国際政治力学の流動化1

AIIB参加国は中国の専制運営を承認したことになりますから、今後AIIBが中国の希望どおり国際機関の中枢を占めるようになると世界経済は中国の専制支配下に入ることになります。
国連諸機関が中国マネーによる汚染?で事実上どうにもならない運営になっていることが知られていますが(・・最近問題になっているオリンピック委員会もそうですが・・中国マネーやハニトラがはびこるようになって以来世界中の人が「汚染された方が得」みたいな世界になっています)一応多数決ですから中国マネーの威力が減退すれば正常化する望みがあります。
AIIBの場合制度として中国専決制ですから「それで結構です」として、そこに参加する以上どうにもなりません。
西欧諸国が中国の明からさまな専制支配体制を決めているAIIBの正統性を認めてその傘下に馳せ参じた(ある陣営があるスローガンを掲げて兵を挙げたときにこれに呼応して兵を引き連れて参加したのと同じです)事自体が驚きです。
西欧諸国のAIIB参加行為は米中対立に関して、西欧による中国専制支配でも良いから中国陣営傘下にはいる意思表示であり、民主国家陣営離脱の公式意思表示だったことなります。
ここまでは中国の世界支配に一歩近づいたように見えたので、太平洋2分論を言い出したり、南シナ海や尖閣諸島の領域拡張の実力行使を始めた基礎ですが、モノゴトは「金」次第である点はここでも本質です。
昨年秋に強行し対日戦勝利記念と称する対日宣戦布告に近いような軍事パレードを計画した時には株価暴落前だったので,式典の頃には既に株価暴落して信用がた落ちになっていても今更やめられなかったのでしょうが、この旗揚げ式に参加したのはプーチンとパク大統領とアフリカの独裁者として国際指名手配を受けている大統領の3人・・韓国出身国連事務総長だけだったと言われていました。
ここまではパク大統領はまだ中国べったりでしたが,さすがにまずいと分って来たらしくその直後から中国離れを始めたのは周知のとおりです。
中国が国際金融機関を専制運営する以上は資金もこれに見合った出し手にならないとうまく行きませんが、(金もないの威張るには軍事力・・強盗しかありませんが中国が西欧を脅すには遠過ぎます)昨年夏の上海株価暴落以降・・そもそも中国にAIIB運営資金があるの?と言う疑問・・中国の経済危機リスクが表面化してきました。
今年始めには、2回目の株価暴落があって中国経済力の信頼は地に墜ちました。
世界経済リスクの元凶になりかけている中国自身が資金を出すのを期待するのは無理があり,金がないから国際機関と称して資金を集めるのか?と言う疑念が起きてきました・・これでは中国の資金力を期待して集まった方は溜まりません。
勿論爆買いの威力をちらつかせて無茶をしても周辺国を黙らせていた神通力も利かなくなってきました。
昨年秋も直近のアメリカに於けるイエレン議長の発言でも、利上げ可否判断は、中国が持たない・・中国リスクが最大リスクとして考慮されています・・アメリカのちょっとしたサジ加減次第で中国がでつぶれるかどうかの瀬戸際にさしかかっている弱い国です。
中国は元々世界の除け者になった国々・・北朝鮮、ミャンマー、ラオス、ベトナムやアフリカの独裁虐殺国などへの唯一の援助国としての地歩を固めてきました。
共通するのは現在の国際的的価値観である民主主義的国家運営を採用しない国々・・非民主国家です。
中国自身独裁制+言論弾圧の苛烈な国ですが、アメリカは相手が大き過ぎるからと、黙認どころか対日カードに使うために巨大化するの応援して来たのですから、巨大な独裁・苛烈な人権弾圧国を応援して資金を供給しながら、弱小国を締め付けても(北朝鮮のように)中国の援助でいくらでも生き延びられる・・矛盾した政策を続けて来たことになります。
その結果6カ国協議と言う訳の分らない制度を作って中国の影響力期待・・要は中国の地位を高める政策で一貫してきました。
アメリカの巨大ブラックホール放置の弱い国相手の制裁濫発は、言わば中国の支援をうける国を増やすための政策と同じですから、非制裁国は当然中国に義理が生じ中国派の国々になります。
タイのように歴史的親日国でも軍事政権になったことによる締め付けで中国の支援が必要になったことから、日本対中国の関係では中国に遠慮が生じています。
それだけでなく、この4〜5年は豊富な外貨準備に利用(見せ金)によって西欧衰退企業への資本参加やアフリカ諸国への援助や・資源爆買いを利用して西欧を初め本来欧米派であるべきオーストラリアまで与党に組み入れる(アメリカの軍艦寄港すべき港湾運営権まで中国に与えている)など反中国的動きに豪政府が同意しない動きになっています。
今回の日本の潜水艦の受注がフランスに突如変更になったのも中国の陰が取りざたされています。
中共政権と相いれない筈の台湾でさえも、中国詣で(中国市場参入)に必死で親中の馬英九政権が誕生していました。
元々戦前からアメリカは親中ですかし、日本も田中角栄以来伝統的に親中政権ですから、世界中が親中になっていたことになります。
ただ世界の親中政策はアメリカのバックがあって成り立っているに過ぎない点に中国政府は気が付かなかったのかも知れません。
中韓ともに反日運動や国内教育はアメリカのお墨付きがあって安心してやりたい放題していた筈ですが、自信を持ち過ぎたのか中国が・・アメリカに刃向かう方向へはみ出したのが、そもそもの間違いです。
あまりにも自信を持ち過ぎたのか・内部抗争が激しくて、世界中相手に騒がずにいられなくなったのか?

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