時給で働く労働者は510万人程度(2014年度推計)
他方、韓国では、http://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2016/11/korea_01.htm独立行政法人労働政策研究・研修機構l2015年のデータによれば、
「最低賃金(時間当たり5580ウォン)未満で働く労働者は222万人に上り、全労働者の11.5%を占める」
公式最低賃金比で言えば日本900弱対558です。
最低賃金未満で働く人が11、5%もあると言うのでは、最低賃金比で最底辺労働者の平均水準の比較をすることが出来ませんが、最低賃金比で見ても900対558の比率になります。
違法行為の摘発は難しいにも関わらず11、5%も違法賃金があると言うことは、実際にはその何倍もあると見て良いでしょう・・。
韓国では実際には最低賃金を守っていないし、日本の300〜500マンの数字は、最低賃金+40円以下で働く人の数字ですから、日韓の実質的最底辺労働者の収入格差はもっとあると見るべきです。
咲いて賃金以下で働いている数字が11、5%もあると言うことは、外資や大手は最低賃金を守るしかないが、中小はお目こぼしの社会・・中国が汚職処罰や環境規制は先進国並みと威張っても厳しく取り締まって外資を不利にしているだけですから、北京の空を見れば結果が違うのと同じです。
どこの国でも現場裁量による幅があるのですが・明白な2重3重基準になる社会は法治国家とは言えない・・後進国と言うことでしょうか?
あるいは後進国は、民度レベル上無理な基準なのに形だけ先進国基準を導入するものの、現場では民度レベルで無理があるので、先ずは大手や外資だけ厳しくして中小零細はついて行けない実態に合わせてお目こぼしするしかないと言うことでしょう。
日本は古代に中国の都城概念を導入しながら、(商業都市国家が起源の中国と日本社会の成り立ちと違う面もあって)羅城「門」だけ作って城壁を作らずお茶を濁したのと同じです。
韓国では、最低賃金未満の雇用が11、5%もあると言うことは、同国の最低賃金制度は(日本との比較のために?)対外的格好付けのために、経済実態に合わない程高くした結果、経済実態がついて行けていないことを表しています。
法で決めた最低賃金以下でも働くしかない・・要は職場がないこと・・就職難に原因があります。
市場原理で決まって行くしかない賃金相場を法で決めるのは無理がある・・当たり前の結果です。
最低賃金以下ならば職場があると言うことは、市場原理をいじるのではなく、経済システムに問題があることを表しています。
安倍政権のように雇用を増やして需給バランスを改善して行き、結果的に賃金水準を上げて行くのが王道でしょう。
市場原理無視で大統領の命令一下「非正規を減らし賃金格差を縮小しろ」と言っても出来る訳がありません。
韓国の場合、大手財閥が利益を全部取ってしまい、下請けが食うや食わずの経済構造とすれば・・構造を改造をしないで末端の値決めだけ強制しても無理があるでしょう。
韓国経済が対外的に貿易収支黒字で成り立っているのに、国民には最低賃金を払えない・払うと中小企業が成り立たないと言うことは、いわゆる出血輸出の構造です。
サムスンや現代自動車等の財閥系大手も利益がなくて、下請けにこれ以上高い代金を払うと赤字になると言うならば分りますが・・。
下請け従業員が生活出来るようなマトモな賃金を払えないような原価割れ発注を繰り返しているのは、大手自身が下請けにきちんと生活出来るようにすると国際競争に負けると言うならば、国を挙げての出血輸出・ダンピング輸出の問題ですし、大手の利益取り分が大き過ぎて下請けに払う分が減っているならば、優越的地位利用の不公正取引の問題です。
日本と韓国では法制度が違うでしょうが、独禁政策は先進国では概ね共通・・似たような条文がある筈ですが、この活用がされていない・・回避されていることになります。
日本の独禁法を見ておきましょう。
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)(定義)第二条
(1)〜(8)省略
(9)この法律において「不公正な取引方法」とは、次の各号のいずれかに該当する行為をいう。
一〜四省略
五 自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して、正常な商慣習に照らして不当に、次のいずれかに該当する行為をすること。
イ 省略
ロ 不当な対価をもつて取引すること。
韓国歴代政権が財閥の横暴に切り込めない・・独禁法適用を回避して政府がやっているフリ・・パフォーマンスをするために?最低賃金だけ上げても末端では守る体力がない・・これが韓国民の悲惨な状況を拡大させている原因です。
今回当選した文大統領は下請けイジメをやめさせないで(そのままで)、非正規雇用をなくすと言う末端から強制して行く構えのようです。
しかし今でも中小零細企業は大企業による不採算発注の圧力で息も絶え絶えで経営者や家族労働の手取りを削り人件費を削るしかないのに、この構造を無視して「非正規を正規にしろ」と強制して解決出来るのでしょうか?
ある新機軸の商売が始まる多くの場合、既存規制が邪魔していることが多いので、政府がこの解禁で後押しする場合には、やりたい人が一杯いる場合に(民泊のように)その分野の新産業の活気が出ますが、産業界がやる気がないのに政府が特定新産業を推進しようとしてもうまく行きません。
「馬を水飲み場に連れて行けるが水をのませることは出来ない」と言われる所以です。

マンション価格と平均収入1・・バブル3

13日に紹介した記事・・(マンション平均価格が)下半期中に6億ウォンを超えるとみられる」→韓国のマンション平均価格が日本円で約6000万円の意味するところを見て行きましょう。
日本では6000万のマンションを平均的サラーリ−マンでは買えません・(家族構成にもよりますが親の援助や相続財産等をつぎ込まない一般的家族構成の場合、)年収2千万円以上の高額所得世帯に限定される高嶺の花です。
以下のスレがあります。
http://komachi.yomiuri.co.jp/t/2012/0213/483164.htm              
6千万円台のマンション(戸建て)に住む人って?
2012年2月13日 13:55
「私は、というと夫の会社の社宅に家賃2万で横浜中心部に住んでいます。
食品メーカー、36歳で年収はもうすぐ1000万です。
近い将来4千万ちょっとくらいのマンションを購入予定です。
私の感覚ではうちが一番平均的かなと思います。」
親の援助相続財産が手に入った人その他家族構成で人それぞれでしょうが、平均で言えば、上記回答は配偶者の収入を書いていませんが(子供2人私立大学や私立高校へ入れるなどの負担のある人ない人)上記回答が普通の感覚でしょう。
韓国では「平均価格が6000万円」になっていると言うのですから、韓国の平均的サラリーマンの年収が2千万円前後になっていないと無理があります。
以下はhttp://heikinnenshu.jp/country/korea.htmlからの引用です。
「国税庁によると、給与労働者の平均年収は7680万ウォン(約580万円)程度です。
といっても、かなり格差があるようです。実質はもっと低いことが推測されます。
上記の年収は大手企業のみからの平均算出となるためです。
清掃関連会社勤務の方で月収が約7万です。
一方で銀行員の部長は年収が1億ウォン(約760万円)以上となります。
国税庁によると、高額所得者は19万6539人となります。上位の年収と下位の年収では、400万以上も差が出たそうです。」
上記のとおり平均と言ってもどの階層を取るかによって大きな格差があるのでいろんな指標を組合わせないと個々人の生活水準が分りませんが、銀行の部長クラスでやっと年収760万円と言うのです。
ただし、この数字は何年の統計による平均を書いていないので正確には不明(ただし円換算が今と違うので今の相場に計算し直す必要がありそう)ですが、この4〜5年程度では平均値が仮に数十万円アップしていても日本の相場と比較するのには大した差ではありません。
日本の銀行員の年収相場を見ておきましょう。http://nomad-salaryman.com/post-7293
三菱東京UFJ銀行の年収
   新卒15年目/課長:年収1200万円前後
▼目安年齢:37-40歳
  新卒20年目/次長:年収1400-1500万円
▼目安年齢:42-45歳
新卒20年目以降/部長:年収1500-1700万円
▼目安年齢:45-48歳
住友も同様ですが、住友の方が出世競争が厳しい(生き残り率が少ない?)らしいですが、私が職務上知っているおおよその相場観・・大手自動車メーカー部長クラスでも50台になると2000万近い年収の人がいますが、日本と韓国の給与相場格差はこんなもの・・約2倍です。
まして韓国では大手と中小の給与格差が半端ではないのですから、銀行で日本の半分の給与水準とすれば中小の給与格差は3分の1程度に開いている可能性があります。 
韓国では非正規と正規の格差が酷いと言われていますが、実は大手企業の非正規の方が中小の正社員より賃金水準が高い・・この後で紹介しますが、中小と大手の格差の方が大きいのが実態のようです。
現代自動車労組の横暴がニュースになっていますが、生産性を無視したた賃上げ要求貫徹は下請けにしわ寄せしているから成り立つのです。
大手企業が発注単価を叩けるだけ叩く・下請け・中小は採算ラインギリギリの悪条件を押し付けられ、倒産すれすれで働いている・・ひいては賃金も削れるだけ削るしかない→中小の労働者は生きて行くのがやっとのスレスレ状態・・奴隷労働状態になっています。
この格差が大きいからこそ、就職浪人してでも大手に就職したい若者心理が生まれ、サムスンなどに就職するための予備校が発達している社会になっているのです。
大手と中小の激しい格差を前提に日韓銀行員同士の給与格差を見れば、マンション平均価格6000万円の重み・・平均サラリーマンの購入レベルを超えている実態が明らかです。
部長クラスでも780万円しかない韓国で、マンションの平均販売価格6000万円になっているか・・ここまで何故上がってしまったかの疑問について明日以降考えてみます。
まして、賃金格差以外に個人金融資産の配当収益手取りでも日韓格差があります。
韓国と日本の一人当たり個人金融資産やGDPや最低賃金等で比較しておきます。
http://ecodb.net/ranking/imf_ngdpdpc.html世界ネタ帳によれば、「16年の韓国一人当たり27,538.81$で、日本は、38,917.29$」ですから約1、5倍です。
上記は名目値ですからインフレ調整による実質数値ではもっと開きます。
日本は、この外に純債権国として、所得収支黒字は巨大です。
韓国の2016の所得収支を見ておきましょう。http://japanese.yonhapnews.co.kr/economy/2017/02/03/0500000000AJP20170203001100882.HTML 聯合ニュースで見ると以下のとおりです。
「給与・賃金と投資に伴う利子や配当を差し引きした所得収支は14億6000万ドルの黒字だった。」
日本の16年の所得収支は昨年は前年比で円相場が上がった分手取りが減って2兆円も減っていますが、以下のとおり18兆円(・・約1700億ドル)・・韓国の100倍以上もあります。
今は国内生産GDPを人口で割っても本当の数字は出ません・・我々個人でも、海外債券を一杯買っている時代です。
これが国内市消費水準の底上げになっています。
http://www.mof.go.jp/international_policy/reference/balance_of_payments/preliminary/pg2016cy.htm
「第一次所得収支18兆1,360億円▲2兆5,166億円(黒字幅縮小)」
実質的には日本へ送金しないで海外滞留したままの収益が一杯ありますから、個々人の計算上の金融資産はもっと多くなっている筈です。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDC17H0N_X10C17A3EAF000/
家計金融資産、最高を更新 16年末1800兆円 2017/3/17 10:41
http://japanese.joins.com/article/072/221072.html
2016年09月26日14時32分
[ⓒ 中央日報日本語版]
「26日、ドイツの保険会社であるアリアンツグループが発表した「アリアンツ・グローバル・ウェルス・リポート」によると、・・日本は8万3888ユーロでアジア国家のうち1位で、全体調査対象国家53カ国のうち6位だった。日本人は韓国人に比べて約3.06倍の金融資産を保有しているといえる。」
上記のとおり日韓では賃金格差の外に金融資産による所得格差も加わります。
国によって格差が違うので金融資産を人口で割っても本当の生活水準は出ません。

政治と信頼1(意思表示の責任)

不確実性とは何か?要は相手が何をするか分らない・・下の者は何をすれば良いか分らない不安・信用出来ないと言うことです。
昔から政治には周辺者の支持が必須ですが、その支持は約束を守る信頼の上に成り立っているモノで、これ形式化・・「見える化」したの中国古代の韓非子・法家の思想であり、西欧近代の法の支配です。
現在で言えばマニュアル化でしょう。
法とは、国家・為政者の支配・命令の意思表示ですが、仮に一方的に制定されたものであっても、この命令に従った者に相応の恩賞を与えたり、処罰出来ない(罪刑法定主義)など君主自身の行動も縛られる・・国民との約束です。
国家が個別国民と個々に約束出来ないので、公布と言う形式で国民全部が拘束される約束・対世効があるのが「法」であり、個別意思表示でも相手方に対して法律効果が出る・・守らねばならないのでこれを法学用語で「法律行為」と言います。
民法
第五章 法律行為
    第一節 総則
(公序良俗)
第九十条  公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。
(任意規定と異なる意思表示)
第九十一条  法律行為の当事者が法令中の公の秩序に関しない規定と異なる意思を表示したときは、その意思に従う。
(任意規定と異なる慣習)
第九十二条  法令中の公の秩序に関しない規定と異なる慣習がある場合において、法律行為の当事者がその慣習による意思を有しているものと認められるときは、その慣習に従う。」
「法」とは国民が守るべきモノと言う意味であり、個人の意思表示に法律効果があると言うことは、意思表示したことは守るべき義務・責任が生じると言うことです。
企業が消費者の意見を聞かずに一方的に示す(民主的手続がなくとも)約款やレストランのメニューであっても予め示した取引条件・意思表示に企業自身が不特定多数の顧客に対する効果が出る・・縛られるのは「法」と個別「意思表示」の中間的場面です。
一方的命令・・通告であっても実効性を持たせるには、命令・ルール通りにしたことが褒められ、処罰されない・・しょっ中変えない・安定性・信用が重要です。
店舗も定休日や執務時をその都度変えると、せっかく行ってもお休みだったら困るので、客は安心てその店に行けません。
約束は守るが自分に不都合になると朝令暮改では、いつ変えられるか心配で国民や相手は安心出来ません。
議会制民主主義とは君主が勝手に国民に命令・約束出来ない・・側近に諮問していたのを民選の議会で作るようになった内部手続の問題であって、これを経ていない時代でも公布したり命令した途端に国民や官僚に対する約束になる点は同じです。
政治が機能するには、国民が法(政府の約束)に従っていれば大丈夫・政府を信用出来ることが大前提です。
「綸言汗の如し」言われて来た所以です。
これを世界規模に及ぼすと国際合意の重みです。
世界の覇者が法・・過去の国際合意を好き勝手に変更するのでは、民(世界の弱小国)は何を信じてよいか分りません。
アメリカは近年国力の衰えが見えるとは言え、今なお世界最大の強国ですし、アメリカの大統領は世界最高の権力者です。
この最高権力者がアメリカ主導で決めて来た過去の国際合意を自国都合で一方的に変更すると宣言しているのですから、今後アメリカ主導の国際合意をしても彼の気持ち次第で一寸先が見えないとなると、国際合意の価値が減少します。
トランプ氏は、「過去の合意をちゃぶ台返しするが、自分がした合意は守る」と言うのでしょうが、彼の任期は最長でも8年しかありません。
国際合意は長期間の行動指針ですから、大統領が変わる都度変更になるのでは、安心して長期的関係を築けません。
合意だから変更要請を断れば良いかと言うとそうは行かない現実があります。
アメリカの圧倒的影響力があって、高関税や輸入禁止、日米安保ももっと費用負担しないと撤収すると言われれば、日本は拒み切る力を持っていません。
戦前日本がアメリカの不当な要求に次々と屈服・受入れて来たのに対して最後にハルノートを突きつけられて遂に妥協の限界が来て日米戦争になりました。
戦後も自由貿易と言いながら繊維交渉、電気交渉、鉄鋼・半導体・プラザ合意などなどその他全て無理な要求全部受入れて来た歴史です。
日本は無茶な要求されれば、大方飲まざるを得ない弱い関係・・変更交渉に入れば思うままに変更出来る日米の力格差があります。
合意の変更を求めると言うのは一見公平そうですが、力関係に格差がある場合、強い方が言い出すのは一方的変更になり勝ちです。
これを横で見ている韓国がアメリカのように、日韓条約や過去の合意をスキなように反古に出来ると思うようになったように見えます。
韓国の主張や動きを見ると、オブラートで包んでいるアメリカやユダヤ系の本音をそのまま言って来る便利な存在です。
世界中が(3月11日に書いたように中国はかなりの抵抗力がありますが・)一強のアメリカから過去の合意変更を強要されると日本同様に拒み切れない関係ですから、過去の合意を変更したい・アメリカが高関税を掛けると言われるとみんな困ります。
関税を一方的に上げれば報復合戦になるとメデイアは言いますが、日本はとても報復する力を持っていません。
企業で言えば社長が変わる都度、弱い下請けに対して前社長時代の合意を下請けの不利な方向へ変更してくれと言って良いのかと言うことです。
世界最高権力者がこんなことを言い出せば、折角時間をかけて合意してもいつ変更してくれと言って来るか分らない・・権力者への信頼が失われます。
言わば事実上の強制ですから一方的に約束を破るのと結果が変わりません。
政治・権力は支配下の信頼によって成り立っているのですから、横紙破りの一方的なことを宣言すると一見権力誇示で強そうですが、アメリカ自らの世界支配構造をぶちこわす方向へ働くことになります。
国益・・王権維持のために王様は無茶しないのが鉄則です・・勇ましく荒っぽいことを主張すると一見強そうに見えますが、ヤクザがすごむのと同じでそのときの被害者一人に対しては強権を振るえますが、多くの人が眉をひそめる・・結果的に多くの信頼を失う結果になります。
アメリカにとっても長期的には損することですから、アメリカのメデイアは、国益を守るために政権の足を引っ張る方向よりは、政権を軟着陸させる方向へ協力すべきでしょう。
日本にとってもっとも危険な想定・・南シナ海や尖閣諸島問題放任政策への転換は単純レベル・アメリカンファーストの応用編でいえば、トランプ政権にとってあり得る選択肢です。

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