海外収益の還流持続性4(外資の国有化)

生産基地としての中国の工場は、昨年来の人件費上昇政策の結果、立地する魅力が薄れベトナム等への工場移転もしくは、新規進出が盛んです。
これをもって、中国の高成長は終わりだという感想を持っている人が多いのですが、
世界最低賃金で勝負する時代から、もう少し中程度の賃金水準で輸出出来る国に引き上げて行きたいと言う中国自身の選択の結果と言えないこともありません。
中国は低賃金工場・熟練度の低い生産は民族資本で出来るようになったので、人件費アップ政策により、世界最低賃金を目的とした外資を事実上追い出しにかかっていると見ても良いでしょう。
「中国の人件費が上って来たからもっと安いところへ・・」とは言っても、すでに巨額投資しているので進出後数年で設備を叩き売りして移転していたのでは採算が取れません。
そこで、直ぐには撤退出来ずに中国国内でも出来るだけ機械化して高効率化、高度製品生産に日系企業は努力している・・中国国内企業レベルアップ化に協力している状態で、中国の思い通りの展開になっています。
こうした繰り返しで中国の国内人材はレベルアップして来て、中程度産業・・行く行くは高度産業でも日本の競争相手になって来るでしょう。
世界企業としては次々と次の新興国へ投資先を移動して行くしかないのでしょうが、どこへ行っても一定時間経過でその国への技術移転が進むしかないので、いつの日にか国際平準化が完成する時代が来れば、・・海外収益の国内還流方式も終わります。
タマタマ5月11日の日経新聞第6面を読んでいたら、アルゼンチンでは今年の4月に外資の国有化を宣言し、これにベネズエラが支持表明するなど国有化の動きが中南米で強まっているとのことです。
来日したペルーの大統領がペルー進出企業の国有化はしないと発言した(ので安心して投資して下さい?)と大きく出ていました。
中国のように進出企業で働いた従業員・・例えばコンビニ等で働いて接客サービスを身につけるなど実力を蓄えてから独立して、競合する日系企業を追い出すのは無理がありません。
これに比べて、中南米や過去のアフリカ諸国のように独立したときの勢い・強烈な民族意識だけで外資を国有化してしまうと外国人を追い出した後の運営がうまく行かず、経済が崩壊してしまうリスクがあります。
チュニジャやリビヤ、エジプトなどの民主化運動でも同じですが、現政権を倒した後に政権を担える人材が育っていないのに、感情に任せて現政権を倒すと混乱が続くばかりとなります。
国有化した国が混乱するか否かは別として、追い出された外資は大損害ですから、外国への直接投資の場合にはこのリスクを常に考慮していなければなりません。
ちなみに短期投資・債券や株式は外国の株を買っても、いつでも市場で売って逃げられるので工場進出のような大きなリスクがありません。
そこで、新興国では長期資金=企業進出の場合は、質に取ったようなものでかなり無理を言っても簡単に逃げられる心配がないし、国内技術水準の向上・雇用増加に繋がるので歓迎ですが、投機資金・短期資金の流出入に対しては厳しく規制しているのが普通です。
短期資金は逃げ足が速いので、(アジア通貨危機の原因になりました)アメリカの希望する金融自由化交渉においても新興国・後進国はその自由化には慎重です。

海外収益の還流持続性3(中国の場合)

中国政府は今のところ外資導入が必要なので黙っていますが、国内産業・人材が成長して外資と競合するようになれば、この主張が大きくなって・・政府がその気になれば直ぐに大規模デモになって・・現実化するでしょう。
当面最低賃金の引き上げや法人税率・社会保障その他の企業負担(事業所税や固定資産負担など)を引き上げて行けば良いので簡単です。
昨年から問題になっている短期滞在者に対する年金支払義務化もその一環です。
数年〜5〜6年しか駐在しない日本人は年金を払わされるだけで将来もらえないことが明らかですから、(どこの国でも年金受給資格としては一定期間以上の掛け金が必要です)社員は給与から天引きされる・この間の日本国内での年金受給期間が空白になると困るので2重に掛け金を支払わなければならないし、企業は半分負担させられるし・・「中国人を雇わないと損するぞ」という脅しです。
昨年来のギリシャ・欧州危機の結果、欧州からの投資が減って中国は今では資本不足に陥って、上海株式市場も人民元相場も大幅下落しています・・まだまだ自前の資金・技術が足りない国ですから、今のところまだ海外からの投資が欲しいので、年金加入強制実施が先延ばし(地方政府に一任する形式で)になっています。
技術は資本とともに入って来るので、技術を身につけるには企業進出=長期資本投資を求めざるを得ないのが今の中国であり新興国です。
サービス業を例にとれば、国民が接客態度その他を身につければ、将来的に外資が邪魔になってくるので、こうした形で、次々と日本企業を邪魔にし始めるのは目に見えています。
5月3日の日経朝刊では、中国の人件費が2割前後も上がって来て、生産基地としての魅力が薄れ、今後は消費地=市場対象国としての評価になって来ているという大きな見出しが出ています。
現に最近の中国アジア等への日本からの進出企業を見るとコンビニ系を中心に販売業種の進出が盛んです。
こうなると中国にとっては、輸出減・国内生産業が過剰になって来るので、製造系外資は邪魔になって来るのは目に見えています。
中国にとって外国資本は中国国内に投資してくれて輸出で稼いでくれる限り意味があります。
外国から進出した企業から技術を学んだ従業員が独立した国内民族資本で輸出出来るようになったり、外国資本の生産品の輸出が鈍化すれば製造系外資は邪魔なだけです。
デパート・コンビニなど内需型で稼ぐ産業の場合、日本的サービスが身に付きさえすれば何かと嫌がらせをして追い出しても、同レベルに達した国内企業・人材が入れ替わるだけで損がありません。
実際このような状態になって来ると競争激化で、収益率が低下するのが普通ですので海外からの投資収益の回収率自体が低下して行きます。
従業員のレベルが外資でも民族資本でも同じようになれば、外資は民族資本に太刀打ち出来ません。
外資がよその国に進出してやって行けるのは、技術レベルに格段の差がある場合に限られます。

海外収益還流持続性2

話がそれましたが、2012-5-5「 海外収益還流持続性1(労働収入の減少1)」以来の海外収益持続性に戻ります。
年金や保険システムは給与天引きが基本ですので、総収入に占める労働収入比率の低下年金や保険料負担率を実質低下させて行く(収入に対する負担率が下がり続けている)ことを無視出来ません。
資本収入比率が多くなっているのは若者でも同じで、デイトレーダーの多くは若者になっています。
年金保険システム維持が困難になって来たのは、若者の収入減だけではなく、資本収入比率が増えたのにこれからの年金や保険料徴収システムが完備していないところにあることをJanuary 12, 2011労働需要減少と就労者増」でも書きました。
ところで、老いも若きも資本収益に頼る経済を国家規模で見れば海外収益の還流ですから、海外収益の還流に永続性があるのかについて考えておく必要があります。
昨日の日経新聞夕刊第1面では、2011年度の日本の国際収支速報に基づき貿易・サービス収支赤字が3兆4495億円、所得収支黒字が14兆2883億円、経常移転収支が1兆0929億円差引経常収支が7兆8900億円の黒字と報道されています。
ちなみに移転収支赤字とは、海外勤務地からの出稼ぎ送金や留学資金などの送金などの収支です。
この中で唯一黒字になっている所得収支とは、利子配当等のいわゆる資本収益です。
我が国の現状は、(昨年は地震と原発・タイの大洪水と三重苦でしたので例外ではあるものの)現役が働いて稼ぐ方は赤字で、利子配当(過去の稼ぎ)で黒字になっていることが分ります。
個人の人生に比喩すれば、めったやたらに働いて将来に向けて貯蓄する時期が終わって、ほどほどの時期も終わり、高齢化して稼ぎと支出がトントン近くにさしかかり、ちょっとした変調でも直ぐに赤字(風邪を引く)になる年齢なので、こうしたときには過去の貯蓄の配当(個人で言えば退職金等貯蓄の取り崩しや年金)で下支えしている状況と言えるでしょう。
隠退した高齢者にとっては自分の貯蓄の取り崩しを年間いくらまでした場合、何年生きて行けるかが気になるのと同様に、我が国経済も過去の蓄積の取り崩しで何年持ちこたえられるのか、そもそも海外収益の還流制度が保障されているのかが気になるところです。
March 8, 2012「グローバル化と格差27(賃金センサス)」のブログで中国の人件費が紹介されていた3月4日の日経新聞の記事を紹介しましたが、そこの論旨は中国では単なる賃上げ闘争が始まっているのではなく、日本企業の搾取がテーマになりつつある現状でした。
すなわちそこで紹介されていた事例は、社員食堂で食事していた日本人幹部社員が、現地従業員10人あまりに給与格差が大きすぎると詰め寄られた模様を紹介していたものです。
上記ブログ前後で賃金センサスに基づいて書いているように、日本国内の一般工場労働者でさえ中国人の10倍以上ですが、現地駐在員・幹部となれば(海外出張特別手当を含めれば)もしかしたら100倍前後になっているかも知れません。
この目のくらむような格差に対して中国人から詰め寄られた記事です。
「日本は物価が高くてこのくらい貰わないとやって行けない」とその幹部は説明して中国人従業員グループは納得して引き下がったという記事ですが、実際には誰も納得していない・・その場は一応矛を収めたに過ぎないと見るべきでしょう。
長期的には現地従業員を安く使って日本は収奪しているという議論・・投資収益の本国送金に対する反発圧力が近い将来起きて来るのが必然です。

海外収益還流持続性1(労働収入の減少1)

  日本も直接投資比率が低い点が問題・・債券相場に左右されるリスクがある点は同じですが、日本の場合国内金利が世界最低水準なのでどこの国債・・もっとも信用の高い物=低金利の債券を買っても損がない(日本が世界最低金利国ですから)点が有り難いところです。
繰り返しになりますが、国の安全のためには結局は対外債権の範囲内・・長期的経常収支黒字の蓄積の範囲内で外国人投資家に保有してもらうしかない・・それ以上になると借金経済に陥っている・・危険ということです。
対外純資産と言っても直ぐに換金出来る国債や社債などと直ぐに換金出来ない直接投資がありますので、差引黒字でさえあれば安全とは言い切れませんが、債券投資残高が外国人の日本国債等対日債券保有残高以上であれば一応安全です。
(一応と言う意味は、May 1, 2012「税と国債の違い4(市場評価)」に書いたように対外債券がいくらあろうとも民族自決の視点から国債保有は外国人比率を最小限にすべきだという基本的な意見によります)
人によっては債券をすべて売ることが出来ないから・・と言う意見がありますが、それを言い出せば外国人の方も決済資金として一定額保有していなければならない点は同じで、彼らも全部売りにかけることは不可能です。
共同体維持のために使う資金が国債発行によるか税によるか寄付によるかは、あまり問題ではない・・それよりか民族資本(収入の範囲内)によるか否かが重要であることがこれまでの検討で分りましたが、その資金の出所がどうなるかが重要です。
国債発行で吸収する資金源は何かと言うと、これからは貿易黒字によるのではなく、海外投資収益の還流に頼って、(国内個人金融資産の原資です)高度な社会保障(一種の補助金です)を続ければ良いという意見もありそうですが、これの持続性を維持することが可能かどうかの検討をしておきましょう。
資金源が貿易収支黒字による場合は、その年に国民が生産した結果の超過収益ですからその超過生産に関与した人と関与出来なかった人との格差是正のために税や国債によって資金を吸収して所得の再分配をしても、それほどの問題がありません。
貿易黒字(現役労働者の収益格差ではなく)がなくなり、資本収益(退職金や年金同様に過去の労働収益です)による格差が生じているのが、現在の日本あるいは先進国共通の課題です。
現在高齢者が豊かで若者が苦しいのは、資本収益の比率が上がって来た社会で高齢者が過去の蓄積・・資本収益があるのに対して、若者には自分の現在の労働収益しかないことによります。
マスコミ報道では年金その他で次世代が損をしているかのような書き方・世代間対立を煽る報道が多いのですが、実際には、何万人に一人の大成功者以外・多くの次世代が親世代の世話になっている方が圧倒的多数でしょう。
非正規その他貧しい階層は貧しいなりに、親の県営住宅に居候したりしていて、大学を出てもマトモな職がないので食費すらマトモに入れていない若者が一杯います。
仕事がある間アパートを借りていても仕事がなくなると親の家に戻ったり(当然収入がないので1銭も入れません)している若者もいくらもいます。
(都会地の若者はこの点で有利なことを書いたことがあります)
非正規雇用どころか、普通の正規雇用に就職出来た若者でさえも、親から貰ったり、(結婚式費用を援助してもらったりマンション購入資金の一部援助をして貰ったり)あるいはまだ現に貰ってる(親の家に居候して親に負担掛けている)分より自分の方が多く出している例は万に1つもないでしょう。

海外資産残高2(民族資本)

韓国や中国その他新興国では対内投資が多いのは、資本の蓄積がないにもかかわらず背伸びして投資して一刻も早く国内工場を立ち上げるために外資導入が必要だから起きている現象です。
資本導入・・外資からすれば資本進出の要望は明治維新前後から・・グローバル化前にもありましたが外資=他民族支配を恐れた各国が外資導入を厳しく規制して来たことから、それほど激しくなかっただけです。
ソ連崩壊以降、アメリカの主催する自由主義経済に参加しないことにはマトモな経済発展が出来ないことが明らかになりました。
世界中が雪崩を打ってWTO・・共産主義を標榜する中国でさえ、貿易自由化を迫るWTO条約加盟せざるを得なくなったことから見ても明らかでしょう。
ずっと以前からアメリカ主導のIMFを中心とする金融取引・資本自由化圧力は強く、OECD加盟国は先進国クラブとして、原則資本自由化・金融取引自由化に取り組んで来ました。
開発途上国もアメリカ金融資本の意向に逆らえずにこれに唯々諾々と応じて来たことから、(外資導入による産業近代化で経済発展で来たメリットもありましたが・・)東南アジア諸国や韓国が97〜98年のアジア通貨危機でひどい目にあいました。
今のギリシャ危機同様で、IMF(アメリカ金融資本に都合の良いような仕組みに制度設計させられ)の言いなりにさせられ、まさに債務奴隷のような状態になりました。
国民の痛みを強引に切り捨てて行く大改革の結果、今の韓国財閥の躍進に繋がっている面がありますが、その裏では、富の偏在(1%の人が所得の6分の1に達しているという記事が昨日あたりの日経新聞に出ていました。・・アメリカに拮抗する格差社会になっているとの報道です)国民の殆どが少しでも「資金が出来たら外国へ逃げ出したくて外国籍取得希望をしている」という歪んだ社会を作り出しています。
中国の場合も韓国同様の国民意識(外国籍取得希望が多い状態)ですが、金持ちから順に自分の国を捨てて外国へ移住したいと望んでいる国って、国民のための政府とは言えないでしょう。
こんなことになったのは、政権維持のために外敵を作り出すことがあって国民がこれに迎合している行動から如何にも愛国心が強そうですが、本来の意味の民族を愛する意識が育っていないところに・・それだからこそ外資導入に抵抗が少ないのでしょうが・・)企業まで外資に支配されていることから来る結果です。
資本・金融自由化に戻しますと、中国の場合日本の漸進的な資本・金融自由化の経験を研究して(改革開放に際しては日本が親身になって協力してきましたので・・日本研究者によるアドバイスも行われていました)慎重に進めていたので、アジア通貨危機のとき大きなダメージを免れています。
実際にはそのときには中国でもかなりの資金流出があったようですが、まだ長期投資熱の盛んなときで流入分の長期投資が多かったのでプラマイゼロというか、危機に至らなかったようです。
今回のギリシャ危機では中国への投資熱が下火になりつつあるときですので、流出の方が大きいらしく人民元がじり安になりつつあります。
欧米からの投資が急減し(むしろ引き上げが加速し)、今大規模投資を続けているのは日本くらいですから、今のところ中国は日本に対して威丈高の態度(ゲンキンな国です)を取らないようになっています。
韓国もウオン暴落気味で、日本からの金融支援が必要な状態です(ここ数日の報道では日本政府は韓国国債を一定額購入する方向で調整しているようです)ので今のところ低姿勢です。
ついでに書きますと、資本自由化と言っても短期資金と長期資金の区別があって工場設備資金など長期資金は、経済危機があっても逃げ足が速くなく安全資金になっているので、国際交渉では短期資金の規制が重要になっているようです。
韓国の場合IMF8条国にも移行していますので、為替が完全自由化しているほかOECD加盟国のために短期資金流出入に関しても規制が出来なくなっていると思われます。
リーマンショック以降外国人投資家は、韓国の株式を売却して債券投資にシフトするようになっているようです。
サムスンや現代財閥等の躍進が頻りに報道されますが、実際には巨額赤字受注で日本の受注を横取りしていることが多いと言われます。
(ブラジル新幹線受注競争ではあまりに無茶なブラジル側の要求に対して採算が合わないので日仏が撤退した後も韓国だけがブラジルの無茶な要求をのんで残ったにも拘らず、今度はブラジルが韓国の受注を拒んで取りやめになった例でも分るように、企業利益を度外視した赤字受注が多いので信用されなくなっていることが分ります。)
韓国の国内基準金利は当時5%以上を維持していましたので、2012-3-22「国債残高の危機水準とは?1」に書いたように、韓国中央銀行は逆ざやで苦しんでいたのですが、(08年ころには逆ざやで約6〜8兆ウオン程度の損を出していたようです・・)外国人投資家はこの逆張りで、日本やアメリカの低金利で調達した資金で高利(当時5、5%前後・・今でも3、25%前後)の韓国の国債を購入してサヤ抜きに転じています。
この結果資本収支は黒字(外国短期資本流入超過)でしたので外貨準備が増える一方となったので、前回のアジア危機と違って今回(ギリシャ危機前に)は外貨準備が2000億ドル以上あると豪語していました。
しかし、ギリシャ危機が現実化すると欧米からの資金引き上げに直面して直ぐに資金繰りが間に合わなくなって危機に陥って日本に頼んで昨年秋には日本からの融資協定で息を付けたのですが、これは外資導入による外貨準備に過ぎなかったことによるものです。
今朝の日経朝刊でも、チェンマイイニシアチブ(アジアでの金融危機時の融通協定資金)の倍額増資が報道されています。
韓国は、アジア通貨危機以降の貿易政策としてウオン安を人工的に作り出して対日貿易競争上の優位性を獲得して来ました。
中央銀行の方は外資流入によるドル資金を市中から吸収・・(しないとウオンが上がるのでウオン安政策上)ドルの買い支えするしかないのですが、そのドルを韓国内市中に放出するとウオンが上がってしまうのでアメリカでドルのまま利用するしありません。
外資が高利のウオンで運用するために持ち込んだドルを金利の安いアメリカで運用するのでは逆ざやです。
そこで、リスクの高い外貨運用に走ってリスクを大きく取ってしまったのが、(3月17日現在のウイキペデイアによれば外貨準備の10%を不動産担保証券運用しているとあります)韓国中央銀行です。
何しろ2008年当時の韓国の対外資産の約半分弱が外貨準備でした。
これがゼロ金利前後のアメリカ国債を買っていた・・逆ざや運用では溜まりません。
外国人投資家がアメリカの安い金利で借りて高利の韓国で運用して利息の差を稼ぎ、韓国中央銀行は流入した外資を1%のアメリカ国債で運用していたのですから、外資に良いように儲けられる一方だったことになります。
環太平洋戦略研究センター上席主任研究員 高安健一氏によると
(韓国の)「外貨準備は2008年6月末時点で2、581億ドルと、対外資産残高の45.1%を占めた。
これは2007年の名目GDPの26.6%に相当する。
ちなみに、1兆ドル程度の外貨準備を保有する日本の場合、対外資産残高に占め
る割合は18.1%(2007年末)である。」
と言うことらしいです。

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