外出規制緩和10(韓国の実験と監視社会化3)

専制支配体制が長く続く社会の人民は、自主的価値判断で動くのはリスクが高いので、専制君主のご機嫌を損ねないことが優先順位となり最悪の場合処罰されるかどうかの外部基準に頼る社会になっています。
専制君主に直接接点のない末端人民に至るまで、人民は処罰さえ受けなければ(法網をくぐる技術重視)良いという正義とは何かを考える余地のない社会になり、正義とはなにか?自発的価値観を育む経験がないまま、千年単位過ごしてきたと専制支配社会の特質を書いてきました。
政治世界では世の中を良くするための知恵をしぼるよりも保身・権謀術数に勝ち抜く訓練が優先順位になります。
個々人は社会貢献よりも私腹をどうやって肥やすかの金儲けだけが基準となり、自粛と言われてもどの程度自粛すべきかを考える訓練機会が子供の頃からないので、自主判断能力が育たない社会になっています。
日本でも成績優秀者・・模範解答を勉強するのや忖度に特化したひとは政府の方で早く自粛基準を示してくれないと困るという大阪府知事のような変な要求が出てくる点では似ています。
自治を守れと声高に主張しながら具体論になると指導基準を示してほしいという人が少なくありません。
自主判断・自由行動禁止になっている社会と自主行動推奨社会でありながらどうして良いか分からない・・一定基準に達しない人のために、参考基準・・マニュアルが必要なのは似ていますが出発点の方向が違います。
人が自主的にどこまでやれるかを年齢順で見ると小中高校、大学〜社会人と順次レベルが上がっていくのが普通です。
同じ年齢でも能力差がありますので、マニュアルがあった方が低レベルの人も一定水準まで真似できます。
特措法では、政府が緊急事態を宣言すれば都道府県が地域の実情に合わせて対策を決める仕組みですが、大阪府の要求を見ると政府指示待ちの習慣が出てきたようです。
感染率の上昇や縮小といっても地域差が大きい上に、地域の産業構造も違うので緊急事態かどうかの判断権は中央政府にあるとしても個別施策は地域の実情に合わせてやって下さいというのが特措法の精神です。
韓国のコロナ関係統計を見ていると韓国のコロナ政策がうまくいっているようなのにメデイアによるこれといった紹介がないのを不思議に思っていましたが、韓国が外出規制解除に動いてから一気に韓国のコロナ政策内容が公開されるようになってきました。
韓国の政策特徴は、日本の微温的政策と違い監視社会化を大きく進めていたことが大きな違いのようです。
メデイアが韓国でこんなことしているから日本も学んだら!という報道をしないのは、何もかも中央政府が国民一人一人を監視し指示し、地方や国民が政府指示通りに動く社会を理想化する意見が日本人には少ないと判断したからでしょうか。
能力が低くて指示待ちになるのは個人の問題ですが、能力の有無に関わらず政府が前もって指示してくる仕組みになる・・能力ある人の日々の日常行動まで自主判断が許されない社会になると民主主義の本質が破壊されるように思われます。
専制支配に慣れた社会では、自由は重たすぎるので恐怖感利用による指示政治の方になじみが良いのでしょうか?
韓国の規制緩和の結果を見ると中国の真似をした監視網構築であるものの、中国ほど徹底できない・・半端さでウイルスの報復を受けたような印象です。
国際政治力学的に見れば、中国の台頭と歩調を合わせた慰安婦騒動以来の韓国民の行動を通じた心情をみると自由主義陣営に属しながらも本当は自由より専制支配されていた昔が恋しい意図がアリアリの印象でした。
表向き米国中心の自由主義陣営に属しているものの、内心では自由は辛い・・99%中国の属国に戻った気分になっているように見えていましたが、今回の韓国のコロナ対策の具体化が徐々に報道されるようになってみると、表面上自由主義社会の一員にかろうじて留まっているとは言え、社会の実情としてはいわゆる監視社会化を中国パターンにあと一歩まで近付いた極限社会になっていた印象です。
人権(個人情報保護)にうるさい西欧諸国でも対コロナ禍では緊急事態下で相応の厳しい規制をしていますが、1律の外出制限等にとどまっているののたいし、韓国の個人監視運用を見ると民主主義社会の一線を超えている印象です。
韓国民にとっては歴史始まって以来専制支配下にあってもともと専制支配体制に服する方が気持ち的にピッタリして落ち付きの良い民族性の上に、北朝鮮の専制支配に憧れる文政権成立でこれをチャンスに?急激に監視社会化が進んだということでしょう。
日本では安倍政権が休校自粛要請するだけで、教育の中立性侵害という批判論が朝日新聞で紹介される社会とは大違いです。
コロナ禍をダシにしてなし崩し的に何でも決まって行く・軍靴の音が聞こえてくる式の政権批判論がメデイアの基本姿勢ですが、一方で安倍政権は右往左往していて指導力がないという政権批判論を煽っていますが、「韓国がうまくいっているのに」という喉まで出かかっている単語を持ち出せないのは、休校要請や自粛要請批判と韓国の強制力の激しさと矛盾してしまうからでしょう。
そこでやむなくドイツがいかにうまくいっているかの宣伝が激しくしていたので、このシリーズで国際比較の一環としてドイツのデータも一緒に表を引用して紹介してきましたが、ずっと日本の10倍以上も死亡発生していますので、これまたなぜ「ドイツがこんなに成功している!」と安倍政策失敗の比較例になるのか不明になっています。
誰もが国際統計をネットで見る時代に、結果比較でおかしすぎるので恥ずかしくなったのか?最近ドイツを賞賛する根拠不明の記事が減りました。

外出規制緩和9(韓国の実験と監視社会化2)

コロナ禍による行動監視や歩行禁止は、個人の意向など無視できるほどの社会防衛の必要性があるのでしょうか?
昔の言い方で言えば、法定伝染病に罹患していれば公共の福祉・・社会防衛のために強制入院を命じられるのは元々の法原理ですが、感染している証拠がなくとも

a「感染させる恐れ」
b「感染する恐れ」

だけで道路を歩いたり人混みに行くのを禁止できるかの疑問です。
上記bの場合、本人がリスクを取ればいいだけで国家が直接強制する必要がないでしょう。
多量の飲酒や喫煙が健康に害があるとしても、政府がキャンペインや増税したり歩行中喫煙や公共空間での喫煙禁止などの間接的抑制を図るのは別として、飲酒や喫煙自体を直接処罰するのは行きすぎです。
上記aの場合、検査しても陽性でなく発症もしていないが、まだ「潜伏期間」かも知れないから危険だという思想でしょうが、いわゆる濃厚接触者・・感染者が多数出ている艦船の同乗者、あるいは、感染拡大中の地域から来た人や帰って来た人に対する相応の嫌疑をかけて潜伏期間とされる2週間ほどホテル等指定箇所で外部接触を絶っていただくのは一応の合理性があります。
前後の状況、挙動不審等の相応の嫌疑根拠があれば警察〜検察が一応の証拠で令状によって、合計約22日間逮捕〜勾留できるのと似たような機能です。
ホテル等と留置場とでは待遇がまるで違う点があって許容性が高まるでしょうが、現状は「陽性反応もないので自宅に帰る」と頑張られると強制できない運用です。
軽症または未発症の陽性反応者でさえ、隔離ために自治体がホテル等を大量に確保したのに、(入院の必要がないならば陽性反応者でさえ)ホテルへの移動に大多数が応じていない現状が国民意識を物語っています。
法で強制する方向の議論は起きていません。
陽性反応どころかなんら感染の疑いもない人をある地域に住んでいるといいうだけで政府が一定期間自宅やホテル等へ強制軟禁するのは憲法違反の人権侵害でないか?というのが現在日本人の大方の意識ではないでしょうか?
半径100〜200メートルまで自由なら良いと言えるでしょうか?
出歩かないように協力お願いが限界というのが国民意識ではないでしょうか?
お願い程度にすべきという意見は、根底に国民の大方が自主判断でやるだろうとの信頼があるからでしょう。
欧米では非常事態宣言が出て特定人目的でなく、その地域住民全員に対する客観指標による強制の場合、恣意的に行わないので公平だという考えでしょうが、よほどの必要性とのバランスでしょうが、日本ではそれも許容範囲外です。
まず自粛でやってみて、それでどうにもならなければ一段の強化を考えるという順序です。
欧米では一足飛びの刑事罰のある外出禁止ですが、人権人権という割に、国民に対する信頼感が低い証左です・というか、もともと国民の権力に対する信頼感がないから人権人権と騒ぐ必要がることも何回も書いてきました。
監視社会に戻します。
本人の意思に関わらず日常的に細大漏らさずデータが蓄積される社会になっていてコロナ禍等の特別なときだけ権力支配ができるとしても、サイバーテロのようにちょっとした能力さえあれば侵入して特定人物の行動を監視できる社会になるのはおぞましい限りです。
個人特定情報拡散防止規制があっても、国際スパイ網はこれへの侵入を試みるでしょうし、権力闘争者も与野党を問わず裏情報としてこれを利用する誘惑にかられるでしょう。
個人情報保護規則を如何に精密にしても「盾と矛」の矛盾関係で精密な防御技術を作る能力のある人はそれを破る能力もあるのが原則で、100点の技術者が一人で2番手が90点以下のように突出した能力がある場合破るのが難しいとしても100点代の技術者が1000〜1万人いる場合、全部を権力・体制内に囲い込めないのでそのうち数人でもアウトロー側に回れば、簡単に防御陣が破られる原理です。
剣の達人で言えば、ど素人が不意を襲っても達人に負けるとしても、甲乙付け難い能力者同士の戦いでは正面からの正式試合でさえも、当日の体調や事前練習の仕上がり次第で勝ったり負けたりの3勝2敗等で勝敗が決まっていくものです。
テロ・攻撃側は密かに相手の隙を狙う点で、剣の達人が寝ている隙を狙って、あるいは背後からいきなり切り掛かるようなものですから、100点対80点程度の実力差があっても勝てるような関係ですから攻撃可能な人材の裾野はものすごく広くなります。
だからこそ、情報収集自体を許さないという「のほほんとした」個人情報保護規制が発達してきたのですが、そういう「のほほんとした」時代が終わりつつあることが白日の下に晒されたということでしょう。
防犯カメラはそれ自体では事件が起きてから時間をかけて巻き戻して見るしかなかったので、(千葉県弁護士会館でも防犯カメラが設置されていて事務局の奥に映像が常時流れていますが、誰も映像を見ている暇がなく、日常的監視不能でそれほどの被害がなかったのです。
現在ではコンビニその他でのカード利用と結びつけてそこでの防犯カメラの膨大な映像によって、(Aに対する縦横斜めの立体映像が完成していて)スマホ等の位置情報と紐付けたうえで、AI駆使によって瞬時に・・ある事件現場のお店の防犯カメラに片足しか写っていない人物特定が可能になってもおかしくない現状です。
権力者やスパイ等が、Aの日々のリアルタイムの情報が欲しければ現在どこの高速道路上で、どこに向けて走っている・車中から誰に電話中か、メール中か、どの動画視聴中かも分かる・・3日〜1年前に遡ってBと会話していないか・・同席していないかも分かる時代が目前にきているかもしれません。
日本の場合、全て忖度、自粛・自主判断に委ねる社会であって、守らなくとも処罰される社会ではありません。
メデイアはしきりに忖度を批判しますが、周りの空気を読んでこのように動くべきと自主的判断で行動する社会・魚群のような無意識で一体行動のとれる社会と上からの指示命令に反しない限り何をしても良い・・自主的に気配・・価値観を察知する訓練のない社会とどちらが良いかです。
自粛・自主判断重視社会では処罰がない分、基準もファジーで済みますので厳格な監視社会に繋がりにくいでしょう。

外出規制緩和8(韓国の実験と監視社会化1)

必ず手洗いしていた人が感染しなかった場合、「私は強いから・・」と自信を持ってしまい、ウイルスの付着したものを触って手を洗わなければ即感染するでしょう。
日本の風水害のように1晩家にこもってれば、翌日台風一過の晴天が来るような被害では一晩やり過ごせば良いのですが、ウイルスは通過していくのではなくその間にも社会内に滞留している点が大違いです。
強風が収まらないうちに家にいるのに飽きたから(経済が持たないから)と家の外に出るようなことにならないかの疑問です。
ウイルスの立場では、人間が飽きたかどうか困っているかを斟酌したり容赦しません。
韓国の場合、外出規制強化と個人情報の徹底把握と追跡で感染増を押さえ込んでいたに過ぎないとすれば、沈静化したことを理由に外出規制緩和すればどうなるかの見本のようです。
韓国の安易な考えが、ウイルスの報復を受けたようです。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200508/k10012422761000.html

韓国 制限緩和後 ナイトクラブで12人が新型コロナに集団感染
2020年5月8日 19時33分
韓国政府は、ソウルのナイトクラブを訪れた12人が新型コロナウイルスに集団感染したと発表しました。
ナイトクラブなど遊興施設の営業については制限を緩和したばかりで、韓国政府は引き続き対策を徹底するよう呼びかけています。

韓国政府は、ナイトクラブなど遊興施設には営業の中断を求めていましたが、新たに確認される新型コロナウイルスの感染者が減少傾向になったため先月20日から制限を緩和し、営業する場合は店内の換気や消毒など対策を徹底するよう求めていました。

【韓国の新型コロナ】ソウル繁華街の集団感染者は27人に。

業界への処罰を厳格化「感染発生で損害賠償」も(吉崎エイジーニョ) – Yahoo!ニュース 5/9(土) 15:54
本日の最新情報では、韓国政府中央疾病管理本部からこの件の合計の集団感染者数が「27人」と発表された。このなかには韓国軍の大尉も含まれていることも明らかにされている
9日午後、ソウル特別市のパク・ウォンスン市長が緊急会見を行い以下の点を発表した。
「ソウル市は即時にクラブや風俗、キャバクラなどすべてのナイトライフに関する営業の禁止命令を発令する」
「違反した場合、厳重な処罰を受けるだろう」
期限は設けられない。ソウル市内に関しては「禁止」の命令が下されるということだ。
韓国では5月6日からより緩やかな生活指針が示されたばかりだった。指針切り替え前の2日の感染とはいえ、ソウル市のパク市長も会見時には”怒り心頭”だった。
政府室病管理本部側は「我々はコロナをコントロールはしているが、消えたものではない」と注意を促した。

ウイルスを餌付けして飼いならす?コントロールなんてできるのかな?
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200516-00258861-wow-kr

韓国“クラブ集団感染”「4次感染が発生」…関連感染者は計162人
5/16(土) 16:00配信
韓国ソウル イテウォン(梨泰院)の“クラブ集団感染”関連の累積感染者数が162人に増えたことが確認された。また4次感染の事例も初めて発生した。

特効薬もないのに規制を緩めればすぐにこうなるのは当然で、特効薬ができるまでは規制を緩めるのではなく、規制にあった生活スタイルや産業構造への転換努力・工夫するのが正攻法です。
中国風の監視社会化を推進している韓国では、上記ナイトクラブ周辺にいた人のデータ把握で追跡しているようですが、それは追跡には役立つでしょうが(どうせバレると言うことで刑罰を逃れるために名乗り出る効果がある)、中国のように個々人の健康状態まで把握してAランクの人は自宅から百メートル以内で食品マスクだけとか外出基準を細かくしていないで、国民平等に一般的外出許可している以上、ナイトクラブ周辺をうろついた記録があってもそれ自体違法ではありません。
「梨泰院に出入りしたものは届けるべし」という命令違反になるのでしょうか?
このような細かい規制を始めると中国並みに「何と何を買うための外出なら自宅から、数百メートルまで許可」というランク別の許可が出て職務質問されるとその許可内容をスマホで示せないと処罰されるほど・どんどん細かくしていく必要が出てきます。
これが中国武漢市内での現状らしいです。
日本でも車の運転免許証所持義務があり警察官から提示を求められると提示義務があり、免許証の種類により大型トラックやタクシーなどの運転資格が確認され資格外運転をしていると無免許運転で刑事罰対象になるのと似ています。
もともと危険物等については、人間というだけでは(調理用刃物など自宅内利用できるのは別として)外では利用資格がない・・覚醒剤や刃物拳銃等を国民は原則所持したり使用できない(現行犯を除く逮捕監禁も警察官が令状によってだけ行使できる)のを特に資格のあるものに限って(医師や調理師、理髪師など)に許可するからその資格提示義務があることに基づくものです。
これに対して元々の自然権と思われてきた行動・・人が普通に道路を歩くことまで原則禁止にした上で、許可受けた者だけが自宅外で歩けるし、出歩ける距離も人によって自宅から半径百メートル〜500メートル〜1キロ〜2キロ〜Xキロとか車での外出できる人できない人、市外に出られる人と出られない人まで区分するようにした上で、A〜B〜C~Nランクで人別した上で買える・受けられるサービス1覧表だけ買い物したりサービスを受けられる社会って!
いわゆるオーウエルの監視社会の実現です。
非常時限定であればやむをないこともあります・・ICUでの患者は100%プライバシイーがありませんが、本人が意思表示さえできないし意思表示できるようになるのを待っていると死んでしまうのでやむを得ないということでしょう。
それでも延命治療を求めるかどうかを元気なうちに事前に求めておく運用が合理的と言われています。

外出規制緩和6(抗体保有率・集団免疫)

ある社会でウイルスに強い(発症しにくい)人の比率が100人中1人か、30人か90人か等によって、(自覚症状があってから検査を受ける社会の場合)発症表面化率が違ってきます。
PCR検査をいかに拡大しても、小学校等で(体調不良等特殊事情を除いて)全員もれなく実施する各種ワクチン接種のように国民全員に検査を義務付けるまでにはいかないでしょうから、最大化しても当面希望者全員検査をできるようにするのが限界でしょう。
ウイルス感染に強い・未発症状態の人の比率が上がるか、あるいは元々その比率の高い社会では、感染していても検査を受ける比率が下がります。
検査を受けない感染者が一杯いても統計上の感染率が下がる一方ですが、実はウイルスが社会にウヨウヨしている場合があり得ます。
言い換えれば抗体保持者の多い社会ですので、仮に人口の99%が免疫保持者になれば、集団免疫成就社会という理想社会になるでしょう。
社会の99%が抗体保持者・・感染可能率が1%くらいならば、たまに発症しても「あいつは弱いんだよ!」と例外扱いすれば済み、社会の脅威とならないので、普通の風邪ひきや心臓病、がん患者みたいなものにランク落ちして「疫病」から卒業です。
そこへ行きつくまでの途中・・ウイルスが体内侵入してきても抵抗力が強くて症状は出ないが周囲にウイルスを撒き散らす人・抗体保持者?が3〜40%で6〜7割がすぐ発症する弱い社会では、ニコニコと近づいてきた知り合いが、実は感染しているが未発症かどうか不明で、「うかうか町も歩けないよ!」という期間どうするかです。
上記の仮定例で言えば、10人の元気な人に出会えば、そのうち3〜4人がウイルスを撒き散らす隠れ感染者(または元感染者)の可能性があるということです。
感染しているが未発症の人が、1日平均100人に接触する場合、100人の内一人でも弱い人がいると1日一人の発症する感染者が発生していくことになる。
すぐに発症する弱い人が10人いれば、潜伏期間を経て検査を受けるので弱い人の比率次第で検査を受ける人の数が増減し、表面化する新規感染数も増減します。
1人の人間が1日に平均100人と接触していた社会で1日の接触数を10人に減らせば、感染増加率も10分の1に減ります。
ウイルスに強い人を増やすには相応の感染リスクを経る必要=リスクを負担しますが、会う人を減らすだけならば、リスクがないので古来から世界中がまず取り組んできたのが接触数縮小政策でした。
未知のものには警戒してむやみに近づかないのが動物界の掟です。
伝染性疾患とは伝染しやすい疾患のことですから、伝染=対人距離に比例・・私が戦後に育った子供のころの経験では「避病院」といって結核〜ライ病など治療方法不明の病気は須らく雑木林に囲まれた村里外れの隔離施設に収容するのが基本でした。
これが古代からの基本的知恵です。
古代からといえば、私が戦後疎開先で育った地方の経験では葬送の儀礼は土葬社会でしたので、土葬すべき墓地は人里離れた場所・サンマイ(子供の頃なのでどういう漢字を当てていたか不明)と呼ばれる人里離れた場所にありました。
文字通り「穢れ」を隔離する思想によるものでした。
古代には死に至る病=全て伝染する病原菌の巣窟という恐怖と一体だったからではないでしょうか?
今でもお葬式から帰ると殺菌の儀礼として塩を撒く習慣はこの恐怖に由来します。
現在でも台風が来れば台風と戦うよりは、安全のために「早く家に早く帰りましょう」(一番安全な自宅に篭れ)と呼びかけるのもこの1形態でしょう。
家のいろんなものが飛び散っても嵐の最中に出て行って道路や庭の掃除する人はいないでしょう。
風水害に対する日頃の備え同様に日本民族の元々保有している対ウイルス免疫獲得力の差(経済への影響で言えば、いざという時のための蓄積のある社会・体力差がものを言うように)が新規感染者数に影響するので、検査を受けて初めて分かる新規感染者数の絶対数字自体に意味がなく、その増減を折れ線グラフ化した傾向の読み取りが重要です。
絶対数の必要性は結果としての死亡数・コロナでの死亡かどうか灰色の場合も多い(交通事故死の場合までPCR検査してみたら陽性だったという報道が日本では出ますが、時節柄死亡すればPCR検査する国とそこまでしない国があるので、他国との統計比較には誤差が大きすぎます。
この点は失業率統計でも同じで、失業保険制度との関連で職安に登録した人だけの統計では失業保険制度の使い勝手の悪い社会とそうでない社会の違いが出ますし、例えば、支給期間半年の国と1年間の国では期間の長い国の方が失業率が2倍になります。
日本の場合企業内失業・・政府補助金で解雇を先伸ばす制度もあります。
このように統計の前提たる社会構造の違いが大きく出ますので、何を統計に含めるかで違いが出ます。
中国のGDP統計が信用できないことから国際的には政府発表のGDPより電力消費量の増減からの推計が流行りましたし、電力統計が操作されるようになると物流統計など次々と目先データの変更が必要です。
国別比較の場合にはこのような統計の違いが出るので、コロナ禍による影響を比較するには、結果から見るのが合理的です。
例年の各月の平均死亡数とコロナ禍時期の結果としての死亡数の変化で見比べるのが非科学的なようで実は最も正確でしょう。
同じ検査体制内では統計の変化は意味があるので、政策効果の方向性を決定づける「勢い」を知るには有用です。
例えば、日に千人平均(約1週間〜10日間の移動平均)の新規感染者が出ていたのが900〜800〜数百と漸減し百人以下の80〜70〜50〜20〜10人〜さらに8〜5〜2人と減っていけばある程度傾向が読めます。
抗体を持つ人の比率が上がると新規発症率が下がる関係ですから、対ウイルス治療薬や撲滅策(例えば熱に弱いからこうすればいいという処方が成功しても、治療薬によるのではありません)が不明・未発見の状態である以上は、他方で抗体保持者の比率が上がっていると推測することが可能です。
新規感染がゼロになればその先の傾向をどのように読むべきかは、抗体保持者あるいは免疫力をどう読むかです。
韓国が感染押さえ込み成功したということで、4月下旬に外出制限を緩和しましたのでその後の経過を見ていきます。

外出規制緩和5(陽性判定の精度)

感度(陽性捕捉率)の方は、濃厚接触後すぐだったので検査が早すぎてウイルス検出できなかったが、2回目にやったらウイルスが出るほどになった場合もあるようですし、検体採取ミス(これが意外に難しいので熟練が必要らしいです)でウイルスを採取し損なった場合や、不純物が混じってしまったり、輸送中の損傷や温度管理や周辺機器殺菌処理過程でウイルスを殺してしまうなどいろんなミス(多数関与者があり地域差、医療現場ごとの人材格差・技術的ばらつきがある)が生じる結果陽性検出率にばらつきがあるので、これら(大づかみ)総合判断で3〜7割の信用性になるという直感的意見かも知れません。
ただし客観データとしては、後日再検査で陽性になった事例(2回以上検査を受けた人だけ)だけをあとで集計すると1回目の捕捉率は3〜7割ということであれば、一応論理的です。
再検査で陰性から陽性になった人の比率は、上記基準では全員再検査した人の場合の比率であれば合理的ですが、・・若年・軽症者の場合自然治癒率が高いので「陰性」と言われてその後治ってしまえば、それで満足してもう一度検査に行かないでしょうから、検査エラーデータにカウントされる余地がありません。
濃厚接触者で現実に発症している(あるクラスターでの濃厚接触者の一人Aが検査の結果陰性になったのですが、そのクラスターに関係ない勤務先の部下が、発症したので上司 Aについて色々調査するとCT検査その他総合してはっきりコロナ型の症状が出ているのにそれでもAについて陰性が2回続き、3回目にようやく陽性反応があった事例が報告されています)ので周囲が納得しないで2回以上検査を求めた場合だけになります。
現在検査を受けるチャンスは、濃厚接触者として調査ルート上に乗った人優先でそれ以外は発症者であっても、どこで感染したか不明で申し込むと簡単に検査してくれないし、(待機中に急激悪化するパターンがあることが知られています)まして1回陰性になれば、発症がない限り2回目以降の検査チャンスはものすごく減ります。
まして濃厚接触者以外の軽症の人は、感染しているのも知らず検査を受けないままになります。
物事の分布は、富士山の裾野型で軽症者の方が圧倒的に多いのが原則でしょう。
ウイルス保有者で圧倒的多数を占めるはずの軽症者が検査網から外れたままの捕捉率では、(目先の病人の命を守る目的からいえば、発症者だけ見れば良いとも言えますが、)統計・・・経済活動等の規制緩和の基準として地域内でウイルスが存在しないかどうかの基準に用いるには、客観性があると言えるかの疑問です。
以上によればPCR検査受けた人の中で仮に過去2週間〜20日間陽性反応が生じていないとしても、検査者の3〜7割が検査制度の関係で捕捉漏れとなり、検査しない人の中の陽性者については100%の捕捉漏れになっている可能性があることになります。
痛くも痒くもないのに検査にわざわざ来る人は意識の高い系?どちらかといえば検査抵抗の低い人でしょうが、軽症の場合「急がない・もう少し様子を見てからにしよう」という人の比率が高いでしょう。
実際にウイルスが身体に入っているが、検査を受けない人はもちろん統計から外れます。
この差が米国で抗体検査すると統計上の感染者の何倍も感染しているらしいことがわかった理由でしょう。
https://news.yahoo.co.jp/byline/iizukamakiko/20200421-00174391/

米ロサンゼルス 実際の感染者数は公式発表の最大55倍=44万人超 抗体検査の結果発表
4月9日時点で、成人の約4%(2.8%~5.6%)が、血中に抗体を持っていることが判明したのだ。これは、ロサンゼルス郡の人口約980万人中、22万1000人~44万2000人の成人が感染していたことを意味しているという。

ちょっと前に書きましたが、潜伏期間という意味は、現在の科学水準での検知能力未満というだけで、腫瘍等の大きさの基準で言えば、目視に頼るときには数ミリ未満を目視できないときには数ミリ以上に成長するまでは潜伏期間でしょうが、1ミリ、あるいは100分の1ミリの大きさでも検知可能になれば、その時点から潜伏期間とならないのでしょう。
潜伏期間とは人間が勝手に名付けているだけで、その間にも侵入したウイルスは活発に活動しているし迎え撃つ人間の免疫系も必死の防戦中です。
緒戦では相互に死力を尽くしているので他人に感染させる余裕体力がないかと思いたいですが、ウイルスの方は、吐く息に混じって外部に吐き出されるので体内で戦闘中でも関係なく排出しています。
だから未発症者でも感染力があるのでしょう。
発症の意味も同様で日常生活に支障をきたすような発熱や、なんとなく息が上がる、だるい等の自覚症状を待つ場合には未発症でしょうが、高度検査すればウイルス侵入直後から体内での免疫系の緊急対応の動きが起きている→精密に見れば相応の症状が起きているがまだ発熱していない段階が想定されます。
潜伏期間とは、ウイルス侵入後精密機器を用いない自覚症状が起きるまでの期間というべきでしょうか?
自覚症状がない間にも接触者らへの感染能力があるようですから、その点が難点です。
自覚症状とは何かですが、比喩的に言えば大きな屋敷の裏木戸で侵入者と門衛との間で小競り合いが起きていても屋敷中央(司令部・脳細胞の意識)にはその異変の通報がなく中央部(司令機関)で気が付かない場合ですが、部分的にはすでに小競り合いが発症している状態でしょう。
卑近な例で言えば、庭仕事をしていて棘が手足に刺さった瞬間に体内反応が起きているのですが、まだ意識に上ってこない・数日して腫れ上がってきて初めて探してみると棘が刺さっているのに気づくまでの期間であり、変なものを食べて腹痛が始まるまでの時間です。
棘、あるいは食中毒による腹痛発症までの間、他人に食中毒を伝染させることがないのですが、コロナ型ウイルスの場合自覚症状が出る前から感染力を持つ点が違います。
(ちょっとおかしいかな?と思っても数日で治ってい舞うような人を含め)未発症者から感染しても未発症で終わる人への感染が広がっている場合、検査を求める発症者が1ヶ月半一人も出ないとしても、その間たまたまウイルスに強い人の間で2〜3回回転して感染が広がっていたが表面化していなかったに過ぎない場合があり得ます。

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