製造業総崩れ1(韓国13)

数年前の韓進開運倒産に象徴されるように造船でも中国の追い上げに苦しむ姿が続いています。
https://japanese.joins.com/article/349/232349.html

韓進海運破産から1年…韓国系海運会社ネットワーク崩壊が現実に=韓国(1)
2017年08月16日09時51分 [ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
昨年8月に韓進(ハンジン)海運が法定管理を申請してから1年。海運業は依然として荒波の中だ。
2月の韓進海運破産後に現代(ヒョンデ)商船が韓国トップのグローバル海運会社の座に上がったが、世界市場でのシェアは1.6%にすぎない。韓国市場でのシェアも落ちている。6月基準で釜山(プサン)港で韓国系海運会社の物流量シェアは1年前の38.1%から34.2%に減った。これに対し外資系海運会社のシェアは61.9%から65.8%に増えた。「このままでは韓国市場まで外国企業に明け渡すことになりかねない」との懸念が出てくる理由だ。

https://japanese.joins.com/article/532/247532.html

危機の韓国海運>営業力落ちる現代商船、船20隻増やして回復可能?
https://japanese.joins.com/article/349/232349.html
2018年11月27日10時56分 [ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]

国内トップの韓進海運が破産した2017年2月以降、政府の海運業再建のための支援は現代商船に集中している。現代商船までが破産すれば、韓国は代表的な遠洋海運会社がない国になる。
政府が現代商船に対する精密調査をした後、6兆706億ウォンの支援を決めた理由だ。
・・・特に集中的な支援対象の現代商船は、政府の資金が支援されるほど財務状態がさらに悪化することが明らかになった。
匿名を求めた海運業界の関係者は「政府が海運会社に支援した貸出は結局、大宇造船海洋など造船会社から船舶を購入するために使われる」とし「海運業が造船業を生かすための道具になっている」と不満を表した。
◆「収益よりは物量」…現代商船を危機に追い込んだ営業DNA

上記の通り政府が造船事業維持のために、採算度外視?で海運企業に無理な発注を強制している現状では先がないでしょう。
造船事業も倒産・規模縮小が続いていました。
https://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20160603/frn1606031550001-n1.htm

韓国危ない33社 造船大手破綻で始まった“ゾンビ財閥”破綻ラッシュ (1/2ページ)
2016.06.03
韓国財閥の破綻ラッシュが始まった。本業の儲けで利息も支払えない「ゾンビ企業」33社(別表)のうち、造船大手が破綻、他の企業も崖っぷちが続く。
このリストのうち5月27日に法定管理(日本の会社更生法適用に相当)を申請したのが韓国造船4位のSTX造船海洋だ。安値受注による規模拡大で経営が悪化。

要するに韓国企業の赤字受注・・・一種の水増し経済・・(これを日本メデイアが囃し立てて来たのですが)の限界が来たと言うことでしょう。
今や車も中国現地資本に負けるようになり、さらに先端産業のスマホや半導体も中国資本にベタ負けになってきました。
2年くらい前の記事ですから半導体に希望を抱いていますが、その後頼みのサムスンさえこの先どうなるかの現実が迫っています。
https://www.sankeibiz.jp/macro/news/170903

韓国製造業の憂鬱 自慢の造船事業、受注合戦“衝撃の敗北” 成長力は枯れたのか (2/3ページ)
2017.9.3 13:09
報告書は、2015年から25年にかけて韓国の各業界の世界シェアがどう変化するか予測。自動車は5.2%から3.8%に、造船は36.2%から20.0%に、家電は3.1%から2.5%にそれぞれ低下するとしている。上昇するのは半導体や防衛産業などごく一部だ。
後退の主な要因として高い人件費など生産環境の弱さがあると指摘。その上で「中国はすべての産業で質的高度化を推進している。今後、中国が韓国のさらに強力な競争相手に浮上する」

サムスンの誇るスマホは中国でほぼ売れなくなっていると報道されています・中国外市場でも中国製品に駆逐されていくのはすぐのことでしょう。
https://www.sankei.com/premium/news/180424/prm1804240008-n1.html

韓国サムスン 中国スマホ市場シェア0%台の“窮地”
2018.5.1 07:00
韓国サムスン電子が中国のスマートフォン事業で苦戦を強いられている。一時はシェアが20%近くに達し首位に立ったが、今では0%台に急低下。価格性能比の高さを前面に出した現地メーカーに押され、世界首位も中国では風前のともしびだ。中国当局主導の「嫌韓」に端を発した不買の影響だけでなく、技術優位性が薄れたことによる魅力のなさも要因だけに深刻だ。中国市場は世界最大だが、サムスンは頭打ちで撤退観測も浮上する。

https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/special/00055/

韓国 何が起きているのか
PART1 サムスン離れの兆し
戦略スマートフォン投入も……
田村 賢司他 5名
日経ビジネス主任編集委員
2019年3月8日
韓国の国力の象徴、サムスンの先行きに陰りが見えている。折り畳み型スマホ発売の裏側で徐々に「サムスン離れ」が進む。足元の業績は絶好調だが、気掛かりなのは中国の猛追だ。
「ひたすら半導体の開発に邁進するしかない。(世界を席巻した)テレビやスマートフォンなどの家電事業に未来はない」。SK証券の金栄雨(キム・ヨンウ)アナリストは、韓国サムスン電子の将来を不安視する。
米中貿易摩擦の象徴と取り上げられるほど、技術力を持ち始めたファーウェイに、日本の部品・素材メーカーはサムスンとの勢いの差を感じ取っている。ファーウェイシフトを強める別の国内部品大手の営業担当者もこう言い切る。「新しい部品の採用に誰よりも積極的なのがファーウェイ。市場のけん引役はもはやサムスンではない」
・・・変調の本質はそこではない。営業利益の大半は半導体で稼いでいる点だ。これまでは半導体の需給サイクルの谷間を補うように、自社の最先端部品を搭載したテレビなどの最終商品がヒットした。だが、「現在は半導体メモリーに頼り切っている」(日本総研の向山英彦上席主任研究員)と多くの研究者は見ている。谷間を補うべき事業は苦戦中で、半導体を失えば、サムスンの利益水準は、LG並みに低くなる可能性すらある。

ポンド防衛の歴史13(ポンドの威信2)

アメリカがプラザ合意以降のドル安政策(円高政策)にもかかかわらず、ビッグスリーに始まり製造業縮小がとどまらず、昨年時点では製造業従事者が全労働者の8%しかいなくなったといわれています。
この辺でアメリカがドル安政策を採用する前から、衰退を始めていたイギリスのポンド下落の歴史に戻って行きます。
ポンド下落については、December 1, 2011「ポンド防衛1」のシリーズ以降連載してきました。
2011年12月10日「ポンド防衛の歴史10(成長率格差と英国病)」に紹介したように他の欧州諸国よりもイギリスは成長率が低かったし・・さらには同年12月26日に紹介したように貿易赤字の続くイギリスポンドが欧州全体に連動して上がるのは実力からみて無理がありました。
ちなみにイギリスの国際収支を2011年12月11日「ポンド防衛の歴史12(ポンドの威信1)」のコラムで紹介した[世] イギリスの国際収支の推移ecodb.net/country/GB/imf_bca.html – キャッシュでみると、1984年以来上記の紹介した日までずっとマイナスのままです。
ポンド防衛のコラム開始冒頭前後で紹介したように、ポンドの実力以上の割高感を投資家ジョージ.ソロス氏に見抜かれて、空売りを仕掛けられてしまいます。
この結果一気にポンドが大幅下落し、僅か1週間ほどで支え切れなくなってERMから脱退し、完全な変動相場制に移行せざるを得なくなりました。
ポンド切り下げの経過を見て行くと、為替相場を自己の実力によるのではなく、自国経済力以外のものと連動するという実態を無視したやり方・半端な変動相場制は、無理が露呈するまでには時間がかかり・・時間を稼げますが、結果的に無理は無理であることが明らかです。
今で言うところのバスケット方式は自国の経済状態の短期・臨時的変動に直ぐには大きく反応しない点で利点がありますが、長期低落傾向のときには調整が長引く分だけ傷が大きくなります。
南欧諸国の経済危機も自国経済力とユーロ為替相場が直結しないところに無理があることを書いてきました。
ついでに書きますと日本で地方が衰退する一方になるのも(人材が中央に吸い上げられる外経済面に注目すると)同じ原理によります。
東京その他大都会の生産性が上がると、その地域の輸出競争力に合わせて為替相場が上がって行くのですが、生産性がそれほど上がらないその他分野の占める比重の大きい地方経済にとっては為替相場が割高になります。
農業の生産性が1〜2割しか上がらないときに、工業生産性が5〜10倍に上がって行き工業製品の競争力に合わせて為替が上がって行くと、農業その他旧来製品生産に従事する比率の大きい地方経済は大都会に合わせた高過ぎる為替相場では競争力を失って行きます。
青森等東北地域と東京圏を、今のギリシャ等南欧諸国とドイツの関係に置き換えると分ります。
イギリスはドイツ等に比べて生産性上昇率が低いのに為替相場を生産性上昇率の高い国とリンクさせると損をする関係です。
スターリング地域諸国の発展不均等が広がると全体平均相場でポンドの価値を決めること自体無理があって、それぞれの国が離脱して行って遂にスターリング地域が解体して行ったのが戦前からの歴史です。
英連邦の結成やスターリング地域の盛衰に関しては、2011年12月10〜11日ポンド防衛の歴史10〜11(ポンド管理政策の破綻1〜2)のコラム前後で連載してきました。
発展不均等によってスターリング地域が解体した経験があるのに、この経験を生かせずにイギリスが欧州グループに自分が再びリンクするようにしていたのですから滑稽な再経験・こだわりでした。
イギリスは第一次世界大戦頃から、ドイツの追い上げを受けて、次第に国際収支が赤字基調・・国力の低下基調になって来たのをカモフラージュするために、スターリング地域でのポンド・プール制を採用していました。
その無理が徐々に出て来てスターリング地域を維持出来なくなったのですが、スターリング地域・・英連邦諸国経済・栄光ある孤立から転換せざるを得なくなって、戦後は欧州諸国と自分の為替相場をリンクさせて自国通貨安の進行が明らかになるのを少しでも誤摩化し・カモフラージュしたい心理が働いていたのでしょう。
(往生際が悪すぎたことになります)
為替相場は安ければ安いほど貿易上有利ですから、イギリスによるポンドの威信維持・・実力以上のポンド高維持政策努力は、実利よりは格式にこだわる選択・経済的には大損な選択です。

©2002-2016 稲垣法律事務所 All Right Reserved. ©Designed By Pear Computing LLC