マンション価格と平均収入1・・バブル3

13日に紹介した記事・・(マンション平均価格が)下半期中に6億ウォンを超えるとみられる」→韓国のマンション平均価格が日本円で約6000万円の意味するところを見て行きましょう。
日本では6000万のマンションを平均的サラーリ−マンでは買えません・(家族構成にもよりますが親の援助や相続財産等をつぎ込まない一般的家族構成の場合、)年収2千万円以上の高額所得世帯に限定される高嶺の花です。
以下のスレがあります。
http://komachi.yomiuri.co.jp/t/2012/0213/483164.htm              
6千万円台のマンション(戸建て)に住む人って?
2012年2月13日 13:55
「私は、というと夫の会社の社宅に家賃2万で横浜中心部に住んでいます。
食品メーカー、36歳で年収はもうすぐ1000万です。
近い将来4千万ちょっとくらいのマンションを購入予定です。
私の感覚ではうちが一番平均的かなと思います。」
親の援助相続財産が手に入った人その他家族構成で人それぞれでしょうが、平均で言えば、上記回答は配偶者の収入を書いていませんが(子供2人私立大学や私立高校へ入れるなどの負担のある人ない人)上記回答が普通の感覚でしょう。
韓国では「平均価格が6000万円」になっていると言うのですから、韓国の平均的サラリーマンの年収が2千万円前後になっていないと無理があります。
以下はhttp://heikinnenshu.jp/country/korea.htmlからの引用です。
「国税庁によると、給与労働者の平均年収は7680万ウォン(約580万円)程度です。
といっても、かなり格差があるようです。実質はもっと低いことが推測されます。
上記の年収は大手企業のみからの平均算出となるためです。
清掃関連会社勤務の方で月収が約7万です。
一方で銀行員の部長は年収が1億ウォン(約760万円)以上となります。
国税庁によると、高額所得者は19万6539人となります。上位の年収と下位の年収では、400万以上も差が出たそうです。」
上記のとおり平均と言ってもどの階層を取るかによって大きな格差があるのでいろんな指標を組合わせないと個々人の生活水準が分りませんが、銀行の部長クラスでやっと年収760万円と言うのです。
ただし、この数字は何年の統計による平均を書いていないので正確には不明(ただし円換算が今と違うので今の相場に計算し直す必要がありそう)ですが、この4〜5年程度では平均値が仮に数十万円アップしていても日本の相場と比較するのには大した差ではありません。
日本の銀行員の年収相場を見ておきましょう。http://nomad-salaryman.com/post-7293
三菱東京UFJ銀行の年収
   新卒15年目/課長:年収1200万円前後
▼目安年齢:37-40歳
  新卒20年目/次長:年収1400-1500万円
▼目安年齢:42-45歳
新卒20年目以降/部長:年収1500-1700万円
▼目安年齢:45-48歳
住友も同様ですが、住友の方が出世競争が厳しい(生き残り率が少ない?)らしいですが、私が職務上知っているおおよその相場観・・大手自動車メーカー部長クラスでも50台になると2000万近い年収の人がいますが、日本と韓国の給与相場格差はこんなもの・・約2倍です。
まして韓国では大手と中小の給与格差が半端ではないのですから、銀行で日本の半分の給与水準とすれば中小の給与格差は3分の1程度に開いている可能性があります。 
韓国では非正規と正規の格差が酷いと言われていますが、実は大手企業の非正規の方が中小の正社員より賃金水準が高い・・この後で紹介しますが、中小と大手の格差の方が大きいのが実態のようです。
現代自動車労組の横暴がニュースになっていますが、生産性を無視したた賃上げ要求貫徹は下請けにしわ寄せしているから成り立つのです。
大手企業が発注単価を叩けるだけ叩く・下請け・中小は採算ラインギリギリの悪条件を押し付けられ、倒産すれすれで働いている・・ひいては賃金も削れるだけ削るしかない→中小の労働者は生きて行くのがやっとのスレスレ状態・・奴隷労働状態になっています。
この格差が大きいからこそ、就職浪人してでも大手に就職したい若者心理が生まれ、サムスンなどに就職するための予備校が発達している社会になっているのです。
大手と中小の激しい格差を前提に日韓銀行員同士の給与格差を見れば、マンション平均価格6000万円の重み・・平均サラリーマンの購入レベルを超えている実態が明らかです。
部長クラスでも780万円しかない韓国で、マンションの平均販売価格6000万円になっているか・・ここまで何故上がってしまったかの疑問について明日以降考えてみます。
まして、賃金格差以外に個人金融資産の配当収益手取りでも日韓格差があります。
韓国と日本の一人当たり個人金融資産やGDPや最低賃金等で比較しておきます。
http://ecodb.net/ranking/imf_ngdpdpc.html世界ネタ帳によれば、「16年の韓国一人当たり27,538.81$で、日本は、38,917.29$」ですから約1、5倍です。
上記は名目値ですからインフレ調整による実質数値ではもっと開きます。
日本は、この外に純債権国として、所得収支黒字は巨大です。
韓国の2016の所得収支を見ておきましょう。http://japanese.yonhapnews.co.kr/economy/2017/02/03/0500000000AJP20170203001100882.HTML 聯合ニュースで見ると以下のとおりです。
「給与・賃金と投資に伴う利子や配当を差し引きした所得収支は14億6000万ドルの黒字だった。」
日本の16年の所得収支は昨年は前年比で円相場が上がった分手取りが減って2兆円も減っていますが、以下のとおり18兆円(・・約1700億ドル)・・韓国の100倍以上もあります。
今は国内生産GDPを人口で割っても本当の数字は出ません・・我々個人でも、海外債券を一杯買っている時代です。
これが国内市消費水準の底上げになっています。
http://www.mof.go.jp/international_policy/reference/balance_of_payments/preliminary/pg2016cy.htm
「第一次所得収支18兆1,360億円▲2兆5,166億円(黒字幅縮小)」
実質的には日本へ送金しないで海外滞留したままの収益が一杯ありますから、個々人の計算上の金融資産はもっと多くなっている筈です。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDC17H0N_X10C17A3EAF000/
家計金融資産、最高を更新 16年末1800兆円 2017/3/17 10:41
http://japanese.joins.com/article/072/221072.html
2016年09月26日14時32分
[ⓒ 中央日報日本語版]
「26日、ドイツの保険会社であるアリアンツグループが発表した「アリアンツ・グローバル・ウェルス・リポート」によると、・・日本は8万3888ユーロでアジア国家のうち1位で、全体調査対象国家53カ国のうち6位だった。日本人は韓国人に比べて約3.06倍の金融資産を保有しているといえる。」
上記のとおり日韓では賃金格差の外に金融資産による所得格差も加わります。
国によって格差が違うので金融資産を人口で割っても本当の生活水準は出ません。

中韓・・中進国の罠8(個人金融資産)

中国がバブルを繰り返すための軍資金がどこから出ているかの疑問ですが、中国の個人資産は以下のとおりです。
http://jp.reuters.com/article/idJP00093300_20160825_00320160825|
2016年 08月 25日 11:11 11:13JST 国民の個人資産、中国は世界2位に
「調査会社ニュー・ワールド・ウェルスが発表した最新リポートで、中国国民の個人資産(不動産や現金、預金、ビジネス資産)が17兆4000億米ドル(約1757兆4000億円)となり、世界2位となっていると報告した。
中国は直近15年で個人資産が最も速いスピードで膨らんでいると指摘されている。現時点では個人資産がトップになっているのは米国(48兆9000億米ドル)、3位は日本(15兆1000億米ドル)。10位入り国は英国(9兆2000億米ドル)、ドイツ(9兆1000億米ドル)、フランス(6兆6000億米ドル)、インド(5兆6000億米ドル)、カナダ(4兆7000億米ドル)、オーストラリア(4兆5000億米ドル)、イタリア(4兆4000億米ドル)となった」。
不動産を含めた数字なので金融資産の統計ではありませんし、広大な中国奥地の土地などをどのように評価集計したのかも不明です。
金融資産でないと本当の実力が分りません。
特定商品の場合、統制や政策的に高値維持で歪めていても(実勢と差がつくとヤミ流通が起きて)一定期間経過で国際相場の影響を受けますが、輸出入代替性のない不動産を資産に加えると国策による歪み(中韓のように政策的に不動産バブルを煽っていると不動産が突出して高くなる)が大き過ぎて実力が見えません。
金融資産については以下のとおりです。
http://japanese.china.org.cn/business/txt/2016-10/02/content_39416377.htm 「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年10月2日
世界の個人金融資産が155兆ユーロに達した。ドイツの経済紙は25日、アリアンツ・グループがこのほど発表した2016年度『世界資産報告』によると、世界の個人金融資産は前年より約5%増加したと報じた。個人金融資産が多い国・地域のランキングでは、スイスが17万590ユーロで1位となった。                  
2位は米国で16万950ユーロ、3位はイギリスで9万5600ユーロ。4位から10位は順にスウェーデン(8万9940ユーロ)、ベルギー(8万5030ユーロ)、日本(8万3890ユーロ)、デンマーク(8万1290ユーロ)、中国台湾(8万1240ユーロ)、オランダ(8万180ユーロ)、シンガポール(7万9260ユーロ)。             
中国は1万1469ユーロで28位、韓国は2万7371ユーロで21位、インドは1096ユーロで48位。ランキングの最下位はカザフスタンで、1人あたりの金融資産は613ユーロ。          
上記は一人当たり資産らしいですが、金融資産については中国の場合まだ未開地も多く含まれているので、一人当たりにすると実際の実力が見えません。
韓国の場合、財閥オーナー親族とその他の格差が何%程度の差ではなく何十〜何百倍の差でしょうし、労働者でも大手企業の非正規職員の方が、中小企業の正規職員よりも給与が高いなどの格差社会ですから、この場合は正規非正規の区別は意味をなさない・・大手企業従業員かどうかの方が大きな格差基準です。
現代自動車労組の横暴が知られていますが、労使共に下請けにしわ寄せして働き以上の収入を得ている・・そこに勤務する非正規もその分け前を貰っている構図が見えます。
http://ameblo.jp/katsumatahisayoshi/day-20170606.htmlに引用されている朝鮮日報社説によれば以下のとおりらしいです。
『朝鮮日報』(5月29日付)は、「韓国の非正規社員、95%は中小企業なのになぜ財閥が反省?」と題する社説
「大企業における正社員の賃金を100とした場合、大企業の非正規社員は62.7、中小企業の正社員は52.7、中小企業の非正規社員は37.4だ。つまり大企業の非正規社員の賃金は中小企業の正社員よりも多いのだ。」
韓国の場合強ければ・勝てば何をしても良いと言う社会意識がこう言う結果になっているのであって正規か非正規かの違いではありません。
他方でシンガポールのような人口小国では、村上ファンドのように大儲けした人を一定数税優遇で誘致して個人金融資産家を加えて行くと平均値が上がります。
メデイアは既成概念がスキですから、人口比で言えば飛び切り少数でしかない裸官をテーマにしたがりますが、数億円ためられる裸官が5人〜10人・・仮に百人いたとしても彼らの億単位の収賄など14億人総計した統計数字的は大したことにならないでしょう。
中国の場合には、一般的な階層間格差よりは地域格差が大きい点に注意する必要があります。
アジア人の一人当たり収入や労働生産性を見ても日本の実力が分らないように、中国としてひとくくりするのは「小さなアジア」平均を言うのと同じで実態が分らなくなる・・中国国内の地域・民族・・連合体として区分けして経済力を見た方が合理的です。
例えば観光客や資源相場などの国際経済に対する影響力を見るには、世界経済に参加している沿海地域の人口や企業を母体にして一人当たり資産や生産力を見ないと中国の本当の影響力が見えないでしょう。
中国の実力・例えば海外旅行者の消費力を見るには、14億の平均値で見ると理解不能でしょう・・沿海地域人口の中間層数千万を基準に見れば分りよいと思います。                      
後進国では先進技術や文化もローテク技術も一斉に入って来るので、北国の春のように、人材層は同時的に花咲く傾向があると書いて来ましたが、中国の場合その人材の層が人口に比例して分厚い点も考慮する必要があります。             
全体としてみれば後進国でありながら金融やスマホを日常的に操る人だけで何千万といますし、資金のプロも先進的な小さな国よりも多くいるし、海外旅行者数でも目立ちます。                    
13日に紹介した記事にあるように中国では、マンションバブルを煽るだけ煽っておいて、過熱し過ぎたと言って引き締めるものの、(この段階でかなり損をした人がいる筈ですが・・)不景気になると再びマンションバブルを煽るとこれにまた食いつく富裕層?がいるのですから(どこから沸いて来るのか?)不思議ですが、層が厚い可能性があります。
レバレッジがかかった投機的金融商品で購入資金調達手法が発達しているようですが・・。
やはり層が厚い・・毎回のバブルに参加していない人が多く2〜3回めのバブルに手を出す人がまだいくらでも残っていると見るのが正しいのでしょうか?
韓国バブルで12〜13日に少し書きましたが、中国でも成長期待がある限り簡単に手じまい・・投げ売りしない・・相場上昇が止まってもそのまま次の値上がり待ちで、持ちこたえる努力をする人が多い・・実際待っていると政府がまたマンション相場を仕掛けてくれた・・この信頼感があるようです。
そう言う見方によれば、中国の成長期待=先高期待感がしぼむと売りが売りを呼び大暴落になる可能性があります。
中国共産党政権には正統性がないから成長持続が必須と言いますが、成長が止まると政権が不安定になるのはどの国で同じです。
成長率も中国全土で見ても仕方がない・・不動産こそは地域差が大きいので、上海等の大都市別の成長率が重要です。
中国全体の景況感よりは、上海に住む人は、上海の景況感で動きます。

中韓・・中進国の罠7(バブルの誘惑→債務膨張2)

韓国の負債増加が異常なので国際的に注目されるほどになった・・過熱気味になったので、16年初期にローン貸し出し審査規制を掛けたらしいのですが、既に遅かったようです。
・・ローン融資規制したところローンを払うためか?第2金融権(日本で言うノンバンク系?)融資が増えて結果的に債務増加に歯止めがかからなくなってしまったことが以下の記事で明らかになります。
http://japanese.joins.com/article/058/226058.html
韓国の家計負債が過去最高…悪性の借金が急増(1)
2017年02月22日11時18分[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
昨年末の家計負債総額が1344兆3000億ウォン(約133兆7600億円)と集計されたことを受けて上がっている懸念の声だ。昨年2月に政府が首都圏を中心に融資を強化する与信審査ガイドラインを施行したが、家計負債の増加を封じることはできなかった。 」
・・・相対的に金利が高い第2金融圏の融資が増えたということは、それだけ借金の質が悪くなったという意味だ。金利が本格的に上がればこれに耐えられなくなる家計が増える」
韓国の場合、昨日紹介したように元々ほぼ一文無しの国民が金利次第で借りられるだけ借りる傾向・・アメリカ国民と似ていて金利動向次第で動く・・底の浅さがあります。
その代わり目先の借金をどうする?と言う関心ばかりですから、徳政令等で借金さえ何とかしてやれば不動産の投げ売り・・バブル崩壊の大規模不況には繋がらないメリットがあります。
派手に破裂しないメリットと言うか、逆から見ればマンション価格高値維持のママですから長期的に経済に無理が来ます。
韓国では漢江の奇跡以来過去に何回かマンションバブルとその調整がありましたが、その都度徳政令(借金棒引き政策)で誤摩化して来た結果価格調整を(投げ売りによる相場下落)しなかったので、高値に縛られた個々人でギリギリの生活を強いられて来た原因になります。
徳政令の対象にならない中堅サラリーマンはそのまま払い続けるしかないので金融資産がマイナス僅か3000円しか持っていない結果です。
朴政権で徳政令の対象にならなかったギリギリの人たちの怨嗟の声が大きいことを理由に、文新大統領が徳政令を実施する場合の線引きが注目を集めているのは、(夜逃げするほどの借金でもない)線引きのちょっと上の層が地獄を見るからです。
※デフォルトするとマンション価格が暴落するのでこの防止のためにデフォルト予備軍だけ棒引きする・・100万までの人までが借金棒引きならば、101万以上の人たちはそのまま払い続けるしかないので大変なことになります・・この政策の結果不景気が来る都度中堅層にしわ寄せ・・厳しい生活を強いられて来たのです。
昨日紹介した記事ではキャッシュ保有が日本円で平均3000円ですから、財閥系親族は一人何億円も持っているでしょうから、庶民だけの平均にすれば、もっと悲惨・・多分マイナス家計が殆どでしょう。
これを我慢出来たのは、塩漬けにして置いて無理してローンを払っていてももう一度バブルが来れば先に買っておいた者が得すると言う成長期待だったでしょうが、人口減が始まり成長率を2%を維持出来るどうかになって来ると、この期待に無理が出て来ます。
昨日の記事にあるように成長率期待がしぼんで来た点を無視出来ません。
これが中国より20年早く成長離陸していたにしては、個人金融資産の厚みがない・・しょっ中ヒステリーを起こさないといられない原因でしょう。
この辺が中国人民とは違う・・世界に根を張っている人民が何故か資金を持っていて政府が如何にこれを吸い上げるかのせめぎ合いが(上に政策あれば下に対策ありと言われる)中国です。
政府に煽られて株式に手を出して損をしても自己責任で手仕舞するかの判断であって、高利に手を出してまでローンを維持する(余計首を絞めるので非合理な行動です)方向にはあまり行かない傾向です。
16年中に高利金融が急激に増えている実情が、ワケの分らない急激な感情の爆発・・朴クネ大統領弾劾→新大統領就任による徳政令期待が高まって来た背景の1つでもあるでしょう。
中国の場合、個人がしたたかで地方政府や企業が困って(主として個人事業主等の個人が出資している)シャドーバンキングに頼っているのですが、韓国の場合には個人の経済基盤が弱くて投機的処理に慣れていない・・損切りする勇気がないので、高利借入に移行するので直ちに不動産評価が下がりませんが、高利借金の取り立てに苦しんで売春や自殺が増える仕組みです。
今回の中進国の罠シリーズを通観して言えることは、後から追いついて来た中国と韓国が造船や鉄鋼等その他重厚長大系産業が同時的にダメになって来ていることが分ります。
両国共に中進国の罠を逃れようとして不動産バブルを煽った結果、その後始末の段階に突入しかけている・・ほぼ同時的進行になっているが、中国の方が最先端産業(フィインテックその他高度AI系では元々商業民族系のインドや中国の方が適応力が高いので)で芽を出しかけているなど適応力があるのに対して先行していた筈の韓国が息切れキミで中国に追い抜かれている姿です。
韓国のバブルに戻りますと、マンション価格が既にバブルの天井圏に入っていることは・・融資審査を厳しくしてブレーキをかけたのでしょうが・・以下の相場から分ります。
http://n-seikei.jp/2016/10/post-40192.htmlからの一部引用です。
「2016年7月の報道では、ソウル市内の6月の平均住宅価格が5億ウォン(約4450万円)を超えたことが7月4日、KB国民銀行の住宅価格動向資料で明らかになった。
同行が関連調査を始めた2008年12月以来最高で、5億ウォンの大台を上回るのは初めて。
調査によると、6月のソウルの住宅売買価格は平均で5億198万ウォンとなり、前月比で294万ウォン上がった。
昨年1月の住宅売買価格は4億4,000万ウォンだったが、不動産市場の好調により、1年半で14%上昇、6,000万ウォン近く値上がりした。平均しての値であり、場所によってはバブルに陥っていることを表している。
建て替えが進んでいる江南地域が上昇を主導。同地域の6月の住宅売買価格は5億9,161万ウォンとなり、下半期中に6億ウォンを超えるとみられる。
「 韓国経済は、依存率№1の中国経済が低迷したことを受け、自国経済も低迷、景気対策に金利を引き下げたことによるものだが、住宅需要の増勢から建設産業や住宅関連産業の景気を押し上げているのも事実、金利を上げれば需要が萎み、長い間、景気を主導してきた輸出産業が停滞する中、景気を悪化させるというジレンマに陥っている。
輸出で景気を主導してきた中国とも似ている。中国では、あまりにも不動産バブルが高じて規制強化を図ったものの景気低迷に陥り、金利を低下させたうえ、再び規制緩和へ動き、1年も経たずして、不動産新築価格が前年同月比20~30%超と暴騰、今月に入り、すでに20都市以上で不動産購入の再規制を実施している。」
中国の方がこの道では大先輩で、バブルになって引き締めて、景気が悪くなるとまたバブル再燃させる・・出たとこ勝負の素人運営とも言えるし、圧したり引いたり自由自在の巧みさとも言えます。
この繰り返しが使えるのは、韓国と違い(一旦バブルが弾けても塩漬けにして待っていればまた上がる・・中国の場合地域差がありますが)上海等ではまだまだ成長が続いている実態があるからです。

中韓・・中進国の罠6(バブルの誘惑→債務膨張)

町金融関係のテーマになったところで、再び韓国の原状に戻ります。
韓国では現在個人債務の急膨張が危険ラインに達していると言われているので、国内景気維持のための内需拡大はこれ以上は無理そうなイメージです。
内需=消費拡大は消費者の経済力が限界を画します。
貿易黒字には「良い黒字と悪い黒字がある」と言われますが、この後で紹介するように韓国中国の場合、輸出額が減っているのに輸入がそれ上に減っために黒字になっている関係で、いわゆる悪い黒字です。
中国の出血輸出のカラクリを説明したことがありますが、原価割れ販売の出血輸出では、先ずその企業がその内仕入れ出来なくなる・・輸入が減って行きますが、蛸足配当のようなもので従業員に節約を求めているうちに、国民一般にも及ぶ・・国民の消費を節約して輸出に励んでいれば、国民窮乏化が進みます。
食堂で言えば従業員の食事分を削ってお客に出しているようなものです。
しかも韓国の場合、貿易収支の黒字分・・儲けが、外国資本の収益になって国外に出て行き国民福利とあまり関係がないと言われている国情ですからなおさらです。
サムスンで言えば、54%が外資と言われています。
ただしサムスンは税引き前利益に対する株主配当率が低いから、利益率が低いのに高率配当している日本企業よりも絶対額としての国外流出分は少ないと言う反論もあるようです。
その場面だけでは理屈があっていますが、内部留保されている結果将来吐き出すときには株主に行くしかない点・・いつ払うかの違いでしかないのですから、国民に行かない点は同じですから、国民に行くか外資に行くかの議論を誤摩化すための的外れな反論です。
外資率が高い・多額の負債があると言うことは、内弁慶でなく国際市場で評価されていると言う逆の意味もあるようですが・・。
サムスンに限定すればこの辺は当たっている面があるでしょうが、この種のメデイアの議論のおかしさは借金が多いのは信用されているからで、借金のないお金持ちは信用されてないなどと批判しているのに似てどこか倒錯しています。
日本国債の自国内保有が多い・・だから借金としても国内でのやり取りに過ぎず、次世代に借金だけが残る訳ではない・・国債保有者の債権も相続すると言う主張封じのためにか?外国人投資家に人気がないのはおかしいと言うイキナリ変な方向から矢が飛んで来ます。
借金したい・・資金繰りの苦しい者同士の比較で言えば、借金したいときに貸してもらえる企業や人の方が信用が上ですが、自己資金豊富で借りなくとも旅行したり家屋敷を買える・・あるいは店舗の模様替えを出来る人や企業を相手に・・「俺は50万まで直ぐに借りられる」と自慢してもそれは貧乏人同士の自慢でしかない・・恥ずかしいだけの関係であることに気が付かないおかしさです。
韓国では労働分配率が低い所為か?個人負債が急膨張して国際的指摘を受けるまでになっています。
韓国の家計負債の現状に関する以下の記事は約1年前のものですから、その後1年で家計債務が更に拡大しているのですが、原因の分析もあって分りよいので少し長いですが、紹介しておきます。
http://www.data-max.co.jp/280712_ry_02/
2016年07月11日 15:19国際
韓国経済ウォッチ~膨らみ続ける家計負債(前)韓国経済ウォッチ
日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
「・・・韓国経済にも低成長が定着し、わずか2%くらいの成長しか期待できなくなっている。また、造船などで一時期活況を呈していた蔚山(ウルサン)などは、深刻な不景気に悩まされている。
・・・韓国の家計負債は膨らみ続け、世界各国の主要機関も韓国の家計負債に警鐘を鳴らしている。」
「・・・負債を返済できる能力を評価するときに、よく使われている可処分所得に占める家計負債の比率というのがある。韓国の可処分所得に対する家計負債の比率は、去年すでに163%を超えている。負債の多いアメリカの113%と比較しても、もっと高いのが韓国の家計負債である。」
韓国政府が政府が如何にして不動産バブルを中国同様に誘導して来たかが、以下の記事で分ります。
「・・・韓国家計負債の74%を占めているのは、実は住宅ローンである。韓国の住宅ローンの特徴は、元金を払わず、利子だけを払うという点である。利子だけを払うことになっているので、まだ問題が顕在化していないが、満期が集中している2019年には元金をも払わないといけないので、大きな問題になるという指摘がある。
 住宅ローンのもう1つの特徴は、集団ローンと言う制度である。この集団ローンは、建設会社が金融機関と交渉をして入居者に用意するローンであり、個人への個別審査はない。」
「・・・もう1つの要因は、韓国の住宅制度そのものにある。
・・「全貰(ジョンセ)」という制度があるが、今、その全貰と言う制度が崩れつつある。大家は家を貸すときにテナントから保証金を預かり、その保証金を運用する。ところが、低金利時代が到来することにより、大家は資金を運用するところがなくなっている。運用先を失った大家は、これまでの全貰から、毎月家賃をもらうことができる「月貰(ウォルセ)」に切り替えている。
・・毎月家賃を払うことに負担を感じるようになった若い層は、これを機に少し無理をしてでも住宅を購入しようということになる。金融機関も住宅ローンは、担保があって一番安全だし、住宅ローンは良いビジネスになるので、積極的に住宅ローンを販売する。
 ・・・住宅を買う側も金利が安いので、この時期に住宅を購入しようという心理が働いて銀行の融資が増えていき、それによって家計負債は膨らみ続けている。」
もう1つの原因は、韓国の不景気である。韓国の40代、50代の平均資産額は3億4,000万ウォンくらいだという統計がある。資産と言っても、キャッシュは3万ウォン前後で、後は不動産などで所有している。だが、景気が低迷しているので、足りない収入を金融機関から借りたお金で賄っているのが現状であろう。」
「アメリカの金利上げ、不動産バブルの崩壊、さらなる景気悪化など、不安材料はいくらでもある。ある専門家のシミュレーションによると、不動産価格の下落より、金利上げのほうが家計負債への影響が大きいようだ。」
2%台の低成長に入った韓国が不景気対策としての金利下げ→マンション景気へ誘導→建設関連の裾野の広い内需拡大を目指したことが、マンションブームを引き起こしたことが、上記記事で分ります。
資産と言っても不動産に特化していて4〜50台の中堅世代が「キャッシュは3万ウオン前後」・日本円で僅か約3000円しか持っていないと言うのですから驚きです。
もしかしたら一けたか二けた(マルが二つくらい抜けてしまった)誤記かも知れませんが、それにしても不動産に資産構成が特化している様子が見えます。
中国のように転売目的比率が高くないとすれば、相場下落はそれほどの痛手にはならないとしても過大な借金による分・・金利動向が死命を制します。
借金だらけの実情を明日紹介しますが、本当に手持ち金ゼロ・・ギリギリその日の買い物に必要な限度でサラ金から借りて買い物をしているのかも知れません。
金利が少し上がれば、支払に窮するようになる・・住宅ローン支払に困って高利に手を出す段階です。

中韓・・中進国の罠6(ピンチ→チャンス→ピンチ?2)

昨日紹介したウイキペデイアのデータが12年以前では古過ぎますが、その後も韓国企業が外資に支配されている基本が変わっていないでしょうから、企業がその後構造転換に成功して躍進していても(昨日紹介したポスコのように)資本収益は国民還元されずに外国へ移転してしまう本質は変わりません。
資本家としては、国内空洞化など頓着しない・・海外進出であれ何であれ儲ければ良いので効率的です。
その分国民還元率が低い・・民族企業の場合還元率が低過ぎるとその分が後で社会保障負担としてのしかかって来ますが、外資の場合負担が大きくなれば、工場立地自体を海外に逃がせば良いので、何の痛痒も感じません。
国民の福祉よりも賃金を最大限安くする政策・・社会保障も最低限に押さえる政治が行なわれて来ました。
韓国の論文か何かで「韓国は日本のように財政赤字の心配がない・社会保障制度の不備で年金等の負担が日本に比べて少ないから」と豪語する論文を大分前に紹介したことがあります。
非正規・賃金分配率の低さ・セーフテイ−ネットの貧弱さが、自殺率の高さを誇り、売春婦輸出になっているし若者の国外脱出願望の高さになっているのです。
韓国経済は、過酷な外資支配を受けていて、「現在版の新植民地支配を受けている状態である」と大分前//そのころに書いたことがあります。
財閥支配の弊害ばかりをマスメデイアが強調していますが、民族・同胞のために頑張る企業や人材がいないことが基礎にあるのではないでしょうか?
自分の本心に愛国心がない分却って外向けには愛国心を強調する・・マトモな政治をしていない政治家が愛国心・外の敵を作りたがりますが、経済人も一般国民も同じです・・。
本音では国のために頑張っていない分・・これを隠すために回りに負けないように大きな声でヒステリー的な相手国批判をするしかない・・何でも日本に原因を求めることになって来た原因です。
韓国人の多くが国外脱出願望者であることを大分前に紹介しましたが、現在どうなっているかをもう一度見ておきましょう。
http://news.livedoor.com/article/detail/11999108/(ライヴドアーニュース)
20~30代の「国外脱出願望」は80%超! 韓国の若者たちが海外を目指すワケ
2016年9月9日 22時0分 日刊サイゾー
 韓国の就職関連のポータルサイトが1,655人の成人男女を対象に行った移住に対する意識調査によると、1301名(78.6%)が「できるなら移住したい」と答えたという。年齢別に見ると、30代(82.1%)、20代(80%)、40代(72.4%)、50代以上(59%)の順となる。もはや、20~30代に至っては「移住したくてたまらない」という実情が透けて見えてくるような回答率である。
「韓国では、多くの若者が就職活動に必死になっている。しかし、大企業に就職した先輩たちを見ると、40歳になる前に“名誉退職”やクビになることにおびえている。(中略)将来の展望が不透明な韓国より、もっと大きな世界に挑戦するほうがよっぽどいい」
「韓国メディア「世界日報」が報じた内容を、そのまま翻訳したものだ」と言うのですが同じ世界日報を引用した別のネット記事です。
大分引用の仕方が違っています。
http://www.excite.co.jp/News/chn_soc/20160913/Recordchina_20160913005.html
海外での就職を目指す韓国の若者が増加=韓国ネット「就職率ではなく企業文化が問題」「日本に来て10カ月だけど…
2016年9月8日、韓国・世界日報によると、仕事を求めて海外に行く若者、いわゆる「Job Nomad(職業放浪者)」が増えている。
韓国では近年、若者の失業率が10%に達するなど、大学を出てもそれに見合った働き口に就けない現実から海外での就職を目指す若者が増えており、就職難という理由以外にも、国内で働いてから海外で再就職をするケースも多くなってきている。実際に、雇用労働部が支援した研修、あっせん、インターンプログラムなどを通じて海外で就職した若者の数は、2013年は1607人、2014年は1679人、2015年は2903人と増加しており、就職先の国別では、日本が1267人(20.5%)、米国が853人(13.8%)、シンガポールが729人(11.8%)、豪州が557人(9%)だったという。」
韓国の大卒就職状況は以下のとおりです。
http://japan.hani.co.kr/arti/international/25444.html
登録 : 2016.10.20 05:12
極度の就職難が続いている韓国を離れ、日本企業に就職する韓国の若者が増えていると、日本のマスコミが報じた。
「読売新聞」、19日付で報じる 韓国国内の劣悪な就業環境と日本企業の需要が重なった結果
韓国では大卒者の就職率が50~60%に留まっているが、日本は人口減少による「人手不足」がすでに深刻な社会問題に浮上した状態だ。文部科学省が今年5月に発表した「大学等卒業者の就職状況調査」によると、昨年の大卒者の就職率は97%に達することが確認された。サムスンやLGなど「財閥系列の大企業に就職できる学生は全体の10%に過ぎない」状況だが、「日本とは異なり、雇用の受け皿となる優良中小企業が不足しており、大卒者の半分近くが正社員になれない状況」
「日本企業にとっても、様々な資格や高い語学力を備えた韓国の就活生たちは魅力的な人材だ。同紙はまた、日本企業が「(男子学生の場合)2年間軍隊で過ごした時期に身につけた忍耐力、組織運営のノウハウなどが、入社後にも役立つと期待している」と報じた。日本企業はこのようにして採用した韓国の人材を、英語などを駆使できる海外支社などに派遣しているという。 韓国政府の関連団体を通じて日本企業に就職した人の数は、2013年には37人だったが、昨年は125人と3倍以上に増えた。」
一時期の自国に対する絶望による脱出という点で大もとでは同じかも知れませんが、今回の記事は失業率の高さ・・大卒の就職率に低さと言うマイナス面からではなく、若者らしい前向きな熱意が伝わって来そうな印象です。
昨日あたりから危機がチャンスになると書いて来ましたが、韓国の若者も自暴自棄ではなく前向きに気分転換して来たようです。
上記採用状況を見ると日本は求人難で才能のない人まで採用するしかない・・(比喩的に数字で表せば80点「レベルが欲しいのに60点レベルの人しか採用出来ない)そうなると90点レベルの外国人が安く採用出来るならばこれを採用したくなるのは、理の当然です。
嫌韓感情もあって、国内採用は簡単でないので上記のとおり東南アジアの現地子会社勤務になっているようです。
これが長く続けば、60点レベルの日本人が現地責任者になって90点レベルの韓国人をアゴで使う時代が来るので、この不満をなくす・幹部登用して日本社会に取り込んで行く努力をしないと韓国人あるいは外国出身従業員が有能な順に退職・・日本的経営の仕方を身につけた(一種の高度技術導入)現地競合企業設立などが起きて来ます。
人手不足が続くと長期的に日本企業の人材劣化が続き内部から腐って行くリスクに注意する必要があるでしょう。
今ピンチの国や企業(全てではなく100に1〜2だけかも知れませんが)が無意識のうちに将来の芽を育て、今成功している国や企業は(これは100に6〜70か?)将来衰退の芽を育てることが多い・・皮肉な巡り合わせになるのが普通です。
日本は「勝って兜の緒を締めよ!と言う意識で、余程注意しないと将来困ったことになり兼ねません。
言わば、「今こそ日本は危機の始まりにある」と心を引き締めるべきです。

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