英国EU離脱2

製造業の雄である日系企業は米国に無理難題を言われても、報復関税や農産物輸入規制の報復能力がない・この点は第二次世界前の大恐慌の時に報復関税を掛け合うのは米欧であって日本は一歩引いていましたし、繊維〜電気〜鉄鋼交渉等の挙句のプラザ合意以降貿易黒字拡大はまずいとなって相手の懐に飛び込む戦略に徹してきました。
この戦略のよって米国への工場進出で地盤を築いてきましたが、海洋民族そのものである日本人にとって大陸系移民中心の気質の合わない北部へは進出しないで、南部から中部程度しか行かない点が南北戦争時との違いでしょうか?
表向き労組が強すぎるなど合理化して説明されますが、実態は気質が合わないからです・・この辺は欧州進出の足がかりの工場として大陸へ直接進出しないで英国を選んでいるのも同じです。
この点でトランプ政策によって農業が大きな犠牲になっていても今回は南部諸州が日系工場進出で潤っているのでもう一度反乱(南北戦争)を起こす必要がないようです。
「夢よもう一度」といっても北部製造業の復活可能性がないのではないでしょうか?
トランプ政策にラストベルト地帯が反応してトランプ氏当選原動力になったようですが、約2年余り経過して(国内に製造業誘致しても中南部に行くので)期待外れに終わりラストベルト地帯では民主党の勢いが増しているような報道も散見されます。
異民族移住の簡略化の功罪に戻します。
友人に「今度お立ち寄り下さい」と日を決めて招待した友人が遊びにくるのは良いとしても、招待しないのに勝手にしょっちゅう遊びに来られると困ります。
シェンゲン協定だったかで、EU加盟国間で国境を超えて自由に移動できるし就業制限もないようですが、ポーランド等からイギリス国民の意向にお構い無しにどんどん労働者が入ってくるのが気に入らないようです。
観光客でも多すぎると観光公害と言われる時代ですが、自由に入ってきて自由に国内就業までできるのでは、個人間交際で言えば自由に他人の家にズカズカと入って勝手に寝ているようなイメージです。
英国民のEU離脱決定は劇的変化の多いフランスと違い、着実な前進を好むと言われてきたイギリス国民性からすれば思い切りすぎた点で世界を驚かせましたが、それほど異民族との共存に対する不満を我慢してきたということでしょうか?
漸進的改革か撃発的改革の違いは、国民の不満が爆発するまで我慢を強いるか否かで決まることで民族性によるものではないでしょう。
フランス革命もロシア革命も暴発的であった分に比例してその後の混乱は大きいものがありました。
EU離脱の国民投票後ブレグジットが一向に進まないのは、旧来型価値観の教養人集団である議会が、手順を決めない乱暴な離脱方向決定後どういう手順で離脱するかの議論に入っている・・手順が逆になっている咎めによるとも言えそうです。
結婚式場も決めないで結婚式の日程を発表したあとでドタバタしているようなものです。
離脱手順を決めるのに四苦八苦したメイ首相が辞任せざるを得なくなり、従来からの(手順などどうでもいい?)強硬離脱論者の代表的人物であるジョンソン氏が首相に就任しました。
軟着陸目指す・・詳細取り決めにこだわる議会の抵抗を封じ、ジョンソン首相はなんらの譲歩もせずに=無協定期限切れを狙う・ともかくまず離婚してからその後のことは考えるという乱暴な離脱?実現を目指しているように見えます。
そのために対EU交渉期間と重複する期間中の大幅な議会閉会を決定したのは、議会に縛られる度合いの少ないアメリカ大統領のような権限を行使するための奇策だったでしょうが、この奇策はうまくかわされて、議会閉会前に交渉期限延期要求を義務付ける法案が可決されてしまいました。
ジョンソン首相はこれにも屈せずに、彼は交渉期限が来るまで事実上なんの提案もせずに交渉期限が過ぎるのを待つ・・無秩序離脱強行戦略のようでしたが、ついに提案したようです。
報道によると関税同盟を残さない離脱と言うらしいですが、公表されたばかりで私には内容不明ですが、焦点の北アイルランド問題解決の具体論が見えない主張に留まるようです。
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-49917979

解説】 ジョンソン英首相の新提案、バックストップとどう違う? ブレグジット情勢
2019年10月3日
イギリス政府は2日夜、欧州連合(EU)離脱に向けた新しい協定案を発表した。メイ前政権による協定で懸念材料となっていた、アイルランドと北アイルランドの国境に関わる「バックストップ条項」に代わる案も盛り込まれている。

離脱実現後の混乱を防ぐためにどういう戦略がジョンソン首相にあるのか不明ですが、いずれせよ激動の予兆があちこちで噴出してきました。
19世紀型政治原理を完成したのが20世紀とすれば、これを激変させる予兆があちこちで見られます。
これらを極右政党の台頭とか、異端行為の頻発などと否定的評価さえしてれば、済むものではありません。
こうした変化にどう対応していくべきかを個人もいつも考えておくべきことでしょうし、これに対する発言も自由ですが政治論は政治の場で、文化論は文化の場で決めるべきであって民意によって選ばれていないシステム・訴訟のテーマにすべきではありません。
司法機関は政治論争の結果政治の場で決まったことをきちっと守っているかの判定機関すぎません。
訴訟の場で政治、文化論を戦わせようとするのは場違いでしょう。
職人は黙々と自分が満足できるまで精魂詰めてモノを作る・.絵描きは描いた絵で勝負し、音楽家は音楽で、料理人は作った料理で勝負すべきです。
作品を社会あるいは後世評価されたら良いのであって、所属社会が認めてくれないからと所属社会と喧嘩し、これを世間に広げる運動を自分でする必要はありません。

19〜20世紀型価値観の揺らぎと英国EU離脱

19〜20世紀型価値観の揺らぎ・・パラダイム変更の動きに戻ります。
2016年アメリカ大統領選でトランプ旋風によりトランプ氏が当選して翌17年から大統領になると旧習・前例無視の政治が始まり、ほぼ同時に英国では国民投票でEU離脱方針が決まりました。
その後米中高関税課税競争など20世紀に確立した国際関係のあり方に対する異議申し立て・変化を求める動きがあちこちで表面化してきました。
イギリスのEU離脱協議がどうなるか不明ですが、トランプ氏の予測不可能性・・異例の行動は個別問題の単発的行動中心ですが、イギリスの場合は自国の国家体制自体の変革ではないものの、EU参加によって事実上主権の多くが制限されていた状態の回復を目指すものですから国のあり方・一種の国体変更を目指すものでしょう。
トランプ氏のように単体ごとの既存ルール無視の積み重ねではなく、EUとの間で築きあげた濃密な関係の同時瞬間的ぶち切りと再構築作業ですので、国家枠組み革命的変更に近いやり方です。
いわば夫婦関係をいきなり解体すればそれまでの多方面の関係がブチ切れるのと似ていますが、夫婦関係の場合、縁が切れればその後の生活に関係がなくなるので新たな交際方法を決める必要が滅多に(子供の養育関連を除けば)ないのが普通ですが、経済共同体の場合、いわゆるサプライチェーンが網の目(毛細血管)のように構築されているので、簡単にぶち切って再構築するのは容易ではありません。
英国民の意思表示は、特にどこかと喧嘩したわけでもないのに離婚で言えば「性格の不一致」をいうだけです。
20世紀価値観で作られたEUの枠組自体に拒否感を示したいと言う感情論?です。
深く複雑な関係解消による大混乱を予測しながらもEUから飛び出したいと言うのですから、半端でない不満・・合理的説明ができないだけで皮膚感覚的に何かが合わないのでしょう。離婚同様に嫌なものはイヤッ!と言うべき皮膚感の違い・・・我慢できなくなった・・不満がたまり過ぎて後先見ずに爆発したということでしょうか。
国家と国家の間に障壁のある近所付き合いをこえて障壁のない濃密な付き合いになると、まさ憶測でしかないですが、大陸系と海洋系の生活気質の本質的違いに我慢できなくなったのかもしれません。
米国でも大陸系気質のドイツ系移民と海洋系の英国系移民とではまるで気質が違う・・こういうことを論じるのはアメリカでは合衆国の一枚岩維持の理念に水を差すのでこの種の表面化はタブーらしく、そう言う意見は外国に出てきませんが、何かのテーマで南部系と北部系が議論するとすぐにつかみ合いの喧嘩でもしそうなくらいの険悪関係になりやすいようです。
故なくヒスパニック系を揶揄し蔑む傾向があるのは、南北戦争で英国系をうち負かしたものの本家英国系を侮蔑することができないし、これをすると南北分裂になるので、代償作用・ともかく海洋系をバカにしたい持ちの発露・印象を受けます。
国際的常識?一般的になっているドイツ人気質とフロリダ等の南部アメリカ人のヤンキーなイメージとを比較想像すれば、民族性気質の違いは明らかでしょう。
嗜好で言えばデズニーの分布で見れば、南部にあっても北部にはないのでないでしょうか?
これだけ民族性が違うのです。
こういうドイツ系(といってもいろんな民族を含むようですが要は大陸系)と海洋国英国やイタリア等の海岸線出身系との気質の違いを論じるのはアメリカ分裂につながるので大手メデイアや、正統教育では表面に出ていないようですが、民族別に見ると民族ヘゲモニー争いに決着をつけた内戦がアメリカの南北戦争の精神的側面であり、この内戦にドイツ系(大陸系移民)が全面勝利した側面がありそうです。
この戦争の結果、真の米国統一が完成したようです。
日本人にはピンときませんが、南北戦争はアメリカは対英独立戦争を戦いとったのちの国内統一戦争の掉尾を飾った聖戦?になるようです。
だから、南北戦争の背景にある民族対立を持ち出すと国家分裂につながるのでこの点はタブーになっているのでしょう。
南北戦争は、我が国で言えば古代の壬申の乱のようなエポックになる戦いだったようですが、我が国では壬申の乱の敗者と勝者の怨恨が地域の怨念として残っていない・文字通りの日本国が建国され、列島民の一体感が始まったのは、民族別に別れた戦いではなかったからでしょう。
南北戦争はアメリカとっては国家統一の重要な決戦でしたが、負けた方の南部諸州の住民はいつかはリベンジ戦をしたい屈辱として記憶し続けているようですが、今や南部の復権が囁かれているようです。
南部が経済的に自信を持つようになったので、昔の恨み・南部諸州と北部に住むドイツ系/大陸系とは気が合わないのだというような気分が表に出てくるようになったのではないでしょうか?
トランプ氏はドイツ系なのに一見ドイツに厳しいようなイメージですが、実は今回の貿易戦争では製造業の復活スローガン=北部工業地帯の復興=製造業の保護貿易主義であり、この点ではドイツを筆頭とする欧州や中国など工業製品輸出国と表面上対立しますが、その代償として農業系諸州→中南部諸州の農業輸出を犠牲にする構図です。
すでに中国からの報復関税で南部諸州の農業系が打撃を受けている構図が明白です。
エアバスの輸出で対立する欧州とも高関税競争に入りそうですが、欧州も農産物輸入規制の報復に動くでしょう。
南北戦争の経済利害の背景は独立後勃興したしたばかりの米国製造業がまだ欧州との競争では負けていたので、輸入制限して北米地域の工業製品市場を独占したい北部諸州の保護貿易政策と、奴隷労働による安価な綿花大量輸出で潤っていた南部が関税競争→欧州の報復関税→綿花輸出できなくなる危機感を背景にしていたのと経済関係は同じです。
日本では農業票=保護主義ですので、ついうっかりしますが、米国農業は初めから輸出産業・自由貿易主義であり今も同じです。
習近平氏の過去の栄華をもう一度という夢同様に、トランプ氏も(無意識かもしれませんが)南部経済を犠牲にして北部工業地帯(ラストベルトはドイツ系移民中心でしょうか?)が勃興して経済大国に踊り出た歴史を再現したいのでしょう。
今回は製造業勃興期ではなく衰退を止めるだけのステージですので、高関税やファーウエイ等中国製品に対する輸入禁止等の保護主義政策(過去の日本叩きの焼き直し)では北部諸州の製造等を守り、育てられません。

EU(ドイツ)と中国の関係1

16年9月の中国杭州でのG20の記念撮影では、オバマが端っこに追いやられ、習近平の右隣がドイツのメルケル首相、左隣がトルコのエルドアン大統領だったことについて、中国が外交儀礼を守れない礼儀知らずのイメージで報道されていましたが、そうとばかり言い切れません。
この原稿は16年9月G20の頃に書いておいたものですが、奇しくも17年7月7日のドイツG20では、メルケルが隣に習近平氏とし、トランプ大統領を端っこに立たせたことを紹介したばかりです。
16年の返礼だったのでしょうか?
ドイツが中国に優遇されているのは(対日戦勝記念式典参加で厚遇されたパク前大統同様に気持ちが落ちつかなかったでしょうが・・)中国に肩入れし過ぎて今更引くに引けない立場を表しています。
(フォルクスワーゲンもEUを除けば中国で多く売れているだけです)中国としては、日米を敵に回している結果、今後唯一の技術導入国としてドイツを重宝したい関係を表しています。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ28HWY_Y6A720C1EA2000/

世界自動車大手の2016年1~6月期販売実績が28日、出そろった。2年連続の首位となった独フォルクスワーゲン(VW)は511万6800台と前年同期比1.5%伸ばした。排ガス不正問題が懸念材料となっているが、中国での拡大など需要の底堅さを示した。
世界最大市場となった中国での事業展開が差を生んだ要因の一つとなっている。景気対策の小型車減税の恩恵を受けトップ3社は販売を大きく伸ばし、増加率は トヨタが15.5%と最大だった。だが中国で先行するVWやGMの事業規模はトヨタの3倍強に達し、追い風もより大きくなった。」
上記によればトヨタの方が増加率が高くてもワーゲンの方が先行している関係で中国での存在が3倍も大きい・・その分中国に気を使う関係です。
両者の世界での年間販売数はほぼ同数ですから、トヨタにとって中国販売が世界販売の1割とすればワーゲンにとって3割,トヨタが2割とすればワーゲンにとっては6割と言う巨大な関係です。
この原稿の基本は16年7月16〜17日頃に書いていたものですが、同月18日日経朝刊4pを見ると、2015年ワーゲンの世界販売が1005万台で、内訳が、EU349万台、中国376万台となっています。
本拠地のEUよりも中国での販売の方が多い状態になっています。
上記記事によれば、燃費不正問題の世界的な逆風に対して「VWに助け舟を出したのは中国。現地で不正があまり話題にならなかった」となっています。
情報規制の厳しい中国で政府支援を受けるかどうかは大きな違いです。
燃費不正事件が報道されず、中国で伸びたことで打撃を防げたイメージの記事です。
人権や国際商慣習破りをどこかの首脳が批判するとすぐにその国の企業が狙い撃ち摘発や不正キャンペインが起きるのが中国のやり方です。
(数年前にマクドナルドが狙い撃ちされて以来業績低迷に陥っていました・・日本ではこの1年余りで急速に持ち直しましたが・・。)
消費者にとって、大関心のある燃費不正に対する中国の報道規制はVWに対する望外な援助になったでしょう。
報道規制どころか、ワーゲン救済を狙った特定車種向けの補助金政策で・・この逆張りを受けている(・・韓国系企業の電池使用を補助金対象から外していると言う噂)のが、ミサイル防衛用のサード配置で中国の逆鱗に触れた韓国現代自動車で、惨憺たる業績になっています。
http://www.recordchina.co.jp/a130248.html
「2016年3月1日、韓国の現代自動車と傘下の起亜自動車の中国での販売が急減していることについて、中国市場の変化に対応できなかったためとの分析が出ている。中国・環球網が伝えた。
韓国・聯合ニュースによると、現代・起亜の1月の中国販売台数は12万4495台で、前年同月に比べ約21.9%減少した。現代が7万5236台 で27.2%減、起亜は4万9259台で12.2%減だった。現代・起亜の中国市場シェアは6.1%と、2007年以来8年ぶりに最低水準となった。」
この記事を書いていた1昨年から2年近くもたってしまったので、その後の動きを紹介しておきましょう。
https://www.marklines.com/ja/statistics/flash_sales/salesfig_china_2017
国別ブランド乗用車販売シェア(工場出荷台数) (*)

2017年12月 2017年1-12月累計
台数
(万台)
シェア(%) 前年
同月比(%)
台数
(万台)
シェア(%) 前年
同期比(%)
民族系 129.36 48.75 3.41 1,087.23 43.98 3.26
日系 37.66 14.19 -3.46 420.49 17.01 10.90
独系 40.12 15.12 5.97 484.97 19.62 7.52
米国系 33.15 12.49 1.50 303.95 12.30 2.53
韓国系 17.52 6.60 -21.36 114.46 4.63 -36.13
仏系 5.60 2.11 -35.41 45.58 1.84 -29.22

資料:中国汽車工業協会発表、各種報道より
(*)台数を修正いたしました。(2018年1月15日)

https://www.marklines.com/ja/statistics/flash_sales/salesfig_china_201811月の中国新車販売は前年同月比13.9%減の254.8万台
2018年11月、自動車生産・販売の前月比はいずれもやや増加し、前年同月比の減少幅は依然として顕著であった。1-11月の自動車生産・販売の前年同期比は引き続き減少し、減少幅は1-10月に比べて拡大している。

国別ブランド乗用車販売シェア(工場出荷台数)

2018年11月 2018年1-11月累計
台数
(万台)
シェア(%) 前年
同月比(%)
台数
(万台)
シェア(%) 前年
同期比(%)
民族系 90.99 41.86 -23.29 900.10 41.91 -6.03
日系 43.85 20.17 8.11 403.13 18.77 5.30
独系 46.36 21.33 0.32 463.90 21.60 4.28
米国系 21.37 9.83 -32.67 227.78 10.61 -15.89
韓国系 11.10 5.11 -23.40 102.03 4.75 5.25
仏系 1.69 0.78 -70.04 29.10 1.35 -27.21

資料:中国汽車工業協会発表、各種報道より

ついでに15年末のデータと18年11月の比較をして見ましょう。
15年末にはドイツ系シェアーが15,0%韓国系が8,11%だったのが18年11月ではそれぞれ、21,33と5、11%に変わっていて日系は17、4%が20、17%に変わっています。
中国としては、韓国が逆らうとこんな目にあうぞ!という見せしめのつもりでしょう。
国別ブランド乗用車販売シェア (工場出荷台数)

国別ブランド乗用車販売シェア(工場出荷台数)

2015年12月 2015年1-12月累計
台数
(万台)
シェア(%) 前年
同月比(%)
台数
(万台)
シェア(%) 前年
同期比(%)
民族系 103.64 42.4 21.6 873.76 41.3 15.3
日系 42.58 17.4 8.1 336.43 15.9 8.7
独系 36.70 15.0 24.6 399.82 18.9 1.5
米国系 31.22 12.8 16.7 259.57 12.3 2.8
韓国系 21.47 8.8 17.5 167.88 7.9 -4.9
仏系 7.72 3.2 19.1 72.93 3.5 0.3

資料:中国汽車工業協会発表、各種報道より

http://news.nicovideo.jp/watch/nw2783338
中国のロッテマートがウェブサイトを再開
・現在も中国のロッテマートは9割が閉店
・THAADを配置させたことにより中国からバッシング中国のロッテマートがウェブサイトを再開
http://www.sankei.com/premium/news/170204/prm1702040027-n1.html洋式便器までダメ…中国のしつこい韓国「報復」 ミサイル配備の嫌がらせ露骨に 「春節」商戦あがったり
中国の嫌がらせはロッテに対する外「何でもあり」になっていることが分かります。
対中蜜月のフォルクスワーゲンは逆に大幅な伸びで、EU域外・・中国以外では殆ど売れていない・・独裁者の恣意的な恩恵に頼らないと国際競争力がない・・こうなると麻薬漬けになったような弱みがあります。
ドイツが言うことを聞かないとすぐに韓国のようなひどい目にあいます。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFD30H0Q_Q7A130C1000000/
VW、中国市場で稼ぐ 販売比率は欧州並み4割に (2016/12/29 0:43)
16年末でも約4割が中国販売です。

EU弱体化とフランスの混迷3

燃料税アップに対する反対から火がついたデモは、各種不満爆発の導火線として多様な不満を背景にするデモに変わってきたので、マクロン氏は燃料税の増税を中止しただけでは収まらない様子を見て、11日のニュースでは、最低賃金アップも決めたようです。
メデイアは燃料税アップ中止と最低賃金引きあげによる税収減が何ユーロ→財政赤字拡大方向と報道していますが、目先の財政赤字の問題よりは、経済原理無視の最低賃金引き上げはもっと大きなダメージをフランス経済に及ぼすことになるでしょう。
韓国文政権の性急な最低賃金引き上げの弊害でもわかるように、最低賃金を引き上げるだけでは、却って中小企業の窒息を招き失業率アップにつながりかねませんし、(このために小企業への補助金を出すような報道も見られます)大手でも生産性無視の強制賃上げでは、国際競争力がいよいよ損なわれていきます。
社会主義的政策・・政府の介入が多すぎて国運が衰退してきたのを挽回するためにマクロン改革踏み切ったのですが、国民の方は長い間の政府介入による救済に慣れているので今更これをやめるのは難しいのでしょう。

https://www.jiji.com/jc/v7?id=201812france

【地球コラム】何も変わらぬ「フランス病」~マクロン大統領の書生論通じず~(12月11日)

フランスでは1789年の大革命以来、デモやストライキは労働者の生活防衛の武器であり、対話ではなく直接行動によって、お上に公然と盾突くのが流儀だ。そのたびに歴代政権は動揺し、譲歩ばかりしてきた。このため大胆な改革はなかなか生まれず、経済の低迷が続いた。この「フランス病」にメスを入れようとしたマクロン大統領は、いかにもエリートくさい書生論的な改革の手法が民衆から嫌われ、窮地に立たされている。(時事通信社解説委員・元パリ特派員 杉山文彦)

大方の評価は「書生論では現実政治はできない」というところでしょうか?
日産ゴーン事件の背景にはフランス政府のルノーに対する政府介入(例えば工場閉鎖制限)に嫌気した日産からのクーデターとも言われていますが、フランス国民自身どうにもならないほど政府介入(期待)中毒になってしまっているようです。
マクロン政権が最低賃金アップに限らず、今後痛みを強いる改革を放棄して市場競争分野への介入やバラマキをするしかないとなれば、イタリヤ・ギリシャなどのバラマキ無責任赤字財政放置政治をフランスも非難できません。
上記の通り、今やマクロン政権は自分の身を守るのに精一杯で解任されたゴーンの心配やルノーの将来像を考えている暇などないでしょう。
今やフランスでは国中がゴタゴタの渦中にあって、国内がてんやわんやの状態です。
EUの盟主、ドイツではメルケル首相が秋の地方選大敗の責任をとって(首相の座に残ったままの)与党党首辞任表明し数日前頃に後継党首選を実施したばかりです。
メルケル腹心の幹事長を次の党首候補に立てて同候補が党首の座を射止めたものの、メルケルの意向そのままでは何のための党首交代かの問題に行き当たるので、新党首は独自色を出すしかないので微妙な運営が要求され結果的にメルケル政権がレームダックになるしかありません。

今やフランスでは国中がゴタゴタの渦中にあって、てんやわんやの状態で国際的発言力はほとんどない状態です。
EUの盟主、ドイツではメルケル首相が秋の地方選大敗の責任をとって(首相の座に残ったままの)与党党首辞任表明し数日前頃に後継党首選を実施したばかりです。
メルケル腹心の幹事長を次の党首候補に立てて同候補が党首の座を射止めたものの、メルケルの意向そのままでは何のための党首交代かの問題に行き当たるので、新党首は独自色を出すしかないので微妙な運営が要求される結果、メルケル政権がレームダックになるしかありません。
国内が支離滅裂状態にあって国際問題にまともな発言力維持は困難になりつつあります。
昨日紹介したようにトランプ氏に「自分の頭のハエを追い払ったらどうか」と言わんばかりに揶揄されるのはまさに核心を突いた一撃でしょうし、黙ってられなくて外務大臣が「こちらに口出ししてくれるな!」という応酬をせざるを得なかったのでしょう。
他方EU離脱予定のイギリスはこの数年EU離脱交渉条件に振り回されていて、まともに国内政治に向き合えない状態です。
メイ首相はEU側とようやくまとめた離脱合意案に対する反対派が多くて国会採決断念に追い込まれた上に、その翌日?党首不信任案が出されて昨日ようやく否決したばかりですが、国会採決断念に追い込まれて造反議員を締め付けるどころか、逆に造反議員の方から不信任案が正式議題になること自体、まともな政権運営では考えられないことです。
しかも不信任票が4割もあったと言うのですから、野党を含めた国会での不信任案決議となるとどうなる?ということで最早政権の体をなさないように見えます。
と思ったら翌日頃のニュースではメイ首相は総選挙前の党首辞任を表明したという報道がありました。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3886867013122018I00000/

英与党、メイ首相を「信任」 次期選挙前の辞任表明
2018/12/13 6:0
一時的に党を離れていた議員も含め317人が投票。信任200、不信任117で、メイ氏の信任が決まった。
英BBCによると、メイ氏は投票に先立つ演説で「次の選挙の時に、私は党首(首相)としては選挙戦に臨まない」と述べ、次期総選挙の前に首相を辞任する意向を示した。今の下院議員の任期は2022年まで。メイ氏は自らの職に区切りをつけることで、EU離脱を実現する覚悟を示したとみられる。

日本だけが国内政局が安定し、強固な日米基軸関を構築したうえで、ロシアのプーチン、トルコのエルドアン、インド、フィリッピン〜東南アジア諸国との関係も良好で、国際政治上の安定感が際立っています。
以上の国際情勢を前提にすると、中国でハードランデイングの混乱が起きたとき・・または起きる直前に目くらまし的に中国軍が対日戦端を開くことが、国際政治的・物理的・経済的に可能かどうかの疑問があります。
このシリーズは15〜6年頃に書いた原稿の再起動ですが、今になると中国は米国の激しい攻勢に困っているので、日本を敵に回すどころか(ほとんどすがりつきたい?)応援を頼みたい状態になっています。

EU弱体化とフランスの混迷2

https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/121000910/?P=4
怒号と催涙弾の応酬は、フランスに何をもたらすのか

2018年12月11日(火)
米国のトランプ大統領がパリ協定からの離脱を表明し、その実効性が疑問視されている。マクロン大統領はそのトランプ大統領の説得役を買って出ているのだ。
「私は絶対に諦めない。それが自分の使命だと思う」とまで話している。皮肉なことにそのマクロン大統領のお膝元であるパリで、温暖化対策のための燃料税に反対するデモが広がり、パリ協定の存在が揺らいでしまっている。
マクロン大統領は温暖化対策だけでなく、様々な改革を進めてきた。
特に力を入れてきたのが、フランスの構造改革だ。フランスは他の先進諸国に比べて公務員の比率が高く労働組合が強い。そのため雇用の流動性に乏しく、低成長の状況が続いている。
こうしたフランスの積年の課題にメスを入れたのがマクロン大統領だった。
公務員を削減し、労働者を解雇しやすくする法改正を実施する一方、法人税を減税し、社会保障費の負担を高めた。
経済成長などの成果が出ていたら、改革に対する不満はさほど顕在化しなかったかもしれない。
しかし、成果が出るまでの時間がかかっている間に、低所得者などの不満のマグマがたまり、これが今回の燃料税の引き上げで、爆発した。

国内の痛みを伴う矢継ぎ早の改革だけでも国民の限界が来ているのに、地球温暖化対策のために、(国民には痛みを強いるだけで・・悪く言えばマクロン氏の格好つけだけ?・・なんら恩恵がない燃料税アップの追い討ちは、我慢の限界に火をつけるに格好の標的だったでしょう。
http://news.livedoor.com/article/detail/15717313/

トランプ大統領の投稿にフランス外相が不快感「口を出さないで」
2018年12月10日 10時32
燃料税の増税を巡るフランスのデモについて、トランプ米大統領が言及した
Twitterに「パリ協定をやめ、低い税率で人々に金を戻すときだ」と書き込み
フランスの外相は9日、テレビ番組で「口を出さないでほしい」と語った
フランスでは環境に配慮した経済への移行を目指し、燃料税を引き上げることを巡ってデモが続いています。アメリカのトランプ大統領は、ツイッターに「馬鹿馬鹿しいパリ協定をやめ、低い税率で人々に金を戻す時だ」と書き込みました。フランス政府を批判し、地球温暖化対策に取り組むパリ協定からの離脱を表明したトランプ政権の決定を正当化する狙いがあります。これに対してフランスのルドリアン外相は9日、テレビ番組で「我々はアメリカ国内の問題に口を出していない。アメリカも口を出さないでほしい」と不快感を示しました。

何か“滑稽な”やりとりになるのがフランス流というべきでしょうか?
原油高→ガソリン値上げで庶民が困っているところで、温暖化対策のために燃料税をあげるというのは我慢の限界に来ている点にきづかなかった・・センスが悪すぎますが、(功を焦ったのかな?)これが発火点になったところで、1年間の矢継ぎ早の改革はどちらかといえば富裕層に対する優遇措置が多く低所得層に厳しい内容でしたから、これに対する不満が吹き出して、燃料税アップの中止だけではすまなくなってきたようです。
11日のニュースでは、最低賃金引き上げも発表するなど、過去1年間の改革の巻き戻しになってきました。
富裕層に対する不満の強いフランスではゴーン氏の日本での「高額所得隠し検挙」を好意的見ている人の方が多いというネット評論があったようですが、今回の騒動によって高額所得者優遇改革に対するフランス国民の反発の強さを見ると、意外にそのようなネット指摘が当っていたのかな?と感心しています。
https://www.msn.com/ja-jp/money/news/ゴーン被告の支援、仏政府動かず-エリート主義の印象払拭に躍起/ar-BBQRyhT#page=2
Ania Nussbaum

2018/12/13 03:59
「黄色いベスト運動」のデモが吹き荒れるフランスで、ゴーン被告の窮状という問題は脇へ追いやられている。デモ参加者が訴えているのは富の不平等に対する憤りであり、エリート主義に対する強烈な嫌悪だ。
ノッティンガム・トレント大学でフランス研究を専門とするクリス・レイノルズ教授は、「ある意味、カルロス・ゴーン氏は黄色いベストの参加者が嫌悪する全てを体現している」と指摘。「所得上位1%に入るゴーン氏は、経済改革に必要との名目で政府が強いるあらゆる犠牲から完全に保護されている」と述べた。
ゴーン被告の支援に動かないのはフランスの政治家だけではなく、幅広い層からも同情が見られない。
ハッシュタグ「#FreeCarlos(ゴーン氏を自由に)」のツイッターは全く広がらず、著名な実業界幹部や業界団体もほぼ口をつぐんだままだ。
ルノーの筆頭株主として、ゴーン被告の苦境に最大の経済的利害を持つのはフランス政府だ。だがマクロン大統領は、同被告について直接コメントすることを控えている。ルメール財務相はゴーン被告が推定無罪であり不正の証拠を要求するなどと主張してはいるものの、言及は最小限にとどめている。

このような国内情勢ではゴーン氏の逮捕に対して、フラン政府も日本に対して表向き異を唱えられない半端な状態になっていることがわかります。
燃料税アップ以外はやっていることは真っ当な感じですが、国民の方はこの真っ当すぎる荒療治に耐えられず暴発しているということでしょうか?
病人の体力が弱り過ぎた時に大規模な手術をしたら、却って病人の命を縮めることがあります。
フランス経済は長年の社会主義的政策による弊害に慣れすぎて・・治療開始が遅すぎて、すでに不治の病いにかかっているかのようにも見えます。

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