周辺無視の都市国家3 (香港の場合2)

中国にとっての香港問題・一国二制度の約束を守るかどうかは領土問題のように一旦妥協すれば永久的効力のある問題ではなく、1国2制度の終了期間が国際条約で決まっているので、ここで無理押ししないで1国2制度の約束を守っても約束期間が満了すれば中国政府の自由になるので何らかの既得権が生じる訳でもなく次世代に負の遺産を残すリスクもありません。
一国二制度の国際合意を守り香港の民主制度形骸化を止めれば良いだけのことですが、米中問題の厳しい最中に何故こういうバカなことを始めたのか?
ここで引き下がると政治責任問題が起きるのを習近平氏が気にしているのでしょう。
習近平は米中経済対決・・のギリギリの攻防をしているこの微妙な時期に一国二制度期間満了前になぜ中国本土へ犯罪者引き渡しを強制する条例制定を迫ったのか?
これまで議会?立候補資格制限など一国二制度の条約無視・・条約当事国の英国が傍観するばかりで条約違反に対する国際世論も大したことがなかったので自信を持ったことが第一の原因でしょう。
南沙諸島に関する国際司法裁判所判決を「紙切れに過ぎない」と公言した上で埋め立て強行を続けても、米国は埋め立て工事現場近くの公海を航行する程度しかできない現実を見れば、強盗が来てパトカーを呼んでも強盗を追い出してくれず周辺を巡回する程度しかしてくれないのと同じです。
米国のぬるい出方を見て国際政治は正義よりも実力次第という態度を明らかにしたのがここ7〜8年の中国の対外姿勢です。
以後尖閣諸島周辺同様に公船と称する事実上の軍船を大量投入してはベトナムやフィリッピン漁船に体当たりなど繰り返しては横暴の限りを尽くしています。
海軍らしい海軍もないフィリピンやベトナムは切歯扼腕してもなすスベもないのが現状です。
このような状況下で味を占めた中国は尖閣諸島や南沙諸島侵攻を続けえても実効支配の準備を着々と進め国内ではウイグル族を百万人単位で強制収容して思想教育?強制するなどが始まりました。
これらと並行して香港でもなし崩し的に民主主義諸制度を形骸化させてきましたが、南沙諸島のフィリッピンやベトナムの抵抗同様に香港市民の抵抗はゴマ目の歯ぎしり程度で、中国にとってはなんともなかったので自信を深めた結果、安易にその延長上の政策実現になったのでしょう。
リーマンショック後の世界経済落ち込みに対して中国が巨額のインフラ投資によって、世界経済の底割れを防いだ貢献度を背景にした自信によって、その後4〜5年は日の出の勢いの様相でした。
10〜11年の反日暴動や尖閣諸島への実力行使、続いて南沙諸島海域全体の領有宣言とその実力行使としての公海での埋め立てと軍事基地構築の実力行動、一帯一路計画に対する日米の難色を尻目に強行したところEU諸国が相次いでこれに参画するなど当時の中国は日の出の勢いにあったことで香港住民にとって不利な国際環境下にあった影響もあります。
世界の中国依存度が急激に高まった時期でした。
メルケル首相の中国訪問10回ほどに対してニッポン訪問がその間たったの1回で短時間という批判があったのがこの時期でした。
そのニッポン訪問も中国の成長限界がなんとなく見え始めた後のことで、それまでは中国一辺倒の姿勢でした。
ドイツの誇るフォルクスワーゲンの国外販路の中心が、中国での優遇・中独蜜月によるものだったからです。
https://response.jp/article/2018/04/17/308627.html

フォルクスワーゲングループの2017年の中国(香港を含む)における新車販売台数は、過去最高の418万4200台。前年比は5.1%増と、2年連続で前年実績を上回った。2018年第1四半期は、合弁2社を合わせて、中国乗用車市場のシェア1位を維持している。
年間販売台数約1000万台あまりの内、中国市場が約半分近くを占める突出ぶりでした。
中国としては、反日行動で今後産業のレベルアップは日本からの技術導入に頼れない穴埋めはドイツに頼れば良いという計算でニーハオ外交でしたので、ドイツはこれに気を良くしていた時代でした。
環境も人権も過剰聖戦いよる世界の迷惑も顧みない横暴な生産(鉄鋼などの赤字輸出)で、生産量の増加ばかり自慢して有頂天になって天狗の鼻になっていた中国に冷水を浴びせたのが、人がまともに呼吸できないほどの空気の汚れでした。
人民無視の中国も空気の汚れは支配者・特権階層にも平等に影響がありますので、流石にこの状況を放置できなりました。
環境問題分野では、ドイツに対して日本に一日の長があるのとドイツ人は日本のように親切に教えないので技術移転が進まなかったらしく徐々に対日ニーハオ外交に転じたようです。
同時期16年夏ころの株価急落以降・要は中国の無駄なインフラ投資の限界がきた・・中国の新車販売数がこの1〜2年頭打ち〜前年比減が続くようになり、落日が迫ってきたので中国べったりだった西欧が再び中国と距離を置き始めました。
南シナ海での埋め立てに異を唱えるなどこの数年中国に遠慮しなくなってきました。

https://jp.reuters.com/article/china-autos-idJPKBN1WT15H

2019年10月14日 / 18:38 / 1ヶ月前
[北京/上海 14日 ロイター] – 中国汽車工業協会(CAAM)が集計した9月の自動車販売台数は前年比5.2%減の227万台だった。9月は販売が盛り上がる月のはずだが、15カ月連続の減少となり、年後半の回復は期待薄となった。
8月は6.9%減。7月は4.3%減。2018年は1990年代以来のマイナスだった。景気減速と米中貿易戦争が自動車市場に影を落としている。

国内需要無視の闇雲なインフラ投資の限界がきたのと同様に環境無視の無茶な増産の結果
北京の空気は汚れに汚れ、市民はまともに呼吸すらできないようになったので流石がの市民無視の中国も環境対策に乗り出さざるを得なくなったのも同時発生でした。
色んな咎めが集中的に吹き出してきたのがこの数年です。
環境問題では世界最先端技術を誇る日本とよりを戻さざるを得なくなった中国は徐々に対日ニーハオ外交に転じました。

発展を急ぐ社会3と文化

欧米価値観では、在任期間が長かったことや、非合法に会社資金流用していたとすればそのことだけが批判対象でしょうが、日本価値観ではコストカット=容赦なく切り捨てる経営自体が上に立つ者がやってはいけない暗黙の合意のある社会です。
せいぜい許されるとすれば、日産の危機回避のためにやむなくとった非常手段としての位置付けですから、一段落したら整理の責任者が元社員を訪ねる陳謝の行脚をしなければ許されない・「辛い思いをさせましたが皆様の犠牲があって、今企業が立ち直れました」・・)風土です。
こういう風土ですから「身を引いた人たちの犠牲の上にある」という意識・・今の繁栄が自分の手柄のように自慢するようなことが許されない社会です。
(毛利や上杉が所領大幅減にも関わらず家臣団をそのまま維持し続けたことが美談として伝わる国がらです)
ゴーン氏が豪奢な生活をしていたとなれば国民感情として納得できない・・単なる義理も人情も弁えない「コストカッターだっただけでないのか?」
という激しい評価(日本人は慎み深いので表明されませんが・・)になりました。
欧米価値観からは、「いい事をしたのに日本人から感謝されていない」のは理解不能でしょう。
平成天皇がアジア各地の戦跡をめぐる鎮魂の旅も「今日本人の多くが豊か生活を謳歌できているのは戦陣に倒れた多くの御霊による」「安心してくだい」という報恩の旅でもあったでしょう。
粗放経済・・製造現場は流れ作業.小売業はスーパーやコンビニでは商品知識よりは陳列の合理化だけが重視されるようになると「非正規だから」技術の伝承が途絶えるのではなく、ちんれる作業やレジ打ち作業員を正社員にしても商品対するうんちくが高まることはありません。
アメリカでは もともと書店や喫茶店オーナーがうんちくを傾けるような新たな文化を発酵させていくような人材がいないからこそ、これが成り立ち誰も不満に思わないのでしょう。
発酵と腐敗とは違いますが・・・アメリカ人の多くは時間があれば「発酵」せずに「腐敗」方向に行くのかもしれません。
「小人閑居して不善をなす」と言います。(君子必慎其独也,小人閑居為不善)
日本人からアメリカ人を見れば凝ったものなど理解不能・・安もの好き国民性印象になる所以です。
流れ作業をこなす程度の仕事→全自動化が行き着くところ、アメリカが大量に抱える非熟練労働者レベル・・さしたる訓練のない新興国や消費地でも生産可能になったので、アップルに代表されるようにほぼ全て新興国へ生産移管してきたので米国が汎用品の世界生産基地でなくなりました。
低賃金あるいは工程簡略化に頼るビジネスモデルの場合、そのモデルさえ利用すれば(流れ作業の手順をこなせればいいのですから)ちょっとした訓練さえすれば、どこの国でも生産ができるようになります。
工程簡略化・・関与人員削減の場合、従来1000人で行っていた仕事を500人〜100人へと減らす工夫でしかないのですから、その結果余剰になった人員をどうするかの知恵がいります。
この工夫・受け皿なしに人員削減ばかりで切り捨てて行くと切り捨てられた人材がどうなるかです。
関ヶ原の結果、大規模に領地縮小した毛利や上杉家が、縮小した財政力で元の家臣を養ってきたことが知られています。
勝者となった徳川方の大名も戦闘員としての武士が不要になっても武士を放逐しませんでした。
武士自ら有能な官僚や文化人に変身していったし、(芭蕉も酒井抱一も元は武士で平賀源内は足軽です)農工商分野でも効率化によって生まれた余剰時間を精密農耕化していったし・・作庭〜盆栽その他手間暇かけた文化・・浄瑠璃〜歌舞伎〜俳句、狂歌/川柳への発達、大和絵から浮世絵〜工芸では漆器(手間のかかる蒔絵など)や細工物など衣類では、友禅染などを育てる歴史でした。
アメリカ人の多くは効率化一辺倒で、効率化によって浮いた時間を文化創造等に転化する能力がないように見えますがいかがでしょうか?
日本は過去の文物の修復技術に情熱を燃やすひとが多くそのレベルも世界一級ですが、アメリカでは用済みにならば「ぶっ壊す」ばかりのようです。
日本企業はアメリカのご機嫌をとるために現在アートを重宝がるしかないとしても、見に行くと着想(思いつき?)主義で修練というものを重視しない印象を受けます。
アメリカ流の品種改良・F1の草花は、いくら大事に育てても次世代の花は咲かないし改良にも適しません。
スクラップアンドビルドの精神・・・不要になった人員の解雇・切り捨て文化です。
日本では社内教育が盛んですが、底上げ努力しないで切り捨てに特化していると、新興国がローエンド製品を製造するようになると先進国の同レベル人材は製造現場から弾かれます。
新興国並みの生産性しかないローレベル人材をどうするか?・・過去大量に仕入れた?移民が重荷です。
アメリカはこの数年シェールガスで元気を取り戻したように、資源国としての生き残り程度が能力相応?になってきたのを見ると、建国約200年でメッキが剥げてきたようです。
生産基地の新興国展開が始まった結果、アップルで言えば全量中国生産になっているように国内ローエンド製造業が壊滅とまでは言わないまでもお荷物になったのは間違い無いでしょう。
腕力に任せて「米国内生産しないと許さない」というので、トヨタや日産など日本勢は米国内生産・旧来型労働者の雇用確保に協力していますが・・言わば第二次奴隷解放・低レベル労働者の放逐が始まったことの隠蔽・ごまかしでしかないでしょう。
米国に本籍のある企業の場合は、アメリカ社会の本質を知っているし、選挙権者でもあるので政権による脅しなど怖くないので、気楽に米国内生産に見切りをつけてさっさと国外生産移転を進めています。
自分らは安い賃金の国に進出して儲けられるだけ儲けるので、割高賃金雇用を任せるよ!・・トランプのババ抜きのババを「外国資本に引き受けさせれば良い」というのが、彼らの目先損得勘定でしょう。
その代わりゴツく儲けたお金(の大部分はタクスヘイブンに隠して?)の一部を寄付するから・・と言うのですが・・こんな身勝手な企業経営者を国民が許すしかないほど国民が弱いのです。
日本のような愛すべき国民はいない・搾取対象の人民しかないと言うことでしょうが・・・。

発展を急ぐ社会2(アメリカの場合)

奴隷といっても3月1日書いた通り生存保障が前提でしたから、(牛でも馬でも死んだら元をとれません)奴隷廃止=保障なしに放り出せばいいのでテイのいい終身雇用の切り捨て政策だったことになります。
GMが過去の退職者に対する年金債務の重圧に耐えきれずに破産申請して身軽になったやり方と似ています。
「奴隷解放」とは言うものの終身養ってくれる前提で何の貯蓄もなく(賃金がないのですから貯蓄ゼロは当然です)文字も教えられず生きてきた奴隷が、奴隷解放の名目で無補償で露頭に放りだされた場合、彼らにとっては実は大変なことだったのではないでしょうか。
発展中の近代工場労働に転職できた人もいたでしょうが、何の教育も受けない元奴隷にとっては多分ごく稀な例で、大方の元奴隷にとっては単純に野に放たれた状態となります。
長年飼っていた牛馬や犬や猫を生物皆平等といって「解放すべし」と言って単純に野に放てば多くの犬猫ライオンその他動物は飢え死にします。
いきなり元のアフリカの大地に大量に戻しても、餌を取る能力退化もあり大量死が待っているでしょう。
人間だって同じことで母国と縁が切れて何十年もたった人が母国に帰っても生活基盤がありません。
奴隷解放するならば1世代以上の期間をかけて次世代の職業教育してからにすべきだったでしょう。
なぜそんなに急いだのか・西欧に一刻も早く追いつきたい焦り・この辺は中国も同じです・が社会の変化をゆっくり待てない心理だったのでしょう。
中国も米国も産業構造高度化に取り組んでも高度産業に対応できる労働者がゴマンといるから心配ないということでしょうが、仮にそうとしても社会には表通りと裏通り・高級品〜中級品〜最低の形だけのものなどを売る店のように雑多な混合が必要です。
支配層や産業資本家としてはどんどん近代化し、適応できない従業員を切り捨てれば良い・・・ローエンド製品しか関与できない人材には最低賃金を引き上げて対応すれば良さそうですが、ハイエンド製品対応社会になると物価があがるので最低賃金を少し引き上げる程度では、まともな生活ができなくなります。
高級住宅街や高級ショップの並ぶ商店街は底辺層に住みにくい地域になる一般的現象を見てもわかるでしょう。
そこで最低賃金を引き上げという発想になるのでしょうが、時給900円を1000円にしたところで一泊数万〜5万円以上のホテルに泊まる身分になれない点は変わりません。
逆に生産性以上の賃金にすると採算性の悪い商店などがバイトを雇えなくて廃業してしまい、アルバイト先がなくなってしまう弊害が起きているのが韓国です。
韓国文政権による最低賃金引き上げによる零細事業の閉店ラッシュ・失業増加です。
奴隷解放とか急激な近代化より、徐々に産業構造・労働者が入れ替わって行くのを待つ方が無理がなかったように思えます。
性急な社会変化がその後もアメリカ社会変化の常態になって現在に至っているように見えます。
一定レベルに達したらその次のステージ・・じっくり文化を育てる能力がないのを開き直って変化の速さを自慢してきたようです。
功成り名を遂げたら次は文化に勤しみ楽しむのが日本の価値観ですが、アメリカは成金になれば、文化に勤しむのではなく、追いかけてくる新興成金にせっかく掴んだ成金の地位を脅かされるのが怖い・いつも「前年比成長」していないと気が休まらない社会です。
何かある都度「変化の激しい国際社会」に乗り遅れるという説明が日本知識人?の基本意見・立場ですが、変化が激しいのは文化を楽しめるようになるまでの過渡期・病病理現象でないか?という意識がないのです。
敗戦で焼け野が原にされた結果やむなく国民一丸になって「24時間戦えますか!」のフレーズでむしゃらに復興に努めてきただけのことで、ここらで一息つき独自文化を育むべき時期がきた・これが平成の時代であったというのが私の価値観であり、いつまでも前年比何%成長にこだわるのは恥ずかしいことです。
個人でいえば若い時には寝食を忘れて稼ぐのも良いですが、一定の成功を収めたら事業拡張一点張りから家庭生活・文化を楽しむ生活に切り替えるべきというのが私の持論ですし、わたしの家庭はそのようにしてきました。
繰り返し書いていますが、平成の時代は失われた20年ではありません・・落ち着いて身の周りを振り返るべき時がようやく戻ったよき時代です。
余剰人員が出る都度放り出している社会では、放り出された落ちこぼれが大量に排出されます。
・・飢えた猛獣がたまに人を襲うように黒人のための技能習得政策なしに大量放置すれば治安が乱れ、黒人への不満が高まる悪循環でした。
「犯罪率も高いし黒人差別されるのは当然」という差別擁護論も起きてきますが、なんの教育もせず動物のように育ててこき使った挙句にいきなり放り出す方が悪いのです。
奴隷解放後もアメリカの産業構造はベルトコンベアー方式に代表されるように熟練の技を求めず大量生産・粗放農業による低価格出荷競争が主眼でした。
熟練の技では歴史の長い出身母国と競争できないので非熟練者の有効活用を狙った点は、新発見でした。
アメリカの成功以来、世界中が組織内での訓練によるレベルアップ競争よりも、(1時間に10個作れるひとを15個作れるように訓練するよりは)作業手順の分解・分業の合理化でトータル同じようになるならば安い人件費で済む)方が競争原理上有効という価値観が世界を支配するようになります。
熟練工や手の込んだ高級品質を求めず「低レベル労働者を安く利用して中間レベルの製品を大量に安く生み出す」工夫に重きを置いてきた歴史というべきでしょう。
小売業でもスーパー方式の開発でコストカットし、今でもスターバックスやマクドナルドなどレストランその他チェーン展開による大量出店(質より量)で稼ぐ本質です。
今飛ぶ取り落す勢いのアマゾンでも、要はより良いものを作る能力を売り物にしているのではなくビジネスモデルの優位性・・ネット通販による大量収集した顧客情報分析による売れ筋把握→売れ筋商品投入の速さを囃しているにすぎません。
最近刑事事件として脚光を浴びているゴーン氏の功罪は、短期的コストカッターとしての役割を果たしただけで、その後必要な新たな価値創造能力がなかったのに、その後も君臨し続けたことが白日のもとに晒されています。

発展を急ぐ社会1(中国の場合)

中国はいわゆるチャイナプラスワンによって国内経済成長失速が怖くて、焦って次々と次のレベルに突き進んでいるように見えます。

まだ使える機械類をもっと性能の良い機械に変える・・先進国がこれを行うときに、機械の場合には中古機械を後進国へ輸出すれば除却損を低減できますし・輸入国は高額投資しないで済むので中韓等が日本で陳腐化した最先端に近い半導体装置等を二束三文(日本企業としては持って行ってくれるだけでも廃棄コストが浮く)で入手して急速に生産を伸ばした事業モデルでした。

一般に知られているパターンでは、日本で古くなった電車車両等を後進国へ無料で提供しているのと同じ考え方です。機械と違って人間の場合、途中でいらなくなったからといって、タダでよその国へ押し付けられない点が違います。早く労働者を回転したいのに先進国より逆に高齢化のスピードが早いのが新興国の流れです。https://ecodb.net/exec/trans_image.php?type=WB&d=LE00IN&c1=CN&c2=JP&s=&e=(世界ネタ帳)からの引用です

改革開放開始直後には平均寿命が67歳前後だったのが、16年では75歳を超えていて日本との差が約10歳から7歳前後に縮まっています。
https://spc.jst.go.jp/event/crc_study/downloads/study63.pdfによる中国の労働者の学歴分布です

上記によると求職者に占める中卒求職者の比率が200年で73%、2010年でもまだ4割を占めています。
20年後の2020年でも35歳労働者中で、中卒が73%、25歳の中卒40%です。
この膨大な中卒労働者が高度産業従事者にいきなり変身できるはずがありません。

社会の安定的変化には1世代以上の時間軸が必要ですが、この時間を待てない新興国が米国であり中国のようです。
中国の政治家は産業レベルの変化に付いていけない彼らの失職後=老後?をどうするかの展望がないママ・・・国民が次のステージに備えて十分な力を蓄えないうちに次々と産業のステージを引き上げて行くのに必死ですが、取り残される彼らの生活をどうするつもりでしょうか?
多くの新興国が「中進国のわな」段階で足踏みしている・・最低賃金をむやみに引き上げないのは、「無理しない方が良い」という相応の理由があるのです。
https://spc.jst.go.jp/event/crc_study/downloads/study63.pdfからの引用です。

中国の人口変動と労働市場の構造変化
厳善平(同志社大学)2013年8月29日(木)

上記は13年までの統計ですがhttps://www.jetro.go.jp/biznews/2018/06/c29d7cd2530c6ef1.html2018年06月27日によれば、18年6月から深センでは月額2200元ですから、13年1620から25%くらい上がっていますし、時給も20、3元ですから、日本の千円前後の2倍になっています。

急激な引き上げによってチャイナプラスワンが進み、深圳等の万単位の工員を使って大量縫製していた工場がガランとしてしまった状況が映像報道されていました。
(バングラ等が今や大量生産基地になって久しい状況です)
現時点でもどんどん海外移転が進んでいます。
以下は中国企業自体の海外移転事例です。
https://diamond.jp/articles/-/179226?page=3

 

2018.9.10
深センで始まった工場移転、「世界の工場」を襲う人件費・家賃高騰
東莞からアフリカへ 5万人規模の工業団地を

このように最低賃金を引き上げると自国企業でさえ低賃金を求めて工場移転してしまうのですが、それに対し開き直って、ローエンドからハイエンド製品への産業構造変更・先進国が応じないならば自国開発を宣言したのが中国です。
そこらの後進国とは民度が違うという宣言です。

債務膨張と債務負担部門1・中韓

債務問題はどの部門で債務が大きいかはミクロの問題であって、マクロ的にはその民族全体で対外債務がどうなっているかが重要で、債務をつけまわす場所の違いでしかないというのが長年の私の持論です。
(日本の財政赤字問題は部門別問題に過ぎず、個人金融資産は巨額で、国家全体問題ではない・・江戸時代に幕府財政は火の車でも、農民や町人は豊かに各種文芸を楽しみ、爆亜mtに来日した西洋人が驚くほど社会が高度に発達していた歴史を見れば明らかです。)
国家全体の対外債務によっては、ベネズエラやアルゼンチンのようなハイパーインフレが襲います。
中国の場合、リーマンショック後の財政出動を地方政府にやらせた結果、地方政府が(土地バブルを煽って?)融資平台(シャドーバンキング)利用の債務膨張→不動産バブルが終わって苦しむようになると、この数年採算度外視の鉄道建設に象徴されるようにインフラ投資で国内景気維持に必死になっていた結果この赤字のつけまわし・・、国有企業にこの役割を押し付けて・いわゆる一帯一路政策もこの延長です・・不良債権の積み上げが行われています。
一帯一路計画の一環・スリランカの港湾設備工事の費用をスリランカ政府が払えない→代金支払いの代わりに中国政府が港湾経営権を99年間の運営権獲得したのは「新植民地支配」高利貸し商法」と評判が悪いですが、中国国内経済で言えば、インフラ投資経費を国有企業に押し付けてこの債務を株式化してごまかすやり方と同じ発想を外国政府相手にやっているのではないでしょうか。
中国は古代の原初から民族国家ではない・商業基地・城壁で囲まれた都市国家を未開の地に転々と飛び石状に展開してきたなりたちであることを、このコラムで連載してきました。
この性質上、政府と支配下民族の一体感が元々ない(夜襲されないように日暮れとともに城門を閉め鶏鳴によって朝城門を開く仕組み)ので、(城外の)被支配民族も好きなように国外逃避・・・いわゆる華僑として未知の世界に移住していくことに何のためらいもない民族性です。
こういう国では、国内でどの部門が資金を蓄え、どの部門が債務を負担するかは極めて重要です。
中国では中央政府と地方政府は一体感がない・中央は地方に債務負担を押しつけて中央政府の財政が健全であることが、中央政府の強みになっています。
チベットやウイグル族に対する残虐な弾圧を平然と実行できる所以です。
政府と国民の利害対立論理(中央地方の一体感の差)を日本に当てはめて「中央政府の赤字」を騒ぐのはナンセンスと言うのが私の持論です。
中国式支配構造の歴史に親しんできた韓国の債務負担構造がどうなっているかを見ておきましょう。
https://japanese.joins.com/article/j_article.php?aid=242355

昨年の韓国家計負債増加速度、世界3位
2018年06月18日09時58分[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
収入よりも負債が急速に増加したことにより、昨年の韓国の家計負債は主要43カ国中3番目に大幅に増えた。家計負債増加速度は処分可能所得の増加速度の1.6倍であることも分かった。
17日、国際決済銀行(BIS)と韓国銀行経済統計システムによると、昨年末の韓国の家計信用(家計の借金)は家計処分可能所得(所得から税金・年金費用などを除いた金額)の159.8%を記録した。これは1年前に比べて5.2%ポイント高い水準だ。
政府の規制にもかかわらず家計負債が大きく増加した。昨年の家計信用は108兆3000余億ウォン(8.1%)、家計処分可能所得は39兆3000億ウォン(4.5%)増えた。処分可能所得に対する家計信用比率は過去3年間で23.4%ポイントも上昇した。
日本の個人金融資産を比較しておきます。
https://jp.gdfreak.com/public/detail/jp010501004020111045/1
なぜかグラフのコピーができませんが、
https://www.nam.co.jp/market/column/trend/2018/180703_2.html記載の以下の数字は上記政府発表数字と同じで正確です。

2017年度末の家計の金融資産残高は、1,829兆円となり年度末の残高としては過去最高となる。

日本場合、政府財政赤字が進んでもそれ以上に個人金融資産が増えています。
https://www.mof.go.jp/jgbs/publication/debt_management_report/2017/saimu2017-3-ho.pdfによると平成28年度末普通国債発行残高は8,305,733億円です。
この海外保有率をhttps://www.mof.go.jp/jgbs/publication/debt_management_report/2016/saimu2016-1-3.pdfで見ると約10%です。
メデイアしきりに「債務を次世代に残すのか!」といいますが、9割は国内保有ですから国民がその債権を相続するので世代的には差し引きほぼ同じです。
企業保有分は・たとえばトヨタの株主に外資も混じっていますが、結果的に個人金融資産合計が国債発行残高より多ければ、イザという時にはハイパーインフレでしょうから、政府に貸し込んでいた人が損をする・・だけです。
極端な話、99%を外資に買ってもらっていて国民がその何倍も外債を保有しているときにハイパーインフレで国債相場が額面100分の1に下がった?時に外債を売って日本国債を買えば国民が儲かります。
この辺の流れを以前書いたことがあります。
要は税金で国費を賄わないで「国民に借りたことにして」賄っているのですから、貸したつもりの債権がイザという時の帳消しになる・・税に変わるだけのことです。
国民個人金融資産は1829兆円ですから(外国人保有分を値下がりしない状態で次世代が買い戻しても)1000兆年円あまります。
日本は国民の立場が強い・・国民を大事にする国であることが、数字で現れています。
国民を借金まみれにして苦しめておいて、政府だけ黒字では意味がないでしょう。

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