格差社会の構造(米中と日本社会の違い)1

エリートのピンポイント輸入に頼る米国と中国の違いは、異民族支配に柔軟対応するために自前の士大夫階層(一種の官僚機構構成層・中堅人材)がかなり大量存在する=層の厚さが違う感じです。
日本がGHQ支配に柔軟対応できたのと同じです。
日本が中国のように異民族支配を受けた経験がないのにをうまく受けれられたのは、京の朝廷・公卿集団が、次々と勃興して来る武家集団をうまく手なづけてきた長年の経験プラス徳川体制下における外様大名の多様な生き残り経験を活かしたものでしょう。
中央の宮廷官僚だけでなく各地方ごとに、その種人材が多様に存在してい社会であったことが重要です。
中国や朝鮮民族の場合、占領軍・専制支配体制下の生き残り策なので政治工作対象が一点に絞られる単線構造に対して、日本武士団の覇者・幕府は連合政府形態なので同輩が多い点が特徴です。
大和朝廷も諸豪族連立で成立している関係で古来から合議で決めて行くのが慣例でしたが、武家政権になると戦闘場面の延長で指揮官の号令一下のイメージですが、実態はそうでもありません。
戦闘現場での大きな戦略決定・軍議でさえも日々軍議を開いて翌朝(払暁)からの手順を決めて行く仕組みですし、まして内政になると鎌倉幕府は執権政治・・合議で決めて行くのが基本でした。
その合議は、(中流御家人以下の民意吸収能力のある)有力御家人の意向など忖度して決めていかないと政権が浮き上がるリスクがあり結果的に民意吸収能力が問われる仕組みでした。
徳川政権下でも有力諸侯の意見を無視できないというよりは、有力諸侯とは発言力のある諸侯という意味ですし、発言力があるという意味は、中小大名の意向を汲み取り代弁するのに長けた大名という意味であり、時流に関係なく正論であれば良い社会ではありません。
水戸家が尊皇攘夷論では先行していたのに、肝心の維新本番ではほとんど役割を果たせなかったのは、民心や時流の動きとか無関係な主張をしていた・現在の野党的批判論でしかなかったことによります。
水戸家から一橋慶喜を出していて水戸勤王党にとっては期待の星でしたが、彼は名門の一橋家を継いだことで政治力がなくとも知的能力が高かったかもしれませんが、地位による発言力があったという意味でしかなく、中小大名でありながら実力で発言力を持っていた大名に比べて政治力がイマイチだった印象です。
学問と違い政治の世界では、時期尚早の意見を否決されて、自分は1年前から主張していたと自慢しても意味がないのであって、必要時に主張する能力が政治には求められます。
真夏にセーターを着たいと言って馬鹿にされた人が冬になって自分が半年前に言ったことが正しかったというと笑われるのと同じです。
幕末に松平春嶽その他の小大名の活躍、あるいは山内容堂の大政奉還論は、こういう能力があったからです。
大大名は軽率に旗幟鮮明にできないので、こういう中小大名のアドバルーンを利用して形勢を読み時流に乗る体制で、これは鎌倉幕府崩壊時の足利尊氏の動きとも似ています。
明治憲法下の内閣制でも総理は首班と言われたように、同輩のトップでしかないのが特徴です。
占領軍支配に対するにしても、日本は複雑対応人材が多様に存在していたので難局をうまく切り抜けられたのです。
中国は1極支配の単純支配に対応する能力はありますが、国際社会は複雑です。
今回のコロナ禍でも、結果的に個人情報を徹底的監視体制を応用してうまく対応できたというのが自慢のようですが、それを自分で世界に自慢して触れ回ることではありません。
今朝(24日)の日経新聞朝刊6pのフィナンシャルタイムズ提携の署名入りオピニオン紙面には、「自滅した中国コロナ外交の大見出しで、米国ウイスコンシン州議会議長に対して中国政府から「中国の新型コロナ感染拡大に対する取り組みを賞賛する決議案を議会に提出してほしい」という趣旨の電子メールが届き、メールには決議文の案文が添付されていて、その内容は中国共産党がイカに素晴らしく対応したかといった論点や主張が列記されており決議にかけるには怪しすぎたので議長はイタズラだと思って、その議長は、外国政府が、州議会に直接法案の可決を求めるなど聞いたことがない」とこの記事の筆者に語ったということです。
ところがそのメールが中国総領事館からの公式電文だったと分かったという驚きの記事です。
こんな運動をして相手がどう思うか全く念頭にない・・・自分が中央政府にどれだけゴマスリできるかしか眼中にない社会です。
岡田英弘氏の論文を読んだころの印象しか記憶がないので誤解も混じっていますが、魏志倭人伝があてにならない理由として、中国のごますり競争が背後にあって、当時実力者司馬氏と曹操の子孫の政争中で、一方が西域諸国のとりまとめに成功した報告があったので、他方は対抗上東方海上の大国(邪馬台国のことです)が朝貢に来ることになったと誇大報告する必要があり、このためにあちらに千里さらに曲って何千里とものすごい誇張した路程が必要になったという解説です。
同氏は魏志倭人伝の説明通りに地図を書いていくと日本はフィリッピンあたりになるオーストラリア大陸くらいの巨大な遠方の国になってしまうようなイメージをうけて読んだ記憶です。
このように朝貢の歴史といっても権力競争している方が、大げさなお土産を持って来たと披瀝しなければならないので一種の出来レースだったようで、周辺国はちょっとした土産を持っていけばそれを招待した政争当事者が何倍にもして、皇帝の前にお披露目する仕組みだったようです。

アメリカの民度構成と格差社会2

コロナ感染に戻しますとニューヨークの場合、国際的出入の多さでは世界一で感染リスクの高さではイタリア北部以上ですが、ワスプの高齢者・富裕層の多くは高齢化するとフロリダ等気候の良いところへ移住している点がイタリアと違うでしょう。
どこの国でも高齢者施設でクラスターが発生すると、一挙に感染者数が増えるほか死亡者数も急上昇します。
ニューヨークは富裕層(がフロリダ等へ逃げているので)の高齢施設入居率が低いので人種格差が目につくようになっているのではないでしょうか。
それぞれ違った側面がありそうです。
ニューヨークの場合、今回のコロナ騒ぎで突出して感染率や死亡者が多いのは、格差社会によると言われる所以です。
https://www.cnn.co.jp/usa/35152159.html

(CNN) 新型コロナウイルスが猛威を振るう米ニューヨーク州の保健衛生当局は8日、新型肺炎の関連情報を提供するウェブサイトを更新し、犠牲者に関するデータなどを新たに盛り込んだ。
ニューヨーク市を除き州内で報告された死者の人種別の比率では、ヒスパニック系(総人口の中での割合は11%)が14%、アフリカ系(黒人、9%)が18%、白人(75%)が62%、アジア系(4%)が4%となっている。
予備段階のデータとしながらも、州内で発生した新型コロナに関する情報の90%にもとづくとしている。

中国も古代から(日本の武士層〜ホワイトカラーや正社員層が発達しないまま)「士大夫層とその他」の2極社会で1980年代の改革開放まで来ました。
2極社会を数千年単位で維持できたのは、絶え間ない異民族支配・軍事占領を原則としてきたことによります。
三皇五帝という神話上の時代から周王朝の歴史時代に入るのですが、その初代文王(姫昌)を18史略では西伯と書いているように西方の伯でした。
〇〇伯という呼称は今ではその方面の押さえ・・(主にドイツの)辺境伯という意味ですが、東方伯の名称がないのを見れば、元は文化流入口を抑える重要地域の長官・日本で言えば太宰府長官のような役割だったはずです。
周の先祖は地盤・民族ルーツが西域系だったと素人的意見ですが私は思っています。
本拠地が西域からの出口から始まるので、王朝成立時の国名を西周といい、洛陽に移ってからは東周といいます。
春秋戦国時代を経て天下統一した、秦も今の陝西省付近を根拠地とする西域系の出自のようです。
私の素人歴史観ですが、中華文明といっても古代ペルシャ文化が中央アジア・極東から見れば西域の広大な砂漠ルートを通じてようやく黄河水源域に達した高原からの下った出口・・麓というか、日本でいうと扇状地のような地に位置するところに拠点を得たグループが、中華文明発祥の地と称しているに過ぎないという意見を持っています。
要するにオリエント文明の取り入れ口が黄河上流にある拠点だったので、外来文物を(今は船で大量に運ぶのが普通になっているので舟篇がくっついていますが古代には船での舶来はなかった筈です)舶来品と日本でいう語源(これは私の語呂合わせジョークです)でしょうか?
ペルシャ〜トルコ系商人が過酷な砂漠の旅を経てようやく黄河の水源地にたどり着いて、そこを拠点にして水流に沿って商圏を広げていった・ギリシャローマ同様の地中海式の植民都市・都市国家(城塞都市)が中国社会の原型であるという意見を繰り返し書いてきました。
関東地方で言えば、信濃国から碓氷峠の先にいきなり関東平野が一望できる突端に至ったような風景です。
信州には水が豊富ですが、中央アジアは砂漠地帯ですから、黄河水源の分水嶺を越えて東方に広がる水の豊富な地域を目にしたオリエントから来た商人の喜びは、(アメリカ新大陸発見のようなものでしょうか?)想像するに余りあります。
日本では日出処・東海(日の出はありがたいですが、日没を有り難る人は例外)が憧れの対象ですが、中華経由の仏教史思想で西方浄土という意味不明のものを有り難がる信仰もこれに由来します。
水源地・瀧をイメージする龍が皇帝専用の文様になっている伝統もこれに由来するでしょう。
龍に関するウイキペデイアの解説です。

中国のは神獣・霊獣であり、『史記』における劉邦出生伝説をはじめとして、中国では皇帝シンボルとして扱われた。

西域系支配に戻しますと、その後の漢楚の攻防で初めて現地民族系国家が成立しますが、その後魏呉蜀の三国〜魏晋南北朝〜隋を経て成立した唐もどちらかと言えば・西域系の王朝でした。
五代10国を経て成立した宋が民族系でその頃から西域系というより北方系(モンゴル・清)が侵略の主役になってきます。
モンゴルの後の明朝が民族系で次に北方系の清朝になり清朝崩壊後の現在・・中華民国〜中華人民共和国へと異民族支配が交互に行われてきた歴史です。
異民族に占領された直後には、絶大な軍事権力構造に反抗する余地がない(・・これが専制君主制の本質)ので、漢民族を主体とする現地住民はこれを表面上受け入れながら文化力の優越に頼り時間をかけて懐柔する戦略でやってきました。
漢民族というか現地複合被支配層は「上に政策あれば下に対策あり」という面従腹背精神(中国特有の汚職体質も異民族支配に対する生活の知恵に由来するでしょう)で占領軍を共同体に取り込んできた結果、・・いかに強固な軍事国家でも数百年で軟弱化してしまい最後は大動乱がおきて追い出される繰り返しでした。
これを恐れた清朝は身を律すること厳しく最後まで風紀の乱れを起こしませんでしたが、外敵(英仏列強)に圧される弱体ぶりを晒したので、被支配層(いわゆる軍閥)がこのチャンスを狙って各地で蜂起した図式でした。
数百年ごとに起きる動乱を利用してその都度民族国家が樹立されますが、現地政権は原則として柔弱政権なので一定期間で周辺軍事国家に征服占領されることの繰り返し、交互関係でやってきた社会です。
この辺は後から来た支配層がその都度上位カーストになって来たインド社会と似ていますが、インドでは占領政府の内部崩壊による民族政府樹立したことがなく(戦後独立が唯一の例外?)いつも外敵に占領されてきた・最後に来た支配民族が頂点になる重層的支配構造になっている点が違うようです。

アメリカの民度構成と格差社会1

アメリカといってもひとまとめに馬鹿にしてはいけない・優秀な人は物凄く優秀で人格者も多くいる社会です。
象徴的な結果である肥満で言えば、皆が皆超肥満になっているのではなく富裕層・あるいはその出身階層ではスリムですし、オバマ大統領夫妻やトランプ氏の妻や娘や婿はスリムです。
米国は早くから生活水準が高くなっていたので高齢化率が高い筈ですが、どんどん貧困層が下流に入ってくるので、全体として膨大な貧困層が平均寿命(民度)を下げる仕組みになっているのでしょう。
低賃金労働力受け入れ政策は、賃金アップを抑える効果があるだけで国際競争力維持には関係がなく、最低賃金層の人口比率を増やし、格差社会化・国内分断をもたらします。
もともと砂粒の集合体に過ぎない合衆国で、次々と移民を受け入れたので余計分断が進んだと思われます。
仏独の高齢化率がイタリアより低いのは、移民大量受け入れ政策を採用したか否かに関係があります。

ドイツで増大する移民と経済への影響


・・・その多くは年齢が若く、低賃金で仕事を請け負うため、飲食業や宿泊業等のサービス業、建設業などの労働集約型産業では移民に頼らざるを得ない状況にある。・・・
ドイツは欧州一の移民大国
ドイツの人口は長らく死亡数が出生数を上回る自然減にあるが、移民の流入に伴う社会増が自然減を上回り人口減少を食い止めている(図表1)。ドイツ連邦統計局の人口統計(2016)によると、現在、ドイツに居住する外国人は約896万人で全人口8,243万人の約11%を占め、ドイツの外国人比率は他の欧州主要国と比較して最も高い。
・・・、ドイツで生まれ育った2世、3世が増え続けた。現在、こうした移民の背景を持つドイツ人を合わせると全人口の約23%に達している(図表2)。

図表2 ドイツの全人口に占める外国人の割合(2016) (出所:ドイツ連邦統計局より住友商事グローバルリサーチ作成)

上記のように2世以上になると23%も占めています。
ドイツに次いで英仏も(旧植民地からの)移民急増社会です。
イタリア経済が戦後ぱっとしなかったのは、手作りにこだわる国民性があって、(高級チーズや高級車など手作りにこだわる国民性です)大量生産社会化に乗り遅れたというか、独自文化にこだわるせいですが、(私も大量生産での勝負は、国際平準化を免れないので文化で差をつけるべきという持論です)その代わり低賃金労働者の移民受け入れ率が低いから平均年齢が上がるからではないでしょうか?
ただし、今回のコロナ被害が北部イタリアで大規模化したのは、北部は産業の発達した地域・かつ世界有数の観光国で国際的な人の出入りの多い地域という点でニューヨークと似たウイルス感染環境にある一方で、高齢者施設が発達している地域なので施設でコロナウイルス感染が起きると爆発的拡大により、多くの高齢者が犠牲になっている現代的側面があり、施設でのクラスター化を防ぐ必要性は日本でも参考にすべき点です。
観光・サービス業の発達した社会では、対面作業の多さ・・弁当をドアの外に置いていけば良いのではなく、にっこりしながら手渡してくれるほんのチョッとした心遣いが大切な国民性・・が距離を置くコロナ対策に不向きな点がありそうです。
この辺は日本にとっても気になる共通弱点です。
ドイツが比較的コロナ被害(感染者数比の死亡)が少ないと言われるのは、人口構成や産業構造・気質の違いもありそうです。
外出自粛で出勤しなくとも、自宅付近散歩中に知り合いに会えば喜んで話かけたい日本人が多いでしょう。
今朝も日々の習慣で自宅前の道路を履いていると、近隣に住む裁判所勤務の人が通りかかり、今は隔日地勤務で今日は自宅勤務の日なので8時なん分までに自宅に戻らないといけないという話を聞きましたが、このように出会えばアリンコ同士のようにしょっちゅう近づいて挨拶の必要な社会です。
無愛想な人の多い社会は、感染しにくいことになります。
何が幸いするか?一寸先側がわからないのが現実社会です。
4月21日には原油相場がマイナスに転落する瞬間があったようです。
https://www.sankei.com/world/news/200421/wor2004210021-n1.html

原油価格マイナス転落…相場低迷に打つ手なし 供給過剰長期化も
2020.4.21 14:06
貯蔵スペース、近く満杯
20日にWTIの5月渡し価格がマイナスとなったのは、余剰原油をためる貯蔵スペースが乏しくなり、市場で5月に受け渡されるWTI原油の買い手が事実上いなくなったためだ。

一定期間分の倉庫料分だけマイナスにしても早く手放したいのでマイナスで売りに出す理屈らしいです。
石炭と違って野積みにできないし、石炭の場合採掘作業中止すればすみますが、石油は自噴形式ですので採掘を止める訳にも行かないでしょう。
現地に垂れ流しにもできないし、えらい時代が来たものです。

地域格差と地方交付金制度1

地方税収と地方交付金比率等の現状紹介です。
http://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/hakusyo/chihou/30data/2018data/30czb01-03.html

3 地方財源の状況
平成28年度における租税収入及び租税負担の状況並びに地方歳入の状況は、次のとおりである。
ア 地方税
地方税の決算額は39兆3,924億円で、前年度と比べると0.8%増(前年度6.3%増)となっている。
地方税収入額の62.0%を占める住民税、事業税及び地方消費税の収入状況は、第14表のとおりである。
イウは省略
エ 地方交付税[資料編:第21表、第129表]
地方交付税は、地方公共団体間の財源の不均衡を調整し、どの地域においても一定の行政サービスを提供できるよう財源を保障するための地方の固有財源である。また、その目的は、地方公共団体が自主的にその財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を損なわずに、その財源の均衡化を図り、地方行政の計画的な運営を保障することによって、地方自治の本旨の実現に資するとともに、地方公共団体の独立性を強化することである。
地方交付税の決算額は、17兆2,390億円で、前年度と比べると0.9%減(前年度0.2%減)となっている。また、歳入総額に占める割合は17.0%(前年度17.1%)となっている。

上記の通り、地方税決算額約39兆円に対して約17兆の交付金ですから、格差是正用資金比率が大きい・・昨日2割と仮定して書きましたが、約3割であることがわかります。
本社の集中する東京都の税収が大きいままでは格差が広がり過ぎます。
地域格差是正のためには国税比率を上げて、格差調整資金として使うことになりますが、自治体の自主性との兼ね合いです。
シンガポールやモナコは、日本の地方交付金に当たる資金負担しないで周辺から吸い上げるばかりでうまいことをしていることになります。
古来から都市国家にした方がいいとこ取りで効率がよく、現在のシンガポールや香港などが突出的に一人当たりGDPが高くなっている所以です。
これに似た例がドイツと南欧諸国との関係です。
EUがなくドイツ単独通貨であれば、輸出黒字の積み上がりはドイツ通貨マルク高となり、輸出価格上がり輸出が減り、輸入品価格が下がるので国民が輸入品を安く買えるようになり貿易黒字にブレーキがかかるのが為替制度の仕組みです。
EUの通貨統合によりEU全体の貿易収支平均でユーロ相場が決まるためにEU全体で貿易収支が均衡していれば、ドイツ1国がいくら貿易黒字を積み上げてもユーロ相場が同じのままなのでドイツは為替相場による修正がなく国力以下の安い通貨のままで際限ない黒字を続けられ、EU域内の恒常的赤字国にとってはいくら赤字が続いても為替相場の下落がないので、赤字が自動的に修正されないまま・・弱小国・南欧諸国にとっては、競争力以上の割高通貨を強制される損な関係です。
この関係は日本でも地域や業種によって輸出競争力差があるのに車や各種工業品など競争力のある業界の大幅黒字の結果、円高になると弱い産業を抱える地域がもしも別の国であれば通貨が下がるはずのところ、同じ国に属しているために国際競争力の弱い地方農産品も車等工業製品の競争力を基準にした通貨との平均価格=日本全体の貿易収支によって決まる円相場で輸入品と競うことになります。
競争力の弱い農業しかない地域の通貨相場が下がるどころか、自分らに関係ない車の輸出が増えると逆に円相場が上がる関係になります。
このように見ると通貨単位は小さければ小さいほどその地域の実情に応じた国際交渉可能なので実は有利なことがわかります。
この後続けて都市国家の有利性を書きますがこの原理によります。

日系企業米国生産と格差社会化緩和2

米国の貿易収支が出超から入超に変化すると、その分国内製造が減ります。
金融収支的には、知財収入や所得収支で均衡が取れますが、知財収入や金融取引の儲けでは多くの国民の雇用が守れません。
ファッション産業等も同様です。
あるファション製品が、世界最大の売りあげを記録してもファッションクリエイター部門雇用はわずかで、ユニクロやアップルの最終製品加工工場の雇用が増えるのに比べればゼロ%台の比率にすぎないでしょう。
アップルが如何に巨大な儲けを叩き出しても、その生産が中国の巨大生産委託工場で生産され世界に供給している状況では、米国内雇用にほとんど貢献していません。
11月9日日経朝刊1面トップにはアイフォーンは部品や材料が地球と月の1往復分複雑移動して「最後に組み立てるのは従業員が100万人もいる中国広東省・深圳の受託製造会社だ」と書いています。
1工場で数万数千人が組み立てにラインに並ぶ深圳の工場規模の報道に驚いてきたのですが、100万人とは驚きです。
最終組み立て部門はこれと言う熟練技術不要で文字通り人海戦術の分野ですが、それだけに雇用吸収力は甚大→中進国や先進国の雇用減と裏腹です。
米国得意の製造工程簡略化によって、数世代以上に渡っての職業訓練・教育を受けてきたかの違いや文化レベルなど全く問題にしない・・人間であれば誰でもできる程度の単純工程が最終組み立て作業ですので、近代産業革命によって先進国から雇用拡大した流れの逆張り進行が始まったのです。
国内雇用政策で見ると米国企業が従来の輸出に変えて国外現地生産を増やしていくと戦後当初世界に輸出していた分国内生産が過剰→縮小になりますが、当初その程度の漸減ならばシリコンバレー等での新規産業創出でなんとかなっていたのでしょう。
その後日本ドイツの追い上げによる各種輸入が爆発的に増えると輸出が減るだけでなく、自国消費分まで国内生産が縮小していきます。
欧州は戦後復興しても欧州の国内需要を米国に食われなくなっただけで米国への逆輸出がそれほど増えませんでしたが、(ドイツの貿易依存率が高いと言っても欧州域内輸出が大半です)日系メーカーの場合対米輸出だけでなく、対東南アジア輸出はどんどん増えていき、その分米国内製造が激減して行く構図になってきました。
輸出が減るだけでなく国内需要まで日本に食われるようになって国内製造業縮小に直面した米国は、国内雇用減緩和的穴埋めに、日系自動車メーカーに対して米国進出を許容し誘導(強制)してきたことになります。
米国の貿易赤字分を日本や中国がせっせと米国債を買い求めて貿易赤字の穴埋め・ファイナンスしてきたのと同じ構図です。
米国は元々戦後10年前後経過時点から軽工業段階・・超低賃金労働向けの繊維系やおもちゃ生産分野の場合、直ちに自国内製造を諦めて低賃金国へ工場進出して逆輸入に切り替えてきたのですが、(対中関税制裁で困るのは中国で生産している米国資本の工場と言われる所以でもあります)重工業や車産業等のセコンド製品等の男性中心職場でそうは簡単に行きません。
一斉に構造変換・・大規模リストラすると男性の大量失業等の影響が大きすぎるので、政府としては国内企業の存続を図りたくとも日独に追い上げられて収益率低下する一方の事業を切り離したいのが米国企業価値観です。
自由貿易を錦の御旗とする米国は輸入制限する口実が見当たらないので、国内雇用縮小の穴埋めのため輸入先企業・日系企業に国内進出させて失われる雇用の受け皿役を担わせ急激な国内失業回避する戦略だったし、日本もあくまで自由貿易の大義違反と米国と正面衝突するリスクを冒す事もできないのでやむなく湯h捨数量制限と米国工場進出で妥協してきました。
低収益部門と化した自動車製造事業を日系企業に委ねて置いて米国自動車業界・ビッグ3はチャッカリ中国韓国等へ進出して高賃金の米国から逃げています。
https://response.jp/article/2019/02/07/318888.html

2019年2月7日(木)17時00分
GM世界販売12.7%減の838万台、キャデラックは7%増 2018年
市場別の2018年の販売実績では、中国が引き続きGMの最量販市場に。ただし、2018年は364万5044台にとどまり、前年比は9.8%減とマイナスに転じた。
中国に続いたのは、地元の北米だ。2018年は、349万0114台にとどまった。前年比は2.4%減と、2年連続のマイナスだ。

上記のように中国市場販売の方が米本国での販売より多くなっています。
そのGMが18年国内工場大規模閉鎖発表しました。
これが6日に紹介した長期ストにつながっているのでしょうか?
ただし40日間に及んだストが10月25日終結したというニュースが出ています。
GM苦境の紹介です。
https://jp.reuters.com/article/us-gm-analysis-idJPKCN1NY0OU

2018年12月1日 / 08:50 / 1年前
焦点:米GMの工場閉鎖、セダン需要不足にはそれでも不十分
[デトロイト 28日 ロイター] – 米ゼネラル・モーターズ(GM)(GM.N)は、26日に打ち出した北米の3カ所の完成車工場閉鎖と人員削減計画を実施しても、同社のセダンに対する需要と供給の落差は一部しか埋めることができない──。ロイターが自動車業界の生産・設備関連データを分析したところ、こうした結論が導き出された。
LMCのデータに基づくと、ミシガンにある「キャデラックATS」などを製造する工場と、電気自動車(EV)の「シボレー・ボルト」などを製造する工場の稼働率はそれぞれ33%と34%。スポーツカーの「シボレー・コルベット」を製造するケンタッキーの工場に至っては27%にとどまっている。
つまりこれら4工場は年間生産能力が合計80万台超に達するのに、今年は36万台しか製造されない見通しだという。
業界アナリストの話では、自動車工場の稼働率の採算ラインは一般的には80%前後。バーラ氏は26日、GMの北米地域の工場の場合、操業時間を延長しているSUVやピックアップトラックの生産施設を含めても70%だと明らかにした。

一方で4年前のデータですが、日本メーカーの米国現地生産台数は以下の通りです。
https://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_pol_seisaku-tsusyo20170129j-03-w420

15年は385万台と過去最高。米国の乗用車販売に占める日本車のシェアは4割を超すが、その6割は現地生産だ。日本メーカーは販売店を含め、米国で150万人の雇用を支えている。