スラップ訴訟の法原理6

日本では砂川事件大法廷判決でアメリカで発達していた統治行為理論が採用されたことが知られていましたが、この統治行為論自体・・憲法分野でも司法の限界をきっちり議論していたことになります。
日本では裁判を受ける権利があると言えば一般的には天下御免の印象ですが、これにも司法権に内在する限界があるのです。
砂川事件後50年ほども経過した今、アメリカ式の厳格な司法の限界論「戒律」的理解・・統治行為論があやふやになってきた印象です。
労働事件で顕著なように「管理職」にすれば労働法の規制適用対象外になるのではなく、具体的な業務内容によるので「本質は細部に宿る」時代です。
部分社会論は、司法審査の限界をいうのに初期的には便利な概念でしたが、今や具体的争訟内容によって司法審査の及ぶ範囲を決めていくべき時代に入っているのでしょう。
日本では社会常識的・・政治的に支持を受けられない少数者が「訴訟に訴えれば何とかなる」というか、ともかく納得していない意思表明のための願望的訴訟が伝統的に行われてきた傾向があります。
現在の「違憲の安保法を許すな1」と言う大合唱も同じ流れの印象です。
社会全体がそうなのなか、そういう(往生際の悪い)人は極く少数なのに反体制派が極く少数者を炊きつけて訴訟を起こして来ただけか分かりませんが・イサギ良くない・印象・・いわば甘えの構造です。
一神教原理の厳しい社会構造のアメリカでは、政治は政治の場で争うべきであって、政治の場で負けた以上は潔くすべきであって、訴訟の場で蒸し返し的争いは許さない価値観がはっきりしているようです。
潔いと言えば、大統領選挙で息子のブッシュに負けたゴア元副大統領が選挙開票作業の不正?がとり沙汰されていましたが、勝敗が決まるとこれを争わず潔よい姿に感銘を受けた記憶があります。
16年の大統領選の敗者クリントン氏も、ロシアの選挙介入疑惑について自らは一切発言しないのはアメリカのこうした価値観を踏まえたものです。
また日本に対して歴史修正主義ということがよく聞かれましたが、アメリカにすれば戦争の勝敗が決まった以上、(日本人は嘘で固められた東京裁判は許せないという気持ちですが)それを蒸し返すのは狡いという意味でしょう。
日本政府も蒸し返すのではなく、勝負がつき降伏した以上は潔く敗者に甘んじてきました。
数年前の日韓合意にアメリカを立会人と決めたのは、安倍総理がアメリカのこうした性格・価値観を利用したものと見るべきでしょう。
「権利の乱用は許されない」という当然の限界が、日本では忘れられていろんな分野で権利だけあえて強調されている印象が最近強くなっています。
クレーマーやモンスター保護者も同じで、客である以上は何を言っても食い下がってもいいという乱用形態がこの10数年以上一般化してきました。
「裁判を受ける権利」という名で政治分野で勝負がついた問題の蒸し返し的訴訟をしょっちゅう行っている訴訟マニアっぽい行動形式もこれに似ていますが、これは昨日まで紹介したアメリカ式ルールによればスラップ訴訟にかなり近いことが分かります。
韓国では一旦被害者になるととてつもなく横暴になる傾向があり、弱者ビジネスという言われ方もされていますが、日本でも被害者ビジネス・・古くは同和を名乗りさえすればなんでも通る時代がありました。
今では生活保護受給者などの窓口で「弱者をバカにしている」などと騒げばなんとかなる・・クレーマーやモンスター保護者というのはこの範疇です。
韓国のニュースを見る限り一旦弱者になるとその強引さ驚きますが、権利があることとその限界を弁えない点で、原理が同じです。
訴訟での蒸し返しと言う点では意外に日本左翼系の訴訟好き(ただし個人相手の場合にはスラップ訴訟として日本でも賠償金支払いを命じられることが多くなっていますが政府相手ならば、乱用しても良いというイメージです)と似ていてその共通項は「権利」主張という言葉に陶酔している点でしょうか。
昨日紹介した通り、スラップ訴訟の対象は強者が個人を訴える類型ですが、原発や行政訴訟は弱い個人が損をするものではないですが、(全国一斉原発訴訟などを見ると)大手企業だって訴訟対応コストは大変なものですし、あるいは政府もむやみに訴訟されると国民の税金で訴訟対応しなければならないのですから、一般国民の立場としてもいい加減にしてくれという声が起きてくるでしょう。
ただし反原発の政治闘争をしているという一般的イメージ理解とは違い、個別具体的危険性・・許可基準に違反していないかの争いとすれば全国各地別々に訴訟するしかないので、嫌がらせ訴訟とはいえません・・念のため
何故政治闘争というイメージが広がっているのかですが、弁護団などが「裁判闘争」と名打つからではないでしょうか?
裁判闘争に触発されて左翼とは逆の立場による昨年から発生しているのが、各地弁護士会宛の大量の懲戒請求・・乱用行為でしょうか?
左翼の各地原発訴訟やいろんな反対のための裁判闘争は?一応大義がありますが、右翼系による大量懲戒申し立ては、主義主張に反するという一種の業務妨害目的性が顕著な印象です。
公的団体である弁護士会としては損害賠償請求までは政治的判断(大阪弁護士会の橋下弁護士に関する最高裁判決で厳しく制限されています)で?出来ませんが、今回対象にされた個人弁護士の一部は、損害賠償請求の訴え提起したと報道されています。
11月24日現在のウイキペデイアの懲戒請求に関する記事からです。

特定の弁護士への大量懲戒請求
「ネット右翼#インターネットのデマ」も参照
東京弁護士会が2016年4月に出した「朝鮮学校への適正な補助金交付を求める会長声明」に賛同したとみなされた複数の弁護士(佐々木亮や嶋崎量など朝鮮学校の訴訟に対し関わっていない弁護士もデマでターゲットにされた[13])に対し、2017年以降約13万件の懲戒請求があったことが明らかになっている。
・・・この大量懲戒請求に対して神奈川弁護士会所属の神原元ら二人の弁護士[20][21][22]、東京弁護士会の弁護士一人が訴訟を起こした[23][24]。
大量懲戒請求がメディアに取り上げられた発端の佐々木亮、北周人は900人を超える請求者に対して訴訟を起こすことを決めた。
東京弁護士会に所属する在日コリアンの弁護士が起こした裁判では原告側の主張が認められ人種差別的な理由による懲戒は違法であるとの判決が出され、33万円の慰謝料の支払いが命じられた。またこの裁判には被告となった男性は欠席、答弁書を提出しなかった[25]。
懲戒請求を行った者の年齢は1番若くて43歳であり40代後半から50代後半が多く60代、70代もいるという[26]。NHKの調査では懲戒請求した人物の平均年齢は55歳で6割が男性という。

高齢者が、ネット弱者=左翼系マスメデイアの支持者と言われていたのですが、上記NHKの調査によれば実態は違っているようで驚きました。
ただし、弁護士会が懲戒請求者のプライバシー(氏名等)を開示するとは思えない上に、誰かがリークしたとしても懲戒請求には生年月日記載不要(例えば千葉県の弁護士会会規を見ると生年月日を記載するとあるのですが、請求書に生年月日を書いてくる人がいないのですが、うるさいことを言わずにそのま受理していることが多い)ですから、リークする前提資料がないのでNHKがどうやって13万件に及ぶ請求者の年齢調査できたのか、根拠・客観性不明です。
NHKが根拠ない記事を発表しているのか、NHKが報道していないのにウイキペデイアの憶測記事かも不明です。

アメリカの自治体7

日本のような自然発生的集落しか知らない立ち位置からではイメージしにくいですが、エベレスト等に登頂すると「エベレスト制服」と発表し、先住民を駆逐して?広大な無人の?原野に行った先で旗(行ったしるしの石碑)を立てて帰ってくるとそこまで先に支配がおよんだことにする西欧や中国的領土主張のあり方を前提に一応イメージしてみると以下のように想像できます。
広大な北アメリカの原野の隅から隅まで地図上の分割を済ませて各州の領域が決まったが、そのほとんどが誰も住んでいないし人跡未踏の空白地域で始まっている・・そこに人が住むようになって一定の集合体ができた場合、州(ステート・国家です)の作った一定の基準を満たせば町や村等のコミュニティーと認めようという制度設計のイメージです。
日本で言えば、民法の公益財団設立認可・・あるいは、今はやりの法人でいえば、NPO法人や社会福祉法人設立認可のように一定基準を満たせば地方公共団体が設立されていくのと似ています。
大和朝廷の始まりがはっきりしないのと同様に、日本の集落は自然発生的・・古代からあっていつでき上がったかも不明なほど古い集落が基本(古くは平家の落人部落伝説や新田開発や、明治維新時に北海道開拓に移住したりした場合など例外的場合しか知られていません)ですから、明治維新後幕藩体制を解体して中央集権化に適した郡県制に組織替えするに際しても、古代から存続している集落には手をつけずに、いくつかの集落を併合する形でその上に近代的市町村制を乗せたに過ぎません。
ですから、市町村合併で明治以降の市町村名が消えてもその下の集落名・・大字小字の仕組みになっています。
この辺は大宝律令制による班田収授法でも古代からの集落を無視できなかったので、結果的に古代的私有(集落有)制度に戻っていく・・中央任命の国司の権限が形骸していき、古代から地域に根を持つ地方有力者・郡司の実権を奪い切れず、地元勢力・逆に武士の台頭→幕府成立→戦国時代を経て古代集落の合議で地元のことは地元で決める法制度になった徳川時代にようやく落ち着いたのと似ています。
明治以降(大化の改新同様に)西洋法に倣って形式的地方自治体の権限を法で強制し(その逆張りとして古代から続く集落にに法人格を認めませんでしたが、中央政府が無理矢理強制した郡県制・市町村線引きは無理があり、次元の違う集落共同体の抵抗が、我々法律家の世界では有名な「入会権」の抵抗です。
最近顕著になってきた各地に根付く集落ごとの「お祭り」の復活が、押し込められていた地方精神面での反抗復活というべきでしょうか?
話題がそれましたが、ここでのテーマはアメリカの自治体権限と明治維新以降我が国が西洋法の移植で始めた自治権限とは歴史本質が違うということです。
アメリカの場合、一足飛びの社会ですので、日本や西欧諸国のような歴史経験・・原始的集団形成過程を追体験して行くしかないので、草の根民主主義から始まるのは当然です。
わが国で言えば、原始時代に遡るしかないほどアメリカの遅れた状態を単純に賛美している報告がわが国で普通に行われているのはおかしなものです。
原始時代からいつ始まったか不明なほど古くからの集合体があったのではなく、外部侵入・占領に始まる社会の作り方です。
まず州ができてそのあとであまり広域すぎるので、泥縄式にまず郡を作ってその領域内でミニサークルが出来上がっていくのを待つようなイメージです。
日常的に必須のサービスについて自分たちでプラス負担しても良いから・・ということでより良いサービスを求めて自治体結成するのですから、でき上がった自治体の役割・権限もその程度になるのが自然でしょう。
学校や道路などその部分だけ自分たちでプラス負担しても良いという程度の動機ですから自治を求めるのものその範囲のことです。
http://www5d.biglobe.ne.jp/~okabe/ronbun/jichius.html引用の続きです。

「アメリカでは自治体は市民がつくる。住民が住民投票で自治体をつくると決議してから初めて自治体ができる。決議しなければ自治体はない。だから、アメリカには自治体のない地域(非法人地域、Unincorporated Area)が面積の大半を占め、約1億人(総人口の38%)が自治体なしの生活をしている[ 1]。無自治体地域では、行政サービスは通常、州の下部機関である郡によって提供される。それでも最低のサービスは保証されるが、警察や消防が遠くの街(郡庁所在都市)から提供されるのは不安だし、地域の発展を直接自分たちでコントロールしたいということで、自治体をつくる運動が生まれ、住民投票などを経て自治体が設立される。」
「自治体結成について最も障害となるのが財政、税金の問題である。郡から大枠の行政サービスを受けるだけよりは地元で自治体をつくり身近な行政サービスを受けた方が好ましい。しかし、自治体をつくると税金負担が大きくなるマイナスがある。東パロアルトのような貧しい地域では域内ビジネスがあまりないので税収があまり期待できない、という問題もある。「独立」するよりは郡の庇護下に居たほうがいいという判断も出てくる(周辺の裕福な地域の税収で行政サービスを受けるということでもある)。それで東パロアルトの自治体設立にも根強い反対があり、1930年代以来、何度も自治体結成の話が出てはその度消えていった。」
「さらに結成した後も、自治体は極めて市民団体的である。例えば市長や市議は通常、ボランティアだ。カリフォルニア州の場合は州法で5万人以下の市なら月給400ドル以下、3万5000人以下なら月給300ドルなどの報酬額が定められている。このような名目賃金では生活できないから、市長や市議は通常、他の仕事をもっている。市議会や市行務の仕事は夜行なわれる。
市議の数も通常5人から10人程度で少ない。夜開かれる市議会は住民集会のようなもので、市民が自由に参加できるのはもちろん、だれでも1議題につき1回まで発言さえできる。連邦、州、自治体レベルにはりめぐらされている公開会議法(Open Meeting Laws)がこうした市民の発言を保証している」

この論文ではこのコラムで関心のある自治体権限の範囲について書いていませんが、(私は法律家なので法的権限に関心が行きますが、社会学者の場合?関心の一部でしかないでしょう)自治体結成の動機エネルギーから見ても、結成動機に権限が関係しますし、また「市」と言っても市議会議員の給与や定数まで州法で決めているくらいですから・・自主的にできることは、州政府の提供するサービス・・最低保障に自分たちで集めた税で上乗せサービス給付する程度しか想定できません。
このような観点から見れば、領域支配を前提とする日本人の自治体イメージから見れば、不思議に見える領域支配と関係ない特別区という自治体がいっぱいあることも「異」とするには足りません。
(昨日紹介した警察だけ自分たちで運営する自治体など)

アメリカの自治体6

アメリカの自治体の実態そのものを調査研究した人の意見が以下に出ています。
以下引用するhttp://www5d.biglobe.ne.jp/~okabe/ronbun/jichius.htmlに詳しく出ていますが、アメリカではたった3人から10数人クラスの自治体があるし、有料の橋だけ管理する自治体や警察署だけ設置する自治体もあるなど機能的にもいろいろらしいです。

岡部一明 (『東邦学誌』第30巻第1号、2001年6月)7
「憲法には地方自治の規定はまったくない。したがって地方自治法はすべて州法。自治体を設立するのも州の権限だ。したがって自治体制度は州によってまったく異なり、本稿で詳述するような複雑さを呈する。「アメリカの自治体は・・・」と一括りにはできない。別の例をあげれば教育である。日本の教育基本法や学校教育法にあたるのはアメリカでは各州の州法である。したがって州により小学校が4年だったり5年だったり6年だったり、小学校に幼稚園が付いていたりいなかったり、高校が3年だったり4年だったり6年だったり、とばらばらである。
「郡
アメリカの地方自治制度は、概略的に言えば、まず州全土が数十の郡(County)に分割され、その中に自治体が形成される形だ。無自治体地域には郡が公共サービスを提供する。自治体がない地域はあるが、郡はあらゆる地を被っている。」
上記によると州政府は州をいくつかの郡に地域割りして出張所みたいに郡庁を設置していて、そこから自治体の設置されていない地域への警察や道路水道学校等のサービスをする仕組みのようです。
もうちょっと学校をよくしたいとか道路をよくしたいと思えば、地域の住民多数で自治体を結成すれば自分たちで警察を持てば(3〜40分離れた郡庁所在地から駆けつけるのではなく、地元警察署が欲しいという理由で自治体を作ると)治安が良くなるとか道路を綺麗にできるなどメリットがありますが、その代わりそれまで州政府・郡庁がやってくれていた分が地元負担になります。
地元負担が増えることの兼ね合いで自治体結成したりしなかったりになるようです。
貧しい地域は平均的サービスを州政府の負担で受けた方がトクでないかという発想で、貧しい地域ほどいつまでも自治体のない地域が残る仕組みのようです。
以下引用の通りアメリカの面積では大半、人口比では38%では自治体のない地域に住んでいるという実態を抑える必要があるでしょう。
「(序)市民が設立する自治体
アメリカでは自治体は市民がつくる。住民が住民投票で自治体をつくると決議してから初めて自治体ができる。決議しなければ自治体はない。だから、アメリカには自治体のない地域(非法人地域、Unincorporated Area)が面積の大半を占め、約1億人(総人口の38%)が自治体なしの生活をしている[ 1]。無自治体地域では、行政サービスは通常、州の下部機関である郡によって提供される。それでも最低のサービスは保証されるが、警察や消防が遠くの街(郡庁所在都市)から提供されるのは不安だし、地域の発展を直接自分たちでコントロールしたいということで、自治体をつくる運動が生まれ、住民投票などを経て自治体が設立される。」
警察保護区を設置した自治体の様子は上記引用記事によれば以下の通りです。
「ブロードムア警察保護区(BPPD、Broadmoor Police Protection District)委員会のピエール・パレンガットが語る[10]。サンフランシスコ市の南辺、面積1.4平方キロほどのブロードムア地区(人口5000人)は通常自治体のない非法人化地域だが、警察だけは必要だということから、自治警察だけの特別区自治体BPPDを設置している。1948年に郡議会に嘆願し、州法に定められた警察保護区の規定にのっとりを設置した。「自治体がない地域は通常、郡が行政サービスを提供する。ここでも最初は、郡警察(シェリフ)の管轄下にあった。」とパレンガットが説明する。「しかし、郡警察本部は、車で約3-40分かかるレッドウッド市(郡庁所在地)。事件があっても警察官が遠くから駆けつけることになる。地域で警察保護区をつくればサービスも迅速になるし、心配や問題があった時いつでも来れて、署長や警察官と話ができる。」
「このBPPDについて詳しくは別稿に譲るが[11]、彼らは、「迷いネコの捜索や病気の住民の様子を見に行ったり、高齢者のために郵便を出したり」もして、コミュニティー・ポリーシング(地域に根ざした警察)を実践している。住民から選挙で選ばれた3人にからなるコミッション(委員会。パレンガット氏が委員長)が運営に責任をもち、その下に11人の警察官が雇われている。戦国時代、住民が侍をやとって村を守る話(黒沢明監督『七人の侍』)という話があるが、警察保護区はまさにその現代版だ。警察署は民間住宅を改造した建物。そこに11人の侍だけでなく、延べ10人以上のボランティア市民が詰め月600時間以上の労力を提供する。」
ブロードムアの警察保護区はいわゆる特別区(Special District)のひとつだ。アメリカの自治体には日本のいわゆる市町村型の総合型自治体ばかりでなく、こうした専門サービス型の自治体がある。代表的なのは学校区(教育委員会に相当)だが、後述するように水道区、大気汚染監視区、交通区、蚊駆除区、その他多様な分野の特別区自治体がある。
道路などよくしたいと自治体を結成した地域もあります。」

アメリカには自治体のない地域が面積の過半を占め、人口比で38%が自治体のない地域に住んでいる事実をまず知るべきです。
アメリカは自治の本場というイメージがありますが、そもそもその前提にある基礎集落社会・自治の主体に関する大きな誤解があることが分かります。
もともと日本のように自然発生的に集落があって、何千年の経過でそれが育って〇〇郷や・〇〇の庄〜ムラ社会〜明治以降のムラ〜町〜市〜大都会になってきた社会とは成り立ちが違っています。江戸時代・・特に房総地域では旗本領が入り組んでいて一つの部落野中が何人もの旗本の領地に分けている(ひどい例では、一人の農地の内この農地は誰それ領地と複数領主に分かれていることもあったようです)状態であったことが、千葉県では知られていますが、こういう土着社会に領主がいてもまるで相手にされない・ムラの寄り合いで「こういう決まりになりました」と領主に届ける仕組でしかありませんでした。
領主といっても、結果報告を承認するしかない・事実上領民の決めたことを強制される社会でした。

 

アメリカの自治体5(地方政府の権能)

アメリカの自治体5(地方政府の権能)

在庫(書きだめ先送り原稿)整理の続きでテーマを2017/10/15「アメリカの自治体4」の続き・・アメリカの自治体の発展過程〜現状に戻します。
アメリカでの自治体が原発立地や自衛隊基地設置の同意権があるのか?に関しては、我々法律家に関心のある法的文言や条文が不明です。
(条文はいくらでも検索できるでしょうが、カリフォルニア州憲法だけで110ページもあると言われていますので専門家が抜き出した翻訳文がないとピンとこないという意味です)
州憲法に関するウィキペデアによれば以下の通りです。

「カリフォルニア州憲法は世界でも最大級に長い法の集積であり、110頁がある[1]。この長さの原因の一部は憲法修正条項という形を採る有権者発議が多いことによっている。」

これでまで見てきたところによると、各種許認可あるいは同意権・・権力的権限は、州政府の権限であって、自治体は設立目的に応じた各種契約やサービス供給権を持っているだけのようなイメージですが、正確にはまだわかりません。
日本でもhttp://www.seikatsuken.or.jp/database/files/n201209-188-001.pdfによると、地元自治体というだけで同意権→拒否権があるかどうか微妙な書き方です。
迷惑施設だから地元同意が必要という立論ですが、権利義務関係でははっきりしません。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO82986520Z00C15A2KE8000/によれば以下の通りです。

原発と地域(1)再稼働の同意範囲 法的根拠あいまい
2015/2/10付日本経済新聞 朝刊
九州電力の川内原子力発電所(鹿児島県薩摩川内市)に続き、関西電力の高浜原発(福井県高浜町)が原子力規制委員会の安全審査に近く合格する。再稼働に必要な同意を得る「地元」の範囲が議論になっている。
再稼働に必要な法的手続きは安全審査の合格だけ。ただ立地する自治体は電力会社と「原子力安全協定」を結び、増設の際の事前協議

ただアメリカの自治体の例では以下のような事務分掌があることから逆算すると市の権能が見えてくる面があるので・・これを一応紹介しておきましょう。
17年10月12日から引用しているhttp://www.clair.or.jp/j/forum/series/pdf/h18-1.pdfによればカリフォルニア州の地方政府の権限・事務分掌は以下の通りです。

1 カリフォルニア州の地方自治体について
東海大学政治経済学部政治学科教授牧田 義輝29
第 1 節 州南部の都市トーランス市(City of Torrance)
1 トーランス市はどのような自治体か
(1)トーランス市のはじまり
トーランスは、デベロッパーの個人名で、アメリカの地方自治体がどのように形成されるのかが、日本の場合と比較しても大変面白いので、次に紹介しましよう。・・・・
1921 年には、自治化され、ほぼ 1,800 人が住むようになった。最初のトーランス市の憲章が、1946 年8月 20 日に投票の結果、批准され、次いで 1947 年1月7日に州の総務長官によって受けつけられた。
同市の初期の発展は、石油の発見、産業拡大、およびいく度かの併合によって特徴づけられている。これらの結果、ロスアンジェルス・カウンティのうちで最も大きな自治体のひとつとなり、今日では人口は、146,204 人となっている。
2)完全サービス自治体の意味
同市は、理事会・支配人制政府形態として統治される憲章市である。このことは、自治
体としての統治の仕方に確固とした方針を持ち、「完全サービス自治体」であると宣言している。
トーランス市は、他の多くの自治体のように主要なサービスを「契約」によっていない。つまり、トーランス市は、自らの警察、消防署、図書館システム、公共事業、およびコミュニティ・サービス部を持っている。
このように、通常市政府によって提供されるサービスに加えて、同市は、自ら経営して
いる多数の「企業」を持っている。
これらには、空港、ごみ処理システム、水道会社、ケーブルテレビ・システム、および交通システムを含んでいる。
・・・同市は、産業の中心地となっており、昼間人口は、約 50 万人に達している。
2 市民自治の仕組み・市民意思反映のシステムはどのようになっているか
(1)市理事会
(a)市理事会の機能は、条例を通過させ、政策と予算を決定し、課税し、収入を確保
し、支出を決定する。
(b)市理事会は、毎火曜日夕
(c)<報酬>非常勤 月給 100 ドル
<経費>理事―月 250 ドル(市長―月 350 ドル)+交通費+交通費+保険給付+公
務職員退職制度+会議などへの旅費
(d)市議会事務局長(市書記)任期なし。常勤。
3 住民の意思を直接吸収するためのシステムはどのように作られているか
〔市民委員会〕
市理事会に対して一般市民の意思反映は、どのようにして行われているのであろうか。
まず、同市の場合、注目されるのは、市民から成る常設の委員会(Commission)、評議会(Board)、理事会(Council)と呼ばれる諮問委員会が作られ、市理事会、および関連機関に対して助言を行なう。
これらの機関は、課題ごとに設置され、常時一般の市民の意見を吸収するようにしている。

憲法改正6(公明党の立場と報道)

https://dot.asahi.com/dot/2017121400032.html?page=1

9条改憲にブレーキかける公明党 そこにある創価学会・名誉会長の言葉とは
朝日新聞編集委員・藤生明さんの解説を紹介しよう。
安倍氏に近い憲法学者の八木秀次氏は「(戦力不保持や交戦権の否定を記した)9条2項の削除が正攻法だ」としながらも、国民投票の過半数を押さえるには、首相の提案は現実的な選択だと評価。「加憲は公明党が主張してきた考え方でもあり、公明党も受け入れやすいのではないか」と話す。ところが、その公明党側がここに来て、慎重姿勢に転じているように見える。
「多くの国民は自衛隊の活動を支持しており、憲法違反の存在とは考えていない」と明記し、首相案にやんわりと異議を唱えてみせた。
この先、「自衛隊を国軍に」という議論も出てくるに違いない。そうなれば、平和と福祉の党を掲げる公明党としては、絶対に譲れない。
「戦争ほど、残酷なものはない。
戦争ほど、悲惨なものはない。」

と池田大作氏の言を引用していますが、これこそが朝日新聞好み・左翼人権活動家が錦の御旗にしている主張に引き寄せた推測意見です。
自衛隊は憲法違反の存在でないと国民多くが認めていると主張するならば、それを憲法に明記するのに賛同すべきであって、明記に反対する倒錯した論理が理解不能でしたが、上記引用記事や上記立憲デモクラシーの会の意見を総合すると、憲法に明記すると、「自信を持って一人歩きしないかの心配」という「自衛隊に対する不信感とこれを阻止できない国民レベルの低さに対する心配がある」ということでしょう。
何十年も前から自衛隊違憲の裁判闘争ができなくなったからといって、憲法学者や革新系政党の言うように自衛隊が野放図になって日本で彼らの愛用する「軍靴の音が聞こえる」ような社会になったでしょうか?
彼ら(憲法学者や弁護士、左翼駅政党)が社会の前衛として意識の低い国民を守るという思い上がった意識こそが茶番なのです。
そんなことは政治家集団である公明党もとっくに分かっているでしょうが、メデイアによる小池新党への洪水的応援報道で怯んでしまった・・総選挙開始で日和ったと見るべきでしょうか?
選挙後の朝日からの引用です。
https://dot.asahi.com/dot/2017111700069.html?page=1

総選挙に圧勝し、悲願の憲法改正に向けて準備を進める安倍晋三首相。そこに強力なブレーキをかける政治家があらわれた。公明党の山口那津男代表だ。
山口氏は12日に放送されたラジオ番組で、憲法改正の発議には衆参両院で3分の2以上の賛成が必要なことを踏まえ、「それ以上の国民の支持があるくらいの状況が望ましい」と述べた。過半数の賛成で改正が決まる国民投票でも、3分の2以上の賛成が見込めなければ改憲案に反対することを示唆したものだ。
同党で憲法調査会長を務める北側一雄衆院議員も歩調を合わせている。10日には、憲法改正の具体的な内容について「事前に与党協議をする類いの話ではない」と述べ、改憲案を事前に与党間で取りまとめることを否定した。
公明の現役幹部が安倍首相を次々にけん制したことに、驚きの声が広がっている。

上記記事は、客観報道というよりは、朝日新聞の改憲阻止への期待・願望が大きく出ています。
3分の2程度の支持があってやった方が安全という代表の意見を反対示唆したといい、自民党との協議はどうなっているかを聞かれた北川氏が「そんなことはしていない」とケムに巻かれたのでこのように解釈しているのであって、(それぞれの解釈があやまりとは言えない.北川氏の応答がずれている面からも誤りとは言えないまでも)質疑のやりとりをそのまま客観報道すべきでしょう。
日経の質疑記録によると以下の通りです。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/071000146/082200009/
2017年8月24日

カギを握る公明党、憲法調査会長の北側一雄・衆院議員に聞く
北側:安倍政権、自公政権が一番評価されてきたのは、何より経済だと思うんですね。やっぱり経済を再生し、立て直すことをしっかりとやっていかねばならないと思うんですよね。成長と分配の好循環をつくること、これをしっかりと政権内では最優先で取り組んでいかないといけないと思いますね。
改憲については、スローダウンというようなことではないと考えています。
「山口代表の慎重姿勢」は拡大解釈
北側:山口代表の「政権が取り組む課題うんぬん」というのは、ちょっと意味が拡大解釈されているような気がします。
そもそも憲法改正というのは国会で発議するものです。制度的に。内閣が発議をするわけでも何でもない。両院の憲法審査会で論議をし、そして合意形成を図って発議するものです。その後に国民投票にかけるという流れなわけですよ。だから、そういう意味で山口さんは言っているだけです。
そもそも内閣のやるものじゃない、という制度的なことをおっしゃったということですか。
北側:そうです。「国会で論議をすることが大事なんですよ」ということを言いたかったんじゃないですか。私はそういうふうに理解しています。
与党という枠組みでできるかというと、それも違いますからね、これは。国会の3分の2の賛成が必要なわけですから。だからできるだけ多くの政党間で合意形成をしていく。または、それを追求していくことが大事じゃないでしょうかね。憲法改正しなくてもいいなんていうことはあり得ないですよね、そもそも。
公明党は憲法を改正しないという立場ではない
北側:我々は憲法を改正してはならないという立場ではありません。必要なところは改憲すべきだという立場です。先ほどの山口さんの「政権の課題うんぬん」も、同じような趣旨のことは、都議選前から言ってきましたから。
改憲の動きは、安倍首相が5月初めに「2020年に改憲を」と積極発言をして以後、加速しましたが、事前に公明党に相談はなかったのですか。
北側:ありません。そういうものじゃないでしょうか。事前にあっても困りますから。
自民党総裁として党内の議論を加速させようという意図だと思いますよ。実際に今、議論がされているわけだし、それを私たちは見守るという立場です。

以上の通りの質疑ですが、北側氏の質疑は選挙前の記録なので時間差があって、正確には比較できませんが、これを朝日新聞が、公明党は改憲反対方向〜ブレーキであるかのように報道していたことになります。
朝日新聞に独自解釈・編集権があるとしても、上記 個別応答と比較するとこれでは信用がなくなりませんか?

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