保元〜平治の乱2(在地預かり)

信西が野心を実現した分昇進し損ねたり実利を奪われた競合者の不満が溜まります。
この結果支持者皆無どころか敵ばかりになっていきますが、彼をバックアップする政治勢力がなかった点で新井白石に似ています。
理念政治のやりすぎに対する不満勢力・・怨念の第一目標とされて保元の乱後わずか3年半で平治の乱(平治元年12月9日(1160年1月19日))という第二幕に入って行きます。
保元の乱後わずか3年余りですから、新体制が落ち着く暇もなかった・・保元・平治と一括表記が多いように西洋の革命騒動の例で言えば革命騒動中の一連の揺り戻し事件と評価すべきです。
平治の乱と言っても一種のクーデターであって、信頼・義朝勢力が清盛の熊野詣での不在を狙って三条院を急襲して院近臣撫切りして、後白河上皇を二条天皇のいる御所に移し参らせて政権掌握したほんの短時間の事件です。
元々院政派と二条親政派双方を支える貴族層から信西憎しのエネルギーで起きた事件ですから、土中に潜っていた(吉良邸討ち入りで吉良上野が炭小屋に隠れていて発見されたのと似たパターン?・・模倣が多いので事実とは限りません)ところを見つけられてすぐに殺されます。
エリート教養人による現実無視政策の無理がすぐに出たと言うべきです。
こうして秀才頼長(保元の乱で落命)も信西もともにこの世を去り、現実無視の秀才政治が終わりを告げます。
ところが熊野詣でから帰った清盛の屋敷六波羅に二条天皇が移り、後白河も仁和寺だったかに脱出してしまいます。
ここでいきなり朝敵になってしまった義朝はいわば負け戦(もともと密かに練ったクーデターだったので義朝は地盤の関東から軍勢を大量動員できず都駐留側近部隊だけなので数では圧倒的劣勢)を挑んだのが、六条河原の合戦でした。
平治の乱後、本来の権力抗争の震源であった二条天皇側と後白河上皇側の決着がついていなかった状態で、都周辺には平家以外にはまともな軍事勢力がなくなっていたのですが、清盛は表面上中立を装っていました。
当面朝廷の実権を握った天皇側の近臣が勢いに乗って院近臣謹がほぼ義朝によって追い払われ地位を追われて孤立状況にあった後白河上皇をバカにしたことを理由に清盛に後白河が捕縛を命じると清盛は直ちに捕縛し拷問するなど中立を装う清盛の意向・出方次第になっていきます。
こうして事実上の決定権を握った・平家の天下→武士の政権へと変化していきます。
平氏の天下も武士の時代到来に対する中継ぎでしかなく、治承元年(1177年)6月には鹿ケ谷の陰謀発覚まで、平治の乱から数えてもわずか17年でした。
その後の展開は周知の通り、以仁王の令旨→宇治川の橋合戦→富士川の合戦で羽の音で逃げ帰り1183年の倶利伽羅峠の大敗→都落ちまであっという間です。
私によれば平安末期には武士の台頭による社会構造変化対して、守旧的現実無視の秀才同士が(朝廷側の後白河の動きや八条院領の拡大等とこれに対する荘園勢力.藤原氏双方が、荘園の名義上の権利さえ押さえれば勝てるとする時代錯誤意識で争っていたことになります。
信西は保元の乱後に頼長の旧荘園の「預所」に任じられていることを昨日信西に関するウイキペデイアの記事引用で紹介しました。
預かり所に関するウイキペデイアによれば以下の通りです。

鎌倉時代の法制書である『沙汰未練書』には「預所者本所御領所務代官也(預所は本所の御領における所務代官である)」と記されている。12世紀頃から従来の専当・預・検校・定使などに代わって出現した。本家が本所の場合が多く、本家は大抵、王家や摂関家などの権門貴族や大寺社だったが、彼らは田舎の所領を直接知行するのを「見苦しい」こととして嫌い[1]、所縁の者を預所に補任して荘務に当たらせた[2]。
一般的な預所は本所の補任を受けて在地において下司・公文などの下級荘官を指揮して経営にあたっていた。在地における預所では本所より派遣された者や現地の有力者、開発領主・寄進者本人(または子孫などの関係者)が任じられることが多かった。だが、一方において、本家-領家といった重層的な荘園領主が存在する荘園では本家が本所である場合、領家のことを預所と称した。更に本家が自己の家司などを預所に任じて知行させ俸禄の代わりにした場合もあった。領家や家司が預所になった場合には在京のままその地位を占めることが多く、実際の経営は彼らに任ぜられた代官などが行っていた。
在地の預所を「在地預所」、後者のような京都に居住する(従って現地には赴かない)預所を「在京預所」と呼ぶ。・・・
平安時代末期には本来は事務官的な要素の強い預所に武士が就く例も増加し、そのまま地頭や在地領主の地位を得る例も現れた。

荘園経営はずっと前から預かり所という人材登用によっていたのですが、国司に任じられても任地に行かずいわゆる遙任の官になったように、預かり所に任命されても京都にいて実務を現地の人に委ねるようになって(信西の場合まさにこれでしょう)いたので、その預かり所の実務を在地で行う人の実力が高まります。
いわば現地の収支を抑えるのが在地預かりですし、在京預かりは、現地からの報告書による収益管理で本家から報酬を得る秘書みたいな役割です。
現地の収支を抑える・年貢の取りたてをするには天気による作物の出来不出来の結果を知り、収穫増に日々努力する在地領主には地元民との人間・・主従義理関係も生じますし、そのうまみに叶いません。
平安末期には在地預かりに武士を任じるようになっていたことから、実質支配権が武士に移ってきたので、名目支配権獲得・今で言えば金融資本的収入の増加にたよる..実務を握る社長との違い・争いになっていたのです。
平将門の乱(天慶2年11月21日(940年1月3日)は荘園領主の本家貴族同士の争いではなく、これの管理を預かる武士団同士の争いでしたから、すでにこの時に・本当の利害はオーナー家の貴族間紛争ではなくこの管理支配権をめぐる争いに移行していたことが表面化していました。
貴族層はこの本質を知りながら、中央に対する反乱事件として歴史を作ってきたのです。
頼朝旗上げ時にいち早く馳せ参じて大きな役割を果たした千葉氏が、伊勢神宮だったかの相馬御厨の管理権争いで源氏が味方してくれた(平家が相手を支持)ので、その恩義に報いたという説明が一般的ですが、これをみれば、荘園領主名義が誰であるかより武士にとって管理権の得喪が重要です。
企業で言えば大株主・オーナーが誰かも気になりますが、自分が社長専務になるかが重要なのと同じです。
(現在に続くヤクザのシマ争いの原型で、飲食店経営者が誰かは二の次です)
現在的合法商法としてみれば、林立するマンション等の管理権獲得争いみたいなものになっていたのです。

保元〜平治の乱1

保元の乱の戦後処理に戻します。
氏長者の私有地を残すのは、当時の正義にあっているし文字通りしたたかな解決法でした。
保元の乱を仕切った信西は最高の権勢を手にした勢いで、その他の政策でやりすぎ・・周囲の恨みを買って数年で平治の乱の標的になり命を失いましたが、この程度の浅い読みは秀才の読みであってしたたかな人物とは言わないでしょう。
院政が始まって摂関政治自体が有名無実になってきたところで、それまで天皇家の代表決定に藤原氏が介入してきた報復のつもりか?藤原氏一門内の代表を決める内部問題・・氏長者の地位継承にまで後白河が逆介入を始めていたが分かります。
このような策略を企画する人材が北家に限らず幅広く揃っていた・・藤原一門はもともとしたたかな人材の集まりだったと思います。
本来近江朝廷系の藤原氏(素人の想像です)が壬申の乱以降したたかな動きで着々と持統朝に食い込み地歩を築いた経過は見事ですし、仲麻呂の乱以降度重なる一族の反乱等の危機があっても、その都度藤原一門の保険作用・4家並列システムにしたのが強靭にしたのかも?たくみに切り抜けてきたのも見事です。
ところが、兼家以来の北家独占どころか、北家内でもあまりにも道長流の体制が続きすぎて人材供給源が狭くなりすぎた結果、天下の難事(理屈で割り切れない)を裁く器でなくとも摂政関白になれる時代が続いた・・キングメーカー彰子が死亡すると摂関家の人材不足が露呈しました。
この策略家信西が藤原4家のうち何家に属するかをウイキで見ると曽祖父の藤原実範が南家流貞嗣の子孫のようです。
こういう(秀才的策略限定)超一流人材(江戸時代の新井白石ばり?)が、南家の傍流として学問の家柄に生まれたことにより、中級官僚という格式によって昇進の道が閉ざされていたことに対する不満を抱いていたこと・藤原一門内で昇進の範囲が硬直化していたことが藤原氏の弱点になっていたように見えます。
この不満を公言して出家して信西入道になったのですから、大変な鼻息というか野心家です。
この野心の強さが(白石はその点儒学の権化ですから清廉でした)恨みを買い身を滅ぼすのです
信西に関するウイキペデイアからの引用です。

通憲(信西)の家系は曽祖父・藤原実範以来、代々学者(儒官)の家系として知られ、祖父の藤原季綱は大学頭であった。ところが、天永3年(1112年)に父・実兼が蔵人所で急死したため、7歳の通憲は縁戚であった高階経敏の養子となる。
・・・
散位となった通憲は、長承2年(1133年)頃から鳥羽上皇の北面に伺候するようになり、当世無双の宏才博覧と称された博識を武器に院殿上人、院判官代とその地位を上昇させていった。その後日向守に任命されるとともに、『法曹類林』の編纂も行っている。
通憲の願いは曽祖父・祖父の後を継いで大学寮の役職(大学頭・文章博士・式部大輔)に就いて、学問の家系としての家名の再興にあった。ところが、世襲化が進んだ当時の公家社会の仕組みでは、高階氏の戸籍に入ってしまった通憲は、その時点で実範・季綱の後を継ぐ資格を剥奪されており、大学寮の官職には就けなくなってしまっていた。また、実務官僚としてその才智を生かそうにも、院の政務の補佐は勧修寺流藤原氏が独占していた。
これに失望した通憲は、無力感から出家を考えるようになった。通憲の遁世の噂を耳にした藤原頼長は通憲に「その才を以って顕官に居らず、すでに以って遁世せんとす。才、世に余り、世、之を尊ばず。これ、天の我国を亡すなり」と書状を送った(『台記』康治2年8月5日(1143年9月15日)条)。数日後、通憲と頼長は対面して世の不条理を嘆き、通憲は「臣、運の拙きを以って一職を帯せず、すでに以って遁世せんとす。人、定めておもへらく、才の高きを以って、天、之を亡す。いよいよ学を廃す。願わくば殿下、廃することなかれ」と告げ、頼長は「ただ敢えて命を忘れず」と涙を流した(『台記』康治2年8月11日(1143年9月21日)条)。

保元の乱では天皇家〜藤原氏〜源平がそれぞれ分かれて戦っただけではなく、天下の秀才も双方に分かれた戦いでしたが、崇徳上皇側の秀才・頼長も彼の才能を惜しんでいたのが分かります。
以下信西に関するウイキペデイア続きです。

鳥羽上皇は出家を思い止まらせようと康治2年(1143年)に正五位下、翌天養元年(1144年)には藤原姓への復姓を許して少納言に任命し、更に息子・俊憲に文章博士・大学頭に就任するために必要な資格を得る試験である対策の受験を認める宣旨を与えたが、通憲の意思は固く、同年7月22日(8月22日)に出家して信西と名乗った。
出家をしても信西は俗界から離れる気はなく、「ぬぎかふる 衣の色は 名のみして 心をそめぬ ことをしぞ思ふ(出家して墨染めの衣に着替えても、それは名ばかりのことで心まで染めるつもりはない)」(『月詣和歌集』)とその心境を歌に詠んでいる。鳥羽法皇の政治顧問だった葉室顕頼が久安4年(1148年)に死去すると、顕頼の子が若年だったことからその地位を奪取することに成功し、『本朝世紀』編纂の下命を受けるなど、その信任を確固なものとしていった。
策士信西のシナリオに従って?保元の乱(保元元年(11567月)になだれ込み、彼の思う通りの戦後処理・身びいきが進んだので、戦後処理に対する不満・恨みが彼に集中します。
新井白石は旗本に取り立てられただけで公式役職皆無・無役のまま事実上の権力を握っていただけで(身内の引き立てや蓄財等私利私欲皆無)したが、信西の場合、後白河天皇に重用されるに連れて、官位も上がっていきこれに連れて財力もつけた外(没取された頼長所領の預所・荘園管理者となるなど)身内の引きたて・私利私欲が目立ちました。
白石は地位を追われただけでしたが、信西の場合野心の強さが文字通り命取りになります。

ホワイト国除外と国内外世論2

外国人や政府・企業の日本国内の選挙運動・国内選挙や政策実現への影響力行使に戻します。
法律上は選挙運動期間も方法も限定されていますが、選挙運動の定義不明なためにサイバーテロ・サイバ-攻撃によるフェイクニュースによって、半年〜1年以上前から自国不利な政治家を持ち上げたり自国を守ろうとする政治家をこき下ろしたり・4〜50年前に選挙期間中に飛び交った怪文書(この場合印刷費がかかりますが)のたぐいのフェイクニュースが日常的に飛び交うようになっていて、これが自由自在になっているのですが、日本の民意反映手段が国際通信網整備に追いついていないのが選挙制度の盲点です。
意見が多ければ良いのではなく、外国人意見が多いのでは民意/国民の意思による政治とは言えなくなってしまいます。
日本でのオレオレ詐欺の電話拠点が中国や東南アジア諸国のアパート等になっているのが普通になっているように、前回の米大統領選挙では何者かが、バルカン諸国の若者を安いアルバイト料で雇って、フェイクニュースを米国内ネットで拡散していたことが発覚しています。
オレオレ詐欺は銀行口座を使うと詐欺発覚後口座名義を貸した人までたどり着けますが、捕まった若者は3万円小遣いもらっただけで知らない人に頼まれたという言い訳が普通で、その先は口を割らない限り操作が進みません。
先進国では拷問がないのでそこで捜査ストップです。
メールも海外発のフェイクメール発信者の特定までは可能ですが、アルバイトの人間は誰に頼まれたか分からない仕組みですから真犯人・どこの諜報機関がお金を出したかは藪の中です。
このように外国政府が国境をこえて事実上選挙運動できるので現在では、国民主権の前提たる民意が不明になると民主義政治の根幹が揺るがされます。
フェイスブックを通じたフェイク送信が頻繁になってくると厳しく批判されている所以です。
しかも民意が割れるテーマ・・賛否均衡に近い事案では外国政府の宣伝効果が数%しかなくとも、その数%でキャステイングボウトを握れるのでより危険です。
選挙運動に関してどんな定義をしても国外拠点からのネット送信を現在技術では防げませんので、国民主権制度がどうなるかです。
この結果、今や外国との立ち位置を決める重要争点選挙で民意を決める方法は意味をなさなくなっています。
日本では早くから中韓によるマスメデイア支配が言われて国民の警戒心が強くなっていますので日本の民意をフェイクニュースでは簡単操作できないと思われますが、今後はもっと巧妙になっていくでしょう。
政治家に必要な民意の読みに戻りますと、徳川慶喜は古来からの伝統的価値観をよく知っていたでしょうが、領地返納命令が出たらどのように対応できるかの政治上の読みがなかったのです。
したたかさとはずるく立ち回ることではなく、政策決定当時の国内・国際世論動向まで読み切るしたたかさでしょう。
日本が対韓国ホワイト国指定を外す決定方針発表・これが奇策である限り国際理解を得られません。
奇策を国際正義に仕上げられるかが政治力・腕の見せ所ですし、国内外を問わず政治家は方向決定する時には(相手が選挙で汚い手を使うかも含めて)その票読みをしてから行うべきです。
国会解散でいえば与党論理の方が正しいかどうかではなく、解散して(中韓の非合法介入があったから負けたと言っても始まらないので)選挙に勝てるか否かの読みが重要です。
安倍外交のカクカクたる成果・国際会議等で主役を演じる姿が次々と報道されていますが、宴会等の儀礼的社交でにこやかに対応してくれるリップサービスと実利に絡んだ態度表明でどうなるかは、違いますので今回のホワイトこく問題はまさに日頃の国際政治の成果が問われる場面です。
ホワイト国除外に関する国際世論動向は、安倍外交の総決算になるので、第一回対決となるWTO理事会の動向に国民多くが気になっていたでしょう。
ジュネーブ時間7月24日に行われたWTO一般理事会の反応では当事国日韓の発言が終わって他の参加国全員沈黙を守り、日本のホワイト国除外にWTOルール上問題があるという韓国の問題提起に対して「日本は普通の国に変えるだけ」との主張に概ね賛意を示した印象で終わったようです。
https://www.sankei.com/world/news/190725/wor1907250045-n1.html
韓国の狙い空振り…WTO理事会「日本非難」に同調勢力なく2019.7.25 21:26
一般理事会で「日本はWTOルール違反」との韓国の訴えに同調する勢力はなかったが、あるアフリカの政府代表は「日韓の問題であり、わが国は口出しはしない」と明かした。金氏は理事会で、半導体材料の輸出管理厳格化は「第三国や罪のない消費者を苦しめる」と述べ、世界的影響を警告した。ただ、欧州やアフリカ諸国は植民地時代の過去を抱え、日本の措置を歴史問題に結びつける訴えに距離を置いたとみられる。
この報道が出ても会議の雰囲気に関する解釈報道ですので、日本メデイアが日本に都合よく解釈しているか否か不明でしたが、直後アメリカが突如WTOで中韓その他豊かな国が発展途上国として特別有利な扱いを受けている現行制度を厳しく批判し、これを90日以内に改正(検討?)しないと実力行使.自国単独で優遇扱いを停止?するとトランプ氏が公表しました。
多くの国民は、WTO運営に対する牽制・・日本への援護射撃と受け止めたでしょう。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201907/CK2019072702000267.html

中韓は「途上国」? トランプ氏扱い変更を指示
2019年7月27日 夕刊
ワシントン=白石亘】トランプ米大統領は二十六日、世界貿易機関(WTO)で中国や韓国などが発展途上国として優遇措置を受けているのは不公平だとして、WTOにルール見直しを求めるよう米通商代表部(USTR)に指示した。
九十日以内に進展がなければ、米国は途上国扱いをやめる方針だ。三十日から中国・上海で再開される米中の貿易協議でも火種となる可能性がある。
トランプ氏は、WTOが中国を不当に優遇していると批判を繰り返してきたが、WTOルールの変更は全加盟国の同意が必要で、ハードルが高い。一方的な行動も辞さない姿勢を示して圧力をかける狙いとみられる。

http://www.news24.jp/articles/2019/07/27/10471784.html
日テレの報道では途上国扱いを受けている国がOECD加盟しているのを支持しないとも主張していますので、関心のある方は上記に入ってください。
報道では「中国や韓国等」の途上国扱い・・と書いていますが、中国はOECD加盟していませんので、トランプ氏が追加でOECD加盟自体も批判したのは、韓国に対する事実上の名指し批判ともみられます。
これに対して台湾(OECD未加盟)が即時反応してWTOでの途上国としての地位を返上すると表明しましたが、韓国は(ショックが大きすぎたのか?)すぐに対応できていません。
トランプ氏の突然のWTO批判(OECD加盟反対)表明は、日本が韓国に対する特別優遇を止めることに対するWTO議論に対する無言の圧力表明となった印象です。
今後の展開次第ですが、緒戦では安倍氏の地球儀俯瞰外交が成功していることを証明しました。
国民の怒りが頂点に逹するのを見計らった韓国ホワイト国(特別扱い)除外は奇策でなく、ドンぴしゃりの政策だったことになります。
ただし個人間の喧嘩と違い、金輪際今後付き合わない訳に行かないのでいつかは幕引きが必要です。
その落としどころをどこに想定して始めたか、(そういう手の内を公表できないのは当然ですが・・)その読み通り行くかが重要です。

パブリックコメントと外国人意見

昨日見た通り、政府のパブリックコメント意見書提出方法では、要旨「差し支えなければ住所氏名記入してください」とし、しかもわざわざ「(任意)」の記載まであります。
政府書式では世界中の人が匿名で日本国の重要利害に関わる政府施策に意見を寄せられるように期待している感じです。
今回のホワイト国除外に関するパブコメでは韓国政府が反対意見を出したと韓国政府自身公表していますが、そもそもも日本国内政策の妥当性の意見を問うのに利害のある国政府や外国人など意見を加えて反対論何%と公表しても意味がないのではないでしょうか?
政策決定にはあらかじめ国際評価も(例えば米国が支持してくれそうかなど)知る必要があるとしても、それは別ルートでやればいいことで、(アメリカや韓国での世論調査など)国民意見と反日勢力の意見とゴッチャにして聞くのでは意味不明になりませんか?
たとえば、自衛隊基地への特定兵器設置に関するパブリックコメントを求めたら、中露や韓国人(国籍を問わない場合、韓国人の意見か不明ですが今回のホワイト国除外に対して韓国政府のように堂々と政府名入りで出せます。)の反対論がネットで数億人も占めると日本は設置をやめるしかないのでしょうか?
4〜5年前に私が関係していたある分野でパブリックコメントを求めたことがありますが、その時は意見ゼロでした。
多くの場合応募者が数十件あれば良い方でしょうが、世界中から匿名で反対意見を殺到させれば政府重要施策を左右させられる仕組みを政府が作っている・・国民主権を重視する政府の脇の甘さには驚きです。
国民主権に反する変な制度というか書式をどの政権が作ったか知りませんが直ちに国民限定に是正すべきでしょう。
今後はパブリックコメントをネット送信で求めるには少なくとも国民である旨の認証付きにする必要があるでしょう。
パブリックコメント制度は行政手続法制定時に創設されたようですが、法の趣旨は法の範囲内の行政行為であっても決定過程を透明化する・・国民意見を幅広く求めるという点にあり、外国人や外国政府の意見を反映する為の制度はありません。
条文には「国民の権利利益の保護に資することを目的とする」とあるように外国人・・まして敵対国の利益守るための法制度ではありません。
行政手続法(ぎょうせいてつづきほう)

平成五年十一月十二日法律第八十八号
第一条
この法律は、処分、行政指導及び届出に関する手続並びに命令等を定める手続に関し、共通する事項を定めることによって、行政運営における公正の確保と透明性(行政上の意思決定について、その内容及び過程が国民にとって明らかであることをいう。第四十六条において同じ。)の向上を図り、もって国民の権利利益の保護に資することを目的とする。
(意見公募手続)
第三十九条
命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合には、当該命令等の案(命令等で定めようとする内容を示すものをいう。以下同じ。)及びこれに関連する資料をあらかじめ公示し、意見(情報を含む。以下同じ。)の提出先及び意見の提出のための期間(以下「意見提出期間」という。)を定めて広く一般の意見を求めなければならない。

法の趣旨からいえば、どこの国の人の意見も重視しなければならないかのような現行書式は法違反・革新系法律家の好きな論法で言えば憲法違反の運用をしているように思えます。
パブリックコメントに関する論文検索すると立法過程オープン化に関する研究のテーマで以下富士通研究所発行の論文に出ていますが、要は「いつでも誰でも無料で容易にアクセスできる」べきという趣旨を主張しています。
https://www.fujitsu.com/jp/Images/no428.pdf
「いつでも誰でも・・」という表現は「国民が」という当然の前提があるように思うのですが・・
憲法で「何人も・・」といえば、国民でなくとも憲法上の権利があるが、「国民が・・」と書いていれば国民にだけ権利があると使い分けるのが普通です。
憲法大好きな政治学者等が法律専門用語を知らないわけがないはずですが、誰でも意見を言えるようにすべきと主張すると、現場では「誰でも」の法解釈の原則に従い韓国人も意見を言えるし、政府はその意見を尊重すべきとなってしまうのでしょうか。
「誰でも」とだけ聞けば、その行政行為によって利害のある人に限定すると意見の幅が狭くなりすぎる・利害のない中立の意見も欲しいという意味があるでしょうし、無責任な意見があってもその意見自体で一定の効果が出るわけでもない・一々応答義務がないので入り口で利害関係のあるものに限定しシャットアウトする必要がない・・広く有益な意見を求めた方が良いというだけのことで、外国人意見を求めるべきという意味まで入っていないと思って多くの国民が納得している筈です。
この論者は本音では在日に参政権を与える突破口にする意図を隠してこのような主張をしているのでしょうか?
パブコメは、国民主権=選挙=法制定過程に代表を送り込むことを通じての民意反映だったのが、国民代表による法制定で終わるのではなく、法を具体化する行政決定段階でも民意(をゆるく)反映すべきということでそれ自体健全な動きです。
日本国の「立法過程の透明化を図るべき」意図は、国民主権制度の実効性を高めるための補完制度である以上は、「国民の」意見を聞く制度であるべきです。
国民主権の補完制度とすればパブリックコメントを求める対象・意見を寄せる権利のある人間は国民に限定すべきです。
外国人の意見をあたかも国民意見のように混在させてその意見を反映させるのでは国民主権の否定です。
特定政策実行が、関係国を刺激し国益上どうなるかの情報収集や読みは必要ですし、その情報も国民に知らせるべきですが、その上でどこの国が反対し日本のどの企業に害が及ぶか等の情報を反映してどこまでの輸出管理をすべきかの判断表明は、国民だけが行うべきです。
外国の意見を求めるならば外国人枠(長期滞在と短期滞在者や管理が厳しくなれば損をする企業・外国法人子会社等の分類をして)で別に求めて公表するべきでしょう。

ホワイト国除外と国内世論1

イギリスではもう一度国民投票しても(米露の選挙介入が予想され)再びEU離脱になるリスクがあり、メイ首相が再度の国民投票に踏み切れず行き詰まりました。(この辺は私個人の憶測です)
実はロシアが対ロシア防衛のためと併せて戦後急台頭した米国覇権に対抗するには欧州の団結しかないという設立目的からして米露共にEU弱体化・分裂を期待しているのは常識の範囲でしょう。
米国は対ソ防衛の点では欧州の結束拡大が望ましいのでNATOに象徴されるように表向き友好関係でしたが、経済面ではドル支配に対抗目的の統一通貨ユーロ創設した結果、ドル一強を突き崩し、対中政策でも・AIIB・一帯一路政策に大挙して加盟するなど、国際力学的にはアメリカ支配を足元で崩す動きが目立ちました。
対ロ防衛だけアメリカに巨額負担させ応分の負担をしないEUに対しアメリカの不満が高まっている点は米国民全般の不満になっていてトランプ氏に限りません。
日本の場合、アメリカが日本を支配下に置くために前代未聞の自主防衛禁止・欧米の植民地支配は現地人に武装させない原則の結果ですから、日本に対しては正面から主張しにくいのですが、欧州の場合ぶおsかを禁止したのではないのに米国に費用負担させてきた図々しいだけのことです。
アメリカも世界支配のために世界各地に基地を保有したい思惑でそうして来たのでしょうが、経済力が落ちてくると大判振る舞いできない・応分負担をして欲しくなって来たという身勝手な部分もあります。
応分の分担と言うものの、一方でインド洋や太平洋の島などで中国が港湾使用権をえると(長期使用権設定?)大騒ぎで、フィリッピンでの米軍基地再開も始めようとしています。
この場合、基地利用料を払ってでも置かせてもらうのでしょう。
トランプ氏になってからはEU弱体化したい意欲が露骨ですので、国民投票になればアメリカも離脱派有利なサイバー攻勢・・選挙介入しない保証がありません。
今回メイ首相後継争いでも(合意なき)離脱すれば米英は特別な国になると言う誘導宣伝が盛んです。
https://www.afpbb.com/articles/-/3236652?page=2

英新首相にジョンソン氏、トランプ氏との「ブロマンス」は続くのか
2019年7月24日 15:4
英保守党の新党首に選ばれたジョンソン氏は、EUを離脱し、米国と緊密な関係を築くことを表明している。反グローバル化を掲げるトランプ氏はこれを全面的に支持している。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47869270X20C19A7MM0000/

EU離脱後にFTA交渉へ 米英首脳が電話会談
英EU離脱 ヨーロッパ
2019/7/27 8:35

英国はEU内にあったために米国に限らず世界中・・日本を含めどこの国とも個別のFTAがありません。
離脱の翌日から日英、米中韓豪印等の個別協定を成立させないとWTOの基本原則しかなく1日も円滑な貿易ができません。
いわば団体交渉の方が有利だからEUに入っていたのが、米中等々との個別交渉になれば内容が不利になるのが普通です。
だからこそ米国は多国間協定を次々と反古にして個別交渉を求めているのです。
要するに離脱後英国の国際立ち位置が有利になるかどうかではなく、米露にとってEU弱体化に効果があるかどうかが介入基準です。
(私の感想では離脱しても成算がない・アメリカは EU参加者を切り崩したいだけでその後は使い捨ての駒になるだけの予想)
英国は対欧州でも米国との特殊関係を盾に実力以上の発言権があったでしょうが、外に出れば裸の英国経済力相応の発言力しか無くなるでしょう。

民族の運営は自分で決める重要性・選挙権をどこの国でも国民に限定している所以ですが、外国人在住者に参政権を認めろという日本野党の主張は、国外の利害国にも決定権を認めろ?という主張の走りでしょう・先見性がある?ようです。
日本の対韓国ホワイト国除外に関するパブリックコメントの結果が発表されていますが、ネット送信者の氏名等特定不要ですから、外国勢力がいくらでも反対意見をネット投稿できる仕組みのようです。
ホームe-Govヘルプパブリックコメント意見提出方法をhttps://www.e-gov.go.jp/help/public_comment/form.html
で見ると画像コピーで一部引用不可能ですので、要点を書きますが、「差し支えなければ意見提出にあたっては住所氏名を記入ください(任意)」との説明です。

免責事項:

私は弁護士ですが、このコラムは帰宅後ちょっとした時間にニュース等に触発されて思いつくまま随想的に書いているだけで、「弁護士としての専門的見地からの意見」ではありません。

私がその時に知っている曖昧な知識を下に書いているだけで、それぞれのテーマについて裏付け的調査・判例や政省令〜規則ガイドライン等を調べる時間もないので、うろ覚えのまま書いていることがほとんどです。

引用データ等もネット検索で出たものを安易に引用することが多く、吟味検証されたものでないために一方の立場に偏っている場合もあり、記憶だけで書いたものはデータや指導的判例学説等と違っている場合もあります。

一言でいえば、ここで書いた意見は「仕事」として書いているのではありませんので、『責任』を持てません。

また、個別の法律相談の回答ではありませんので、具体的事件処理にあたってはこのコラムの意見がそのまま通用しませんので、必ず別の弁護士等に依頼してその弁護士の意見に従って処理されるようにしてください。

このコラムは法律家ではあるが私の主観的関心・印象をそのまま書いている程度・客観的裏付けに基づかない雑感に過ぎないレベルと理解してお読みください。