自民族言語表現の重要性3(ハングル1)

李氏朝鮮第4代の世宗がハングル文字を整理し普及させようとした事跡をこの後で紹介しますが、そのトキ自前の言語文字を持つのは、漢文化の及ばない化外の地・非文化圏だと言う学者層による反論があったくらいです。
いわば、「自国文字を持たない方が文化度が進んでいる証(あかし」と言うのが朝鮮人知識層の基礎意識だったらしいです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%ABによれば以下の通りです。
「李氏朝鮮第4代王の世宗は、朝鮮固有の文字の創製を積極的に推し進めた。しかし、その事業は当初から事大主義的な保守派の反発を受けた。世宗が設立した諮問機関の集賢殿副提学だった崔萬理は1444年に上疏文で、「昔から中国の諸地は風土が異なっても方言に基づいて文字を作った例はない。ただモンゴル・西夏・女真・日本・チベットのみが文字を持つが、これらはみな夷狄(野蛮人・未開人)のなすことであり、言うに足るものではない」「漢字(中国文字)こそ文字であり、民族固有の文字など有り得ない」と反対した。」
確かに中央文化から離れれば離れるほど、方言など独自性が強くなり固有文化色が強まる傾向があるのは事実ですが、そこには中央の文化をそのまま真似するのがの正しいとする確固とした思想があります。
日本でも、地方の駅ビル内店舗では首都圏と同じチエーン店が出店しているので興ざめすることがありますが、地元にとっては首都圏と同じ店があるのが自慢でしょう。
韓国では真似ばかりでは恥ずかしいという少しのテライもない・いわば開き直り文化が昔から定着していたというべきでしょう。
朝鮮通信使が江戸時代だけでも12回も日本に来ていて、日本の社会の実情を見て自国より進んだ社会生活のあり方を見ても全くこれを報告しないで逆に明や清朝の文化をそのまま受け入れている自分たちに比べて日本が如何に文化の遅れた国か!という報告や吹聴ばかりしていたと言われています。
以下のように室町時代の使節には、立派な報告書があるようですが、侮蔑意識が先にたって社会全般で学ぶ気持ちがなかったから宗主国清朝等にないものは(顔色を伺うのに汲々としていた結果)取り入れられない・・活かせなかったのでしょう。
この辺は明治維新当時、政権交代の連絡今後の徳川政権同様の国交を求める「国書」に「天皇」その他の文言があることを理由に受け取れないとスッタ揉んだの末に江華島沖事件に発展してようやく決着したのも、宗主国清朝に必死に義理立てしていた結果によるものでした。
冊封を受けている朝鮮としては、宗主国以外は全て「王」であるべきあって皇帝を意味する天皇という肩書きそのまま受け取れば宗主国清朝からどのような問責を受けるかも知れないという必死の立場があったからです。
この主張は戦後復活していて、今なお、天皇をあえて「日王」侮蔑的表現に固執しているのは、この歴史に由来します。
ましてその中にこれまで多数回の朝貢を受けてきたが・・今回幕府に変わって天皇の政府に変わったので今後も・・という案内が入っていたのですから、宗主国の目を盗んで2重外交をして来た疑いを受ける…・・一種の謀反の嫌疑ということで、李氏朝鮮としては必死だったのです。
日本としては琉球の朝貢と朝鮮の朝貢を同一視していた歴史があるし、実質的立場から見ても、秀吉による朝鮮征伐の後で(北方民族の圧力もあって)本国を守るために明軍が引き上げてしまった結果、後ろだてのいなくなった日本軍の再来襲を恐れていた朝鮮では、おりから北方から女真族・後の清朝が勢力を広げて来て、日本と挟み撃ちにあうのを極度に恐れていたこともあって、徳川時代に復活した通信使は主に日本の報復的再来襲を防ぐための敵情視察と懐柔にあったので外形上はご機嫌うかがい・内容実質は朝貢に似ていたことがあります。
日本からは1度も行かない仕組も朝貢の形式です。
冊封された王か天皇かの問題では、聖徳太子以来、「日出るところの天子」と自称して来た独立国としての長い歴史があり、これも日本は譲れません。
こんな訳でこじれにこじれて日本では征韓論が吹き出した原因です。
こじれにこじれていた結果、起きたのが江華島事件です。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B1%9F%E8%8F%AF%E5%B3%B6%E4%BA%8B%E4%BB%B6
江華島事件 年月日:1875年9月20日から同22日 場所:江華島(朝鮮西部、黄海)
結果:永宗城砲台等の破壊の後、雲揚号の戦域離脱による戦闘終了。
日朝修好条規の締結。
戦力  日本                    李氏朝鮮
砲艦1隻                      陸上砲台
海兵隊
(士官・海兵・水夫あわせて約22名が上陸)      (約500名)
損害  戦死 1
戦傷 1                      戦死 35
捕虜 16
大小砲36門鹵獲
明治8年はまだ日本軍の近代化が始まったばかりのころでそれほど火砲系(大砲威力)の差がなかったと思われる上に、すぐに上陸作戦に移行→肉薄戦になると火力の近代化はほとんど意味をなさず兵士の気力と数の差が重要になるはずです。
ところが、水夫を含めてたったの22名の日本兵の上陸攻撃に対して500人の圧倒的兵力と自国民応援のある有利な状況下で迎え撃ちながら、自分からあっさりと負けてしまう朝鮮兵の弱さが不思議です。
しかも戦利品を確保するために4〜5名程度の水夫・兵などが翌日再上陸して大砲などを持ち帰ったというのですから、朝鮮兵が何をしていたのか?不思議な民族です。
上記数字を見ても分かるように22名が上陸して16名の捕虜を連れて船に戻っています。
時系列記録は 以下のとおりです。
午前07時43分 端艇二艘で乗り出し、同島に上陸しようとした時、第一砲台から発砲がある。上陸後八分間の激戦の後、東西北3方向から放火しながら急攻したため、城内守備兵は逃げ去り、同砲台を占拠する。
午前08時20分 喇叭にて退軍を命じ、総員東門の前に集合させ、人員を点検する。井上艦長も兵士の慰労のため上陸する。(日本側/負傷2名但し後に1名死亡)(朝鮮側/死者35名、捕虜16名、その他日本側にて、敵の負傷者及び婦人等の身柄を保護し、安全な場所へ誘導して解放する)
午前09時07分 城内に遺棄した大砲等の武器を戦利品として捕獲し、城内を焼き払う。
午後09時59分 戦利品の雲揚への積込みが完了する。
午後10時30分 島に上陸していた全兵士が雲揚に帰る。
【9月23日】 ─ 戦域の離脱 ─
午前11時00分 昨日積み残しの大砲を積み込み、同所を発艦する。
日支事変・中国大陸での陸戦でも日本の何十倍もの兵力の国府軍が開戦すると潰走するばかりで、日本軍は局地戦では最後まで負けてはいませんでした。
攻城戦を制するには城門・城壁を突破するには籠城軍の何倍もの兵力がないとむりと言われていますが・・。
秀吉軍が朝鮮半島ほぼ全土をあっという間に攻略できたことや、戦後北朝鮮軍が38度線を絵超えると抵抗らしい抵抗もなく短期間で半島ほぼ全域を占領できたことなどを見ると、中国や朝鮮では元々戦わずして逃げる民族です。
以下の絵が実際の砦と同じとは限りませんが、一応城塞になっているのに、誰も城門を守らずに逃げてしまったから船を漕ぐ?水夫を含めたたったの22名で攻略できたと思われます。
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/f/f5/Soldiers_from_the_Un%27y%C5%8D_attacking_the_Yeongjong_castle_on_a_Korean_island_%28woodblock_print%2C_1876%29.jpg

自民族言語表現の重要性2

日本人は自分や家族だけではなく、民族のために古代から働くのですが、中国などは違います。
この辺の事情については、最近では、民族意識より宗族意識優先の中国との比較でMay 24, 2017「民族文化の有無3(宗族血縁組織)」でも書きました。
漢詩・詞文が入ってくれば、日本語にあった和歌や連歌〜俳諧が発達する社会です。
中世禅宗も栄西・道元のような代表選手が少し行けばすぐに禅の精髄を取り入れて日本精神にしてしまうし、(中国では見る影もなく衰退しています・最近立派になっているのは日本人が故地を・・尊ぶ気持ちが強くて寄付・修復するからです)アメリカ発のジャズも実力者による日本公演回数が増えてくるなど日本が重要拠点になりつつあるようです。
イギリスで盛んであった競馬でさえも、デイープインパトの出現によって市場規模が格段に大きくなっています。
多種多様な分野で日本は古代から異民族文化(鑑真和上に限らず多くの渡来人や帰化人)をそのまま日本文化に溶けこませた上で日本独自文化に創り上げてきた特徴があります。
これが可能であったのは、日本に外来文化を受け入れるに足る固有の優れた文化がすでにあったからです。
往年の世界的スターが落ちぶれても、日本ではずっと地方公演を続けられる素地があるのと似ています。
鑑真和上に限らず令名の高い人材が生命を賭してまで日本に向かったのは、それだけ命がけでやって来る価値のある社会であったからです。
漢字の導入であれ、律令制であれ、仏教哲理であれ仏教美術であれ、丸ごと輸入して満足するのではなく、日本民族価値観に合うように変容して柔軟に取り入れる能力・・種子島の鉄砲であれ、幕末の西欧文化であれ、明治維新以降であれ、いろんな文物が入って来るとこれをヒントとして受け入れればすぐに自家製でやる能力を持っていたことがわかります。
幕末洋画の手法が入っても、わが国では遠近法その他の技法は取り入れますが日本伝統の日本画を捨てません。
7月16日に千葉市美術館で開催中の椿貞雄展を見てきましたが、彼と師の岸田劉生は晩年日本画の描く対象をなんとか洋画に取り入れられないかと模索?を試みているうちに師の劉生が先に亡くなり(劉生は日本画の岩絵具などの利用を試みていた?)、椿貞夫氏は最後まで油絵の具での日本的表現努力をしてきたが、うまくいかないまま終わった印象を受けました。
私の好みで言えば、椿氏が、墨絵等で(日本画の材料で)書いた子供らの絵や寝転んでいる・日常の絵がとても良かったです。
岸田劉生〜椿貞雄氏の苦労を見たので初めて知ったことですが、油絵は教会芸術から始まった結果かもしれませんが、額縁に入ったかしこまったポーズしか馴染まないのに対して日本画では日常描写では日本画の手法が優れている印象を受けました。
花鳥風月に始まり昔から動物や庶民の日常(動作)を描いてきた歴史があるからでしょうが、子供らが輪になって遊ぶ姿(子供の歌声が聞こえてくるような感じがしました)やスイカなどにかぶりついたり大人が昼寝する姿や寒山拾得図など日本画手法の良さが堪能できました。
このように明治以降の西洋の芸術を取り入れに際しても、洋画家でさえもいかにして日本の風土・文化意識に溶けこませるかに苦心してきたことが分かります。
李氏朝鮮では、宗主国の政治体制や儒学そのまま丸ごとの直輸入・・丸暗記能力でそれをしない日本を劣等生扱いしていたのは、自民族固有文化のない弱さの裏返しであることに気がつかないレベルの表明です。
民族意識の骨格である宗教でさえキリスト教国が進んでいるとなれば簡単に変えていく社会とは、民族独自の文化がない社会と同義でしょう。
「馬鹿の一つ覚えのよう丸暗記しか知らない・・」社会では、ヒントだけあれば時間をかけて独自文化に取りれて融合して行く能力のある社会の存在を理解できなかったと思われます。
日清〜日露戦争で日本が勝つと日本と一緒になりたがり、日本が敗戦すると今度は欧米価値観至上主義でアメリカ文化が良いとなると、これに合わせてスグに大量のキリスト教徒が生まれる社会・・乱暴(社会実態無視で)にアメリカ式に法制度を変えていく社会です。
民族文化の基本である文字でさえ、戦後すぐに漢字を廃止しハングル文字だけにしてしまいましたが、10年ほど前には国家の基本枠組みである?戸籍制度も廃止しました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E6%BC%A2%E5%AD%97によると以下の通りです。
「1948年施行の「ハングル専用に関する法律」(略称: ハングル専用法)により、漢字廃止に法的根拠が付与される。「大韓民国の公文書はハングルで書く。ただし、当面の間、漢字をかっこに入れて使用することができる」が法律の全文だ・・・・
李承晩の時代には、小学校段階から漢字教育が行われたが、朴正煕は漢字廃止に傾斜を強め、1970年には漢字廃止宣言を発表、普通教育での漢字教育を全廃した。しかし言論界を中心に全廃への反対が強く、1972年には漢字廃止宣言を撤回し、漢文教育用基礎漢字(約1800字)[5]を定め、中学校及び高等学校の「漢文」の教育の一環として漢字教育を復活させた。が、あくまで選択科目であり、受験にもほとんど関係がなく、実社会でもほとんど使用されない漢字は、学生らの学習動機を呼び起こさなかった。また小学校での漢字教育は禁止され、児童に個人的に漢字を教えた小学校教員は、国策に協力しない者として懲戒免職などの重い処分を受けた。
1980年代半ばから、韓国の新聞・雑誌も、次第に漢字の使用頻度を落とし始めた。漢字教育をほとんど受けていないハングル世代が多数を占め、漢字を使用した出版物が売れなくなったためである。」
戸籍廃止だけではなく刑事制度も日本のように国情に応じた微温的改革ではなくアメリカ流にどんどん保釈する仕組みになっていることを2011-4-6「住民登録制度6(公示から管理へ)」で紹介したことがあります。
自国独自文化がないのでそれに対しするこだわりもないし、その時々の強い国の文化を丸ごと取り入れれば効率が良いという安易な発想・・一般に事大主義」と言われる文化背景はここにあります。
シンガポールなど多くの国では、近代文化を自国語に消化できないままで英語やフランス語を理解できるエリートしか理解できないまま独立を迎えました。
植民地時代の元エリート層がそのまま支配層になっている関係で、今でも英語を操れない限り言語能力がないと思い込んでいるから、日本人の殆どが英語を話せないのを知って、複雑思考のできない日本人か?と誤解する人がいる・と10年ほど前にどこかで読んだことがります。
「そう言う国がなぜ先進国になっているか分からない」と言う疑問だったとすれば、もう一息で元々の文化の有無に気がつく寸前まで来た・一歩進んだ意見になるかも知れませんが・・・・。
このように自民族固有の文化を知らないママ生きてきた民族にとっては、外来先端国の文化理解度が民族文化度を測る基準です。
この辺では漢文化を丸ごと暗記している自分の方が日本民族よりも偉いと5〜6百年間・・日露戦争の頃まで誤解してきた朝鮮人はもっと悲劇的です。

自民族言語表現の重要性1

楽団やプロスポーツでも選手の実力・層の厚さは重要ですが、軍師や監督の腕が悪いと負けるのと同じで・・日産の例を見ればあのままだったらイマでは潰れていたかも知れないし、シャープの例も同じです・・(もしかすると東芝も同じかな?)トップ層のレベルが低いと次がなくなる時代ではないかと思っています。 
アメリカが絶えざる人材流入が途絶えるようになると、発展が途絶える点では、唐滅亡以降西域から人材が流入しなくなってからパッタリと発展しなくなった中国歴史の運命を辿るのではないでしょうか。
我が国の場合、過去2000年間で見れば以下の通り、トップクラスの招聘を除けば中間層人材輸入の必要性がなかったのですが、今後必要とするAI系人材になると長年日本が適応してこられた経験で今後も大量の人材輸入しないでやって行けるかは不明です。
言わば、AI分野で国際的に通用するトップクラスの層が日本にも少数いるとした場合、これを支える二番手の高度人材層をどのくらい厚く養成できるかの見通し次第です。
私自身その方向性に全く鈍いことから、(自分の能力を基準にすれば)直感的にインドや中国系に層の厚さで押されそうな心配をしていますが・・杞憂であれば・・と祈るばかりです。
外来文明導入に関する過去2000年の成功体験が今後の展開にも役に立つかどうかは別として、日本の過去の歴史では以下の通りうまくやってきました。
明治維新で御雇い外国人が再任を期待していたのに任期が来るとみんな「結構です」と断られたのに驚いた逸話がありますが・・日本人はちょっと聞いたり技術の基礎を教えられれば,「ヒント」だけで,すぐに自家薬籠中の物にする素地があったからです。
種子島で火縄銃を売ったオランダ人がこれは高く売れると思って、次に商品用に一杯持って来たときには,日本ではその間にもっと性能の良いものが国産化されていたので商売し損ねたことが知られています。
もっと古代にさかのぼれば遣唐使を繰り返す必要がなかった・・仏教精神や隋唐の文化の精髄を誰かが持ち帰ってこれを周辺に広めるとみんなが思想原理を自己のものにする能力があったことによります。
だいぶ前に書いたと思いますが、このように何でも自民族の技術に変えていくようになったのには、民族レベルが古代から高いことがあります。
その最たるものが世界に例を見ない言語変換技術の発明でしょう。
古代から中世までの間、日本列島の文化吸収の唯一対象であった漢文化を咀嚼するのに漢字そのままを日本語読みする技術確立(ほぼ全ての漢字には訓読みがあります)の他に文法の違いまで克服し「日本語と全く文法の違う漢字文化をそのまま日本語読みする工夫」が成功していたことです。
いわゆる漢文の読み下し文・レ点等を利用した技法です。
このお陰で中国へ一人一人が留学しなくとも、留学僧がどっさりと文献を持って帰れば一定の教養のある国民みんながそれを読めた・・間に合ったことになっていたのです。
当時の留学僧の主要な仕事は如何に多量の文献・文物を入手して持ち帰るかが大きな仕事目標であったと言われます。
だからこそ最澄がわずかの滞在で帰国して天台宗を開けたのですが、空海のように本格的修行をしていないので、空海帰国後に密教の教えを請うしかなかった面でもあります。
http://www.kosaiji.org/hokke/tendai/saicho.htmによると以下の通りです。
最澄は弟子の義真(781-833)(後に初代天台座主)を通訳に連れ、空海とおなじ延暦23年(804)7月、遣唐副使の第二船に乗って出発した。
9月26日 約160km歩いて台州の臨海に到着。天台山に直行せずに大回りをしたのは、台州の滞在許可(ビザ)が必要だったからである。
11月5日 天台山巡礼を終えて臨海の龍興寺にもどる。ここで受学と日本に持ち帰る仏典書写に専念することになる。
最澄は8ヶ月の入唐期間のうち6ヶ月をこの台州に留まり、そのほとんどを龍興寺で過ごす。
2月20日には103部253巻(一説には230部460巻)もの写経を終えた。還学生(短期留学)の最澄にとって帰国船に乗るまでの期間は限られていた。それにも関わらずこれだけの成果を出した。これには陸淳が20人の写経生の動員に協力し、道邃和尚、行満和尚も資料の厳選と収集や僧侶を動員など好意的な協力を惜しまなかったのであろう。」
上記の通り天台山にいたのは1ヶ月間あまりだけですから、修行らしい修行をしていないでしょう。
空海の方は周知の通り、恵果和尚について修行して最高位・阿闍梨まで上り詰めてからの帰国でした。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A9%BA%E6%B5%B7
からの引用です
永貞元年(延暦24年、805年)2月、西明寺に入り滞在し、空海の長安での住居となった。
長安で空海が師事したのは、まず醴泉寺の印度僧般若三蔵。密教を学ぶために必須の梵語に磨きをかけたものと考えられている。空海はこの般若三蔵から梵語の経本や新訳経典を与えられている。
5月になると空海は、密教の第七祖である唐長安青龍寺の恵果和尚を訪ね、以降約半年にわたって師事することになる。恵果は空海が過酷な修行をすでに十分積んでいたことを初対面の際見抜いて、即座に密教の奥義伝授を開始し[9]、空海は6月13日に大悲胎蔵の学法灌頂、7月に金剛界の灌頂を受ける。ちなみに胎蔵界・金剛界のいずれの灌頂においても彼の投じた花は敷き曼荼羅の大日如来の上へ落ち、両部(両界)の大日如来と結縁した、と伝えられている。
8月10日には伝法阿闍梨位の灌頂を受け、「この世の一切を遍く照らす最上の者」(=大日如来)を意味する遍照金剛(へんじょうこんごう)の灌頂名を与えられた。この名は後世、空海を尊崇するご宝号として唱えられるようになる。このとき空海は、青龍寺や不空三蔵ゆかりの大興善寺から500人にものぼる人々を招いて食事の接待をし、感謝の気持ちを表している。
・・・大同元年(806年)10月、空海は無事、博多津に帰着。呉服町に東長寺を開基し、大宰府に滞在する。日本では、この年の3月に桓武天皇が崩御し、平城天皇が即位していた。
空海は、10月22日付で朝廷に『請来目録』を提出。唐から空海が持ち帰ったものは『請来目録』によれば、多数の経典類(新訳の経論など216部461巻)、両部大曼荼羅、祖師図、密教法具、阿闍梨付属物など膨大なものである。当然、この目録に載っていない私的なものも別に数多くあったと考えられている。「未だ学ばざるを学び、〜聞かざるを聞く」(『請来目録』)、空海が請来したのは密教を含めた最新の文化体系であった。」
・・・弘仁3年(812年)11月15日、高雄山寺にて金剛界結縁灌頂を開壇した。入壇者には、最澄も含まれていた。さらに12月14日には胎蔵灌頂を開壇。入壇者は最澄やその弟子円澄、光定、泰範のほか190名にのぼった。」
明治維新当時も欧米留学者たちが、自己一人で情報一人占めすることなく欧米の社会事情や技術情報を日本語に翻訳して流布させたこと・・これをすぐに自前のものにしてしまえる層が暑かったことが、爆発的文明開花に成功できた原因です。

巨額収入層排撃の愚(海外収益の必須性)2

この辺で話題が変わりますが、March 13, 2017,「素人政治の限界6(プロの流出)」〜「政治と信頼1(意思表示の責任)」等で少しずつ書いてきた取り引き外交に関する懸念・・July 5, 2017「巨額収入層排撃の愚(海外収益の必須性)1」の続きに戻ります。
トランプ大統領もメキシコ進出阻止した企業へ裏で何らかの密約で見返りを与えているのかも知れませんが、経営原理に反した個別企業たたき・・狙われたら大変とみんなクビをすくめた状態・恣意的狙い撃ち強制がはびこると必ず裏での取引がくっついて来ます。
そうなると・・独裁国家の恣意的経済介入・企業癒着と区別がつかなくなり、予測不能・合理的経済活動が阻害され、長期的に国内企業の足腰が弱ります。
思想の自由がないキリスト教支配が暗黒の中世になってしまった歴史をDecember 17, 2016「フランス革命1(ルネッサンスの完成)→キリスト教支配からの解放」などで書いて来ましたが,ソ連の粛清時代みたいな政治になると(暗黒の中世の焼き直しですから)結果が見えています。
どこまで落ちぶれてもアメリカには資源があるから強いと思うのは間違いで,多くの資源国・・新興国・・ロシアも資源がたっぷりあっても民度レベル以上には成長出来ないことを見ても明らかです。
アメリカは資源が豊富なだけではなく、身分制度に縛られた欧州に比べて自由な雰囲気が新規工夫や開発を生み出して来た・・これこそがアメリカの強みです。
予測不能な政治行動のトランプ政権の、行き当たりばったりの強権支配が定着し自由闊達な言論・行動を萎縮させると、アメリカへの人材流入が止まりただの資源国になってしまいます。
今後有能な人材がアメリカに入って行かなくなれば,ロシア、オーストラリアあるいは中東産油国のような資源国レベルにまで落ちて行くしかないと言うのが、トランプ氏の御託宣でしょうか?
トルコが長年安定していたのですが、昨年のクーデター未遂騒ぎ以降急速に独裁性を強めてきた結果、窮屈な政治体制を嫌がって有能人材の国外流出が進んできたと報道されています。
これがアメリカでも起きるのでしょうか?
ただし中国では思想締め付けが厳しいにも関わらず、多くの世界的先端企業が生まれている事実からすれば、トルコに関するこの種の報道は矛盾していますので、メデイアによる想像だけで書いているだけかも知れません。
頭脳流出が増えていることを真面目に報道する以上は、本来1年〜2年ではなく10〜20年程度の流出推移を見ないと分からない筈ですが、日経新聞報道ではムードだけ書いていて、なんの出典根拠も示していなかった記憶です。
日本の一流学者の経歴を見ても5年〜10年程度の長期間アメリカ留学して研究所に在籍していて研究成果が世界的に認められている人が多い(1〜2年の留学で成果を出すのは無理でしょう)のですから、元々半年や10ヶ月そこらで決め付けるのは無理がある・・私の意見自体データ根拠ありませんが、クーデター未遂事件後頭脳流出が進んでいるという日経の報道は根拠なく欧米的価値観で受け売り報道していることが明らかです。
どういう表現だったのか忘れましたで念のためにネット検索してみました。 http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM14H1V_U7A110C1FF8000/
トルコ、深まる分断 クーデター未遂半年2017/1/14 22:24
「・・・・反対意見を封じ込め、エルドアン氏は悲願の改憲に突き進む。首相職の廃止、国会の解散、多選制限の事実上の緩和、大統領令の発令――。実現すれば「権力の均衡が失われ、個人の独裁につながる」(最大野党の共和人民党)との懸念が募る。強権を嫌い優秀な人材が国を離れる「頭脳流出」は欧州とアジアをつなぐ新興国の将来にとって不安材料となっている。」
約半年前に読んだ記憶だったので、この機会に読み返して見ましたが、上記記事では破産急増のNHK報道同様に上記の通りムードしか書いていません。
私のように毎朝仕事に出る前にさっと読むだけで何気なく読むものには、この種ムード報道は非常に有効で、「頭脳流出が起きている」という結果だけ刷り込まれたまま信用していましたが、今アメリカの将来に関して思い出したので、上記の通り検索して読み直してみると何らのデータも引用していなかったことがわかりました。
このように事実調査に基づかない(頭脳流出は数十年単位でみないとわからない筈ですから調査に基づかない意見であることが明らか)ムード報道は人の思考内容に恐ろしい刷り込み効果をもたらすことが分かります。
(私は頭脳流出に関心があったのでその記憶だけでしたが、今読み返して見ると安倍政権の改憲姿勢に対するネガキャンが中心的意図だったことが分かります・・同じ記事を読んでも読者の関心によって記憶が違うものです)
今回、中国の先端企業が成功しているという日本メデイア報道と矛盾することから気がついたことですが、これがなければ、独裁=先端文化が育たないという図式の刷り込みを信じてしまうところでした。
中国の公害や人権侵害を滅多に報道しない日本メデイアの特質からすれば、中国の成功企業報道の方が実は誇大・・こっちの方が虚偽かも知れません。
メデイアの事実報道が事実に基づかずに想像で書いているのが原則になると、頭脳流出が本当かどうか不明で何を信用して思考を組み立てて良いかもわからなくなります。
日本国内データと違い世界情勢に関しては、多くの日本人にとって他の角度からのチェック能力皆無ですので、その影響力が強大です。
ところで、人材流入にも2種類があって,明治日本のように一流人材を招いてそれに触発されると次々と近代科学研究が開花して行く民度のクニと全部やってもらわないとすぐに途絶えてしまう民度があります。
一を聞いて10を理解する人と10全部教えてもらわないと何も出来ない人材・民度の違いです。
アメリカは、たまたま新天地を求めて次々と人材が流入していたから、その人たちが上澄みに乗っかって来て、次々と新産業が起こって来ただけで自前の人材が育ってきた訳ではありません。
上澄み人材流入に頼ると、それまでの上中流階層の上に乗っかってくるので古参移民は徐々にランクを下げていくしかありません。
トップクラス・・アップルのジョブスみたいな人が仮りに数人や10人程度が移民で入って来て大企業トップになっても層の厚い中流層には関係がない・・ニッサンのゴーンさん見たいなもので、企業が隆盛になれば中堅社員にとっては自分の地位を失うわけではないので、社長が異民族であろうと日産の中堅社員が大歓迎しているのと同じです。
ところが技術革新(オートメ化)+新興国の生産参加により流れ作業的労働者が職を失う・・中間層が一斉に「中の下」以下〜非正規に落ちるようになると社会的インパクトが大きいので、これが人口の大多数を占める既存移民の不満になり、トランプ旋風になって行ったものと思われます。
新たな技術・・AI駆使できる有能な移民を制限したからと言って従来型中間層の職場を維持できる訳ではない時代です。
AI取り込みに反対し・・上澄み人材流入が縮小すると逆に国内工場が国際競争に負けて生き残れなくなります。

メディアの信用低下(事実に基づかない報道の危険性)

今回NHKの「クローズアップ現代」の見出しと内容の食い違いを書いていて気がつくことは、報道関係者には基本的に反政府主義者が多いとしても、報道全てに言えることですが、政治的な主張するには特に反対論者がいることからより一層綿密な裏づけ調査が必要なのにこれを怠っている・または人材劣化が起きているからではないかと思われます。
昨日最後に書いたように日経新聞が文化欄に逃げているのは、ツッコミが浅すぎても読者が減るだけで反論が来ない気楽さがあるからでしょう。
政治利害のある意見では、読者が減る程度では収まらず、利害関係者の強烈不満を呼び反対調査によって覆されるリスクがあるからです。
サンゴ礁のやらせ報道では、地元漁協に利害があったことから漁協の反発で判明したものです。
その後ネットの発達によって、政治テーマではメデイア以外のものも反論できるようになってきたので、フェイクニュースが次々と暴露されるようになると、事実を脚色する報道のあり方が大きな問題になってきました。
あるいは読者や視聴者レベルが上がってムードだけ煽る・根拠のない意見には疑問を呈する人が増えてきたのに、メデイア側が社会のレベルアップに追いついて行けなくなっている状態かもしれません。
これがトランプ氏によって、アメリカでもフェイクニュースの批判を受けるようになった原因です。
フェイクニュースは、積極的フェイクもあれば調査能力不足もあるでしょうが、もともと報道各社の色付立場が重視され事実調査を軽視する傾向があれば、結果的に調査能力も上がりませんから根は同じです。
色付け角度付け報道が改まらない弊害というか、報道に限らず化学技術の発明発見その他何事でも一定の角度からの関心・動機に基づく実験や調査が始まりその結果、掘り起こしが必要なので、それはそれでいいのですが、関心だけで事実に基づく裏付け調査を省略して調査した事実のように装って報道して良いかは別問題です。
慰安婦騒動に関して角度づけに基づく関心が先走って事実調査不足が問題になりましたが、「破産急増」テーマは誇大報道であって事実無根でも慰安婦ほどの大事件性がありません。
このため、この報道を見た人は、なあーんだと思っただけで誰も問題視せずに垂れ流して終わっている印象ですが、事実調査を怠って報道している点では一時がアバン時・・ショッ中こう言う報道体質需要ニュースも行われているのでは同じ危険性があります。
(私は信用拡大のコラムを書いている途中で最近の破産がどうなっているかが気になったので、たまたまネット検索したら出てきた中でNHKが1番客観的報道しているかなと思って覗いて見て見出しと内容の違いに驚いただけです)
角度付けとその後の事実調査の必要性に関する朝日新聞の慰安婦報道に関する第三者委員会の報告書を、January 9, 2015「第三者委員会の役割2(朝日新聞慰安婦報道1)」のテーマでこのコラムで引用紹介したことがありますので結論部分の一部再引用します。
「・・しかし、韓国事情に精通した記者を中心にそのような証言事実はあり得るとの先入観がまず存在し、その先入観が裏付け調査を怠ったことに影響を与えたとすれば、 テーマの重要性に鑑みると、問題である。
そして、吉田証言に関する記事は、事件事故報道ほどの速報性は要求されないこと、裏付け調査がないまま相応の紙面を割いた記事が繰り返し紙面に掲載され、執筆者も複数にわたることを考え合わせると、後年の記事になればなるほど裏付け調 査を怠ったことを指摘せざるを得ない。」
まして、14日に紹介した日弁連意見書を見ると単に「カードローンについても総量規制の対象にすべきだ」という趣旨だけのことであって破産の増加については傍論的にデータを紹介しているだけで破産増自体に懸念を示すには、時期尚早としたのか?意見を書いていません。
しかもネットで簡単検索した限りでは日経も朝日新聞や東京新聞でも「破産増」だけの表示で「急増」とは書いていない(朝日はローン急増が原因か?と書いていますが破産急増とは書いていません)のに、NHKだけが何故「破産急増」と・・刺激的テーマにしてしかも「クローズアップ」して取り上げるほど社会性があると判断したのかが疑問です。
4月12日の「クローズアップ現代」の内容を読んで見るとカードローンが増えていることが話題の中心で、どこにも破産急増の話題が見当たりません。
羊頭狗肉というか、見出しと内容があってないのです。
破産急増とは時間軸でいうものですが、1%増の基準が1年間の統計結果による以上は長期間観察の結果なのですから、1〜2週間程度かけて関連データを調査して比較判断・深堀する時間をかけられないような緊急速報性がないことも確かです。
報道時間中の進行でNHKの期待に沿う意見が出たかは別としても、(文字化したネット報道には出ていません)まだ前年より1%増えたデータしかないことが明らかですから、これだけでなぜ「「急増」というテーマにしたのかの不思議さが残ります。
日常用語としても、1%程度の増減があったくらいで「急増」「急減」という言葉を使う人は滅多にいないのではないでしょうか?
日中気温がわずか1時間で25度から26度(約4%の変化)に変わっても急上昇と言わないでしょう。
しかも、「若者もシニアも」と見出しになっていますが、内容には年齢別の変化についてどのような調査をしたかの出典の明示もなければ、何%から何%に増えたかも書いていません。
司法統計年表に年齢別の増減推移まで出ていると言う意味かも知れません。
そこで司法統計年表16年のPDFで「破産新受事件数―受理区分別―全地方裁判所
第 102 表」に入って見ましたら、年間の合計数しか出ておらず、内訳としては自然人と法人の2分類しかありません。
NHKはどこから若者やシニアの年齢別統計を入手したのか不明です。
以上によると、派手な見出しと内容がまるで違う上に・・内容のない、いい加減な報道をしているように見えますが、これでは視聴者が離れていかないのか不思議です。
私はテレビを見ていないのでNHKの総合レベルが分からないですが、NHKは報道内容を全てネットにアップしていないはずですから、ネットアップする分は精選されているとすれば、「クローズアップ現代」のレベルがNHKの報道レベルの上位を代表していると言うべきでしょう。
慰安婦騒動以来、親中韓系報道をしてきたフジテレビや朝日新聞の売り上げ減少が知られていますが、これを受けて経営者は必死になって体質改善に取り組んでいると思われますが、NHKには民間と違って市場淘汰の仕組みがないので、番組が劣化していく一方になっているのかも知れません。
私に言わせれば、「朝日新聞やNHKの政治的立場が受け入れられなくなったのは残念」という自己正当化ばかりではなく、政治理念先行で事実無視の捏造的報道しか経験がないから、こんなことになっているのではないでしょうか?
見出しテーマと内容がまるで違っていても気にしない人材レベルの低さ・いろんな角度に知恵をめぐらせての多角的事実調査能力欠如こそが、基本的原因ではないかということです。
「若者もシニアも破産急増」というテーマを決める時に、相応の幹部が関与したはずですが、どういうデータ調査が必要かの思いをめぐらせる能力もない人ばかりで運営しているのでしょうか?
もしかしたら虚偽でもでっち上げでもムードを作り上げれば勝負あり・という成功経験しかない年齢層・事実調査経験のない幹部の方が、事実調査の必要性を具申する若手をドヤして「事実調査などいらない政治色付け先行でやれ!と檄を飛ばしていたのかもしれません。

©2002-2016 稲垣法律事務所 All Right Reserved. ©Designed By Pear Computing LLC