法網をくぐる3(租税回避・サイバーテロ)

法制定続きは実際に不都合が起きてから・・一定期間経過+一定規模の不都合(主務官庁での検討・審議会等を経て)または社会的問題になってから政党単位で問題になって法案になり、国会審議を経て漸く制定されるもので、原則的に不都合の後追い的宿命を持っています。
商品のように予め実験出来ないので、実施して見ないとどう言う不具合が起きるか分らないのが原則です。
マイナンバー法で言えば情報漏出の危険があることは分るので、一生懸命対策造りに励んでいますが、運用してみるとどこから漏出するかはやって見ないと分らないのが実際でしょう。
法の抜け穴を探す納税者相手に税法を細かくいじれば、その関係でどこかに新たな不都合が生じます・・結果的にキリがない・・イタチごっこのような関係です。
脱法ハーブと言う表現が蔓延していましたが、(規制前ならば健康に良い訳ではありません)まさにこの手のイタチごっこを表していいます。
法の精神は、一定の幻覚や高揚感のあるモノの使用・製造販売所時等を規制したいのが主眼です。
規制基準を法ではっきりせるために、効果で規制せずに、特定化学成分を含むものに限定したり特定の植物に限定するからこれを悪用するための研究?が発達します。
成分や植物さえ違えば効能が同じでも良いのかとなって、別の化学成分の組合せでおなじような幻覚・高揚感を得られるモノが発明?工夫されて来るし、新たに見つかった植物の加工の仕方によって同じような幻覚や高揚感を得られるようになってもまだ法規制がないので合法と言うことで「脱法ハーブ」となります。
規制がなくとも健康に悪いモノは悪いのです。
近代法の原理の進化によって、規制基準の明確化が進んだ結果、(表現の自由があると名誉毀損する人が出るように)これを悪用する人が多くなって来ますがこれを「脱法行為者」と言うべきでしょうか?
サイバーテロ対策もコンピューター技術は日進月歩ですから、その欠陥を探ってサイバー攻撃する方はいつも先手を取れる関係で、防御側は、攻撃されてから、その穴埋め防御策を講じる関係です。
規制と道徳の関係を4日のブログ最後に書きましたが、「法の精神」を無視して規制さえなければ、規制前に何をしても良いと言う道徳観が蔓延すると社会秩序が守れません。
道徳・善悪は法を基準にするものではなく、自分で考えるべきことです。
テロ・犯罪集団ではない、世界企業の節税策が度を超して来た・・法網をくぐる姿勢・・脱法行為性が顕著になって来たので、国際世論が我慢出来なくなって来たのが現在の国際税務情勢です。
武富士の例は、実質的課税逃れにあると言われていますので、まさに法網をうまくくぐり抜けて、何千億円と言う巨額を節税に成功した(私のような税務の)素人にも分りよい事件でしたので、紹介しておきます。
以下は日経からの引用です。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG17022_Y1A210C1000000
「武富士元専務への課税取り消し 2000億円還付へ
最高裁判決
2011/2/18 15:06 (2011/2/18 20:07更新)
「消費者金融大手の武富士(会社更生手続き中)の創業者、武井保雄元会長(故人)の長男で元専務の俊樹氏(45)が、生前贈与を受けた海外資産に約1330億円を課税されたのは不当だとして取り消しを求めた訴訟の上告審判決が18日、最高裁であった。第2小法廷(須藤正彦裁判長)は課税を適法とした二審・東京高裁判決を破棄、取り消しを命じた一審・東京地裁判決を支持した。」
訴訟では、海外居住者への海外資産贈与を非課税とした当時の相続税法に照らし、俊樹氏の住所がどこだったかが争われた。同小法廷は香港と日本の両方に居宅があった俊樹氏について、仕事以外も含めた香港での滞在日数の割合は約65%、国内滞在の割合は26%だったとして「生活の本拠は香港だった」と認定。そのうえで「税回避が目的でも客観的な生活実態は消滅せず、納税義務はない」と結論付けた。
須藤裁判長は補足意見で「海外経由で両親が子に財産を無税で移転したもので、著しい不公平感を免れない。国内にも住居があったとも見え、一般の法感情からは違和感もある」と、俊樹氏側の行為が税回避目的だったと判断しながらも、「厳格な法解釈が求められる以上、課税取り消しはやむを得ない」と述べた。
「2000年の税制改正で、贈与する側か受ける側のいずれかが過去5年以内に日本に住んでいれば、海外資産も課税対象となった。」

上記のとおり租税逃れ目的が分っていても改正前の行為だから仕方がないと言うこと・・先にこうした抜け穴を探す人が出るから政府は急いで後に改正するのですが、(中国の挑発があって集団自衛権が議論になって来たのと同じです)武富士事件では国際的課税制度を国会で変更しているところを見れば、(節税したことが国民的支持を受けている正しいことだったら改正する必要がありません)法改正行為はいつも法網をくぐるプロの後塵を拝するしかない・イタチごっこ状態が続いていることが分ります。
テロの方法が分ると(最近ではドローンが官邸に墜落していたのが分って大騒ぎになりましたが・・このように全て後追いです)1つ1つを法にするために国会で議論していたらいつも後手に回るので、包括的に犯罪集団自体を締め上げる方法としてテロ団体指定する方法は、1つの解決策です。
ただアメリカが一方的に指定する仕組みは問題ですが・・法網をくぐるグループに対する組織対策が必要になっていることは確かです。
組織対策が進むと、組織に属さない・・(テロ組織や暴力団組織を抜けたり加入していないことになっている)あるいはループ状に緩やかに連帯する・一匹狼?に対する対策がその次に必要になって行くでしょう。
テロ組織ISISに参加しようとして日本人が検挙された事件が起きましたが、共鳴して・しかも個人でドローン等を利用して行動する人が増えて来ると厄介です。

法網をくぐる2(租税回避)

以下は租税回避に関する最近の国際的潮流を見るためにNHKからの引用です。
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3353_all.html(NHKクローズアップ現在)013年5月27日(月)放送
 “租税回避マネー”を追え 
  ~国家vs.グローバル企業~
 世界最大のIT企業アップル。
 先週、アメリカの議会で税金を巡って厳しく追及されました。
 議長
「この5年、法人税を申告していませんね。」
 アップル ティム・クックCEO
「今の税制は時代遅れです。
(税率が)高すぎるのです。」
アメリカでは税金をほとんど納めず、税率の低い国に10兆円を超える資産を蓄えていたのです。
去年(2012年)12月、イギリスで行われたデモに参加したスティーブン・リードさんです。
デモの対象になったのは、大手コーヒーチェーン・スターバックスでした。
「税金を払え!税金を払え!」
イギリスで700店舗以上を展開しながら、法人税をほとんど納めていないことが発覚したのです。

記憶が定かではありませんが、このデモの結果、スターバックスはイギリスで何かの還元策を発表せざるを得なくなったと報道されていました。
「法を守る可シ」「遵法精神」とは、個別の法基準をスレスレ研究して守れば良い・・法の抜け穴を探して税を払わなかったり、実質違法行為をすることではありません。
刑事処罰されない程度に人の悪口を言いふらして歩くことではありません。
法スレスレの行為をするのは、非道徳者のすることです。
ヤクザが「街のダニ」と言われるのは、毎回刑事処罰されるような脅迫をしているからではなく、刑事処罰スレスレの嫌がらせ繰り返すから「ダニ」と言われるのです。
ともだちにお金を借りて「借りた証拠があるなら出してみろ」と言うような人は嫌われます。
挑発だけしておいて相手が怒って殴りにかかって来たら、相手が先に手を出したから殴り返したと言う人も同じです。
ただし、より良い物を作ろうとするときに現行基準に抵触する場合があって、仕方なしに法基準に合致するようにギリギリの研究をすることもありますから、ギリギリの研究すること自体が悪であるとは言えません。
スターバックスやアップルの例で分るようにソモソモ巨大企業が殆ど税を払わなくて良いようにする目的で研究するのは、その研究目的自体が「悪」であると言うことです。
ただし、個人の脱法的脱税は共同体コストを免れる行為であって「悪」ですが、法人・企業体は利益がなくて税を納めなくとも、ある地域で1万人を雇用していれば(従業員が所得税等を払い消費する)企業活動を通じて各種需要を生み出して(その需要によって税収が上がります)地域経済に大きな貢献をしています。
そのうえに、法人の所得は最終的には株主個人に帰するので、その段階で税を取れれば良いと言う考え方もありますが、ここでは「脱法的節税の非」として書いているだけです。
近代法の原理である法治国家思想の表裏の関係で、法に触れなければ何をしても良いかのような副作用の方を悪用して羞じない人が増えて来た・・従来の善悪の基準を気にしない輩が増え過ぎて来たように思われます。
法はこれまで問題になった事例に基づいて出来て来た行動目安の基準でしかないのですから、まだ基準を作っていなくとも、共同体維持に悪いことをしてはいけない・・みんなのためになることを心がける必要性を忘れている人が幅を利かすようになり過ぎて来たように見えます。
昨日最後に書いたようにモノゴトは法を守るかどうかだけではなく、価値ある行為かマイナス価値行為かの判断が必要です。
節税が盛んに宣伝されていますが、1つ1つは当時の税法の細かい仕組みをそのまま利用工夫しての節税ですから、合法である・・裁判すると勝つ関係でしょうが、名誉毀損罪で処罰されない程度に抑制して?人を悪口を言うのと似ていて善良な人のすることではないでしょう。
ある共同体の役割分担でも同じで、懲罰を受けない程度の最低の義務しか果たさない人を立派な人とは言いません。
この街には「ポイ捨ての刑事罰条例がない」からとゴミをそこらに捨ててあるく人が良い人でしょうか?
ゴミ箱を探してる友人に向かって「お前バカだな・この街には刑事罰がないからその辺に棄てれば良いのに!と言う人が利口だと言われる時代が良い社会でしょうか?
人は生まれつきの能力によって、刑事罰則制定前から「やって良いことと悪いこと」の区別がつくのではないでしょうか?
性善説と性悪説の争いのようになりますが、近代法の原理に毒されている文化人には、自分で善悪を考える必要がない・・法に書いてあるかどうかだけだと言う傾向が強いように見えます。
人としての道に関係なく、法の抜け穴探しに成功すれば儲かるし、これに成功した人が英雄?視されるようになってくると、租税回避その他法網をくぐることに対する批判が起きて揺り戻しが起きているのです。
元総理鳩山氏が、わざわざロシア訪問して「クリミア併合は住民投票に従ってやったので、何ら問題がない」と言うようなことを言ったと報道されていましたが、法形式主義とらわれている悪しき左翼文化人の特徴そのままです。
近代に入って、宗教の存在意義がもの凄く縮小しています。
全て法が決めてくれるので、人は自分で善悪を考える必要がないと言う宣伝に負けたからでしょうか?

国家と国民2(租税の取り合いその他)

在外国民の徴兵制から原発政策に話題がそれましたが、国際間移動が頻繁になって諸民族が入り組んで生活する時代が来ると、在外国民の権利義務の問題は課税面では早くから発生しています。
この問題は平和時にも必要なことですから、早くから国民にとっては二重課税回避・国家間の税の取り合い問題として国際的解決の枠組み交渉進んでいますが、時代の進展に併せてしょっ中新たな議論が続いているのはご承知のとおりです。
最近の新しい現象は年金問題です。
海外勤務中の期間、その国で年金を天引きされていた勤労者が帰国した場合、日本国内の年金加入期間がその分抜けてしまう・・他方で外国で支払った年金は5〜6年程度で本国へ戻ったり、他の国へ転勤して行くようになると全額掛け捨てになるのが不都合です。
同じ企業からの海外転勤の場合は、その企業でフォローしてくれるのが普通ですが、個人で外国企業を転々した場合は制度問題になります。
国内で企業間を転職した場合の年金の移動については、(国民背番号制になるなど)大分整備が進んできました。
これを国際間でどうするかが、問題になってきています。
他方、国民の側からは、海外勤務中でも選挙権を行使したいという人が増えて来る(兵役の義務とセットなら別でしょうが・・)し,複雑化の一方です。
国家間の法人税引き下げ競争だけではなく、今やいろんな分野で国家と国民・企業のあいだで綱の引き合いが始まっているので、19世紀型民族国家の仕組み自体が揺らいでいるように思われます。
個人や企業は、税や兵役等の義務の少ない割合に待遇の良いところを選びたい気持ちになるのは消費者としての立場ではどこの店が料金の割においしいか,サービスが良いかで選ぶのと同じ基準です。
自由に居住地を選べる企業や国民の数は限定されていましたが、中小企業まで海外進出する時代ではこの比率が上昇する一方です。
国家(供給者)は少しの負担(コスト)で多くの税を取り、国民に多くの義務を負わせたいし、国民や企業はその逆ですから、国家間競争というよりは国家対個人・企業との争いになって来つつあるように思えます。
サービス競争の結果、世界中の先進国や自治体では財政赤字が進んで来たのです。
財政赤字国や自治体は国民や居住者から取る税(負担)より提供するサービスが過剰になっている国のことですし、財政黒字はその逆です。
財政赤字問題に関して「最先端社会に生きる6(中間層の重要性1)」 January 17, 2013で「学校その他の投資(壊れかけた橋を直さないなど)をしないで逆に学校や公園を売れば赤字は減りますが、その自治体首長は良い政治家でしょうか?」という意見を書いたことがあります。
兵役の義務に戻りますと、兵役の義務は国民の納税義務と並ぶ古代から続く最大の義務ですから、課税のように国際間の話し合いで解決して行ければ合理的ですし、難しい問題ですが、国際紛争解決の手段としての戦争を減らすためにも税金の取り合い以上に合理化・・進めて行くべきでしょう。
人の国境を越えた移動が今よりももっと簡易になって来ると、企業が法人税の安い国へ本社所在地を移転したくなるように国民個々人も義務負担の重い国から軽い国へ逃げ出す船籍同様に住民票だけを香港に動かすなど・・)時代が来るかも知れません。
村上ファンドの村上氏がシンガポールへ逃げ出したのは、この走りでした。
その意味では、国外脱出希望の強い中韓両国民は結果から見れば世界で最も進んだ?(周回後れの)国民かも知れません。
真偽不明ですが、村上氏は台湾から帰化した人と言う噂です。
欧州の場合も欧州の民族国家意識はナポレン戦争で生まれたに過ぎない付け焼き刃ですから、不都合になれば簡単に足下から崩して行けるのかも知れません。
日本の場合は、古代の白村江の戦い(663年・天で2年)以降ずっと強固に維持して来た同胞意識で長い歴史があり、民族・同胞意識の強固さは千年単位の差・・年季が違います。
しかも大陸からかなり離れた島国だったことから、遣唐使や鑑真和上のように時々少数者が往来する程度で人的交流は糸電話のように細々としかなかったことも、地続きの欧州諸国・アジア諸外国とは環境がまるで違います。
明治維新での開国時もエリートをちょっと招聘しただけですし、庶民まで大量に来た米軍占領時でも会話能力の関係で売春婦以外は殆ど接触しないで終わったでしょう。

健全財政論2(国民と政府の関係)

政府と国民が対立するあるいは別個の団体的関係であれば政府が国民から借金していたのでは立場が弱くなって困ります。
( 04/16/06「世界宗教の非合理化とその改革4(イベリア半島2)」のコラムで、スペイン王家フィリッペ2世が4回もの破産した例を紹介したことがあります)
国民国家時代においては理念上政府=国民総体・・国民を内側に取り込んでいるので、政府の国民に対する借金は国外からの借金とは意味内容が違います。
今では政府と国民を一体として対外・・よそからいくら借りているかの収支バランスこそが重要です・・だからこそ政府の負債を国民が自分のこととして心配しているのです。
政府の負債は国民の負債同様としてマスコミが国民の不安を煽っていながら、プラス財産に関しては政府の金銭収支だけを取り出して国民個人保有の金融資産を問題にしない議論は片手落ちの議論と言えるでしょう。
政府の負債は国民の負債同様・・・一種の連帯債務者的立場にあると言うならば、国民保有資産とのバランスを論じないと危機ラインかどうか分りません。
現在の日本国債の国民保有比率が約95%であるならば、国民の対外的に負担する債務は差引5%しかなくそれ以上に国民が金融資産をもっていれば何の問題もない議論になります。
その上国民は金融資産だけではなく自宅その他の保有資産が多いので、実際はもっと安全で今のところ議論すること自体ナンセンスと言う状態です。
江戸時代にはまだ領主と領民は支配・被支配の対立関係(政府=国民ではなかった)あるいは別個の関係にありましたから、領内商人から巨額借金していると大名・武士が被支配者である商人に頭が上がらないのでは身分秩序上困ったことになります。
今は国民主権国家ですから、国民に頭が上がらなくて(一々お金の使い道に債権者=国民の意向を気にしなくてはならないこと・・)何が悪いのか?となります。
官僚にとっては、国民主権国家以前の(国民の公僕というよりは君主に代わる総理等上司に仕える)意識が濃厚に残っているから、「国民からの借金が悪で増税が必須」と信仰している人が多いのではないでしょうか?
同じ政府の資金源でも税収による資金ならば、古代から権力者の天賦の権利みたいな歴史があって、どう使おうと君主の勝手・・道徳的サンクション(酒池肉林のような悪政があると政権が倒れること)があるだけでした。
民主国家になっても税を取る約束(増税法案可決)までが大変ですが、その後は国債と違って気楽です。
吉宗が享保13年(1728)に農民との話し合いで税率を変更したのは有名ですが、このように議会のない徳川政権時代でも税率を変えるのには民意を無視出来なかったことが分ります。
ちなみに吉宗は・・当時までの慣習法的税率であった4公6民から当時の5公5民で計算した固定収量税に変更して政府は当面の税収増を確保し、(以下に貨幣改鋳と財政の関係を書いて行きますが、当時政府財政は困窮していましたのでその緊急打開策)・・その代わりそれ以上収量が上がっても税を取らない約束したので、結果的に収穫増意欲・生産性が上がりました。
このように増税は江戸時代から簡単ではなかったのですが、今の民主国家でも増税する法律さえ出来れば刑罰で徴収を強制出来る点は市民革命前の昔と変わらず、徴収した後は自分(官僚のサジ加減)のものと言う意識は今でもそのまま続いています。
(支出に関するチェックとしては予算制度がありますが、実際には箇所付け等は事前に役人の振り付けで殆ど決まっていて、それをまとめて国会で承認するかどうかだけです。
増税法案は、これを選挙のテーマにしたときには、国民が直接意思表示出来ますが、毎年の予算案をテーマにした選挙はあり得ませんので、国民が予算(支出行為)に関して直接意思表示するチャンスすらありません)
官僚にとっては増税の法さえ通せば、あとは官僚のさじ加減・・事実上自由に使えるので増税の方が良いに決まっています。
民主党が消費税増税反対の公約で政権を取っていながら、増税強行の法案強行・公約違反行為をするのは、国民に残された最低限の判断権まで奪ってしまう重要な違反となります。
租税法律主義(国会の議決がなければ課税出来ない原理)は現行憲法でも明記されているように市民革命の主要な成果・・元々増税反対から革命が(アメリカの独立革命もボストン茶条例に対する反発が原因で)起きたものでした。
今回の消費税増税が、形式的に国会の議決を得たとしても、公約では反対を表明していた政党が増税に走ったのですから「民意による増税」という憲法の実質違反行為です。
もしもこの公約違反が官僚の示唆によるならば、西洋式民主主義・市民革命の成果を踏みにじる行為ですから、官僚主導による一種の反革命行為です。
ここまで露骨に革命前の権限(国民同意なく増税出来る時代)に戻そうとする行為は、歴史の反撃を受けずにはおかないでしょう。
憲法
 第七章 財政

第八十三条  国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。
第八十四条  あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。
第八十五条  国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基くことを必要とする。

©2002-2016 稲垣法律事務所 All Right Reserved. ©Designed By Pear Computing LLC