秩序崩壊と騒乱3(フラストレーション度1)

新興国の粗暴競争・・わがままの噴出を見ると、そこには正義の観念がない・・地道な経済政策等の王道で勝負する能力がないので、国内支持を得るためのパフォーマンス中心でマトモな議論にならない時代が目の前に迫っていることが分ります。
この辺はトランプ氏の主張も同じです。
マスコミはこう言う政治家が出ると「偏狭な愛国主義者・民族主義者・排外主義者・オポチュニスト」と言うレッテル張りで満足していますが、レッテル張りで解決出来る問題ではありません。
内政能力に自信のない者が政権を握ると対外パフォーマンスや国内弱者圧迫のパフォーマンスに頼りがちになります。
内政能力のない代わりに対外的に勇ましいことを主張するモノが選挙あるいは各種内部工作で勝ち抜いて選出されること自体、国民のフラストレーションの大きさを現しています。
フラストレーションを放置しておいて、ヘイトスピーチや排外主義が行けないとマスコミが宣伝しても、フラストレーションの溜まった多くの国民は聞く耳を持たないでしょう。
プーチンは当初資源価格急上昇によるボーナスで地位を盤石にしましたが、中国経済の勢いが止まった結果国際的資源下落が始まると経済低迷・政治的苦境が始まりました。
この辺はブラジル、ベネズエラ、みな資源高騰によって大きな顔をしていた新興国の指導者が追いつめられて、次々と政権崩壊が進んでいますが、彼らは地域軍事大国ではないので海外挑発によるパフォーマンスによる延命を図れないからです。
「アラブの春は、アラブ諸国による原油独占が揺るぎ始めたことが原因だ」と言う意見を数年前に書いたことがあります。
原油輸出国でなかった国の混乱も産油国からの潤沢な援助に頼っていた国が混乱に陥っている関係です。
ロシアは地域大国兼世界軍事大国ですから、資源下落による自滅を待つよりは・・と言うことで、目くらましのためにクリミヤ併合を行なった結果、国内的にはものすごく支持率が上がっています。
政治困難の本質が経済苦境にあるのですから、経済が回復しない限り本来の解決にはならない・・ウクライナに軍事侵攻し、クリミヤ併合しても経済が良くなる訳がない・・併合に伴う軍事費や占領地の治安対策比・現地迎合的出費や治安経費が却って増える一方です。
その上、世界中から経済制裁を受けてさらに国内経済が苦しくなる一方ですから、今度はシリア空爆(戦闘機・爆撃機1機あたり日々ものすごい出費です)を始め、国内の目を外にそらすのに余念がありません。
http://masteru.seesaa.net/article/428247380.html
シリア介入のコストは400万ドル/日

 こちらに よると、ロシアのシリア空爆コストは400万ドル/日である。IHS Jane’sの試算によると、空爆、供給、インフラと整備要員、巡航ミサイル発射のコストは、9月30日の空爆開始以来、8000万-1億1500万ドル に達している。ロシアの国防予算500億ドルと比べると、微々たる額であるが、コストとロシアの関与の度合いは膨れ上がるとクレムリンはみている。シリア 紛争は数年続き、兵士が死ねば、ロシアの関与は劇的にエスカレートすると専門家は警告している。
 36攻撃機、20攻撃ヘリがシリア内の基地から 一日あり40回出撃しており、これが三週間続いている。地上要員は1500-2000人と伝えられており、黒海やイラン、イラク領空経由で送り込まれた。 攻撃機は飛行時間あたり12000ドル、攻撃ヘリは3000ドル要する。攻撃機の平均飛行時間を一日あり90分、ヘリ1時間とすと、24時間あたり71万 ドル。毎日、75万ドル相当の弾頭を投下している。要員のコストは一日あたり44万ドル、地中海に艦艇を張り付けるにはプラス20万ドルを要する。また、 ロジスティック、情報収集等のコストも25万ドル/日かかる。すなわち、最小で一日あたり240万ドルかかるが、実際のコストは2倍に達すると見積もられ ている。巡航ミサイルは一発120万ドルであり、26発発射分で3600万ドルとなる。

確かに中東でのロシアの存在感をアップし,アメリカの凋落を印象づけましたが、それがロシア経済・・すなわち国民にとってどの程度のメリットがあるのか分りません・・出費が増えているだけでしょう。
介入が成功した場合、政権には貸しを作れますが、荒廃しているシリアの復興援助のてをカ空かない・・却って出費が膨らむのが目に見えています。
これをいやがって日本等に押し付けると戦後復興需要が日本等に奪われてしまいます。
イメージアップや業界団体での名誉や地位確保は自分の商売がうまく行っている場合の余技であるべきですから順序が逆です。
業界団体の会長等では出身企業の運営で失敗すると、自発的に身を引くものですが、政治の世界では内政がうまく行かないと外部での名誉を得ようと逆に頑張るのが現状です・・業界組織と違って政治構成員は非合理基準(フラストレーションで)で行動する人の方が多いコトが分ります。
シリア介入後ロシア軍機がトルコ軍に撃墜されるトルコへの制裁と称してトルコからの野菜輸入禁止を決めました。
実はクリミヤ併合に対するEUからの制裁で野菜類の輸出が禁止されて野菜不足で困っているのは、ロシアの方でした。
国民が困るかどうかより対外パフォーマンス・・自己保身の方が優先ですが、それでも国民が喝采し、支持率が上がるのですから排外主義がどうなるかは民度次第とも言えます。
冒頭に書いたように排外主義等の感情に訴える政策効果度がフラストレーション度に比例するとすれば、既に資源下落に追い討ち的に経済制裁されているロシアの方がフラストレーション度が上がっている・・比例してナショナリズムに訴える効果が高くなっています。
北朝鮮で言えば、経済制裁等で追いつめると却ってナショナリズムが高まる→対外挑発行為成功?が支持率アップになる関係ですから、国際政治家は逆効果を狙っていることになります。
その裏の意図は別の機会に書きたいと思っています。

        

秩序崩壊と騒乱2

プーチンとトルコが強気に出る背後に中国の後ろ盾があることを、今回のG20の撮影序列で中国は誇示しました。
ただトルコとしては中国は遠く離れた関係ですから,中国が大事にするほど利用価値がありません。
中国の方が中央アジア諸国→ウイグル族・トルコ系テロの脅威を何とかして欲しい関係で,特別待遇するしかないほど国内治安対策では追いつめられている徴候とも言えます。
ドイツ国内にトルコ人が多く入っているのでトルコを刺激出来ないドイツと似た関係・・親しいからではなく無視できない関係です。
ただし、プーチンは困って中国を頼ったものの、足下を見た中国が原油輸入交渉その他で強気に出て露骨に格下扱いしたので、バランスを取るために今は何とか日本にすり寄ろうとしています。
日露首脳会談は、ソチ〜ウラジオストク〜G20〜この先の日本招待と長年の安倍外交が実を結んで相互信頼関係が進む一方なので、中国のプーチンカードが色あせて来たので余程焦っているとみるべきでしょう。
さらに欧米対抗勢力の一方の旗頭であるトルコ大統領と安倍総理の関係が親密なこともあって、言わば中国の国際基盤造りの先々で(せっかく99%属国化していた韓国を日韓合意によって日米陣営に引き戻されるなど)次々と足元を安倍総理に掘り崩され続けている関係です。
広くいえば伝統的中国支援国ミャンマーやベトナムやカンボジアさらには近年大金をつぎ込んできたアフリカ諸国への日本の浸透が目に見えて進み始めました。
いずれも札びらで頰っぺたを叩くような露骨に相手を見下した外交の限界を、日本の誠実外交が世界中で掘り崩すして行く関係です。
安倍総理との会談場所を敢えて貧弱な部屋にしたことや、「余計なことを言うな」と言う失礼な発言は、中国の焦りの強さを表しています。
日露協商成立だけでも面白くないのに仮に軍事協力まで進むようになると中国にとって腹背に敵を抱える関係ですから、対外冒険主義を実行するのは無理が出て来ます・・当然面白くないので、今回の撮影序列では、プーチンも中心から遠ざけられています。
中国はプーチンを遠ざけて不快感を示したつもりでしょうが、プーチンの「中国だけに頼るのではなく、日本やトルコに保険をかける」作戦に中国の方が負けている感じです。
話を戦後秩序崩壊に戻しますと、秩序違反を咎められれば、「中国に近づいても良いいのか!」とちらつかせれば欧米が黙るやり方をみんな見習うようになると大変です。
古来から権力が弱って来ると治安維持能力衰退から始まります。
権力のタガが緩むとその隙をついて犯罪・野盗などが広がる・・その内公然と・・連携・・集団化して黄巾の乱・・梁山泊のような運動になってきて・・この討伐軍がいつの間にか軍閥化して来る・・相応の政治勢力に育って来て最後に政権が崩壊して来たのが人類の経験して来た歴史です。
フィリッピン大統領はこの討伐で軍功?を上げたダバオの市長が大統領に当選したものです。
彼は、犯罪者に対する容赦ない取締・・大量処刑をビシビシやって成功した実績で大統領になれたのは、フィリッピン国内情勢では麻薬撲滅・・麻薬犯やテロ組織の跳梁による国民の恐怖感が大きく容疑者の人権手続の要請よりも治安回復に優先順位があるからです。
繰り返し書くように国によって優先順位が違うのですから、(フランスだって、連続テロ・・緊急事態が起きたことを理由に戒厳令を発令したままです)欧米が自国の安定社会を前提に他国の人権がどうのと内政干渉することが間違いです。
ドウテルテ大統領の経歴からして、国家全体を運営する能力は(多分彼自身にも)未知数ですから、今年4月に大統領になってからは兎も角派手に標的を作っては英雄的言動に終始する・・さしあたり何の反撃もされそうもないオバマに恥をかかせることで国内支持を上げる方法を選択しているように見えます。
国連事務総長をバカ呼ばわりしても、さしあたり目に見える損は何もありません。
中国に対して国際司法裁判所の判決で勝ったにも拘らず、音無しの姿勢なのは1つには判決・勝利を強調しない代わりに資金援助さえ引き出せればその間だけ黙っていると言う計算と、対中国の場合、挑発すると即輸入停止のような実力行使されるとフィリッピンは為す術もないのでは格好がつきません。
このようにしてみると今までの派手なパフォーマンスによる人気取りは、短絡的仕返しをして来ない・・リスクのないところを巧みに選んでいるように見えます。
オリンピックのドーピング疑惑に対する仕返しに?早速ドーピング委員会のデータ大量に流出事件・・ロシア政府関与か?の疑惑が今朝の新聞に出ています。
プーチンならやりそうと思う人が多いからでしょうか?
仕返しの恐怖で相手を圧倒する・・批判させないやり方は暴力団の論理ですし、国内的は恐怖政治です。
仕返しの連鎖になると世界の抗争がエスカレートし、最後は腕力次第となって、道義も秩序もなくなって行きます。
中国もロシアもそこまで行くと自分が勝ち残れないことを知っているのですが、今のところ火遊びをしている感覚でしょうか?
彼らのパフォーマンスを見ると、一見強い相手も標的にしているかのように見えますが、実は目先反撃されない相手を選んでいて、自分は如何にも勇気があって格好いいかと言うパフォーマンスをしているだけのことになります。彼ら威勢のいい独裁者の共通項を見ると、即時反撃されそうな自分より強い・・怖いところには何もしない暴力団的論理です。

中国バブル崩壊3(資金不足20)

輸出入額が激減し始めて既に約1年経過している状況下で、中国政府発表を前提に7%成長達成可能か、6%ならどうかと未だに議論しているエコノミストの神経が分りません。
学問の自由を強調する学者として恥ずかしくないのか不思議です。
企業の原材料仕入れが13%減って、製品出荷が5%〜8%下がっていても、前年比7%増の販売計画を変更しない企業とは?・・正気の沙汰か?思うのが正常ではないでしょうか?
市場経済で言えば、そんな会社の売上が伸びて企業の発表どおりに株が上がると言う証券アナリストがいたら笑い物でしょう。
中国政府発表にあわせる御用学者の言うとおりに、庶民が株を買っていた結果上海株が大暴落になっているのですが、学者は学問の自由を主張して・・飽くまで中国政府見通しが正しい・ちょっと下方修正があるかも?と言い張っているのでは漫画です。
先日のG20でやっと中国政府がバブル破裂を公式に認めたので、政府発表どおりに議論していたエコミストは(ある程度ホンとのことが言えるので)内心ほっとしているのでしょうか?
学問の自由はトキの権力から独立して意見を言うためにあるのであって権力の言うとおりに主張して、在野の批判を抑えるためにあるのではありません。
日本ではいろんな分野で中韓の言うとおりに主張するためには学問や言論の自由があってそれに異を唱える権利がないかのようにマスコミや文化人?が洗脳してきましたが、漸くマスコミの偏った姿勢が俎上にのぼるようになって来たように思えます。
何年も前から製鉄所には買い手の付かない粗鉱製品が大量に野積みされていると言うネット報道が目立っていましたが、5月28日紹介した政府統計から見ても6%成長どころか、マイナス成長が続いていると見るのが合理的でした。
余剰分の比率を比喩的に言えば、輸出市場を東南アジア諸国に奪われてしまい、マイナス50〜60%の生産になるべきところを、政府がその余剰分の半分を国内消費・・無駄な工事などしてして買い支えていたが、どうにもならない残りの半分(全体の4分の1)が、粗鉱製品や素材系製品等の山積みと海外出血輸出になって世界に迷惑をかけていることになります。
→以上が5月末ころに書いたマスコミに公表されていない実態でしたが・・この噓の上塗りの限界が来て、6月中旬以降上海株暴落が始まりました。
ここ連日・・8月25日には、世界中の株式相場が乱高下の挙げ句に終値では、7〜8%値下がりになっています・・・中国の内実は、張り子の虎でしかないことが判明して世界連鎖暴落に襲われていることになります。
日本マスコミは中国の威力に従って?中国政府の意向どおりに賞讃し続けてきましたが、出血輸出すれば競争力があるのは当たり前で、実質的には(国民生活を犠牲にした軍事力による海洋進出同様に)世界の迷惑になっているだけです。
5月31日の日経社説を紹介しましたが、中国国民も正当な対価を得られずに苦しみが増す一方=暴動が増える一方→報道規制が強まる一方になっている原因です。
中国は輸出出来なくなった過剰能力設備を思い切って削減しない限り、国内にこれを他産業に拡散して先送りばかりしているといつまでたっても解決出来ません・・そのうちに資金が底をつくでしょう。
資金不足のテーマで5月ころに書いていたことが、この間に現実化して世界中に知れわたったので、(中国贔屓の日本マスコミでさえも中国の過剰在庫・過剰生産力の内実を書かざるを得なくなっていることが証明しています)連日の株式相場の世界連鎖安が始まりました。
国内過剰生産力の受け皿として、鉄製品を大量に使う鉄道新設や車産業への投資を無理押しをして来たのですが、客がなければ事業を維持出来ませんので、この先送りや過剰能力投資の拡散政策は漸く(これは5月に書いていた原稿)限界に達して来たように見えます。
5月14日日経夕刊第1面には、「中国地下鉄猛烈開業」の大見出しが出ています。
これによると、何と今年だけで日本全土の地下鉄網と同じ規模の新線・延伸開業すると言う猛烈工事です。
こんなに一斉に開業して運転手や駅員、保守点検サービスなど人材供給はどうなるの?普通の国の場合心配します・・・素人ばかりでイキナリ電車をウンテンするのでは怖いでしょう。
似たようなことはイキナリ始めた原発大量新設で起きています・・素人ばかりで見よう見まねで高度技術が必要な原発の操作をあちこちで一斉にやると言うのですから、怖いことです。
8月に起きた天津大爆発も危険物管理能力のないニワカ企業が大量に杜撰に扱っていたことが原因であり、他方で危険物を中国でも扱うようになればこれに応じた消火訓練も必要なのに、化学品消火訓練が行き渡っていないことも爆発を拡大したと言われています。
こんな無茶をあちこちで一度にやれば、ひずみも巨大です。

中国バブル崩壊2(資金不足19)

中国のように一斉に鉄道工事や道路港湾工事をやると工事完成後客がなくて港湾や鉄道運営が困るだけではなく、ここ数年鉄道建設のために集めた職人やレールや機関車や車両等を造る工場設備自体(工員)も次の仕事がなくて参ってしまいます。
このため鉄鋼製品の出血輸出同様に世界中への鉄道工事のダンピング輸出に精出すようになっています。
このために、国有企業南車北車の合併で世界最大車両工場になったと自慢していますが、要は出血輸出するための資本力が必要になって、技術がない代わりに「世界最大」と言うこけおどし装置が必要になっただけでしょう。
いろんな分野で似たような状態になっていて、国を挙げて不要な設備を作り続けるしかない→出血輸出の継続になっている様子です。
韓国では知能テストに着目してその問題ばかり練習させ、受験生を選抜したりして日本を追い越したと自慢していると言われます。
中韓共に同じ価値基準・・全体の一部だからこそ意味がある抜き打ち検査の場所を知っていて、検査箇所だけ良い米を入れておくようなやり方が好きなようです。
GDPを上げることに意味があるのではなく、国民全体水準がどうかこそが本来の意味であって、GDPはその指標の1つでしかないのですが、そこが分っていない感じです。
世界ランクの見せかけ・・GDPアップのためにいろんなものを作り過ぎると、10年ほど放っておくとこれが使い物にならないので、取り壊す費用がまた莫大になります。
商人は自己資金ですから採算性を厳しく見ますが、日本でも公共工事になると政治の圧力で役人が決めるので大方の場合、需要予測が過大過ぎる欠点があります。
無駄な投資を見て完成したら困るだろうと言う通常の想定をしないで、中国は景気が良い・・将来が楽しみと煽って来た日本マスコミの責任は大きなものがあります。
無理の積み重ねの結果が、遂に上海総合の暴落になって現れて来たと見るのが普通でしょう。
中国の実態経済不振を表す統計関係がパラパラとネットに出ていましたが、どこで読んだかはっきり記憶していなかったのですが、タマタマ勝又氏の5月20日の記事にまとまっていましたので、一部5月22日ころに紹介しましたがここでこれをまとめて引用しておきます。
ただし以下は、政府発表統計を前提にしていますから、政府統計数字自体が怪しいので、何割か差し引いて(もっと景気が悪いと)考える必要があることを前提にしています。
このコラムは5月中に書いておいたものですが、この間に中国政府の強行策の無理が出て来て上海株式暴落→世界連鎖暴落が始まっていますし、マスコミも7月のクルマ製造が26%減など各種産業の大幅生産減少を公表するようになっているので、今になると不要かも知れませんがおさらいのつもりで読んで下さい。
(今では中国に遠慮している段階でなくなった・・とは言え、結果が出てからのデータ公表では・・もっと前に出しておくべきだと言う意味では何のためにマスコミがあるのか?マスコミの存在意義が問われるでしょうが・・)

http://ameblo.jp/katsumatahisayoshi/day-20150520.html
2015-05-20 04:44:11
中国、「製造業ピンチ」賃金高騰で輸出競争力は大幅減退
製造業は不振の極へ
中国メディア『BWCHINESE』(5月5日付け)は、次のように伝えた。

①・・『中国の製造業が2012年以降、かつてないほどの困難に直面しているため』と論じた。中国の製造業が直面している困難の証拠として、企業数が減少していることに現れている。特に工業製品のメーカーのうち、民間企業数が2010年から13年にかけて26%も減少して淘汰の進んでいることを示唆している。中国国家統計局のデータによると、国内で製造業に従事している労働者数も12年以降、前月比ベースでの減少が常態化している。税収の伸びも同時期から鈍化している。中国の製造業は重大な危機に直面している」。
② 「鉄道貨物輸送量も鈍化している。12年から前年比でマイナス成長になっている。12年は前年比0.9%減、13年も同0.9%減、14年は同7.0%減と落ちこんでいる。これだけの指標を見ただけで、中国製造業の“曲がり角”が2012年であることを示している」
以下は勝又氏自身の意見です。
「ドイツ社会学者のマックス・ヴェーバーに従えば、中国には市民社会に依拠する市場機構が存在せず、売り方=買い方の概念すら存在しない奇形的な市場で取引している。市場が、過剰設備=過剰生産=過剰債務を調整することが不可能な希有な経済構造だ。つまり、社会主義市場経済という「似非市場機構」に基づいている結果だ。これを是正するには、共産党政権の「止揚」(アウフーベン)を待つしかない。それは当面、不可能であろう。」
「5月5日に閉幕した中国最大の貿易見本市「中国輸出入商品交易会(広州交易会)」は、不振であった。前記のように、製造業の生産コスト増大によって、競争力が低下している結果だ。輸出契約額は前年同期の2014年春と比べ9.6%減の280億5600万ドルと大台の300億ドルを割り込んだ。リーマン・ショック後に輸出が急減した09年春の水準に落ちこんでいる」
ところで、9月8日付き日経新聞夕刊1pによると、中国の輸出は2ヶ月連続減とあって、7月8、3%、8月5、5%減となっています。輸入は13、8%減ですから、輸入を経済活動の先行指標としてみれば(原材料を仕入れないと次の製品が作れません)先行きも暗い感じです。

計画経済2とバブル崩壊1

9月6日に書き始めていた中国の計画経済と無謬性の執着に話題を戻します。
計画経済政策とは合理的計画をするのではなく、トップ幹部層の計画どおりに現場からの異を唱えさせないで、絶対修正しないで最後まで実行(強行)してしまう経済社会と言う意味でしょう。
どんな計画でも、エリ−トだけで決めるよりは「3人よれば文殊の知恵」と言うようにより多くから智恵を集めた方がより良い物になる可能性が高まります。
日本でも官僚の計画どおりにやればその殆どが需要の過大見通しで、出来上がってから閑古鳥が鳴いているのが相場ですから、過大投資は中国社会独自の問題ではありません。
「官が強過ぎ・・」民主制によるチェックが出来ない点に問題があることが分ります。
リーマンショック以降、採算度外視(市場経済・需要無視)で敢行して来たいろんな大風呂敷投資が出来上がってくると、設備運用コストがかかるので困ってきました。
この辺がわが国の不動産投資(土地を転がしをしていただけ・・金融機関が焦げ付いただけ)との違いとして、5月18日に書きました。
借金だけならば、デフォルトして踏み倒せば終わり・・貸した方が困るだけ・・金融不況ですが、作ってしまった鉄道等は、開業用の従業員を雇用していますので、設備の稼働・・赤字運営継続の問題が残ります。
今日本でも各地方自治体が40年ほど前に作ってしまった箱モノ・・公民館ヤ何とかセンターなどの維持に困り、解体費用捻出のために市債発行する状況に追い込まれています。
中国では各事業分野を無軌道に拡大投資し、出来上がってみると需要がないことの繰替えしで、しかも国有企業等共産党大幹部の関係している事業中心であったことから、失敗を認める訳に行かない・・業態ごとのデフォルトの先送り・・関連業種に転嫁して行き負債拡大して行くに任せた結果が遂に出て来たのが現在の中国株式大暴落です。
9月6日日経新聞朝刊3pでは5日にトルコで開催されたG20会議で、中国人民銀行総総裁の周小川氏が中国は「バブルが弾けた」と3回も公式発言したと書いています。
今更、経済が成長し続けていると言う虚偽発表は無理があって遂に公式に認めるしかなくなった様子です。
先進国に比較すれば不自由な市場とは言え、一応株式や通貨市場などを半端に持っているために大躍進当時のような虚偽発表を貫徹したくとも、市場の反発で無理になっている・・市場に屈服したと言えます。
市場に対して一定期間の売買禁止するなどいろいろ強権発動してきましたがやればやるほど、却って国際社会からの信用をなくすだけです。
名目が独裁であろうと韓国のような民主制であろうと、市場の開放度・自由度に応じて実質が決まると言う・・財閥経済=民主化の実質はその程度に過ぎないと言う意見をこの2週間くらい前から書いて来たことの実証です。
市場原理に曝されるべきクルマの例で見ても、当時の年間需要の2倍の生産力まで増強していると5月ころに報道されていたことを、2015/05/10「中国過大投資の調整14(資金枯渇6とAIIB1)」前後で紹介しています。
その後月を追って売上減に見舞われ6月16%だったかな?7月の売上は26、何%減ですから、(今朝の日経新聞では8月約3%減と出ています)造ってしまった工場や従業員雇用・・これを前提にした販売会社のショールームの維持経費とその要員はどうなっているのやら・・。
商業活動目的の企業でさえ何故こんな過大投資が起きるのか自由主義国家から見れば不思議ですが、中国の場合、自動車業界大手と言っても全て国有企業だからこうなるのでしょう。
市場原理が働き難い上に国威発揚が関係する鉄道やその他インフラ関係では、この何倍もの無駄な投資が進んで来た・・・推して知るべしです。
客商売のクルマでこれならば、公共工事・・インフラは日本の鉄道延長を追い越したとか言うために、需要の3〜4倍くらい無駄に作った可能性があります。
出来上がったものの4分の3以上が無駄だった・・客がいないとなれば、これまでのGDP発表数字が仮に正しかったとしてもその4分の3が錆び付いてしまったことになります。
GDPが国力の物差しになるのはそれだけの継続需要のある社会であることを前提にして意味があるのですが、需要を無視して国威発揚のために一時に一斉に作ってその結果一時的にGDPだけ上がっても、その後が続かないのでは意味がありません。
出来上がったものが遊休施設になるだけではなく、機関車その他を作るための生産設備も作り過ぎの結果、その後の受注がパッタリなくなるなど関連産業全体が遊んでしまうなどマイナスです。
例えば千葉である工事を一斉にやれば1年でやれるが、5年ほど掛けて順番に何故やっているかと言えば一斉にやって間に合うように機械を新規購入し、大量採用して1年で仕事が終わると、その後で仕事がなくなる・例えば、5年のリースで仕入れた建設機械の支払が出来なくなってしまうし、余剰従業員に困るので規模拡張までして受注することが出来ません。
このために10kmの道路工事を1年に2kmづつ・・1年間に5分の1づつやって行くように発注すると聞いたことがあります。

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