サムスン頼りで良いか?3

「漁夫の利」期待によるサムスン電子株価復活に関する解説記事です。
bpress.ismedia.jp/articles/-/56515?page=2

瀕死のサムスンに「ファーウェイ排除」で吹いた神風
漂流する東アジアを撃つ(第13回)
2019.5.25(土) 右田 早希
ひとまず遠のいたサムスン電子「株価4万ウォン割れ」の懸念
サムスン電子株は、1年前の昨年5月25日は、5万2700ウォンをつけていた。それがこの1年で落ち続け、1カ月前の4月25日は4万4650ウォンまで下落。その後もさらに落ち続け、今週初めの5月20日の初値は、4万1650ウォンだった。
それが今週の終値(5月24日・・稲垣注)は、4万2800ウォンと、見事に持ち直したのである。
世界のスマホ業界関係者の間では、早ければいまの第2四半期にも「中韓逆転」が起こると予想されていたのだ。もし第2四半期に逆転しなくても、ファーウェイは、今年通年の出荷台数を2億6000万台と見込んでおり、今年通年の逆転は必至の状態というのが、業界関係者の共通認識になっていたのだ。
「5Gスマホ」に関しても、サムスンはファーウェイに較べて、大いに見劣りしている。
業界関係者の間では、「両社の5Gスマホは、ファーウェイとサムスンの勢いの差を象徴しており、長かったサムスン時代も終わりを告げる」という見方が強かった。
こんな状況下で、今週サムスンに、まさに「神風」が吹いたのである。
なぜサムスンは突然、復調したのか? 今週、何か目新しい新製品を発表したわけでもなければ、トップの李在鎔副会長が前向きの発言をしたわけでもない。あの文在寅政権の経済政策も変わっていない。

と、24日の週末株価下げどまり傾向は、追い上げてくるライバル失速による「漁夫の利」期待効果によることを解説しています。
自己革新によらず「漁夫の利に頼っている」だけでは、他の競争相手の出現に脅かされるので一時しのぎに過ぎないでしょう。
漁夫の利を得て時間を得た間に、新技術革新に成功できるか次第でしょう。
スポーツは実力社会なので分かりよいですが、能力差が開いているとライバルが何かの失格行為や怪我等で半年〜1年出場停止になってその間に本来2〜3位の能力しかない選手が1位になれてもライバルが復帰したり次世代が台頭してくるとその追い上げにまたついていけなくなります。
競争予備軍は無数にいるものです。
中韓両国は、プラザ合意以降鮮明になった欧米による日本パッシング政策に呼応する形で日本の技術摂取に勤めて高度成長路線に入りましたが、日本はこの10年前後技術移転を絞り、中韓以外の東南アジアやメキシコへの生産(技術移転とセット)移転を加速するようになりました。
この10年ほどは日韓の技術移転は細る一方になっていたのです。
これが今まで見てきたように韓国各分野の業績不信・構造的生産力低下に繋がっていると見るべきでしょう。
技術移転が減ってきたので、もう日本の世話になる必要が無いと言うの(間違った意識)が韓国の反日運動の原動力でしょうが、実は技術移転が細っても韓国が次世代技術を自前で再生産していけるようになったかは別問題です。
韓国が中進国の罠にすぐ陥らなかったのは、それまで中進国の罠におちいった国々は、欧米の援助で中進国になった国々ばかりですが、欧米は人種差別意識が強くまともな技術移転をしなかった・・・安い労働力を利用するだけだったことによります。
日本の場合は、誠心誠意中韓の人々が自分たちでいろんなものが作れるように教えこんできた違いがあります。
欧米の植民地では、現地人は読み書きできないままに・欧米人との教育格差拡大を通じて「自分たちは欧米人にかなわない」という無力感を植え付ける支配に徹してきました。
日本は朝鮮や台湾で日本本土同様に義務教育制度や大学も設置して現地人の能力アップに努力したのとの本質的違いです。
上記のように日本は現地進出した場合、同胞並みに熱心に教えてきた実績があるので、技術移転が細ってもまだその余韻というか磁石効果が残っている関係が大違いです。
これがすぐに中進国の罠に陥らなかった違いです。
子供の頃磁石にクギをぶら下げて遊んだ記憶を例にすれば、本物の磁石を切り離してもある程度そのクギに磁力が残っていてまだ別の釘をくっつける磁力が残っているのを見た記憶でした。
中韓が、残った磁力効果を利用して自分で新技術を生み出せるのか?移転してもらった磁力がなくなればおしまいかの問題はこれからの結果次第です。
10年以上経過してようやく磁石が切れる段階がきて、さあどうなるか?お手並み拝見という段階での日韓公式?手切れ間近です。
中国は反日暴動をして見たものの公害環境技術やエネ技術等まだ日本の協力がいると分かって数年前から日本への擦り寄りを始めたところで米中対決になったので、味方をふやす必要もあって、猛烈な日本擦り寄りが始まりました。
韓国だけが国内事情で辞められない?からかまだ反日で邁進中ですが、肝腎の米国が中韓を利用してのジャパンパッシングをやめて、今度は日米蜜月→中国敵視政策に切り替えたので、韓国の立場は二階に上がって梯子を外された状態です。
プラザ合意以降、欧米一丸となった反日攻勢(いわゆるジャパンパッシング)に便乗して、韓国中国が文字通り漁夫の利を得ていた30年に及ぶ世界反日環境がオセロゲームのように白黒反転してしまったのです。
この環境激変対応力がないために、韓国の首を締め始めたということでしょう。
中国が台頭に連れて中国自身がおおっぴらに米国の「鼎の軽重を問う」動きを始めました。
この辺は、習近平氏が太平洋二分論をオバマに持ちかけたときにその意味をこのコラムで書いたことがあります。
その後尖閣諸島への信仰姿勢を見せたり南シナ海の公海で実力埋め立て強行→軍事基地工事を進め、既成事実化するなど、実力行使が目立ってきたので、ついに不公正貿易慣行という側面からのアメリカ国民一丸的な対中対決ムードが高まったものです。

サムスン頼りで良いか?2

半導体設計といえば最近英アームのファーウエイに対する供給停止に発表のニュースが世界を駆け巡ったばかりです。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45419600Z20C19A5910M00/

英アーム副社長「米規制を順守」、ファーウェイ取引中止を示唆 2019/5/29 18:03
日本経済新聞 電子版
台北=伊原健作】英半導体設計大手のアーム・ホールディングスのイアン・スミス副社長が29日、台湾・台北市で日本経済新聞の取材に応じ、米の輸出禁止措置を受けた中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)との取引について「米の規制を順守しなければならない」と述べた。ファーウェイを「価値あるパートナー」としつつ、取引を停止したことを示唆した。

ファーウエイは、米国の遮断があっても自力でなんとかできると発表直後の冷水を浴びせる発表でした。
アームの設計抜きにはファーウエイが自力対応はほぼ不可能だろうというのが大方の当時の解説でした。
ただし供与済みの契約は使えるだろうが、日進月歩の設計対応ができないとすぐに行き詰まるということのようです。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/052300376/

広岡 延隆 上海支局長 2019年5月23日
「米国製と同様の半導体チップを製造する能力はある」
21日、華為技術(ファーウェイ)の任正非CEO(最高経営責任者)は中国メディアの取材に応じてこう述べた時、その翌日に半導体製造の開発・設計の前提がひっくり返るとは思っていなかっただろうか。
米調査会社のIDCによれば2019年第1四半期のファーウェイのスマートフォン世界シェアは米アップルを抜き、韓国サムスン電子に続く2位。だが、ARMの技術が利用できなくなれば、ファーウェイのスマートフォン事業は大きな打撃を受ける可能性が高い。グーグルによるOS(基本ソフト)「アンドロイド」の輸出禁止に際しても「ずっと開発してきた独自OSを提供すればよい」と動じなかったファーウェイだが、ARMの技術だけは当面代替が不可能だとみられるからだ。  ARMは省電力半導体設計に強みを持ち、現在のスマートフォン向け半導体チップの大半は同社技術を採用している。米クアルコムや米アップル、韓国サムスン電子、台湾メディアテックなど、半導体チップメーカーはARMの設計情報のライセンスを受けずには事実上ビジネスを継続できない。そしてファーウェイの半導体開発を担う中核子会社、海思半導体(ハイシリコン)もARMの技術に頼っていた一社だ

6月1日日経新聞朝刊10pには、米半導体設計支援ソフト世界大手米シノプシスの供給停止発表が報じられています。
同記事によれば、知名度は低いが半導体設計支援ソフトでは世界標準を握る企業らしく各種技術は日進月歩の現在、昔のように数十年で大きな差が出るような悠長なことではなくなっています。
同記事では、「ソフトは高度で複雑な半導体設計には不可欠で、精度を高めるために毎週のように更新され保守サービスが止まれば、設計にトラブルが生じかねない」と書いています。
日本の京浜急行沿線(蒲田付近)の数〜10人規模の町工場の製品が世界の有名製品の部品になっているという話題が時折紹介されますが、今はこの種のサプライチェーンが網の目のようになっているので、大手さえ支配すれば勝負ありという時代ではなくなっています。
大震災や風水害等でサプライチェーンが寸断されると大量部品供給企業だけトヨタなど大手が目配りしていても、この種の(価格的に大したことのない)微細な仕入先まで災害対応していなかったのでそこが止まってしまう(例えば山間の小さな工場が土砂崩れで全壊したり従業員が被災すると)と全体の製造が止まってしまうような例が言われていました。
資源で言えば、鉄鉱石や原油は重要ですが、微細な利用しかないレアアースがないと電池も何も動かないというのと同じで目につく大量資源だけが重要ではありません。
人間も五臓六腑だけでなく、ちょっとした血管や神経の異常でも歩けなくなります。
企業はトップや優秀営業マンだけでなくいろんな役割の人(きちんとエレベータ保守するなど縁の下の力もち)で成り立っている・人間皆平等の理念が現実化し始めた時代突入です。
サムスンは電子系総合企業でしょうが、半導体でその儲けの大部分を占めていると言われ、半導体産業のようなイメージですが半導体でも色々あり、その中でもいろんな分野に専門分化していることがわかります。
特化した部門が時流の追い風に乗って成長することが多いのですが、その中で大企業にまで成長できるのは、その分野の消費量が多い分野で成功した場合のようです。
時流に乗ってもあくまでニッチの場合、世界の9割を占めても一般知名度も低いし、何十万人も雇用し国家貿易額の何%も占める大企業にはなり得ません。
サムスンは資源で言えば鉄鋼石や原油のような「産業のコメ」と言われた半導体製造で成功したので世界企業になれたのです。
ファーウエイはサムスンより後で世に出た分、半導体製造に足場がなくソフトから始まっている分、スマホその他のサービス分野での食いつきが早いというかサムスンよりも敏捷なイメージで、あっという間にサムスンスマホを追い越す勢いを示していました。
それだけに米国に危険視されることになったのですが、私が2019-5-22「徴用工訴訟と国内法論理(米中対決の相似形?)2」で、サムスンが米中対決の漁夫の利を享受できるのではないか?と憶測を書いていましたが、私同様の憶測する人が多いらしく、瀕死状態だったサムスン復活期待感で株式相場が5月24日に反発していたようです。
ファーウエイの失速が一時的なもので、自力更生の逆バネ効果でサプライチェーン自前構築に成功し、却って先進国からの輸入に頼らなくてもやれるようになる・飛躍のバネになるか?
ファーウエイ失速の隙をついてサムスンが漁夫の利を得て開発の遅れを取り戻せるか・・ただライバルの窮地に喜んでいるうち、ファーウエイが復活したり他のライバルが現れて再びうろたえることになるかはサムスンの能力次第です。
たまたまファーウエイに追いつき追い越されかけただけなのか、サムスンの人材では今までは世界の流れにやっとついて行けたが、この先の開発能力がない・・あと半年〜1年の時間があっても競争参加できないかの問題です。

サムスン頼りで良いか?1

自動車業界全体売り上げが年間7、8%も減れば、株価大幅下落材料でしょう・・自動車系韓国代表企業である現代自動車だけで見ると9、3%減と大幅ですし、27日のデータでは営業利益率も激減状態ですが株価大幅安のニュースを見かけないのが不思議です。
ちなみに米中対決の結果、世界経済大激震といっても、最大の悪影響を受ける中国に与えるマイナス影響が1%か?という予測が出ていますが、この程度で世界中が大騒ぎです。
たとえば以下の予測です。
https://www.msn.com/ja-jp/news/money/
ダイヤモンド編集部,竹田孝洋
2019/05/09 06:00

米中貿易の25%関税、「全面対決」なら中国の成長率は1%低下する

上記に比較すれば雇用創出力の大きい自動車生産業界が、7、8%もの生産減であれば、本来大騒ぎになっても良い規模です。
韓国では問題の根源がニュースにならないものの、国内は大学新卒の就職難で大変だし、家計負債増加が激しく徳政令が次々と出る状態が続いている様子です。
18年までの販売縮小の流れと違って、19年にはいってから国内車の売れ行きだけが伸びているのは不思議です。
製品の品質・競争力向上ならば、国外でも伸びるはずなのに国外減少傾向が続いているのですから、昨年来の低迷危機感による政府の景気テコ入れ策が効いたのかもしれません。
https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=61617?site=nli

韓国の経済成長率がマイナス0.3%に(速報)10年ぶりの最低値を記録
生活研究部 准主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任 金 明中
韓国銀行が4月25日に発表した「2019年第1四半期実質国内総生産(GDP)速報」によると、2019年第1四半期の経済成長率は対前期比マイナス 0.3%と、世界金融危機だった2008年第4四半期の経済成長率がマイナス3.3%になった以降、およそ10年ぶりの最低値を記録した。
民間および政府の消費支出は対前期比それぞれ0.1%と0.3%ずつ増加したものの、輸出は半導体をはじめとする主力製品の不振が続いた結果2.6%も減少し、さらに設備投資は10.8%も減少した。

May 6, 2019,「家計債務膨張3(韓国15)」で貿易黒字を紹介した時に、貿易黒字というのは輸出が増えて景気が良い場合もあるが輸出が減っても国内消費・内需がそれ以上減ったことで黒字になることがあるという前提の意見を書きましたが、韓国代表企業・・現代自動車の連続業績低迷・他産業も似たようなものでしょうから、ついにGDPにその結果が出ました。
今まで韓国代表企業である現代自動車の業績推移・・低迷を見てきたように、韓国経済は日本をコケにしたことによって何となく成長限界が来たようです。
財政出動・・補助金等で国内景気維持→売上げが持ち直している→国外で売れなくなっているのでは、韓国人にとっては将来が不安でしょう。
ただしこれらは造船業界の破綻に始まる20世紀型産業の衰退であり、新たにサムスンに代表される電子系産業が躍進している(特に米中対決でサムスンは漁夫の利を占める?期待がある)ので韓国は大丈夫という見方もあるでしょう。
しかし上記日生基礎研究所のレポートには以下のような指摘があります。

半導体メモリー分野ではサムスン電子とSKハイニックスが健在し、韓国企業の世界シェアはDRAMが70%以上、NANDフラッシュメモリーが40%以上を占めている。しかしながら、非メモリー半導体分野における韓国企業のシェアは3~4%で、世界1位の米国(60~70%)はもちろん、ヨーロッパや台湾にもおされている。
半導体メモリーがデータを記憶して保存する機能があることに比べて、非メモリー半導体はデータを処理して演算・制御する機能を持っている。従って、今後各国政府が自律走行、AIなど第4次産業革命をさらに推進することを考慮すると、半導体メモリーより非メモリー半導体の成長可能性が高いと言える。サムスン電子は非メモリー半導体分野での劣勢を乗り越えるために、今年の4月に、2030年前までに非メモリー半導体分野に133兆ウォン(約13兆円)を投資すると発表した。

上記によると、今後の成長分野である非メモリ半導体シェアーがわずか3〜4%に過ぎない弱点が指摘されています。
資金投入さえすれば成功するならば、大企業は勝ち続けるはずですが、そうは行かないのが現実です。
非メモリ半導体関連をもう少し見ておきます。
http://mottokorea.com/mottoKoreaW/KoreaNow_list.do?bbsBasketType=R&seq=83058

韓国半導体の弱点…非メモリ市場、シェアわずか4%
サムスン、非メモリ部門に133兆投資
市場調査会社のIHSによると、中国の非メモリ市場でのシェアは2013年の3.1%から昨年は5%に、5年のあいだに1.9%ポイント跳躍するあいだに、韓国国内メーカーのシェアは6.3%から4.1%に、むしろ2.2%ポイント下落した。韓国が「半導体強国」と自負するが、しかし実際に考えてみれば「メモリ大国」にとどまっているという指摘だ。
非メモリ半導体産業にはファウンドリ(受託生産)とファブレス(設計専門企業)、モバイルアプリケーションプロセッサ(AP)、イメージセンサーなどが含まれる。
しかし、ファブレスの競争力は米国と日本はもちろん、中国にも遅れている状況だ。ファブレスは韓国が競争力を持つメモリー半導体とは性格が全く異なる。メモリー半導体は大規模な設備投資が必要なデバイス産業の特性を持っている一方で、ファブレスは創造的な回路設計能力が要求される。
ICインサイツによると、米インテルや米クアルコムなどを保有している米国は、2010年以降はずっと70%に近いシェアを維持しており、中国は2010年に5%から昨年は13%に8年間で3倍近くにシェアを引き上げた。

売上げ基準では世界のファブレス企業の上位10社のうちの2社が中国企業だが、韓国企業は上位50社に入ったところが1社に過ぎないほど規模は零細だ。韓国最大のファブレス企業であるLGシリコンワークスは昨年、7918億ウォンの売り上げを記録するにとどまった。それすらもこれまで着実に製品を発売してきたイメージセンサー部門で比較的善戦しているだけだ。
市場調査会社のIHSマークィットによると、昨年のイメージセンサー市場でサムスン電子は売上げ基準で19.6%の市場シェアを示し、日本のソニー(49.9%)に次いで2位に上がったと推定される。

輸出→現地生産→利益還流5

韓国の高層ビル群とスラムの落差から釜ヶ崎の紹介に逸れました。
18年末の直近論文引用データです。
http://www.iti.or.jp/flash413.htm

2018年12月28日
たそがれる韓国自動車産業
宇佐美 喜昭 (一財)国際貿易投資研究所 客員研究員
韓国での自動車生産は、2011年の466万台をピークに、暫くはほぼ横ばいで推移していたが、ここ3年は減少速度が加速している(表1)。
・・韓国の自動車業界は四面楚歌を乗り切れるか。業界関係者の間で危機感が共有される中、識者の間では、経済に疎く労働組合に親和的な現政権の下では、自動車業界も金融支援で延命している造船業界の二の舞になりかねないという雰囲気が広がりつつある。

表1 韓国自動車メーカーの生産・販売・輸出・海外生産と輸入車の国内販売数 単位: 台

出所: 韓国自動 車工業協会、韓国輸入自動車協会

上記を見ると海外生産が増えたので、その分国内生産や輸出が減ったのではなく、海外生産も輸出も共に減っています。
ただし、上記は外資系や現代以外の企業生産も含まれた合計なので現代自動車だけならば海外で増えている場合もあり得ます。
上記は17年までのデータであり27日紹介した現代自動車の業績は18年のデータで時期が1年ずれますが、現代の輸出は減少していて、28日に紹介した記事では外資系の輸出が伸びているという報道でした。
最新・19年1〜3月期の結果です。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190521-00000039-cnippou-kr

韓国、自動車生産台数が減少…遠のく5大自動車強国
5/21(火) 14:59配信
韓国の自動車生産台数が減っている。世界5大自動車強国という言葉も過去のものになった。 韓国の自動車生産台数は4年連続で減少している。
韓国自動車産業協会は21日、主要自動車生産国の1-3月期の自動車生産台数を発表した。これによると、韓国の1-3月期の自動車生産台数(95万7402台)は前年同期(96万2803台)比0.6%減少した。
・・・2019年1-3月期、世界10大自動車生産国の全体生産量(1849万台)は前年同期比4.6%減少した。韓国をはじめ、中国・米国・ドイツなど7カ国の生産台数が減少した。特に中国は2018年7月から9カ月連続で新規需要が減り、今年1-3月期は10カ国のうち生産台数が最も大きく落ちた(-9.8%)。
一方、日本(0.1%)、メキシコ(2.2%)、フランス(1.3%)は今年1-3月期に生産台数が増加した。この3カ国には輸出販売台数が増加傾向という共通点がある

上記1〜3月期のデータは各国内の生産台数紹介ですから、中国で言えば日系韓国系ドイツ系米系などの現地生産を含みますので、国別競争力が見えません。
私の発展ステージ論でいえば、国内生産が減ってもそれ以上に国外現地生産が増えていれば将来性があります。
日韓関係の方向性を見るには、韓国の(車の場合、経済波及効果が大きくしかも販売台数の比較が簡単でわかりよいので指標的役割を果たしていますが、通信分野その他)各分野で国外生産が増えているか否かが重要です。
上記と比較すべき車に関する直近国外生産データがうまく出ないのですが、19年1月分からの販売データが出ていますので以下引用します。
(生産数ではなく販売数ですので上記生産データとは基礎が違います)
19年月別のデータが出ていますが、グラフでないので参考までに1月と4月のみ引用して傾向を見ておきたいと思います。 https://www.marklines.com/ja/statistics/flash_sales/salesfig_korea_2019#jan

韓国メーカーの新車販売台数(2019年4月)

https://screenshotscdn.firefoxusercontent.com/images/2b112508-02ff-47c2-a0f6-ff1802e5af5e.png

上記によると19年1月には国内販売が前年比4、5%増なのに海外販売(輸出と現地生産の合計?)は7、7%も減っています。
4月も国内販売が1、6%増えているのに、国外販売数が7、8%マイナスになっています。
現地生産が増えた結果国内の輸出用生産が減ったなら前向きですが、 国内販売が増えて国外販売が減るのでは25日に書いた、私の考える発展段階としては逆向きでしょう。
韓国雇用を支える代表的産業である車に関しては、国際競争力が恒常的低下傾向にあるということでしょう。

企業利益と社会の負担2(高層マンションとスラム街)

今日は写真の引用が多いですが、ご容赦ください。
文字表現によるスラムの定義では、概ね貧困層が集中して住む地域というようですが、これでは韓国のスラムと日本の安アパート集中地域が同じになってしまいます。
どんな豊かな社会も貧富の差があるので貧困層がいるのですが、大通りと路地裏があることがいけないのではなく、大通りと理事裏の綺麗さの格差、一般人と貧困層のレベル差こそが重要なのにその点を捨象して日本にもスラムや路地裏があるという言語でひとくくりしてしまうのは間違いです。
一般的に文書表現よりも、グラフや表がスッキリするのと同様で、日本のスラム?との違いをはっきりするには写真の表現力は抜群です。
以下は14年・16年の古い写真のようですが、以下引用するように街は小ざっぱりしていて韓国のスラムとの差は歴然です。
写真前後の説明文は著者前原和裕氏の解説です。
以下の引用する書き出しを見れば、釜ヶ崎だけでなく東京にも酷い状態が広がる?のを前提しているようですが、日本では生活困窮者に対しては生活保護受給者に囲い込み?が進んでいるので、貧困層が減る一方・現在ではもっと良くなっているのではないでしょうか?
なんとなく安く泊まれるだけの町のように見えますが・・・。
https://maeharakazuhiro.com/kamagasaki/#i-6

日本で唯一暴動が起こる街。日本のスラム街と言われる大阪・釜ヶ崎を旅してきました。

今回は地元大阪の人も踏み入れないというこの日本で一番最悪な街と言われる釜ヶ崎の様子を紹介します。
いま現在は東京も豊かですが、これから格差が広がれば東京にもこんな場所が新宿とかにできるかもしれませんので、社会科見学として見ておくべきです。

2014年8月13日 / 2016年7月1日
釜ヶ崎は日雇い労働者の宿場(ドヤ街)として発展しました。なので、ここには日本と思えない値段で泊まれる場所がゴロゴロしています。

釜ヶ崎 27  釜ヶ崎 28

あ、1000円があった 900円で泊まれるって、もはや日本でなくて東南アジアレベルです。

釜ヶ崎 49

ぼくが泊まった部屋は1,750円でこんな感じでした。想像してたより悪くなかったです。

宿も安ければ、スーパーと自販機も安い

釜ヶ崎 08   釜ヶ崎 10

ジュース一本100円は釜ヶ崎物価だと高いです。

48円の天ぷらを売っているスーパー玉出。地元の人から通称「スー玉」と呼ばれてます。安過ぎて怖いです。

釜ヶ崎玉出天ぷら.jpg

釜ヶ崎 14   釜ヶ崎 30

 

釜ヶ崎 32  釜ヶ崎の人口は99.5%が男性です。しかも大部分をオッサンが占めます。女性は飲み屋のスタッフしか見ませんでした。

釜ヶ崎 20 仕事は派遣労働者の街 しかし現在は生活保護の街でもある。

上記のように行政サービスも機能しているし、市街は小ざっぱりしていますので上記各写真だけで「スラム街の写真です」と言われてもピンとこない人が多いのではないでしょうか?

バカに物価の安い町か?というイメージです。
ついでにインドのスラム街を見ておくと以下のようです。
https://blog.tirakita.com/2015/03/
2015年3月26日

上記引用写真で比較すれば歴然ですが、よその国のスラム街と日本スラム街とは大違いです。
大統領といってもインドやドイツの大統領とアメリカやロシアの大統領とは権限がまるで違うし、首相と言っても中韓の首相と日本の首相とでは権限がまるで違うのと同じです。

免責事項:

私は弁護士ですが、このコラムは帰宅後ちょっとした時間にニュース等に触発されて思いつくまま随想的に書いているだけで、「弁護士としての専門的見地からの意見」ではありません。

私がその時に知っている曖昧な知識を下に書いているだけで、それぞれのテーマについて裏付け的調査・判例や政省令〜規則ガイドライン等を調べる時間もないので、うろ覚えのまま書いていることがほとんどです。

引用データ等もネット検索で出たものを安易に引用することが多く、吟味検証されたものでないために一方の立場に偏っている場合もあり、記憶だけで書いたものはデータや指導的判例学説等と違っている場合もあります。

一言でいえば、ここで書いた意見は「仕事」として書いているのではありませんので、『責任』を持てません。

また、個別の法律相談の回答ではありませんので、具体的事件処理にあたってはこのコラムの意見がそのまま通用しませんので、必ず別の弁護士等に依頼してその弁護士の意見に従って処理されるようにしてください。

このコラムは法律家ではあるが私の主観的関心・印象をそのまま書いている程度・客観的裏付けに基づかない雑感に過ぎないレベルと理解してお読みください。