世界の警察官から軍事同盟へ(太平洋二分論の基礎)2

トランプ氏に至っては、「相応の防衛費を分担していない」と今から日本に難癖つけているのですから、非武装憲法を押し付けた歴史を無視(または無知?)し、「日本防衛義務を果たしたくない」と選挙戦で公言しているようなものです。
ただし、その後の勉強の成果かどうか不明ですが対日批判をあまりしなくなったようですが,アメリカはこれまでのような負担をし切れないと言う点はどの候補者が大統領になっても変わらないでしょう。
アメリカ(トランプ氏)の戦略は、日本だけ標的と言うのではなく、「ニクソンショック以降のアメリカは中長期的目標としては自国に必要な範囲・・当面東太平洋さえ確保すれば良い→世界の警察官をやれない」と言う基本認識の一環としての話で、これが内々の話ではなく表に出さざる得なくなるほど経済的に切羽詰まって来たことによります。
以下は仮定の話ですが、戦後直後に圧倒的国力差を背景に世界各地の米軍駐屯地で必要経費の9割を負担していて、その後各地の経済復興を反映して現地政府負担率を引き上げてアメリカの負担率を減らして行き、今では半分を切っているとした場合、これが更に減って3割〜1割〜5%と下がっていくと、この負担率減に比例して地域安保に与えるアメリカの影響力が下がって行くのは避けられません。
北朝鮮問題も自国だけでは決められない・6カ国協議・・中国の出方次第になっている所以です。
ちなみに今の在日米軍経費については、日本が既に約半分以上を負担しています。
http://rick08.hatenablog.com/entry/2016/05/06/070000からの引用です。
ウオールストリートジャーナルで公表されたものらしいです。
「武器弾薬なんかの装備のお金に加えて、米軍関係者が約9万6,800人、さらに、日本人2万5,500人が事務員、消防士、医師などとして働いているそうです。これらの人件費と、基地の使用コスト、近隣の騒音対策費用などなどで合計年間102億ドルほどかかります。ざっくり1兆1千億円ほど。うち、米国が負担しているのが55億ドル、日本が負担しているのが57億ドルです。更に、日本は、グアム移転費用など、ときどき追加コストも負担しています。」
「アメリカの軍事費の総額は5,830億ドルだそうです(2017会計年度)。なんと日本円換算で64兆円!日本の軍事費の13年分!!これを毎年使ってるとか、勝てる気がしない。
 そのうち、在日米軍の年間費用は55億ドルは軍事費全体の0.94%にあたります。」
日本駐留経費の半分以上を日本が負担していますが、沖縄基地はベトナム戦争時の出撃基地だったことからも分るように、今でも中東までのアジア全域をカバーする基地ですから、日本安保のためだけの基地ではありません。
しょっ中米韓合同演習をしていますが、日本に基地がなければ大変・・遠くから出て行けば莫大な時間コストがかかるので演習する回数・規模が縮小します。
アジア全域にわたり(米軍の都合に合わせた)ヘゲモニー維持のための軍事費の半分以上を、日本が負担して(させられて)いることになります。
この少ない予算でもケチりたくて・・もっと日本に負担させたくてトランプ氏が大げさに騒いでいるし、米軍基地の沖縄からグアムへの移転計画も着々と進んでいます。
沖縄基地反対闘争を利用して移転費用を日本に負担させる形式ですが、自国防衛に必要なことしかしたくない・・戦線縮小計画・・長期戦略の一環でしょう。
上記データ紹介を見ると全軍事費の1%足らずしかアジアで使っていないし、戦力をグアムの内側へ下げ続けている現状を見れば、アメリカのアジア重視宣言は殆どジョークみたいなもの・・本気度が分かります。
アメリカが実際にやっていることは、当面グアムの線で守れば良いと言う・・マサに太平洋2分論の実践です。
これでは中国がグアムの外側では何をしても良いと言う態度・・アメリカをバカにしたような行動・・国際ルール無視の傍若無人の振る舞いをするようになったのは当然です。
比喩的に言えば、戦後直後には現地国同士の紛争があっても両国兵力合わせてもアメリカ駐留軍の1割しかないような場合、アメリカがどちらの味方するかの表明だけであっけなく勝負がついてしまうので、実際のアメリカ軍出動さえ必要がない状態でした。
「パックス◯◯」と言う状態は、圧倒的兵力差があってこそ成立するものです。
アジアでは、対中国関係で上記のような圧倒的兵力差がなくなっているどころか、そのうち中国に逆転(現在戦では兵器性能差が重要ですので、単に航空機や潜水艦等の数の差ではありませんが・・)されそうな気配です。
最早世界の警察官をやっていけないが同盟は維持したい・・アメリカの基本戦略からすれば、グアムの外側・・日本やフィリッピンがアメリカに従属してくれているのは有り難いがそれだけのことです。
日中,中台、中越の争いでどちらがその地域の覇者になろうとアメリカにとって死活的関係がない・・どうでも良い・どちらかに肩入れしてアメリカ人の血を流すメリットがないと言うのが、基本戦略と思われます。
と言うよりは圧倒的兵力差がなくなっているので、現地紛争に関わると自分も大きな損害を受けるリスクが高まっているからです。
せいぜい情報提供や兵器供給や訓練程度の協力をしても良い・もめ事が多くなって兵器の販路が広い方が良いと言うのが本音でしょう。
尖閣諸島や沖縄が中国支配になるより日本が支配している方がアメリカの安全にとってプラスと言うだけ、韓国でのサード配備も少し早めに中国の動きがつかめる程度のことです。
どちらかと言えば、韓国に対する「踏み絵」を迫った程度のことです。
沖縄基地や三沢基地から引き上げても、グアムや人工衛星でデータ収集するのと大差ない時代があっという間に来る・・それまでは日本に情報収拾させれば足りる・駐留コストを掛けたくないだけではなく・・近過ぎるリスクの方が大きいと言う意見ではないでしょうか?
実際に朝鮮半島で駐留米軍をドンドン減らしているのは、朝鮮戦争時には、数十km後方でも安全な後方基地だったでしょが、今の時代・・数百km単位の後方でもイザとなると前線基地とリスク・壊滅リスクがほとんど変わらないことによるようです。
南沙諸島が中国支配に入って・・海上輸送ルートが中国に押さえられて日本が困ろうとも、中国がアメリカと友好関係を約束するならアメリカにとって死活的重要性がありません。
ロシアのウクライナ介入やクリミヤ占領に対しても同じこと・・アメリカ国防に何の関係もない地域紛争に血を流すほどの関与したくない・・日本からグアムへの後退作戦も日本の(対中)戦争にアメリカが巻き込まれたくない意思表示・・沖縄にいながら防衛協力しないわけにはいかないでしょうが、沖縄にいなければその内応援に行きますと言う程度で済みます。
アメリカの長期戦略を・・合理的に考えて行けば、太平洋二分論・・グアムでの線引きは(中国が言い出したと言うよりは、)かなり前からのアメリカ自身の基本戦略であったコトを中国が確認しているだけ・・だから明白に否定出来ないのだと思われます。

世界の警察官から軍事同盟へ(太平洋二分論の基礎)

江沢民は1年間に4回もの訪問で相応の手応えを感じたので、これをはっきりさせておくためにだめ押しとして公衆の場で真珠湾演説を行なったと見るべきでしょう。
本当に信用出来る内諾があれば秘密にしておくのが普通ですから、アメリカが世界中が見ている場で否定出来ないと言う程度・・逆の押しつけをしたと見るべきかも知れません。
習近平がオバマとの初会談時だったかに強引に「太平洋二分論」を提案してオバマが否定出来なかったこともワザワザ公表されています。
(首脳会談は綿密な事前擦り合わせがありますが・・仮に唐突な提案であったとすれば・・)初会談では突然のことで想定していなかったのでどう対応すべきか決断出来なかった・優柔不断と言えないこともありませんが、今夏中国で開催されたG20でも太平洋二分論が習近平によって繰り返されたことが報道されていますが、オバマはやはり否定しませんでした。
いずれにせよ習近平の太平洋二分論に対してオバマだけではなく、江沢民の真珠湾演説時の日本敵視発言をブッシュも明確に否定しなかった点が重要です。
アメリカ歴代大統領の対応を見ると、中国が仮に日本を攻撃したり南シナ海が封鎖されても、アメリカが日本の自助努力がどうのと言って直ぐに参戦せずに、ぐずぐずしている事態が容易に推測されます。
南シナ海封鎖が実行された場合に封鎖されたままで「話し合い解決で・・」と悠長なことを言っていると、日本は日増しに不利になります。
中国の軍事基地が出来上がる前に実力で阻止しないで放置しておいて、出来上がってから実力で取り壊すにはイラクのクエート侵攻後の第一次イラク戦争のように圧倒的兵力差がないと無理があります。
「話し合い解決を期待する」と言うのは、一方が実力行使していない段階では合理的ですが、一方が実力行使しているのにこれを原状回復させないままで話し合い解決を求めるのは「実力行使を受入れろ」と言うに等しい無責任な態度です。
日本の非武装論者と同じで、相手が実力行使した場合どうするかの議論が抜けていて・・強い者がスキなように出来るルールです。
最近のアメリカのやり方はすべからく・・ウクライナ侵攻〜クリミヤ併合も・・実力行使を阻止しないで実力行使の結果をそのまま認める・・現状追認しかない最近の行動を見れば、・・内々その程度のゴーサインを出していた可能性の方が高いと見るべきでしょう。
これが今のオバマの優柔不断と批判されている裏事情です。
中国による南シナ海封鎖が実行された場合、日本が高額負担している日本駐留米軍が何か役に立つのでしょうか?
役に立つとすれば、今までの航行自由作戦のように時々行く程度でなく、アメリカ海軍がその海域に常駐して日本向け船舶を守ってくれるほどのことをしてくれないとどうにもなりません。
ただし、過去の同盟関係を見ても、(長篠の合戦でも信長の援軍が来るまで守り抜いたように日露戦争時の日英同盟も皆そうです)応援軍が来るまで一定期間自力で守り抜くのが現地軍(砦)の勤めでしたから、「ある程度自力で守って下さい」と言うアメリカの主張はあながち無茶な主張でありません。
実力行使阻止のためにアメリカ軍が介入するには時間がかかるので、その間くらいは自力で守る必要がある・・これが自衛軍の必要性論です。
このシステムがあると、空き巣狙いのような戦争開始の誘惑を阻止出来ますが、非武装論は短期間でも自衛の必要がないと言う意見になります。
初戦だけではなく、応援軍が到着してからでも応援を頼んだ軍が危険を顧みずに真っ先に戦う気持ち・・危ない戦闘を応援軍に頼りきりですと、応援部隊はイヤになってしまいます。
南シナ海封鎖の場合、アメリカに全面依頼するだけではなく当然日本海軍もアメリカ軍との共同作戦に従事する気構えが必要です。
ただしこれまでの自衛の定義では、船舶航路の妨害排除は含まれ難いような印象ですからこの辺・・自衛の範囲に関する法整備が必要です。
昨年制定したいわゆる安保法でもこの辺の出動要件がはっきりしない感じです。
全部を読んでいないので断定出来ませんが、「周辺事態」と言ってもこれまでの議論では米軍に対する援護論であって、自衛隊が先に出動する必要がある場合の要件が分りません。
アメリカが「世界の警察官をやれない」と言う意味は、アメリカが圧倒的経済力・軍事力を背景に現地常駐し,米軍が出ると周辺が従うしかなかったのでこれが普通のように期待していただけであって、これが出来なくなっただけです。
世界の警察官と軍事同盟の違い・・警察の場合、市民は丸ごと治安をお任せ・・丸腰ですが、軍事同盟の場合、同盟国間で力の強弱があるとしても、応援を頼まれてから駆けつける・・一定程度までは自力で守るのが原則です。
ニクソンショック以降アメリカの基礎体力が落ちる一方ですから、具体的な応援要請もないのに日常的に警察官役を果たすのは無理が出て来たことは確かです。
まして同盟国に自国軍を常駐させて日常的に守ってやるほどのコストを負担する関係ではありません。
アメリカでは◯◯違反と言っては、毎年のように欧州企業から何兆円規模の懲罰→和解金をとっていてこれが欧州の不満のタネになっていますが、(いま話題になっているのはドイツ銀行に対する懲罰金の巨大さです)これでは財政難に苦しんでいた徳川幕府が時々豪商を取りつぶしていたのと同じやり方です。
これを繰り返し発動するしかないこと自体に、アメリカのジリ貧・・資金不足・・政権(国際的発言力)末期到来を表しています。
この数年タクスヘイブンが大テーマになっているのも、全てアメリカの資金不足に由来しています。
上記のとおりアメリカは今後警察官役を無償で果たせないが、同盟関係(相互関係ならば)はまだやりますと言う段階です。
これが相互防衛条約=集団自衛権が必要になって来た我が国の事情です。
※ただし日本の場合「アメリカが非武装を強制してその代わりアメリカが守ると言う約束です」からこの辺が他国とは条件が違います・・念のため・・。
平和憲法の根幹は、市民と警察のような関係・・アメリカ軍が駐屯して日常的に平和を守ってくれることが前提・・「警察が犯罪を制圧する前提であって、国民が自力で警察官が来るまで強盗犯と渡り合う関係」ではありません。
アメリカが世界の「警察官役をやめて普通の軍事同盟関係に戻る」と言えても、日本に対しては、平和憲法を強制した以上・・あるいは核武装を禁止している以上は核の脅威から守る義務がありますから丁寧な擦り合わせが必要でしょう。
「核の脅威から守らない・・自力で守れ」と言いながら、核兵器所持を禁止・・核不拡散条約遵守を求めるのは矛盾してしまいます。

アメリカの軍事費分担要求

軍事費分担問題に戻りますと、トランプ氏の要求は選挙用に単純化して基地維持費の負担増を主張しているだけであって、問題は日本駐留の軍事基地コスト分担だけの問題ではありません。
仮に沖縄からグアムに移転しても南シナ海等のシーレーンを守って欲しいならば、シーレーン防衛分担金を払う必要がある点は変わりません。
(ソマリア沖の海賊対策に、日本も既に自衛隊を出しています)
自分のムラでの犯罪ではなくとも隣村の捜査に協力するように、世界の安全は相互作用で成り立っています。
日常経費である基地維持費の分担金比率上げの外に、有事の出動費はその地域で全額持てと言う時代が来るのでしょう。
西太平洋全域の防衛能力をグアムが持つようになると、当然グアム島だけを守るのに必要な防衛力の何十倍もの軍事力になります。
警察署は自分の建物に対する泥棒除け以上の防衛力を持っているので警察署への強盗がはいらないのと同じです。
沖縄基地が、周辺海域全部の防衛を兼ねている以上は、沖縄(あるいは日本列島全域)防衛に必要以上の軍事力ですから沖縄を攻撃するのには、周辺海域全部と戦う以上の攻撃力が必要になります。
沖縄を狙う勢力にとっては沖縄駐留米軍を一日も早くグアムへ移転させたいのは当然です。
ある家に強盗に入ろうとする場合,隣近所にある警察署がなくなる方が便利です。
米軍がグアムへ行ってもイザとなれば応援に来れれば同じことですが、その場にいるのとワザワザ遠くから出て来るには相応の決断がいるので、実戦的には大きな違いです。
国や地域全体では守備隊がいた方が安心ですが、基地や警察を狙うテロが頻発すると近くに基地があると逆に危険感が増しますし、テロ被害がなくともジェット機の発達で騒音被害などが生じます。
このように経費負担しても良いから来て欲しい・・警察署や軍事基地が近い方が良いのか遠い方が良いのかは、国民の価値観によりますし、時代状況にもよるでしょう。
アメリカは世界の警察官役(軍事的睨み)をやっている結果,(日本など基地所在国に相応の分担をさせて)自国防衛に必要以上の巨大軍事力を維持出来ている・・世界先端兵器の開発や維持が出来ているのですから、世界の警察官(軍事解決)役を単純放棄すると、自国だけの防衛能力維持すらも怪しくなって行きます。
ですから、トランプ氏が大統領になっても誰がなってもアメリカ自身の国際競争力の低下→経済力縮小に応じて徐々に軍事力削減して行く方向は変わらないと思われますが、強大な軍事力を背景とするいろんな利権(軍需産業だけではなく派生する波及効果)と結びついているので軍事力削減は単純ではありません。
そこで守って欲しいならば、分担金を払えと行って、よその国の経費で一定の軍事力維持を図っていく方向になります。
アメリカは日本や独逸に物造りでは負け始めて久しいですが、今残っているアメリカの強みはユダヤ系の得意な金融の外、知財関係ですが知財は高度な軍需産業の存在と密接に関連しています。
軍需産業を縮小すると知財の足腰が弱ってきます。
経済活動の大方が物造りに関連しているので、金融や軍需産業とその関連で派生する知財産業の優位性だけでアメリカの巨大な人口を養うには無理がありますし、多くの人に職場提供することも出来ませんので知財や金融に特化すればするほど大きな人口は無駄=マイナス要因になります。
世上人口ボーナス、オーナス論が盛んで(私はこれに基本的反対であることはあちこちに書いてきました)これにそってアメリカもEUも移民を増やして来ました。
移民の大多数は底辺労働者=平均賃金以下ですから、アメリカや欧州が移民を入れれば入れるほど金融・知財収入で養う人口が増える・・負担が増える一方になります。
知財(アップルの大成功で労働者が増えたのは低賃金工場のある中国であってアメリカでは殆ど雇用に役立っていません)や金融に頼る社会は、一握りの億万長者と無職失業・低賃金労働者の2極分化社会ですから、当然格差社会化が進みます。
イギリスはアメリカよりも1世代以上早く製造業で負けてしまい金融に特化して来たので、格差が顕著になって来た・・これがEU離脱を勢いづかせている基礎的経済背景です。
EU離脱論は憂さ晴らし的に難民流入が行けないと言うスローガンに飛びついていますが、社会構造が中間層不要・・未熟練動労働者=非正規・移民で充分の状態が背景にあります。
マスコミは、「移民反対と言うけれどもこの地域の農業は移民が過酷な労働に耐えているから成り立っている現実がある」と言うイギリス農業の紹介が時々出ます。
工場の低賃金労働も移民が働いているから成り立っている現実→これがまた移民が職を奪うと言う主張と重なっていますが・・・。
アメリカの工賃が中国に負けないくらいに下がっていることをアメリカが豪語し国内製造業回帰を宣伝出来るのは、低賃金労働を厭わない移民増加の御陰でしょうが、裏から言えばその分低賃金層増加・格差拡大に繋がっています。
アメリカの移民排斥を主張するトランプ氏の本音は格差拡大の不満を移民排斥論にすり替えている点ではイギリスのEU離脱論と同じでしょう。
格差拡大反対だとスケープゴートを仕立て上げ難い・精々金融機関が儲け過ぎと言う程度ですが、移民反対の方が標的を作り上げ易い・・大衆をあおり易いからです。

経済不振と排外行動のツケ1

最近突然噴出したクリミアやウクライナ紛争も、ココ1〜2年の資源・原油価格の値下がりによるロシア経済の悪化によってプーチン政権が苦境に陥っていることが背景にあると言われています。
解説を読むとそれなりの長い確執もあったのでしょうが、あっさり武力侵攻に踏み出すのはそれなりに差し迫った動機があったと見るべきでしょう。
シリア問題等国際交渉ではオバマはプーチンにやられっぱなしの印象ですが、オバマ大統領には恥をかかせたかも知れませんが、国際会議の主導権を握って国際的に得点を稼いでも、経済停滞が始まったロシア国民には何の意味・メリットもなかったと言うことでしょう。
国内不人気挽回にはどこの国でも、国粋主義的領土拡張主義が最も手っ取り早い手段です。
プーチンは速攻でクリミアを占拠してすぐに領土編入してしまうその手際は鮮やかでしたが、その瞬間だけは国民は喝采するでしょうが、実際の景気が悪くて月末の支払に苦しんでいる人や失業者はすぐに現実に戻ります。
泣いている赤ちゃんにミルクをやらないで大きな音を出して瞬間的に泣き止むのを期待しているようなもので、お腹の空いている赤ちゃんは、一瞬驚いて泣き止むもののすぐにまた泣き始めます。
不満の基礎を取り除かない排外行動は、絶え間なく起こさないと国民の関心をそらし続けられません。
プーチン政権は、絶えず国民の関心を集める事件を必要としていたためにクリミア編入の成功で手じまいに出来ず、引き続きウクライナ東部騒乱を煽る必要があったのでしょうか?
とは言え、ただでさえ経済が悪化しているのに、騒乱に軍事介入または背後での援助を続けると軍事費負担もバカになりませんし、欧米による経済制裁が利いて来てもっと経済停滞が進むので、国民の不満がよりいっそう強くなりかねません。
排外行為による国民の興奮は一時的なものですから、膠着状態が長引いた場合、経済苦境拡大による政権ダメージの方が強くなってしまいます。
苦しいから目くらましに始めたのに、対外紛争拡大によって軍事費の膨張によって、なおいっそう国民経済は苦しくなって行きます。
排外行動で愛国心を煽って国民の目をそらせるやり方はその間に経済好転する見通しがあれば別ですが、上記のように事件が終われば、その間に実体経済が好転していない限り不満がまた出て来ます。
しかし、経済好転の見通しがないから排外行動に打って出るしかなくなった状態で始める以上は、短期間の排外行動でその間に経済が好転している筈がありません。
赤ちゃんで言えばミルクを貰わないままびっくりさせられて一時泣き止んだだけですから、その間にもっとお腹がすいています・・大きな音が止めばまたもっと大きな声でな泣き始めます。
補給するミルクがない以上は、もっと大きな音を出して赤ちゃんをびっくりさせるしかない・・一旦国民不満のはけ口に排外行動を始めると際限ない対外軍事行動の拡大を続けるしかない・・終わりのない戦いになり兼ねません。
韓国の場合・・軍事行動を起こさないで日本の悪口を世界中で宣伝しているだけですから、まずいと思えば(日本が謝って来たからと言う口実を設けて・・多分水面下で朴大統領の顔を立てられるような形を付けてくれと言うお願いが来ている筈です)これをやめれば良いと言う安易な考えで始めたものでしょう。
慰安婦問題の河野官房長官談話もこう言う形で応じてやって来た結果ですが、・・この談話を利用して来る・・禁じ手を使って来る国ですから、今回は表面上顔を立ててやる解決をすることを日本国民は許さないでしょう。
韓国大統領は引っ込みがつかなくなって今回は勝手が違って困ってしまい、「毒を食らわば皿まで」と言うことで、反日批判で歩調を合わせられる中国接近を図ったと言えます。
国内不満そらすために直接的な排外行動を起こすと、終わりのないことになる傾向があると書いたことの韓国政治版です。

アメリカによる歴史ねつ造5と極東軍事裁判

今世界中どこで聞いても分るように日本人個々人は世界で最高に本当に優しいし規律もしっかりしています。
日本人と韓国人、中国人のどちらが信頼出来るか世界中のどこで聞いてもほぼ答えは決まっているでしょう。
日本人個々人がしっかりしていれば、いつの日にか当時の日本兵も(今の日本人同様に)規律がしっかりしていて、現地人に優しかったことについては、世界中の人が信じてくれる筈です。
アメリカや中国によってあこぎな宣伝が如何に大量になされようとも、具体的な日本人を知っている人の方が多くなれば、世界中の人々が日本の方が規律正しい兵士だったと信じてくれる時期が来るでしょう。
日本をいつまでも卑屈にしておくためにありもしない道義非難を繰り返す・・日本の影響の及びそうな地域には戦時中日本が如何に残虐な行為をしたかを言いふらす・・これに徹して来たのが米国やイギリス・オランダ・中国、韓国朝鮮だったことはまぎれもない事実です。
日本の道義違反を言い立てるための儀式が極東軍事裁判だったことになります。
極東軍事裁判を否定することは米国中心に作った戦後虚偽秩序の否定になるので、中韓は(敗戦直後にトラの威を借りて威張っていたのと同様に)靖国神社参拝批判を錦の御旗のようにいつも強調します。
ちなみに極東軍事裁判は日本の道義非難が目的でしたから、ちょっとしたことでも探し出して来て針小棒大に極東軍事裁判では事件化するのが米英蘭中の戦勝国の基本方針でした。
この壮大なでっち上げ裁判・・虚偽の歴史を作る試みにおいてさえ、南京虐殺や慰安婦問題等は当時話題にさえ全く出て来なかったのです。
当時こんな大変なことがあれば当然主張した筈ですし、日本は嘘・・でっち上げでも受入れるしかない・・当時何の反論も出来ない弱い立場でした。
・・当時想像さえ出来なかったのに戦後50年もたってから・・当時の人がみんな死んでしまってから死んだ人が言い出したのか?誰が言い出したのか韓国や中国がイキナリ問題にし始めたのですから、如何に欺瞞に満ちたものであるかは、この一点だけでも分ります。
ところでアメリカを中心とする戦勝国による日本悪玉論のでっち上げ作戦は、世界的に見れば、実は大失敗に終わっています。
・・日本軍が占領した諸国の中で架空の日本軍の残虐性ストーリーに反応・協力したのは中国と韓国だけで、その他の国々・・インドシナ半島諸国やフィリッピン、台湾等太平洋の南洋諸島等多数の国々ではどこもこれに応じませんでした。
逆にルックイーストの標語で知られるように、東南アジアでは日本に対する贔屓が強い状態です。
世界中は中韓のように、嘘でも何でも自分に有利なら一緒になってはやし立てるような狡い民族ばかりではありません。(有り難いことです)
日本ではこの実態がまるで報道されず(アメリカが報道させなかったのでしょう)世界の孤児と言われて私たち世代は育ちましたが、実際には戦勝国の邪悪な試みは中韓を除いては頓挫していたのですから、国際政治の場においても日本人は(正しいことはいつかは正しくなると)自信を持って生きて行くべきです。
中韓によるあまり虚偽の宣伝が激しいので放置すると世界中の人が誤解してしまう虞れがある・・あるいは認めていると誤解される虞れがあるとすれば、日本の主張が正当な根拠を冷静に主張しておく必要はあります。
しかし、中韓に合わせてこちらも大声で言い返す・・宣伝して回るのは、こちらまでレベルが下がってしまう感じで恥ずかしいことです。

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