新興国の限界(民度)3

米国利上げ決定を織り込んで中国が昨年末から金利上げを始めていることを昨日から書いて来ましたが、金利上げプラス資本規制強化によって目先の人民元防衛効果が出て来ましたが、その代わり国内景気が下落・・・特に金利敏感係のマンション購入が減り始めることを見越した先手の措置でしょう。
ハードランニングの主役・・不動産バブル・マンション相場については以下のとおりです。
http://reinet.or.jp/pdf/fudoukencolumn/vol201701.pdf
不動研コラム Vol. 2017-01
不動研(上海)投資諮詢有限公司董事総経理 粕谷孝治(不動産鑑定士)
図表I
日中韓台の住宅価格変動率(対前年比)
 東京   ソウル    北京    上海    香港      台北
 4.1%   3.6%   29.6%   24.9%    -3.2%      -8.0%
 (資料)日本不動産研究所「国際不動産価格賃料指数」(2016 年 10 月)(※)
(※)調査対象物件の新築想定の価格等を評価し、これを指数化。
以上は昨年1年間の上昇率ですが、中国の場合少し前から不動産バブルの行き過ぎで、鬼城等が続出していたので今度は政府主導で株式バブルを煽り、これが1昨年夏に限界が来るとまた不動産への逆戻りですから、トータルでは大変な上昇になっている筈です。
上記鑑定士は「政府のコントロールが効く「官製市場」という側面もある点を勘案すれば、2017 年の住宅市場は大きく崩れることはないというのが、中国現地の多くの見方である。」となっています。
中国では、政府がバブル退治を始めても相場が下がり始めるとびっくりして(腰砕け)規制緩和して結果的に救済し・・また値上がりしたことの繰り返し・・バブル再燃を繰り返して来ました。
バブル参加者は政府がハードランデングするまでやれるわけがない・いつも最後は腰折れで、エンジンを再び吹かすに決まっていると多寡をくくっています。
この空気を反映しているのが上記意見書です。
日本人の感覚からすれば官製相場の株式が1昨年夏に大暴落したように「官製市場とは言え限界がある」と言う人の方が多いでしょう。
政府が何やかやと(循環取引の国家版のような)策を弄するとは思いますが・・それによる延命策が効果を持つのは時間の問題でしょう。
昨年末にはオフショア市場でイキナリ短期金利を100%に引き上げることによって人民元を売り浴びせている「仕手筋」に損をさせる(この仕手相場に逆張りで参加している人民銀行には金利負担がありません)のもその一例ですが、奇策は何回もうまく行きません。
以下に紹介するとおり、金利上げへの方針変更の一方でマネーサプライ・過剰供給政策を続けている様子が出ています。
普通ならば、一方でブレーキを踏み他方でアクセルでは矛盾した感じですが、中国の場合はアクセル践みっぱなしにしたいが、アメリカの金利上げの結果人民元下落が進むと対中貿易赤字削減を公約して当選したトランプが黙っていないことから仕方なしに金利だけ付き合ったと言うことでしょうか?
結果的に金利敏感係のマンション相場は終るしかないので、・・普通のクニではこの機会に後始末に入るのですが、中国の場合政府主導によるバブルを旋回的・循環的に?に起こして先送りして行くしかない・・資金供給系・商品相場の投機に移って行くように見られています。
政府主導なので国民の多くが必ず次のバブルを政府が起こしてくれる・・終わりがないことを期待している・・うまく乗り換えて行けば良いと言う(プロ国民の)期待に答えざるを得ないと言うことです。
http://ameblo.jp/katsumatahisayoshi/day-20170320.html
によると以下のとおりです。
「生産者物価指数が、うなぎ登りの上昇を続けている裏には、投機マネーが商品相場へ流れ込んでいるからだ。不動産投機、株式投機、そして商品投機などと投機資金は「旋回」している。中国には過剰通貨が渦巻いている結果だ。今年のマネーサプライ(M2)も期初予想は約12%、昨年の約13%見当から、若干の絞り込みである。それでも、手加減していることは明らかだ。
名目成長率8%経済で、12~13%のマネーサプライが必要なのか。日本の高度経済成長時代は、マネーサプライの供給目標は「名目成長率+3%」と言われていた。これから見ると、中国は1~2%ポイントも過剰な通貨を供給している。その理由は、企業の「ガス欠」(通貨供給)を防止して、資金不足による企業倒産を防ぐ目的が課せられている。これが、回り回って中国のバブルの「燃料」役を果たしているのだ。」
上記のとおりとすれば、中国政府のバブル演出が可能なのは、過剰なマネーサプライが寄与していることは明らかです。
過剰資金供給・ゾンビ企業への潤沢な資金供給が倒産続出を防ぎ高額給与資金になり・・回り回って国民の懐を潤し、(本来なら失業していた筈の)中間層の海外国旅行を可能にしている面があるでしょう。
昨年末から金利切り上げ局面になって来たので、今後はマンション相場から商品相場に資金が動きそうな気配を上記記事は示しています。
これも国内で投機しているうちは良いですが、商品投機・値上がり見込みで(実需もないのに)資源輸入が増えて来ると再び外貨準備が流出します。
中国国内利益の海外送金規制が続いてるようですが、これは今後の外資導入に支障があるだけで既に投資してしまった企業は今更撤退出来ないので心配ないとしても、今度は資金流出ではなく正真正銘の貿易赤字によるものとなれば、資金流出規制のような規制が利かない・・輸入代金踏み倒しをしろ」とは言えば文字どおりデフォルト宣言になります。
http://jp.reuters.com/article/china-trade-feb-idJPKBN16F0FP2017年 03月 8日 16:23 JST
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中国貿易収支、2月は87.9億ドルの赤字 輸入が急増
[8日 ロイター] – 中国税関総署が公表したデータによると、2月の中国貿易収支は606億3000万元(87億9000万ドル)の赤字となった。数カ月に及ぶ建設ブームを背景に鉄鉱石や銅、原油、石炭などの輸入が想定以上に急増した。
2月の輸入は人民元建てで前年同月比44.7%増となった。輸出は4.2%増だった。ドル建ての数値はまだ公表されていない。
キャピタル・エコノミクスのジュリアン・エバンス・プリチャード氏は「向こう数四半期において堅調な海外需要が予想され、輸出をサポートし続けるだろう」と指摘。
ただ今後数カ月で高水準にあるコモディティ価格の低下が予想され、足元の輸入の増加ペースが維持されるとは思えないと付け加えた。
ロイターがまとめたアナリスト予想では、2月の輸出はドル建てで12.3%増、輸入は20%増だった。ともに1月実績を上回り、数年ぶりの高い伸びが見込まれていた。」
ロイターでは、今後海外需要が輸出をサポートすることになると前向きに書いていますが、この輸入増加は輸出用原材料輸入・・実需に基づくのではなく商品投機相場による輸入増であれば、輸出に寄与しない・・高値づかみに終わる可能性があります。
最後に2束3文になりこれを仕入れた企業による・「出血輸出」の再来でしょうか?
そうなると外貨準備はどうなるかです。

新興国の限界(民度)2

フィリッピンと和解しても国際司法裁判所の「どこの領海でもない公海である」と言う判決が利いていて日米等との根本解決にはなりません。
日米その他諸国の航行の自由を妨害すれば紛争が残る・・トランプ氏の出方によれば折角構築した基地を破壊するしかないところまで追いつめられています。
常に対外危機・国威発揚を煽らねばらない内政状態を前提にして、次の紛争相手として韓国に狙いを付けた可能性があります。
「サード配備に言いがかりをつけてイキナリ韓国イジメを始めたのは、領土紛争ではないのでアメリカが出て来られないと言う単線的読みだけでしょう。
折角親中になびいていた韓国に対シテ理不尽な韓国攻撃をすれば、長期的マイナス・不利益を考える余裕が無い程追いつめれているように見えます。
ttps://www.google.co.jp/?gfe_rd=cr&ei=WG7fWIH_Os2Q8QewuKrwCw#q=韓国対中好感度 2017/03/21(火) 00:10
韓国、THAAD報復措置で中国に対する好感度急落…日本を下回る | Joongang Ilbo | 中央日報
高高度ミサイル防衛体系(THAAD)の韓半島配備に対する中国の報復措置が加速する中、中国に対する韓国人の好感度が日本を下回ったことが調査で分かった。
・韓国の峨山政策研究院が19日に公表した中国の好感度は3.21点で、ことし1月4.31から1点以上も下落。これは日本の好感度(3.33点)を下回る数値。」
あれだけ反日意識の強い韓国で一過性とは言え、反中意識が高まってしまったのは中国にとって大きなマイナスでしょう。
当然のことながら韓国でも中国一辺倒のリスクに気が付いて今後の投資先としてチャイナプラスワンの動きが出て来ました。
多くの国は自国への親近感を抱いてもらうために巨額資金を出して外交努力しているのですが、敢えて自分から嫌われることをする合理的意味がありません。
中国の政策を合理的理解しようとすれば分らないところがありますが、国益よりは政権維持が至上命題としてみれば目先ドタバタしている理由が分りよいクニです。
中国はこのシリーズ書いている2項対立の典型世界であり、民族言った意識の強い日本の政治家の場合どんなに悪そうな人でも国益中心で、私益優先行為(結果的にそうなる人がいるとしても意識的に国益に反することを出来る人はいません)など想像出来ない社会とは違います。
ここ10年前後の中国の対外行動基準を見れば、発表されているデータがどうであれ国内事情を対外転嫁するしかないほど政権維持の必要性に迫られていると見るのが妥当でしょう。
あるいはちょっとした努力で対処出来る程度の事柄でもその努力をしないで、何でも対外問題に転嫁して誤摩化す安易な習癖に染まってしまった状態との相互作用かも知れません。
韓国・中国では、ともに過去の日本支配に対する不満を言主張すればどんな理不尽な要求でも通る・・結果的に国内困難を打開出来る魔法のカードを手に入れてしまった結果、長い間地道な政治努力を経験をしないままで来てしまった効果がこの後百年単位で出て来るでしょう。
2000代年始め頃までは日本と中韓力国との国力差が大きかったので、日本が中韓の理不尽な要求でも大概のことを飲んでもどうってことがなかった面もありましたが、国力差が縮まって来たことに加え、次第に要求がエスカレートして来た(韓国の慰安婦や中国の尖閣諸島要求など)結果、日本も容認し切れなくなって来たことから、遂に日本が拒否カードを切り始めたので、対日要求のエスカレートで内政困難を解決する両国の戦後政治のパターンが崩れました。
元々近代国家運営の経験のない両国が、稚拙な運営能力補完のために反日教育を徹底して来た気持ちも分りますが、いつまでもこれに頼ってばかりで済まない現実に目覚めるしかないでしょう。
韓国の場合は、反日教育による生き方・・何でも相手の責任にする習慣・教育がアダになって韓国人が世界中で嫌われる筆頭になっていると言われますし、中国も反日ではどうにもならなくなったので(華僑は世界経験が豊富ですので韓国のように個々人が嫌われる方向ではなく・・国力背景に・・)武力威嚇によって東南アジアを威嚇し、これがうまく行かなくなると韓国相手にイヤガラセを始めましたが、最後には似たような勉強をするしかないでしょう。
ロシアのプーチンも、国内向けには西欧による支配・・今で言えば西欧がウクライナに迫っていると言う被害者意識の訴えで内政を引き締めている状態は同じです。
3月中旬頃から書いて来た世界の注目する中国ババル崩壊の直前の状況に戻ります。
中国の二月末外貨準備増加についての記事です。
http://www.tv-tokyo.co.jp/mv/nms/news/post_127921/
中国人民銀行は、2月末の外貨準備高が前の月から69億ドル増え、3兆51億ドルだったと発表しました。増加は8ヵ月ぶりです。中国は人民元相場の急落を防ぐための外貨準備を元手にした為替介入を控え、代わりに海外送金や外貨両替の規制強化で資本の流出に歯止めをかけ、相場の安定を図ったものとみられます。」
3月25〜8日頃に書きましたが、年末から金利アップで資金流出に対処して来たものの、それで流出が止まらないことによる規制強化でしたから、3月15日のFRB利上げに対抗して負けずに・・あと一踏ん張り・中国が更に金利を上げるのは難しいでしょう。
Business | 2017年 04月 7日 19:00 JST
関連トピックス: ビジネス, トップニュース
中国外貨準備、3月は小幅増の3.009兆ドル 予想やや下回る
[北京 7日 ロイター] – 中国人民銀行は、3月末時点の外貨準備高が3兆0090億ドルだったと発表した。」
反日行動後の不景気対策で金融緩和・不動産バブル奨励中の中韓が、ここでさらに金利を上げるとハードランデングになってしまいます。
かと言って・・放置すると米中金利差で為替が下がる・・対中貿易赤字を敵視するトランプ氏がこれを容認しないのでこれを食い止めるには金利をさらに上げるしかありません。
不動産バブルはローン金利次第ですから、過剰マネーサプライをそのままにしていても金利を上げると不動産相場には劇的効果があります。
そうすると不動産バブルが弾けてしまう・・どちらをとるか・人民元防衛を諦めるしかないところに来ているように見えます。
日本の安倍総理・トランプ会談から、約2ヶ月遅れで漸く実現した習近平・トランプ会談では、トランプ氏の貿易赤字対応要求に対しては金融引き締めで対応するから心配がないと言う回答(100日計画)をしたように聞こえて来ます・・。
あっという間に100日が迫って来ますので、国内のバブル崩壊が待ったなしに迫って来ます。
全体的ハードランニングでは政治が保たないが、金利引き上げによるマンション破綻だけならば、うまく逃げ切った儲け組が次の投機相場に移行して行く・・こうして次々とバブル対象を繋いで行くのが中国流破綻対策のように見えます。
3月の全人代の頃にマンション指標公表中止したと報道されています。
昨年末からの切り引き上げ政策採用によって、最早マンション相場を維持出来ないと腹を固めたからでしょう。
金利を上げるしかない以上は、マンションバブル終了は避けられないが、全体の破綻を防ぐためにマネーサプライの増加基調は下げない・・商品相場等にバブル相場が移転して行けば良いと言う苦し紛れの政策で国民不満の爆発を防げると言う宣伝のようですが・・。
米国の利上げの余波を避けるためには中国も追随金利引き上げは避けられないが、国内景気下支えのためにマネーサプライは別にどんどん拡大するようにも見えますが、そんな都合の良い芸当が出来るのでしょうか?

新興国の限界(民度)1

話題がそれましたが、中国の自分勝手なルールに戻します。
国際社会は先祖帰りを始めた中国の将来性を見限り始めた・・「自分だけ法を守らない」と宣言しているような相手と合法的交際をスルのは無理があるからです。
中国の態度は、テロリスト同様に相手国の自由な情報システム・自由競争原理を利用し放題で・自国には入らせない・・気に入らなければ直ぐにスパイ容疑で検挙するし、工場設置も合弁以外には認めないなどやりたい放題です。
こう言う片面的関係は自分勝手過ぎて長期的にはうまく行きません。
ゲームでも全て双方が同一ルールが原則で相手によっては「飛車角落ち」あるいは何目の置き碁でやることがあっても、その他ルールが同じにして戦う合意です。
中国の場合、後進国として公式に免除されている以上にその他ルールも守らない・サイバーテロ・知財剽窃その他やりたい放題です。
この後で書くつもりでしたが、ここでちょっと書いておくと外部技術導入した場合、当初は一定程度までは生産技術や社会レベルが上がりますが、その先は民度レベルが限界で打ち止めになるのは仕方がないことです。
絵画で言えば、西洋の写実技法が入ってそれを先に応用した人は有利ですが、期間が経過すれば基礎的能力差が出て来るのと同じ・スーパーダイエーがスーパー方式で先行して成功しても時間経過で後発組に負けたのと同じです。
ラーメン屋もトウモロコシを最初に入れたのはアイデアですが、これが一般化すると基礎的な味付け能力差に戻って行きます。
中国は日本等先進国から近代設備を入れて低賃金労働を武器にして世界の工場になっただけで天下をとったかのように誤解して威張り始めました。
反日に始まって周辺国と相次ぐ騒動を起こして「自分の国は強いぞ」「どんなもんだ!」と国威発揚・威張っているつもりでしょうが、中国民度レベルの限界を自らさらけ出しただけ・・逆から見ればば恥ずかしいことをしていることすら分らないのです。
成金が成金であることを自慢することの「恥ずかしさ」さえ理解出来ていないレベルです。
国民にはいろんな人がいますから恥ずかしいと思う人もいるでしょうが、国内対策上恥ずかしいなどと言ってられない・・「そんな気配りよりはさしあたり国民不満を発散させるしかない」と言う切羽詰まった状態・・結局国民の大多数は「恥ずかしいかの基準」よりは「目先金をばらまいたり武力誇示で威張る方が良い」と言うことなのでしょう。
世上訳知り顔で「◯◯人と言ってもいろんな人がいるからイチガイに言うのは偏見だ・・」という意見が多いですが、国家や企業などとして行動する場合には、いろんな人の意思の総和が国家行動になっているのですから、その国家行為でその国民一般が評価されるのは仕方のないことです。
A個人の評価で言えば、いろんな行為の総和でその人柄を判定しているのであって、「あの人もたまに優しいこともあるから・・」言ってその人をかばう人がいても(そう言う面がないとは言わないけど・・)「トータルの問題でしょう」となります。
最近ベトナム人の小学生を殺害した事件が世間を騒がしていますが、日頃如何に児童のために親身に登下校の見守り活動をしていたかは問題ではありません。
反日騒動以来約5年経過で新規投資が減少してボデーに利いて来たのをひた隠しにするために、データ操作に邁進せざるを得なくなっている状態です。
遠くにいる国外投資家相手にデータをいじって誤摩化せても、国民が肌で感じる不満を誤摩化せません・そこで高度成長が中・低成長になり始めた頃から対外紛争を切れ目なく起こさざるを得なくなったようです。
自信がついたから威張っているのではなく、幸いちょっとばかり廻りを脅かすにたる軍事力があることを利用して国民の目をそらしている(つもり)と言うべきでしょう。
馬鹿げたごまかしに乗るのは最低レベル層だけですが、この階層はひごろから何事もうまく行かない不満が蓄積しているので、いつも不満の爆発場面・・切っ掛けを求めている下地があります。
誰かが社会不満の火をつけるとそれに乗って大暴動に点火し・中国歴代王朝末期の原動力になって来ました。
そのガス抜きのために反日暴動をけしかけたと見るのが普通でしょうし、あっという間に政府煽動に乗った人の多さに民衆の不満がどれだけたまっているかを日本その他諸外国が認識出来ました。
日本では奈良・平安〜鎌倉〜室町応仁の乱〜戦国時代〜明治維新の大変化は、いずれも社会の担い手の変化に対応したもので、無意味な・・不満だけによる庶民の大暴動が起きたことがありません。
中国の場合意味のない大暴動の繰り返しなので、王朝が何回変わっても前王朝の繰り返し・・発展性がなかった原因でしょう。
日本では江戸時代以降若者のありあまるエネルギーを各地のお祭り騒ぎに転嫁して来たのですが、中国の場合単なるエネルギーではなく社会に対する不満ネルギーですから、暴発エルギーを対外不満・攻撃に転嫁せざるを得ないのでしょう。
この辺はサッカー大会でも日本人の応援団が市街ア終わった後のエネルギーで掃除シテ帰るのに対して、他国相手チームに対する攻撃や暴動に発展する他国応援団の違いです。
不満発散を外に求める手法は現在ロシアその他新興国の多くで見られる政治手法です。
ロシアの場合原油値下がりによって、財政的に後1年もつかと言うくらい追いつめられていると言われますが、逆に膨大な経費のかかる軍事力行使の勢いが強まっているのも同じ・・弱みの裏返しです。
周辺を威嚇するような軍事力がない結果、経済原理のママに委ねているベネズエラのばあい、原油価格下落により政権の危機拡大が続いています。
今は、アメリカの力が弱まったことを利用して地域大国の場合、周辺国に対する威嚇・軍事力行使で内政不満を吸収して不満層の拳の振り向ける先を敵国に振り向けるのに成功している印象です。
中国の場合ロシアほど財政的に窮迫していないものの成長神話のかげりを認めたくないために、不満分子の目をそらすために目先反日実験したもののうまく行かなかったので、今は対韓制裁と称して徹底攻撃しています。
韓国の場合ソフトパワーで反撃される対日本攻撃と違って安心感があるでしょう。
韓国も日本同様にチャイナプラスワンに動き始めましたが、中国は韓国程度のクニがどう動こうと次に中国が必要とする高度技術がないので、(日本の場合ドイツに頼れば良いと思ったでしょうが、うまく行かなかったのは日本が公害その他これから必要となる最先端技術国だからです・・)その移転が止まる心配がない・・大した痛手にならないと言う読みがあると思われます。
中国政府はもの凄い勢いで膨らんで行く国有企業の負債額のデータを減らすために、株式化して債券額を減らして株式市場に投げ込んだ・・幸い株式市場は1昨年から殆ど機能していないので市場に投げ込んでも暴落しない安心感がある・・経済原理無視の無茶苦茶を繰り返しています。
南シナ海紛争はこれ以上広げると米国を刺激し、危険が大き過ぎるのでやめるしかなくなった・・これがフィリッピンとの和解成立の背景です。
和解条件に巨額援助約束するしかなかった・・フィリッピンは実利をとったのですが、フィリッピンの屈服を引き出すためにバナナ輸入規制等で脅かしていたのに、逆に自分がその何倍も援助約束して和解するしかないのでは、何のための争いだったのか分りません。

近代法原理の見直し5( 令状主義の限界)

令状主義の限界・・捜査手法は犯罪の変化などに合わせて時代とともにあると言う意見の続きです。
機械やシステム整備だけでは、検挙し難い・・システム整備が進むには何年もかかるのであちこちに構築が終わった頃にはテロリストの方がその抜け穴探しに成功しているのが普通です。
私のような不注意な一般人が何かに慌てて間違ったボタンをオスなどして引っかかるのがオチ・抜け穴を研究しているテロリストの方は機械に引っかからないように全てクリアーする工夫をして犯行現場に来るのが普通でしょう。
要はサイバーテロと同じです。
本当に治安を守るには事前情報によって要注意人物を継続的に監視する・一般搭乗客向けの流れ作業では発見出来ない微妙な細工物などを念入りにチェックしたり、人間の目で注意観察などで事前発見に繋がり易いなどの関係にあります。
弁護士が経験する日常的現場で言えば、スーパーなどの防犯カメラが万引きを検挙するのではなく、警備員がプロの目で挙動不審者に気づくとそれとなく様子を見張っていると案の定レジを通さないでそのまま出て行くので、直ぐに追いついて万引き犯を検挙するなどの例が一般的です。
自衛権の定義も、北朝鮮から核攻撃受けてからでないと応戦出来ないと言う19〜20世紀前半型の定義でこと足りるかの議論の必要性があるのと同じです。
日露戦争時に・・バルチック艦隊が対馬海峡からはいるのか宗谷海峡廻りかが迎え撃つ日本海軍にとって重要情報でしたが、「敵艦見ユ」との報に接してから連合艦隊が出撃しても迎撃に間に合ったのです。
「敵艦隊見ユトノ警報ニ接シ聯合艦隊ハ直チニ出動、コレヲ撃滅セントス。本日天気晴朗ナレドモ浪高シ」
今は数分〜10分で北朝鮮や中国核爆弾が到着する時代ですから、爆弾テロ同様に全て後追いで・証拠を集めてからの検挙・反撃で間に合う時代ではありません。
スーダンのPKOでも書きましたが、今では群衆が徒歩で押し掛けて来る時代ではなく、ロケット砲などの攻撃を受けるまで(プライバシイ侵害のおそれがあると言う理由で)情報収集せずに待っているのでは、自衛出来ません。
上記のとおり今や事前に令状を示してから家宅捜索する(してもテロ計画の文書などある筈もない・・証拠自体見つからないに決っています・・指令メールが見つかっても今の法体系では、共謀だけでは犯罪ですらないから差し押さえすらも出来ません。
上記のとおり新犯罪類型では・定型行為を前提とする令状主義ではものの解決にならないに・・令状「主義」自体が破綻していることは明らかです。
令状で間に合う事件は従来どおりで良いですが、間に合わない事件には別の方法が必要です。
最高裁は憲法に書いていないプライバシー保護にまで令状がいると言うから、却って時代錯誤性を露呈しました。
ソモソモ令状「主義」と言う表現自体が、合理性を無視して何が何でも当てはめ拡張しようとする「主義」性を意味しています。
物事は是是非・・必要に応じて決めて行けば良いのであって、あらかじめ「主義」イデオロギーを決めていろんなものに無理に当てはめようとするのは間違いです。
欧米では早くからちょっとした犯罪でも現場射殺が一般化していることが・・黒人の抗議活動等を通して伝わって来ますが、暴動等がなくて大きく伝わって来ないその他の分野でもかなり実務が令状主義のドグマを離れて進んでいる筈です。
実際の犯罪捜査では、令状主義ドグマの限界・矛盾に耐えられないからでしょう。
この点について近代法の原理・基本から考え直す・・新たな法体系を練り上げるのは裁判所の役割を越えているので、立法府のやるべきことではないかと言う意見かも知れませんが、そうとすれば敢えて憲法35条の保護対象と言い切る必要もなかった・証拠排除しない方が合理的であったように思います。
憲法35条の保護対象に入っているからGPSを捜査に使うためには憲法改正が必要と判断すれば、そんなテーマでは憲法改正運動が盛り上がるわけがないので、ほぼ半永久的に利用出来ないでしょうから、憲法の令状対象に入っていないとすれば、令状を必要とする憲法を改正するまで令状なしに捜査に利用出来ます。
結局捜査のあり方をどうするかの政治的立ち位置次第で、憲法解釈が決まって行きます。
そこで民意の1〜2割の支持しかない政党は、選挙では勝てないので憲法学者等への浸透を重視するようになります。
憲法学者の多くが憲法違反と言い、これに影響されて運良く最高裁が認めれば鬼に金棒です。
4月6日に書いたように憲法改正は圧倒的大多数の国会議員を擁していても(選挙で勝っても)殆ど不可能な制度ですから、(国民の支持を受けていない)少数政党でも、憲法学会の支配的勢力を獲得すれば、国家の基本に関わる政策に反対するには「憲法違反」と言うテーマを掲げて戦えば良いことになります。
憲法学会の大勢に裁判所が呼応して「これは憲法違反」だと言う判例を作ってくれれば新たな法制定反対が出来なくなるので結果的に拒否権を、持つようになります。
「何でも反対政党」と言われていた社会党や共産党が憲法違反の主張をしょっ中して来たことや憲法学会〜司法界に浸透して来た所以です。
高浜原発停止決定の効果で運転が止まっていたのが、3月末の大阪高裁決定では再稼働可能になりましたが、地裁数人の裁判官の意見で国論の割れているテーマ・・原発を1年前後も停止させてしまえるのが、裁判所支配の威力です。
こう言う制度設計って、民意重視社会と言えるのでしょうか?

政治と信頼2(ルール違反・実力行使)

直ぐ見える単純利害レベルでは・・アメリカが日中対立に関わって軍事支出が増える・人命損がはっきりしている割に、目に見えるメリットが少ないのでこれを対中密約で譲る可能性を否定出来ません。
日米安保がアメリカのサボタージュにより実効性がないとなれば、アメリカの世界的信用下落その他複雑・間接的影響は大きいものの、複雑系に弱いトランプ政権のレベルからすれば、サボタージュのレベルを外見上分り難くして誤摩化す程度の裏取引がありそうです。
結局はアメリカ国内の鉄鋼業界救済・進出済みの自動車業界等救済のために、日本を売る・・アジア安保を(裏で)放棄することになる可能性があります。
その上、中国(との裏約束を言わないで)も45%の関税その他の要求を中国が飲んだのだから、日本も相応の高関税または輸出制限をのんでくれと言う要求に使って来るでしょう。
これを防ぐために安倍総理はトランプ氏の懐に飛び込んだのですが、彼はいくら約束してもその場の目先損得で動く・・これを行動原理にしていますから実は信用出来ません。
長年掛けて成立して来たWTOの約束を簡単に踏みにじることも厭わないと言い、アメリカ自ら推進して来たTPPを何の根拠もなく反古にすることを何と思わない人物です。
WTO違反を問題にしないと言う意味は、その前に実力行使してしまった方が勝ち・訴えられてもそのときのことだ・・アメリカは強いんだぞ!と言うことでしょう。
反日暴動時の中国によるレアアース禁輸も同じ論理・・日本がWTO違反と訴えても結果が出るまで数年以上かかる・・その間日本が持ちこたえられなければ、屈服するしかない・・訴え取り下げを強要出来るだろう」と言う読みによる実力行使でした。
戦国時代に小さな城が何故あるかと言うと簡単に占領されると応援部隊もどうにもならない・・互角に戦えないまでも、少なくと応援部隊が来るまで持ちこたえられる程度の防衛力が必要とされていたからです。
戦国時代の物語では、応援部隊が間に合うと双方大軍同士のにらみ合いでちょっとした小競り合い程度で一定期間経過で双方退陣する流れですが、応援軍が到着前に城が落ちてしまうと、応援軍はなす術がなくそのまま帰ってしまうパターンです。
双方が主力軍の激突を辞さない覚悟のときには川中島の合戦や長篠の合戦みたいになりますし、イラクのクエート侵攻のように勝負がついた後でも米軍がこれを奪い返しました。
そこまでやる気がないと、ロシアのクリミヤ併合のように、既成事実を作ってしまった方が勝ちです。
このように、日米同盟と言っても米軍到着まで日本が一定期間自力で持ちこたえるのが原則です。
WTO違反で訴えるにしても裁定が出るまでの間、自力抗戦能力がないと絵に描いた餅になります。
フィリッピンは折角国際司法裁判所の判決で勝っても、勝訴の効果を主張出来ないほど弱いことが明らかになりました。
たとえば、レアース禁輸時の時間軸・帰趨を書いておきます。
.中国レアアース禁輸に関するhttp://www.h-yagi.jp/00/post_231183.htmlの記事からです。
「WTO(World Trade Organization:世界貿易機構)紛争解決制度は3月26日、中国がレアアース(希土類)の輸出に課している関税や割当量制限を「不当」と認める裁定を下しました。
日本や米国,EU(European Union:欧州連合)は平成24年6月に中国へ共同提訴。日米欧勝訴の正当な裁定が下されましたが、中国は裁定を受入れるか、控訴するか中国商務部は裁定内容を評価中。フィナンシャル・タイムズ紙は「今回の判決で片付きそうにない」と評しています。」
「スマートフォンやHV(ハイブリッド)車に欠かせないレアアースは、中国が世界をほぼ独占状態の生産量で日本は中国からの輸入に約9割も依存。平成22年9月に尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件を機に中国は,対日経済制裁ともとられる一方的なレアアースの禁輸措置をとりました。」
「中国のレアアース禁輸措置を受け、米国やオーストラリア、太平洋の海底など鉱床開発が進められ生産は広がり価格も下落。さらに、日本では先進技術でレアアースに頼らない技術も開発するなど、中国は自らの行為で立場を弱めた結果となりました。」
上記記事は2014年4月1日の記事ですが、平成22年の禁輸措置=2010年のことですからWTO裁定まで約4年かかっており、しかもWTOは2審制ですから、控訴して最終決着までには更に数年かかかってしまいます。
(最近最終決定が出たように記憶していますが、最早ニュース価値が低いからかネットですぐに見つかりません)
南沙諸島を巡る領土紛争を有利に進めるためのフィリッピンに対する中国のバナナ輸入規制等の嫌がらせでは、フィリッピンは簡単に屈服しました。
折角国際司法裁判所で完勝したのに、ちょうど政権交代があって就任したばかりのドウテルテ大統領はこの効力を主張しない・・屈服を選ぶしかなかった印象です。
レアアース問題が実際に解決したのは、WTOの裁定によるのではなく輸入の9割も中国生産に頼っていた日本が新技術開発に成功したことによって、中国の方が禁輸を続けられなくなったことによります。
国際関係は戦国時代がちょっと良くなった程度・・正義が貫徹する社会はありません。
日本は充分な在庫があり素早く技術革新出来たので、逆に中国が在庫増加に困って勝負がつきましたが・・。
ついでに同サイトの[2013.9.30」の記事もお浚いをかねて引用しておきましょう。
中国当局:尖閣領土問題でレアアースの日本輸出を制限

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日中関係の悪化は平成22年、尖閣諸島での中国漁船衝突事件から始まり、当時弱腰だった民主政権は海上保安船へ衝突させた中国人船長らを逮捕するもののあっけなく釈放。領土問題が勃発し中国当局は、ほぼ独占輸出品であるレアアース(希土類)の対日輸出を制限しました。
日本企業は、代替国からの輸入や技術の力で代替品、リサイクル技術の向上で中国産レアアースのニーズを急減させました。結果、昨年の中国のレアアース生産量は、ピーク時の平成18年の16万トンから半減。日本への輸出量は平成22年からわずか2年で4分の1に減少しました。日本の技術革新が中国の外交カードを打ち消し、中国当局にとっては大きな誤算となりました。日中関係の冷え込みが続くなか、中国を代表する金融グループや通信企業のトップら11人が9月25日、首相官邸を訪れ菅官房長官を表敬訪問。中国のトップらは、「日中の企業同士での交流を深め、日中関係を良くしたい」と述べ、民間交流の重要性を強調しました。
チャイナリスクを痛感!技術革新こそが日本の外交力
昨年(この記事は23年9月です)の尖閣諸島国有化では、相変わらず中国当局の嫌がらせは続くものの外交カードは切ってきません。外交カードを安易に用いたことで日本企業にチャイナリスクの恐ろしさ知らしめ、その対抗策に技術革新が日本の外交力であることを気づかせました。」

日中関係悪化の影響:貿易は1割減、中国への投資は3割減
JETRO(日本貿易振興機構)によると、今年上半期(1月~8月)の日中貿易は、前年同期比10.8%減の約14兆5,290億円。4年ぶりの減少を記録しました。中国向け直接投資も同31.1%減の約4,900億円まで落ち込みました。中国経済の需給バランスは日本企業の影響だけでも痛手となったはずです。」

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