近代立憲主義6と憲法改正5(内心の自由と規制の必要性)

慰安婦報道でも報道機関は要所要所に「〇〇が事実とすれば・・」などの逃げ道を要所要所に用意していたのでしょうが、それを視聴者や読者は「書きっぷり」で判断しているのです。
「実務法曹にとっての近代立憲主義」その他の主張は、本気でそのように思いこんで欲しいかのようなトーン・ぼやーっと読むとそういう方向へ引きずり込まれそうであり、実際にそのように思い込んでいる人がいること・成功していることが上記引用文でわかります。
人権は崇高である→生命侵害は人権侵害の最たるものであり許されない=死刑廃止論・・このような単純論理が成立すれば、一般的刑罰ならば何故許されるかの説明がつきません。
生命を奪うのも自由を奪うのも人権侵害に相違ないのですから、何故生命侵害だけゆるされないか意味不明の論旨です。
彼らは生命だけは特別扱いすべきというのでしょうが、憲法のどこにも書いていません。
都合の良いところは憲法に書いていなくとも重視するし、都合の悪いところは書いていても無視するという非合理な価値基準です。
もしも刑罰一般が人権侵害で許されないならば、ホッブスのいう「万人の万人に対する闘争」の原始・自然状態になり、近代社会・刑法や刑事訴訟法が成り立ちません。
(実は、人間の原始社会どころか、動物界でも(狼でも魚類でも猿でも馬や鹿のグループでも同種同士ではそんな闘争世界はありませんから「リヴァイアサン」の前提は、実際にそういう社会があるというのではなく、観念的に「そういう段階があり得る」というだけでしょうか?)
思想信条の自由があっても、国家転覆罪はまだ内乱行為をしていない陰謀段階でも処罰されるのが世界標準です。

刑法
第七十八条 内乱の予備又は陰謀をした者は、一年以上十年以下の禁錮に処する。

共謀罪法案の時に近代法の原理に反するという意見が流布されましたが、世界標準がどうなっているかという説明が一切ありません。
政府の説明は以下の通りです。
http://www.moj.go.jp/content/000003507.pdf

共謀罪等の創設を求めている国際組織犯罪防止条約は,既に120か国によって締結されており,欧米先進国でも既に共謀罪等が設けられています。
我が国も,法案の「組織的な犯罪の共謀罪」を設けることによって,これらの国々と足並みを揃え,国際社会と協調して重大な組織犯罪から国民をより良く守ることができることになります。
国民の方々が不安に思うようなことは全くありません。

   アメリカ  ○ 共謀罪  (連邦法第18 編第371 条)

二人以上の者が犯罪を犯すこと等を共謀し,何らかの ある者が,他の者と犯罪行
そのうちの一人以上の者が共謀の目的を果たすために何らかの行為を行ったとき

  イギリス  ○共謀罪 1977年刑事法第1 条第3条

ある者が,他の者と犯罪行為を遂行することにつき合意したとき

  ドイツ  ○犯罪団体の結成の罪  (刑法第129 条)

犯罪行為の遂行を目的・活動とする団体を設立した者,このような団体に構成員とし して関与した者,支援者を募り又はこれを支援 した者,

  フランス  ○凶徒の結社罪 刑法第450ー 1条

重罪等の準備のために結成された集団又はなされた謀議参加したとき (準備のため、客観的行為がなされることをする 。)
日本の共謀罪

https://www.nikkei.com/article/DGXLASFS14H4D_U7A610C1M11000/
2017/6/15 18:56

15日に成立した改正組織犯罪処罰法のうち「共謀罪」を規定する条文は次の通り。
(テロリズム集団その他の組織的犯罪集団による実行準備行為を伴う重大犯罪遂行の計画)
第六条の二 次の各号に掲げる罪に当たる行為で、テロリズム集団その他の組織的犯罪集団(団体のうち、その結合関係の基礎としての共同の目的が別表第三に掲げる罪を実行することにあるものをいう。次項において同じ。)の団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を二人以上で計画した者は、その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときは、当該各号に定める刑に処する。ただし、実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する。

上記を比較しても先進諸外国と比べて日本の法律だけが、近代法理に反するとは到底思えませんが・・。
近代法の法理違反の運動をする勢力がどの部分が違反になるかの主張責任があるのではないでしょうか?
諸外国の法制度の要点は、内心の自由も絶対ではない・・テロ目的などの内容によって幅する方向性であり、処罰の要件・なんらかの外形に現れた時に処罰する・・無辜を誤って罰しないように足並みを揃えていることが分かります。
「内心の自由が絶対ではない」というのが現代的法理であり、左翼系の主張は文字どおり現代以前の過ぎ去った近代法の法理から進化しない超保守論理です。
マスメデイアが諸外国事例を一切報道しないで反対論ばかり大きく報道しているように見える(私が見落としているだけかもしれませんが・・)ことじたい中立性違反の疑い濃厚です。
思想表現の自由があっても他人の名誉毀損や詐欺行為は許されませんし、わいせつ表現の場合、・・違法の評価を受けます。
基本的人権といっても公共の利益に反しない限度で許されているにすぎませんし、これに反する場合には、刑罰を受けたり損害賠償を命じられることで社会秩序が保たれているのです。

憲法
第13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

最近の立憲主義の強調は、学問というよりも人権は、(運動体の本命ターゲットは死刑廃止よりは平和主義→人命尊重でしょうが・・)憲法以前の(天賦不可譲の)権利だから憲法改正でも許されない・・社会にそのような誤ったイメージを定着させるための政治運動論としていきなり声が大きくなってきた印象です。
人命=人権の最たるもので最尊重されるべき→戦争状態は人権侵害の最大 被害行為→平和主義は憲法以前の人権原理である。
「憲法改正対象にすること自体が許されない」という飛躍論法のようですが、流石にプロたるものそこまではっきりと言えないものの、思わせぶり表現で素人・大衆がそのように飛躍して思い込むように期待し、仕向けているように見えます。
憲法以前の権利ならば、憲法がどうなろうと守るべき規範である・改正の影響を受けないはず・・関係ないのになぜ反対するのか不思議ですが、こういう論理矛盾など一切気にしません。
・・学者としては「そこまで私は言っていないよ、『平和主義は日本を守るための方便でなく、人権を守ることと同じ』と言っているだけなのに素人が誤解しているだけだ」という世論誤導が目的の政治運動でしょうか?

フェイクニュースと思想の自由市場論6

中国に世界支配されたくない日本人としては、今のところアメリカによる中国叩きの激化を喝采している雰囲気が多いようですが、これまで世界支配者であったアメリカ圧倒的優位を前提にした「思想の自由市場論」にのっかって、情報操作してきたのを中国もロシアも同じことをアメリカにしたことを怒っていることになります。
情報操作・・フェイク報道の破綻を見てきましたが、17年12月19日頃から23日頃まで紹介した「法曹実務にとっての近代立憲主義」という本でも思想自由市場論とヘイトスピーチ論の関係が論じられています。
同書59pからの論文では、思想の自由市場論を守るためにか?安易なヘイトスピーチ禁止論を取らない立場を堅持していますが・・。
2018年1月にトランプ氏がCNNなどを対象にしたフェイクニュース大賞を発表したことをFebruary 13, 2018,「表現の自由と思想の自由市場論2」 に引用紹介しましたが、トランプ政権と大手メデイアとのフェイク発信に対する非難報道が加速して来ました。
これに対する日本メデイアの報道は政権による報道圧迫として批判一色の印象ですが、以下の記述もあります。
https://news.infoseek.co.jp/article/japanindepth_38145/

日本にもフェイクニュース大賞を
Japan In-depth / 2018年1月22日 18時0分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
日本の主要新聞はフェイクニュース自体認めず、トランプ氏によるメディアの抑圧であるかのように扱っている。
・メディアの正誤のチェックは重要。日本でもフェイクニュース大賞を設けたらどうか。
主要メディアの報道や論評のなかで、最もひどい虚偽や誤断、さらには捏造とみなせる実例を指摘して、順位をつけ、「賞」の対象にするというこの行為は一見、ふざけた冗談のようにみえても、ちょっと考えると、実はきわめて重要な意味があることがわかる。
日ごろアメリカでも日本でも、新聞やテレビ、雑誌などニュースメディアが強大な影響力を発揮するなかで、虚報や誤報は明らかに多数、存在する。だがその誤りを制度的に認定し、訂正するメカニズムがないからだ。つまり報道される側の一般国民や組織、団体にとってメディアのミスにきちんと反撃する方法が訴訟という極端な方法以外にはないのである。メディア側のたれ流しともいえるのだ。
こんな背景のなかでは、報道され、論評される側がメディアのミスを定期的、制度的に正そうとすることは民主主義の基本ルールにも合致するだろう。それでなくてもメディアのおごりが目につく今日このごろである。
主要メディアの側はこのフェイクニュース大賞に対して、「トランプ大統領が自分を批判するメディアに対してただ攻撃しているだけだ」と、なお傲慢な反応をみせる。だが現実には同大統領側が指摘した報道や評論類はみなまちがっていたことが証明されているのだ。その点に触れず、ただ批判すること自体がけしからんと開き直るメディア側の態度はまさに傲慢と評するほかない。

なかなかの卓見です。
今回表面化しているトランプとクリントン候補のどちらがより多くフェイクニュースに関与したかで終わらず、中期的にはネットに限らず放送全般へのフェイク・変更の有無→その後の結果との合致率のチェック報道・チェック論・健全な思想競争の土俵作りが始まると見た方がいいでしょう。
アメリカ(日本のメデイア・思想界も同様)は自分が世界の言論市場を完全支配している時には「思想の自由市場に委ねるべき」などといってきたのですが、アラブがアルジャジーラの放送開始で自己発信力を入手し一方でネット発信が普及して発信者が草の根化してくるとスパイ等を利用したメデイア支配に無理が出てきました。
アメリカは自分のコントロールできている間は、「思想の自由市場を守れ」といってきたのに、アメリカのいうことを聞かなくなると取り締まりの必要を言い出したイメージですから自分勝手な印象です。
アルジャジーラに対するコントロールが効かないことに対するアメリカとその応援を受けるサウジの鬱憤が以下の事件を引き起こしました。
サウジのカタールに対する昨年5月の断交・包囲網作りは、アメリカ得意の思想の自由市場論ではどうにもならなくなって、(アメリカが背後で?)アルジャジーラの全面圧迫に動き出したことがわかります。
アルジャジーラに対するアメリカの露骨な圧迫があったでしょうが、アラブ社会の支持でしぶとく生き残り、いつの間にかサウジ王家の存続を脅かすまで育って来たようです。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/07/1-44.php

サウジアラビアなどによるカタール断交から1カ月以上が経過した。受け入れ困難な13項目の要求を前に、カタールは国家主権を盾に拒否している。衛星テレビ局アルジャジーラの閉鎖など、大半の要求は主権に関わる問題で受け入れ難く、長期化は必至の情勢だ。サウジ側は、カタールをバーレーンのような属国的な存在にすることで独自の外交政策の骨抜きを狙う。最終的にタミム首長体制の転換に至る可能性があるとの見方も浮上している。

https://www.newsweekjapan.jp/hosaka/2017/06/5_2.php

もともとサウジアラビアのメディアが英BBCのアラビア語放送を引き継ぐかたちでアラビア語のニュース・チャンネルをつくろうとしていたところ、カタルが横から入り込んで、ジャジーラを設立した経緯があり、しかも、そのジャジーラが周辺国にとって都合の悪い放送をすることで人気を得たため、サウジのみならず、同盟国のGCC(湾岸協力会議)諸国まで激怒させる結果となっていた(ちなみにアラビーヤはサウジがジャジーラに対抗するためにつくったニュース専門チャンネル)。
よくジャジーラを自由なメディアという人がいるが、もちろんそんなはずはなく、局員のなかには特定の政治的イデオロギー(有体にいえば、ムスリム同胞団)をもつものが少なくないし、何よりカタル現体制にとって都合の悪いことは一切いわない。

アメリカがメデイア支配によって言論界を支配しているときには、アメリカ発の「思想の自由市場論」のまやかしで、自国有利な情報だけ一方的に流す制度保障をしていたことになります。
これがネットの発達でマスメデイア支配だけでは統制支配できなくなった・大規模資本がなくとも個人が発信できるようになると、これをロシアや中国の影響を受け始めたことに対する反撃の必要性に目覚めたことが背景にあるのでしょう。
これまでは他国思想侵略するばかりだったのが、自分が攻撃支配される側に回ってしまったということです。
この辺は自分が核武装するのはいいが、北朝鮮が核武装することにイキリたっているのと構図が同じです。
日本にとっては中国や北朝鮮にのさばって欲しくない人がおおいでしょうが、それとは別にアメリカの自分勝手さをここでは書いています。

キリスト教国の国際条約7(異教徒間でも有効か?3)

アメリカは日本同様に1907年のハーグ条約に参加しているのですが、イザ生死を掛けた戦争・・極限状態になると民度(原爆投下や学童疎開船の撃沈などは民度ではなく政権中枢部が決めていたことです)がモロに現われます。
元々は「キリスト教国内の条約に非白人の日本を入れてたやっただけ」と言う例外の気分もあったと思われる点については、August 27, 2016,キリスト「教国の国際条約2(異教徒除外→ポツダム宣言1)「正戦論」で」紹介しました。
戦争の本番になると、本能的行動に走り勝ちしかも末端兵の場合、その民度にモロに関係します。
日本占領の米軍だけではなく、欧州戦線に派遣された米軍の綱紀の乱れも相当なものでフランス等では、強姦魔になっていたと言われます。
https://ameblo.jp/9023410651/entry-11539375391.html
2013年05月27日(月) 23時34分53秒

隠された負の側面を明らかにした研究書が来月、米国で出版される。 6月に刊行予定の
「What Soldiers Do: Sex and the American GI in World War II France兵士らは何をしたのか:第2次世界大戦中のフランスにおける性と米兵」は
米ウィスコンシン大学(University of Wisconsin)のメアリー・ルイーズ・ロバーツ
(Mary Louise Roberts)教授(歴史学)が、米仏で膨大な量の第2次大戦中の資料を研究してまとめた著作だ。</p写真ジャーナリズムの草分けである米誌「ライフ(Life)」は、フランスを「快楽主義者4000万人が住む巨大な売春宿」と表現した。

真偽不明ですが、米兵の参戦意欲を高めるための国内キャンペインの様子を上記の通り書いています。

地元には、「ドイツ人を見て隠れるのは男たちだったが、米兵の場合は女たちを
隠さねばならなかった」という話が伝わっているという。
ロバーツ教授が調べた資料によれば「セックスをしている男女を見かけずに街を歩くことは不可能」なほどで、当時のルアーブル市長が米駐留部隊の司令官に改善を求めたと記されていた。
米軍の上官らは兵士たちの行為について公式な非難声明は出したが、改善の努力はしなかったという。
米兵たちの放蕩ぶり、不法行為、さらには組織的な人種差別などもあった。

そして、性犯罪を放置できなくなった軍が処刑したのは、ほとんどが黒人兵という人種差別に基づくものであったと書いています。

1944年10月の資料によれば、米兵が絡んだ強姦事件152件のうち130件で
黒人兵が訴えられている。
これについてロバーツ教授は、米軍内の根深い差別を示していると指摘した。
フランス人も、すぐに黒人米兵を指さして非難するようになったという。」

証拠など問題にせずに、被害者が、面通しで「この人だった」といえばその通りに認定する仕組み・法廷で、たまたま黒人お弁護士がいたところその弁護士を「この人だった」と証言するほど被害者の被害届も根拠のない無茶苦茶なものであったという実態をどこかで読んだことがあります。
朝鮮戦争でも性犯罪が大きくてその被害を、日本軍慰安婦にすり替えているように見えます。
歴史の浅い新興国・・国民レベルの低さが剥き出しになって「勝てば何をしても良い」と言う気持ちに先祖返りしたらしく、「異教徒に対日戦ではこんなルールなど守る必要がない・・皆殺しでいい」のだと言う気持ちになったのかも知れません。
対日戦争ではルールを破って非戦闘員殺傷目的の数々の蛮行をしてしまい、それどころか武装解除した途端に降伏条件を示したポツダム宣言違反の占領政治・・降伏後のアメリカインデイアンに対する民族精神を腐らせる政策(そのほとんどがある中東で生活保護受給者・被保護民になり下がっています)・浄化策の再現行為の影響がいまだに残っている状態が上記に紹介されています。
この非を隠すために極東軍事裁判をでっち上げ、更には戦後70年にもわたって中韓をけしかけて、なおありもしない南京虐殺や慰安婦騒動をけしかけています。
中国が国際ルール無視で領土拡張に邁進し始めたのは、西欧が近代にやった野蛮行為を真似している・・あるいはやり返しているとも言えます。
だからと言って、中国人の残忍きわまりない歴史を賛美する日本人はいないでしょう・日本には西欧の人権論以前からの美德があるのです。
自分たちは、キリスト教徒専用の条約など関係ないと言うのが、中国のやり方でしょうか。
勿論ISなどの中東のゲリラ勢力は米英主導で作った国際秩序など問題にしていないでしょう。
中国には元々正義の基準がない・・自分がやれるようになった以上は何をやっても良いと言う価値観の国です。
庶民は儒教と関係なく生きて来たと何回も書いて来ましたが、支配層もこの程度の価値観の国です。
・・昔から勝てば相手の武将を辱めるだけ辱めるのが中国のやり方であることを何回も書いてきました。
こう言う価値観の「中華の栄光」復活を掲げる習近平氏には、元は野蛮だった西欧が過去に積み上げて来た経験・・条約など勉強する気持ちはハナからありません。
ところで1907年ハーグ条約には中華民国は加盟していますが当然中華人民共和国は当時存在していないので守る義務がないと言えば言えるのでしょうか。
建国後加盟したのかな?
南シナ海を巡る国際司法裁判所判決など相手にしない態度ですし、国際ルール無視の知財強取?恐喝行為をしているのは、国際条約・欧米価値観など関係ないと言う立場でしょうか?
中国は人類が確立して来た来た(欧米キリスト教徒に都合の良い?ルールなど学びたくないと言う姿勢・・時々本性を表すところが嫌われているのですが、中国としてはそれが脅し・・プラスになると思っている面があるでしょう。
ヤクザが「舐められないようにしている方が得だ」と思っているのと同じ価値観です。
日本の場合は遅れて西欧列強の仲間入り・・参加しても、人道的思想や「人の物を取っては行けない」「約束はままもる」と言うルールは早くから国内的に確立していました。
ウエストファリア条約以来の歴史があると威張られても・・そんな条約を作らないとやっていいことか悪いことかの区別も分らないのか?と日本では逆に驚きます。
「豺狼のごとき」西欧列強の餌食になるのを恐れて幕末に大騒ぎになったのですから西欧よりも人道意識や道徳観が数段・数千年進んでいました。

キリスト教国の国際条約6(ハーグ陸戦条約)

日米戦争でのアメリカの戦時条約違反を主張する声が多く聞かれるものの、条約自体をみた方が少ないかも知れませんので、以下現代版ウエストファーリア条約であるハーグ条約を紹介しておきます。
https://ja.wikipedia.org/wiki

ハーグ陸戦条約
1899年にオランダ・ハーグで開かれた第1回万国平和会議において採択された「陸戦ノ法規慣例ニ関スル条約(英: Convention respecting the Laws and Customs of War on Land, 仏: Convention concernant les lois et coutumes de la guerre sur terre)」並びに同附属書「陸戦ノ法規慣例ニ関スル規則」のこと。

我が国は1907年の改訂条約から参加していますので以下この条文の一部を紹介します。
アメリカの2度にわたる原爆投下実験その市街を取り囲むように火をつけてからに順に中心部に焼夷弾を投下して住民が逃げられないようにした攻撃など元々住民大量殺戮を目的にした戦争犯罪に関心のある方が多いでしょうから、参考までに陸戦条約の条文を部分的に紹介しておきます。
前文は如何に抜粋するように条文化していなくとも人倫に反する行為をしないことを約束したものです。

「一層完備シタル戦争法規ニ関スル法典ノ制定セラルルニ至ル迄ハ、締約国ハ、其ノ採用シタル条規ニ含マレサル場合ニ於テモ、人民及交戦者カ依然文明国ノ間ニ 存立スル慣習、人道ノ法則及公共良心ノ要求ヨリ生スル国際法ノ原則ノ保護及支配ノ下ニ立ツコトヲ確認スルヲ以テ適当ト認ム。」

以下はhttp://1st.geocities.jp/nmwgip/Treaties/Laws_and_Customs_of_War_on_Land.htmlの部分引用です

陸戰ノ法規慣例ニ關スル條約
Hague Convention IV – Laws and Customs of War on Land
一九〇七年(明治四〇年)一〇月一八日海牙ニテ調印
独逸皇帝普魯西国皇帝陛下〔以下締約国元首名省略〕ハ、平和ヲ維持シ且諸国問ノ戦争ヲ防止スルノ方法ヲ講スルト同時ニ、其ノ所期ニ反シ避クルコト能ハサル 事件ノ為兵力ニ訴フルコトアルヘキ場合ニ付攻究ヲ為スノ必要ナルコトヲ考慮シ、斯ノ如キ非常ノ場合ニ於テモ尚能ク人類ノ福利ト文明ノ駸駸トシテ止ムコトナ キ要求トニ副ハムコトヲ希望シ、之カ為戦争ニ関スル一般ノ法規慣例ハ一層之ヲ精確ナラシムルヲ目的トシ、又ハ成ルヘク戦争ノ惨害ヲ減殺スヘキ制限ヲ設クル ヲ目的トシテ、之ヲ修正スルノ必要ヲ認メ、千八百七十四年ノ比律悉会議ノ後ニ於テ、聰明仁慈ナル先見ヨリ出テタル前記ノ思想ヲ体シテ、陸戦ノ慣習ヲ制定ス ルヲ以テ目的トスル諸条規ヲ採用シタル第一回平和会議ノ事業ヲ或点ニ於テ補充シ、且精確ニスルヲ必要ト判定セリ。

一層完備シタル戦争法規ニ関スル法典ノ制定セラルルニ至ル迄ハ、締約国ハ、其ノ採用シタル条規ニ含マレサル場合ニ於テモ、人民及交戦者カ依然文明国ノ間ニ 存立スル慣習、人道ノ法則及公共良心ノ要求ヨリ生スル国際法ノ原則ノ保護及支配ノ下ニ立ツコトヲ確認スルヲ以テ適当ト認ム。
締約国ハ、採用セラレタル規則ノ第一条及第二条ハ、特ニ右ノ趣旨ヲ以テ之ヲ解スヘキモノナルコトヲ宣言ス。
〔全権委員名省略〕
因テ各全権委員ハ、其ノ良好妥当ナリト認メラレタル委任状ヲ寄託シタル後、左ノ条項ヲ協定セリ。
第一款 交戰者
SECTION I ON BELLIGERENTS
第二章 俘虜
CHAPTER II Prisoners of war
第二款 戰闘
SECTION II HOSTILITIES
第二二條 交戰者ハ害敵手段ノ選擇ニ付無制限ノ權利ヲ有スルモノニ非ス
Art. 22. The right of belligerents to adopt means of injuring the enemy is not unlimited.
ホ 不必要ノ苦痛ヲ與フヘキ兵器、投射物其ノ他ノ物質ヲ使用スルコト
(e) To employ arms, projectiles, or material calculated to cause unnecessary suffering;
第二五條 防守セサル都市、村落、住宅又ハ建物ハ、如何ナル手段ニ依ルモ之ヲ攻撃又ハ砲撃スルコトヲ得ス
Art. 25. The attack or bombardment, by whatever means, of towns, villages, dwellings, or buildings which are undefended is prohibited.
第二七條 攻撃及砲撃ヲ爲スニ當リテハ宗教、技藝、學術及慈善ノ用ニ供セラルル建物、歴史上ノ記念建造物、病院竝病者及傷者ノ収容所ハ同時ニ軍事上ノ目的ニ使用セラレサル限之ヲシテ成ルヘク損害ヲ免レシムル爲必要ナル一切ノ手段ヲ執ルヘキモノトス
被圍者ハ看易キ特別ノ徽章ヲ以テ右建物又ハ収容所ヲ表示スルノ義務ヲ負フ右徽章ハ予メ之ヲ攻圍者ニ通告スヘシ

 

軍国主義とは6?

2015年の安保法案反対論のチラシには、頻りに「軍靴の音が聞こえて来る」「軍国主義復活」と騒いでこれを有り難がる人が多かった・・我々弁護士にはしょっ中この種のチラシが舞い込んで来ましたが、こう言う人のうちで軍国主義を正確に定義出来る人がどれだけいるでしょうか?
ここからは、September 2, 2016, 「軍国主義破壊5」と文化人の役割1」の続きになります。
ついでに安保法案戦争法案反対運動などでマスコミで流布している「軍国主義」などのキーワードで安保法反対関連の学者声明(ならば何かマトモに書いているかなと期待して)その他をその頃に、試みに検索してみたところ、従来の政府解釈を変更するのは憲法違反だとか言うだけで、何が軍国主義になるのか、戦争法案になるのかの意見を探せませんでした・・多くは「総掛かり運動の成果」とか今後のデモの予定ばかり・・私の検索能力が低いからかも知れませんが・・。
定義出来ない概念で異民族を期間の定めなく支配するポツダム宣言受諾を強迫すること自体がウエストファーリア条約以来人類共通遺産である「相手が同意しても犯してはならない」限界を侵す違法な強要です。
米軍政・・農地解放や財閥解体のコラムで大分前に零細農民や零細企業しか認めない・・工夫発展の芽を摘む工作・・農業国としての存在しか許さない政策の一環として軍国主義とは別の視点で書きましたが、要するに民主化に名を借りた日本の支配層追放・・企業解体による日本の民族支配層の全面追放・・ニッポン民族組織解体を裏の目的にしていたように見えます。
中共政権成立後、満蒙民族対象に徹底的に行われた大規模虐殺・・中共軍指導によるポルポトによる大規模虐殺は、文字を読める人を探し出しては皆殺しにしてしまうやり方は、いずれも知識人を根絶やしにする明白な民族レベル低下戦略の実行でした。
米占領軍も軍国主義思想一掃を名目に、文化人・支配層一掃を狙ったものでした。
日本は階級社会ではない・・法制度がなくとも古代から民意重視・・平等な社会ですので、支配層をまとめて追放してもその後をいくらでも補充する人材がいる点に気が付かなかったのでしょう。
企業や組織で言えば、事業本部長クラス以上を全員追放しても直ぐ下の部課長〜その下のクラスがいつでもその任務を補充出来るのが日本では普通です。
幕末ロシアやアメリカ等へ漂着した一介の漁師が、いざとなれば、日本民族代表のような立派な行動ができた社会です。20年くらい前にハローウインで、盗賊と間違えられて銃殺された服部君の事例で驚いたと思いますが、その親は普通のサラリーマンだったはずですが、その対応は見事でした。
日本人は庶民に到るまでいざとなれば、国益を背負って立つ気概のある民族ですから、「支配層だけ骨抜にすれば良い」と思ったアメリカの思惑に反したことでしょう。
勝った方が強要してはいけないことを決めたルール・・講和条約で負けた方が(銃剣を突きつけられて)承諾すればどんな内容でも良いのであれば戦時条約を予め決める意味がありません。
アメリカは軍国「主義」認定による占領は無理があると分って来たらしく、この4〜50年?頻りに「軍事政権」を批判して経済制裁を科すのが普通ですが、これもおかしな基準です。
緊急時や戦争が始まればどこの国でも緊急事態を掌握出来る軍部が発言権を持つのは当然ですし、アメリカでも大統領が軍のトップであり非常事大権をもっていることは言うまでもありません。
違いは選挙で選ばれたかどうかであって、戦争や非常時には軍の専門家が遂行するのはどこの国でもあるいは、古今を問わず同じです。
一般犯罪であっても「話せば分る」と言って解決出来れば、警察さえいりません。
民主主義国とそれ以外をここ10数年アメリカ・特にトランプ政権が強力に言い始めたのは、この結果によります。
軍事政権か否かは選出方法で見る限り区別は簡単ですが、「軍国主義か」どうかは何を基準にするのか意味不明です。
しかし選出基準によれば、ヒットラーも国会で選任されて全権委任を受けている点では、(憲法の勉強では広範な白紙委任が許されなかったと教えられますが・・)どう違うのかはっきりしなくなります。
戦争中には、アメリカ大統領もどこのトップも非常大権を持ちますし、フランス大統領は15年からの相次ぐテロに対して今・現に・・非常事態宣言を6回も延長し17年11にようやく解除したばかりです。
この適法性を事後の国会でチェックされる抑制手続が法定されている程度の違いです。
http://www.travelvision.jp/news/detail.php?id=79745

フランス、非常事態宣言が終了、新法施行でテロ対策強化
2017年11月1日(水)
フランスで11月1日、2015年11月のパリ同時多発テロ事件以降発出されていた非常事態宣言がようやく終了した。宣言は警備の強化に向けたもので、16年7月のニースでの車両突入テロ事件などを受けて、6回に渡り延長されていた。
なお、同国政府は引き続きテロ対策を強化するため、宣言下で例外的に容認してきた警察などの権限を認める20年末までの新法「治安およびテロ対策強化に関する法律」を施行。外務省も訪仏日本人旅行者には海外安全ホームページで、引き続き注意を怠らないよう呼びかけている。
https://www.bbc.com/japanese/41495068
フランス、厳格な反テロ法案可決 非常事態宣言の解除控え
2017年10月4日
フランスの国民議会(下院)は3日、2年近く続く非常事態宣言の解除を目的とする新たな反テロ法案を可決した。
新たな法律には、非常事態宣言下で許可されていたいくつかの措置が盛り込まれる。裁判所の許可を得ずに、家宅捜索がより容易に行え、個人の移動を居住地域内に制限することができる。
新しい法律の下、個人の移動を在住地域に限定し、一日に一度警察に出頭することを義務付けるのを、判事ではなく政府が判断できるようになる。
当局は鉄道の駅や空港など危険と判断される場所に警戒区域を設定することができ、区域内では人や車両を調べることができる。
モスクなどの礼拝の場所で宗教的指導者が極端なイデオロギーを説いていることが分かれば、当局は閉鎖を命じることが可能になる。
人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」フランス支部のベネディクト・ジャヌロ代表は、フランスで対テロ措置への司法チェックが徐々に「弱め」られており、「非常事態での権限が正常化され、新たな一線を越えた」と語った。

非常事態宣言が漸く解除されたものの、非常事態宣言下同様に警察は裁判所の令状なしに強制捜査や検挙ができる・非常事態宣言なしの恒常的非常事態下の法制度が整備されたことになります。
due process of lawの発達した先進民主社会といえども、社会合意・基本ルールを守らない相手・・「話せばわかる」と言っているウチに瞬時に射殺され、あるいは甚大被害の生じる爆発物を仕掛ける暴徒に対しては、紳士的ルールで対応してはいられない実態に合わせる必要があることを示しています。
長期間死刑のなかった日本でも平安時代末期から世の乱れに応じて死刑(その先行役所として、令外官として著名な検非違使庁が置かれました)が復活し、今のように平和で治安の良かった江戸時代でも鬼平犯科帳で知られるように手続きなしで処理できる火付盗賊改方という例外制度ができたり、統治制度でも危急時には、合議による政治から臨時に大老による独裁的権限行使制度を用意しているものです。

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