中途退職割増金(手切れ金4)

話が04/03/10「手切金2(年金)」から横にそれていましたが、約1年6ヶ月も前の話題にいきなり戻りますので時間のある方は上記コラム前後を一度読み返してからこのコラムをお読み頂く方が良いかもしれません。
以上(上記コラムまでの意見)のように見て行くと退職金制度も企業にとっては、明治初期に士族の家禄打ち切りのために発行された金碌公債と同じで労働者に対する一種の打ち切り補償・手切れ金的機能を持っていたことは想像に難くない筈です。
これが大手企業では必ず貰えるものだからいつの間にか期待権となり、ひいてはこれを期待して働いているのだから、・・と言う理由で労賃の後払いみたいな法的位置づけになって来ました。
退職金も今では離婚時の養育料やローン債務支払義務同様に形式的に考えれば、今では既得権であって手切金機能はありません。
尤もこの意見は一般的風潮・意識を書いただけに過ぎず、法的には退職金制度をきちんと就業規則で設けた場合あるいは個別に契約したときだけ退職金請求権があるに過ぎない・・制度として決めていない企業では、元々支払い義務がありませんのでお間違いのないようにして下さい。
今では本当の手切れ金的機能を果たしているのは、終身雇用を前提とした中途退職割増金制度でしょうか?
この中途退職割増金制度は、今でも一時金(長期分割の年金制でない)ですから、直ぐに使ってしまう人が多いので、その後の生活に困る人が多くなっているのが難点です。
こうした結果を見ると、何から何まで企業や国で面倒見てくれないと長期的生活設計能力の低い人がかなり多いのに驚かされます。
私が実際に扱った事件ですが、中には一時金をもらったので(千万円単位の現金を見たのは多分生まれて初めてだったでしょう・・・)嬉しくて家族でハワイや国内旅行したり、外食をしたり子供各自にパソコンを買ってやったり、本人は競馬にのめり込んだりして数年で使い切ってしまったものの、一旦身に付いた贅沢・・競馬や贅沢をやめられなくて借金だらけになった人がいます。
ただし、私の仕事上で知る範囲では、元々サラ金などで行き詰まっていて一時金欲しさに中途退職募集をチャンスと見て応じる人も結構いますので、中途退職者の退職前と退職後の長期的系統だった資金調査をしてみないと、何%が嬉しくて直ぐ使い切るタイプか、しこしことうまく運用している人が何%なのかについて一概に言えません。
私のところには、経済的に行き詰まった人しか相談にきませんので・・・うまく行っている人が別の件・・不動産取引や経営上のことで相談にきても懐具合やどうして資金を入手したかまで関係ないので聞きません。
犯罪者の更生率に関して、12/05/08「再犯率の錯覚(逆は真ならず)2」前後で書いたことがありますが、再犯を犯した人の前科率を調べてマスコミ報道しているのは誤りなのと同様に(これでは更生した人の割合が出ないのに、如何にも前科者の大方が再犯を犯しているかのような印象を刷り込んでしまう誤り)中途退職一時金を元手に事業を興すなどしてうまく行っている人や普通の人の追跡調査も必要です。

全食品検査3(国民の信用)

 事実上(法的には出荷制限解除された後・あるいは出荷制限しないための風評被害)の買い控えによる地元・国内業者の損害は、原発事故による損害にカウントされなくなるのでしょうが、法律論は今後の論争に待つとして(被害相談を受けることの多い弁護士では、自主避難等の被害も損害に含めるべきだという立場の人が多いでしょう)、国民経済的に見れば、こうした損害もカウントした上で原発の方が安いかどうかを議論すべきです。
風評被害であれ、何であれ、結果的に食品関連の輸出が阻害され、逆に輸入が増えている事実は、その分は原発事故による我が国の損害です。
今日の日経朝刊5ページによれば、チーズ等の酪農製品の輸出品については海外での輸入規制が特に厳しくこれがまだ(と言うことは10月7日の記事を書いたとき現在ということでしょうか?)続いていて、今年4〜6月の食品輸出は大幅に落ち込んでいると書いています。
中国の高速鉄道大事故で原因が究明されないままの運行再開に不安でも、中国国民には他の交通手段を選ぶ選択肢がないので、(普通車を申し込んでも「売り切れ」と言って断られるようです)乗らざるを得ない・・満員が続いていると報道されますので、国民に信任されていると中国政府が強弁しているのと同様です。
満員の定義に関するある本によると実際に乗って見ると乗車率は2〜3割が漸くらしいですが、中国ではたとえばある座席に東京横浜間に一人乗り、京都大阪間に一人乗るとその座席は200%の乗車率と計算しているらしいのです。
ただし、中国政府も当初は強気でしたが(客に敬遠されてガラガラになったからでしょうか?)最近では運行便数を大幅削減し、スピードも落とすようになったようです。
政府の方は牛乳や豚や鶏の検査をしなくとも、国民が黙っているし、仮にどのような批判が起きようとも、牛乳の場合全国ブレンドしてしまえば国民は選べません。
報道規制と同じ現象・結果です。
政府・業界は少しでも日を稼ぎ(放射性物質の飛散は水素爆発直後からはかなり収まっているので)、今年の3月以降7月頃まで現地の草や餌を食べた鶏や豚を出荷してしまってから検査すれば、結果が出なくなる可能性を期待して月日を稼いできたのでしょう。
そして国民の批判が強くなってくれば心配がなくなった頃に「そんなに心配なら・・・」と検査して「結果は何ともなかった」と発表して「安心してください」と言う方針だったかも知れません。
肉牛だけの検査はおかしいのではないかという意見はこのコラム(このコラムは稲藁汚染の報道のとき以来疑問に思って書き始めていたものですが、先送りになって今になってしまったので・・・)以外寡聞にして聞きませんので、政府・業界はウマくやり過ごしてしまったようです。
仮に牛乳その他畜産類が汚染されていたとしても、3ヶ月か半年で汚染食品がなくなるならば、(一生あるいは4〜5年続けて食べ続けるのでないならば)その間福島付近の野菜や卵を食べ続けても(汚染率にもよりますが低濃度汚染の場合)トータル摂取量は大した害がないのかもしれませんが・・・。
政府が恣意的に出して来る暫定基準値の信用がないので、どこまでなら安心かの目安が分らない結果、国民はゼロ以外は嫌だという心理になってしまっています。
原発事故発生によって、これまでの政府・電力業界による安全神話がまるでインチキだったことが白日に曝され、(想定外の津波による被害という当初の宣伝も虚偽だったことが分ってきました・・あちこちのパイプ破損や電柱網の地震による寸断が基本的な原因で冷却装置がいつまでも起動できなかったに過ぎません・・今でも(8月頃の情報です)パイプ類の補修が完成していない様子です。)その後の暫定基準値や避難区域の設定等々信用を失う場当たり対応が続いてしまいました。
原子力行政を考えるにあたっても、何事も国民の信用の上に政治が成り立っているという簡単な原理に立ち戻るしかないのではないでしょうか?
風評被害が起きるのは、政府信用性の低さに比例することになりますから、風評被害発生を如何にも風評で行動する国民が悪いかのように言いますが、風評の広がり程度は政府信用・原子力政策に対する信用度のバロメーターです。

全食品の検査1

いろいろな原爆症があっても因果関係が今の学問ではよく分らないから、・・と言うだけの安心感ですから、何十年かしたらそれは放射性物質のせいだったと分るようになるリスクにみんなおびえてるのです。
スモンもイタイイタイ病も最初は原因不明だったのです。
2〜30年して何故だるいのか原因が分かっても手遅れです。
産地ごとに原乳段階で検査してみて、もしも一定以上の放射性物質が出ると東電の補償・賠償対象が増えるだけではなく、全国的パニックになるので、この検査をしないようにしているのかも知れません。
牛肉ステーキは年に何回も食べないし、焼き肉レストランも嗜好の問題ですから当面(後記の通り放射能拡散は一応収まっていますので半年もすれば検査しても出なくなるでしょう)行かなくとも済みますので、(焼き肉レストランにとっては死活問題ですが・・・)牛肉からセシュームが出てもそれほど危機感を感じませんが、(焼き肉レストランは半年も客が来なければピンチですが・・・)牛乳は準必需品・・好みの問題を越えているうえに毎日飲むので蓄積する怖さがあります。
鈍感な私でも牛乳に関しては毎朝飲んでいるので深刻な危機感を感じますので、牛乳・原乳段階での検査をして汚染があるのかないのかはっきりさせて欲しいと言う関心でこのテーマになっています。
検査した結果、茨城以北の牛乳が(もしかして鶏肉や鶏卵豚の肉なども含めて)仮に全部駄目になったら、電力の15%節電(・・エスカレーターが停まるなど大変でしたが・・)どころの騒ぎではありません。
東京電力の電気が100%来なくなって全量中部電力や関西電力の融通に頼るような事態が起きた場合と同じ騒ぎとなります。
稲藁を食べた牛肉から許容量の3倍以上の放射性物質が出ていることから、その地域の肉牛は全頭検査することになったのに、同じ地域の(稲藁を少しでも食べたり牧草を食べた)牛から出た牛乳には問題ない・・検査する必要がないという論理は、理解不能ではないでしょうか?
人間で言えば肉を切り取って(生検)検査したらセシュームが出るが、母乳や尿検査ではよほどの場合でないと出ない筈という論理を強調するのに似ています。
それなら体内吸収・被曝を知るために何故子供の尿検査をしているのか、尿検査しても体内吸収の有無が分らないどころか、結果が出た時には手遅れになります。
体内蓄積が進む前に尿や母乳の方に早く出る傾向があるからこそ、尿検査で済ましているのではないでしょうか?
「検査しないなら怖くて飲めない」といういわゆる風評被害(データ秘匿によるもので消費者の正当な自衛行動です)が発生するのが普通ですが、政府や業者の方は牛乳は準必需品だから風評が起きようが起きまいが、消費者が牛乳を飲まないわけにはいかないだろう式の強気の読みがあるのでしょう。
牛乳は全国的なブレンド可能ですので、関東・東北の牛乳を購入しない選択が困難ですし、ミネラル水のように海外から購入することも出来ないことを見越しているのです。
・・どんな批判があっても無視して(秘密に検査していて、結果が出なくなる・時間切れになるまで公表しないで)押し切るつもりなのかもしれません。
牧草や現地の野菜に付着した放射性物質は、水素爆発の直後が最大で以後次第に低下して行くので、ともかく半年くらい頑張ってから検査すれば許容濃度以下になるのを期待しているのです。
水道水汚染の場合は、ミネラル水が飛ぶように売れましたが、牛乳には(1年前に製造したスキムミルクを買うしかないのかな)代替品がありません。
政府業界が一体化して押しきって来た以上、放射能汚染の収まる半年くらいの間、牛乳を飲まないようにする選択肢しかなかったのでしょうか?
私は肉牛汚染の最初から、話がおかしいじゃないの?と疑っていたですが、それでもどうしょうもないので「薄まってれば良いか?」と自分を騙しながら牛乳を飲み続けて現在に至っています。

肉牛の全頭検査2

平成23年8月1日付き日経朝刊11面「農畜産物への影響調査」東大農学部調査では、原発から50キロ圏の郡山の水田土壌を5月半ばに調べたところ、放射性セシュウムが表面から深さ1センチで1kg当たり1万〜3万ベクレル、5センチで2000ベクレル、7センチ以上になると100ベクレルを下回った」と記載されています。
ちなみに政府は4月に1kg当たりセシュウムが5000ベクレルを越える水田の作付け制限を決めているそうです。(同日夕刊第1面)
小麦の調査では事故当時既に生育していた葉の表面に放射性セシュウムが1kg当たり110万ベクレルも付着していたのに事故後に新たに生えた穂先には468ベクレルしか付着していなかったようで、根から放射性物質を取り込む量は限定的な様子が窺われます。
これらを見ると一旦水田に沈下した放射性物質はそのまま留まっている時間が長く簡単に地下水にしみ込まないし、稲や麦等の作物にも吸収され難いようです。
8月1日の日経夕刊第1面では、千葉と栃木県では県下全市町村でもうすぐ収穫の始まる新米の放射能検査をすることになったと報じられていました。
8月13日現在での予備テストでは、千葉県各地の稲モミには汚染がなかったと報じられています。
この記事は7月頃に基本を書いて8月初め頃にその頃の新聞記事で補正したものですから、その頃の記事によリますが、その後放射性物質の報道が減って来てよく分らなくなりました。
汚染が減って来て報道価値がなくなった結果ならば良いですが、慣れが来ているとすれば怖いものです。
放射性物質は気持ちが馴れても、人間の耐性・抵抗力が増すものではありません。
100歩譲って牛だけの検査で良いとしても藁を食べたかどうかだけを基準にせずに、(乳牛には稲藁をやらないそうですが・・牧草は食べるでしょう)その地域の乳牛も含めて出荷前の全牛乳の検査こそ実施するべきです。
今後(6〜7月頃発覚後の話ですから今は全頭検査を終わったかな?)肉牛は出荷前に全頭検査するというのに、牛乳の出荷段階の原乳検査も何故一緒にしないのかと言う疑問です。
政府が何を言おうとも消費者は怖くて消費が減退してしまいますので、消費者に直接接する業者は敏感です。
私の家では牛乳を2カ所から購入しているのですが、その2カ所とも検査していると通知して来ています。
牛乳に関しては末端の消費者・・スーパー等が自主検査したとしても、そもそも市販されているのは原乳を大幅に薄めたものですし、そのうえ全国規模の業者(明治や森永、雪印など)が各地から集めた分をブレンドしてしまえば、消費者には訳が分からなくなる仕組みですから、末端でいくら検査しても出荷段階の本当のところは分りません。
訳が分からなくとも薄めた結果であろうとも結果的に「口にはいる時に」一定比率以上の放射性物質がなければ良いだろうというのが、政府の指導方針・論理なのでしょう。
しかし、一定率なら良いという学問的証明がされていなくて、ただ「この辺・・」と言う暫定値だけですから、国民は少しの放射能でも心配です。

 肉牛の全頭検査1

放射能汚染された野菜でも「洗えば大丈夫」と言う23年8月9日コラムでの説明との関連で、肉牛汚染問題について少し書いておきます。
(8月9日のコラムの下書き(6〜7月)のときに書いておいたのですが、話題が横へそれていました)
牛肉の放射性セシウム汚染は、牛に与えた稲藁を洗わないまま与えるものだから牛が体内に吸収してしまったという論法が流通していました。
これは、福島・栃木、宮城県周辺の野菜その他を食べても洗って食べているので、人間の体内吸収とは関係がないと言う説明が流布していることに辻褄を合わせたものと思われます・・・本当かな?
稲藁は、今年の5月頃に白河方面から購入したと言う肉牛出荷農家の説明でしたから、昨年秋に米を収穫してから、半年以上も農地に広げていたままで雨ざらしにしていたとすれば腐ってしまいますから、そう言う保管方法をとっていません。
稲を刈り取った後これをまとめて(私の子供頃の経験では積み上げた藁の上に同じわらで屋根を葺いておくのが普通でしたが・・・)今では長距離移動・販売していることから考えると自家使用目的ではなく、売り物・商品になっているようですから、昔のように田んぼにそのまま置いておかないで倉庫保管・商品管理していたものと見るべきでしょうし、そこまで行かなくとも少なくとも屋根を葺いて保管しているものです。
積み上げて雨ざらしにしていると直ぐに蒸れて腐ってしまいますので、昨年秋に刈り取った稲藁が翌年5月にお金を貰って売れるようなものであった筈がありません。
昨年秋に刈り取った稲藁が放射性物質で汚染していたとすれば、その原因が、空から降って来るチリによる汚染によるしかあり得ないことになります。
仮に倉庫に保管していなかったとしても、最低でも屋根がついていて直接濡れないようになっていた上に、積み上げて(表面積が少なく)ある(横に広がっているところに上から降るのではなく縦に積み上がっている外壁面の側面付着しかありません)ので、藁の表面汚染率は、運動場の土壌や雨ざらしの蔬菜類よりも極端に少ない筈です。
学校で言えば校舎の壁に付着している程度の汚染でしかない筈です。
大量に販売用に管理していた形から見ると、仮に倉庫に入れずに仮に田んぼに積み上げてあったとしても、餌になった稲藁の大部分は積み上げた内部のもので、外気に直接当たった部分はごく少なかったことになります。
にも拘らず、肉牛が稲藁を食べたことにより高濃度汚染したとすれば、外を歩き回って外気をそのまま吸い込む人間や野ざらしの牧草・野菜その他を食べる人間・その他の乳牛や畜産類(豚や鶏)はどうなっているのかの疑問が湧いて来ます。
倉庫に管理されていた稲藁からの汚染は微々たるものでしょうから、むしろ空気中に浮遊する放射性物質を吸入したり地域の水・餌(牧草その他)等を吸収したことがその原因の大部分を占めている可能性があります。
そうとすれば、藁を食べる牛に限定する理由がなく、汚染牛の出た周辺地域のあらゆる生産食物(穀物・蔬菜類)・豚や鶏肉・鶏卵などを検査する必要が出てきます。

免責事項:

私は弁護士ですが、このコラムは帰宅後ちょっとした時間にニュース等に触発されて思いつくまま随想的に書いているだけで、「弁護士としての専門的見地からの意見」ではありません。

私がその時に知っている曖昧な知識を下に書いているだけで、それぞれのテーマについて裏付け的調査・判例や政省令〜規則ガイドライン等を調べる時間もないので、うろ覚えのまま書いていることがほとんどです。

引用データ等もネット検索で出たものを安易に引用することが多く、吟味検証されたものでないために一方の立場に偏っている場合もあり、記憶だけで書いたものはデータや指導的判例学説等と違っている場合もあります。

一言でいえば、ここで書いた意見は「仕事」として書いているのではありませんので、『責任』を持てません。

また、個別の法律相談の回答ではありませんので、具体的事件処理にあたってはこのコラムの意見がそのまま通用しませんので、必ず別の弁護士等に依頼してその弁護士の意見に従って処理されるようにしてください。

このコラムは法律家ではあるが私の主観的関心・印象をそのまま書いている程度・客観的裏付けに基づかない雑感に過ぎないレベルと理解してお読みください。