サイバーテロとマスコミの役割2

子供の誘拐犯は子供であれば良いのであってベネッセの客であることに、こだわる・・大金を投じてデータを買い取る理由がありません。
幼児誘拐犯や女子高校生がクルマに引き込まれるような事件は、行きずりでイキナリの犯罪であるからこそ、足がつき難いのであって、(現在では、このために防犯カメラや前後の通行人の目撃情報が大きなよりどころです)何日も前から自宅付近や公園で見張ってるのは、目立ち過ぎますので、そんなことをする犯人は皆無でしょう。
変態性犯人の場合、相手がどこの誰でも良いので、前もってデータ収集しておく必要がありません。
誘拐犯人にとっては大体の目安で充分であって子供が5歳半でも6歳半でも、あるいは(性犯罪目的の場合、)13歳でも14歳半でもどっちでも良いことですから、生年月日の詳細データが役に立つことは滅多に考えられません。
ソモソモ大量データ獲得の経済的価値は巨大データであってこそコンピュータでふるい分けて機械的にダイレクトメールなど発信出来るメリットがあるのであって、犯人が個人的利用のために巨大データを大金を投じて購入することを合理的に想定することは困難です。
百万に1つくらいは偶然そう言うこともあると言い出したら「道路を歩くと交通事故に遭う可能性があるから歩くな」と言う程度の意味しかなくて、マスコミが騒ぐのはおかし過ぎます。
目についた子供がベネッセに通っているかどうかを検索出来るじゃないかと言う意見でしょうが、その子供の氏名等不明では献策出来ませんし、その程度の危惧を言い出したら、空き巣犯人等が前もってゼンリンの住宅地図やグーグルの地図情報をある程度利用するのと大して変わりません。
車社会反対や地図販売反対キャンペインと同じ思想を、マイナンバー制反対に結びつけているだけのように見えます。
ベネッセ情報盗難の場合、一般顧客にとって主たる想定被害はダイレクトメールが狙い撃ちに来ると言う程度のことです。
ベネッセの騒動で最もダメージを受けたのはベネッセであって、子供ではありません。
百万単位の名簿情報が漏れた場合被害企業は一人あたり500円程度の商品券を配っていますが、これが数十億単位の大被害になる外イメージダウンが怖いのです。
顧客が500円程度の商品券で文句言わないのは、具体的被害が実際上想定されてないからです。
法的に見ても(ベネッセに対する)業務妨害罪等で処罰される扱いであって、ベネッセは被害者ですが、何故か被害者であるベネッセの謝罪会見ばかりです。
今回の年金情報被害も将来的にはマイナンバーの対象に年金データを加える予定ととマスコミ報道された半年〜何ヶ月か後の事件で、これも何故かタイミングが良過ぎますが・・その点はさておいても、マスコミは早速「年金が乗っ取られる」と不安を煽っています。
政府も仕方なしに年金接続は見合わせるが、マイナンバー法の施行は中止しないと発表していました。
しかし、年金データ入手しただけで他人の年金を代わって受け取れる訳がありませんので、この間に「本人なり澄まし」などいくつもの犯罪行為の積み重ねが必要ですが、マスコミは敢えてこれを端折って不安を煽るための報道をしています。
年金情報に限らず個人情報が漏れた場合、本人に成り済ましによる被害こそが、いろんな情報漏洩リスクの眼目です。
例えば、以下のとおりの題名のNHKニュースですが、如何にも大変なことが起きているかのような大見出しですから、どう言う被害が想定されているのかと思って内容を見ると、「変な電話があれば注意しましょう」と言う程度のことです。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150614/k10010114371000.html
「年金情報流出 支給日を前に注意呼びかけ」
6月14日 15時47分
神奈川県内では、今月に入って70歳代の女性が架空の「国民年金機構の職員」を名乗る男などから、「あなたの個人情報が流出した」といううその電話をたびたび受けてキャッシュカードをだまし取られ、合わせて300万円を引き出される被害が起きています。
神奈川県警察本部生活安全総務課の常磐勝彦警部は、「お金を要求するなど不審な電話には絶対に応じず、すぐ警察に通報してほしい」と話していました。」

「やらせ」報道が多いので、本当に300万円騙された事件があったのかどうかも不明ですが、仮に実際にあったとしても年金記録による事件と言うよりは、従来型の振り込め詐欺の事件を年金情報盗難に無理にこじつけている感じです。
マスコミの報道ぶりを見ていると犯罪を糾弾するよりは、記録保管者・本来の被害者非難・・おかしな集中攻撃に徹しています。

サイバーテロとマスコミの役割1

被害を受けたベネッセや年金機構の責任追及ばかりに熱心で犯罪の悪質性の方向から目をそらし、一方ではビッグデータ利用による社会発展機運を如何に萎縮させ遅らせるかの目的がありありです。
マイナンバー法施行準備にあたって、昨年から具体的準備が始まっていますが、(タイミングよく?)その直前に起きたベネッセの情報漏洩事件で、如何に大変なことになっているかを力説した上で、だからマイナンバー法施行にあたっては・・・と言う論が大々的に展開されていました。
しかし、冷静に見ているとマスコミ報道の過熱によってベネッセが大変なことになっていることが中心であって、情報漏洩によって顧客個人が具体的被害(勧誘電話があったくらいでしょうか?)がどこで起きたかの情報が・・殆ど聞こえてきません。
子供らが一定年齢になると成人式の着物や塾の勧誘その他が来ますが、(私自身にも年齢相応の)それくらいは商店会の応募等で書いた生年月日等の流用で昔からあったことであって、目くじら立てるようなものではありません。
過熱報道によって、日本社会がサイバーテロに早くから身構える体制が出来上がるのは良いことですが・・。
新しいことに如何に反対するか!新しい技術導入機運を萎縮させるかと言う視点での報道はどうも戴けませんが、結果的にテロに対する備えが進みいいことかも知れません。
ベネッセは情報を盗まれた被害者であって加害者でもないのに、マスコミによって謝罪、謝罪の記者会見を強要されていました。
もしも被害が甚大ならば、マスコミはサイバーテロをした組織が道義的に許されないことをしていると言うキャンペインを中心に報道すべきであって、この種犯罪の場合情報を買い取る業者がいるから事件が起きると見るのが普通ですから、名簿買い取り業者→ここから買ってダイレクトメール発信している企業取り締まり強化こそをキャンペインすべきです。
この取締は従来型・原始的捜査方法で簡単に検挙出来るので、サイバーテロを防ぐ(1000人に一人でも引っかかってファイルを開けると成功ですから)よりは、もの凄く簡単です。
買い取り業者またはここから買って利用する犯罪集団の野放し状態を問題にしないで、被害者糾弾ばかりして何故しているのか不思議です。
国家機密等の情報被害の場合は、犯罪者集団が国外にいるのが原則ですから、道徳教育・道義的非難キャンペインをしても意味がないと言うあきらめが肝腎かも知れません。
ベネッセ情報のときに「このデータを基に子供が誘拐されたらどうするのだ」と言う心配を煽る報道が溢れていました。
仮に犯人が1週間ほど前に計画?犯行を思いついたとしても、誘拐犯は偶然公園や学校帰りに目についた幼児を誘拐するのであって、予め無機質なデータ(姿形も分らない氏名や年月日程度の情報)を基に緻密な計画をするような犯罪ではありません。
しかも最近の幼児誘拐殺人事件は、変質的犯行が中心であって、身代金目的の誘拐殺人事件は皆無に近くになっています。
偶然その子が友達と分かれて一人になった瞬間的時間に通りかかった犯人が実行するのが普通であって、前もってその子供の通っている塾まで調べて偶然一人になるのを狙って待ち受けているような犯人は皆無でしょう。
仮に計画的な場合でも近所で昼間歩行中や、公園等で遊んでいるときに目星を付ける程度でしかないし、その犯人が大金を使って子供がベネッセに通っているかどうかを調べるためにベネッセ情報を買い取るようなことは経済コストから言って無理があります。
そのデータに基づいてその子供の自宅付近を見張られる「杞憂的」心配があるとしても、データなどなくとも、どこの家にどの年齢の子供がいるのか程度は、子供が決まった時間帯に登下校その他の出入りを毎日しているので、どこの家でもちょっと様子を見ていればその程度の情報はすぐに分ります。
ベネッセ登録しているだけで、大金持ちの子供かどうかが分る訳ではないし、大金を投じて入手するほどのメリットがありません。
ベネッセ情報から、子供の家を知り、その近くへ行って、わざわざ見張るような心配は考え難いことです。

集団責任4(アメリカによるテロ指定1)

サイバーテロを宣戦布告と見なしたからと言って、アメリカは中国をイラクのように爆撃する勇気がないし、経済制裁する経済的条件が熟していないこと知っているから中国が強気に出ているのではないでしょうか?
中国は相手が反撃出来ないと見ると、どんな不正なことでもやってのける傾向・習性が見えます。
アメリカは対中国では取引相手国が多く規模も大きいためにイランのような金融制裁が出来ないまでも、宣戦布告行為とまで言明している以上は、相応の仕返しに向けて水面下の動きだけではなく正面から動き始めています。
7月2日日経新聞夕刊3pによれば、アメリカ国防省の軍事戦略目標の発表には、北朝鮮・イラン・ロシアに続いて中国を名指しで「アメリカの安全保障を脅かす国家」として明記し、「日本などと共同で対処して行く」決して後に引かないと言う決意表明したと報道されています。
金融制裁その他の不利益を強制することによって不利益を受ける国民が政権に対して、軍事力を背景に対外的理不尽・強硬なことをしないように民主的圧力がかかる・・この種の期待すること自体悪いことではありません。
ただしこれは民族的自尊心を傷つけるようなやり方の場合逆効果です。
また、国民が一定の力を持っている場合に有効であって、相手が、非民主国家の場合(政権は民族問題に転嫁するでしょうから)、この種の圧力は全く効き目がないことも北朝鮮やイランの例で証明されています。
ロシアも多分その例に入るでしょう。
先進国では、ちょっとしたインフラ網の損壊でも大騒ぎですが、後進国では元々交易率が低く輸出入が急減しても金融取引が不便になってもさしたる影響がないことが強みです。
電車が止まったり銀行が休んでも、生活に及ぼす影響度が農家と都会人では、大きな違いがあること考えれば分りよいでしょう。
この辺でも、ロシアに対する金融制裁は実は一般国民に大した影響を与えません。
ロシアの主要輸出品は資源系ですので、資源=政府関係者しか損しない・・一般国民は直接利益を得ていないので気にならないでしょう。
貿易黒字・政府収入が減って、回り回って税収が減りますが、財政赤字でも凌いで行けば(日本の財政赤字の例を見ても分るように5年や10年どうってことはありません)なんとかなるので、国民には当面直接関係ない話です。
貧富化格差の大きい国での庶民は、元々最低生活しているのでそんなに影響がない・・富裕層の方が影響を大きく受けます。
金融制裁は庶民よりは国外出入りの大きい政権支持層に大きな影響があるので、(中国でも裸官と言われるように政府高官の方が海外に巨額資金を持っています)ロシアに対する全面制裁ではなく、プーチン氏の周辺人物を名指しして欧米が金融制裁を実施しているのはその意味では、的を射ているとも言えます。
しかし、彼らの海外逃避資金は、(中国の裸官と同様に政府高官の国外巨額資金は元々イザというときの亡命資金であって、生活資金ではないし)解決する・ほとぼりが冷めるまで5年や10年海外旅行しなければ良いだけですから、その間預金を下ろせないくらい生活に何の影響もありません。
アメリカは取引禁止=凍結するだけであって、没収することは出来ないので、その内円満解決すれば、また使えます。
まして、今はプーチンの側近層として信頼されている人物中心の制裁ですから、(信頼されているからこそ欧米が狙い撃ちしているのですから)失脚しない限り海外逃避資金の具体的必要性がないので、今のところ忠誠を尽くすしかないので、政権には何の痛痒も感じないでしょう。
プーチンと仲違いして国外逃亡する人だけが必要になる資金ですから、そんな資金を凍結してもプーチンには関係がないことです。
ロシア等に対する金融制裁は国民一般には、短期的直接的影響をあまり与えないことが確かですが、経済取引が発達している国の国民にとっては、短期間で大きな影響を与えます。
刑事制裁あるいは国際間ですぐに武力行使出来ない場合、婉曲的間接的影響力行使・直接行為者の周辺を含めた不利益効果は必要な実力行為と言うべきです。
企業間や個人消費者も行政取締まで求めないまでも、個人的にその製品を敬遠するなどの行動で影響を与えるしかないことはいくらでもあります。
近代法の原理・・証拠のある犯人だけ検挙すべきだ・・関係ない者をまとめて不利益扱いするのは良くない・・「江戸の敵を長崎で・・」となるのを非難だけしていれば良いと言う訳には行きません。
「日本人はいい人だが◯◯政権が悪い」と使い分ける常套文句は無理が出て来ているでしょう。

法網をくぐる3(租税回避・サイバーテロ)

法制定続きは実際に不都合が起きてから・・一定期間経過+一定規模の不都合(主務官庁での検討・審議会等を経て)または社会的問題になってから政党単位で問題になって法案になり、国会審議を経て漸く制定されるもので、原則的に不都合の後追い的宿命を持っています。
商品のように予め実験出来ないので、実施して見ないとどう言う不具合が起きるか分らないのが原則です。
マイナンバー法で言えば情報漏出の危険があることは分るので、一生懸命対策造りに励んでいますが、運用してみるとどこから漏出するかはやって見ないと分らないのが実際でしょう。
法の抜け穴を探す納税者相手に税法を細かくいじれば、その関係でどこかに新たな不都合が生じます・・結果的にキリがない・・イタチごっこのような関係です。
脱法ハーブと言う表現が蔓延していましたが、(規制前ならば健康に良い訳ではありません)まさにこの手のイタチごっこを表していいます。
法の精神は、一定の幻覚や高揚感のあるモノの使用・製造販売所時等を規制したいのが主眼です。
規制基準を法ではっきりせるために、効果で規制せずに、特定化学成分を含むものに限定したり特定の植物に限定するからこれを悪用するための研究?が発達します。
成分や植物さえ違えば効能が同じでも良いのかとなって、別の化学成分の組合せでおなじような幻覚・高揚感を得られるモノが発明?工夫されて来るし、新たに見つかった植物の加工の仕方によって同じような幻覚や高揚感を得られるようになってもまだ法規制がないので合法と言うことで「脱法ハーブ」となります。
規制がなくとも健康に悪いモノは悪いのです。
近代法の原理の進化によって、規制基準の明確化が進んだ結果、(表現の自由があると名誉毀損する人が出るように)これを悪用する人が多くなって来ますがこれを「脱法行為者」と言うべきでしょうか?
サイバーテロ対策もコンピューター技術は日進月歩ですから、その欠陥を探ってサイバー攻撃する方はいつも先手を取れる関係で、防御側は、攻撃されてから、その穴埋め防御策を講じる関係です。
規制と道徳の関係を4日のブログ最後に書きましたが、「法の精神」を無視して規制さえなければ、規制前に何をしても良いと言う道徳観が蔓延すると社会秩序が守れません。
道徳・善悪は法を基準にするものではなく、自分で考えるべきことです。
テロ・犯罪集団ではない、世界企業の節税策が度を超して来た・・法網をくぐる姿勢・・脱法行為性が顕著になって来たので、国際世論が我慢出来なくなって来たのが現在の国際税務情勢です。
武富士の例は、実質的課税逃れにあると言われていますので、まさに法網をうまくくぐり抜けて、何千億円と言う巨額を節税に成功した(私のような税務の)素人にも分りよい事件でしたので、紹介しておきます。
以下は日経からの引用です。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG17022_Y1A210C1000000
「武富士元専務への課税取り消し 2000億円還付へ
最高裁判決
2011/2/18 15:06 (2011/2/18 20:07更新)
「消費者金融大手の武富士(会社更生手続き中)の創業者、武井保雄元会長(故人)の長男で元専務の俊樹氏(45)が、生前贈与を受けた海外資産に約1330億円を課税されたのは不当だとして取り消しを求めた訴訟の上告審判決が18日、最高裁であった。第2小法廷(須藤正彦裁判長)は課税を適法とした二審・東京高裁判決を破棄、取り消しを命じた一審・東京地裁判決を支持した。」
訴訟では、海外居住者への海外資産贈与を非課税とした当時の相続税法に照らし、俊樹氏の住所がどこだったかが争われた。同小法廷は香港と日本の両方に居宅があった俊樹氏について、仕事以外も含めた香港での滞在日数の割合は約65%、国内滞在の割合は26%だったとして「生活の本拠は香港だった」と認定。そのうえで「税回避が目的でも客観的な生活実態は消滅せず、納税義務はない」と結論付けた。
須藤裁判長は補足意見で「海外経由で両親が子に財産を無税で移転したもので、著しい不公平感を免れない。国内にも住居があったとも見え、一般の法感情からは違和感もある」と、俊樹氏側の行為が税回避目的だったと判断しながらも、「厳格な法解釈が求められる以上、課税取り消しはやむを得ない」と述べた。
「2000年の税制改正で、贈与する側か受ける側のいずれかが過去5年以内に日本に住んでいれば、海外資産も課税対象となった。」

上記のとおり租税逃れ目的が分っていても改正前の行為だから仕方がないと言うこと・・先にこうした抜け穴を探す人が出るから政府は急いで後に改正するのですが、(中国の挑発があって集団自衛権が議論になって来たのと同じです)武富士事件では国際的課税制度を国会で変更しているところを見れば、(節税したことが国民的支持を受けている正しいことだったら改正する必要がありません)法改正行為はいつも法網をくぐるプロの後塵を拝するしかない・イタチごっこ状態が続いていることが分ります。
テロの方法が分ると(最近ではドローンが官邸に墜落していたのが分って大騒ぎになりましたが・・このように全て後追いです)1つ1つを法にするために国会で議論していたらいつも後手に回るので、包括的に犯罪集団自体を締め上げる方法としてテロ団体指定する方法は、1つの解決策です。
ただアメリカが一方的に指定する仕組みは問題ですが・・法網をくぐるグループに対する組織対策が必要になっていることは確かです。
組織対策が進むと、組織に属さない・・(テロ組織や暴力団組織を抜けたり加入していないことになっている)あるいはループ状に緩やかに連帯する・一匹狼?に対する対策がその次に必要になって行くでしょう。
テロ組織ISISに参加しようとして日本人が検挙された事件が起きましたが、共鳴して・しかも個人でドローン等を利用して行動する人が増えて来ると厄介です。

民意に基づく政治13(未熟社会とテロ6)

イスラム原理主義的思想と(現在の)経済活動の自由(市場経済主義)とは相容れないところがあることから、原理主義だけでは時間の経過で今の北朝鮮のように内政・経済が立ち行かなくなります。
イランが革命以降イスラム原理主義にこだわって世界から孤立して、経済が停滞・疲弊している点では、共産主義・将軍体制にこだわる北朝鮮と似ていて、核兵器保有にこだわっている点も同じです。
(イランは北朝鮮と違って、原油輸出による収入がありますので、絶対的貧困に見舞われている訳ではありませんが・・ホメイニ革命以降経済が停滞している点は同じです)
そこで仕方なしに外資を導入した場合、共産主義政治のママでの改革開放・外資導入・・市場経済を取り入れた中国のように、イスラム原理主義との内部矛盾が顕在化してきます。
中国の場合、内部矛盾の激化・共産党1党支配の危機が迫って来たのでナチスのように(ユダヤ排撃・国内人種対立を煽る代わりに、排外主義でごまかす誘惑に陥る危険性があります)対外不満を作り出して政権維持に励むことになりかねず、これが世界の危機を生み出すかも知れません。
イランの場合、いつもアメリカとユダヤという仮想敵国があって、あるいは違う宗派との抗争事件・・憎しみ合いを利用して権力を保っていると言えます。
アラブやイラン〜アフガン諸国ではしょっ中テロがあって大変なようですが、逆から見ればテロとの闘争に明け暮れていれば、治安が安定しないので内政不満に目がいかない利点を政権担当者が利用出来ます。
激しいテロがある限りいつまでたっても内部闘争に強いだけが取り柄で、(経済政策能力がなくとも)政権維持出来るメリットがあります。
・・テロがしょっ中あれば、その日その日の身の安全が最優先ですから、停電があろうと食料品に事欠こうと経済運営能力拙劣・生活水準低下に対する市民の不満が起きません。
そんな地味なことよりも、対テロ作戦成功宣伝・・敵を奇襲攻撃して何人殺したという発表の方が喝采を浴び易いでしょう。
一旦このような状態に陥ると国民はマトモな前向き投資の意欲がなくなるので地道な教育に始まっていろんな分野で負のスパイラルに陥って、教育水準その他が生活水準全般が下がる一方になります。
韓国や中国の場合、内部矛盾の激化・経済危機発生が目の前に迫って来たので、反日という排外目標を持ち出しました。
これさえあれば内部対立をしないで済むし、日本からの仕返し攻撃の心配もないから便利です。
中国発の経済危機は経済面に限定しても経済規模が大きくなっているので世界経済に与える影響が大きくなるだけではなく、政治危機が同時発生する危険も無視出来ません。
イラン、北朝鮮等孤立している国は核兵器にこだわるのも共通です。
どのような最新高度技術でも一般化・汎用化して行くものですから、核拡散防止と言っても時間を遅らせる効果しかありません。
核兵器は貧者の兵器と言われるようにコストパフォーマンスが良いので、内部紛争に明け暮れている上に強国からの圧力を感じている最貧国にとっては、とても魅力的兵器です。
今後数十年もすれば、どんな貧困国でも一定の科学水準に達するでしょうからその気になれば核兵器を保有出来る時代が来る筈ですから、ドイツや中国のような大国が暴走する危険だけが問題ではありません。
「韓国や北朝鮮あるいは中国等は気違いみたいだから放っておくのが一番・・」と言う意見が多いですが、あまり孤立させると勝手に暴発しかねないところが不気味です。
通り魔その他精神異常による暴発事件は、相手にしないで放置しておくから起きるのであって適切な治療や社会全体での包容・ケアーが必要です。

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