中国の脅威4(細胞浸透作戦+取引国に対する言論規制)

中ソ対立の原因端緒を9月27日に見ておきましたが、ソ連がスターリン批判で路線修正したのに毛沢東中国がスターリン路線修正に反対して路線対立になったものです。
中国共産党は旧スターリン主義を良しとして当時圧倒的軍事力格差のあるソ連に楯突つく・・戦車隊による蹂躙される危険を冒してまで守って来た粛清思想その他スターリンの政治性姿勢を守ってきた国ですから、中国の改革解放後もあくまで同調を拒否して従来型共産主義政治を墨守すると宣言して現在に至る北朝鮮の独裁・恐怖政治体制と本質的同一性があります。
中国の改革開放政策はスターリン主義を守りながら表面上西側諸国を油断させるためにいわゆる韜光養晦政策をとっているだけであって、スターリンの本質的野望を捨てていないと見るべきでしょう。
ネット上で中国を大朝鮮と言う呼称がある所以です。
中国がフルシチョフのスターリン批判を受け付けない・・このためには、圧倒的軍事力を誇るソ連との戦争さえ辞さないということは、スターリン政治の一部だけの否定ではない・・スターリンの国際的に相手国内工作していく国際政治運動方式を承継していることになると読むべきでしょう。
スターリンはトロツキーの世界同時革命論から1国共産主義革命主義に変更したと表向き言われていますが、まずは資本主義国同士を戦わせて疲弊させる戦略上、資本主義国を欺く方便に過ぎなかったことは明白です。
スターリンに関するウィキペデアの記述では以下の通りです
「スターリンはドイツと米英仏が戦争で疲弊した後ドイツを滅ぼせば一気にヨーロッパを共産化できるものと考え、ドイツにヴェルサイユ条約が禁止する航空機・戦車部隊の技術提携、バルト海沿岸の港の使用やイギリス空爆のためのレーダー技術の提供などを行い、さらにソ連に亡命してきたドイツの共産主義者を強制送還までさせてヒトラーの侵攻を擁護した。」
「不可侵条約締結後のカクテルパーティーでドイツの外務大臣のリッベントロップに対し「名誉にかけてソ連はパートナーを騙すようなことはしない」と誓ったスターリンだが、ドイツとの蜜月が長くは続かないとも考えていた[97]。上記のバルト諸国やポーランド東部占領で領土を広め首都モスクワと距離を広げ、ドイツと接する国境付近の兵力は増強され続けた」
日米戦争もこの戦略によって、ルーズベルトに接近してけしかけたものです。
いわゆる漁夫の利を狙う戦略で欧州戦線では戦争が終わってみれば中東欧諸国のほとんどを占領し、日本がポツダム宣言受諾後ソ連に対する防衛意欲を99%喪失後の数日間にいきなり参戦して満州から樺太千島まで奪ったのです。
以下の通り公式にはコミンテルンは解散していますが、ソ連共産党の指導力は隠然たるものがありました。
http://www.y-history.net/appendix/wh1501-108.htmlからの引用です
「独ソ戦の激戦が続くなか、スターリンは、コミンテルンの解散を決定した。それは、連合国と協調する上で、従来資本主義諸国のなかに、ソ連共産党がコミンテルンをつうじて共産主義革命を起こすように仕組んでいると考えられ、ソ連に対する敵視の原因を除去する必要があると判断したからであった。しかしその裏の事情には次のような指摘もある。」
後に紹介するホーチミンのスターリンへの拝謁?で象徴されるように、日本の共産主義者幹部を含めて世界中の共産主義者がスターリンと面会拝謁?出来ることが最大の栄誉でした。
面会したという名誉だけではなく各国共産党指導者に対しその国での浸透資金が出ていたとことが、公然の秘密・・性質上証拠はないでしょうが・・何かで読んだ記憶です。
フルシチョフのスターリン批判に関しては、September 16, 2017に詳細を引用しておきましたが、日本人にとってはシベリア抑留被害と相まって、粛清政治の恐怖感が行き渡っていた結果日本人にとってはようやく粛清政治が終るのだなあ!と言う実感が強烈・メデイア戦略に違和感ががなかったのです。
日本メディアは中国に対してできるだけマイナスイメージ出ないように報道し、日本への共産主義細胞浸透を報道しない傾向があるので、スターリンの粛清政治を支持してソ連と対立していたかのように流布させています。
しかし中ソ対立はそんな国内政治のあり方で起きたとは思えません。
日本のメデイアがスターリンの恐怖政治の承継だけは遠慮なく報道するのは、中国政府黙認報道?になっている印象です。
中国政府は天安門事件で欧米から批判を受けた後の今でも、香港で民主化運動した人物はいつのまにか不明になるなど・公然と拉致を行うことで、支持を失う心配は一切ない・・人民の自由な言論を萎縮させるのに有効と考えている様子です。
ですから日本メデイアが中国政府の怖さを報道してくれるのは、却って好都合・・「中国に楯突くと怖いぞ!という日本に対する脅しにもなるとして黙認または推奨しているのでしょう。
欧米のような人権批判に対しては、「日本国民には遅れて追いつく国だから仕方がない」とイメージ操作すれば良いくらいに考えてると思われます。
時々日本人がスパイ容疑で捕まるのも「中国は怖いぞ!」という脅しのつもりでしょう。
知財や技術を盗む段階を卒業したこの数年では、「技術移転しないと工場進出を許可しない」という強引な方法・いわば強盗を合法化する制度設計を始めたのと平仄を合わせています。
改革開放時には国力がなかったので泥棒国家と言われても黙っていましたが、国力がついてくると堂々と公海に基地を作り国際司法裁判所判決を「紙くずに過ぎない」と豪語し、尖閣諸島の実力侵奪の意思を公然とと示し始めました。
知財剽窃が批判されると今度は国内制度上外国企業は知財や先端技術を提供しないと国内生産できないようにしてしまう・・国内制度で剽窃ではなくなったのですから取り締まる義務がありません。
主権国家を盾にどんな法制度にしよう/泥棒を処罰しないどころか技術を公開しろ」という法制度にしても勝手という論理です。
言わば開き直りに徹して来たのです。
日本人から見れば、「中国は怖い国のイメージを定着させるのは中国にとって損な政策」のような気がしますが、中国政府としては人民を日頃から脅して黙らせているように日本国民に対する脅しになると思っているようです。
例えば日産トヨタ社員などが中国赴任を命じられた時に、普段から「中国批判していると赴任した時にどういう目に遭うか分からないぞ!」というメッセージ担っているでしょう。
中国市場に参入している企業やこれから参入検討企業経営者にとっては、日頃から対中言論を慎むようにならざるを得ません。
メデイアの仕事は文字どおり情報収集が職務ですから、いつでもスパイ容疑で検挙されても誰も驚かないでしょうから中国に睨まらたら最後・身の危険があります。
中国関連報道は中国政府「よいしょ」の記事しか書けない仕組みです。
日韓が緊張していた数年前に産経ソウル支局長が言いがかりで刑事起訴されたことがありました。
韓国大手新聞記事を現地情勢として日本へ現地報告したのが名誉毀損になるという刑事立件ですから、表現の自由を保障する民主国家と言えるのか?不思議な事件でしたが、いざとなれば韓国の民族レベルがまだこの程度の国なのです。
幸いその後日韓合意が成立したので無罪判決になりましたが、これが現在の文政権になってからの判決だとどうなっていたか分からないところでした。
一般企業もうっかり中国の現状をありのママ日本でいうと大変ですから、コマツその他中国関連企業関係者の意見が新聞にときどき出ますが、「今の中国は力強い・・バブル崩壊は既に始まっているがうまくやっているから何も心配がない」という決まり切った方向性しか言えない仕組みです。
同じことは、欧米企業やこれを抱えている西欧政治家の中国に対する批判的発言自粛にもなっているようです。

中国の脅威3(監視・粛清国家2)

中国政府も何のための統計か不明の統計数字の疑惑に応えるべく、本腰を入れ始めたという前向き宣伝・少しは統計数字を修正する姿勢を示さないと世界で信用されないと中国政府自身が感じ始めたということでしょうか?
中国もソ連のように政権が崩壊するまで本当のところはわかりません。
張子の虎・・監視強化・恐怖政治の結果、国民は何も言えないどころか、政府官僚自身も本当のことを言えないし報告できないので、却って経済実態その他で何から何まで不明・・国民不満が表に出ない結果、支配者にとっても国民の気持ちがわかり難くなっています。
専制独裁・監視社会で党大会をひらけば一糸乱れぬ全員一致の決議ばかりで、外見的には異論の一つもないまとまった?理想的社会に見えますが、内容実質は何もわからない・・混沌を絵にしたような社会になって行くのでしょう。
不満が表に出た時には、すでに遅し・・まさに末期症状・大暴動に発展するリスクがあります。
同じ専制支配体制の民族でも朝鮮民族と違って中国の場合、数百年に1回の頻度で大暴動が起きて政権を倒して来た歴史があります。
ただし、中国歴代の暴動は人民が本当に食えなくなってから・・政治がひどいとか、個人や集団が不公平な扱いを受けたという程度の不満では暴動が起きていません。
天安門事件ではデモ学生を戦車部隊がそのままためらいなく轢き殺して行く状態が報道されましたが、中国あるいはロシアなど政敵を遠慮容赦なく殺して行く社会では「このまま飢え死にするならば、殺されても元々」と人民が捨て鉢になってから初めて動きだす社会です。
ただソ連の場合、「収容所列島」と言われたように国民は簡単に国外に逃げられませんでしたが、解放後の中国人民は政府高官のように巨額裏資金がなくとも海外旅行する程度の一定の金さえあれば(中国人の日本旅行客だけでも年間6百万人もいます・・今朝の日経新聞によれば昨年中国人の国外旅行者数は1億2200万人とのことです)誰でも国外脱出できる時代です。
中国政府は不満分子を閉じ込めるより異分子は国内にいない方が良いという方向のようですから、不満なら出て行ったらそのまま帰ってこないほうが良いという姿勢でしょう。
企業で言えば建設的異論は多いほうが良いが、企業を潰す目的のような反対のための反対ばかりするようない人は企業活動を妨害するので出て行ってくれたほうが良いう意見があるのと同じです。
ですから、今の中国では命がけで反政府運動をする人など滅多にいない・・そこまでするくらいならば、国外へ逃げるというほど敵対する前に移住してしまったほうがいいという人が大半でしょう。
このように見ると平和的であろうとなかろうと、ある国の国民の国外移住頻度・希望率及び国外留学者の帰国率は国民の自国政府・政治に対する評価を表しているというべきです。
中国の1流大学では、国外1流大学等での実績・ポジションがないと採用されないという記事が今朝の日経新聞4p「ノーベル賞日本から出なくなる」という記事の中に出ていますが、その採用・還流のために破格の巨額報酬が誘因になっていると書いています。
日本では遣唐使の古代から報酬目当てに戻って来るのではなく、もともと愛国心・先進国技術文明を一刻も早く吸収して祖国の水準を引き上げたいという目的の留学でしたから留学しない同胞のために翻訳本(漢文のままの読み下し方式の発明・・明治期留学生は西洋文物の翻訳書発行)の普及拡大に努め技術摂取の場合にはすぐに帰国しては、国内後進の指導に努めるのが普通でした。
新知識を自分が一人占めして大儲けしようとする人は稀です。
司馬遼太郎作品「花神」では幕末に長州藩の危機に際して蕃書調所(ウィキペデイアによると、「蛮書調所 / ばんしょしらべしょ)は、1856年(安政3年)に発足した江戸幕府直轄の洋学研究教育機関。開成所の前身で東京大学の源流諸機関の一つ。)教授として赫赫たる名声を博していた後の大村益次郎が、藩から帰国命令が来ると名誉ある幕臣の地位を捨てて何十分の1かの低報酬の役職につくために何の疑問もなく?戻ってきて藩のために尽くす様子が描かれています。
小説ですので誇張が当然あるし記憶も定かないので実際はわかりません・・。
今で言えば、ハーバード大学等名門大学の有名教授の地位を捨てて、田舎の高校教師になるような展開です。
中国人の場合、金の力でしか呼び戻せないのですから、中国人というものはいないというべきか・・元々愛国心などないというのが一般的理解でしょう。
愛国心と言うのは同胞意識・民族国家に固有の概念でしょうから、異民族支配の時の方が長い上に異民族の方が遠慮があるからか、過酷な支配がなくうまく行っていた感のある中国大陸の歴史から見ると助け合いのために「宗族意識」はあっても民族同胞意識は育たなかった・・無理な感じがします。
これが祖国を捨ててと言うか祖国意識すらない・・世界に散らばっている華僑の基礎思考です。
こうした常識からすれば、ガンとして海外脱出を拒否して最近中国で獄死したノーベル賞受賞者劉 暁波氏の強い信念・・中国人とは思えない愛国心の強さに驚いた人が多いと思います。
劉 暁波に関するウィキペデイアの引用です。
「1989年に中国で民主化運動が勃発すると、コロンビア大学の客員研究者として米国滞在中に即座に帰国を決め、運動に身を投じる。六四天安門事件直前、他の知識人3名(侯徳健、高新、周舵)と共に、学生たちの断食抗議に参加した。人民解放軍が天安門広場に突入する寸前、4人は学生たちに武器を捨てるよう説得する一方、軍と交渉し、「四君子(4人の指導的知識人)」と呼ばれた[1「六四天安門事件の他のリーダーの多くが欧米からの圧力もあり「病気療養」の名目で出国許可される中で、1991年の釈放後も出国せずに引き続き文章を発表し、六四天安門事件の殉難者の名誉回復と人権保障などの民主化を呼びかけ、更に2度の投獄や強制労働を受けた。」
「2008年、「世界人権宣言」発表60周年を画期として発表された、中国の大幅な民主化を求める「零八憲章」の主な起草者となり、再び中国当局に身柄を拘束された[3]。以後は外国要人訪中や人民代表大会会期中は自由を失い、電話・インターネットによる交信が遮断された[要出典]。
2010年2月に「国家政権転覆扇動罪」[4]による懲役11年および政治的権利剥奪2年の判決が下され[5]、4度目の投獄となり遼寧省錦州市の錦州監獄で服役した。
7月10日、当局は 劉暁波が危篤状態に陥ったと発表し[19][20]、中国標準時の7月13日午後5時35分、妻・劉霞ら家族に看取られ、肝臓癌による多臓器不全のため逝去。 61歳没[21]。 当局によれば、最期の言葉は、妻にかけた「あなたはしっかり生きなさい」「幸せに暮らして」だったと伝えられているが[22][23]、妻は北京当局による隔離措置の下に置かれたままである[24][25][26]。 なお、訃報を受けノルウェー・ノーベル委員会は直ちに北京当局のずさんな治療責任に対して非難声明を公表した[27]。
なお、投獄中にノーベル賞平和賞を贈られ、獄中で死去したのは、1935年に受賞したカール・フォン・オシエツキーに次いで2人目である[28]。」
中国人にも国外逃亡せずに祖国のために戦う人が出て来るようになったことを、注視する必要があるでしょう。
全て金次第の民族とバカにしていると将来を誤ります・・中国ではその比率が高いと言うだけでまともな人材もいるのです。
恐怖政治に戻りますと、スターリンの粛清政治の恐怖は我々世代では誰もが実感していると思いますが、未だにこのようなおぞましいことが世界注視のテレビ放映の前で公然と行われているのが中国・・恐ろしい中国の実態です。
政府に歯向かえばこんな目にあうぞ!と言う見せしめになると思ってやったところ、逆に世界の反発を受けて驚いたのが実態でしょう。
世界との価値観のギャップに中国政府自身が驚いたでしょうが、それでも獄中の劉 暁波氏に対してノーベル賞決定したノルウエーに対して直ちに輸入規制をかけて報復しました。
すぐに目に見える報復をしないと政権が持たない苦しさですし、何か気に入らないことがあると「全て責任は〇〇にある」と言う声明を出す北朝鮮そっくりです。
北朝鮮は国力がないので独りよがりの声明を出すしかありませんが、中国の場合「市場」と言う国力があるので問答無用の腕力行使が世界の迷惑です。

中国の脅威2(監視・粛清国家)

経済力の限界・忍耐競争で勝負すると北朝鮮の例で分かるように、非民主国家の方が耐性があるので有利です。
国民の支持・民意で戦争している民主国家の方が国民意思無視戦争を始める国家よりも一見強そうですが、(そのようにメデイアは宣伝しますが・・)民主国家の場合ちょっとした国民の不満に対しても政治家が弱いので、実は我慢に対する耐性が低いのです。
軍事費にかける比率が民主国家では3〜5%が限度としても、中国やロシアのような恐怖政治国では国民は自分の身の安全が第一ですから、軍事費率20〜30%でも自分の身に直接危害の及ばない分野・税の使い道程度には関心が低い結果国内的には問題になりません。
正常な批判がない代わり経済活動に振り向けるべき人材やエネルギーを軍事費に際限なく注力するので、長期的には国際競走量維持に必要な研究開発や民度レベルが下がって行きます。
遅れた分は、時間とコストのかかる自力開発よりはスパイ活動でアンチョコに仕入れればいいと言う発想・政策になっていきます。
ソ連が人工衛星や大陸間弾道弾を飛ばせても車その他の民生品をつくる産業・足元が育たなかった原因ですし、解放後の中国が国家規模のスパイに馴染みにくい消費財生産の必要に目覚めると民間任せの知財その他の産業技術剽窃を事実上奨励していましたが、これでは間に合わなくなったのか最近では市場規模が大きくなったので強気になった結果、進出企業に対する先端技術の強制提供・・応じなかれば許可しないという露骨な強盗的基本姿勢になっている原因です。
新薬発明の苦労を見ればわかるようにものになるまでの失敗に終わった何十倍もの実験その他の何十年にわたる苦労の成果ですが、その苦労の結果商品になったもののその改良版工夫などは新薬創出に比べれば、取るに足りない努力で出来ます。
日本の新幹線技術移転を受けて、この技術の一部を改良して国産技術だと言って(ちょっと改良するだけならコストがほとんどかかりません)海外に売り出しているのはこのやり方です。
スパイに頼るソ連の失敗の教訓を生かしてうまいことをしているつもりですが、このやり方では技術泥棒→強盗国家という評価が定着していきます。
日本が韓国に対する技術流出リスクに慎重になり、中国への新幹線輸出による技術流出で懲りているように、世界中がこれに対する抵抗力がついて行くでしょうから、いつまでも同じうまい汁を吸うことが続くとは思えません。
国力無視の軍事力膨張は中期的には可能ですが、長期的には基礎力になるべき産業力が縮小していくのでこれを防ぐための剽窃・技術移転強制政策ですが、いつまでたっても他国技術に頼るしかない2流國のままです。
ソ連は、冷戦時代・・秘密警察や軍事費膨張ばかりが長すぎたのが自壊の原因です。
http://www.garbagenews.net/archives/2258868.htmlによると以下の通りです
2017/05/03 05:20

 
↑
 軍事費の対GDP比(2016年)(2016年時点の軍事費上位10か国)「中国の国防費は実際にはもっと多いともいわれている。米国防総省による試算では、中国政府発表の数字より10%ほど多く支出しているという。すべての関連支出を合わせると公表値の2倍を超えるとの見方もある。」
上記のように中国の場合軍事費にカウントされない治安要員の武装警察予算・サイバーテロ予算などでが軍事費と同額くらいあると言われていますし、上記引用のように2倍説も多く見られます。
元々各種統計発表数字自体が信用されていない上に、いろんな予算に軍事費が紛れ込んでいるので実態不明の程度が2x2の関係と言われています。
その上、GDP自体粉飾説が根強く実際のGDPは3分の1くらいではないかという意見が多く見られるなど実態はまるで不明です。
以下産経の記事からです。
http://www.sankei.com/smp/world/news/170625/wor1706250018-s1.html
2016年のGDPをめぐっては、31ある省クラスの地方政府が個別公表したデータの合算が、国家統計局が発表ずみのGDPの総額を2兆7559億元(約45兆円)も超過する事態となった。国内11位の上海市ひとつ分が“水増し”された計算。「いわば国家ぐるみの“粉飾決算”」(市場関係者)との指摘がある。
 遼寧省では今年1月、11~14年に税収を水増し報告して経済統計が改竄されていたことが、省の人民代表大会(地方議会に相当)で公表された。意図的な修正を地方政府が認めたのは中国で初めて。李克強首相が遼寧省トップだった07年、中国のGDPについて「人為的に操作されており参考値にすぎない」と話したとの米外交公電を内部告発サイト「ウィキリークス」が10年に明らかにしている。」
日経新聞も同様です。https://www.nikkei.com/article/DGXLASGM21H99_R20C17A8EA2000/
2017/8/21 23:57
日本経済新聞 電子版
習氏一喝でGDP修正 遼寧省、名目マイナス20%に   
異例ともいえる成長率の急低下は、経済統計の水増しやねつ造を戒める習近平国家主席の強い意向を受けた動きとの見方が多い。ほかの省などにも今後、同じような「修正」は広がりそうだ。」

中国の脅威(羅津港租借)1

北朝鮮リスクはまだ遠い先のことですが、当面の危機では中国リスクが第一です。
日本は伝統的に九州から西南諸島方面への防衛線が厚いと17〜18日頃に書きましたが、今も中国による日本侵攻の道筋は最先端に位置する尖閣諸島への攻撃から始まっています。
中国は日本の重厚・縦深防御線をいわば槍の穂先を突ついているような関係でこれを突破するには大変なので、日本の戦力を散らす・・日本海等で陽動作戦をしたい状況です。
昔から、防衛の要諦・・砦への侵入路が少ないほど良い・3〜5人しか通れない一本の細い道しかなければ百人で千人の攻撃を支えるのに有利ですが、10箇所の進入路があると守る方は百人の兵を10箇所に分散する必要がありすぐに陥落します。
中国が日本の10倍の兵力があっても尖閣諸島集中では有効に使えないので、日本の防衛力を分散させる目的になるのは当然です。
日本の防衛戦を2正面作戦に直面させようとする長期戦略が動いています。
上海や福建省から漁船や公船出動では、遠すぎてコスト・時間がかかりすぎて日本に対するいやがらせより自分の方が持たない難点があります。
そこで、満州(今の吉林省)から直接日本海への出入り口確保(通商路)という名目で、北朝鮮の羅津港の租借に2005年に成功しています。
https://ameblo.jp/risingshiningsun/entry-11206253808.htmlによれば以下の通りです。
金正日政権は05年9月には朝鮮半島最北端の不凍港、羅津港の50年間の租借権を中国に渡した。
この港は1932年に日本が満州国と日本本土を結ぶ最短交易港として開港したもので、戦略的に非常に重要な意味を持つ。
65年には旧ソ連が同港を租借してベトナム戦争の軍事物資の輸送拠点とした。
その戦略的拠点の使用権を中国は50年間の長期にわたって確保したのだ。
しかも使用形態は、中国が北朝鮮の国土を借り上げ、そこで中国が行政権を執行するというもので、紛れも無い租借である。
※地図を逆さにすると、羅津港の戦略的重要性がよりよく分かります。
rajin_c.jpg

情報元:ひめのブログ 

以上の地図を見るとわかるように、この港湾稼働後に(細々と稼働しているようですが、今後大規模基地化して)日本の背後をつく陽動作戦基地化に成功(・・北朝鮮が応じればの話です)すると大変です。
ここを航空母艦の寄港地にできると、補給改修のため青島大連あたりまで毎回帰らなくとも良いので、日常的に日本近海をうろつけるようになります。
その上黄海・東シナ海に出るには水深が浅いのが難点で潜水艦が外洋に出る前に日米に逐一探知される弱点があると言われていますが、羅津港を潜水艦基地にできると自由度が飛躍的に増します。
・・日本のワキ腹に位置するここを根拠地にしょっちゅう日本海に出没してあちこちの領海侵犯を繰り返すようになると、日本はこの方面での対応に兵力資源を分散させる必要が生じます。
今は上海や福建省あたりから漁船団が尖閣諸島に出てくるのでコスト的に沖縄周辺が限界ですが、羅津港を基地にすると日本列島の何処へでも簡単に行けるので、好きなところで経済水域侵犯などが簡単にできるようになります。
羅津港は船の港であって空軍基地ではないですが、空母の寄港地にできれば、空母発進機によって新潟近く・・日本海側への示威飛行を繰り返しても大してコストがかからないので今後毎日多数回やれます。
日本は日本海沿岸でも、スクランブル用の自衛隊機や違法操業対応の巡視船の数(乗務員等の兵士数)を増やすコストが今の数倍増になります。
近年中国が執念を燃やしている航空母艦製造〜就役は、将来的に多方面からの接近作戦展開の布石でしょう。
航空母艦発着ならば紛争地の近海からの発着なので現地滞空時間が何倍も長くなります。
上海付近あるいは青島付近から発着戦闘機等が対馬や九州付近を往復飛行するには、九州付近での滞空時間がほんの短時間しかありませんが、近くに待機する航空母艦からの発着ならば少ない飛行機で何倍もの往復可能です。
中国は、この1ヶ月ほど東京空爆用の爆撃訓練を印象付けながら、(公海上限定ではありますが)頻繁に紀伊半島沖まで来ては引き返す爆撃機の飛行訓練実施中ですが、西南諸島方面から北上するパターンの場合航続距離の限界だけではなく、東京までの長距離移動がある結果、途中の長距離区間の制空権を確保してからでないと横から迎撃されるリスクが高くなり現実的ではありません。
これが航空母艦発着になると、開戦前に東京付近に出向いておけば(開戦前に領海外に停泊している限り日本の近くに来ているのはけしからんというだけでは日本は先制攻撃できません)いきなりの東京奇襲攻撃が可能になります。
領土と公海までの距離(領海は昔艦砲射撃の射程距離・3海里の限度で決めた歴史があって)はほんの12海里しかありませんから、領海外にいる母艦から戦闘機や爆撃機が発進すれば1分以内に東京上空に達するでしょう。
ウィキペデアによると以下の通りです。
「領海(りょうかい、英語:territorial sea)とは、基線から最大12海里(約22.2km)までの範囲で国家が設定した帯状の水域であり、沿岸国の主権が及ぶ水域である(右図参照)[1][2][3]。沿岸海(えんがんかい)といわれることもある[1]。領海、領海の上空、領海の海底とその地下には沿岸国の主権が及ぶ」
以上のように中国はできるだけ戦線拡大をはかり、日本の対応力の限界を目指す展開です。
一方で内部工作として沖縄の先住民運動を仕掛け、内部から呼応する勢力を育成するなど多角的戦線拡大を目指していると見るべきです。
対中領土争いは、単なる物的支配欲にとどまらず中国の報復怨念に基づいていることから、尖閣だけを譲れば次は沖縄が元から中国のものだと言い出すなど次々と因縁をつけてきて次は九州占領と際限がない・・最後は満州でのソ連の蛮行・・以上の悲惨な占領結果が待っていると見るべきです。
経済力に関しては日米安保が機能する限り日米合体の経済力になりますが、内部工作防衛はアメリカ頼みでは防げません。

ロシアから中国の脅威へ(中ソ対立)

日本にとってロシアが最大の脅威であった構図が変わったのは、日露戦争後の日本の台頭〜日本が第一次世界大戦後米国の人種差別批判を始めたこと・その他中国での利権争いその他総合的対立激化によって、対日オレンジ計画開始〜アメリカ国内での反日・排日気運の たかまりに乗じコミンテルンの日米離間工作にルーズベルトがまんまとハマって日本攻撃を目ざしたために守るべき相手が米国に臨時的に変わっていたにすぎません。
クリミヤ戦争で敗退後のロシアにとって残された出口としては東方・・草刈場である満州〜中国方面しかなかったのですが、そこに頑張っていた日本が目先の邪魔でしたし、当時の列強では最も孤立させやすい敵でした。
コミンテルンの浸透標的が中国内部呼応・共産党勢力の育成と目先の覇者である日本弱体化をはかるには、日米離間が最有効・・優先テーマだったでしょう。
日本敗戦後再び日米共に主たる敵がソ連に戻って「国防」といえば、北方から攻めてくるソ連が対象で三沢基地をバックにした北海道防衛中心でした。
ソ連崩壊後、この20年あまりロシアは領土拡張どころではなくなったはずなので、(とは言え、ロシアはこの後で紹介しますが、今なお対GDP比で見ると分不相応な軍事費をかけて軍事強国を維持しています・・)この隙をついて今度は中国の対日挑戦が始まりました。
中国は独立以来国内権力確立〜国内生産力近代化に忙しく日本侵略どころではなかった上にようやくある程度落ち着いたところで中ソ対立が始まったので、応援してもらっていたソ連からの脅威に悩まされていました。
当時モンゴル国境から北京までわずか60キロしかないので、ソ連得意の戦車隊が約1〜2時間で北京を蹂躙されるとメデイアでは報道していました。
中ソ対立についてはhttp://www.y-history.net/appendix/wh1603-048.htmlによれば以下の通りです。
「同じ社会主義(マルクス=レーニン主義)を掲げて共産国家建設を目指していたソ連と中国は中ソ友好同盟相互援助条約(1950年締結、1979年消滅)で結ばれた同盟国であったが、1950年代後半から革命観の違い、戦略論の違い、国際政治上の意見の対立などが目立ち始めた。きっかけは1956年のソ連のスターリン批判であり、平和共存路線をとるようになったことであった。中国共産党の毛沢東はスターリン路線の継承する立場からフルシチョフらソ連共産党の転身を修正主義であるとし、また平和共存路線は帝国主義への屈服であるとして受け入れないと姿勢をとった。」
「はじめは理論的な面での論争が主であったが、1958年の中国軍の金門・馬祖島砲撃事件や59年のチベット反乱と中印国境紛争など緊張が高まる中、1960年代からは公然とした非難を互いにぶつけあう対立となった。ソ連は59年、核兵器開発への協力を中止、さらに中ソ技術協定を破棄し技術者の引揚げを通告、対立は決定的となった。
 毛沢東は独自の社会主義建設を目指して「大躍進」運動を開始し、第2次五カ年計画ではソ連の援助なしの工業化をめざした。また1962年のキューバ危機を回避した米ソ両国が、63年に部分的核実験停止条約に合意すると、それに反発して自前の核兵器開発を始め、64年に中国の核実験を成功させた。同年のフルシチョフ失脚後も対立は続き、65年ごろから本格化した文化大革命でも毛沢東はソ連を修正主義として激しく非難した。」
「文化大革命の国内闘争が激しくなり、ソ連の社会主義も硬直した指導部の下で経済の停滞を招き、70年代には米中が接近するという状況となった。76年には毛沢東が死去し、情勢は変化の兆しが見え始めた。79年2月には中越戦争が起き、ソ連はベトナムを支援、再び関係は悪化した。しかし、中国の華国鋒指導部はベトナムから撤退を余儀なくされて指導力を低下させた。同年、50年に締結された中ソ友好同盟相互援助条約も期限切れになり、延長されずに廃棄された。あらたな中ソ関係の模索が始まったが、同年12月、ソ連のアフガニスタン侵攻が起きると、中国はソ連の覇権主義を非難して、翌年のモスクワ=オリンピックをボイコットした。」
これがキッシンジャー訪問による米中和解でソ連の圧力が縮小〜ソ連崩壊ですから、中ソ対立の勝者は米国を味方につけたスターリン主義に固執する中国であったことになります。
ソ連を継承したロシアは今でも軍事力は大きいものの中国にとってはさしたる脅威に感じなくなっている・・中国は文字通り後顧の憂いをなくして安心して南進膨張出来る好機となった上に、中国の改革解放以来国力が飛躍的に大きくなった結果、中国が自信をつけて米国の抑えが効かなくなって来ました。
今回の一連の北朝鮮に対するトランプ氏の脅しが全く効き目がないことを見れば、中ロは実験段階どころか実用化されたもっと大量の核兵器・運搬手段を保っているのですから、今後アメリカの脅しに対してなんの恐れも抱かないでしょう。
強制力を背景にした脅しには、自己の道義に反した要求貫徹のための違法な脅しと定着している国際ルールを守らせるための脅しの二種類があります。
法治国家による裁判を経た執行力の確保と暴力団の実力行使の違いです。
アメリカがイラク侵攻を初めとして違法な実力行使をし過ぎたから・・という道義的分析も可能ですが・・欧米秩序である法の支配が色あせて島田っと見えますし、結果として合法違法を問わずにパックスアメリカーナの強制能力が縮小に向かっていることが明らかです。
核兵器保有国同士では相手の行為が違法であろうとなかろうと互いに手を出せない関係ですから、アメリカが南シナ海で自由航行作戦と言って軍艦を航行させても中国は手を出せない・その代わり今度は中国がアメリカ近海でデモンストレーションをしてもアメリカも手を出せない・お互い嫌がらせ自由の関係になって行きます。
そのうち近海どころか、お互いが相手領海内〜国内に自国軍を無断侵入させ〜上陸させて兵が暴れても、相手国は手出しできなくなる・・無法状態が始まるのでしょうか?
お互い無法状態では困るので一応のルール・・外交官だけは治外法権という節度を設けていますが・・。
個人間で言えば、リヴァイアサンの時代から徐々に強制的な法がなくともお互いを尊重して道を譲りあうようなルールが定着して来たのです。
ライオンその他動物界でも自分の方が相手よりも何割か強いとしても、むやみに闘争していると勝った方の受傷が致命傷ではないまでも、(一部の怪我でもそのウチに化膿するし、骨折でも)走力が落ちて餌を追いかけられないと結果的にすぐ飢え死にしてしまいます。
こういう知恵の結果むやみな争いが起きないように文字のない動物界でも、お互い道を譲り餌の取り合いや水場で狩をしないなどのルールが自然発生的?に生まれています。
北朝鮮が望んでいる核保有国になった場合には、この初歩的・動物界的ルールさえ成立しない状態に戻るのでしょうか?
過去のルールに何でも反対する・日本に北朝鮮の軍人が不法上陸してこれを逮捕すると釈放しないと核兵器をぶち込むと威嚇する・・釈放すると白昼公然と日本人技術者を拉致して北朝鮮に連れて行く・・市場相場の10倍の代金を要求する・・文句を言うならば核爆弾をお見舞いするという脅迫が横行するようになると・・リバイアサンの時代に戻ります。
アメリカは、これを言い立てて・・無秩序状態化阻止のために制裁が必要と主張しているのですが、本当にそうなるかどうかはわかりません。
どうしょうもないライオンもいるでしょうが、それでも全てのライオンに爪や牙を持たせているのが自然界です。
爪や牙があるからといって、ライオン同士でしょっちゅう喧嘩してはいません。
北朝鮮は、今は誰も認めてくれないのでヤケになっているが、核保有国になって一人前扱いしてくれれば自信が出て普通の国になるのでしょうか?
世界中が核兵器保有国になったらどうなるかの実験をしてみるしかないのかもしれません。
バカな人がたまにいて刀を振り回し銃乱射する程度ならば、周囲の被害も局地的でその人個人が自滅するだけでしたが、相手の横暴があまりひどい場合、怒った国が受けて立つ・・間違って核兵器の応酬になれば、全人類がほぼ滅びます。
原発問題で放射能の半減期縮小の研究が進んでいることを紹介したように、核兵器無力化あるいは防御システム化が進む可能性があるでしょうが、ここ30〜40年程度では核兵器から身を守れる人は全体から見れば微々たるものでしょう。
ノアの洪水のような人類の試練が来るのでしょうか?

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