外出規制緩和8(韓国の実験と監視社会化1)

必ず手洗いしていた人が感染しなかった場合、「私は強いから・・」と自信を持ってしまい、ウイルスの付着したものを触って手を洗わなければ即感染するでしょう。
日本の風水害のように1晩家にこもってれば、翌日台風一過の晴天が来るような被害では一晩やり過ごせば良いのですが、ウイルスは通過していくのではなくその間にも社会内に滞留している点が大違いです。
強風が収まらないうちに家にいるのに飽きたから(経済が持たないから)と家の外に出るようなことにならないかの疑問です。
ウイルスの立場では、人間が飽きたかどうか困っているかを斟酌したり容赦しません。
韓国の場合、外出規制強化と個人情報の徹底把握と追跡で感染増を押さえ込んでいたに過ぎないとすれば、沈静化したことを理由に外出規制緩和すればどうなるかの見本のようです。
韓国の安易な考えが、ウイルスの報復を受けたようです。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200508/k10012422761000.html

韓国 制限緩和後 ナイトクラブで12人が新型コロナに集団感染
2020年5月8日 19時33分
韓国政府は、ソウルのナイトクラブを訪れた12人が新型コロナウイルスに集団感染したと発表しました。
ナイトクラブなど遊興施設の営業については制限を緩和したばかりで、韓国政府は引き続き対策を徹底するよう呼びかけています。

韓国政府は、ナイトクラブなど遊興施設には営業の中断を求めていましたが、新たに確認される新型コロナウイルスの感染者が減少傾向になったため先月20日から制限を緩和し、営業する場合は店内の換気や消毒など対策を徹底するよう求めていました。

【韓国の新型コロナ】ソウル繁華街の集団感染者は27人に。

業界への処罰を厳格化「感染発生で損害賠償」も(吉崎エイジーニョ) – Yahoo!ニュース 5/9(土) 15:54
本日の最新情報では、韓国政府中央疾病管理本部からこの件の合計の集団感染者数が「27人」と発表された。このなかには韓国軍の大尉も含まれていることも明らかにされている
9日午後、ソウル特別市のパク・ウォンスン市長が緊急会見を行い以下の点を発表した。
「ソウル市は即時にクラブや風俗、キャバクラなどすべてのナイトライフに関する営業の禁止命令を発令する」
「違反した場合、厳重な処罰を受けるだろう」
期限は設けられない。ソウル市内に関しては「禁止」の命令が下されるということだ。
韓国では5月6日からより緩やかな生活指針が示されたばかりだった。指針切り替え前の2日の感染とはいえ、ソウル市のパク市長も会見時には”怒り心頭”だった。
政府室病管理本部側は「我々はコロナをコントロールはしているが、消えたものではない」と注意を促した。

ウイルスを餌付けして飼いならす?コントロールなんてできるのかな?
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200516-00258861-wow-kr

韓国“クラブ集団感染”「4次感染が発生」…関連感染者は計162人
5/16(土) 16:00配信
韓国ソウル イテウォン(梨泰院)の“クラブ集団感染”関連の累積感染者数が162人に増えたことが確認された。また4次感染の事例も初めて発生した。

特効薬もないのに規制を緩めればすぐにこうなるのは当然で、特効薬ができるまでは規制を緩めるのではなく、規制にあった生活スタイルや産業構造への転換努力・工夫するのが正攻法です。
中国風の監視社会化を推進している韓国では、上記ナイトクラブ周辺にいた人のデータ把握で追跡しているようですが、それは追跡には役立つでしょうが(どうせバレると言うことで刑罰を逃れるために名乗り出る効果がある)、中国のように個々人の健康状態まで把握してAランクの人は自宅から百メートル以内で食品マスクだけとか外出基準を細かくしていないで、国民平等に一般的外出許可している以上、ナイトクラブ周辺をうろついた記録があってもそれ自体違法ではありません。
「梨泰院に出入りしたものは届けるべし」という命令違反になるのでしょうか?
このような細かい規制を始めると中国並みに「何と何を買うための外出なら自宅から、数百メートルまで許可」というランク別の許可が出て職務質問されるとその許可内容をスマホで示せないと処罰されるほど・どんどん細かくしていく必要が出てきます。
これが中国武漢市内での現状らしいです。
日本でも車の運転免許証所持義務があり警察官から提示を求められると提示義務があり、免許証の種類により大型トラックやタクシーなどの運転資格が確認され資格外運転をしていると無免許運転で刑事罰対象になるのと似ています。
もともと危険物等については、人間というだけでは(調理用刃物など自宅内利用できるのは別として)外では利用資格がない・・覚醒剤や刃物拳銃等を国民は原則所持したり使用できない(現行犯を除く逮捕監禁も警察官が令状によってだけ行使できる)のを特に資格のあるものに限って(医師や調理師、理髪師など)に許可するからその資格提示義務があることに基づくものです。
これに対して元々の自然権と思われてきた行動・・人が普通に道路を歩くことまで原則禁止にした上で、許可受けた者だけが自宅外で歩けるし、出歩ける距離も人によって自宅から半径百メートル〜500メートル〜1キロ〜2キロ〜Xキロとか車での外出できる人できない人、市外に出られる人と出られない人まで区分するようにした上で、A〜B〜C~Nランクで人別した上で買える・受けられるサービス1覧表だけ買い物したりサービスを受けられる社会って!
いわゆるオーウエルの監視社会の実現です。
非常時限定であればやむをないこともあります・・ICUでの患者は100%プライバシイーがありませんが、本人が意思表示さえできないし意思表示できるようになるのを待っていると死んでしまうのでやむを得ないということでしょう。
それでも延命治療を求めるかどうかを元気なうちに事前に求めておく運用が合理的と言われています。

外出規制緩和基準3(ウイルス死滅が分かるか?1)

治療薬開発成功するまではコロナ禍沈静に成功した経験を活かすしかないのですが、これまでの経験を活かすならば、ロックダウン解除〜経済娯楽活動再開するにしても、従来と違った就労・娯楽パターンへの切り替えに成功した企業に限定すべきように見えます。
従来型のままでの経済活動再開では、何故今後安全になったと言えるのかの理解困難です。
13日日経新聞朝刊36p「疫病の文明論7中国の歴史」を読むと中国は古来から広大な地域と人口を擁していたので、集団免疫戦略で疫病が広まるとなすがままにする?しかないので、その内収まるので生き残った人が人口爆発で盛り返せばいいというような暗黙の合意・思想があるような解説です。
中国は古代から広大で人口が多いということ自体同意できませんが・・。
古代には国境がなく地球が広いという程度ならどこに住む民族でも同じです。
ちなみに疫病の疫とは、兵役の役の右側・・たて鉾を持って病と闘う文字で防疫とは文字通り戦争だったようです。
今回の武漢封鎖ではなぜか武装兵士が繰り出して要所要所を固めたほか、医師団、看護団その他要員を軍事組織のように編成して全国から動員して野戦病院を建て、戦時体制で対応していたのはこの歴史によるようです。
戦争なので負けてられない・・民間では「駆邪逐疫」で大人数動員で爆竹を鳴らしドラを叩いて大騒ぎするようです。
この文章を読んで(上記の通り中国の歴史としては同意できないものの)思いついたのですが、米国各州でロックダウン解除に動き始めたのは、米国得意のスクラップアンドビルド・・現在版の「どこかの町がダメになれば放っておけばいい、元気な町が頑張れば良い」ということでしょうか?
人間で言えば、なんとなくコロナに感染している人の圧倒的多数は下層労働者(不法移民が多い?)であると分かってきました。
米国ではとてつもない格差社会が構築されていて、住む場所も何もかも違い・・製造工場や各種サービス現場を再開した結果現場労働者がバタバタ死ねば、いくらでも移民を入れて補充すれば良い、いくらでも米国に来たい人はいるという姿勢があるのでしょうか?
武漢全面封鎖には驚きましたが、昔流に言えば、武漢城を厳重包囲して、城外へ人一人も出させないで城外への感染を遮断する・・その間に、城内に侵入したウイルス掃討作戦をするという現在版でした。
城を乗っ取った犯人も人質も区別なく容赦なく大砲や機関銃をガンガン打ち込むのと違い、一応籠城中の市民には食料配給し、治療行為をしていた点は現代的で、中国も結構やると思いましたが・・。
以上は冗談として、増加こそ止まっているものの日々の感染者数が高原状態で高止まり状態のアメリカや西欧諸国がどういう合理的成算があって解除に踏み切ったかに戻ります。
韓国が5月始め頃から解除に踏み切っていますのでその結果から見ていきます。
5月9日には韓国で規制緩和した結果、感染者が出かけたナイトクラブで大規模感染が判明したとニュースが出ています。
韓国も感染者との隔離・距離政策で感染縮小に成功した過ぎない以上、隔離前と同じ業態→濃厚接触再開すればウイルス感染が再開するのは当然ではないでしょうか?
韓国では新規感染が止まっていたので、国内にウイルスは最早存在しないと思い込んでいたのでしょうか?
あるいは集団免疫が成立していると思ったのかもしれません。
韓国内ウイルス絶滅論の合理性は、ウイルス生息環境に対する考え方次第ですが、プラスチックスや金属製の手すりドアノブ等に付着したウイルスは72時間も生きていると言われますので、この思考方式からいえば、生物体内に入り込まない限り最長何時間という実験をして生存期間が分かっているのでしょうか?
いろんな物質に付着させたり、乾燥した空気内で何時間とか紫外線に何時間など多種多様な実験をすれば、生物外での寿命がどのくらいかの実験はある程度可能でしょうが・・。
生物・・当面人間限定と思われますが、人間体内に入り込んだ場合の発症までの時間簡単に実験できず、いろんな結果からの推論でしかない点が、難しいところです。
発症者の感染場所機会を推定して、その日から検査して要請になった日までの期間が2週間前後が多い、あるいは最長で二十日前後しかないという経験に頼るだけであって、論理的に1ヶ月生きられるはずがないという論理が全くありません。
2週間〜20日以上の潜伏期間経過しても新規感染者が出ないとしても「逆は必ずしも真ならず」の原理通りで、ウイルスと体内抗争していた結果これといった発熱もなく数ヶ月経過で漸く完全駆逐(気がつかないうちに治った)した人がいないとは限りません。
日頃誰でも頻繁に経験する「軽い風邪にかかったのかな?」という罹り方をして忘れてしまうことが多いですが、このような軽い付き合いで終わる人が意外に多いのではないでしょうか?
こういう人はインフルエンザ等のウイルスを駆逐したのかゆるい症状で共存しているのか外形からは不明です。
この程度の人は検査を受けるチャンスが稀です
結果からの推論の場合、未発症のまま治ってしまった人は最後まで検査に来ないので、どの程度の期間、未発症・・体内でウイルスが潜伏していられるかの統計がありません。
まだどこでいつ感染したか不明の人が発症した場合には、感染したのが1ヶ月前か2ヶ月前かもわかっていません。
ほとんどの病気に急性〇〇炎と慢性〇〇炎や〇〇症の二種類がありますが、慢性の場合、我慢できない酷い症状がある人ばかりでなく時々調子悪いことがある程度の軽い人が一杯います。
このように病気と適当に付き合うのが上手な人がいっぱいいますし、大腸内で共存している大腸菌みたいにコロナウイルスをうまく飼い慣らしている人がいてもおかしくありません。
大腸菌の場合腸内にいる限り人に悪さしないのですが、糞便になって体外に出るとこれにそのまま接触するとお腹を壊します。

強制力に頼る社会の外出規制緩和基準1

ただし、地震や風水害に対する非難訓練があるようにシステム化の準備は必要ですが、強制力まで用意しなくとも日本の場合本当の非常時になれば民族一丸の行動を起こす能力がありますのでそれほど心配がいらないことを3月17日に書きました。
強制になると画一執行が宿命で、現場ごとの裁量に委ねると現場が混乱するので、部分的不都合が起きても強行する・・いちいち例外を認めがたい不都合がありますが、上からの命令がなくともみんなで同胞を守るために頑張るので結果的に個々人の事情に合わせた柔軟対応できるので一定の民度信頼関係があれば信頼で動貸した方がうまく行きます。
自粛要請の場合、例外行動をとる人には自粛できない相応の事情があるだろうからと周囲が大目に見る社会は無理のない良い社会です。
一方でいざという時にこそ本性の違いが出る・・・切迫状態もないのに、自粛だから守らなくても良いだろう式の行動に出た場合、即時的処罰はないものの時間をかけた社会の淘汰・冷たい目が待っている・・こういう社会です。
今日の日経夕刊には、「非常時には非常の手段」という題名で関東大震災時に逓信大臣だった犬養毅が預金払い戻しに殺到した超金金者に対して「通帳や印がなくとも言う通り払え」と命じた逸話が紹介されています。
震災の大混乱が終わり、検証したら不正引き出し請求した人が1人もいなかったとのことです。
信頼の政治をすれば、民もそれに応える民度です。
今回も特定業種(といってもそのまた一部の跳ねっ返りだけかな)では一部暗黙のルールなど守る義務がないと言わんかのような営業強行が目立ちましたが、このようなことをするとその業界に対する社会の目が厳しくなり、のちに考えるとあの時の営業強行が顧客層急減のエポックだったということになりかねません。
こういうことになりかねないので、村社会の時には一族から規範違反をしないように無言の圧力が必要だったのでしょうし、村社会が終わって桎梏がなくなり生きやすくなったとは言え、その代わり個々人の多くは企業社会その他の組織に組み込まれているので企業で一人でもニュースになるような不祥事を起こすと企業のイメージダウンになるので個々の企業や組織も社員の不祥事が起きないように必死ですし、業界団体も必死です。
興行界も、その道の顧客には個別企業名が知られているでしょうが、社会一般ではたとえばパチンコ業界や、風俗系で言えば、一般人にとっては何という店か、個別店舗名を記憶する人は稀です。
しかし、もともと「〇〇が趣味です」などというのは憚られる傾向があったところへ、社会を挙げての自粛に協力しない「〇〇」とのイメージが広がれば業界全体のマイナスイメージの増幅につながりかねない危機感を抱くのが普通です。
メデイアに出てくる知識人?系の意見は、〇〇人といってもいろんな人がいるのに〇〇系人は、〇〇と画一的断定で差別するのが「偏見」だという説明が多いのですが、他方で特定企業の不祥事があるとその企業に対するマイナスキャンペーンを張るのがメデイアです。
特定企業営業マンの不祥事があるとその企業の営業スタイル・・そういう体質を持っているのではないかと警戒するのは当然の防衛作用です。
法的に見れば、労災事故や企業活動の不祥事があると現場の責任に止まらず企業に対する罰金や営業停止処分制度等があるのは、組織体質と社会通念があるからそういう制度が一般化しているのでしょう。
新型コロナウイルスの話題は、年初から出ていましたが武漢が全面封鎖になった1月23日・・国際関心を集めていたその1〜2週間前を基準にすれば、ほぼ4ヶ月経過しました。
・・治療薬ができていない結果、どういう場合収束したとか収束に向かっていると言えるのか・・今わかっているのは、人の交流を縮小すれば拡大を止められることが分かってきた程度にすぎません。
この経験に頼る限り、ロックダウンによって新規感染が減ったすれば、減った原因のロックダウンを緩めればまた感染拡大するのではないか?と思うのが普通です。

https://www.afpbb.com/articles/-/3281791

ロックダウン一部解除、感染「第2波」に注目 時期や規模は?

2020年5月6日 11:56 発信地:パリ/フランス [ フランス ヨーロッパ ]

欧州で最も深刻な被害が出たイタリアとスペインは、約2か月ぶりに屋外での運動を許可し始め、米国の複数の州は企業の操業再開を許可。さらにフランスは、11日に外出制限の解除を予定している。

経済・娯楽活動再開→交流拡大しても何故再拡大にならないと言えるのか?の疑問がありますが、刑事処罰を伴う厳しい規制によって感染数鵜が急減した中韓を始め、感染数の拡大傾向が治ったといえ、高原状態が続く米欧でも規制緩和に動き始めました。
ちなみに米国の新規感染状態は以下の通りです。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58793210W0A500C2000000

米ジョンズ・ホプキンス大学の調べによると、米東部時間5日午後4時(日本時間6日午前5時)時点の新型コロナウイルスの感染者数は世界で約364万人、死者数は25万5千人に達した。感染者数が最多となる米国は119万4千人となり、死者数は7万人を超えた。新規感染者数は1日に2万人超と、高止まりが続いている。

グラフで示すとはっきりですが、要するに高原状態・・高止まり状態で収束どころではありません。
ヤフーニュースによれば日本の感染状況は以下の通りです。
https://hazard.yahoo.co.jp/article/20200207

新型コロナウイルス感染症まとめ
<出典>5月11日 厚生労働省発表(10日時点の集計)
国内の発生状況
現在感染者数  6,646(前日比 -176) 新規感染者数  70(前日比 -9)
累計感染者数  15,798  退院者数    8,531(前日比 +238)
死亡者数    621  (前日比 +8)

教育の中立と休校協力1(米山意見)

昨日紹介した意見・批判一色のメデイア論調に便乗して根拠ない要請など応じる必要もないだろうと言う意見を格好良く思う自治体がある程度出て来たのしょう。
国民の多く・大企業がクラスターになった場合の企業信用への悪影響を恐れてプロ野球であれ相撲であれ、デイズニーランドであれ、かなりの事業体が自粛協力していますが、中には公立学校(経営責任がない公立だからやれることか?)でさえ協力しないところが出ていました。
3月11日「インフルエンザ特措法2と私権制限1」では政府の休校要請に応じない自治体意見を引用しました。
(自治体首長の場合、地元利益さえ守れば日本全体に患者を広げるクラスターになっても気にしない?のかなという感想を上記に書いています)
もともとこのテーマは2月から私権制限と精神病の強制処置に関するテーマを書いていた続きで、たまたま社会の重大関心になっている新型インフルエンザ特措法と私権制限のテーマに移ってきたものです。
(もうすぐ精神障害と人権のテーマに戻ります。)
インフルエンザ特別措置法では諸外国のように強制権がない・・強制措置に至らない休校要請の場合、応じる自治体と応じない自治体がある紹介で・・3月11日のテーマに入り、こういう意見は昨日引用した米山氏意見が基礎になっているかな?という意味で連載のつもりで書いていたのですが、その後いろんなテーマが割り込んでしまって分断されて約1ヶ月経過していますので、できれば3月11日引用の休校に応じない教育委員会意見も読み直してください。
自治体には自治権がある・政党や企業にはそれぞれ自主権があることと、社会共同体利益のためにどのように対応すべきかは別問題です。
国家主権があることと国際協調しなくて良いかは別問題ですし、個々人に人権があることと、世間付き合い(自主性をある程度犠牲にする選択)が不要かは別問題です。
帰り道で「飲んで行こうか?」と誘われて「俺の勝手でしょう」と言い切る人がどれだけいるかですし、企業が既存法令に反しない限り企業活動の自由があるのですが、社会生活上法令に反しなければ商売がなり立つものでないのも自明です。
社会の一員としてみんなギリギリの接点を求めて遊びに行くかどうかの自粛行動を決めているのであり、教育の中立性違反だ御託を述べれば通じるものではありません。
3月17日時点の世論調査です。
https://resemom.jp/article/2020/03/17/55366.html

一斉休校は「賛成」42%、時期は「春休みまで」最多
新型コロナウイルス感染症対策として、安倍晋三首相が進めた「学校一斉休校」は、「賛成」42%、「反対」29%と、一定の支持と理解を得ていることが2020年3月16日、日本マーケティングリサーチ機構が実施したインターネット緊急世論調査の結果から明らかになった。

上記の通り、見出しは42%賛成→一見反対の方が多いように見えますが、記事内容を見ると逆に反対派意見はわずか29%でした。
当時のメデイア論調は安倍政権は迷走している・・無能ぶりを発揮・いかに迷惑な要請か!という意見の洪水でした。
昨日紹介した米山氏意見に戻ります。
弁護士は実務家ですので、具体的事実関係のもとにおいて利益衡量でどちらに分があるかで勝負すべき職業であり政治理念で勝負すべき職業ではありません。
特定系弁護士は憲法違反とか近代法の理念違反などの観念論を大上段に振り回す傾向が強いと言われるのを聞いたことありますが、昨日紹介した前新潟県知事・弁護士米山氏の主張はまさにこれを彷彿させるものです。
観念論で生きている人が、地元利害調整の求められる知事になっているのか?という驚きで3月11日のコラムに続いて原稿を書いておいたものですが、コロナ対応の巧拙のテーマから話題が横にそれていました。
政治というのものは、「あちら立てればこちら立たず」の利害調整が本質ですが、(それも現実政治は二択ではなく無数の利害関係者が入り乱れる複雑なものです)二択基準どころか理念だけで県の政治ができる現実があったとすれば驚きです。

特措法と緊急事態宣言(必要性1)

これまで見てきたように現在のインフルエンザ特措法システムでは、(改正後でも)緊急事態宣言発令を迅速化したところで、強制できない、要請(お願い)→指示しかできない・イベント会場を実力で封鎖できないのが基本原理ですから、宣言迅速化だけで直ちに私権制限効果が出る法律ではありません。
なぜ緊急事態宣言だけでも迅速に出した方が良いという議論になるかというと、緊急事態なので・という自粛要請よりは、正式宣言が出ている方が、多方面で自粛要請し易いという事実上の効果を狙ったものでしょう。
しかし安倍総理の記者会見発言一部を5月3日に紹介しましたが、真に緊急事態である以上は、上らの命令による強制力に頼るのでは実はうまくいきません。
今回緊急事態宣言が出ていないことを3月中旬頃の改正論議のニュースで始めて知ったのですが、中には、宣言も出ていないのに総理の一存での自粛要請が浮き上がっているかのような・この種の総理批判記事ニュースが圧倒的だった理由がここにあったことがわかりました。
緊急事態宣言制度があるのに、それを使わないで休校要請するのは脱法行為ではないか?
緊急事態でないのに、なぜ要請するのかという揚げ足取りというか、脱法行為の不信感を利用したものでしょうか?
周囲が反対しているのに安倍総理が独断専行で断行したかのような意見を新聞等も遠慮がちに書いていた記憶です。
周囲がまだ緊急事態宣言する段階でないと反対していたらしいのですが・・。
ネット検索してみると以下のような意見が出て来ました。
以下は長くなるので部分引用です。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/030201117/

「小中高休校」の賭けに出た安倍首相、異例の政治決断の舞台裏
安藤 毅 日経ビジネス編集委員  2020年3月2日
「よく見えない、よく分からない敵との戦いは、容易なものではない。率直に言って、政府の力だけでこの戦いに勝利することはできない。終息に向けては、一人ひとりの国民のみなさんの理解と協力が欠かせない」
2月29日、新型コロナウイルスの感染拡大問題を巡り、初の記者会見を行った安倍晋三首相。さらなる感染拡大の防止に向け、危機感を鮮明にしつつこく訴えた。
政府の専門家会議では全国での一斉休校が感染防止に現時点でどれだけ効果があるかを検討していない。政府内や与党との調整や事前の準備がほとんど行われない中、安倍首相が文字通りトップダウンで決断した。「側近の今井尚哉首相補佐官の進言が首相の背中を押した」と複数の政府関係者は漏らす。
政府の対応を巡っては、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」で感染が拡大した問題などに国内外で政府への批判が広がった。政府が早急に中国からの入国制限を行わなかったことなどに対し、首相の支持基盤である保守層の一部からもネット上などで厳しい指摘が相次ぎ、首相は焦りの色を濃くしていた。各種世論調査で内閣支持率の下落が顕著となる中、「悩んだ末、首相は賭けに出た」と周辺は明かす。
突然の休校要請、政権内で冷ややかな見方も
特に休校要請の決断に関しては、政府の対応に一貫性や戦略性が欠けた分、積み上げてきた安定政権への信頼が急激に揺さぶられる事態となっている。自民のベテラン議員は今後への影響を危惧してこう漏らす。
「首相は森友学園、加計学園を巡る問題や、桜を見る会などで批判を浴びてきたが、これらと違って今回は有権者の生活に直結する問題だ。今後の展開次第では、首相、そして自民党に大打撃となるかもしれない」

以上はもって回った言い方で、反安倍論調とは必ずしも言えませんが、以下は立ち位置が明確です。
https://webronza.asahi.com/politics/articles/2020022900005.html

新型コロナウイルス対策で臨時休校を要請した安倍首相の支離滅裂
何の準備もなく唐突に始まった「超巨大国家プロジェクト」はおかしいところだらけ
米山隆一 前新潟県知事。弁護士・医学博士
法的根拠のない首相の「越権行為」
学校の休校は、原則として同法に基づき、教育委員会が決定し、その予算執行は各自治体の首長が行うもので、総理といえどもこれについて一切の権限を有しません。
・・・総理の今回の「要請」は、公教育の独立性を確保するために定められた教育委員会に関する法の趣旨を真っ向から否定するもので、日本の法秩序を大きく害するものと言わざるを得ません。
「首相の責任」「現場の責任」が二転三転
引用略
「児童における全国的な感染症の流行」は存在しない
引用略

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