ソフト化社会6(トラブル回避システム)

一般民事事件を見ても,いろんな分野でトラブル回避システムが発達しています。
アパート経営も今では金融会社の保証で貸すことが増えたことと不動産会社の管理に委ねていることが多いので、大家さんが個人で家賃不払いその他のトラブルに対して弁護士依頼することがほぼ皆無になっています。
自動車販売会社も,私が弁護士になった頃には車販売代金の焦げ付き回収→車の回収事件が多かったのですが、20〜30年ほど前からファイナンスが普通です(現金支払は皆無に近い)ので、リスク管理・訴訟は皆無になったと言えます。
今では修理のクレーム処理・・それも殆どクレーマー相手の相談が中心です。
ファイナンスと言えば住宅建設も住宅ローン建設が中心ですから、出来上がってからお金がないことによる言いがかり的苦情・トラブルは減りました。
建築やリフォームあるいはちょっとした大きな取引では支払能力があるのかないのか分らないで、受注するリスクが減ったのです。
「あなたは本当にお金があるのですか」とアパートを借りに来た人や家を建てたいという人から聞くことは不可能ですし、資産状況のリストを出してくれとは言えませんが、ローンや保証会社付きでしたら業者が客に求めたり品定めする必要がありません。
銀行や信販会社が自動的に所得証明その他の資料提出を求めるので、収入の不安定な人や過去に焦げ付きを起こしている人は契約段階ではねられてしまうのでリスク軽減が進んでいます。
その上,不動産取引は建て売りやマンションが普通になったので個人が自分で建築契約すること滅多にありません。
立て替えの場合個人が建築契約当事者になりますが、今は大手ハウスメーカー=既成品注文が多いので、実質的には販売契約に近くなっています。
建て売りやマンション業者関連の建設工事の不具合は、建て売り業者やマンション業者が、建設工事会社に要求する関係ですので,継続的受発注関係の中でおおむね処理されて行き、トラブルや訴訟事件になるのは継続関係の切れた場合の例外的現象になります。
このように社会システムの進展と(生活水準の上昇)人格のソフト化によって、我が国では訴訟事件がここ25〜30年ほど激減傾向にあります。
交通事故自体が減っている外に保険制度の発達で現在では殆どが保険で間に合いますし、交通事故が裁判になるのは私が弁護士になった頃に比べて、100分の1もないでしょう。

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