目的と手段の取り違え社会(社会矛盾激化→反日の誘惑)2

9月30日に書きましたが、反日教育は数十年以上掛けて漸く効果が出る・・しかも始めると途中の政治家権力者がやめることが出来ない・麻薬的効果があるので、特定個人の権力維持政策とは関係がない・・江沢民の真珠湾演説の前に党を上げての永続的?反日で行く決定があったことが推測されます。
共産党政権の存続と反日は表裏の関係・・切り離せない関係にあると確認されたと思われます。
日本では11年の反日暴動ですべて終わったような印象操作がされていますが、中国としては日本が大震災で弱ったときでしかもアメリカとのすきま風が吹いている民主党政権時を狙って、イザと言うときのために実験・・小手調べをしただけでしょう。
中国の究極の目的は、この先必ず到来する成長ストップ(成長がストップしない国はありません)・・経済破綻による大混乱に際しての最後の切り札・・対日侵攻作戦を予定していたと見ておいた方が良いでしょう。
フィリピンやベオナムなど元々格下の国相手に戦争で勝っても、コクナイ危機時のストレス解消になりません・・古代から今まで勝ったことのない日本に勝つかヘコませることこそ最大の国威発揚・国民の目をそらせる手段になります。
先制攻撃である程度戦果を上げてから、ウクライナ危機のように、アメリカの介入による膠着状態に持ち込んだ方が民族意識鼓舞の持続性が高いと言う読みもあるかも知れません。
実は中国は前回のレアース禁輸のときと違って対日交渉では、絶対的な力を手に入れています。
南シナ海のど真ん中に軍事基地を設けた真の意味・・11年の反日暴動時と違って次は「日本向け船舶に限って南シナ海を通さない」と言い出したら日本は遠回りするしかない・・コスト的にお手上げです。
安倍政権は、これを前提にアメリカ産LNG輸入やロシアとの協商など輸入先の拡散に必死になっていますが、中東産原油の輸入比率を下げるだけであって、その他東南アジアとの交易に莫大な支障が生じます。
中国から日本(尖閣諸島など)先制攻撃は国際非難がきついでしょうが、これをしなくとも日本海軍が遠く離れた南シナ海に先に出動して船舶の護衛をしなくてはならない事態(補給その他ですごく不利)・・日本軍が先に領海を侵犯したと言う理由で中国は尖閣諸島や沖縄攻撃の名分を得る予定でしょう。
手段と目的の逆転社会の応用ですが、中国では経済破綻を防ぐ努力よりはアタマっから防げないと決めて・・破綻を小さくする努力をするよりも、危機対策・・危機乗り切り策の方に頭を使っているのではないでしょうか?
これまで書いているように権謀術数特化社会・・権力闘争・・権力維持策に優先的に関心が行く社会だからです。
今年に入って、中国の民間債務急膨張によって、中国の経済破綻(無駄な公共工事によるGDP底上げ努力や公的資金注入によってゾンビ企業の延命←投資に向かわない債務膨張によって明らか)先送りに必死ですが・・ネット評論だけではなくIMFでもハードランニングリスク論が表面に出始めました。
以下勝又壽良の経済時評2016-08-24 04:25:38によります。
中国、「慢性疾患!」過剰債務が招く経済急減速と元安リスク
8月12日に発表されたIMF(国際通貨基金)による、対中国経済審査では、「衰弱」を裏付ける幾つかの指摘が出ている。
(1)「国際通貨基金(IMF)は、中国のシャドーバンキング(影の銀行)関連の19兆元(約290兆円)に上る信用商品について、企業向け融資と比べハイリスクで、デフォルト(債務不履行)に陥れば流動性ショックにつながる可能性があるとの見方を示した。
IMFでは、シャドーバンキングのデフォルトを懸念しているが、格付けAAAをとっている債券すら5割以上のデフォルト懸念である。中国経済が「信用危機」に陥る可能性は十分ある状況なのだ。見過ごしできないところまで追い込まれている。
(2)「IMFは、対中年次経済審査で次のように指摘した。景気刺激策の質を高めるためには、中国の政策当局者は国内総生産(GDP)伸び率目標の設定をやめるべきとの認識を明らかにした。
「インフラ投資を行ってGDPかさ上げの辻褄合わせをしてきたからだ。将来、投資資金も回収できないような無駄な投資を続けることが、中国経済をさらに追い込む。」
以上勝又氏の情報・意見を転載しました・・いろいろな情報がぱらぱらありますが、引用するには勝又氏上記経済時評の情報に多くを頼っています・・・考えも当然影響を受けているでしょう。
日本で考えている以上に、中共政権は民主化していない分に比例して危機管理に敏感な体制ですので、天安門事件に対する国際反応を受けて中国幹部の危機感が半端ではなかった筈です。
次の大混乱・・イザと言うときにどう対処するかについて真剣に対策を練って来たと思われます。
その一環として先ずはコクナイ体制の整備・・江沢民による法輪功弾圧に始まるコクナイ騒乱の核になりそうな集団排除や言論統制強化・党の支配体制確立=集団指導制から個人集中支配体制への移行など大きな流れが決まって来たと思われます。
江沢民のとききから国家主席と党のトップを兼任するようになったと言われてます。
そして今の習近平氏は言わば軍事を含めて全権掌握間近(これに反比例して不満の蓄積が大きくなっている点を強調する意見もあります)です。
国内衝撃の大きさに比例して耳目をそばだてるような大きな事件を引き起こす必要性・・経済ハードランニングが近づいている・・先送りすればするほど先送りに比例して衝撃が大きくなるのが明らか・・政権にとって最高度の危機間近ですから、対日関係で格段のエスカレートさせる必要性が高まって来ました。
この実現のためには、国際環境・・どの程度までの日本侵略をアメリカが事実上容認するかの擦り合わせ・・アメリカの同意またはどの時点で介入するかの読みが必須です。
始めから介入されて引き下がるのでは却って恥をかくので、大枠としては、太平洋二分論・・西太平洋で中国が何してもアメリカが介入しないのがベスト・・介入するにしても、ある程度戦果が出るまでぐずぐずしている内諾・・どこまで行くと介入するのか?この内諾またはニュアンスを求めて江沢民は1年間に4回もアメリカ訪問していたのです。
イラクのフセイン大統領はアメリカの内諾を得たと思ってクエート侵攻して大失敗しました。
それまでフセインはアメリカの手先として対イランの代理戦争を戦っていたのでまさか手のひら返しを受けるとは思っていなかったでしょう。
中国の場合大きいので、対イラクのように簡単な手のひら返しで陥れることは出来ません・ロシアのクリミヤ占領同様に既成事実を作ればこれをひっくり返してしまう力をアメリカは持っていません。
軍事基地がある限り軍事利用する・・その周辺が軍の都合でいつでも通行止めされる事態が予定されていますから、諸外国の航行の自由と相反する事態です。
中国が南シナ海のど真ん中にに軍事基地を作っているときに「航行自由」と言うばかりで、阻止しなかったアメリカが軍事基地が出来があった後でこれを破壊出来る訳がないのが常識です。
軍事基地を作るのを黙認しておいて「航行の自由」と主張するのは矛盾です・・から、「言うだけにとどめる」中国との暗黙の合意であったと思われます。

目的と手段の取り違え社会(社会矛盾激化→反日の誘惑)1 

現在中国の対日感情の紹介でテーマが逸れてしまいましたが、大躍進政策に戻ります。
大躍進政策そのものが、9月28日紹介したとおり非合理極まるものでしたが、翌29日に紹介したとおり今の統計のデタラメぶりと同じことが行なわれていたこと・・中央の命令どおりにやるとうまく行かないことが分っても・・地方政府が失敗を報告出来ず、過大な成功報告していたことが悲劇を加速したことも分ります。
現在中国の需要無視の生産競争もそうですが、虚偽報告によって大成果が積み上がって行く・・統計が意味をなさなくなっている現在の悪弊が既に大躍進時代に始まっている・・今に始まった事ではないコト・・専制支配下で必然的に生じる現象であることが分ります。
ソ連最後の大統領・ゴルバチョフでさえ、国内生産がどうなっているのかさっぱり分らなかったと回想しているとおりです。
権力者に都合の悪いことを言うと粛清される社会では、下部組織が迎合するしかないことが大もとの原因ですが、この4〜5日書いているように中国では約2000年間にわたる専制支配の結果、手段と目的の逆転があるから全ての分野でこういうことになります。
統計や報告が実態を知るためにあるのではなく下部の官僚にとっては自己保身と出世のためにあり、トップにとっては内政成功の誇示・国威発揚のためにあります。
正しい事実を知るためではありません。
中国がGDP統計にこだわっていて民生向上に頭を使わないのも同様で何のための生産力増強か分っていないのです。
生産力も需要に裏打ちされてこそ意味があるのですが、生産力と言う数値にこだわる結果おかしなことになります。
需要無視の生産力増強が仮にうまく行ったとしても在庫のヤマで、生活必需品の鍋釜や農機具を供出して売れない鉄鋼製品の山を築いた場合、食糧不足のマイナス効果は国民に帰せられます。
大躍進政策では作った鉄の多くが粗悪品でしたが、解放後は日本からの技術導入で一応世界標準の製鐵や石化製品を作れるようになっています・しかし世界需要無視の大増産計画であることは変わりませんので、これが世界に溢れ出して世界中が困っている状態です。
大躍進政策の悲惨さを1昨日紹介しましたが、下が虚偽報告をするしかない中国の社会習慣を見ると、歴史は繰り返すと言うよりは民族の生き方は百年や千年では変わらないと言うことではないでしょうか?
時々千年〜500年前のご先祖も私と同じような考えや生き方歩き方・・笑い方をしていたのかと思うと何となく不思議な気がすることがあります。
中国人は昔からこんな風に上が下の意見を聞かない風土ですから、下は虚偽報告するしかない・・この繰り返しによって、全ての分野で目的と手段が入れ替わる社会になってしまったのでしょう。
大躍進政策強制に対する不満による暴動発生リスク・・あるいは毛沢東に対する怨嗟の声が満ち満ちていたでしょうから、文化大革命運動はこれに対する先制攻撃・・反革命運動を先手必勝の目的でやった粛清の大型判と評価すべきではないでしょうか?
国民のための政治をする能力がないが、こう言うこすからく狡い戦術にたけているのが、共産党政権の本質と言えるかも知れません。
共産党は国共合作中・・孫文の組織内共産党員も委員も参加していましたし、蒋介石の作った士官学校にもソ連の援助があったかの理由で共産党員も参加していました)に国民党内に浸透して行くのに成功します。
権謀術数の得意な中国の中でも更にこの分野に特化し,組織内で着々と勢力を広げ政敵を失脚させて行く能力・・そのために生まれて来た政党と言えるかも知れません。
戦前コミンテルンのルーズベルト政権への浸透ぶりはよく知られていますし、今でも北朝鮮の韓国政府内への浸透ぶりはよく知られています。
政治・経済時その他で比較すれば、来たと南とでは、競争にすらならない程の格差があるのに権力確保では共産党の方が格段に上位になっている逆転現象です。
日本の全学連で言えば学生の多くの支持を受けている訳ではないのに、自治会執行部を全面的に牛耳ってる過激派と同じです。
その内日弁連もそう言う評価を受ける時代が来るでしょう。
日本でも共産党との共闘を他の野党が嫌がるのは主義が大きく違うと言うのが表向きの理由ですが、選挙協力を続けると内部浸透されてしまう恐れが中心的関心と言うべきでしょう。
中韓が何かと反日心情を煽る理由に戻りますと、日清戦争で敗北したことによって、地域大国のメンツを潰された中国の心情・・これは今でも有効な切り札・・これを煽るのは支配者にとっては格好の材料になります。
ところで改革開放後日本サマサマだった中国がイキナリ反日に転じたので、日本人にとっては寝耳に水・江沢民個人を反日的というイメージ報道が多いですが、反日転換は共産党首脳の一致した長期方針だったと思われます。
鄧小平の韜晦戦術同様で、イザとなればいつでも実行出来るように反日教育から始めたものと思われます。
天安門事件によって国際孤立・・危機感を持った幹部間協議で、将来再び同様の事件が起きたら同じことが出来ない・・危機感・・政権が最高度の危機に瀕したときの最後の切り札として反日暴動あるいは対日戦開始で凌ごうと言う重要決定がされていたとみるべきです。
改革開放後日本の優れた技術がドンドン導入され技術指導を受けていると対日親近感が増す一方だったことから、これ自体が共産党専制支配にとって脅威だったでしょうから、言わば一石二鳥の政策決定です。
韓国が長年日本文化流入を禁止して来たことからも分るように、中国にとって日本文化浸透は由々しい問題です。
イキナリの反日攻撃は無理があるので、先ずは国際環境を整えることと、騒乱時に国内敵対勢力の核になる組織が育たないように整備すること、反日感情を徐々に育成する必要・・反日教育から始める数十年先の長期方針が決まったと思われます。
国内敵対勢力の芽を積む戦略・・王朝崩壊時にいつも騒乱・庶民凝集力の核になって来たのは いつも宗教組織(日本の一向一揆もそうですが命を棄てても戦うには向いています)ですから、江沢民が法輪功弾圧を直ちに始めたのは、当然の政策です。

目的と手段の違い3

中華思想と民生重視の関係に戻りますと、栄華復興のために産業の活発化・民生重視が必要であり、対立する軍閥と差を付けるために、(民の支持を引きつける手段として・・)三民主義を掲げるのと、民の幸福を目ざして政府を樹立する場合の民生重視とでは、意味・位置づけが大違いです。
政権獲得手段に位置づけて民生重視する場合と最終目的に位置づけるのでは出て来る表面の現象は一見同じでも大きな違いになります。
政敵を葬る手段として汚職撲滅を主張して政敵ばかりびしびし取り締まるのと、本当に汚職のない清廉な政治を目指すのとでは、実際の効果が大違いであると言えば良いでしょうか?
公害垂れ流しで空が見えないほどになっている中国にも、先進国基準に準ずる環境規制があり、その他先進的法制度(労働法規や衛生基準)がありますが、これは先進国に「バカにされない」ためと内国企業に下駄を履かせる「外資嫌がらせ目的」ですから意味が違います。
内国企業はいくらでも袖の下でお目こぼしがある・・外資あるいは政敵系に対しては少しでも違反(環境規制に限らず保険衛生基準や労働基準も皆同じ)がないかしょっ中目を光らせるので、外資には先進国並みの厳しい規制が適用されるので、(他方就労する中国人のモラル・法令遵守意識が低い・・マクドナルド工場の非衛生な実態がテレビ放映されて大打撃を受けました)内国企業に比べてものすごいハンデイがあります。
内国企業でも保護してくれていた政治家が主流から外れた途端に、これまでお目こぼしされていた各種違反がイキナリ摘発される運命ですから、法治主義ではなく、人治主義の国と言われている所以です。
環境規制や汚職が行けないと言う法制度は全て手段であり目的ではありません。
この手段と目的の取り違え社会は実は、先秦諸子百家・韓非子の法家の思想から始まっています。
法家の思想は「正義」の主張ではなく、専制権力を効率的に行使する・・ロボットのように内容の是非に拘らず決められた職分を機械的に守らせる思想だったからです。
取り締まり目的ですから権力に取り入った方にはお咎めなしの原則です。
専制支配のためには法が細ければ細いほど権力者に都合が良いので煩さ・細かくなる一方でした。
秦朝を倒した漢の劉邦が真っ先に「法三章」(大枠)のみと宣言したのは、如何に人民が煩さな法に困っていたかを表しています。
2003/05/10「中国の法形式主義1(法家の思想)」で、この辺の違い・・今の法治主義との違いを紹介しました。
日本では「法」と言えばトキの権力者も侵すべからざる超然たる正義ですが、中国では権力者の都合で法を決めてしかもその運用も権力者の意向次第という理解で約2000年間もやって来たのです。
同じ「法」という漢字でも日本と中国では意味がちがっていたのです。
日本では古来からこの違いを前提としてトキの権力者の都合で変わる形式的ルールについては、「律令」として法の漢字をあてていません。
専制支配を確立した始皇帝がこれは便利だと採用し、約2000年間以上も続いて来たのが中国地域の支配体制です。
こう言う社会では社会実態を無視した・・・いくらでも厳しい法律の制定が可能です・・「上に政策あれば下に対策あり」と言われる社会ですから、国民の方は権力に近ければ法令など全く無視して事業運営が出来るし、政敵だけ取り締まられる関係ですから気にしません。
ソモソモ政府自身が、法を守っていません・・名の知れた政府高官でさえ、いつの間にか行方不明になって、半年ほどしてイキナリ党紀違反があったので党規律委員会が取り調べていると言う報道がでて裁判が始まる仕組みです。
法に従った手続はそれから始まる・結果が決まってからのセレモニーになっています。
習近平政権までは内部抗争があっても常務委員などトップクラスには直接手を出さない不文律があって精々影響力が弱まる程度の政争にとどまっていました。
露骨な政敵潰しがなかった・・・一応権力者は共産党と言う1枚岩の強力な独裁政権だったので、共産党にさえにらまれなければ、どうにもなる・・子供を共産党に入党し内部で人脈を作れば良い簡単な関係でした・・民主国家のように野党与党が簡単に入れ替わることがないので安心だったのでです。
専制君主制度下で優秀な人材が官僚に組み込まれて行く関係の現在版です。
専制体制・・すり寄る相手が単純でリスクが少なかったことも汚職文化が根付いた原因であったかも知れません。
こうして内部エリートとして育って来たのがいわゆるダンパ・・専制君主時代の官僚であり、太子党(共産党創設時に功績のあった人の子孫)とは専制君主時代の名門貴族(王朝創設時に功績のあった人)の子孫となります。
中国王朝は毎回、科挙選抜の官僚層と名門貴族の抗争が政治の主たるテーマでしたが、・・例えば唐時代の有名な詩文家韓愈が左遷されるときの漢詩を紹介したことがあります・・今までこれが繰り返されて来ました。
腐敗、汚職に戻りますと、2000年間あまり・権力にすり寄ることが最重要価値観・・汚職と言う意識さえなく、みんなが袖の下を前提に生活している社会で、頼りにしていた人が失脚すると一族の範囲どころか「罪九族に及ぶ」(何故九族に及ぶかと言うと一族の族滅→姻戚関係に及ぼす→そのまた姻族となるので結果的に九族の範囲までで打ち止めとなって行くようです)、と言われる社会でしたので、当然その庇護下にあった周辺に不利益が及びます。
こうして大幹部の失脚があるとその周辺もイキナリ汚職で検挙され各種嫌がらせを受けてしまうことも2000年間あまり続いてきました。
こう言う社会は汚職やルール違反が行けないかどうか・・人として何をして良いか悪いかよりは、非主流に転落することがマズイことだと言う最大の行動基準・・価値観が基本になります。
日本から、公害除去装置付きで売ると中国企業から、生産効率が下がる(コストが高くつく)から取り外して欲しいと言われるのが普通と言われています。
環境を守るのが主目的ではなく、先進国並みに規制があると言う外形・・国威にこだわっている手段に過ぎないからです。
清朝崩壊後無数と言えるほど各地軍閥が入り乱れていた新興勢力の中で、孫文とその後継者蒋介石による三民主義の大宣伝・・農地再分配部分の強調は、政権支持者獲得手段として、国府軍が支配を広げるときには農民兵の志願者が増えるなど大いに役立ちました。
ところが、北伐に成功し実際に支配地経営が始まってみるとどうにもならなかった・日本の民主党が政権獲得手段として実行出来ない政策を主張していただけで実際にやる気もなかったことから、政権を握ってみるとマトモな政治が出来ず信用を失ってしまったのと同じです。
賄賂社会に戻りますと、中華民国政府の綱領・・三民主義は立派な理想を書いていたので、当初庶民を引きつけ国民党軍への農民志願者が集まったのですが、国府軍・・蒋介石政権が(支持を取り付ける手段だけではなく本気で民生重視を考えていたかも知れませんが)共産軍より早く政権を取った関係で、具体的実行段階になると社会末端まで不正社会でなりたっているので、腐敗の泥沼に飲みこまれてしまった印象です。
共産党軍は遅れて支配を伸ばした関係で、日本敗戦時にはまだボロが出ないで有利だったことになります。

三民主義・目的と手段の違い2

昨日、漢詩の1節を引いて紀元前の前漢初期から賄賂社会であったことを紹介しましたが、「漢民族の特性」と言えばそれでおしまいですが、何故こう言う民族性になったかの原因が重要です。
繰り返し書いていますが、秦の始皇帝以来専制支配体制が確立したこと・・と関係があるように思えます。
民の工夫努力・自由な発想よりも、上司の気に入るか否かが最重要社会・・権力者の気に触るといつクビが飛び、一族皆殺し・族滅の危機に遭うかもしれない社会が2000年も続いてきましたので、漢民族はいつもびくびくして目上のご機嫌を窺うしかない状態・・勢い上司・強いものに取り入ることが最大の行動基準社会になります。
派生的に取り入るべき派閥が出来、(漢時代に党錮の禁が始まり、各王朝で党派の争いがいつもあります)今でも上海閥やダンパあるいは太子党などの派閥がありますが、その下位集団として習近平や李克強の過去の勤務地別の派閥もあり複雑です)相手派閥を蹴落とすべく権謀術数工作も盛んになります。
中韓政治家が、国際社会でのロビー活動などでは、権謀術数の経験に乏しい、日本などはモノの数ではないと豪語して来た所以ですし、実際に中韓のロビー活動により、国連での日本非難決議に向けた下工作が横行しています。
国際機関やスポーツ組織にいつの間にか韓国系が浸透しているのがこれです。
中国の派閥とは、透明性の全くない私的集団・マフィア的人的つながりを言うものであって、政策研修・勉強会などしている政策集団の日本の派閥・・東京弁護士会の派閥でさえ勉強集団です)とは本質が違っていますので、日本の派閥をイメージする翻訳は意図的すり替えの疑いがあります。
石油閥などが報道されるので、利権集団的側面もあるように思う方が多いでしょうが、人脈形成の主目的がイキナリ失脚するリスクを減らし出世するためにある・・その結果として利権集団化しているに過ぎない・・手段と目的の関係が違っています。
専制や独裁の場合、出世あるいは牢獄に繋がれるかの基準が社会のために良いことをしているか正しいコトをしているかよりも自分の親分が主流派になれるかで決まる社会です。
政敵失脚させるためには表向き何かの失敗を取り上げられるのですが、取り上げられるかどうかの大もとの選別基準は政敵かどうかによります。
現在の腐敗撲滅運動を見れば分るように習近平周辺には及ばず政敵粛清目的で賄賂を取り締まっていると言われているのは正にこれで、政敵粛清が目的であって、汚職摘発はその手段になっている・・主目的がどこにあるかで大きな違いが生じる例です。
権謀術数は相手を蹴落とす目的であって、陰で讒言するのが基本的攻撃手段で正義の基準は不要ですがこれが長年有効だったのは、専制社会では1回勝負の社会だったからです。
政治抗争に勝てば相手一族皆殺しですから1回勝てば「勝負あり」になる・・どんな卑怯な手段でも何をしてでも勝つことが最重要基準で・・勝ってしまえば、相手を皆殺しに出来るので、後に道義的非難などあり得ない社会を前提にしています。
日本は縄文の時代から争いがあってもトコトンやらない社会ですから、卑怯な勝ち方をすると時間の経過でいつかは真実が出て来る・・数百年単位での評価・・手段が卑怯かだけはなく結果もやり過ぎかどうかを含めて批判される・・後で社会全体の批判を受けるのが怖い・・名誉重んじる社会がこうして出来上がっています。
讒言などするとあとでバレル・・陥れたとなると結果的に「損」と言う社会ですから、パク大統領の讒言外交には唖然としてしまったのです。
専制社会で負けた方が皆殺しされる制度で、負けた方はどんなに正しい意見であっても一族関係者が皆殺しに合うので何も言えない言うべき人が残らない仕組みです。
勝った方が抗争の歴史を書き換えて行く社会では、どんな非道な手段を弄しても勝つことが先決の社会になります。
アメリカ日本を戦争に引きずり込み原爆まで投下したのは、そう言う基準・・勝った方が歴史を塗り替えれば良いと言う方針があったことはそのご戦犯裁判や中韓を使っての「歴史修正主義者のレッテル貼り」に精出して来たことから見ても明らかです。
現在の中韓両国の経済活動を見ても、1回勝負のやり方は変わっていません・・。
目先の受注量を競うために採算割れの無茶な受注あるいは自国技術で出来そうもない無謀な受注競争を仕掛け、怒濤の勢いで規模拡大をする・・購買力誇示のために続く訳もない爆買いで札ビラを誇示する・・みな同じです。
目先にこだわるのは、一時的に相手を失脚・倒産させれば、永久に自分が支配出来る社会が2000年も続いたことにより、先ず受注競争に勝って競争相手を潰してしまえば、後は独占企業としてスキなように契約変更も出来ると言う思想によります。
中韓の一時的な反日攻勢が効を奏さずジリ貧になって来たのは、閉鎖された専制社会とは異なり国際社会ではロビー活動で如何に噓八百を言って勝っても、毎回相手を奴隷化することが出来ない・・精々一時的に多数派形成し、ありもしない慰安婦決議慰安婦像を建てたり南京虐殺を世界遺産に登録する程度がやっとですから、長期的には真実・正義を主張している方が勢力を回復して行きます。
時間をかければ中韓の噓がバレて信用をなくして行く・・時間の経過でグランデール市のように「慰安婦像があるだけ韓国にとって惨め・恥の歴史」を世界に残して行くことになるでしょう。
勿論この像建設を推進した市議などもその内恥をかいて行くと思います。
一時的にアフリカやオーストラリアなどを資金力や資源その他の爆買いで捩じ伏せていても、こう言うやり方は先が続かない・・一過性でしかないので、その間にこのときとばかりに目一杯威張ってしまうことも愚かで浅ましい限りです。
一過性の爆買いや投資が減少すれば威張られた方は直ちに愛想を尽かしますので、中国が投資して来たアジア(ベトナムやミャンマー・カンボジアなど)アフリカ諸国では、元々親切な日本に足下を掘り崩されつつあるのがその例です。
権謀術数で言えば、日米戦争の始まりは、(その前から非白人国家日本を壊滅させるアメリカの基本政策があってのことですが・・)蒋介石夫人宋美齢がルーズベルトに対する工作が成功して蒋介石軍の応援を始めたことが日本を敗北に追いつめた切っ掛けです。
ですから、一度で大損害の生じる戦争に関しては、権謀術数の重要性は変わりません。

中華(光復)思想3(目的と手段の違い1)

ここで孫文と中華思想の関係を見ておきましょう。
孫文の事績・・http://www.jacar.go.jp/modernjapan/p06.htmlからの一部引用です。
「1905年には、これまで革命活動を行ってきた興中会・華興会・光復会が結集して、東京にて中国同盟会が結成され、孫文は総理となり、革命運動をさらに推進することとなります。」
清朝打倒運動団体には、以上のとおりの3名称の団体がありこれが合体して(町村合併に多いあんちょこな言い方をすれば3団体の文字合わせ?)「中華」+復興思想に結実して行った経過が分ります。
上記共通の復興名称は国名にふさわしくないから消えていったものと推測されますが、復興を願う心情は自明のこととして掲げなくなった可能性もあります。
今でも韓国.台湾(中華民国政府)では「光復節」が大々的に行なわれていますので、中韓民族にとっては今でも「光復」が最大テーマであることがわかります。
https://ja.wikipedia.org/wiki
「光復節(こうふくせつ)は、大韓民国および台湾の祝日。
8月15日。大韓民国の祝日で、朝鮮半島が日本による統治から解放されたとされる日。光復節 (韓国)を参照。」
日韓併合前の日清露3国のヘゲモニー争いの間でどちらに付くかで右往左往していて殆ど自立性のなかった朝鮮の状態をとりもどすのが何故「光復」なのかという突っ込みを入れたくなる人が多いでしょう。
2013/09/08/韓国民の行動様式19(恩を仇で返す国1)のコラム以下で、高宗政府に対するクーデター未遂事件の黒幕として当時政界の大物(王族重鎮です)「大院君」でさえ駐留していた清朝の軍閥・・袁世凱に拘束され中国に連行されてしまう状態・・文字どおり清朝の直接軍事支配下にあったことを紹介したことがあります・・文字どおり清朝による直接の軍事支配下にあったのが李氏朝鮮です。
今のチベットやウイグル自治区の少数民族弾圧の厳しさが世界ニュースになっていますが、自治区と言っても警察から軍事に至るまで、直接支配を受けている今の状態よりももっと厳しい状態を(当時は国際批判など全くありませんので・・)想像すれば、当時の清朝による朝鮮族支配の苛酷さがわかるでしょう。
清朝による過酷支配があったからか?李氏朝鮮による人民支配も過酷を極めていました。
日本支配前に戻る=一般人(ヤンパン支配下の人口は約95%)にとって、文字もまともに読めない奴隷のようなヤンパン支配下の状態に戻るのが何故「光復」か?となります。
1説には、日本によってヤンパン制度が廃止されて平等に教育されてしまったことを恨む旧支配層が元に戻るのを歓迎しているだけともわれますが・・。
パク大統領・・ひいてはこれを支持する韓国人の心情が中国・・元〜明〜清朝と続く従属時代の復活を望むのをいぶかしく思う日本人が多かったのですが、彼らの心情はヤンパン支配復活への郷愁と日本の風下に立つよりも清朝やモンゴル支配下で、日本よりも席次が上だった(勝手に思っているだけですが・・)と言う序列復活の方が嬉しいのです。
上記のとおりとすれば、今後中国の時代が来ると読んで逸早く馳せ参じて、より良い席次を獲得期待に傾いた気持ちが分ります。
中国革命運動家の心情に戻りますと、冒頭紹介の団体名から見ると、孫文ら革命運動家の希望は現在の不名誉・屈辱的な現状打破を求めるスローガンとして過去の(あったかどうか不明の)栄華の復活を主張していた諸団体が革命運動の母体であったことが分ります。
フランス革命などでは過去(アンシャンレジーム)を断罪し、新しい時代の到来を主張する組織を革新系と言うものですが、中国の場合、清朝打倒を言うもののめざすべき心情は「栄華の復活」だったことになります。
中国古代からの王朝崩壊・「易姓革命」が流砂のような民衆の無目的暴動によって起きて来たのに比べれば、「王朝打倒」の目的意識のある運動である点では一歩進んでいましたが、政権打倒するのが目的であって、「光復」が主目的では、新たな近代社会作り出すと言う・・西欧的意味での革新運動家ではありません。
清朝はモンゴルのような世界帝国になったことはない・・大英帝国やアメリカ合衆国を支配下に置いたことがない・・地球規模で言えば、単なる地域大国でしかなかったのですから、欧米諸国相手に取り返すべき栄華はありません・・。
復興すべき栄光・栄華があるとすれば、普通の民族にあるべき主権回復と地域大国の復活しか論理上あり得ないでしょう。
これの表現が、(清朝の版図を少し広げたアジア支配を任せて欲しいと言う)習近平の「太平洋2分論」ではないでしょうか?
栄華の復活がテーマの運動体では、後ろ向き・・新しい国づくりにはなりません。
栄華復活のためには国内政治・産業発展が必要ですが、主目的が生活水準アップにあるのと栄華復活が主目的でその手段として生活水準も引き上げた方が良いと言う程度の意識では格段にちがいが出ます。
しかも栄華の復興運動とは、実は「格下と見なしていた日本」に負けたコトに対する鬱憤が真のモチベーション・エネルギーであったとすれば、元々前向きに始めた運動ではありません。
国民のための政府よりは、日本のハナをアカしたいと言う思い(心情は文字上・あるいは公式にはでません)で運動を始めたのであれば、出来上がった政府も近代的要請である・・国民重視のマトモな政権になる訳がありません。
孫文はいわゆる(農地の分配を含む)三民主義を提唱していてこれを継承した蒋介石が北伐を開始すると当初はこれを歓迎する庶民の支持を受けて破竹の勢いで成功させましたが、一定の支配権樹立後すぐに腐敗してしまう点は歴代中国王朝と同じです。
戦後米軍から膨大な物資や武器援助を受けながら中共に負けてしまったのは主として」「政権腐敗」にあったと言われています。
孫文が世界の制度を勉強してきれいごとの三民主義を発表するのは良いですが、イザ具体的実施となると政治・実務能力が必要です。
専制支配下で来た結果、近代官僚機構も何もないところで、軍事支配してから実際にどうやって農民から土地を取り上げて分配するか分らなかった可能性があります。
この種の仕事を始めると余程清廉な行為をする社会訓練がないと、手心を加える袖の下が横行し勝ちですから大変です。
ましてや中国地域は、古代から有名な賄賂社会ですからすぐに賄賂まみれになってしまいます。
9月19日に王昭君の故事で紹介した漢詩にも、賄賂次第の習慣が描写されていますので、もう一度引用しておきましょう。
 「生乏黃金枉圖畫,死留青冢使人嗟。」
(生ずれば黄金に乏しく枉げて図画せられ、死しては青冢をトドメて人をして嘆かしむ」私流の読み見下し文です)
ちなみに「枉・まげて」とは日本の刑法で言うところの「枉法収賄罪」の「枉法」の「枉・おう」と同じ用法です。
刑法が平成7年に口語に改正されて「加重収賄」罪に変更されましたが、それまでの文語体のときには「枉法収賄」罪と言う熟語になっていたのは、この用例の1つでした。
文語体のときには刑の重さを基準にするのではなく、「法をまげて」運用したから刑が重くなると言う内容による違いを表していました。
賄賂をもらうだけでも単純賄賂罪ですが、その結果実際に不正なことしたときには「枉法」収賄になり結果的に刑が重くなります。
上記漢詩には画工が賄賂をもらわないから実物よりキレイに書かなかっただけではなく、積極的に汚く書いた意味が込められています。
刑法
加重収賄及び事後収賄)
第百九十七条の三  公務員が前二条の罪を犯し、よって不正な行為をし、又は相当の行為をしなかったときは、一年以上の有期懲役に処する。
2  公務員が、その職務上不正な行為をしたこと又は相当の行為をしなかったことに関し、賄賂を収受し、若しくはその要求若しくは約束をし、又は第三者にこれを供与させ、若しくはその供与の要求若しくは約束をしたときも、前項と同様とする。
3  公務員であった者が、その在職中に請託を受けて職務上不正な行為をしたこと又は相当の行為をしなかったことに関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、五年以下の懲役に処する。

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