中国バブル崩壊3(資金不足20)

輸出入額が激減し始めて既に約1年経過している状況下で、中国政府発表を前提に7%成長達成可能か、6%ならどうかと未だに議論しているエコノミストの神経が分りません。
学問の自由を強調する学者として恥ずかしくないのか不思議です。
企業の原材料仕入れが13%減って、製品出荷が5%〜8%下がっていても、前年比7%増の販売計画を変更しない企業とは?・・正気の沙汰か?思うのが正常ではないでしょうか?
市場経済で言えば、そんな会社の売上が伸びて企業の発表どおりに株が上がると言う証券アナリストがいたら笑い物でしょう。
中国政府発表にあわせる御用学者の言うとおりに、庶民が株を買っていた結果上海株が大暴落になっているのですが、学者は学問の自由を主張して・・飽くまで中国政府見通しが正しい・ちょっと下方修正があるかも?と言い張っているのでは漫画です。
先日のG20でやっと中国政府がバブル破裂を公式に認めたので、政府発表どおりに議論していたエコミストは(ある程度ホンとのことが言えるので)内心ほっとしているのでしょうか?
学問の自由はトキの権力から独立して意見を言うためにあるのであって権力の言うとおりに主張して、在野の批判を抑えるためにあるのではありません。
日本ではいろんな分野で中韓の言うとおりに主張するためには学問や言論の自由があってそれに異を唱える権利がないかのようにマスコミや文化人?が洗脳してきましたが、漸くマスコミの偏った姿勢が俎上にのぼるようになって来たように思えます。
何年も前から製鉄所には買い手の付かない粗鉱製品が大量に野積みされていると言うネット報道が目立っていましたが、5月28日紹介した政府統計から見ても6%成長どころか、マイナス成長が続いていると見るのが合理的でした。
余剰分の比率を比喩的に言えば、輸出市場を東南アジア諸国に奪われてしまい、マイナス50〜60%の生産になるべきところを、政府がその余剰分の半分を国内消費・・無駄な工事などしてして買い支えていたが、どうにもならない残りの半分(全体の4分の1)が、粗鉱製品や素材系製品等の山積みと海外出血輸出になって世界に迷惑をかけていることになります。
→以上が5月末ころに書いたマスコミに公表されていない実態でしたが・・この噓の上塗りの限界が来て、6月中旬以降上海株暴落が始まりました。
ここ連日・・8月25日には、世界中の株式相場が乱高下の挙げ句に終値では、7〜8%値下がりになっています・・・中国の内実は、張り子の虎でしかないことが判明して世界連鎖暴落に襲われていることになります。
日本マスコミは中国の威力に従って?中国政府の意向どおりに賞讃し続けてきましたが、出血輸出すれば競争力があるのは当たり前で、実質的には(国民生活を犠牲にした軍事力による海洋進出同様に)世界の迷惑になっているだけです。
5月31日の日経社説を紹介しましたが、中国国民も正当な対価を得られずに苦しみが増す一方=暴動が増える一方→報道規制が強まる一方になっている原因です。
中国は輸出出来なくなった過剰能力設備を思い切って削減しない限り、国内にこれを他産業に拡散して先送りばかりしているといつまでたっても解決出来ません・・そのうちに資金が底をつくでしょう。
資金不足のテーマで5月ころに書いていたことが、この間に現実化して世界中に知れわたったので、(中国贔屓の日本マスコミでさえも中国の過剰在庫・過剰生産力の内実を書かざるを得なくなっていることが証明しています)連日の株式相場の世界連鎖安が始まりました。
国内過剰生産力の受け皿として、鉄製品を大量に使う鉄道新設や車産業への投資を無理押しをして来たのですが、客がなければ事業を維持出来ませんので、この先送りや過剰能力投資の拡散政策は漸く(これは5月に書いていた原稿)限界に達して来たように見えます。
5月14日日経夕刊第1面には、「中国地下鉄猛烈開業」の大見出しが出ています。
これによると、何と今年だけで日本全土の地下鉄網と同じ規模の新線・延伸開業すると言う猛烈工事です。
こんなに一斉に開業して運転手や駅員、保守点検サービスなど人材供給はどうなるの?普通の国の場合心配します・・・素人ばかりでイキナリ電車をウンテンするのでは怖いでしょう。
似たようなことはイキナリ始めた原発大量新設で起きています・・素人ばかりで見よう見まねで高度技術が必要な原発の操作をあちこちで一斉にやると言うのですから、怖いことです。
8月に起きた天津大爆発も危険物管理能力のないニワカ企業が大量に杜撰に扱っていたことが原因であり、他方で危険物を中国でも扱うようになればこれに応じた消火訓練も必要なのに、化学品消火訓練が行き渡っていないことも爆発を拡大したと言われています。
こんな無茶をあちこちで一度にやれば、ひずみも巨大です。

中国バブル崩壊2(資金不足19)

中国のように一斉に鉄道工事や道路港湾工事をやると工事完成後客がなくて港湾や鉄道運営が困るだけではなく、ここ数年鉄道建設のために集めた職人やレールや機関車や車両等を造る工場設備自体(工員)も次の仕事がなくて参ってしまいます。
このため鉄鋼製品の出血輸出同様に世界中への鉄道工事のダンピング輸出に精出すようになっています。
このために、国有企業南車北車の合併で世界最大車両工場になったと自慢していますが、要は出血輸出するための資本力が必要になって、技術がない代わりに「世界最大」と言うこけおどし装置が必要になっただけでしょう。
いろんな分野で似たような状態になっていて、国を挙げて不要な設備を作り続けるしかない→出血輸出の継続になっている様子です。
韓国では知能テストに着目してその問題ばかり練習させ、受験生を選抜したりして日本を追い越したと自慢していると言われます。
中韓共に同じ価値基準・・全体の一部だからこそ意味がある抜き打ち検査の場所を知っていて、検査箇所だけ良い米を入れておくようなやり方が好きなようです。
GDPを上げることに意味があるのではなく、国民全体水準がどうかこそが本来の意味であって、GDPはその指標の1つでしかないのですが、そこが分っていない感じです。
世界ランクの見せかけ・・GDPアップのためにいろんなものを作り過ぎると、10年ほど放っておくとこれが使い物にならないので、取り壊す費用がまた莫大になります。
商人は自己資金ですから採算性を厳しく見ますが、日本でも公共工事になると政治の圧力で役人が決めるので大方の場合、需要予測が過大過ぎる欠点があります。
無駄な投資を見て完成したら困るだろうと言う通常の想定をしないで、中国は景気が良い・・将来が楽しみと煽って来た日本マスコミの責任は大きなものがあります。
無理の積み重ねの結果が、遂に上海総合の暴落になって現れて来たと見るのが普通でしょう。
中国の実態経済不振を表す統計関係がパラパラとネットに出ていましたが、どこで読んだかはっきり記憶していなかったのですが、タマタマ勝又氏の5月20日の記事にまとまっていましたので、一部5月22日ころに紹介しましたがここでこれをまとめて引用しておきます。
ただし以下は、政府発表統計を前提にしていますから、政府統計数字自体が怪しいので、何割か差し引いて(もっと景気が悪いと)考える必要があることを前提にしています。
このコラムは5月中に書いておいたものですが、この間に中国政府の強行策の無理が出て来て上海株式暴落→世界連鎖暴落が始まっていますし、マスコミも7月のクルマ製造が26%減など各種産業の大幅生産減少を公表するようになっているので、今になると不要かも知れませんがおさらいのつもりで読んで下さい。
(今では中国に遠慮している段階でなくなった・・とは言え、結果が出てからのデータ公表では・・もっと前に出しておくべきだと言う意味では何のためにマスコミがあるのか?マスコミの存在意義が問われるでしょうが・・)

http://ameblo.jp/katsumatahisayoshi/day-20150520.html
2015-05-20 04:44:11
中国、「製造業ピンチ」賃金高騰で輸出競争力は大幅減退
製造業は不振の極へ
中国メディア『BWCHINESE』(5月5日付け)は、次のように伝えた。

①・・『中国の製造業が2012年以降、かつてないほどの困難に直面しているため』と論じた。中国の製造業が直面している困難の証拠として、企業数が減少していることに現れている。特に工業製品のメーカーのうち、民間企業数が2010年から13年にかけて26%も減少して淘汰の進んでいることを示唆している。中国国家統計局のデータによると、国内で製造業に従事している労働者数も12年以降、前月比ベースでの減少が常態化している。税収の伸びも同時期から鈍化している。中国の製造業は重大な危機に直面している」。
② 「鉄道貨物輸送量も鈍化している。12年から前年比でマイナス成長になっている。12年は前年比0.9%減、13年も同0.9%減、14年は同7.0%減と落ちこんでいる。これだけの指標を見ただけで、中国製造業の“曲がり角”が2012年であることを示している」
以下は勝又氏自身の意見です。
「ドイツ社会学者のマックス・ヴェーバーに従えば、中国には市民社会に依拠する市場機構が存在せず、売り方=買い方の概念すら存在しない奇形的な市場で取引している。市場が、過剰設備=過剰生産=過剰債務を調整することが不可能な希有な経済構造だ。つまり、社会主義市場経済という「似非市場機構」に基づいている結果だ。これを是正するには、共産党政権の「止揚」(アウフーベン)を待つしかない。それは当面、不可能であろう。」
「5月5日に閉幕した中国最大の貿易見本市「中国輸出入商品交易会(広州交易会)」は、不振であった。前記のように、製造業の生産コスト増大によって、競争力が低下している結果だ。輸出契約額は前年同期の2014年春と比べ9.6%減の280億5600万ドルと大台の300億ドルを割り込んだ。リーマン・ショック後に輸出が急減した09年春の水準に落ちこんでいる」
ところで、9月8日付き日経新聞夕刊1pによると、中国の輸出は2ヶ月連続減とあって、7月8、3%、8月5、5%減となっています。輸入は13、8%減ですから、輸入を経済活動の先行指標としてみれば(原材料を仕入れないと次の製品が作れません)先行きも暗い感じです。

計画経済2とバブル崩壊1

9月6日に書き始めていた中国の計画経済と無謬性の執着に話題を戻します。
計画経済政策とは合理的計画をするのではなく、トップ幹部層の計画どおりに現場からの異を唱えさせないで、絶対修正しないで最後まで実行(強行)してしまう経済社会と言う意味でしょう。
どんな計画でも、エリ−トだけで決めるよりは「3人よれば文殊の知恵」と言うようにより多くから智恵を集めた方がより良い物になる可能性が高まります。
日本でも官僚の計画どおりにやればその殆どが需要の過大見通しで、出来上がってから閑古鳥が鳴いているのが相場ですから、過大投資は中国社会独自の問題ではありません。
「官が強過ぎ・・」民主制によるチェックが出来ない点に問題があることが分ります。
リーマンショック以降、採算度外視(市場経済・需要無視)で敢行して来たいろんな大風呂敷投資が出来上がってくると、設備運用コストがかかるので困ってきました。
この辺がわが国の不動産投資(土地を転がしをしていただけ・・金融機関が焦げ付いただけ)との違いとして、5月18日に書きました。
借金だけならば、デフォルトして踏み倒せば終わり・・貸した方が困るだけ・・金融不況ですが、作ってしまった鉄道等は、開業用の従業員を雇用していますので、設備の稼働・・赤字運営継続の問題が残ります。
今日本でも各地方自治体が40年ほど前に作ってしまった箱モノ・・公民館ヤ何とかセンターなどの維持に困り、解体費用捻出のために市債発行する状況に追い込まれています。
中国では各事業分野を無軌道に拡大投資し、出来上がってみると需要がないことの繰替えしで、しかも国有企業等共産党大幹部の関係している事業中心であったことから、失敗を認める訳に行かない・・業態ごとのデフォルトの先送り・・関連業種に転嫁して行き負債拡大して行くに任せた結果が遂に出て来たのが現在の中国株式大暴落です。
9月6日日経新聞朝刊3pでは5日にトルコで開催されたG20会議で、中国人民銀行総総裁の周小川氏が中国は「バブルが弾けた」と3回も公式発言したと書いています。
今更、経済が成長し続けていると言う虚偽発表は無理があって遂に公式に認めるしかなくなった様子です。
先進国に比較すれば不自由な市場とは言え、一応株式や通貨市場などを半端に持っているために大躍進当時のような虚偽発表を貫徹したくとも、市場の反発で無理になっている・・市場に屈服したと言えます。
市場に対して一定期間の売買禁止するなどいろいろ強権発動してきましたがやればやるほど、却って国際社会からの信用をなくすだけです。
名目が独裁であろうと韓国のような民主制であろうと、市場の開放度・自由度に応じて実質が決まると言う・・財閥経済=民主化の実質はその程度に過ぎないと言う意見をこの2週間くらい前から書いて来たことの実証です。
市場原理に曝されるべきクルマの例で見ても、当時の年間需要の2倍の生産力まで増強していると5月ころに報道されていたことを、2015/05/10「中国過大投資の調整14(資金枯渇6とAIIB1)」前後で紹介しています。
その後月を追って売上減に見舞われ6月16%だったかな?7月の売上は26、何%減ですから、(今朝の日経新聞では8月約3%減と出ています)造ってしまった工場や従業員雇用・・これを前提にした販売会社のショールームの維持経費とその要員はどうなっているのやら・・。
商業活動目的の企業でさえ何故こんな過大投資が起きるのか自由主義国家から見れば不思議ですが、中国の場合、自動車業界大手と言っても全て国有企業だからこうなるのでしょう。
市場原理が働き難い上に国威発揚が関係する鉄道やその他インフラ関係では、この何倍もの無駄な投資が進んで来た・・・推して知るべしです。
客商売のクルマでこれならば、公共工事・・インフラは日本の鉄道延長を追い越したとか言うために、需要の3〜4倍くらい無駄に作った可能性があります。
出来上がったものの4分の3以上が無駄だった・・客がいないとなれば、これまでのGDP発表数字が仮に正しかったとしてもその4分の3が錆び付いてしまったことになります。
GDPが国力の物差しになるのはそれだけの継続需要のある社会であることを前提にして意味があるのですが、需要を無視して国威発揚のために一時に一斉に作ってその結果一時的にGDPだけ上がっても、その後が続かないのでは意味がありません。
出来上がったものが遊休施設になるだけではなく、機関車その他を作るための生産設備も作り過ぎの結果、その後の受注がパッタリなくなるなど関連産業全体が遊んでしまうなどマイナスです。
例えば千葉である工事を一斉にやれば1年でやれるが、5年ほど掛けて順番に何故やっているかと言えば一斉にやって間に合うように機械を新規購入し、大量採用して1年で仕事が終わると、その後で仕事がなくなる・例えば、5年のリースで仕入れた建設機械の支払が出来なくなってしまうし、余剰従業員に困るので規模拡張までして受注することが出来ません。
このために10kmの道路工事を1年に2kmづつ・・1年間に5分の1づつやって行くように発注すると聞いたことがあります。

中国のバブル処理5(過大投資の調整4)

バブル処理の話題に戻ります。
先進国と違い中国を含めた新興国の高度成長は、外需依存・輸出が生命線でしたから、輸出構造が一旦狂った場合、内需に全部変換出来る訳がないので、本来は過大生産力の縮小政策が最重要ですが、極端に進めると、社会が大混乱に陥るので、緩和措置が必要です。
この緩和目的で4兆元の巨額資金が投入されたと言うことですが、鉄やセメント、石化製品等の基礎資材分野には効果がありますが、家電製品製造や縫製工場向けなど輸出目的工場には公共資金投入の効果は殆どありません。
この結果、勝又氏の記事で紹介されている引用文を5月22日に紹介したように、12年から(いつまでか不明な書き方ですが・・)企業数が26%も減少したのではないでしょうか?
一時的不況ならば生産力縮小しないままで、次の好況の波が来るまで2年前後持ちこたえられるように財政資金投入して(あるいは金融緩和して返済猶予してやりながら出来るだけ国内での消費を増やすなどして、)無理に需要を作れば良いのですが、輸出産業が構造的に無理が来ている場合、2年経ってもまだ過剰生産力がそのまま(少ししか減っていない場合)では大変です。
企業数が26%程度の淘汰(しかも弱小零細企業中心の淘汰ならば生産力は26%も減りません)では、輸出急減による過剰供給力削減に間に合わないから、問題が深刻化して来たのでしょう。
無駄な需要創出・・過剰生産力の穴埋めのために国内に必要な鉄道工事・港湾工事などに財政出動して、仮に過剰生産分を100%を吸収出来るとしても・・これによって、生産能力削減を先送りしていた場合、国内で不足しているインフラ整備が終わるとどうなるでしょうか?
粗鉱や石化製品等素材部門の過剰生産力がリーマンショック時と同じママで推移していると、国内必要なインフラ投資・工事が終わってもその時点で再び過剰生産品の引き取り手がなくて困ってしまいます。
まさに過剰生産力削減を先送りして来ただけになりますから、これを防ぐためには公共工事をしている間に、生産力を徐々に削減して行く必要があることが分ります。
例えば5年間でインフラ工事が完成すると仮定すれば、毎年5分の1ずつ過剰生産力を削減して行く必要があります。
そうとすれば、公共工事は当初は過剰分100%補填、次の年は80%次は60%と順次公共工事を減らして行かないと、製鉄・石化、セメントなど基礎資材〜その他関連業界はまじめに削減努力しません。
ところが、政府(共産党)大幹部と業界大幹部とは、◯◯閥などと言って繋がっているので、実際には官需をそんなに減らせません。
(権力闘争で有名なように石油閥、◯◯閥と言う系列化で国有企業・共産党大幹部が牛耳っているので、手を着けられない様子です)
まして、政府は始めっから100%補填する公共工事など出来る筈がない・・たとえば過剰能力の3〜4割補填しか出来ないとした場合、(100%補填する資金が仮にあっても工事は土地買収から初めて、徐々にしか始まらないのですぐに鉄やセメントの需要が発生しません)補填不足分を能力削減しなければならないのですが、業界は削減したくないので、過剰分の出血輸出に活路を求める傾向があります。
大分前から鉄鋼製品等が野積みされていることや、海外出血輸出が収まらない実態を2015/05/11「中国のバブル崩壊14」や5月23日にも紹介しました。
ドンドン過剰な製品が吐き出されてきてこれが工場内に野積みになって、苦し紛れの海外赤字輸出が続いて世界市場の価格下落が続いていました。
民間企業の場合、リーマンショック後7年も投げ売り・コスト割れ処分が続きません。
その前に倒産しますが、・・今年の5月になってもまだアメリカ向け出血輸出が続けられているのは、国有企業中心のために赤字補填・・例えば過剰生産分の9割を好採算で引き取って貰えれば、残り1割を赤字輸出しても企業は何年でも存続出来る・・一種の補助金によるダンピング輸出継続しているからでないでしょうか?
4兆元拠出と言っても、ダンピング輸出下支え資金に使うのでは世界のためではなく、世界経済を奈落の底に蹴落とすため・・スパイラル的低価格(値引き)競争資金利用になります。

中国のバブル処理4(過大投資の調整3)

先進国が50〜100年かけて徐々に作って来たインフラ整備を、数年〜10年の突貫工事でやれば高度成長と言うか目の回るような成長になりますが、その代わりこれらの工事が一段落すると関連業者の仕事・需要が急激になくなるのは(オリンピック終了後工事が激減するのと同じで)当然です。
この勢いが無限に続くかのような錯覚?中国の成長が無限に続くかのように、中国政府と一緒になって宣伝して来て更なる中国への再投資を煽って来た日本マスコミは、幼児以下のレベル・頭がおかしいか中国から何か貰っているのか疑われていたのは、むべなるかな!と言うところです。
中国政府自身本気だったのか?日本に再投資させるために成長魅力を宣伝して来ただけと思いますが、外見上有頂天になっているときに、リーマンショックが起きました。
リーマンショックで急激に輸出需要を失って焦った中国は、4兆元・日本円で何十兆円に上る内需投資すると発表しました。
日本マスコミは中国が世界のために巨額投資すると賞讃頻りでしたが、(多分中国の苦境を報道しないように圧力があったのでしょう・・・・)中国国内企業の輸出先が一瞬にして蒸発したようなものですから、政府がこの穴埋めに必死になっていたに過ぎなかったと見るのが正解でしょう。
中所得国の罠と一般的に言われていますが、時あたかも、中所得国の入口にさしかかり、ローエンド製品輸出に頼る経済構造では無理な状況になって来たときに、リーマンショックが起きたのですから、言わば二重のショックでした。
世界の救世主どころか自分が一番参っている・・大規模国内投資・・巨額穴埋め資金が必要なほど、生産力過剰に直面していたと見るべきです。
この辺は、私の思いつき推論でしかないので、5月21日書いたようにプロのデータ・かっちりした意見が欲しいものと思って検索してみると、以下の論文がネットで見つかりましたので紹介します。
以下のとおり、私の推論同様に輸出不振が大きな問題であって金融危機の問題でないと書いています。
この論文は私のように思いつき推論ではなく、中国各地・・沿海地域や農村地域など具体的な実態調査結果を引用しながらの着実な研究による結論を「はじめに」書いているものです。

https://www.andrew.ac.jp/soken/pdf_3-1/sokenk186-2.pdf
[共同研究:政策金融に関する日中比較研究]
 中国経済における内需拡大の課題* 消費率の低下要因分析を焦点に
                   唐成
「1.は じ め に
・・・前略・米国に端を発する金融危機・経済危機は中国にも伝播し,経済成長率は2007年の13.0%から2008年の9.6%へと大幅な落ち込みを見せた。
・・中略・・中国経済に世界金融危機と 呼ぶべき事態が到来したというよりも,輸出低迷という外需の急激な減少によって経済環境 が悪化したのである。それは中国経済の外需依存型,労働集約型モデルを反映した結果に他 ならない。したがってこの原因を本質的に解消しなければ,中国経済の危機は去ったことにならないのであろう。」
以下具体的データやグラフを用いての意見が書かれていますが、引用が長くなるので省略します。
関心のある方は上記論文に直接アクセスして下さい。
私のコラムで繰り返し書いているように政府データは全く当てにならないものですが、上記論文は政府データを利用しています。
そこに出て来る政府統計自体は当てなりませんが、上記論文は(これを噓だろうと書くと前提データ自体がなくなってしまい、論文にならないので、)成長率、景気変動率など各種データは(政府虚偽発表を)前提にした分析になっています。
・・政府発表はほぼ同率での誤摩化しがあると仮定すると時系列的趨勢が分ることをかなり前に書いたことがありますが、そのつもりで読めば良いことです。

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