都市国家(天守閣復元と地域密着度)2

四国各地は、秀吉の四国征伐後に入封した大名(蜂須賀家や)関ヶ原で敗軍の将となった長宗我部氏の支配地であり、主に関ヶ原後に各地に徳川家の論功行賞によって大名家が入ってきて支配した・・地元民信条としては徳川体制下での反徳川機運の強い地域だったことになります。
特に高松城は、全国的に知られた大規模な天守閣が自慢のようですが、自慢の天守閣なのになぜ今だに復興できないかをネットで見ると、もともと地元に保存意欲がなかったようで、明治に入って解体されてもともとなくなっていたもので、米軍空襲によって無くなったものではないようです。
入封した大名家は、四国の抑えとして徳川一門松平氏の入封によるもので、もともと敵地占領支配の象徴的役割を担っていたので現地民に威容を示す必要から天守閣もご大層なものにしたように見えます。
山内一豊の場合、掛川から土佐への移封後長宗我部遺臣のいわゆる一領具足が怖くて、何年も領地入りできなかった故事が有名ですが、山内家だけでなく四国中の大名家全部が占領軍の気分そのままで地元民敵視・警戒のままで、幕末まできたような印象です。
そういう目で見れば、徳島の蜂須賀家も秀吉の四国征伐の恩賞でもらったもので地元自然発生的武士団ではない・・徳島に行っても城跡があるのみで、天守閣が復元されていません。
よそ者支配といえば、和歌山城も徳川御三家でよそ者ですが、現地地生え大名を滅ぼしての入封ではない点の違いでしょうか?
徳川家家臣団が付いてきたでしょうから、支配層上部は地元代表の武士団でないものの、紀ノ川平野は根来寺や高野山領など宗教系支配地が入り組んだ地域で(雑賀衆、根来衆という戦闘プロ集団が有名ですが・・)地生えの戦国大名=一円支配大名が育たなかった?結果、国規模の支配層がいなかった空白地に入り込んだので平和裡に入れ替われたのかもしれません。
地元小豪族の乱立状態のお国入りの場合、佐々成政の肥後国支配の失敗の例にあるように、地元小豪族・国人層との折り合い能力にかかってきます。
上記のように紀伊家の領地は複雑な地域を包含した特異地域でしたが、(穀倉地帯の紀の川沿いだけでなく、紀伊半島全体で見るとほぼ海外線中心ですから、産業的には九鬼水軍を筆頭にした漁業専門地域で、陸戦向けに特化している三河武士団にとって最も不得手な産業構造の地域です。
にも関わらず現地融和が進んでいたのは、多分紀伊家初代以降の政治力が高く地元融和に成功したのでしょう。
「てんてん手毬の手がそれて・・紀州の殿様お国入り・・・・」の童謡が知られるように、敵意に囲まれてのお国入りではなかったのでしょうか。
子供の頃になんとなく耳に残っている童謡を思い出してここに書きましたが、念のためネット検索して見ると意外に新しいようです。
毬と殿さま   作詞 西條八十  作曲 中山晋平
とわかりました。
昭和4年の作品らしいですが、戦後全盛期だった作詞家ですから、子供の頃から耳に残っているわけで、江戸時代からの地元民の気持ちを表すとは言い切れませんが、東京生まれの西條八十が、紀州の殿様と手毬唄をどういう時代考証あるいは直感で?結びつけたか不明ですが、人口に膾炙するような童謡の詩にしたのは、紀州の殿様に対するなんらかの好感度があったのでしょうか。(全く根拠ありません)
日本では異民族支配を受けたことがないので、上は天皇から下は路上生活者まで同胞としての一体感は古代からのものですが、西洋では民族国家概念はナポレン戦争に始まる新しい概念にすぎません。
日本書記の仁徳天皇の「民の竈」を気にかけた故事は事実かどうかが問題ではなく、その時代の書物にこのようなことを気にかけた人徳のある方であったと書いていることが、こういう人こそ「帝王の鑑みである」とする価値観で編纂されている・民族的価値観の基礎が古代からあるという事実です。
これが平成天皇が重視した同胞意識・・絆重視の姿勢につながっているのでしょう。
明治憲法前文も似たような趣旨・・・祖宗ノ恵撫慈養シタマヒシ所ノ臣民・・で貫徹しています。
大日本帝国憲法
朕祖宗ノ遺烈ヲ承ケ万世一系ノ帝位ヲ践ミ朕カ親愛スル所ノ臣民ハ即チ朕カ祖宗ノ恵撫慈養シタマヒシ所ノ臣民ナルヲ念ヒ其ノ康福ヲ増進シ其ノ懿徳良能ヲ発達セシメムコトヲ願ヒ又其ノ翼賛ニ依リ与ニ倶ニ国家ノ進運ヲ扶持セムコトヲ望ミ・・・

ナポレオン戦争以降は近代植民地(市場獲得)戦争に勝ち抜くための総力戦には支配対象であった土民の協力が必要なので、単なる支配対象ではない・民族一緒にがなバルという掛け声が必要になり、民族意識を便宜上持ち出し利用してきたに過ぎないので未だピンと来ない人が多い・・希薄なのでしょう。
この代表格で、まだ民族国家より地元中心意識が強いのがイタリアというイメージです。
現在のEU設立は過剰民族国家意識緩和のための揺り戻しではないでしょうか?
この視点で見れば、13日英国の総選挙で保守党大勝→ブレグジット・EU離脱条件取り決めないままの離脱が現実化してきましたが、ナポレン戦争以前から島国の関係で大陸諸国より早く民族性が形成されていたイングランド(同じキリスト教社会に入っても国教会をローマ法皇から独立させるなど)では、もともと民族意識強固なのでこれに我慢して付き合ってきたが、我慢の限界がきたということでしょう。
離脱するための事前交渉がまとまるかどうかに関わらず早く縁を切りたいのが、保守党支持者中心であり、EU残留に色気があるのが労働党というのは、世界市民意識の強い革新との違いがはっきりした選挙結果です。

市民・・都市国家から地球市民へ1

都市国家成立の場合、商人の進出先現地との文化・治安水準の隔絶的格差を前提にしています。
日本の「市」は、同一民族間の地域特産品物の交換・不足品交換前提の市場から始まっているので「市」が常設されるようになっても、市内外の文化格差がないので市の内外を仕切る必要がありません。
千葉県の八日市場市(平成の大合併で匝瑳市になりJRの駅名が残っています)も内外を仕切る城壁はありません。
千葉県の勝浦その他全国に残る「朝市」を見ても同じです。
商品販路先での駐屯地で一定の日常生活を居住人口でまかなえる程度の規模になると英語の場合CITYというようになったのではないでしょうか。
(都市国家成立時の表現に、英語を語源であるかのように使うのはおかしいですが、今では英語が西洋標準語的言語になっているので西洋の代表言語として英語を利用しているだけです)
日本では飛鳥時代に三輪山の麓に開かれた海柘榴市が有名ですが、市場が常設化して大規模集落に発展する前に首都機能が先に発達したのでみやこを意味する「都市」と言いますが、CITYを「都市」と翻訳するのは、「人が多いところ」という結果をいう意味では正しいですが、成り立ちをいう言葉としては同じではありません。
本来は「市」の漢字1つが正しいのでしょうが、日本語は二音ないと落ち着かないところがあるので、商品交換の場を「市場」と言い、都市そのものの表現と言い分けるのは、人の集まりからの発展には「市場」からの始まりと「都」からの始まりの2系列があり、結果的に融合していったからでしょう。
中韓では漢字一つが市の表現ですが、日本に来ると金さんが金田とか金本のように二字に変えるのが普通です。
単に「市」=「し」と発音するのでは意味不明なので、接頭辞でも良いから何かくっつけて二文字にしたいのが日本人です。
京だけでは落ち着かないので京の都とか京師とか言うのが普通です。
みやこ以外の市街地・・日本では城下町(城の外の街)に対し中国的意味では要塞で囲まれた場所を前提とするので城市となるのでしょう。
都市国家社会では城壁に囲まれた状態になっているのが普通で、日がくれれば城門を閉ざし、夜明けと共に城門を開けるのが一般化していたので、中国の鶏鳴狗盗の故事になるのです。
市街を守る城壁は周辺住民を敵視し、内外を画する目に見える線引きだったのです。
市の内外境界を目に見える頑丈な隔壁で仕切る社会の場合、入城鑑札取得できるフリーパスの地位獲得どころか、市民の仲間入りが認められることが、この上ない特権獲得になります。
日本で言えば、取引先企業本社にフリーパスで入館できるどころか、そのビル内に一室を与えられるような待遇です。
欧米かぶれの文化人が何かというと「市民権」「市民感情が許さない」など市民代表的主張をする所以です。
定役で囲まれた市の外側にいるのが人民となるのでしょうか?
市民と人民の違いについてはこの後で書いていきます。
我が国でも左翼系教養人が何かあるごとに「市民が・・」と表現するのは欧米系熟語を使うことが教養人を示す「しるし」になるからでしょう。
日本の都市は農業集団間の産物・情報交換の場・市(古代の海石榴市・・ツバイチなど)から始まり、市の立つところに街ができたのではなく、人の集住する場に市をたてた方が効率が良いという逆方向の発展を遂げたように思われます。
今でも、欧米流アウトレットモールとか郊外立地の大規模モールの運営用法は、何もない空き地に「市」を立てそこに客を呼び込む方法ですが、日本の場合、もともとは門前町や城下町、戦後は駅前商店街などから始まるのが原則です。
都周辺〜門前町〜各地城下町〜工業化が進むと企業城下町〜港湾都市等の成り立ちですので、周辺住民の習俗行事等の凝集地域・・地域住民習俗の表現の場であり地域の気風を表す象徴ですらあり、商人と購買層は対立関係ではありません。
お城はその地域社会繁栄の象徴であり支配の象徴ではないので、空襲で各地のお城のほとんどが消失してしまったのですが、戦後復興が軌道にのると各地お城の天守閣復興の動きが優先的に?始まったのはその象徴です。
例えば和歌山城天守で見れば以下の通りです。
http://www.wakayamakanko.com/sightseeing/history1.html

和歌山城天守閣
白亜の三層の大天守閣。虎伏山の頂上に位置し、市街地を四方に見下ろすことができ、大パノラマが広がります。
現在の天守閣は、戦災後の昭和33年(1958)に再建された

国全体が焦土化した大被害のわずか13年後にどこからの援助もなく?地元民の力で復元したものです。
東北大震災の場合、東北だけの被害なので国を挙げての資金投入・人材の応援体制ですが、戦後日本列島全域で食うや食わずから始まった状態で、先ずは収入源となる産業復興に資源を集中していた約10年間の間に、地元民の熱意があってこそ優先課題として復興工事の計画が進み実行されたものでしょう。
対照的な動きとして香川県高松城の天守閣復興運動が今だに地元で盛り上がらないという理由でうやむやのままらしいです。
https://docs.google.com/document/d/1B_k-2lcstvNhZWWRqkWpEo0Evf1mJlU7NLjlDEZOEak/edit
引用省略

上記城割の絵図面を見ると驚いたことに地元民からの攻撃を恐れたわけではないでしょうが?
お堀の中に侍屋敷が配置されて、地元民と生活空間がはっきり仕切られている状態ですから、これでは地元民との交流が希薄だったように見えます。
文字通り占領支配体制が露骨に見えます。
地中海や中国で発展した都市国家そのものの姿です。
これでは徳川300年の間、地元との一体感が育っていなかったから天守閣復元機運が盛り上がらないのではないでしょうか?

周辺無視の都市国家5(香港の場合4)

昨日紹介した香港騒動に対する中国本土人の反応の冷ややかさ?に戻ります。
香港の一人当たりGDPは中国本土平均を何倍も上回っているのは香港人には自慢でしょうが、香港人が本土の巨大市場バックに良い思いをしてきたという本土人のやっかみ気分が大きな影響を与えているのでしょうか?
上海や深圳の場合、改革開放の成果・儲けの一部を(日本大都市のように)国内地方経済底上げのためにに供出させられているはずです。
例えば長大な辺境地の防衛費や巨大な軍事力の維持費、利用者の少ない地方への長大な高速鉄道敷設コストも、国威発揚のための無駄な国外投資資金等は沿海部の収益が当てられているはずです。
香港の場合、冷戦構造下でショーウインドウ的機能・繁栄を見せびらかせることがあってもベルリンの壁ほどではないまでも周辺中国人にその分配をしないで済んできた点で、本土大衆が香港人に対する妬み・反感を持つ様になっていても不思議がない歴史です。
これを煽れば、国民の香港市民に対する連帯意識が盛り上がらないので、中国政府を強気にした面があるようです。
そういう視点で見れば、中国個々人のウイグル人に対する不満というか、「どうしょうもな奴らだ」という侮蔑・悪意の表現・・これこそがヘイトスピーチがネット上で飛び交う社会のようですが、政府の周到な情報操作があるのでしょう。
英米得意の離間の策を国内で実践している・・国内融和より国内対立を煽った方が、政府にとって内政が安定する変な国です。
日本の小学校や企業内等閉鎖社会で自然発生的に起きるいじめっ子事件を、中国の場合いじめる対象民族に焦点を当てて、国策としてヘイトをおこなって国民不満をそらしてきたようです。
反日暴動もこの一種だったようにも見えます。
当時暴動参加者の本音は、政府に対する不満が強いがその表現行動は怖くてできないのでその代償作用として政府公認の反日なら遠慮なく暴れられるので安心してやっているという解説が一般的でした。
いわゆる反日無罪という運動でした。
ただし、暴動の勢いが強まり政府の計画動員を超えて自発的反日運動になって、本来の反政府不満・反政府運動に点火すると収拾がつかなくなるリスクがあるので、政府は国民が興奮しすぎない程度に収めるしかないので心配がいらないと解説されていましたが、本当に政府の計画した松下の工場等の標的攻撃が一段落するとピタリと治まりました。
政府ややめ!と号令しても聞かなくなると本当の暴動になるリスクが高いから政府の弾圧が厳しくなります。
日頃の鬱憤を吐き出せてよかったと喜んで暴れていたこれを知っている民衆はすぐにやめるしかないのでしょう。
政府とすれば「どうだ!俺さまの威力はこんなものだぞ!中国政府に楯突くと怖いぞ!とヤクザのセリフみたいな威勢を日本に示したつもりでしょう。
中国は政権を取ってから、紅衛兵の運動でも知られるように、一種のいじめっこ対象を作り上げてはしょっちゅう集中攻撃してきた歴史です。
チベット併合?あるいは占領後ダライ・ラマのインド亡命を経て、数十年単位で抵抗するチベット民族がいじめ対象でしたし、この10年くらい(ダライ・ラマの高齢化があってその先はしれていると安心したのか?)チベット族統治が軌道に乗ってくると今度はウイグル叩き、それが軌道にのると香港叩きと矢継ぎ早です。
このシリーズのテーマである収益率重視経済で見れば、都市国家ほど効率の良い政体はないでしょうが、公害・・ゴミ捨て場であれ何であれ負の影響を周辺国に負担させる関係であれば、持続可能な関係ではありません。
香港が東京ほどではないにしても少しでも周辺への利益還元をして連帯意識を育成していれば、(本土の人たち自身監視社会化の進行には困っているが声を上げられない状態とすれば)この機会に香港の自由を守れ!という無言の連帯意識が盛り上がり、政府も無視できなかったでしょう。
実際には政府の方が先に反香港感情を植えつけてから「準備やよし!と起こした行動なので先手を取ってしまった印象です。
香港は周辺への還元が少なかったので政府の情報操作が成功して、逆に香港人への反感になっている(金持ちに対するやっかみはいつでもどこでもあるものですが・中国政府の情報操作の可能性があるので真偽不明)とすれば、これまでの香港人の対応が悪かった・自分が儲けるばかりだったからではないでしょうか?
日本では一定の成功を収めると自分の懐に入れるばかりではなく、個人に限らず企業も何らかの社会還元を心がけるものですが・・・。
戦後日本企業の海外進出が増えてくると進出先の現地に根付くように地元貢献に精出すのが普通になっています。
中国の反日暴動の時にも日系企業従業員が誠心誠意企業防衛に協力してくれている情報がありました。
4〜5年前の米国でのトヨタたたきの仕掛けの時に、途中で収まったのは企業側の対応が良かっただけでなく、トヨタが地元貢献に努力してきたので工場所在地の州政界がバックアップしてくれたという噂でした。
出世成功すると古くは神社仏閣に寄付したりお祭りには分相応の寄付をするなど・・。
香港人は占領された敵国?の支配地に職を求めて流れ込んだ人たちの子孫ですから、当初から周辺との一体感がないのでそんな気持ちになれなかったでしょう。
こういう関係にこそ気を使うべきなのですが・・。
食うや食わずの流民として英国に奪われた香港に入った彼らは、本土の人たちから見れば、もしかしたら民族の裏切り者的な評価を受けていて、侮蔑の目で見られていたでしょうから、「一生懸命に儲けて周囲の人らを見返してやる」という気持ちになった人も多いでしょう。
鉄のカーテンで厳しく東西対立してきた冷戦時代には、香港は西側経済のショーウインドウとしての役割もあって、自由貿易都市としての利点を満喫し、繁栄を謳歌してきました。

反日からニーハオへ(強硬策の裏)2

中韓の技術移転渇望については、Oct 20, 2019 11:00 am「技術移転を求める韓国1(被害者ビジネス・慰安婦)」の頃連載しました。
中国が成長の限界にぶち当たり、そこまでしないと政権が持たない危機感・・弱みの裏返しと見れば韓国と同じ発想です。
ハリネズミのように過剰警戒心の権化になった中国は対外的には国威発揚のためにやらなくてもいいような強引な政策を次々と繰り出すようになりました。
南シナ海の不法占埋め立てや、尖閣諸島海域での公船連日出没は経済面で見れば・ものすごい経費・浪費でしょう。
・・日本の海上保安庁の巡視艇1〜2隻に対して中国公船はその10数倍群がる印象ですから、コスト的に日本の何倍もかかる計算です。
この辺はフィリッピンやベトナムに対する大量公船出動による威嚇も同じでしょう。
国際政治的意味ではこのような海賊的威嚇行動はマイナス効果しかない・嫌われる国・外敵を増やすばかりでしょう。
大金を使って嫌われることに精出す動機を合理的に推論すれば、内部の政治基盤が弱いところにあると見るしかありません。
ロシアのクリミヤ併合〜ウクライナ侵攻も金を使うばかりで何も得るところがない・・国際孤立を冒してでもやるしかないほど(原油相場低迷によるロシア経済の低迷)プーチンの内部的支持基盤が空洞化してきたから・・と見るのが普通です。
習近平氏の主席就任と同時に内部固めのため独裁政治強化・・汚職摘発名目での粛清を開始し、政敵一掃が一段落すると主席任期制廃止など終身化の道を開き、共産党内の体制整備が終わったように見えますが、その分内部不満が相当蓄積している可能性が高いでしょう。
現政権は内部権力闘争強化と少し遅れて党外の人民大衆に対する統制強化に乗り出していました。
大量の蟻族利用のネットチェックに始まり、膨大な監視カメラ設置等、AI駆使による国内監視網が完成に近づいたところで、外延・・外地ともいうべきウイグル族の強制収用・思想改造に精出し、同じく外延である香港の民主主義諸制度形骸化=実質支配に乗り出した螺旋状の拡大戦略のようです。
香港〜ウイグルの完全支配が終われば次は台湾への直接武力圧力行使→占領という段取りでしょうか?
思想統制に対する批判者を次々と本土へ拉致する事件が相次いだのは、ウイグル族相手のように香港内では強制収用所まで設置できない苦肉の策であったでしょうが、これを香港人が批判を世界に流布するのが困るので、合法的につれ去ろうとしたのが今回の犯罪人引渡条例です。
独裁制の重圧下にあるはずの本土中国人にとってガス抜き的存在だった香港の自由がなくなるのは、対岸の火事ではなく重要な関心事・香港の自由を守ってほしい心情があったはずと思いたいのが人情ですが?
その割にそうではない・逆に香港人は思い上がっているという批判的受け止めかたの方が多いという報道です。
(政権側のフェイク・・情報操作の可能性がありますが・・)
報道が事実とすれば一般の人にとっては食えればいいのであって、メデイアが言うほど監視・不自由社会に対する不満がないのかな?
中共政権はそれをよく知っているから、経済力さえしっかりしていれば何をしようと心配ないと言う改革開放路線以来の高成長による自信につながっていました。
金の力こそ全てという世界戦略・札ビラ外交で・・例えば、南シナ海で対立するフィリピンを黙らせるためには特産品バナナの輸入手続きを遅らせてバナナが税関通過時点でほとんど腐ってしまう事態となり、せっかく国際司法裁判所での勝訴判決を得たにも関わらずフィリッピンの大統領が領海問題棚上げで北京に走りました。
棚上げとは、中国の不法埋め立てやフィリッピン漁船追い払いを黙認することにしたことになりました。
札ビラ外交で貧困国を味方につけ、高利貸し的手法で相手を債務不履行に追い込んでは港湾等の管理運営権を取得し世界に事実上の軍事基地を広げる戦略を実行してきました。
反日暴動による二系企業撤収の動きの穴埋めを兼ねて欧州諸国の企業進出を優遇し中国の横暴には見て見ぬ振りを求めて成功してきました。
この間メルケル首相の中国訪問が約10回に対して訪日はわずか1回・それも半日〜1日程度という頻度差に現れています。
この辺はメルケル氏訪日時のコラムで書きましたが正確な記憶がないので回数等はうろ覚えの意見です。
リーマンショック後内部蓄積のバラマキにより過去の蓄積を使い果たして?今や中国は過重債務にあえぐ状態になってきました。
経済力下降に直面してくれば、これまでの札ビラ外交の逆回転(貸し剝がし)が始まり(半月ほど前のアセアン首脳会議では、中国の札ビラ外交の前に沈黙していたフィリッピンが、対中南シナ海問題で最強硬意見を主張していると報道されていたのが、この象徴です。
米国の大統領も副大統領国務長官も出席せず軽量級出席の結果、(いわゆるアジア軽視の態度表明)中国の発言力が強まり、結果的にゆるい声明に終わったようですが・・。
https://jp.reuters.com/article/asean-summit-china-idJPKBN17Y11N

フィリピン外務省高官は首脳会議について、南シナ海の問題を強く訴えたり、人工島の建設や軍事拠点化について言及したりする動きはなかったと説明し「首脳はむしろASEANと中国の関係改善を強調した」と明らかにした。

フィリッピンは質問に対し主張が通らなかったという露骨な表現を避けていますが・・。
不満が外側から広がるのと違い内部不満は目に見え難いですが、国内不満も同率で蓄積しているでしょう。
統制強化だけ見ると一見強い政権のように見えますが、内実は逆で内部統制のタガの緩み対策・統制強化に必死になっている姿と見るべきです。
中韓の技術移転渇望については、Oct 20, 2019 11:00 am「技術移転を求める韓国1(被害者ビジネス・慰安婦)」の頃連載しました。
中国が成長の限界にぶち当たり、そこまでしないと政権が持たない危機感・・弱みの裏返しと見れば韓国と同じ発想です。
ハリネズミのように過剰警戒心の権化になった中国は対外的には国威発揚のためにやらなくてもいいような強引な政策を次々と繰り出すようになりました。
南シナ海の不法占埋め立てや、尖閣諸島海域での公船連日出没は経済面で見れば・ものすごい経費・浪費でしょう。
・・日本の海上保安庁の巡視艇1〜2隻に対して中国公船はその10数倍群がる印象ですから、コスト的に日本の何倍もかかる計算です。
この辺はフィリッピンやベトナムに対する大量公船出動による威嚇も同じでしょう。
国際政治的意味ではこのような海賊的威嚇行動はマイナス効果しかない・嫌われる国・外敵を増やすばかりでしょう。
大金を使って嫌われることに精出す動機を合理的に推論すれば、内部の政治基盤が弱いところにあると見るしかありません。
ロシアのクリミヤ併合〜ウクライナ侵攻も金を使うばかりで何も得るところがない・・国際孤立を冒してでもやるしかないほど(原油相場低迷によるロシア経済の低迷)プーチンの内部的支持基盤が空洞化してきたから・・と見るのが普通です。
習近平氏が主席就任と同時に内部固めのため独裁政治強化・・汚職摘発名目での粛清を開始し、政敵一掃が一段落すると主席任期制廃止など終身化の道を開き、共産党内の体制整備が終わったように見えますが、そのbん内部不満が相当蓄積してイルカの牛が高いのでしょう。
内部権力闘争に少し遅れて党外の人民大衆に対する統制強化に乗り出していました。
大量の蟻族利用のネットチェックに始まり、膨大な監視カメラ設置等、AI駆使による国内監視網が完成に近づいたところで、外延・・外地ともいうべきウイグル族の思想改造に精出し、同じく外延である香港の民主主義諸制度形骸化=実質支配に乗り出した螺旋状の拡大戦略のようです。
香港〜ウイグルの完全支配が終われば次は台湾への直接武力圧力行使→占領という段取りでしょうか?
思想統制に対する批判者を次々と本土へ拉致する事件が相次いだのは、ウイグル族相手のように香港内では強制収用所まで設置できない苦肉の策であったでしょうが、これを香港人が批判s世界に流布されるのが困るので、合法的につれ去ろうとしたのが今回の犯罪人引渡条例です。
独裁制の重圧下にあるはずの本土中国人にとってガス抜き的存在だった香港の自由がなくなるのは、対岸の火事ではなく重要な関心事・香港の自由を守ってほしい心情があったはずと思いたいのが人情ですが?
その割にそうではない・逆に香港人は思い上がっているという批判的受け止めかたの方が多いという報道です。
政権側のフェイク・・情報操作の可能性がありますが、本土で言論自由が全くないので、本当の気持ちは応援暴動でも起きない限り外部からはわかりません。
報道が事実とすれば一般の人にとっては食えればいいのであって、メデイアが言うほど監視・不自由社会に対する不満がないのかな?
中共政権はそれをよく知っているから、経済力さえしっかりしていれば何をしようと心配ないと言う改革開放路線以来の高成長による自信につながっていました。
金の力こそ全てという世界戦略で札ビラ外交で・・例えば、南シナ海で対立するフィリピンを黙らせるためには特産品バナナの輸入手続きを遅らせてバナナが税関通過時点でほとんど腐ってしまう事態となり、せっかく国際司法裁判所での勝訴判決を得たにも関わらずフィリッピンの大統領が領海問題棚上げで北京に走りました。
棚上げとは、中国の不法埋め立てやフィリッピン漁船追い払いを黙認することにしたことになりました。
札ビラ外交で貧困国を味方につけ、高利貸し的手法で相手を債務不履行に追い込んでは港湾等の管理運営権を取得し世界に事実上の軍事基地を広げる戦略を実行してきました。
反日暴動による日系企業撤収の動きの穴埋めを兼ねて欧州諸国の企業進出を優遇し中国の横暴には見て見ぬ振りを求めて成功してきました。
この間メルケル首相の中国訪問が約10回に対して訪日はわずか1回・それも半日〜1日程度という頻度差に現れています。
リーマンショック後内部蓄積のバラマキにより過去の蓄積を使い果たして?今や中国は過重債務にあえぐ状態になってきました。
経済力下降に直面してくれば、これまでの札ビラ外交の逆回転(貸し剝がし)が始まり(半月ほど前のアセアン首脳会議では、中国の札ビラ外交の前に沈黙していたフィリッピンが、対中南シナ海問題で最強硬意見を主張していると報道されていたのが、この象徴です。
米国の大統領も副大統領国務長官も出席せず軽量級出席の結果、(いわゆるアジア軽視)中国の発言力が強まり、結果的にゆるい声明に終わったようですが・・。
https://jp.reuters.com/article/asean-summit-china-idJPKBN17Y11N

フィリピン外務省高官は首脳会議について、南シナ海の問題を強く訴えたり、人工島の建設や軍事拠点化について言及したりする動きはなかったと説明し「首脳はむしろASEANと中国の関係改善を強調した」と明らかにした。

フィリッピンは質問に対し主張が通らなかったという露骨な表現を避けていますが・・。
不満が外側から広がるのと違い内部不満は目に見え難いですが、中国国内不満も同率で蓄積しているでしょう。
統制強化だけ見ると一見強い政権のように見えますが、内実は逆で内部統制のタガの緩み対策・統制強化に必死になっていると見るべきです。

反日からニーハオへ(掌返しの中国の信用)1

これに加えて米中対決が始まったこともあって、いよいよ日本大事になってきたようです。
現在の日系自動車販売環境は、反日騒動時に日本車に乗っているだけで被害を受けていた状態から言えば、反日暴動が何だったのか?嘘・夢幻だったかのような現状になっています。
中国は今ニコニコしているとはいえ、手のひら返しが常套手段の国はいつ何時また反日の風が吹き荒れるかしれない危険な国で信用がなりません。
この数年では日本車の伸びがドイツ車の伸びを上回っていて、日系が追いついて来たのはのはこのせいです。
反日暴動によってその穴を埋めて急激に対中貿易で躍進した韓国車のシェアーはサード配備決定以降嫌がらせされるようになり、トックに日系に逆転され(シェアー日本の半分以下で)今や昔日の勢いは見る影もなくなっています。
このように中国はしょっちゅう自分の威力誇示のために相手を突いたり引いたり気に入らない国に対して露骨に観光客を急減させたり(底が浅すぎます・・)するのは自国の力を誇示しているつもりかもしれません。
韓国は中国尊崇の精神風土ですから、早速この真似をして日本への観光客を絞りまこみ、さらに軍事情報協定(GSOMIA)破棄(更新拒否)を通告してきましたが、日本は、情報を与えるばかりの持ち出しですから、なくなっても何ら困りません。
日本にとってはせいぜい友好国の証程度でしたが、北朝鮮の脅威を抱える韓国にとっては北朝鮮のミサイル発射等の人工衛星による情報は本気で防衛するならば必須情報です。
(韓国はまだ人工衛星打ちげに必要なロケット技術がありません。)
文政権の本音は従北・北の支配下に入るのを望んでいることを、日本との軋轢を口実に実行しようとしているかのようにも解釈できます。
こういう底の浅い戦略?行動は、国際信用をガタ落ちにするマイナス効果の方が大きいことに気がつかない点は、ヤクザが凄んで相手が怖がると「どんなモンダイ!」と悦に入っているレベルです。
韓国は中国に大事にされて舞い上がってしまい一時の夢に酔ってしまってこれだけコケにされても今だに夢が冷めないのが不思議と言えば不思議ですが、中国風コワモテ政治への憧れがあるからでしょう。
韓国は戦後事実上の米国の保護下に入っていたのでいわゆる「事大主義精神」発露として民主主義やキリスト教を喜んで取り入れましたが、借り物思想で落ち着きが悪いのが本音で、最近この本音が表面化してきたようです。
待ちかねた中国の台頭で喜び勇んで中国に擦り寄り過ぎた朴政権が、米国の踊りに負けて米側陣営に引き戻されて結果、日韓慰安婦合意や長年渋っていた日本との軍事情報協定を結ばされ、北朝鮮対策のサード配備も受け入れざるを得なくなって国民が俄然、朴政権引き摺り下ろし運動が白熱しました。
この騒動で任期途中で弾劾→刑務所入りとなりそれを受けて成立した文政権が、反日反米一辺倒になっているのは民族感情として理解可能です。
日韓情報協定延長を求めて米国高官の韓国入りが報道されていましたが、同時並行して在韓米軍費用負担に関する米韓交渉が決裂したという劇的な事件が起きました。
この種の交渉が決裂とは前代未聞のことですから、もはや米軍駐留不要という開き直りに入ったと見るべきでしょう。
米国に対してさえ、ここまで強気の態度となれば、こういう状態を見れば、日韓情報協定不必要という韓国の決意は明らかです。
その決意の背後には、自分らは中国陣営に入りたいし、中国に認めて欲しい民族の悲願?でしょう。
https://www.marklines.com/ja/statistics/flash_sales/salesfig_china_2018

国別ブランド乗用車販売シェア (工場出荷台数)

2018年12月 2018年1-12月累計
台数
(万台)
シェア(%) 前年
同月比(%)
台数
(万台)
シェア(%) 前年
同期比(%)
民族系 97.96 43.87 -24.27 997.99 42.09 -7.99
日系 41.50 18.58 10.20 444.63 18.75 5.74
独系 44.15 19.77 10.04 508.05 21.43 4.76
米国系 20.01 8.96 -39.64 247.79 10.45 -18.48
韓国系 16.01 7.17 -8.62 118.05 4.98 3.14
仏系 1.59 0.71 -71.61 30.70 1.29 -32.65

資料:中国汽車工業協会発表、各種報道より

https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2019/57449cdc408b6808.html

2018年の中国の新車販売台数は28年ぶりのマイナスとなり、2019年に入ってからも厳しい状況が続いている。
全体市場が大きく落ち込んでいるにもかかわらず、ホンダとトヨタは2桁の伸びを続けており、6月には日産や三菱自動車が前年同月を上回るなど、日系各社は総じてプラスを維持している。

このように中国の成長が下り坂に入ったのが鮮明になって来たにも拘わらず、開き直り精神か?却って、国内では独裁性を強化し、国民の日々の行動を監視して対外的にも強硬策一点張りの硬直政治に転じたのが習近平政権でした。
外資には知財の提供を強制するようになるなど、最近の政治はもはや強盗国家的になりました。
韓国が技術移転を求めて次からへと対日要求するようになった(韓国の場合強盗的強制するほど強くないので、言いがかり国家程度です)ことを書いてきましたが、その大型版というべきでしょうか。

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