グローバル化と新興国の逆襲2

中級レベルの技術や学歴・教養不要の世界の動きに対して、世間の動きは逆で、今後は知財だ高度化だと言うことで却って学歴競争・・職業訓練ばやりになっていますが、知財で食えるほど能力のあるのは宮大工や伝統工芸職人になれるような限られた少数人材だけです。
日本人や韓国人が何百万人も研究者になれる訳がないのですから、そんなに大勢に勉強させても(コストをかけても)意味がありません。
オーバードクター問題が生じるのは当然です。
この点は事務系職員も同じで中間管理職向け多くの大卒が不要になりつつあります。
事務処理が簡単になって大卒の能力が不要になっているとしたら、大量に大卒を生み出すシステムが問題になって来るべきです。
工事現場で交通整理している人でもかなり大卒が混じっている状態になっていますが、これなどは無駄なコストでしょう。
人件費が新興国に比べて高すぎるのは今まで不当に搾取していただけではなく、現在の生産には中級の技術者・大卒能力が不要になっているのに、彼らを未だに大量養成し続けている社会コスト負担も原因の1つでしょう。
(教養がある方が生活が豊かになる側面は別に考えて行きますが・・ここは経済効果面限定で考えています)
明治の初めに剣道を習った元武士と兵役で来た農民兵とどちらが強いかの西南戦争がありましたが、意味のない訓練は高コストになるだけで役に立ちませんでした。
現代の進学熱は機関銃や大砲の時代になっているのに時代遅れになった武士に憧れて、剣道や柔道教室に大勢通っているようなものです。
高学歴化・高技術レベル者ばかりの国になると普及品まで良いものがあってレベルの高い社会と言えば言えますが、そのコストはどうなるかとなります。
日本は良いものを作るが高すぎると言われる根本がそこにあります。
新興国などまだ電化製品その他先端機械が何もないところでは、先ず手に入れること・普及が大切ですから、当面使えれば良いのであって日本製は10年使えるから5割高いというよりは5割安い韓国製で5〜6年使えれば良いとなるのが普通でしょう。
機械製が手作りより5〜6割安い場合、余程良いもの以外は工業製品に客が流れるように同じ機械を使って製造した場合、職人の腕の差は限られていますから、後進国で作れば10分の1で作れるとしたら、後進国に競争で負けるのは当然です。
3月5日日経夕刊では現代百貨店の電気事業部が日本でダイオード照明装置を販売することになったと報じられています。
その報道では日本製品と同等品質のものが韓国では5割安く出来るそうです。
同じ品質の機械設備を設置して製造すれば、人件費や土地代等のコスト差がそのまま現れるのは仕方のないことです。
韓国は中進国から先進国へ仲間入り中で最早後進国ではなく、品質面でも日本にいろんな分野で肉薄中です。
新興国や後進国は、自前でのオートメ化能力がなさそうに見えますが、今は半導体装置
だけではなく、原子力発電装置でさえそっくり先進国が据え付けてくれる時代ですから、結局は後進国が産業革命によって自前で設置したのと経済効果は変わりません。
そうとすれば、後進国によるオートメ化の逆襲・・先進国の(高学歴・高技術に基づく)高コスト構造が逆襲を受け始めたと言えるのではないでしょうか?

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