中国の国際ルール破り6(信頼関係破壊)

遅れて世に出た人には都会的教養の欠如=洗練された礼儀作法の欠如もありますが、その代わり都会の俗塵にまみれていない素朴な良さもありますし、単に粗野なだけの人もいます。
貧しく育てば弱者の気持ちのよく分る思いやりの深い人もいますが、逆に意地汚くなっているだけの人もいます。
平家物語に出て来る木曽義仲殿最後までの描写は、田舎出身の純朴さ・純朴な精神が活写されている点に人気があるのでしょう。
一方で都会人は、みんな洗練されている訳ではなくて、世俗にまみれて(ずる賢くなって)薄汚くなった人(庶民)の方が圧倒的に多いことも事実です。
ただ中韓両国を除けば、高潔な人の方がどこの国でも少ないとしても、高潔な行動が価値の基本となっていて国家や社会組織としてはそう言う思想で運営されていることが大きな違いです。
米英のやることは汚いことで知られて・・言ってることやってることが違い過ぎるので世界の信用を失いつつありますが、表向きは一応人権重視など正義を標榜している分だけまだマシです。
中国の場合表向きも専制体制を標榜しています。
習近平氏は中華帝国の栄光の復活と称しているので、日米から独裁運営の疑問が指摘されて日米が透明性がない限り参加しない・・様子見の状態にも関わらず、結果的にAIIBを露骨な中国一国支配体制の機構として設立していまいました。
国際社会に遅れて出て来た中国・韓国に愛すべき純朴さがあるのでしょうか?
彼らは世界に出たのが遅かったのではなく、中国2000年の歴史(自分たちでは4000年と誇大表示していますが・・)と言うように、日本よりも早くから世に出ていたのですが、この間に人倫の道を学ばなかったようです。
この間に学んだのは、「権謀術数」の限りを尽くすこと・「如何にして権力者に取り入るか」「相手を狡猾に騙して蹴落とすか」、政争に勝てば「如何にして相手人格を貶めて卑しめるか」、「残虐に苛めるか」の工夫ばかり発展していて、言わば「悪の道」を極めるために長い歴史経験を積んで来たことが分ります。
4〜5日前に決着のついた世界遺産登録(明治の産業遺産)の問題で、直前に韓国外相が訪日して「相互に文句言わずに相互同意しましょう」と合意したので、日本が先に韓国遺産登録の審議で同意した後で、日本の遺産の審議になったトキにイキナリ韓国が徴用工の問題を持ち出して反対演説を始めたので、日本遺産登録審議が長引いてしまいました。
数日遅れて漸く決着がつきましたが「こう言う信義のない国とマトモな交際をするのはお断り」と言う人が余計増えたのではないでしょうか?
韓国はいつも相手を信用させて背後から斬りつけるやり方が特技として知られていますが、今回もそれを実行して、まんまと成功したとほくそ笑んでいることでしょう。
中韓両国は遅れて世界に参加したのではなく、早くから参加していたが悪い方の智恵ばかり磨いて来たから、今になって世界秩序撹乱者と言われるようになったのです。
従来は中華秩序と言う変則世界・・対等者のいない世界秩序しか知らないので、一君万弱世界・・強い者を中心にして君主に気に入って貰う競争・・相手を蹴落とす程度の競争しか知らないで来た「井の中の蛙」だったことになります。
こう言う世界では・・身近な同僚とさえ信頼関係が生まれようがありません。
日本では紙幣・・藩札や手形が、江戸時代から発達したのは、高度な信頼社会が構築されて来たからです。
ゴミを捨てる汚い行動をすればその場で注意出来ますが、偽造紙幣のように陰で不正をする人が増えると取締が追いつかなくなって最後は紙幣に対する信用がなくなり、貨幣経済が崩壊します。
ネットもしょっ中乗っ取られると怖くて使えなくなって、ネット社会が大混乱します。
現在社会で言えばサイバー攻撃がしょっ中行なわれると社会組織破壊面では、爆撃による鉄道網や道路網寸断に匹敵するような効果があります。
今回の年金記録窃取事件も、金儲け+日本のシステム混乱・・内政混乱(野党が政権批判の種に利用するので内政が停滞する・・)マイナンバー法施行対象拡大阻止による日本の行政効率化を少しでも妨害するなどの多目的犯罪と見るべきでしょう。
「信頼こそ大事」と言う価値観で生きている日本の安心・信頼社会を根底から覆す試み・・破壊活動とも言えます。
ちなみに、マスコミは自然現象・あるいは関係者が故意に漏洩したかのように年金「流出」「漏洩」事件と表現し、被害者の社保庁→年金機構と言うのかな?の責任追及ばかり熱心ですが、おかしな現象です。
この報道姿勢は、被害者を加害者のごとく責め立てる・・・レッキとした犯罪被害の本質・・犯罪者が如何に悪質か・今後世界の発展に必須の信頼社会の基礎を破壊する悪質なものと言う視点があまり感じられません。

日本のバブル処理と失われた20年の関係(アメリカによる日本叩き)

日本の不動産バブルは、これを退治しても直接被害は金融機関や不動産屋の倒産程度だけで済む、・・両業界の半分がつぶれてもこの業界の従事者数は多寡が知れていました。
結果的に住専や農協系金融や金融業者等の淘汰が進んだだけ・・製造業界も過剰投資の解消に時間がかかりましたが、これは不動産バブルに直接関係がない・アメリカ中心とする日本叩き・・超円高の攻撃によるものでした。
ずっと前から書いていますが、私はバブル前から事務所に来ていた銀行員(当時は外まわり営業の大手銀行員が事務所にしょっ中来る時代でした)に、すぐに(大口顧客は社債発行になって行くので)本来の顧客・優良借り手がなくなってすることがなくなるよ!と言っていました。
(日本は純債権国になって資本あまりの国だから融資を本来の目的とする銀行の使命が終わったと言うのが私の意見でした)
本来の仕事がないのだから業容を縮小または転換すべきなのに、生き残りをかけて無理な融資をしたことが、不動産バブルの誘因になったと書いてきました。
その後国債を買うしか能がないのでは、問題であることも書いてきましたが、日銀の国債購入開始でこの変な役割も終わりになりつつりあります
日本のバブル崩壊は・・住専消滅や農協系金融の縮小→金融界の大合併・・店舗減少などなど無駄な業界がスリムになって終わりました。
日本のバブルは不動産業界や不動産関連業界によるゴルフ場用地買収や宅地造成用地仕入れ等中心震源地でしたから、これに関係していた金融や不動産関連業界が淘汰縮小されても、大して失業者が増えず、国内製造業界にも悪影響を与えませんでした。
100億円の負債での倒産を例にすると、ゴルフ場用地買収していた不動産業者の場合、従業員が10人前後で足りて、しかも債権者は銀行等数社だけと言う場合があります。
これに対して工場系が同額の負債で倒産すると、職を失う従業員数は膨大な数に及び、関係下請け納入業者など膨大な関係者が連鎖的被害を被ります。
日本は長年生産力過剰に苦しんできましたが、これはバブル崩壊とはあまり関係がありません。
いわゆる失われた20年は、バブル崩壊による生産力過剰によるものではなく、アメリカによるジャパンパッシング・日本敵視政策により、経済孤立させられていた結果であり、絶えざる円高攻勢を受けて企業は海外展開加速するしかなかったた結果、国内生産力過剰になっていたものです・・。
(国内空洞化が長期間進めば日本の技術力が壊滅する期待があったでしょうが、努力しないで安易に海外展開しているとイザと言うときに国内に技術が残っていなかった筈ですが、この間トヨタを始め日本企業は頑張り抜きました)
現在の好景気は、円高収束=円安によることと国内技術を温存して来たことが原因であることは、誰も疑わない事実と言えるでしょう。
逆から言えば、際限ない円高が続く限り、海外展開が際限なく続く・・どこまで企業努力しても(1割の円高に対応して1割コストを削ると、また1割円が上がることの繰り返しでは、企業は溜まりません)その効果を無にする円高が来年も再来年も続く限り、国内生産力過剰が続く→年々規模縮小して行くしかない仕組みでした。
これを際限なく続けて日本人にやる気をなくさせて、駄目にしてしまおうと言うのがアメリカの政策だったと思われます。
この政策の協力者として経済解放したばかりの中国江沢民政権が乗っかり、韓国も乗っかって共同して日本叩きに精出して来たのがこの20年間でした。
ところが中国が分際を弁えずアメリカに正面からに挑戦し太平洋を二分しようとか海洋軍事進出を始めてアメリカの「鼎の軽重を問う」ようになったので、アメリカも怒り・・同時にアメリカがアラブ、ウクライナその他全世界的に政治力学上失策続きで、日本の協力が必要となったので、(安倍外交の成功もあり)日本敵視の政策方向が逆転しました。
昨日あたり中東の湾岸諸国6ヶ国を集めてのオバマ大統領との首脳会議は、2カ国しか首脳が出席しないでサウジなど大国は代理ばかりで、オバマは大恥をかかされています。
中小国首脳がオバマに会いたいと言っても滅多に会えないのが普通でしょうが、オバマが会いたいと言って招待したのに小国首脳が出席しないとは驚きではないでしょうか?
日経新聞報道ではバーレン国王は、英国招待の馬術競技観覧を優先したと言うのですから国際政治は、日本のように相手の顔を立てるような配慮はしません・・露骨なものです。

覇道支配の終焉1

日本にもアメリカ式金融資本主義一辺倒に走りたい人もいますし、戦争に負けたらすぐにキリスト教に改宗する人もいたでしょうし、ドイツ式に原発が危険だとなればすぐにやめた方が良いと短絡的に走る人もいます。
多種多様な人がいるから(英米法に詳しい人や、金融デリバティブで稼ぐ人も必要です)日本は適応能力が高いのですから、八百万の神を認めるのと同様に、短絡的な人がいる事自体めでたいことです。
そう言う人にとっては、被害がなくともドイツが原発政策を全面(廃止方向へ)変更しているのに、あれだけの被害があった我が国が、何故直ぐに「廃炉する」と決めないんだ!「何をモタモタしているんだ」と言う気持ちでしょう。
原発事故=全面即時廃炉論者と、日本の敗戦は軍備があったからだ、軍備さえなければ敗戦がなかったと言う・・意見は短絡的と言う面で繋がります。
その結論との間にはいろんな思考パターンがある筈ですが、この辺が単純・・文字どおり「短絡」ショートさせてしまうのが、この種論者の特徴です。
複雑に考える必要がないので原発が良いとなれば原発一辺倒、駄目となればすぐに全面撤退で、こう言う人は生きて行くには簡単で良いかも知れません。
韓国をみると、自由貿易体制が良いとなれば民意など無視して100%その方向へ舵を切るなど、アメリカ式に表音文字・ハングルだけにしてしまう・・戸籍制度もやめてしまうなど、すごく簡単に大幅な制度改正をしています。
元々自国の基礎文化が薄いことが簡単に大変更出来る原因かも知れませんが、中国などでは歴代王朝が転覆すると前王朝を全面否定する文化・・全く新しく歴史を書き換える文化です。
我が国で考えている歴史とは違い、中韓やアメリカなどは客観性など問題にしない・・勝った方が歴史を好き勝手に作るのが当然と言う意識の社会であることを理解しておく必要があります。
アメリカの好きな・・基本国家原理である「法の支配」も、東京裁判を見れば誰でも分るように、事後法で一方的に裁いて人殺しをしているのですから、アメリカの基本原理である法の支配自体に矛盾している・・破綻しています。
また原爆投下や一般人殺戮を目的にした東京その他の大空襲は人道に対する罪そのものですが、これに対する一切の弁明すらしていません。
アメリカの価値・道徳観は、どんな非道なことしても腕力さえあれば良いと言う本質を表していますので、権力闘争に勝ちさえすれば何をしても良い・・中国の歴史同様の専制支配の価値観と本質が変わっていません。
この種の身勝手な二重基準は、世界各地で行なわれて来た筈(イラク戦争も同じ)ですから、今や世界中がアメリカの身勝手な行動に対する不満だらけです。
この国が「法の支配」「人道主義」などと言っても、世界中(国内では激しい人種差別がまだ続いています)で誰も信用していないでしょう。
アメリカの言う「法の支配」とはアメリカ以外の国に対する専制的支配を前提にして、権力意思の貫徹を目的にしていた中国古代の韓非子の法家の思想と同じで、「法」自体正義に基づくか否かではなく、自分の決めたルールを弱者に守らせようとする利己主義の表現でしかありません。
この辺の疑念があるので、市場開放・自由主義とかTPももしかしたた、アメリカの一方的要求を貫徹する道具じゃないのか?と言う疑心安危が小国に根強い理由です。
アメリカの国際政治の基本は、王道(道義)によるのではなく、覇道によると言うべきでしょうから、世界中でアメリカ式圧政に対する不満が高まるのは仕方のないことです。
この矛盾に対する世界的抗議が9・11以降世界的抵抗が燎原の火のように広がって来た原因と思われます。
日本以外の国では、前政権の支配は全面的に悪かったと言う虚偽歴史、虚偽の正義を教えることにも、何の疑問も恥ずかしさもありません。
日本の場合、その都度前政権の功績を認めてその上に改善して行く社会でしたから、絶え間ない発展が続いて来たのですが、中国では王朝が倒れる都度全否定から始まる・・ゼロからの繰り返しでしたから約2000年間制度的に全く発展性がなかった原因です。
彼ら(特に中韓政府)から見れば、2000年にわたる専制支配下で生き抜く智恵を身につけて来た経験・・覇者に取り入って自己保身することには長けていますので、アメリカに気に入ってもらい相手(日本)を蹴落とす権謀術数ではヒケをとらないと言う自負心があるようです。
習近平氏就任直前の権力闘争の激しさに関して、権力闘争に関しては2000年の歴史があるので、権力闘争(・・権力内の政敵を蹴落とす争い・・現在では覇者あるアメリカの意を迎える競争)に関しては、「日本などは赤子の手をひねるようなものだ」と豪語している関係者発言?を読んだことがあります。
実際に韓国系はこの能力を活かして国力の割には、米国政界に巧妙に取り入って大きな地盤を築いています。
中韓の価値観では、覇者(古い言葉で言えば専制君主)アメリカの支持を受けている限り噓でも何でも言い募って弱い者イジメに使うのは古来からのやり尽くして来た讒言の一種であり、「強者の覚えが目出たい」取り入るのに有益と言うプラス要因でしかない前提ですから、我が国が慰安婦問題や南京虐殺は史実と違うと主張すること自体が「世間知らず」とバカにされていました。
南京虐殺であれ慰安婦であれ正義・事実とは関係なく、世界覇者のアメリカが喜ぶかどうか、アメリカが裏で推進する気があるかどうかで勝負が決まると言う考え方です。
こう言う狡い考えが世界中ではびこっているのは、アメリカ自身に正義に従って行動する基準がないからです。
賄賂で動く女に弱い、お酒が好きだ、ゴルフが好きだとみれば、その道で攻勢を掛けるのが普通ですから、要は上に立つ人の生き方です。

植村記者問題4(ムード報道と義母の関係3)

植村記者の書いた記事自体については、委員会資料にはその記事の写しが出ていないので何が問題になっているのか正確に分りません。
私自身1月9日に記者会見を開いているのを見て初めて彼個人が「でっち上げ・・」と名指しされて批判の的になっていることを知ったくらいです。
植村記者のキジには強制連行と言う文字が仮になかったとしても、(記事に「騙された」と言う文言があると見解に紹介されている以上は、連行されたと言う記事と矛盾するので虚偽報道問題の可能性があるように見えます。)記事は前後の文脈で理解されるものです。
それまで散々朝日新聞が裏付け取材しないまま強制連行を煽って来た実態があって、その後実際の慰安婦がまるで存在しない・・探しても被害者がいないことが社会問題・・焦点になっている状態下で、(強制連行と明記しなくとも)慰安婦が初めて名乗り出たと言う衝撃的ニュースを出せば、多くの人は強制連行された慰安婦がやっぱり実際にいたのかと言う印象を受けるのが普通です。
(年末からの情報操作シリーズでは、マスコミがイメージで誘導する弊害を書いていますが、朝日はそれをうまく利用していたのです。)
植村記者の1月9日発表の訴状は多分「名乗り出た慰安婦はでっち上げではない」し、仮に慰安婦が偽物としてもその「創作」に加担していないし、「自分は強制連行されたと書いていない」と言う言い分が含まれているのかも知れません。
(訴状写し自体を記者会見で配布したか不明ですが・・)朝日の全体報道あるいは当時のマスコミ界全体の文脈で国民は単発記事をムードで受け止めるものです。
朝日が明白に吉田証言取り消しや謝罪をしないまま進んで来た中で、(これは委員会「見解」でも批判されています)慰安婦出現が大ニュースになったのは強制連行を実証出来るかの大論争の文脈があるからこそ、大ニュースになったものと思われます。
売春婦が名乗り出たと言うだけならば、そう書けば良いことで、(キーセン学校で教育を受けていたことを記事にしなかった不作為が非難されているのはこの意味で重要です)韓国は今でも世界に冠たる売春大国ですから、売春婦が何万人名乗り出てもエポックになるような大ニュースにはなりません。
植村記者は、勤務先の朝日が主張して已まない強制連行の被害者が実際にいるのか否かが大論争・問題になっているとき「勇気を出して名乗り出た」と言うムード強調のためにわざわざソウルから特報記事を送ったとしか考えられません。
ここでは積極的に「一般の売春婦が名乗り出た」とはっきり書かない限り、読んだ多くの国民は強制連行された慰安婦が遂に名乗り出たのか?と誤解してしまう効果を狙ったと理解する人の方が多いでしょうし、その記事に「連行」と言う文字を書いている以上はなおさらです。
一般国民よりも資料をじっくり読み込む筈の弁護団が、その年中に国家賠償訴訟を提起している以上、弁護団も強制連行されたと理解していたことが分ります。
昨年末「情報操作・羊頭狗肉」のコラム以来書いているように、マスコミ界の狡さを時間軸で応用演出したからこう言う事誤解が生まれるのです。
1つの記事や週刊誌内で表現する場合には、大見出しと内容の違う記事が(羊頭狗肉)同時になるのが普通ですが、慰安婦問題のように10年単位になると、強制連行記事を延々と繰り返し書いた後で、「遂に慰安婦が名乗り出た」と言う印象を発表する際に「強制連行」と表題を付けなくとも、強制連行された被害者が名乗り出たのか?と一般読者が印象づけられるのが普通です。
もしも植村記者が強制連行されたと書いていなかったとしても、普通の売春婦が名乗り出たと言うだけならわざわざソウルから特報記事として送信する必要がないのですから、強制連行を強調していない・・客観的記事を書いただけと彼が言ったとしても無理があります。
・・強制連行があったことを強調している朝日の流れに乗って利用する意図・・組織の意図に従って行動していた・・一種の共謀関係にあるとみるべきでしょう。
ヤクザの親分が殺人計画謀議の途中に出て来て自分は「やれ」と言っただけだとしてもそれは殺人命令をしたのと同じですし、大勢による連鎖的犯行実行の場合、連鎖作業の一部を担当したに過ぎないとしても、全体の流れを理解して担当していれば共犯です。

植村記者問題3(ムード報道と義母の関係2)

第三者委員会としては、義母と植村記者の姻戚関係=共謀があったか否かについては国民が感情的に推測している以上はどこまで調査しても、(無理な飛躍のある憶測なのだから)証拠がある訳がない・感情的になっている方がおかしいと言う論理に戻るのでしょうが、会社側にそう言う自信があるならば、でっち上げ追及をしていた論客を委員に委嘱しておくべきだったと言う問題に遡ります。
元々会社寄り人物を会社が人選して会社に都合の良い意見を求めていると言うネット批判が根強くあります。
この批判自体が偏った思い込み意見と言う逆批判が当然あり得ます。
元々朝日に対する追及を厳しくしていた論客を委員に委嘱しておけば微妙な問題(元々証拠など探せる訳がないと言う前提のある分野)についての信頼度が高まっていた筈です。
ただし、朝日に対する厳しい論客と言っても感情論を煽っているだけの有名人では意味がないでしょうが、ある程度合理的思考の出来る論客が入れば・・という意味です。
年末から、マスコミの情報操作・・「マスコミの情報操作1(羊頭狗肉)」のコラム以来のシリーズで書いているように、元々マスコミ界は刺激的記事を見出しに書き、内容できちんと書けば虚偽にならないと言うような、噓っぽい報道で国民を日常的に非合理に誘導して来た咎めが、植村記者問題では逆に自分タチ報道陣に跳ね返って来た印象です。
マスコミによるムードで煽るやり方に反応するようになっている国民は・・植村記者の妻が、韓国人であり、(ネット情報だけなので、帰化しているかどうかまで分りません)韓国人?妻の母が日本政府相手の訴訟をする人を(費用をとって)捜し出す運動をしている団体の主宰者でありその商売のために、でっち上げたのか?と連想ゲーム的疑惑を信じ込み易くなっています。
こう言う国民を煽って利用して来たのが外ならぬマスコミ界です。
植村記者がマスコミ界が多用して来たムード的な罠にはまってしまった場合、非合理な?憶測を払拭し理解を求めるためには、「非合理な憶測に過ぎない」と一蹴するだけでは根本的解決になりません。
「李下に冠を正さず、瓜田にクツを入れず」と古来から言われているように、義母が費用をとって日本政府を訴える会員募集事業をしていた場合、グルじゃないかと言う疑いが生じること自体は荒唐無稽な疑惑とは言い切れませんから、懇切丁寧な説明こそが植村記者側に求められているのではないでしょうか。
スイカ畑でしゃがんでいたときに、スイカ泥棒と間違えられたら、何のためにスイカ畑に入りこんでしゃがんでいたかの説明をするのが普通です。
無罪の推定がある「そんな言い訳の必要がない、裁判するならしてみろ」と言うのでは、疑惑に答えたことにはならない・・こじれるだけでしょう。
元々司法手続はそう言う疑惑解決には向いていません。
訴訟は限定された訴訟手続内のルールで白黒を決めるだけであって、国民の疑惑がなかったことになる制度ではありません。
各種ペーパーテストは一定の能力を測るだけであって、究極的能力とイコールでないのと同様に裁判も司法手続の枠内で決める「司法的真実」でしかありません。
テスト秀才の多い朝日や弁護団には、この辺の機微が分り難いのでしょうか?
朝日新聞は吉田調書ねつ造疑惑指摘に対しても、調書が非公開のために、批判者が証拠に出せないことを前提に、法的手続をすると脅かしていたことが分りました。
(この辺は2015-1-6「報道と人権委員会」(朝日新聞吉田調書1)のコラムで書きました)
植村記者と義母の関係が慰安婦でっち上げになったか否かと言う点については、疑惑があると言うだけでは裁判で勝てません。
慰安婦が偽物であって、しかも偽物であると植村記者が知っていたことまで立証する必要があるので、被告側ではその立証は困難でしょう。
植村記者の報道した慰安婦が偽物だったかどうか知っていたか等については、植村記者の訴える事件では「ねつ造記事」だと書いた方に立証責任がありますが、疑わしい事実が山ほどあっても「疑わしい」だけでは立証したことになりません。
韓国に帰ってしまった原告慰安婦からの事情聴取は(私は偽物でしたと協力する人は滅多にいないでしょうし)不可能に近いでしょうから、独自調査能力が事実上ないことから独自立証は事実上不能と思われます。
名誉毀損で訴えられた方は、名乗り出た慰安婦による国賠事件で出た証拠の流用程度しか事実上立証出来ないでしょうから、同事件でどれだけ事実立証が進んでいたかによります・・。
この辺は昨日のコラムで書いたように「条約で解決済み」と言う判決の場合、本当の慰安婦だったか否かの(入り口程度の議論があっても)立証まで進んでいなかった可能性が高いと思われます。
植村記者弁護団が国賠事件弁護団と共通している場合、上記事件の提出資料を綿密にチェックした上での訴え提起になっていると思われます。
「ねつ造」と書いた人が疑惑すらないとして負ければ完敗ですが、「ねつ造」と書いたことが証拠に基づかない・・行き過ぎだったかどうかだけで負けると実質的にどちらが勝ったことになるかは必ずしも明らかとは言えません。
京都の朝鮮人学校に対する在特会事件で言えば、朝鮮人学校の公園使用に問題がなかったと言う認定で勝ったのではなく、在特会の批判のやり方が行き過ぎだったと、判決で指摘されたに過ぎません。
以後逆に嫌韓・反韓ムードが急速に高まっている・・世論調査では嫌韓比率が急上昇していることが否定出来ないところですから、政治的には在特会の実質勝利だったと言う評価になっているように見えます。
以後、在特会の嫌韓行動は合法的スマートになりましたし、植村記者事件で名誉毀損判決が出れば言論界も今後注意して書くようになる・・今後朝日批判もスマートになって行くだけで批判が収まることはないのではないでしょうか?
原告団としてはねつ造の証拠がないと言う消極的勝ち方ではなく「疑惑もなかった」と言うところまで行かないと、(逆に右翼の憤激を買うだけで)訴訟が成功したと言えませんから、勝敗ラインをそこに置くとなれば意外にハードルが高くなります。
きっちりした証拠によらずに疑惑で感情的に理解する国民はレベルが低いと批判するのは簡単ですが、マスコミが日頃からムード的情報操作をやって庶民を誘導してきた以上は、マスコミが植村記者事件に関してだけ使い分けて非難しても解決出来ません。

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