リーマンショック以降の輸出急減によって、中国の理想的な支配構造が壊れてしまいました。
中国の高度成長は、内需よりは世界の低賃金工場としての輸出主導経済でしたが、リーマンショックで輸出が急減したのでに慌てて、4兆元と言う巨額財政出動による内需拡大に努めました。
これは、輸出企業・国有企業の急激な生産減・倒産防止・・共産党幹部・・政権支持層の維持を優先するとともに、内需転換出来る企業と関連雇用確保との二兎を追うものでした。
国内インフラ投資やこれに必要な製鉄など重工業系の生産力増強投資から始めたことになりますが、縫製工場などの労働力とは質が違うので、これらの生産急減(失業)に対する救済にはなっていませんし、国民の消費水準引き上げにはそれほど寄与していませんでした。
(これがいつ革命が起きてもおかしくないと言われるほどのジニ係数急激悪化・・格差拡大の原因です)
4兆元の巨額財政支出は国内インフラ産業の成長を促しましたが、需要がないのに無茶苦茶に作ったものですから、数年経過で完成が始まるとその咎めが出て来ます。
ゴーストタウン化したマンション群や、誰も乗らない高速鉄道ばかりではいくら国営企業で採算度外視と言い張っていても困ってしまいます。
さすがにこれ以上作れなくなって過剰生産能力のはけ口として、鉄鋼製品に限らず素材産業全般で出血輸出拡大が続いて、今や世界の大迷惑になってしまいました。
出血輸出・・赤字ではいつまでも続きませんから、国有企業等の生産削減・・淘汰が始まるしかありませんが、そうなると党幹部・太子党・・あるいは国有企業関連で良い思いをして来た一部の人・・地位の高低に応じて大小の利権差がありますが、結構な数です・・政権支持層内の不満が出て来ます。
独裁政権にとっては内部不満が一番怖いので・・これが習近平政権の内部粛正・汚職退治と言う恐怖政治に連なっていると思われます。
今の兵器は半端ではないので、民衆蜂起などいくらあってもその都度残虐な弾圧を出来るので(南京虐殺と言う宣伝は、自分ならば、この程度のことは朝飯前にやれると言う意思表示です)政権は全く気にしていませんが、政権内部の内部抗争は軍事力がいくらあっても防げませんから、これが一番の不安要因です。
生産設備が過剰になっただけではなく、出来上がった設備稼働率を上げる必要・・ゴーストタウンを縮小し鉄道などの利用者を増やす必要が出て来ました。
約2年前から政権維持のためにも皮肉なことですが・・国内需要が必要→いよいよ国民の消費水準比率を引き上げる内需拡大しかなくなって来ました。
消費水準が上がると、これに比例して民衆の政治意識が上がるのは明らかです・・。
国民の消費水準を引き上げるために強引に最低賃金引き揚げをこの数年行なって来たので、却って輸出競争力が落ち込み→工場閉鎖が始まっています。
生活水準向上→政治意識を高める施策でもあるので、意識と民度のバランスが悪いと、言いたい放題・要求ばかりが突出して、社会が混乱してしまいます。
中国がGDPで日本を追い越して世界2位になる(GDP統計の粉飾があるので本当のところは分りませんが・・)と世界中で威張り散らすようになったのは、民度の低さを国際レベルで露呈していることに気が付いていないのです。
これを国内個々人でみんなが札ビラを切ったりして威張り散らす社会を想像すれば分りよいでしょう。
中国では、日本から技術導入で学んでその通りものを造れば良かったので、高度成長期には政治能力も不要で単純でしたが、反日に舵を切ったころから迷走し始めました。
独自政策立案能力がない・・政治を支える国民もそう言う経験がないので仕方がないことです。
国威発揚のためにIMFのSDR指定を受けるのに成功すると、国際的な資金移動の自由化を加速するしかなくなって、資金流出等のリスクが高まるリスクが起きているのと同じで、ここの所中国政府は何をやるにも不都合な結果ばかりが起きています。
反日暴動が外資流入減の引き金になり、国威発揚のつもりの南沙諸島埋め立て強行がアメリカ軍海軍の出動を呼び込んで国際孤立するばかりか、国内的にも格好がつかなくなるなど・・。