日本ケミカル業界の現状

昨日みた通り韓国では原油相場に左右されてケミカル業界全体が大幅減益のようですが、日本のケミカル業界はどうなっているか比較してみます。
http://blog.knak.jp/knak-mt/mt-search.cgi?search

化学メーカーの2019年3月期決算
knak (2019年5月28日 09:12) | コメント(0)
化学メーカーの3月期決算がほぼ出揃った。
各社の決算状況は http://www.knak.jp/kessan/
化学メーカーの2019年3月期決算

日本のケミカル業界では韓国ケミカル業界の大幅減益基調と違い、信越化学だけでなく前年比増の企業もありまだら模様です。
どう言う違いか信越化学の業態を調べてみました。
http://blog.knak.jp/2019/05/20193-1.html

信越化学を見てみるとリーマンショック後の減益を経て徐々に回復し最高益更新中のようです。
石化製品の単価下落に韓国勢は困っているようですが、製品構成を見ると日本は塩ビ等石化一辺倒をとっくに卒業していることがわかります。
以下の一般的評論が見つかりました。
https://gyokai-search.com/3-chem.htm

化学業界の現状と動向(2017-18年)
プラントの停止、汎用品分野からの撤退など動きが活発化
近年の化学業界は、低価格した汎用品分野からの撤退、プラントの停止など収益性の向上を図る取組みを積極的に行っています。

たまたま日本での借換債発行失敗に驚いて韓国のケミカル業界の業績と日本業界との比較を見た次第ですが、日本は石油原料の一次?加工に頼る汎用量産型→市況型産業から早期転進に成功しているようです。
市況型産業の典型は半導体生産業界ですが、日本企業は早期に市況変動の激しい半導体生産から徐々に手を引いて、明日紹介するように製造装置や部材供給側に転身してきました。
備品供給も市況の変動を受けますが、末端売り上げが半分になっても装置供給側の影響は数%下がる程度でしょう。
ファナックその他工場設備の製造装置業者も好不況の波の影響を受けますが、一旦設置すると10年以上使うものですから、数年ごとの市況変動の平均値になる理屈です。
その他部品系も末端消費財完成材の売れ行きに影響を受けますが、緩衝になる工程が多い分ショックは間接的ですので波動のショックは緩やかです。
成熟社会化した日本の産業はあらゆる分野でBtoB主力に切り替わりつつあります。
今回の韓国の反日不買運動についても末端消費財を売る業界・ビールなどの影響は大きいですが、フッ化水素など高度部品は日本からの禁輸にビクついてついている状況で不買運動どころではありません。
韓国の対日貿易赤字の大部分がこういう高度部品に占められているので、不買運動をしてもその効果が知れています。

新興国市場(韓国ケミカル業界の現状)

韓国を含めた新興国市場(別名エマージング市場と言われる所以です)は成長が急激な代わりに政変を含めて危機も急激(ナセルによるスエズ運河接収など権力者の決断に左右されやすい傾向があり、他方大国に対して威勢の良いことを言うものの逆に大国の金融政策その他(米中対決など)の影響が増幅されて波及しやすい)ので、外資にとっては如何に速やかに進出撤退できるかが重要です。
結果的に韓国資本市場が「足の速い資金」流入が中心となっているとしても、新興国市場の特性であり止むを得ないところです。
韓国への資金流入が直接投資の場合定着性が高いのですが、足の早い資金中心の場合外貨準備が増えたと言ってもその分外資流入比率・リスク資金率が上がっただけの場合があります。
結局直接投資が増えているのか減ってるのかが韓国将来性を投資家どう見ているかの指標となります。
新興国市場とは新興→リスクも大きいが成長も激しいのが特徴です。
https://kotobank.jp/word/%E6%96%B0%E8%88%88%E5%9B%BD%E5%B8%82%E5%A0%B4-183672の用語解説は以下の通りです。

経済発展の初期にあって成長率が高いアジア、東欧、ラテン・アメリカなどの国々の証券市場を指す。代表的なものは、BRICsと呼ばれるブラジル、ロシア、インド、中国の市場。いずれも高い経済成長率を誇り、世界中から投資資金を集めた。しかし、規模や制度面などから見るとまだ全体的に未熟な段階の市場が多い。
また国内に十分な投資家層が育っておらず、規模が比較的小さい市場も多い。このため、海外からの資金の流入や流出で大きく株価が変動するリスクがあり、先進国の経済動向や金融情勢に影響を受けやすいという脆弱(ぜいじゃく)さが指摘されている。
(熊井泰明 証券アナリスト / 2007年)

韓国市場に関する約10年前の記事ですが
https://www.iima.or.jp/docs/gaibukikou/gk2009_07.pdfによれば以下の通りです。

資本市場月刊

アジア株式市場のいま
財団法人 国際通貨研究所開発経済調査部主任研究員糠谷 英輝
・・・月刊資本市場 2010.3(No. 295)66

存在感の大きな外国人投資家
投資家別の株式保有シェアを見ると、個人、事業会社、外国人がそれぞれおよそ30%を占めている(図表10)。また投資家別の株式売買シェアを見ると、ここでも個人が49%と圧倒的なシェアを持ち(注6)、これに外国人がシェア27%で続いている(図表11)。いずれにしても機関投資家の存在感は極めて薄く、株式市場は個人と外国人に大きく依存していると言えよう(注7)。■3.韓国株式市場の特徴韓国株式市場の特徴としては、外国人投資家の存在感が極めて大きく、国内機関投資家の育成が遅れていること、店頭市場であるKOSDAQが国際的にも大きな市場となっていること、ELW(Equity Linked Warrants)・ETF市場が急速に拡大していることなどが指摘できよう。
〈コラム〉「韓国は先進国か?」
・・・モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)の指数では、韓国は新興国(Emerging)とされている。MSCI指数における韓国の先進国への格上げは期待されているが、未だに実現には至っていない。MSCIは、韓国市場の障害として、通貨ウォンの交換性がないこと、外国人投資家がOTC取引を行えないことの2点を指摘している。

どこか別の説明では韓国はこの定義中、メキシコやインド等のネクスト11に入っているようです。
ここで個別銘柄・ハンファケミカルの企業情報を見ておきます。
https://korea-keizai.com/hanwha-chemical/

韓国経済・COM
ハンファケミカル【企業基本情報】
2019/01/07

図表省略しますが18年を15年に比べれば良いですが16、17年に比べると18年はかなりの売り上げと利益減です。
19年に入るとハンファに限らず化学業界全部が約半減状態らしいです。
https://korea-keizai.com/20190408petro-chemtech/

【業績速報】ハンファケミカル営業利益半分
2019/08/07
第2四半期の営業利益976億ウォン、 前年比47.1%減少
基礎素材の不振、太陽光の実績も期待に及ばず

1Qの当期純利益 LG化学53%↓、ロッテケミカル43%↓、ハンファケミカル56%↓
国内の石油化学業界が、市況がなかなか回復せず、第1四半期の業績が低迷する見通しだ。証券会社各社はLG化学、ロッテケミカル、ハンファケミカルなど石油化学企業の第1四半期の営業利益を前年比最大50%まで減少するだろうと見込んだ。

上記業界全体の業績推移を見るとハンファが日本での起債に失敗したのは、日韓関係悪化にのみ帰する訳にはいかないでしょう。
そうとすると米国での起債計画やり直しは、よほど金利を高くしないとまた失敗してしまうリスクが高まります。
国外資金調達に失敗して国内緊急融資に頼るとしても、業界全体が利益半減状態では、特定企業救済では済まない・業界全体で外債の借り換え債発行がスムースにいかない・救済問題になりかねないので韓国全体の金融能力にかかってくるリスク→為替相場への波及も視野に入れる必要が出てきます。
米中対決がどのようになるかによっても新興国市場に波乱が起きますが、韓国の場合最早新興国を卒業しつつあるのではないか?
停滞国へ逆進が始まっているかの疑問で書いています。

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